2022年秋クール日本テレビ系「日曜ドラマ」枠(22:30~23:25)。
相沢沙呼による2019年単行本、2021年文庫化された小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が原作。続編の『invert 城塚翡翠倒叙集』『invertⅡ覗き窓の死角』も2021、2022年に刊行されている(今作時点では単行本のみで文庫化されていない)。
原作には4つの事件が収録されていて、1話につき1事件、4つ目の事件は前後編で原作をほぼ忠実に映像化。5話を「最終話」として放送予定もまだ残っているのに5話の番組表に「終」マークをつけるなどしたため、突如の打ち切りなのかという憶測を呼んだ。
実際には原作4編(最終章のみ前後編)を5話で描き切り完結、続編『invert 城塚翡翠倒叙集』として再度1話から改題して1クール後半に充てるという試みであった。
霊媒探偵・城塚翡翠
1話
人気推理作家で鐘場警部(及川光博)からの依頼で実際の事件解決の手助け(いわゆるミステリドラマの探偵)もしている香月(瀬戸康史)は、大学時代の後輩倉持(田辺桃子)が「泣いている女が自分を見ている」という奇妙な夢を占い師に相談したら案内されたという霊媒師翡翠(清原果耶)の元へ向かう際の同行を頼まれて一緒に翡翠の元へ。論理を重視し、霊能力の類を信じていなかった香月だったが、翡翠は倉持から何か不吉なものを感じるから注視すべきだとアドバイス。後日倉持の自宅を見せてもらおうとした日に倉持が殺されてしまい、責任を感じた翡翠は信じてもらえない能力の事を説明し、この力と香月の推理力を使って事件を解決してほしいと協力依頼を申し出る。殺された倉持も容疑者となった倉持の友人の女の子も大学時代の後輩だったため他人事ではない事件だった事や実際に信じるに足る霊視能力を見た香月は割とナチュラルに信用していき、霊媒師を名乗っているなら死んだ倉持を降臨させる事も出来るのではないかと指摘。殺されるような死の間際の恐怖体験では降臨させても錯乱状態になり危険だというアシスタント真(小芝風花)だったが、翡翠は自らやると宣言し、霊媒で降臨させた倉持の証言から(決定的な事は言ってもらえなかったが)証拠を見つけ出し事件を解決。自身の能力を少しでも役立てられた翡翠は以後も香月の推理と自身の能力を組み合わせてのコンビ結成を宣言して次回へ続く。
少々変わった霊媒×推理モノだったが、翡翠は働かなくてもいいほどのお嬢様とだけ説明され、霊視依頼の仕事も無償で行っていてアシスタントして真(小芝風花)が支えている。真の指示で少々派手に持ったクールな霊能力者キャラで正式な依頼を受けているが実際には世間知らずでおとなしいお嬢様というのが翡翠の設定らしく、いずれにせよ無表情でクールな感じは朝ドラでもあまり笑顔を見せなくてローテンションで影のある美少女といったイメージを印象付けていた清原果耶にピッタリ。出来るアシスタント役が小芝風花というのは少々意外だったが…。まあ朝ドラ『おかえりモネ』主演→『ファイトソング』主演と清原果耶は朝ドラから3連続主演で主演人気女優枠で定着するか。朝ドラ前に既に主演経験のある広瀬すず、杉咲花なんかと違って朝ドラ主人公の後の『ファイトソング』が初主演作、男性主人公のヒロインもしくはW主演に回らずに民放連ドラで2作連続主演作ってのもなかなか凄い。
小芝風花は2年前の同枠『美食探偵 明智五郎』ではヒロインで、近年主演作が増えてきた中で3番手の役どころというのと、なんとなく頑張る20代女性主人公というOVER 30’s WORLDになった高畑充希の後継的なポジションに向かっていくのかなと思っていたので出番少な目のアシスタント役は意外。瀬戸康史は『ルパンの娘』『私の家政夫ナギサさん』以来の連ドラと言うう事で偶然にも直近の出演ドラマ4連続(ルパンが2期あったのでルパン→ナギサ→またルパン→今作)見ている事になるが、クールな役どころは新鮮だった。
2話
大御所推理作家から別荘の心霊現象を見てほしいという依頼で香月と別荘へ訪れた翡翠だがそこでその作家が殺されてしまう。直後に霊視の一種により匂いで犯人が別所(入江甚儀)だと分かったという翡翠だが証拠がなく、翡翠と連絡先を交換して親しくなった新谷(筧美和子)が疑われてしまう。香月に謎の夢を見た話をしてなんとかヒントにならないかとなるが、最終的にはその夢をきっかけに香月が推理を展開して状況証拠を上げると別所があっさり吐いたらしく事件は解決。
今回は犯人の前で推理するのではなく、夢の内容を改めて考察して答えを出した香月が鐘場警部に連絡をするともう自供した後に話が飛び、どうしてそれが分かったのかを翡翠と真に香月が説明するという一風変わった真相判明シーンだった。
