仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド

2024年2月2日期間限定劇場先行上映
2024年5月29日Blu-ray/DVD発売

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2003年(1月26日~2004年1月18日)放送の平成仮面ライダーシリーズの第4作『仮面ライダー555』の20周年記念の続編。放送中にパラレルワールドの映画版『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』があり、似たようなタイトルになっているが今回は映画版ではなくTVシリーズの20年後を描いた続編となっている。またこの間に他のライダーシリーズへのゲスト出演やオールスター的な映画に主に巧(半田健人)や草加(村上幸平)、海堂(唐橋充)らが出演してTVシリーズのその後を描いた事もあったが全てパラレル的扱いとなっていて今作とは繋がりが無く、TVシリーズの初の正当な続編として制作された模様。

TVシリーズ最終回まで生き残った面々のうち巧(半田健人)、真理(芳賀優里亜)、海堂(唐橋充)が継続して出演。さらに死んだはずの草加(村上幸平)、北崎(藤田玲)も同じ役で再登場。

巧、真理、そして最終的に海堂の生活拠点となったであろうクリーニング店「西洋洗濯舗 菊池」店主である菊池啓太郎(溝呂木賢)は撮影に入る前年2022年末に溝呂木賢が俳優引退してしまったため出れなくなり、作中では海外に旅に出たと説明され、啓太郎の代役のようなほぼ同じキャラクターで甥の条太郎(浅川大治)が新登場した。

木場勇治(泉政行)は最終回で全員が死を直接目撃している事と、泉政行が2015年に急逝しているため出演していない。また生き残ったはずのデルタの変身者である三原が不在な理由は特に言及されず、いつの間にかデルタギアも新キャラのヒサオ(柳川るい)所有となっている。元々巻き込まれて戦っていただけで戦闘センスにも乏しかったので戦いが終わってデルタベルトは置いて新たな人生へと旅立ってしまったのだろうか。

スマートブレインが政府と結託してオルフェノクを発見次第駆除する方針を取っており、一般市民向けにも発見次第即通報できる仕組みをCMで流すほど徹底してオルフェノクを駆逐するという世界観に変貌している。本編最終回で社長も前社長(村上)も前々社長(花形)も全員行方不明になっており(全員死亡)、会社が畳まれているような描写もあったので、そのまま政府主導のオルフェノク滅亡機関として傀儡化したのかもしれない。ドラゴンオルフェノクとして暴れていたはずの北崎はスマートブレイン社長になっており、胡桃玲菜(福田ルミカ)は北崎の指示の下で出動して新タイプの仮面ライダーミューズに変身してオルフェノクを駆除していた。

海堂は「西洋洗濯舗 菊池」側に残っていたようで2号店を勝手にラーメン屋にリニューアル、若手オルフェノクを雇って匿い普通の人間として過ごさせていた。その中の1人であるヒサオ(柳川るい)がデルタギアを受け継いでいた。巧は死期を悟って姿を消し、代わりに何故か死んだと思われた草加が戻ってきて現在は真理・条太郎・草加で「西洋洗濯舗 菊池」をやりながら、オルフェノクの保護活動を有志で行っているような状態。本編から始まった激動の人生を生きていたためか、真理は美容師になる夢をあきらめてしまった様子。草加はカイザギアを持って帰還しておりカイザに変身可能。カイザ・デルタが仲間側に揃った状態。

そんな中、ヒサオが新たなターゲットに選ばれて襲撃され、仲間達との混戦になる中で死んだはずの巧が登場。スマートフォン型のネクストファイズに変身すると仲間達を襲撃し始める。驚く一行。ドサクサでヒサオが殺害されてしまい、巧が裏切ったとざわつく仲間達だったが…。死期を悟って自暴自棄となり真理の元を離れた巧は北崎に回収されて普段は延命装置の中で眠りながらミューズのサポートを時折やっていた。玲菜は巧を慕っていたが、巧の様子から真理に嫉妬し、真理の中のオルフェノク細胞を活性化させてオルフェノクとして覚醒させてしまう。オルフェノクとなり絶望する真理と再会した巧は再度支え合って生きていく事を決め反旗を翻す…。

