真夜中にハロー! 全10話

2022年1~3月、テレビ東京系「木ドラ24」枠。

ハロー!プロジェクトのメンバーが各回のストーリーに即した楽曲でパフォーマンスを披露して視聴者にエールを送るドラマ。ハロプロの大ファンの朝沼マリコ(菊池桃子)と大学を卒業したばかりの娘のミサキ(大原優乃)は自宅でゲストハウス運営をしていて、各話ごとにゲストハウスにやってくる住人が何らかの悩みを解決していくという展開。8名のゲストが1~8話までに登場し、ラスト2回はミサキ、マリコの親娘の物語として構成された。

OPを歌うOCHA NORMAは新グループで「恋のクラウチングスタート」は結局ドラマ放送中に音源化されることもなかったが、3月13日の『Hello! Project 研修生発表会 2022 3月 BREATH~息吹~』にて7月13日にメジャーデビューすると発表された。

EDのモーニング娘。’22による「I WISH」は00年の10thシングルの現メンバーによるカバー。2013年の『The Best!~Updated モーニング娘。~』でのupdatedに続く2度目のカバーだが今回は原曲アレンジのままのカバーで最終回当日に配信シングルとして発売。原曲から21年ぶり新録音と報道されたが前述のように2013年にカバーしているため各紙の誤報であった。

1話

宿泊ゲストは漫画家のあずみ(大野いと)。採用されずに苦悩の日々が続いていて、集中するために実家からゲストハウスで缶詰になって原稿を書いていたが、共有スペースでマリコがハロプロの楽曲を大音量でかけているのを迷惑だとミサキが止めるというやり取り自体が騒音で困っていた。

採用のチャンスを逃して落ち込んでいたあずみだったが、目の前に謎の扉が出現。少し前にマリコに無理やり「みかん」を聞かされた時に言われた扉が開くという謎の言葉を思い出して扉を開けたあずみは楽屋へワープ。そこにはマリコを案内人としてモーニング娘。’22メンバー6人(譜久村聖、小田さくら、羽賀朱音、横山玲奈、森戸知沙希、岡村ほまれ)が現れ、あずみを連れ出すと次の扉の先はあずみの部屋。部屋で「みかん」を踊りだす6人に突っ込みを入れていたあずみだったが、壊すという宣言通りに漫画道具を壊し始めた6人に改めて漫画への情熱を思い出したあずみ。今度はどこかのヘリポートにワープしてパフォーマンスの続きを完遂する6人、見守るマリコ、励まされて初心を思い出したあずみ。スッキリとした表情でゲストハウスを去っていくのだった。

設定がぶっ飛びすぎ…

このゲストハウスの隠れた売りがこの扉システムらしく、案内人をしていたマリコだけでなくミサキもこの事は把握している模様。また親子でファンという設定になっているが、ミサキはさほどハロプロファンである描写は無く、マリコが一方的に熱狂的な様子ばかり描かれていた。菊池桃子の年齢の男性ファンならそれなりにいそうだが…。

「みかん」は07年のシングル曲で04年で1度聞くのを辞めた後に再度聞き始めたきっかけの曲だったので初回がこの知っている曲だったのはうれしかった。オケはそのままで6人で今作用に歌ったバージョンと思われるが、ED曲としてかかっていたのは現メンバーでリメイクした「I WISH」のようだ。6人しか出さなかったのでこれはもう1回別メンバーでモー娘。出演は当然またあると思われるがただモー娘。で明確に励ましているような曲ってこれ以外にはあまりなかったような…。

大野いとはちょうど10年前のドラマ『最高の人生の終り方~エンディングプランナー~』で毎回のように食卓での家族ゲンカのシーンでブチ切れた家族もしくは巻き添えで味噌汁から牛乳、ラーメンなど汁物を浴びせられるという謎の被り物担当要員だったのが未だに印象強いが10年経ってすっかり大人の女性に。2話以降も岡本玲、市川由衣、徳永えり、剛力彩芽など10代で1度ブレイクしていたり、ドラマで見た記憶のある面々が出てくるのでゲストが懐かしいドラマにも個人的になりそう。後は知らない曲にどこまで耐えられるか…。