また同時に進行している若い女性の連続殺人も進行していて…。
1話は降霊というド派手な霊能力シーンがあったが、今回は殺されたのがオッサンなので年齢が離れすぎていると降霊できないという理由で降霊は失敗。霊能力というよりは第6感のような感覚とふわっとした状況証拠だけで犯人を見抜いた感じだし、翡翠の夢のヒントも回りくどいというかなんというか…(伏線)。
3話
書店での香月のサイン会に翡翠と真も訪れる中で、高校2年生で写真部の菜月(當真あみ)が今年2月、6月に高校で発生した殺人事件の捜査を依頼してくる。鐘場警部は例の連続殺人がまた発生しているため、ここで部下の蛯名(須賀健太)が担当として初登場。
2つ目の事件現場で瞬間降霊して先輩どうして…という言葉を口走った翡翠から、犯人は先輩と特定。2つ目の事件の被害者は2年生だったため3年生が犯人だろうと香月は当たりをつける。高校で実際に話を聞きに行った際は写真部のモデルとして翡翠が制服を着せられてにこやかな撮影会が展開。かわいい生徒たちからかわいいを連呼されてテレまくりながらまんざらでもない様子の翡翠というかわいいシーンが全面展開。話を聞いて仲良くなった後になんと菜月が死体で発見されてしまう。ショックを受ける翡翠だったが、菜月のフィルムカメラからフィルムが抜き取られていた。既にデジタル全盛時代、写真部の他のメンバーはみんなフィルムカメラの扱い方すら知らないという話を顧問の先生が話しており、菜月のフィルムカメラからフィルムを抜き取るにはそれなりに知識が必要だった。2番目の被害者が所属していた図書委員の委員長である3年生の琴音(長澤樹)の実家が写真館であったため一気に容疑が琴音へ向く。写真館で話しを聞いて指紋をゲットして菜月に残された指紋とも一致。
後は捜査進展を待つのみだったが琴音は警察のマークを出し抜いてさくら(並木彩華)殺害へと動き出していた。翡翠は菜月を降霊させると言いだすが、香月は以前の経験から死ぬ瞬間の記憶しか喋れない可能性が高いので意味がない上に負担が大きいというが翡翠は降霊を強行。結果、けっこう爽やかな菜月の霊が降臨。香月を恨んではいない事やさくらの姉の守護霊が時間稼ぎしてくれているとして第2の現場と同じ場所にいるとピンポイントで教えてくれた。事件現場では実際に公園にいた女性が電波が繋がりにくそうにしており、女性が去り次第犯行を決行。この瞬間に2人が駆け付けて阻止し、警察も駆けつけて逮捕となった。
取り調べでは2人になら分かってもらえるだろうから話すとして呼び出した琴音はかわいい子が死ぬときにどんな顔になるのか見たかった、地味な子や明るい子などバリエーションがが欲しかった、翡翠も試してみたい、死体の写真は芸術的に仕上がっているから是非見てほしいとサイコさん発言を大連投。呆れて去っていく2人、サイコさんなまま終わった。犯人がサイコ過ぎてパンチがある一方で翡翠の降霊はややご都合主義なところが目立ってきて、今回の殺された女の子降霊したらなんかペラペラ犯行現場教えてくれるとかかなり強引だったが…(伏線)。
そして翡翠は女性連続殺人事件の犯人「透明な悪魔」を自分の力で突き止められないかと香月に相談。早くも最終展開へ。
原作になっている『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は続編『invert 城塚翡翠倒叙集』が2冊出ているが、ドラマの原作としているのはあくまで『medium 霊媒探偵城塚翡翠』となっている。『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は1冊で4編、既にここまで順調に1~3話で1~3編を描いており、残っているのは最終章だけでそのまま突入のようだがさすがに1話完結ではなくPart Ⅰとなっているので次回は続きモノになるようだ。ただ最後の事件だけPart3,4とひたすら引き延ばせるとも思えないがどうなるのか。通常原作が1冊しかないならオリジナル事件を挟むか3編全て前後編にして6話消費、最終エピソードに3~4回消費で全9回、10回という構成にしそうなものなので展開の速さは気になるところ。
4話
「透明な悪魔」を捕まえる事ができるかを香月に聞いた翡翠。翡翠は死の予感を感じており、真からも最近の翡翠の様子を聞いた香月は透明な悪魔による脅威が迫っているのではないかと考える。翡翠の霊能力では殺害現場が分からないと降霊が出来ず遺棄現場や自室では何も感じない。手がかりはほとんど得られなかった。
しかしそんな中で起きた9つ目の事件現場に鐘場警部がよく食べているフリスクが落ちていた事から部下の雨野(田中道子)は鐘場を疑いだす。当時16歳の娘が通り魔に刺殺されていた事を知った雨野はますます疑いを強めて蛯名にも相談するが…。