と、20年経っても相変わらずどこか重く暗い作風。スマートフォンで現代化・ハイテク化したネクストファイズがどうにも馴染まなない…というのは制作側も共通だったのか最後には保管されていた旧型が登場して旧型で締めというのは熱かったが、物語は含みを持たせたまま終わってしまい果たしてどうなるのか…。この展開は必要だったのかというと微妙に思うし、65分しか無いので説明不足も目立つ。続きが作れるなら意味も生まれてくるだろうけど、これっきりっぽいし、だとすればこれはなんだったのか。

ネクストファイズのアクセルフォームは2回も出てくるが、表現が一新されて漆黒の異空間を形成して異空間内で高速で動き回るみたいな演出になってしまったのは個人的に残念だった。これだと何やっているのかさっぱり分からない。周囲がスローになっているのを高速で動き回るというのを今の技術で見たかったのに。またミューズが行動予測機能をフル活用しているのに対してネクストファイズが一切使用しないので機能差があるのかと思ったら設定上同じ事が可能となっているらしく、単に使っていないだけ(馴染まないから?)だったらしい。旧型にあったのと同じ機能しか使わず高機能を活用しない新型と慣れてフル活用した旧型という使い方の差が旧型で無双できた理由なのか。

草加、北崎の生存の理由は説明されるが、まさかのアンドロイド設定。真理たちが生きていたとあっさり受け入れたのは草加が木場に殺されたところは誰も目撃しておらず、巧と三原が駆け付けた時は灰化していて死体も見つからず状況から2人は死を確信し、仲間達にもそれが伝えられたという形だったので「死んだと思ったけど実は生きてた」は巧と三原不在ならますます不自然ではない。今作での”綺麗な草加”を演じているようなわざとらしい草加像はいかにもアンドロイド的だが、真理たちが本編で見ていた草加は本性を隠した”綺麗な草加”である場面が大半だったし(終盤はだいぶ真理たちの前でも我を出しまくってて怪しかったが)、、20年も経てば不自然ではないのだろう。ただカイザギアが木場に奪われ、王との最終決戦でカイザギアが一撃で破壊されて木場の致命傷になったのは仲間たち全員が目撃していたわけで草加がカイザギアを平然と持って帰還したのは誰も怪しいと思わなかったのだろうか。

当時の北崎(藤田玲)は中の人が真理以下の最年少の少年だったので成長で容姿が変わりすぎていて同一人物に見えない。作中でも幾度となく苦しめられたドラゴンオルフェノクに変身する少年=現社長の北崎というのを巧、真理、海堂が認識しているのか明確に描かれていない。一応本編での北崎の最後は巧と三原の猛攻でトドメを刺されかけるも逃亡、この巧と三原による逃亡目撃が最後。実際には逃亡直後に王に捕食されて死亡、目撃者はラッキークローバー仲間の琢磨(山崎潤)1人で、恐らく情報共有も影山冴子(和香)辺りにまでしかされていなかったと思うので、北崎が王に喰われて死んでいた事を巧、真理、海堂は知らない(最終決戦に来てないんだけど気まぐれっぽい性格だったのでいなくても気にされない)。矛盾はないが、北崎をこんな使い方にしたのは、正直当時レギュラー陣で若くて今もそこそこ活躍している役者さんだったので適任だったという以上の意味はあまり感じなかったりも。あまりに別人だし、北崎を使う理由もあまり無い。

そして正直なところ巧(半田健人)、真理(芳賀優里亜)は年取ったなぁ。20年も経つと一般人としては年相応ではあるけど、この2人は特に10代で若さ全開だったのもあるが、一線級の若々しさを保っている同世代の俳優陣と比べるとかなり年上に見える。芳賀優里亜だけがもし続編やるなら数年以内にお願いしたいような事を主張していたが、それも納得。半田健人は昭和な生き方を体現しているせいか、老け方が7,80年代そのもの。7,80年代の映像を見ると4,50代くらいに見える人たちが実は30代どころか20代だったりもするが、まさにあの感じである。どういうわけか声変わりまでして渋くなっているが、生き方ってここまで影響するものなのかと改めて思った。

★★★☆☆

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