あとあずみはモーニング娘。も「みかん」も知らない曲だったという設定だったが、聞かされて感動した事で改めて入手したらしく、ラストでは当時のシングルCD(当然だがメンバーが今と全く違う)をラジカセに入れて聞こうとしているカットもあった。なんとも時代を感じる描写だが、ハロプロはストリーミングを完全拒否しているので、スマホで聞いているみたいな現代的な描写をあえて避けたのかなと思う。まあDLとYouTubeはやっているので、DLした音源をウォークマンやスマホで聞いているとかYouTubeで再生しているというカットでも良かったんだろうけど、わざわざ当時のシングル盤とラジカセを出して描写させたって事はCDで聞いてくれという意向があるのかなと。

2話

ゲストはゆうは(岡本玲)。ゆうはは憧れのゲーム会社に転職したものの、毎週末地下のオシャレな空間(フリースペースみたいなところ)でテイクアウト飲み会をするという謎のパーリナイな空気に馴染めずに悩んでいた。大手で高給なゲーム会社なのか食事は高い店のテイクアウトばかりだったようだが家と仕事の往復で安い牛丼が好きなゆうはには店の当てが無く、次の幹事に指名されたものの追い込まれていた。

テイクアウトはやってないのか?という頓珍漢な理由でゲストハウスにやってきたゆうはだったが、以前客として来たことがあるらしくマリコはゆうはを覚えていた。その時に転職活動をしていて今の会社に入社できたらしいがその時は扉システムは発動せずに自力で何とかしていたらしく、今回初めてマリコが扉システムを発動。1話同様にマリコが扉が開くという話をしてから該当する曲を1曲聞かせておくというのが扉システム発動の儀らしく、相手は何のことか分からないが、その後困ったタイミングで扉が出現するという仕組みな模様。

結局テイクアウト食事を決められずに残り30分に迫って詰んだ状態のゆうはの前に扉が出現してからは定型パターンとなり、楽屋ワープ→マリコがいる→今回のメンバー登場→一言ずつ励ましのお言葉→ワケが分からない状態のまま楽屋から連れ出されて次の扉の向こうへ→関連場所(今回は会社の面接受けた場所)でパフォーマンス(この段階ではツッコミまくり)→本当の気持ちを再確認→屋上ワープで曲の締め→すっかりハロプロファンに仕上がる。

今回出現したメンバーはゆうはが中途入社という繋がりで研修生ではなく一般オーディションで加入したアンジュルムの上國料萌衣、伊勢鈴蘭、川名凜、BEYOOOOONDSの平井美葉、小林萌花、里吉うたのの3人ずつ6人で曲はモーニング娘。の20年前のヒットシングル「そうだ! We’re ALIVE」。まさかの2連続モーニング娘。な上にグループ混合で持ち歌じゃないカバー。モーニング娘。以外の曲では一般知名度が無さすぎるのもあるが、ドラマで使うにはやはりモーニング娘。頼りになってしまうのか…。この6人のうち2人は生まれていない、4人も生まれたばかりの頃でついでに大原優乃も4人と同世代というくらい「そうだ! We’re ALIVE」が20年前の超懐メロだという事実に頭痛が痛い

開き直ったゆうはは牛丼テイクアウトを炸裂させ、社員たちは絶句して戸惑うが、そこはさすがのノリのいいパーリーピーポー系社員たち、即座にたまにはこういうのもいい、そういえば最近食べてなかった、おいしくなっている!と盛り上がり始めて何とかなった。しかしこれはゆうはが壁を突破したというより開き直っただけでパーリーピーポー社員たちの即座の気遣い力、空気に合わない人を無理やり合わせようとしたり合わせられない人を排除するような嫌な人たちではなく普通にいい人たちだったというだけの話なのでは…。多少ノリについていけなくてもいい人たちなんだからそこまで遠慮せずにもう少し自分らしく振舞っても大丈夫だぞ、というメッセージだったのだろうか。

それにしても会社の毎週末テイクアウト飲み文化という独特な描写が異様だった。仕事シーンでは大きなフロアに大勢の社員が仕事していたが、テイクアウト飲みをやっているのはゆうはの周辺に座っている5人だけ。部署メンバーだけにしたのは深夜の低予算、このご時世で毎週末社員大勢でパーティーしていると描くのはマズイかもしれないなど様々な事情があったと思われるが、他の部署が部署ごとに何かやっている様子もなく、これではこの部署だけパーリーピーポー揃いのハズレ部署みたいになっていた。しかも店を予約するのではなくテイクアウトしてきて謎のフリースペースで盛り上がるというのも謎だったが、これも新コロ対応に合わせているうちにテイクアウトで身内で身内のスペースで集まって飲むのはOKという変な設定になってしまったのだろうか。どっちみち当たるときは当たるだろうからクラスター報道の餌食になった挙句にあのフロアでは一瞬で全社員濃厚接触扱いでお前らこのご時世に毎週末パーリナイって何やってんだと部署ごと戦犯扱いされて色々と終わりそうな超絶設定になってしまっていたが今更そんな矛盾は些細な事なのかもしれない。

