18th 夏の記憶

ZAIN後期( 2001-2002)

18th 夏の記憶

B00005HYQ9
01年5月30日
前作より3ヶ月だが、決算期で何か色々あったのか、Beat reC消滅に伴い古巣ZAINへの出戻り移籍&それに伴いthe FILED OF VIEWへの改名第1弾シングル。移籍した頃はまだ先輩グループもたくさんいたが4年経って戻ってきたらもうほとんどいなくなっていたというウラシマ状態

今作より3曲目に表題曲の別バージョンが追加される仕様となり、2曲+表題曲別Ver.+カラオケという4トラック仕様で統一された。
改名に伴いビジュアル面でも大きく変化があり、浅岡・小橋が大きく髪形と色を変えていてファンを驚かせた。対して小田・新津は変わってない。またジャケット自体も陰鬱なものでこれまでのイメージを覆すものだった。

前作「Truth of Love」の時点で既に売上を落として1万を割り込んでいたが、今作はほぼそのままスライドした形で順位・売上共に前作とほぼ同じだった。

夏の記憶

作詞:小田佳奈子、作曲:猪島庄司、編曲:新津健二&池田大介
(突如違う語り口調)これねー当初期待してたんすよホントに。確か改名発表と今作リリース発表でまずタイトル「夏の記憶」がドーンと出て、ジャケットとかアーティスト写真は後からだったと思うんだけど、「夏の記憶」、初夏のとても爽やかな曲を期待するしかないじゃないですか。ファンサイトの掲示板とかもそんな空気で新たなるthe FILED OF VIEWに期待してたんすよ。the?theについてですか?いや正直theってなんだよとは思いましたよ。THE YELLOW MONKEYも活動休止したばかりだったし、theがつくグループとかなんかもう前世紀(20世紀)のセンスじゃね?ってとこありましたからね21世紀。今っすか?今theつけるんすか?theって(笑) でまあその後ジャケ写が出て…え!?と思いましたよ。暗ッ!って。で恐る恐るCD再生してみたら最初から最後まで陰鬱で暗い。最早バンドでもない。なんで新津氏単独でいきなり編曲に参加してんの?いやぁ衝撃でした。どうしてこうなったのか。戸惑いでしかなかったですね。

という事で過去にない語り調で始めさせてもらったが、それくらい全く予想しない暗~いのが来てマジ驚いた。アコースティックギターと打ち込みを駆使した超どんよりした陰鬱な空気を放ったアダルトな雰囲気でじっとりとした暗さもある。これは「夏の記憶」ではなく「梅雨の記憶」なのではないか。「梅雨の記憶」だと最初に発表されていればあそこまで衝撃は受けなかったのではないか。いやもう「梅雨の記憶」で良くない?

移籍はしたが前作に続いて唐突な1回限りの新作曲家起用といい、新津氏の単独アレンジ参加といい、明らかに制作方針が大きく変わっていたのは確かだが、しかし次回作も含めてどこから曲を集めてきていたんだろうか。ビーイングが経営していた音楽スクールの生徒の課題からピックアップしてこれで貴方も作家デビュー!みたいな感じだったのだろうか。

演奏しているPVも最早撮りようがないないためか、今作でも「冬のバラード」や「秋風のモノクローム」のように4人が立ってるだけなどイメージシーンのみでフルで持たせているが、終盤では真顔で並んで立っているメンバー4人が全員歌唱しているという謎すぎるカットも…。

とにかく今作はなにもかも衝撃で、FOVはC/Wやアルバムでも期待外れの曲はほとんどなかったと思っていたが、初めてハズレだと正直思った。聞き込めばそれなりに味は出てくるものの…FOVじゃなかったら好んで聞かなかったし、今でも順番に聞くとき以外はわざわざ今作だけ選んで聞くことはない…。ただ前述のようにじめじめした梅雨の夜に聞くと何だかとても空気にハマる。ただしジメジメ度は増すのでハマり過ぎには注意だ。
★★★☆☆
3rdベスト『Memorial BEST~Gift of Melodies~

夏の記憶
The FIELD OF VIEW
2002/10/09 ¥255

C/W きこえるかい

作詞:浅岡雄也、作曲:浅岡雄也&小田孝、編曲:the FIELD OF VIEW&池田大介
従来の自作体制だが、何気にtFOVでの浅岡作詞はこれが唯一であり、解散前最後の浅岡作詞となった。「夏の記憶」よりはバンド風になっているものの、暗さは軽く上回る梅雨と陰鬱全開ソング。”降り止まない雨”と冒頭から歌われてこれまたじめじめと梅雨のにおいが漂うが、今作ではさらに“生命に終わりを告げた”という”あなた”へ、向けて”きこえるかい”と呼びかける、死んでしまった尊敬する大切な人へ向けてのメッセージソング。全楽曲中でも最も重いテーマのシリアスな楽曲となった。

ソロデビュー以降時折浅岡さんが父親を尊敬しているっぽいコメントをする事が何度かあり(ソロ1stアルバムにGreat Respectと表記して父親らしき名前を載せてた)、しかしどうももう亡くなっているっぽい感じだった。以降のコメントからも亡くなっているのは確かっぽかったんだけど2015年に亡くなって14年と年数もコメント。2015年1月28日の14年前は2001年1月28日で今作の発売が2001年5月30日。恐らく父親が亡くなった事を書いた曲だったんじゃないかと思う。これが解散前に発表された曲では浅岡さん最後の作詞というのも合わせて最もパーソナルかつ重みのある曲かもしれない。

発売当時、祖父母もみんな元気で小学1年生の頃にひいばあちゃんが亡くなったくらいしか葬式の記憶が無かったので、あまり身近な人の死に実感が無かった事もあるんだけど、03年に祖父が亡くなり、初めて身近な死に触れてからは少し違って聞こえるようになった。悲しみから抜け出そうと思うんだけどどうにも抜け出せない、もう少し時間がかかりそうだという心情にピタり当てはまる。ただし重すぎるゆえに聞きすぎると深みにハマって抜け出せなくなるので注意だ。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 夏の記憶~Acoustic version~

特にクレジットが無く、編曲者も不明で誰が演奏しているかも不明。なんか後追いのライナーとかあったら”この曲のアコースティックギターはDIMENSIONの増崎孝司が弾いている”とか書かれそ(自主規制)

原曲でもアコースティックギターがアレンジのメインを担っていた事もあって、アコギが重なってるなぁ程度で案外あまり大きな変化がない。陰鬱さがアコースティックサウンドで多少軽減されたところで陰鬱であることに変わりはなく、印象が「梅雨の記憶」である事にも変わりはない。ちょっと湿度が辛すぎる梅雨の夜には原曲よりアコースティックな今バージョンの方がハマるが、どっちみち暗くてジメジメ度は増すのでハマり過ぎには注意だ。注意してばかりだ。
★★★☆☆
アルバム未収録

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