一方の翡翠も鐘場犯人説を突如提唱し、香月もそれに合わせての作戦を立案。鐘場を呼び出した現場には尾行してきた雨野がやってきて銃を持ち出してその気な雨野を取り押さえる鐘場。預かったフリスクを報告せずに雨野の電話を無視する蛯名…と鐘場と蛯名が繋がっているかのような描写もありつつ、移動中にSAによってソフトクリームを買っている間に翡翠がいなくなっていて香月が焦って次回「最終話」へ続く。
という事で原作通りほぼ映像化してきたこれまでと違って、今回はほぼ補強引き延ばしのオリジナル展開。ドラマオリジナルキャラである雨野が怪しむ展開を軸にして鐘場を犯人のように描きつつ蛯名も怪しかったりなんだりで結末への引きはバッチリ。全て騙されているとはどういう事なのかも含めて前フリは完全にキマったかなと。
しかしよく考えたらあのタイミングでサービスエリア内で翡翠がいない=拉致されたとするにはさすがに無理があり、散々犯人のように描かれた鐘場は雨野と絶賛廃病院跡でドタバタしてるし、蛯名も別の場所にいる事が示唆されているし、香月も驚いてるしで、犯人誰でもないんだよな…。失踪でもないんじゃないか。トイレ行っただけとか。
5話
トイレではなかったが迷子の子供を案内していただけだった。この際に香月が一旦翡翠のいない車のドアを開けて翡翠のカバンを見つめたり、何かを決めようとしている謎カットが挟まれた(最後の伏線というかフラグ)。なお香月は焦ってソフトクリームを落としてしまっていたのでもう1度買い直したらしく、その後は2人でソフトクリームを食べながら軽くいちゃつく。この際に翡翠が霊視で大切な人を亡くしているのではないか(伏線)と聞いたところ、義理の姉が強盗に襲われて死んだ、第一発見者となった香月が発見した時は息があったという過去が語られた。
その後車で移動中に香月は雨野から鐘場警部が犯人だったと連絡があり事件は解決したと翡翠に告げ、もう遅いから近くにある別荘に行こうと提案。到着した別荘は前回蛯名が去っていった建物とよく似た外見だったりしたが(そろそろ視聴者に隠す気も無い)、別荘に立ち入った途端に異変を感じる翡翠。やはり君は分かるのか…と「透明な悪魔」だった事を自白する香月。ショックを受けた様子の翡翠は助けを求めるが誰もいない。あっさり拘束した香月は殺す前に姉を降霊させてほしいとお願い。泣いていると思われた翡翠だったがよく見ると不敵に爆笑していて謎の余裕を見せ始める。
逆に香月が不敵な翡翠の様子に狼狽し始めると翡翠は降霊なんてできない、自分はインチキ霊媒師だと本性を明かす。霊媒を名乗った奇術師であり詐欺師の技法で欺いていたという。1話で職業を霊視で当てたのはマンションに投資して盗聴器をマンションのエントランスから部屋まで仕掛けていて香月と倉持の会話から職業を推察していた。これまでの事件も初見の段階で得られたヒントを元に犯人像を素早く推測。あとはそれっぽい事を霊視したり降霊したかのように見せて香月を導いていた事が1話ごとに明かされていく。また香月の動機は死んだ義理の姉にあり、自身が慌てて刺さったままのナイフを抜いた事で義姉は失血死。それが自分のせいであるのかどうか確認したくて同世代の女性相手の実験を繰り返していたサイコさんだった。
原作よりやや説明を省いたところもあり、特に2話では犯行を見抜いた手口のみの説明に留め、実際に香月を導くのに夢の話をしたくだりなどは全カット。まああれ説明されてもこの情報量だと余計ややこしくなるからな…。また3話で菜月を死なせたのは汚点としつつ、3年生が犯人と見抜いたものの当初は部長に当たりをつけていたのと真犯人の次の行動が早すぎて阻止できなかった事などやや省いていたためそんな瞬殺で3年生が犯人と分かっていたのに真犯人には気づかなかったんかい…というツッコミどころはやや残る形に。それでも菜月が降霊して犯行現場を教えてくれるというかなりご都合主義な展開に思われたあの流れが芝居だったというのは鮮やか。
真が公園で電話していた人だというのは明かされたが、4話で鐘場警部を尾行している雨野にわざとぶつかってきたっぽい怪しい女性の正体は何故か明かされず。翡翠が香月を怪しんだタイミングやきっかけもやや端折り気味だったものの、ほぼ当初から怪しんでいた事、決め手が無かったので自ら囮になった事は明かされた。原作だと翡翠は人の心理を見抜くのが特技と明言していて何気ない挙動を常に観察している事で1話で出会った時点で怪しんで次のターゲットにした事や、後輩が死んでいるのを発見した時の様子から殺人犯の疑いを抱いた(犯人への怒りしか出ていなかった、何なら自分が殺したかったのではないかと感じた)とか細かく説明していたんだけど、でも説明しすぎても長いしなぁ…。