3話

ゲストはあやめ(高月彩良)。ジャムを企画開発している会社であやめはかつてヒット商品を出したが次の企画は後輩(髙石あかり)がリーダーに指名されて追い抜かれてしまう。素直におめでとうを言おうと思うも言えないうちに口調はマイルドヤンキー調ながらあらゆる面できちんとした人間力を改めて見せつけられてしまい言えないまま複雑な感情を抱いて迷走。上司にも逆に謝られる始末。今回も過去に利用した事のあるゲストハウスの常連客だったようだが(会社の近くと説明された)、扉システムのご利用は初めてという事で迷走の果てに扉が出現。

登場したのは1話には出ていなかったモーニング娘。’22メンバーの生田衣梨奈、石田亜佑美、野中美希、牧野真莉愛、加賀楓、北川莉央、山﨑愛生。今回は後輩に追い抜かれたという主題なので研修生時代が長くて後輩や同期に追い抜かれたなど悔しい思いをしてきたメンバーと説明された。ほとんど1人で苦労話を語っていたショートカットの子(加賀楓)は確かにこの中でもダントツで苦労人扱いされていてファンの間では有名なようだが(研修生で4年、20人以上に抜かれた)、それ以外は全員が全員そこまで追い抜かれまくっているわけでもないような。先輩勢はグループ内での立ち位置とか色々あるんだろうけど、北川莉央という子はwikiの項目もさらっとしていて2019年オーディション合格→2020年1月にデビューして年末には写真集→2021年には写真集2冊目と順調といえる経歴のように思うが…。

曲は2017年の63rd『BRAND NEW MORNING/ジェラシー ジェラシー』の2曲目「ジェラシー ジェラシー」。まさかの3連続娘曲となったが北川と山﨑以外は当時も参加していたメンバーとなり、初のオリジナルメンバー参加曲となった。しかも1番喋っていた加賀のデビュー作である。

あまりにもそのままでジェラシージェラシージェラジェラジェラジェラシーと連呼されまくる最早これに合わせて作ったんじゃないかというような最適な曲で自身の中のジェラシーを認めて壁を突破したあやめはスッキリとした表情で後輩へ今度は自分が背中を追う番だがもう1度追い越すとライバル宣言をして終了。

エンディングではゲストハウスのレビューにまた「扉」の話が書かれているとミサキが不思議がっている様子が出てきた。てっきりミサキは扉システムを知っているのかと思ったが扉システムを発動管理把握しているのはマリコだけという設定だったのか…?

4話

ゲストは乃々花(田中真琴)。ビールメーカーに就職した新人社員で研究職志望のおとなしい性格だったが、新人研修の飲みの場で1人だけ全く潰れずに超酒豪っぷりを発揮した事で(他全員ぐったりのびているのに1人だけ酔った様子も無く研究職の先輩(ノンアル)に憧れを語り続けていた)営業部に目をつけられて営業に配属されてしまい苦悩していた。先輩営業社員は異様なハイテンションで顧客も異様なノリツッコミの手練れ揃いで全くついていけないという地獄の寸劇営業回り、なんとか奮闘しようとするも根が真面目なのでやはり乗り切れず絶望的に落ち込んでいる中で扉システムが発動。

登場したのはBEYOOOOONDSで曲はハチャメチャな路線を自虐的に開き直った「こんなハズジャナカッター!」(昨年3月に出たばかりの2ndシングル3A面の3曲目)。星部ショウ楽曲であり、初めてつんくではない曲及びモーニング娘。じゃない曲かつ持ち歌となった。ゲストの役者も知らない人だったが曲も初めて知らない曲だったが、今のつんくよりは面白い曲かもしれない。

