舞いあがれ! 全26週126話

NHK「連続テレビ小説」2022年度後期2022年10月3日~2023年3月31日。主演は福原遥。

近年福原遥に注目していた事やヒロインの年齢が学年1個下設定(1986年生まれ)の同世代である事などもあって朝ドラはいつも部分的に流し見しているもののちゃんと見ようという事で録画しながら見た。2023年年明けの父親(高橋克典)他局での総理転職急死以降再建までのくだりはしんどくなってきたのであらすじのみで一時離脱したがほぼほぼ最後まで見届けた。

序盤1994年(小3)の子役浅田芭路が演じていた頃のエピソードは繊細な心情を丁寧に描いていて非常に好感触だった。この前まで周辺が配慮無くズケズケ踏み込んで突き進んでいくタイプの無神経極まる主人公で毎朝反省会タグが盛り上がるほどだったのも重なってか、より丁寧に感じられた。

福原遥、 赤楚衛二、山下美月ら主要メンバーが登場すると2004年18歳大学生へと一気に飛んで、人力飛行機のエピソードへ移行(なにわバードマン)。当初は飛行機を作る方に興味があったため入部したものの、パイロットをやる事になりパイロットに魅せられて方針転換。夢のため大学2年で中退して航空学校へ入学。

この航空学校編は4週に渡って展開。この後も脚本は1週間交代するなんてことはあったが、航空学校編のみはメインライター桑原亮子がノータッチで別の脚本家だったためか作風が随分変わった。当初の違和感にも慣れてさあいよいよパイロットへ就職…というタイミングがいわゆるリーマンショックと言われる大不況2008年。内定切りが当たり前の世の中となり、個人的にも運命が大きく変わった混迷の2年間だっただけにそのタイミングに合わせての父が総理転職急死し、夢をあきらめて実家の工場再建に人生を捧げる決断をするくだりはしんどいものがあった。

以降は延々と工場を巡る物語のみが展開。序盤の五島、なにわバードマン、航空学校編と何かしら外へ出て行く場面が今までは多かったのに、ここからはお決まりのセット、セット、またセット…と撮影所内でほぼ完結しているような話に終始してしまった。これまでの展開何だったの…という夢をあきらめてからも人生は続く的な話が延々続く割には意外とぬる~くサクセスが続いたりとイマイチ舞い上がりきれない中で終盤ようやく動き出す。

まず大学時代の仲間との再会、それぞれ積み上げてきた仕事が繋がって、空飛ぶ飛行機の開発の話になるも既に残り1週間。ラスト1週間で新コロマスク世界へ突入すると、「会いたい人に会えない」ネタをやるためにこの終盤で夫の赤楚衛二が海外で行ってロックダウンで帰れなくなる展開、感染対策を徹底したので(顔温度計と消毒液というお気持ち表明アイテム傑作選みたいなのを設置しただけ)開発を再開します!宣言などドタバタ。ついにはラスト2回となってしまい、ここで一気に2027年へ吹っ飛ばし。

『おかえりモネ』以降続いているとりあえずもっと未来へ吹っ飛ばせばマスク世界は終わっているだろうという未来への決断丸投げをぶちかますと、空飛ぶ飛行機のパイロットとなった福原遥が五島の空を飛び、舞い上がってそのまま終了(着陸も無しで飛んだまま終わり)。

綺麗にはまとまったが、なんかペース配分がおかしくなかったか。航空学校に4週間もかけたのにあきらめてしまい空飛ぶ飛行機の展開に移行したのがラスト2週間。既に20年以上のブランクがあるパイロットとしての舞(福原遥)が復帰・復活に至る流れは全く描かれずに飛ばされてしまった。当初より結末は示唆されていて航空学校編も無駄にはならないとは制作側が宣言していたとはいえいや経験としては無駄になってなくて活きたけどドラマとしては4週間も浪費して無駄だったでしょこれじゃ…。積み重ねてきた経験やめぐりあわせによってあきらめたパイロットの夢が新開発の空飛ぶ車の開発が進む中、当然テスト飛行するためのパイロットとして舞がその役目を担う事になったはずで、恐らく描かれなかった2021~2022年の段階でテストパイロットとして「もう1度空を飛ぶ」という場面になっていたはず。この段階で既にアラフォー突入で、2027年では41歳。青春時代にとっくにあきらめてもう目指してもいなかった夢にもう1度挑むことが出来て齢41にして叶えられたという再起する中年ってそれはそれでテーマ性があったと思うんだけど肝心なもう1度夢に向かう過程を全飛ばしは残念だった。

とはいえ、福原遥のいい子なイメージが損なわれる事無く、嫌われるヒロイン増では無かった事もあって全体にはいい内容だった。

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