ドラマオリジナルで現場には真も潜んでいて鐘場警部らが突入してくる前に姿を見せるとなんと一気に襲い掛かって香月を拘束する大活躍。
エンディングでは翡翠が引きこもっている中で翡翠の家に刑事3人が来ていて後日談。翡翠は元々高い考察力を買われて警察の捜査に協力していた探偵で鐘場警部や蛯名とも知らないふりしていただけでかなりの顔馴染みだったという。新人の雨野だけ翡翠の事を知らされていなかったので怒っているという流れで全部説明。
3人が帰った後に翡翠が復帰。真とやり取りしていたが翡翠のキャラは香月の前で本性を見せていた時と違って元の世間知らずのふんわりお嬢様に近い様子になっていた事、そもそも事件後にしばらく引きこもっていた事、部屋の片づけに入った際に香月と遊園地にいた時の半券が落ちていた事(真曰く「乙女かよ!)などから、余裕ぶっていたけど実はけっこう強がっていたのではないか、本当の霊媒なのかも含めて(本当に霊視で犯人を見抜いてから論理を組み立てているかもしれない)翡翠の本質は掴みにくいが素は犯行を暴いた時とは違って割と元のキャラに近いのではないかという事も示唆された。
というわけで次回からは翡翠とパートナーの真が事件に挑む続編『invert 城塚翡翠倒叙集』が始まるよ!って事で終了。
全部終わっての感想
最終章はアレンジ、引き延ばしてオリジナルにしていたが原作者監修だけあって、映像用に、さらに原作でちょっと喋らせ過ぎたところなどを抑制しつつ鮮やかにうまくまとまっていた印象。チョイチョイそこはもう少し説明入れてほしかったみたいなところはあったけど、ただでさえ多い説明長台詞なのでギリギリの取捨選択か。
他の人を露骨に怪しく見せていたものの、知っているうえで見ると実は香月もけっこうフラグ立っていたりはした。まず部屋に事件の被害者資料が思いっきり貼ってあって毎回意味ありげに見つめている…とか何気に犯人そのままだったりするし。原作では最終章までこの連続事件に関わってなくて、被害者遺族に依頼を受けたという事で鐘場警部に初めて資料をもらいに行く設定だったがドラマ版では最初から捜査協力をしているので部屋に被害者の写真が意味ありげに貼ってあっても捜査協力しているからで済むという仕掛け。
また翡翠から死の予感を言われた後の香月は思いっきり翡翠に襲い掛かる犯人視点のような想像を繰り広げていたが翡翠をターゲットにするか迷っている犯人の心理そのものであった。これも翡翠が襲われるかもしれないと心配しての妄想にすり替えるという仕掛け。瀬戸康史という配役も『ルパンの娘』や『ナギサさん』での直近の熱血いい人キャラと違うクールな瀬戸康史という単に新しい感じのイメージで来ているんだな程度でまさかサイコな犯人役とは思わない、そして及川光博は『相棒』でもあるもののサイコな犯人役も演じているだけに犯人役でもおかしくない、3話から登場の須賀健太もなんかそれだけで終わりそうにないとか近年は主演級の小芝風花がこんな出番が少ないアシスタント役で終わるものなのか…とかキャスティングも仕掛けになっていたかなと思う。
invert 城塚翡翠 倒叙集
という事で翌週からはタイトルを変更して再度カウントも1話に戻して新番組としてスタート。続編『invert 城塚翡翠倒叙集』が原作。殺人鬼だった香月は捕まったので瀬戸康史のみ退場、翡翠、真、鐘場ら刑事3名は続投している。
今作では『倒叙集』とあるようにゲストが犯人で最初に犯行を行う様子が描かれ、ゲストが犯人とにらんで接触した翡翠が真の協力を得てトリックを暴いていくというスタイル。原作者本人が『古畑任三郎』への憧れを語っているように『古畑任三郎』方式となっていて、トリックを暴いた後の台詞など『古畑任三郎』オマージュらしき演出も加えられている。
1話
IT社長の吉田(長田成哉)は同社エンジニアの狛木(伊藤淳史)の手掛けたプロジェクトを他社に自分名義で売り出そうとしたことで狛木の積年の怒りが爆発。事故に見せかけて吉田を殺害。風呂場で転んで溺死したと見せかけるというトリックの都合上、吉田は出てきた途端に殺された挙句に全裸でケツを晒しながら浴槽に上半身沈んでいるという哀れな姿に…。
そんな柏木の前に天使のようなかわいさの隣人が引っ越してくる。隣人城塚翡翠にすっかり骨抜きにされてしまった柏木だったが、翡翠は霊能力があり、吉田の霊を見たと聞かされ、自分が犯人なのに捜査に協力してしまう慌てデレデレっぷを見せる。翡翠の叔父が刑事で翡翠の進言で事故だった事件が他殺の可能性で再捜査が始まったと聞かされ焦りつつもアリバイ工作には自信があった柏木は焦りながらも翡翠との日々に浮かれるいという綱渡りライフを送る。
この間に翡翠はトリックを暴いており、最後は香月の時のように豹変した翡翠に見事に犯行を暴かれてTHE END。
トリック自体も大した事は無く『古畑任三郎』ほどの事件の面白さは無かったものの、今回はもう最初から翡翠がぶりっ子しているのがあからさまになっている上に、香月と接していた時ほど暗くない事もあってコイツやってんなという視点で見るアザトカワイイ感じが絶妙。
真も前作ではきちんとした感じだったが、本来は変なTシャツでけっこうガサツなところもある感じで、翡翠の事も名前呼び捨て。冒頭ではアイスを黙って食べて隠蔽しようとして暴かれたり、プリン食べられて本気で殴りかかりにいったり、予告でも出ていた炭酸悪戯を喰らって翡翠をはたいたりと人間味が出ていて面白くなっていた。ただ肝心の事件捜査にはあまり関わってなくて、柏木が常連になっていた喫茶店の店員役として潜入して前作の時のきちんとしたスタイルを見せているという意味があったんだかなかったんだか良く分からない出番しか無かったのは惜しい。
鐘場と翡翠の会話から透明な悪魔事件から半年ほど経過している事、警部補に降格したが捜査一課に戻れたことが語られ、さらに警察にいいように使われているのではないか、復帰できたのもその事と関係があるのかと鐘場が問う意味深なシーンも。翡翠と警察の関係は原作でも明らかになってないらしいが、描かれていない設定までドラマサイドに提出していると原作者が語っているので設定自体はあると思われるが、原作でも全部明かされていないこの辺りの話がドラマでちゃんと明らかになる事は無さそうか(それより残しておいて2期狙い?)。
また柏木には叔父が刑事と言い放ち、鐘場がそれに当たるような感じになっていたが実際どうなのかも当然不明。ただ真同様に鐘場も前作と違って翡翠の事を名前で呼び捨てにしていたので、本当に叔父でもおかしくなかったりはする(前作では香月を通して初めて会った事にしていたので「霊媒娘」と呼んでいた)。
いずれにせよ事件というよりキャラクターモノとしてまた別の面白さが出てきたなという印象。
特別編
再スタートしたばかりなのにまさかの総集編。この日はサッカーW杯日本戦(VSコスタリカ)で、放送時間としては試合終了後ではあったが、盛り上がり冷めやらぬ中では在宅率も悪く、視聴率が見込めないと判断したのだろうか。
内容は『霊媒探偵・城塚翡翠』全5話のナレーションベースでのダイジェスト。事件ごとの合間に、次回『invert 城塚翡翠 倒叙集』2話の潜入捜査の途中(翡翠が学校の仕事をしている事を示唆)に真に聞かれて改めて「透明な悪魔」が香月だといつ頃から疑っていたのかやその概要を翡翠が語る、途中から鐘場もやってきて語る…という内容。
新たに収録された翡翠、真と鐘場合流後の3人のやり取りは楽しかったものの、大半のダイジェスト部分は外部ナレーションによる進行な上に事件ごとにしか現在のシーンが挟まれないため、翡翠が改めてこの時はこうだったとリアルタイムで説明するのではなく、ましてや香月が騙されていた過程を別角度から見られるような高度な内容ではなく、総集編は総集編でしか無かったのは残念。
香月の車が被害者誘拐にもそのまま使用されていたことが実は思いっきり映り込んでいたり、一応全く触れられていなかったが意味深だった被害者女性たちの化粧品が同じブランドというのは隠された伏線として明かされはした。ここは特に自信があったのか、2話でこのメーカー勤めの新谷(筧美和子)が最近顧客情報流出で騒がせてしまったと発言、4話で化粧品が同じ事に気づいた翡翠にすっとぼけた反応をする香月、香月のPCにその顧客リストらしきものが映り込んでいてSNSを駆使して被害者を選定していたことなど繋がるように説明。さらに7件目までしか資料渡してないのに9件目までの情報を香月が眺めていた…なんてのも。
とはいえ端折られた部分は多く、4話で鐘場を尾行していた雨野にわざとぶつかってきたっぽい怪しい女性の正体は今回も明かされないどころか触れられもしなかったりと、なんか伏線回収言い過ぎてあまり回収してない感じがしてしまったのは仕方ないか。
2話
小学校教師の末崎(星野真里)は元用務員で盗撮魔の田草(寺井義貴)に何らかの脅し(時間が無いので詳細語られなかったが盗撮された映像をネタに脅されていたと示唆)を受けており、密会していた夜の小学校で殺害。窃盗に入って警報機が鳴って慌てて逃げて落ちて死んだことにしてごまかす(衝動ではなく計画殺人だがそんなムチャな…警察もそんな馬鹿じゃないと思ったらしっかり騙されて事故死扱いにしていて馬鹿だっ)。
警視庁に別件で訪れた際に事件のことを聞いたという翡翠は捜査担当ではない鐘場に頼んで真と共に事件現場の検証に訪れ、殺人事件と判断。スクールカウンセラー白井奈々子を名乗って潜入。あざとぶりっ子連発して末崎をイラつかせながらも鋭さを見せて犯人だと揺さぶりをかけていく。末崎視点だと白井奈々子こと翡翠のあざとぶりっ子にイライラ、しかし妙に鋭く児童の様子を察する気配りは確かであっさり人気を得る様子は素直に評価しつつもなんか事件の核心にグイグイ迫ってくる様子にイライラ、さらに途中からは完全に犯人と疑ってかかってくる様子にイライラ…とほぼ終始イライラハラハラしっぱなしというストレスフルな状況。
見ている方としては分かっててやっている翡翠のぶりっ子連発は単純にかわいいし、真とのやり取りも楽しいしで、面白かったけど、犯人にしてみればこれやられれたらキッツイな…。翡翠にデレデレ幸せ気分も味わえた前話の犯人はデレハラだったけど今回はイラハラでストレスしかない。
犯行を暴く際には翡翠も涙しながらそれでも殺人はダメだと力説するなど情のあるところも見せていて、ただ犯人追い込んで楽しんでいるだけの人ではない事も存分に提示。以前から真面目モードの時の真が心配そうな視線を投げたりしていたが、翡翠の内面も描かれているところはどうなっていくのか興味深い。といっても最短残り2つ、単行本全部映像化して残り3つしかないけど、現時点で最終回放送日未定のまま(25日か18日か判明していない)。
今回気になったのは翡翠が揺さぶるためにわざわざ学校の敷地内で末崎に目撃されるように刑事の女性と話していたシーンが2度出てきて2回とも刑事が後ろ姿だけ。これは明確に真ではなく、しかもなんだかどこかで聞き覚えのある声。既に一部で指摘されているようにエンディング映像でキャストクレジットが流れた後は高速で大量のスタッフ群が表示されていくんだけど、その中の最後に「協力者:若月佑美」という表記が出る。読ませる気の無い速度で消えてしまうので一瞬なんだけど確かにある。毎回ではなくこれまでも何度か「協力者:若月佑美」の表記があったりなかったりしたらしい。
若月佑美といえば元乃木坂46の人であり、今回台詞があった声の感じは言われてみればあの若月佑美っぽいし、後ろ姿も言われてみれば若月佑美だ。本人サイドからは何の告知もしていないので最終回で明かす算段なのかな。
3話
豪雨で車が動けなくなり、近くの別荘に助けを求めた翡翠と真。そこには女性を殺害してしまったばかりの高校生夏木蒼汰(福崎那由他)がいた。助けないわけにもいかず別荘に招き入れるも挙動不審連発で翡翠の誘惑もあってしどろもどろな蒼汰。翡翠はぶりっ子誘惑を繰り返しながらも徐々に真相に迫っていき…。
冒頭でナイフを持って絶望している夏木が映し出され、夏木自身も自分が殺したと思い込んでいたが実際には女性を殺したのは夫で、その夫はずっと隠れてタイミングを待っていた。翡翠と真が死体を発見して夏木が言い逃れできない状況になるとすかさず手をガムテープで縛られた状態で夫が飛び出してきたが既に見破られていてあっさり確保。
実際には夏木は家出少年でこの別荘に不法侵入。しかし女性に見つかってもみ合いになった際に頭を打って気絶。女性の夫は妻を自殺に見せかけ殺害する計画で別荘に遅れてやってきたところ、その現場に遭遇。咄嗟に計画を変更して妻を刺殺。気絶した夏木にナイフを持たせて夏木が自分で殺してしまったと思い込むように仕向けるつもりが、直後に翡翠と真が来てしまったので隠れているしかなかったという。
というわけで夏木は不法侵入や取り調べはあるために連れていかれはしたものの前向きにおしまい。なお原作だと友人の別荘という設定があったようだが、ドラマではただの訳あり家出少年(学校でイジメに合っている事を示唆)が別荘に不法侵入してしばらく潜伏していたような事しか説明されなかった。
翡翠と真の掛け合いは今回も絶好調だったが、翡翠が妹がいると発言したのは嘘だったと本人談。しかし真の前職が探偵だったというのは、咄嗟に真が翡翠に合わせた嘘だったのか謎のまま。また鐘場と雨野の会話で翡翠は昔から天気に恵まれないなどとまた翡翠の昔話をしたので雨野がいつからの付き合いのか聞くとダンマリでこれも謎のまま。
4話
元刑事でリサーチ会社社長の雲野(杉本哲太)は警察上層部の弱みを握る黒い一面があったが黒い部分を告発しようとした部下曽根本(鈴之助)を自殺に見せかけて殺害。元警察らしい証拠を一切残さないやり方だったが弱みを握られている上層部としては犯人であってくれたほうがありがたいという理由で鐘場経由で翡翠に捜査依頼が来る。翡翠が警視庁上層部に鐘場の現場復帰をお願いする代わりに事件解決を引き受けているのは本当だったらしい。
殺害当時、ふたご座流星群を見るために外を見ていた向かいの家の住人涼見梓(若月佑美)が拳銃を持った人を見た気がするという事で目撃者として登場。あやふやな証言だったが、翡翠はリモートで真を翡翠に仕立てて変装させ、雨野・蛯名に同行させて探りを入れる。しかし巧みにかわされてしまった挙句に最後には翡翠では無い事を疑われてしまう。後に再開した際には真の事も調べ上げていて優秀な探偵だったというのは本当だったらしい。
雲野は梓にも接触。殺すような事はしないだろうと翡翠は踏んでいたが、真の助言でやりかねないと考え直して慌てて現場へ急行。梓は殺されていなかったがすっかり懐柔されており、翡翠の正体も知られてしまう。雲野が警視庁で講義をした際にセーラー姿の翡翠が鐘場の部下と来ていたのを見た事があるという。鐘場と翡翠の関係、翡翠が何故そこまで事件解決にこだわるのか、真は知ろうとするが翡翠は教えない。
翡翠は自ら反撃に出ようとするが…。その頃、収監されている香月こと鶴丘文樹(瀬戸康史)は梓?翡翠?が雲野に銃殺される謎の夢を見て飛び起きていた…。
という事で原作が映像再現不可なのでだいぶ話を変更したらしく、雲野がラスボス級の強敵になったり、まさかの香月再登場(友情出演扱い)。果たしてどうひっくり返すのかというのと、翡翠の過去の謎はどこまで明かしてくれるのかも気になるところ。
まあ「協力者:若月佑美」が目撃者涼見梓として初めて顔出し登場、翡翠と初対面を装っている時点で仕掛けになっているのは確かだが、雲野は家の中に誰かいる気配を感じたと言っているし、奥にいるのが本物で「協力者:若月佑美」が涼見梓のフリをしているのも確かだろうから面白くなりそう。
5話
雲野と梓が付き合い始めてしまい、目撃者の証言を得るのはますます困難になっていく。すっかりどや顔な雲野は揺さぶりをかけてくる翡翠や鐘場にも余裕の態度を見せており、翡翠は決め手が得られず苦心している様子で真もその様子を心配していた。
そんな中、定期的に翡翠が香月こと鶴丘と面会していた事が判明。香月が翡翠と話すことを条件に自身が起こした事件の遺体遺棄現場を1つずつ明かすという事で上層部からの依頼で引き受けているらしい。なんかあの言い方だと作中で発見されていた死体以外に見つかってない余罪・遺棄現場がまだいくつもあるって事なのか…?
新聞で雲野の会社の社員が殺害された事を知っていた鶴丘は雲野に以前会った事があり、奴は殺人犯だと直感を告げる。さらに翡翠が殺される夢を見たと警告して「僕の直感は絶対だ」とかかつて翡翠に騙された台詞でキメてきたり(殺されそうになったのは本当なので間違ってはいない)、 「まともじゃないのは君も一緒だろ」 とか真顔でギャグをかましてくるのでちょっとビックリ(2021年に清原果耶が主演した映画のタイトルが『まともじゃないのは君も一緒』)。
真との会話でいつもの解決宣言をしつつ、真の前からは姿を消して1人で準備を開始した翡翠。梓は翡翠から記憶をハッキリさせる方法を聞いたとしてそれを試すのでと雲野とのデートの後に自宅に誘う。雲野は思い出すなら殺し時だと決断して銃を持参。案の定何かを思い出してビックリ顔の梓に殺害を決める雲野だったがそこに翡翠が登場。雲野の妻の形見の腕時計を奪い去り、これが証拠になるはずだと突き付けるが雲野は警察に圧力をかけていて警察が付近にいない事、真も付近にいないだろう事を翡翠の表情から読み取り、翡翠をあっさり銃殺すると逃げ出した梓も追い詰めて銃殺する。
しかし銃殺現場の窓に何故か事件現場と同じ干してある靴下を発見。軽いホラー現象に雲野が動揺すると、今度は殺したはずの梓が高笑いし始めるという完全に世にも奇妙な世界に迷い込んだ怪現象に戦慄。銃を撃つが弾が出ないというますますの怪現象に動揺しまくっていると翡翠が弾は既に抜いてあったと悠々と登場。事前に弾を抜いていたのは雲野とデートしていた岩戸さん(本名不詳で「岩戸」も偽名)(=翡翠の協力者)だという。鐘場、蛯名、雨野も駆けつけて確保。
梓は梓ではなかった。目撃者になっているかもしれない近所の住人(本物の梓)を探し当てたのは真だったが顔は見ておらず、翡翠が最初に根回しして海外旅行をプレゼント。本物梓はろくに覚えてなくて証言は期待できなかったので岩戸が入れ替わって梓のフリしてかき回していたという。結局、偽梓と翡翠を殺そうと拳銃を持ち出した事、そもそも4話で真が翡翠に化けた時に事件情報をうっかり話してしまったと見せかけた際の雨野・蛯名の驚き顔は「捜査情報を勝手に喋った」事に驚いたのではなく「目撃者がいるなんて警察は掴んでなくて初めて聞いて驚いた(蛯名)・何言ってんのか分からなかった(雨野)」というものだった。それを雲野はどや顔で警察上層部から情報をリークしてもらったとか言っていたので知るはずがない話だったとのこと。
翡翠を殺そうとした時点で既に認めていたものの、雲野はこの時点ですっかり罪を認め、亡き妻は今の自分を見て何と言うか…だとか妻が死んでから自暴自棄になっていてどこかでこうなる事を望んでいたのではないかとも言及され、ラスボスらしい風格はすっかり失われて神妙にお縄についていった。なお推理の途中で岩戸さんは役目を終えて逃亡してしまいそれっきり。
帰宅後、心配していた真は何も知らされていなかったので激怒。翡翠にスリの技術を教えてくれた詐欺師だという岩戸さんの事も知らなかったらしく、改めて何も知らされていない事に憤慨。岩戸さんは『霊媒探偵・城塚翡翠』1話で相談者のおばあさんの付き添いに来ていた女性(つまり霊能相談を受けているように見せかけるためのサクラだった)、4話で鐘場を疑って尾行していた雨野にぶつかって邪魔をした女性、2話で翡翠に報告していた後ろ姿だけの女性警官と顔がハッキリ映っていなかった女性が別角度映像で映し出されて岩戸さんだった事が改めて明かされた。前回と今回は顔出し堂々の登場だったのでキャストクレジットで「若月佑美」が流れたが、今までは隠していたのでスタッフクレジットの末尾に「協力者:若月佑美」だった伏線を回収。
しおらしく謝る翡翠にいつか何故事件を追うのか翡翠の事をもっと教えてと答える真、いつか必ずと約束して気を取り直してクリスマスケーキを食べようとしたところ、天然ですっころんだ翡翠がケーキを吹っ飛ばしてしまい笑い合う2人で終了。
翡翠が梓、真が翡翠のフリをするという小説なので成立したトリックが映像では使えない。そこで新たに岩戸さんを協力者として用意したり、鶴丘再登場など改変要素が多かった今回だが原作者自らの脚本と言う事で自ら改変したという事のようで、うまくハマっていた。ただこの展開になったために前回こそ真が翡翠に成りすますのを始めとしてコンビでの活躍が目立ったものの、5話になるとあっという間に真が蚊帳の外で事件解決の場にもいないっていう残念な扱いになってしまった。鶴丘確保の時は原作と違って現場に潜んでて鶴丘を取り押さえる活躍があったのに…。
ただいずれにせよアラ還のおじさんが20代の若い子と事件きっかけで知り合ってそのままイケオジっぷりで惹かせて交際に発展させるという雲野はこんなスイスイと若い子をその気にさせられた事を不審に思わないといかんわな。これは正直雲野がイケオジを自認していて相当自信が無いと出来ない行動だ。梓がすっかり好意を寄せているっぽいと判断してどや顔だったところ含めて騙されていたわけなのでこれはかなり恥ずかしい熟年の悲哀でもあった。デート風景がパパ活にしか見えねって。
全部終わっての感想
本性を見せたのでだいぶキャラ変しての新展開となったが、こっちはこっちで面白かった。ぶりっ子な翡翠はイラつくだけの人も多いのかもしれないが、それでも本当の内面やバックボーンが明かされておらず、過去に何かあっての信念で行動しているのは示されていた。また天然とわざとが絡んだバランスも絶妙で真とのやり取りも楽しかったので、全体通して翡翠は魅力的なキャラクターだったと思う。清原果耶は朝ドラでも物静かな綺麗な人くらいの印象しかなかったけど、翡翠役は大当たりだった。小芝風花は『妖怪シェアハウス』から一転して年相応の大人っぽさで違う魅力を見せていただけでもうひとつパートナーとしての出番が増えなかったのは惜しい。「協力者:若月佑美」は最後の大仕掛けと言う事でおいしいところを持っていくも、ありがちなエンディングでの総括トーク時に一緒にいて騒ぐ(『コンフィデンスマンJP』のエンディングでよくやる手法)なんてこともせずに、真相説明中にあっさり姿を消してしまうというあっさりした引き際が逆に気になって見事な存在感。
結局匂わせていた翡翠の過去、翡翠と鐘場の関係(鐘場の娘が殺された事との関係)、警視庁上層部との関係、その辺り聞かされていないが友人関係はそれなりに築いている真との関係、真の過去(かなり優秀な探偵だった事は雲野の調査で正式に判明。しかし推理力はからっきしなので調査能力や変装能力が優秀だったと思われるが翡翠に「弱みを握られて雇われた」経緯も謎))などキャラクターの謎は不明のまま。原作は既に1本分しかストックが無いのですぐには無理そうだが、続編は見たい。
ただ原作者の介入で当初の脚本家が降板しただの、原作者が一部完全に脚本を手掛けた回があったりと原作の要素を大事にしようとするあまりに制作が遅れる事態になっていたのは確かっぽく、最終回直前になってクランクアップが報道された事からも途中で特別編を挟んだのはマジで撮影が遅れすぎて間に合わなくなったのをW杯日本戦にかこつけた可能性も高い。結果的に原作の要素を崩さずに素晴らしい仕上がりになったとは思うんだけど、現場や制作サイドがどうなっていたのかは分からないし、数字もあまり良くなかった見たいのでこれっきりになってしまうかもしれない。せめてSP1本だけでもなぁ…。
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