最終的には開き直ってはじけて営業職で生きる決意をするというオチで先の先輩社員も当初はおとなしなかった事が語られ、一皮むけて成長を果たしたというような話でまとめていたが…人格が変わるほどの変貌がその後ストレスとなって蝕んで壊れたりしないのだろうか…とちょっと無理やりなハイテンション化に心配になってくる部分もあった。まあ酒豪を生かすような実飲みの営業は無くて素面での狂人的ハイテンションが要求される営業の仕事に明らかに営業向いてなさそうな子を酒豪なだけで配属してしまうようなズレた人事をする会社という時点で設定がおかしくはあったのか。

5話

ゲストはすみれ(市川由衣)。今回は変則的な設定となり、すみれは宿泊客ではなく宿泊していたのは愛媛から大判焼きのお土産を持って上京していたすみれの友人のゆみ(桜まゆみ)。この大判焼きをお互いが買ってきたと思ってマリコとミサキが食べてしまった事からお詫びとして友人のすみれが招待されたという流れ。2人の会話からすみれが行き詰っているのを察したマリコは扉システム発動の儀を仕掛ける。

すみれとゆみは学生時代共に上京してデザイナーの夢を目指していたがゆみはあきらめて帰郷、すみれは頑張っていたが企画が通らずに疲弊。ストレス発散のためにジムでトレーナーの制止も聞かずに無理な走り込みをしたところ骨折してしまい、再上京して心配してくれるゆみのアドバイスも受け入れずに無理して仕上げた企画も提出前に別の同僚社員が採用されてパーになってしまい、ズタボロの状況で扉が出現。

出てきたのはアンジュルムだったがメンバーは半分の5人。このうち2人はBEYOOOOONDSと3人ずつ2話に出ていたメンバーで重複していた模様。曲は「もう一歩」。前作に続いてモーニング娘。以外の曲となったがなんとまさかのいきなりシングルですらないアルバム曲(2019年の『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』収録曲。選曲が一気にファンしか知らない曲になってきたのは序盤でパターンも見せてある程度視聴者を固めたのでもう知名度のある曲じゃなくても離れないだろうという判断か。すみれの企画書を何度も何度も「もう一歩」と言って跳ね返していたなんとも80’sなモハ髪の上司として出演していたのがこの曲の作詞作曲である中島卓偉だったというギャグまでおまけでついてきた。

扉の先も今回は変わっていていつもは当人と関係のある場所へとワープするが今回は良く分からない小劇場。ここまで車いすで運ばれてきたほどの骨折が一瞬で治癒するという魔力を発揮し、延々大縄跳びをさせられながらパフォーマンスを見るというかなりカオスな展開に(屋上ワープで縄跳び演出は終了したが骨折も治ったまま)。

頑張るのを辞めて吹っ切れたすみれは帰郷し、コンビニでパーとしているゆみにデザインをやるべきだと進言し、学生時代以来となるコンビでの営業活動を開始することを示唆して終了。しかし宿泊客以外に扉システムを発動させたのは初だったが、宿泊者だったゆみもなんだかんだ挫折を抱えていたっぽいのにこっちは扉システムの対象にはならなかったのだろうか(完全にあきらめていたせいかもしれないが)。

市川由衣は久々に見たなぁ…。00年代前半によく見かけた印象で『ホットマン』『H2〜君といた日々』『4姉妹探偵団 』辺りまではメインヒロイン級で良く見たけど以降はゲストで数年に1度見かける程度、出演作ざっと見たところ出演作はそんなに途絶えていないモノの個人的に最後に見たのが2013年の『都市伝説の女 Part2』、2014年の『私の嫌いな探偵 』のゲスト出演なので8年ぶりくらい。思ったより年月が流れていた。

6話

ゲストはユウジロウ(後藤剛範)。唯一の男性ゲスト回で前回の市川由衣を越えて最年長ゲスト(38歳)。いきなりミサキをツインテールに、マリコも巻き込んだ妄想家族ゴッコというふざけた展開でスタートしたが、ユウジロウには妻も娘もいて最近話してくれない娘アオ(石井心咲)との関係に悩んでいた。それでゲストハウスに宿泊して相談していたらしいが、結果的に特に嫌われているわけでもなかったのに妻子を置いてゲストハウスに泊まっていた理由は良く分からかった。また改めてミサキの父でマリコの夫はミサキが高校生の時に亡くなっている事も示されただけに(ミサキとの2ショット写真出演で父役は宮川一朗太)ちょっとミサキには酷じゃないか…。ツインテールで娘コントしてた時はテンション上げてたけどラストシーンでお父さんに会いたくなっちゃったとか言っててしんみりしてたし。

妻から頼まれて娘を迎えに行く日の夜、マリコとミサキのバックアップもあって改めてアオに好きだというも友人から誘いがあったので送り出してトボトボ歩いていたところに扉システムが発動。つばきファクトリー全員(12人)が登場して曲は2018年の3A面シングルの3曲目「今夜だけ浮かれたかった」。女の子の気持ちを歌うのが上手なグループみたいに紹介されていたけど、つんくじゃない曲(作詞は児玉雨子)でもその路線やってんのね…。そして作曲が中島卓偉なのは2話連続。なんか前回と今回の間に独立を発表していたけど今後ハロプロ提供はどうなるんだろうか。

今回はダンスパフォーマンスの終盤にユウジロウ自ら混ざって一緒に踊ったり、そもそも扉システムの前に娘に好きだと伝えてしまっているので扉システム終了後はアオの方が戻ってきて友達の誘いは断ったとして最近話してくれないから嫌われているのかと思っていたと告白。扉を開けたのはアオの方だったのでは。実は親娘揃って同じことを思っていた事と妻(母)は見抜いていた(そのため今日の機会をセッティングした?)事が判明。関係が改善され、後日ユウジロウが再度ゲストハウスにお礼に来て旅立っていって終了。

色々と変則回だった。後藤剛範は見た事無かったけど、娘役の石井心咲はどうやら「お耳に合いましたら。」の伊藤万理華の小学校時代回想や欅坂46の「黒い羊」の平手の幼少期役とかに出ていたらしいので見た事あったらしい。あまり記憶と一致しなかった。

7話

ゲストは杏香(徳永えり)。冒頭から無しだと答えるマリコとミサキ、キャリアウーマンの杏香はゲストハウスの常連客らしく彼氏を連れてきてその感想を伝えていたのであった。改めて明かされたその彼氏とは夢中人を名乗る人望無し無職ニートの事実上のヒモ野郎で、行動力はありながらも長続きせずにいろいろやっては全く集客も人望も得られずに次のことを語るという将来性皆無の人だった。客観的な視点で当然そうだろうなと思いつつも彼氏が好きだという感情もあって杏香は結婚を迷っており、マリコは扉システムを発動させる。

出てきたのはまたしてもアンジュルム。2話ではBEYOOOOONDSと3人ずつの混合、5話では半分の5人が登場していたが今回遂にフルの10人全員で登場し2015年の1stシングル「大器晩成」を披露(スマイレージからアンジュルムに改名しての1st)。

どこか可能性を感じさせる人柄で彼氏を描くならまだしも、明らかに周囲にドン引きされていて生配信をしても客が1人(4人いたが杏香マリコミサキで3人)と人を惹き付けるような魅力も皆無である事が堂々明示されているのに「大器晩成」って。これに勇気をもらった杏香は結婚を決意。彼が大器晩成になるかも分からないが、私が幸せだからいいし私が輝かせるからいいとダメンズにハマる典型パターンのようなセリフで去っていった。まあ本人同士が幸せならいいと思うんだけど、ドラマとしてはかなりビミョーでなんで彼氏の良さを一切描写しなかったのか。見せられる方としてはモヤモヤしかしないオチに。大器晩成ってそういう無根拠な話でもないと思うんだけどな…。

徳永えりといえば2008年のドラマ『ブラッディ・マンデイ』で主人公サイドの友人かと思いきや黒幕Kと発覚したのがインパクトだった。しかし続編では精神崩壊してて獄中オセロしているだけで最終回で成宮寛貴に救出されて出番終了と散々な扱いに終わり、その後は「神の舌を持つ男 」や近年でも「レンタルなんもしない人 」「捨ててよ、安達さん。」とどれも1回ゲスト出演しているのを見かける程度でもう1つブレイクしなかったなぁ…。

8話

ゲストはヒビキ(剛力彩芽)。英会話教室に講師をしているヒビキは同僚(中島歩)の事が気になっていたが好きだと言えずにいた。マリコやミサキに励まされて奮闘しようとするも同僚社員との会話から彼女がいる事が判明したのであきらめてマッチングアプリに手を出すがしっくりこなくて迷走。やがて彼女と別れたらしいという情報が同僚社員から伝えられ応援されるヒビキだったがどうにも踏み出せずにいるところで扉システムが発動。

登場したのはJuice=Juice。1話と5話でモーニング娘。とアンジュルムを6人に絞ったのに続いてJuice=Juiceも9人いるはずが6人なので3人いない。曲は2013年のデビュー曲「ロマンスの途中」。大人になって今更告白ができないというヒビキを応援する必要があったためか、今回最初にワープした先が現在ゆかりのある場所ではなく、学生時代に告白しようとしていた教室での過去の自分がいる空間という今までにないパターンに(今年30歳の剛力、ここでまさかの制服披露)。さらに締めのマリコの台詞「This is “HELLO”」も年齢に関係なく好きな気持ちを言葉にしようという意味を込めての「I Love ”HEELO”」に改変

勇気を出して告白したヒビキだったがあっさり玉砕。しかし新たな出会いが…というところで出番が終わり今回はマリコやミサキにお礼挨拶に来るシーンが無かったが、代わりにミサキがハロプロの曲を聴いているのを見て喜んだマリコが声をかけると真剣な顔をしたミサキが扉の向こうとは何なのか、扉システムへの疑問をぶつけたところで次回へ続くという初の続き展開に。

若い時のごり押しイメージからM澤氏との交際ネタばかりになってここ5年くらいは出演作も減り、結局破局して事務所独立となるなど恋愛絡みをきっかけにして本業に影響出た感のある剛力に今更踏み出せない恋愛キャラをやらせるのは攻めているのかなんなのか…。

これにて当初発表されていたゲスト8名は全て出揃った。ミサキが大学卒業後に就職せずになんとなくゲストハウス手伝いみたいな感じで暮らしている事や、当初知っているかのようにも描かれていたが扉システムについては知らずにゲストハウスレビューでよく書かれている扉について疑問に思っている事などがこれまで示されていたが、次回は親娘が実質主人公の物語になるようだ。最終回とは言ってないので最終展開が続くのだろうか。

9話

ゲスト8名は全て登場しつくし、ラスト2回は前後編でマリコ(菊池桃子)・ミサキ(大原優乃)の親娘の話。

扉システムの謎に迫るミサキだったがマリコは人生の迷子になった時にハローの曲がきっかけで扉が現れるなどとあいまいな説明をしてミサキにもそろそろ扉が見えるかもしれないなどと言うがミサキには意味が分からない(この時点でミサキに扉システムを仕掛けようとした?)。友人(黒崎レイナ)との会食でミサキは大学時代までの評価は優秀で就職する気があるなら自分の会社で即採用できるので考えてみないかと言われるほどだったと判明。これまでは就職せずにそのまま家事手伝いになった程度の描かれ方だったが、マリコが頼りないためミサキがゲストハウス運営を支えていた事が初めて明確に示された。確かにミサキが料理作っているシーンとかあったけど、そもそも2人ともゲストの悩みを聞いているだけでほとんど家の事やっているシーン無かったからな…。

さらに帰り道、親娘でちゃんと話し合ったことが無いとして父(宮川一朗太)が生前でミサキが高校時代の回想シーンへ突入(回想シーンは画面が昔のTVの4:3左右黒縁仕様)。父親がゲストハウスを経営していた当時はマリコはバリバリのキャリアウーマンで忙しく家のことはほとんどしていなかった。家族旅行も北海道か仕事が忙しい母を考慮して箱根にするかで迷ってマリコが話し合う余裕すら無いのでミサキが箱根に決めてしまうほど。父はそんなミサキにもマリコにも優しく向き合ってくれていた。何らかの理由で父が急死した後は抜け殻状態になったマリコは一方的に会社を辞めると宣言するとゲストハウスを継ぐと勝手に宣言。しかし家事が頼りなく料理も出来ないので見かねたミサキが手伝っているうちにすっかりミサキがゲストハウス運営の支柱となっていて、大学の就職活動時にはすっかり周囲の友人間でもミサキは既にゲストハウス継ぐので決定済みでいいな~と思われる状態にまでなっていたという。

また回想シーンではこの頃にマリコがハロプロにハマってCDを並べ始めていたが、このCDは元々高校生までのミサキが買い集めていたものだった事も判明。ただハロプロのどの曲が好きだとかメンバーで好きなのはというマリコの質問にそういう話をしたいんじゃないと返事をしなかったミサキはハロプロを聞かなくなり、現在の状態であるマリコだけハロプロ好き、コンポの前にいるミサキにハロプロを聞く気になったの?とマリコが聞くほどミサキはハロプロから遠ざかっていたという事らしい。

そして現在。友人からの就職資料を見たマリコは1人でゲストハウス運営する事に決めたから好きに生きて就職すればいいとミサキに言い放ち、またしても勝手に決めるなとミサキを激怒させてしまう。箱根に決めた旅行の時もそうで箱根でも行きたい場所はあったのにマリコのためだけに決めたみたいにマリコは考えていてそういう決めつけ&先回り癖によってマリコが母としてちゃんと向き合えていないのが露呈してしまったが、家を飛び出したミサキの前には扉が出現。

扉システムによりいつものように平然と登場して自分と向き合う場所だなどとさっきまでの流れ無視で余裕な態度で言い放つマリコ。戸惑うミサキの前にJuice=Juiceが9人フルメンバーでついに登場。いつものように見送ろうとしたマリコだったがさすがにそうはいかずにメンバーによりマリコも連れ出される。今回はいつものように楽屋→廊下→また扉→関係のある場所という移動ではなく、扉が無くてそのままホールに直結。マリコは別のルートから客席へ先回りさせられ、ミサキはメンバーと一緒にステージから出てきて客席へ移動するように促され客席からステージを見るシンプルなライブに。

始まった曲はミサキの気持ちを代弁する曲だとして2019年の12thシングル「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」。先日つんくと番組関係者のインタビューが記事になっていたがこれつんくじゃなくて山崎あおいの提供曲…。

曲名が出た途端にマリコが「Dream Roadじゃないの!?」と驚いていたので(2016年の8thシングル「Dream Roa~心が躍り出してる~」の事と思われる)、自分を信じて夢を追えというメッセージを込めた同曲で扉システムを発動させたつもりだったらしい。こっちはつんく作だし、メタ的にもえ?Dream Roadじゃないの?にはなるよね。

曲中でできる子扱いされてきたが本当は怖い事、ちゃんと母と向き合って話をしたかった事などミサキ側が本音をぶつけてマリコも受け入れ、ミサキが早速家を出ると宣言して最終回へ続く。

今までほとんど描かれなかったのでなんか思ってたのと違う親娘の設定だったが、破綻や矛盾は無く、むしろほとんどゲストハウスの運営状況を描写していなかったのが幸いしていくらでもここで設定できて、前後編という事もあってしっかり親娘が向き合うドラマを描いていてこれまでの8回よりも遥かにいい話だった。

マリコにも色々と至らないところがある事が露呈する中での扉システム発動だっただけにいつものようにマリコが何でも分かっている態度だけでなくマリコもシステムに巻き込まれて想定していた曲じゃないなど振り回されたところと、恐らく最終回はマリコも自ら扉を開ける番になるという流れも良かった。

10話

家を出る事にしたミサキは準備を進めるが、マリコはほとんど家事ができないままで残り少ない時間でのスパルタ特訓が行われるがどうにも心許ない。友人(黒崎レイナ)を客に見立ててのシミュレーションでも料金を取り損ねるなどミスが多くて家事以外のゲストハウス運営の基本までミサキ任せでダメダメだった事まで発覚してしまう。いやこれまでゲストハウス運営に関わる描写はほとんどなく、ミサキが料理しているシーンが出てきたくらいで、ミサキがほとんど運営も一手に手掛けているというのも前回初めて明らかになったくらいだったが、まさかそこまで全部ミサキ任せだったとは思いもよらない。マリコさんあなたハロプロの曲を好き勝手に聞いて過ごす毎日&悩んでそうなゲストに扉システムを発動させるくらいしかマジでやってなかったんですか…。

気分転換に友人に海辺へ連れ出され、改めて親娘でゆっくり話し合ってある程度穏やかな感じにまとまる。この会話の中でマリコが夫亡き後に急に会社を辞めてゲストハウスを継ぐことを決めたのは落ち込んでいる中でハローの曲を聞いたら扉が出現して扉の中でハロプロメンバーに勇気をもらったからだと明かす。ある日突然に態度が急変して距離を詰めてきたと感じていたミサキはこれを聞いて納得。マリコはそれを機に扉システムの担い手として活動を開始していたという事か。

この間に友人が彼氏にフラれるという一幕もあったが(ラストシーンへの伏線)、ミサキは1人暮らしへと旅立っていき、1人残されたマリコの前に再び扉が出現。扉の中には案内人はおらず、体育館でモーニング娘。’22全員が登場。卒業式風にマリコのこれまでをねぎらってこれからを祝おうとしていた。1,3話では分割で登場していたが最終回での満を持してのフルメンバー登場でエンディング曲でもある「I WISH」を披露。

これまでのゲストたちの回想映像も流れつつ、メンバーはマリコのこれまでの扉システムでの活動を称えていたが、どうも今までお疲れ様の色合いが強めの言葉が目立ち、マリコによる扉システム発動はこれにて役目を終えるかのような雰囲気が漂う。これは元々ミサキの父がミサキに買ってあげたCDコンポでミサキの買っていたハロプロのCDをミサキが聞かなくなって父が死亡した後にマリコが聞いた時に初めてシステムが発動、以後マリコが居間にこのCDコンポを置いてメイン機として使用してCDを聞いたり、相手に聞かせる事でシステムを発動させていたが、このコンポはミサキに持たせてしまったのでシステムの発動権が移動したというのを示唆しているという意味合いなのかもしれない。事実メンバーにお疲れ様と言われたマリコの出番はこれにて終了

ラストシーンでは先ほどフラれていた友人の前に扉が出現。扉の中ではかつてマリコが行っていた案内人の役割をミサキが行う形で扉システムが始まっていた。

しかしミサキが案内人を引き継いだとしてもゲストハウスと違って1人暮らしの家では同僚と友人レベルまでの個人的な交友関係にしか発動できないのでは。ただし扉システムの発動条件自体が明確に定義されているわけではなく描写からの勝手な推測なので何とも言えないところではある。※これまでの描写からは該当の楽曲を事前に聞かせた上で悩んでいる事を聞いて扉が現れる事を相手に示唆する事で準備が整い、相手が次の1歩を踏み出すべきタイミングになると発動条件を満たして扉が出現するみたいな感じと解釈。

ゲストハウスに来る悩める客を導くのが特色になっていたし、恐らく夫亡き後のマリコの新たなる生きがいでもあっただろうに、1人になったマリコに1番の役目終えさせちゃってどうするの。案内人の交代示唆までせずにこれからもマリコが新たな悩める客を導くホストとして1人で運営している締めの方が普通にまとまったような…。

全部終わっての感想

強引なところも多かったが基本的に温かい話だった。つんくによるお花畑的な歌詞というイメージが一般的にも強いハロプロだが前向きさや元気づける方向性に焦点を当てて悩める人を後押しするというのも改めてハロプロの基本理念みたいなものを打ち出していて良かったと思う。まあこれを言ってしまうとおしまいではあるが基本的にアイドルグループはどこも概ねそのように聞くものに勇気や元気を与える目的で活動しているだけに、悩める人の後押しした後にThis is ハローとか言われてもハローだけがやっている事ではないよ…というのもちょっとあった。まあパフォーマンス押しとかされてもそれはそれで微妙なので1番基本的なアイドルの良さをシンプルに押し出す方が正解ではあったと思うんだけど、みんなハロプロ知らないゲスト相手、という点で広く置き換え可能で別にこれがAKB48でThis is 48と言われればたぶん48好きになるし、This is HINATAと言われれば日向坂46好きになるし、This is TOKYO GIRLS’ STYLEとか言われれば東京女子流好きになるような今作の設定はそのような凡庸フォーマットではあった。

曲自体に関してはそういった理由もあって別にハロプロの曲だけにそのような人生を後押しする素晴らしいメッセージが込められているとは思わないので、むしろハロプロという集合体のカラーのクセが強くてどうも同じに見えるとか同じような曲に聞こえるとか、売り方がどこもかしこも複数A面連発で1曲ヒットを狙う気がもう全くないだろ…という実態も改めて垣間見えたところはある。新しくどこか聞き始めるには至らなかったが、ドラマ自体は良かったし、メッセージの生かし方も良かったという感じ。

ラスト2回の親娘の話も良かったんだけど、ミサキに引き継がせてしまったのは蛇足だったと思う。急死した夫が遺したゲストハウスに扉システムが宿っていたというのと運営何一つできないマリコだけどシステム発動の支配人として人々を導く事に新たな人生の目的を得て夫の遺志を継いだくらいの感じにして、わざわざ役目を終えさせてなくても良かったじゃないかと。マリコがキャリアウーマンに戻り、ミサキが正式に引き継いで継承されるのであればミサキが引き継いで終わりでも良かったと思うけど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました