相川七瀬 25周年シングル回顧2~2000-2016~
00年になると織田哲郎を離れて布袋寅泰プロデュース体制となる。この時期に織田哲郎はパリコレに出演した後もヨーロッパを旅行していて、その最中のスペインで強盗に襲撃されて声帯が変形、以前のように歌えなくなる(当初は高音どころかまともに歌えなかった模様)という事件に遭っていた(以前の声で最後に発売されたのはシングル「キズナ」)
01年には布袋プロデュース「NO FUTURE」、織田哲郎復帰プロデュース「~dandelion~」の2作同時発売を敢行。続けてのアルバム『Purana』には布袋寅泰は関与せず、結果的にシングル3作のみのプロデュースだった。発売とほぼ同時期に妊娠結婚を発表。直前まで次の新作『The Last Quarter』を制作していたが、金髪ダークなイメージから一転してこの頃にはかなり優しい母らしい表情となり、『The Last Quarter』は織田哲郎は関わらずに初のロック以外の女性シンガーソングライターから提供を受けたポップス路線となっていた。
翌02年には早くもロック路線で復帰して活動を再開するがこの頃にはもうすっかり上位にランクインできなくなってきており、ベスト第2弾『ID:2』も大幅低迷(まさかの29位)、大黒摩季が作詞、織田哲郎が作曲という90年代ビーイングタッグによる新曲「Shock of Love」も低迷(まさかの39位)。以後は織田哲郎を完全に離れて新たな制作陣を招いての新路線へと舵を切った。独学で学んでカラーセラピストの資格を取得したりと歌手活動以外の活動も行いながら音楽面ではロック路線とそれ以外の路線を開拓しながらリリースを重ねた。
第2子を出産した07年前後の時期になるとさすがに新作がしばし途絶えるようになったが、09年のアルバム『REBORN』ではタイトルそのままに復活を印象付け、翌2010年の15周年ベスト『ROCK or DIE』へと繋げた。しかしこのベスト盤、シングルを網羅したコンプリート盤をTシャツ付の少数限定盤でしか制作せずにプレミア化させてしまい、残ったのは『ID』期のシングルばかりでほとんど重複というリクエスト盤だけという残念仕様で発売したためコケてしまう事態となった。
Rockstar Steadyと名義を変えての活動も開始され、当初Rockstar Steadyを継続する予定だったようだが東日本大震災を受けて活動方針を変更。ロック路線ではないアルバム『今事記』を2013年に発売。2014年には岡本真夜とコラボしたシングル「桜舞い降りる頃、涙色 feat.mayo」を発売するなどしっとりした路線が続いたが、20周年を迎えた2015年からは再度原点のロック路線へ回帰し、2015年には織田哲郎の名曲をカバーした『Treasure Box -Tetsuro Oda Songs-』、2016年には『NOW OR NEVER』、2018年には『ROCK GOES ON』、2019年には中村あゆみと組んだANNA名義でカバーミニアルバム『W』を発表するなど近年は王道のロック路線での活動が続いている。
16th midnight blue
00年5月31日
作詞:相川七瀬・布袋寅泰、作編曲:布袋寅泰
デビュー以来初めて織田哲郎を離れて布袋寅泰プロデュースへと交代。前作まででかなり落ち込んでいた中でロックシンガー相川七瀬を布袋寅泰がプロデュースという組み合わせは話題になり、期待値が高かったためか今作では売上が回復してトップ10復帰も果たした。
布袋プロデュースの3シングルの中では忙しなくジャキジャキした感じで突き抜けていく。ビートが強めで、提供3シングルの中では最も布袋寅泰っぽいイメージ。ストレートなカッコよさがある。ロックなんだけど確かに織田哲郎とは違うロックで新鮮だ。ただまくしたてる感じのサビはやや印象薄め。
★★★☆☆
5thアルバム『Purana』
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』
17th SEVEN SEAS
00年8月9日
作詞:相川七瀬・布袋寅泰、作編曲:布袋寅泰
前作に続いてのトップ10ヒットを記録。布袋プロデュース3シングルの中では最も織田哲郎に近い方向性でサビの爽やかな雰囲気は相川七瀬での織田哲郎よりもビーイングの織田哲郎っぽさをちょっと感じる。当時はもう織田哲郎に戻したのかと最初思って、布袋寅泰ってこういう曲書くんだなぁと意外に思った記憶がある。ただじっくり聞くとズンジャラズンジャラジャラジャラとアクの強いリズムも含めて布袋感が強く、サビだけかなり意識して爽やかに仕上げたような感じもする。リバーブがかったサビ部分は特にここではないどこか楽園の海のような開放感があってあまり爽やかな夏イメージのない相川七瀬の中では爽やかな夏も感じられる。
★★★★☆
5thアルバム『Purana』
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』
18th NO FUTURE
01年1月31日
作詞:相川七瀬・布袋寅泰、作曲:布袋寅泰、編曲:KANAME
「~dandelion~」と同時発売。布袋プロデュース第3弾にして最終作。織田哲郎復帰作の「~dandelion~」との新旧プロデュース同時発売となったが、両方トップ10落ちで今作の方が上で15位。アニメ『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』OP。前2作と違ってアレンジには布袋寅泰が関わっていない。タイアップがあったとはいえやけにシングルらしくない曲でカッコいい事はカッコいいんだけどサビが変わっている。サビではデスボイス気味の男性コーラスがノーフューチャ!ノーフューチャ!ノーフューチャ!イブエニフューチャ!と連呼するバックで相川七瀬がつらつら歌い上げるというサビらしい盛り上がりが無いシングルにしては珍しい構成。トータルでのロック感がカッコいいもののヒットチャート上ではほとんど残ってこない曲で当時もなんでこっちが売れてんだ…?と疑問でしかなかった。タイアップ効果が高かったのだろうか。
★★★☆☆
5thアルバム『Purana』
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
19th ~dandelion~
01年1月31日
作詞:相川七瀬・織田哲郎、作編曲:織田哲郎
「NO FUTURE」と同時発売。織田哲郎再び…だが当時の織田哲郎は布袋寅泰に任せていた間の00年夏にスペインで強盗に襲撃された際に喉を変形させられてしまいまともに歌えなくなってしまう事態に見舞われていた。そういった背景もあって単にちょっと離れてて久々に提供しただけではない織田哲郎の音楽活動リスタートでもあった。原点回帰したかのような爽やかなメロディー、キャッチーなギターサウンドで相川七瀬というよりこれぞヒットメイカー織田哲郎のような仕上がりに。またちょうど相川七瀬が妊娠結婚を発表した時期でもあり、だいぶ佇まいが優しくなっていて(金髪も止めて最初くらいの茶髪に戻していた)こういった変化も踏まえたのかもしれない。色々乗り越えてきてのまた新たなスタートを感じさせる1曲で、まるで織田哲郎からの旅立ちソングのようでもあった(が、織田プロデュースはこれで終わりじゃないぞ。もうちびっとだけ続くんじゃ…)。
既にこのような90年代王道ヒットナンバー的な曲は世間に飽きられていたのかこれがさっぱり売れないどころか非キャッチーな「NO FUTURE」の下を行ってしまうとはかなりショックで時代の変わりようも感じて切なかった。
★★★★☆
5thアルバム『Purana』
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
20th 終わりない夢
02年6月5日
作詞:相川七瀬、作曲:柴崎浩、編曲:KANAME
アルバム『Purana』の後も出産直前まで制作を続けて様々なシンガーソングライターから提供を受ける初のポップス路線のミニアルバム『The Last Quarter』をリリース後はしばらく休んでの産休からの復帰作。WANDS脱退後al.ni.coも当初の約束と違うという事で活動が止まって解散前後の時期から曲提供も行っていた柴崎浩が久々にメジャーのシングル曲の作曲を担当(初提供は00年の反町隆史だったがC/Wとアルバム曲だった)。アニメ『犬夜叉』OPとタイアップも上々、ロック路線の方向性も概ね王道の良作、TV出演でも復帰をアピールするなどそこそこ盤石の態勢でもう少しヒットしてもよかったように思うが初登場14位ともう1つ届かなかった。
割と重めながら99年頃の重さはなく、一定の爽快さも感じられ、非常に相川七瀬らしい曲だったと思うんだけど正直今作が売れなかったのは曲はあまり関係なかったと思う。ジャケットである。ジャケットが何故か超絶ホラーになっていて、こんなん置いておいたらなんかもう呪われそうな勢い。薄暗い部屋の片隅とかに転がってたら悲鳴を上げるレベル。何をどうしたら「終わりない夢」というタイトルでこんなやべぇジャケットにしようと思うのか。『犬夜叉』のちょっとおどろおどろしいところに引っ張られたのか(割とモブキャラが惨殺されて首飛んだりとかしてたし、メインキャラの桔梗とか50年前の死人が蘇った人物だし)、正直このエイベックスのタイアップはビーイング以上にアニメ考慮してない感全開だったので「夜叉」というワードにだけ反応してこんな夜叉みたいなジャケットになったのか…?
★★★★☆
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
21st 六本木心中
02年10月9日
作詞:湯川れい子、作曲:NOBODY、編曲:織田哲郎
織田哲郎プロデュースだが今回は1984年のアン・ルイスのヒット曲のカバー。話題性もあってか前作より好調で「SEVEN SEAS」以来の10位を記録、結果的に最後のトップ10入りとなった。女性ロックシンガーの偉大なる先輩のカバーという位置づけだったと思われるが、個人的に生まれる前の知らない曲で今更古びた80年代の歌謡ロックをカバーされても…21世紀なのに…というのが当時の正直なところ。現代風にガッツリ変更するというよりはロックリミックス的なアプローチになっていてややデジタルな感じも強い(C/Wにはもっとリミリミ(?)したリミックスが入っている)。もう少しガツンとしたアレンジで聞きたかった。
当時は明かされていなかったがZARD坂井泉水の死後、坂井泉水がオーディションの時にこの曲を歌ったというエピソードに加えてなんと当時の歌唱音源、さらにプロデューサー長戸大幸がZARD初期のコンセプトとしても「六本木心中」のイメージで考えていた事を明かしている。つまりただでさえ相川七瀬デビューを巡ってのすれ違いから関係が悪化していたのに相川七瀬に「六本木心中」をカバーさせたのは実は更なる怒りを買っていた説、割とあるのかもしれない(ほとんど会った事なかった織田哲郎が坂井泉水がオーディションで歌った曲がこれだなんて知らなかった可能性の方が高い)。今作と同時期に出た『complete of 織田哲郎 at the BEING studio』では取材不足による事実関係の間違いは多々あれど露骨な批判はしていなかったが、坂井泉水死後になって急にこの「六本木心中」エピソードを強調したり(オーディションではテレサ・テンも歌ったとされるがそちらはさほど強調されていない)、なんか急に物凄い勢いで露骨に否定的なライナーが書き殴られたりしたからなぁ…。
★★★☆☆
2ndベスト『ID:2』
3rdベスト『ROCK or DIE』
22nd Shock of Love
03年2月13日
作詞:大黒摩季、作曲:織田哲郎、編曲:INA
織田哲郎プロデュースの最終作品(以後もたまに関わるが単発のみ)。大黒摩季×織田哲郎という豪華組み合わせでの提供が少し話題になるも何が起きたのかいきなり初登場39位、1万割れの大不振で大コケしてしまった。だいぶ人気が落ちてきていたとはいえなんだかんだトップ20はキープしていて前作でもトップ10入りを記録していたのに半年ぶりでいきなりの39位は当時もおいおいウソだろいくらなんでも低すぎだろ…とショッキングだった。変な曲出したならまだしもけっこう王道のロックチューンだったのに90年代的な黄金パターンが全く通用しない時代に突入したという事だったのか。編曲が織田哲郎ではなく、やや忙しないデジロックリミックス感はあるもののそこまで異色な感じでは無いし…。王道が飽きられていたというのはあるのかもしれない。
一方で今回も『終わりなき夢』に続くダークホラージャケット。ウイルスパニック映画の犠牲者のような何とも言えず気持ち悪くなるような写真でこれだけで敬遠されそうではあった。あと1番と2番ではサビ頭がSHOW YOU MY LOVE→SHOW MY YOUR LOVEに変わるんだけど、シングル盤の歌詞カードはこれが逆に誤植されていた。
何故か直後のベスト『ID:2』に収録しなかったが結果的に織田哲郎プロデュースの完全な区切りとなったため今作の存在は宙に浮いた状態となった。この後は岡野ハジメプロデュースに代わり、普通にロックバンド志向の作風になったのでアルバム『7 seven』ではボーナストラック扱いで収録されている。
★★★★☆
7thアルバム『7 seven』BONUS TRACK
3rdベスト『ROCK or DIE』
23rd R-指定
03年11月27日
作詞:相川七瀬、作曲:yasu、編曲:小池敦&岡野ハジメ
今作よりL’Arc~en~Cialをプロデュースしていた岡野ハジメプロデュースとなり、複数のロック系の作家陣が提供するようになった。今作ではJanne Da Arcのyasuが提供。岡野ハジメプロデュース体制では生バンド演奏を基本に電子音を適宜加える方向性になったため、ロックといってもこれまでの打ち込みデジロックとは異なるまさにロックバンド然としたタフなサウンドへと変貌した。かなり大きな路線変更だったと思うし、正直この路線になってからはキャッチーさが一気に減退して、低迷しきっていてリアルタイムでは耳に入らなくなってしまったので今聞いても相川七瀬としては少しイメージと違う感じもある。タイトル通りに少しディープな愛を歌っているが、まくしたて気味のサビメロがあまり強くなく、なかなか引っかかってこない印象ではある。ロックバンド的なカッコよさはあるんだけどな…。
あと今作以降は数少ない中古シングルを探すか、地道にオリジナルアルバムを辿るか、『ROCK or DIE』メモリアル盤を探すかしないと聞けなかったのと、今ではサブスクで聞き放題とはいえ、膨大な聞き放題の中にあったところで、流行り物でもなく過去流行ったわけでもないこの時期を今更わざわざ検索して聞きに行ったりとかなかなかやれないだろうし(サブスクにすら無いよりはマシだが)、一気に聞かれるハードルが上がっていく感じはする。
★★★☆☆
7thアルバム『7 seven』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
24th 愛ノ詩-マジェンタレイン-
04年1月21日
作詞:相川七瀬、作曲:高田有紀子、編曲:Pixy&Brownie&岡野ハジメ
より大人っぽい愛を歌ったミディアムバラード系のロックナンバー。世界観は良くできていると思うんだけど、シングル曲としてパッと聞いての引っかかりにやはり乏しかったように思う。アルバムで聞くと『7 seven』は新たなロックを目指した相川七瀬の充実の1作ではあるんだけど1曲1曲よりトータル性だった。
★★★☆☆
7thアルバム『7 seven』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
25th Round ZERO~BLADE BRAVE
04年2月18日
作詞:藤林聖子、作曲:吉田勝弥、編曲:近藤昭雄
『仮面ライダー剣』前期OP。他のライダータイアップが軒並みそうだったように今作も曲の制作はライダーサイドで一方的に行われているため相川七瀬はゲストボーカルとして呼ばれただけに近い。一応相川七瀬名義のシングルとしてリリースされたがC/Wは別の人(Ricky)が歌っている。久々にトップ10目前の11位を記録したものの、相川七瀬サイドではその後徹底スルーされていてアルバム未収録、ベスト盤でも飛ばされ、ついにはまさかのディスコグラフィーにすら非掲載(後のCrimson-FANG名義の「Circle of Life」はディスコグラフィーに掲載、通常盤限定収録ながら『Reborn』のボーナスで収録しているのに…)。このため果たして今作を26thシングルとして公式にカウントしているのか?、以後特にシングルの通算枚数をカウントした表記が出ていないのでどうなのかは不明。
曲自体はライダータイアップっぽい打ち込みデジロック系。この時期は生音サウンドメインだったのでこの時期の楽曲と並べると確かにリズムが軽くてどこにも入れる余地が無いような曲ではあるが、なんだかんだでそんなにイメージは外れてなくて相川七瀬に似合っている曲ではあったと思う。
★★★☆☆
アルバム未収録
26th 万華鏡/UNLIMITED
04年9月29日
2作目の両A面曲。「万華鏡」は新曲、「UNLIMITED」は歌詞を変えた改題作のシングルカットだった。「UNLIMITED」がこのシングルでしか聞けず、売れてないので当然中古でもあまり出回っていないためか中古価格が高騰しがちになっていて現在はけっこう入手困難になっている。
万華鏡
作詞:相川七瀬、作曲:柴崎浩、編曲:小西貴雄
柴崎浩の作曲ではあるがアレンジャーに小西貴雄を迎えたシングルでは初の脱ロック路線。脱ロック、スムース&メロウを掲げての『THE FIRST QUARTER』はジャズやフュージョン系のオシャレなサウンドを導入した大人な1作で、相川七瀬がロックなだけではないシンガーであることを印象付ける1作になっている。今作も凝った演奏がひたすら心地よい良作。こんなオシャレ演奏にロックシンガーの相川七瀬が似合うわけが…と思ったら最初から歌ってましたけどNANIKA?と言わんばかりのナチュラルさで驚いた。こういう相川七瀬も断然ありだと思う。
★★★★☆
8thアルバム『THE FIRST QUARTER』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
UNLIMITED
作詞:相川七瀬、作曲:柴崎浩、編曲:柴崎浩,小池敦&岡野ハジメ
アルバム『7 seven』収録曲「夏の日のコーラル」の歌詞とタイトルを全面変更した楽曲。アレンジはそのままで、方向性としては「万華鏡」や『THE FIRST QUARTER』に向かっていく中ではズレるんだけど『7 seven』の中ではかなりの爽やか系だったので『7 seven』リリース後という流れで聞けばそこまで浮いてはいない。
「夏の日のコーラル」が切ない失恋ソングだったのに対して今作は究極のラブソングというか運命の人と巡り合った奇跡を歌っているので、方向性が正反対。これでアレンジが同じだけにその妙が面白い。「夏の日のコーラル」だと爽やかなメロディーラインが切ない曲だなぁと思うんだけど、「UNLIMITED」だと爽やかでハッピーな曲だなぁと思う。言葉と歌声の持つ力を感じる1曲。
その後アルバムにも収録されていないかなり埋もれた1曲ではあるんだけど、そもそもここで歌詞だけ変えて作り直した事からも当時から相当曲自体を気に入っていたと思われ、20年11月に行われた25周年の配信ライブでも歴代のシングル曲に並んで久々に今作を披露したようだ。
★★★☆☆
アルバム未収録
7thアルバム『7 seven』(「夏の日のコーラル」)
27th 限りある響き
05年1月19日
作詞:相川七瀬、作曲:高田有紀子、編曲:羽毛田丈史
しっとりセツナ系のバラードナンバー。『THE FIRST QUARTER』で見せたもう1つの軸であるしっとり系のバラード。先行2シングルでしっかりアルバムの方向性を提示したという正しくアルバムに誘う2シングルだった。バラード系の女性シンガーが歌うような王道バラードを相川七瀬が歌うとどうなるのか、これが思った以上にしっくり来る。…が、メインでやり続ける方向性ではないかなという気も。
★★★☆☆
8thアルバム『THE FIRST QUARTER』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
28th EVERYBODY GOES
06年2月15日
作詞:相川七瀬、作曲:有原雅人、編曲:岡野ハジメ・D.I.E.
テレビ東京系特撮ドラマ『魔弾戦記リュウケンドー』EDに起用されたため、シングル無しでリリースした7曲入りのミニアルバム『R.U.O.K?!』最終曲をシングルカット。脱ロックを掲げた前の2シングルとアルバム『THE FIRST QUARTER』ですっかり落ち着いた曲が続いた中で今作はかなりドストレートなロックバンドナンバー。しっとりした曲が続いていてそれもかなり良かったがやはり相川七瀬はロックが似合うなと改めて感じさせてくれるガツンとした1曲。
というかガツンとしているとかいうレベルじゃない勢いで明らかに今作は演奏の圧が凄い。このアルバム自体が80~90年代の伝説のロックバンドのメンバーを演奏に招いており、今作ではDrums:真矢(LUNA SEA)、Bass: “CRAZY” COOL JOE(DEAD END)、
Guitar:MARTY FRIEDMAN(元MEGADETH)、Guitar:PATA(X JAPAN)、Keyboards:D.I.E.(元hide with Spread Beaver)というすさまじい伝説のメンツであった(当時はLUNA SEA、DEAD END、X JAPANも解散していて基本的に全員が”元”だった)。それだけにシングルを並べて聞いても今作は演奏の迫力がすさまじく、一直線な曲調も相まって久々に1発で残りやすい1曲になった。
★★★★☆
9thアルバム『R.U.O.K?!』
3rdベスト『ROCK or DIE』メモリアル盤のみ
配信 PRISM
08年5月24日
作詞:相川七瀬、作曲:室姫深、編曲:Wall 5,室姫深
翌年2月のアルバム『REBORN』へ通じていく初の配信シングルだが現在の公式サイトには非掲載。今作ではPACEWALKERSというトラックメイカー集団にサウンドプロデュースを任せ、ロックとエレクトロの融合を掲げ、これまでにないダンスビート色の強いデジタルなサウンドを展開させた…のはいいが、トラックメイカーによる電子アレンジと重いギターサウンドとの融合はかなり重心がスッカスカなアレンジになってしまい、アルバム1作限りのかなり浮いた作風になってしまった。今作は先行とはいえ唯一のシングルだったので比較的キャッチーなサビメロで相殺されてはいる方だが、アルバム1枚でスッカスカデジロックを聞き通すのは少ししんどかった。また一応制作されたMVも真っ白なスタジオでカラフルな照明当てて歌っているだけの相川七瀬をプリズム加工するだけという専門学校の課題で最初に学生が作った編集映像みたいなやっつけ感で少し悲しくなった。
★★★☆☆
10thアルバム『REBORN』
29th tAttoo
09年11月11日
作詞:あさのますみ,織田哲郎、作編曲:織田哲郎
15周年を翌年に控えて「Shock of love」以来3年9ヵ月ぶりの織田哲郎プロデュース作。1曲限りの関与となったがこの頃にはもう久々の織田哲郎だろうとめっきり話題にすらならなくなっていていつもと変わらない数千枚程度の売上に…(トップ50前後まで低迷していた)。
以前のように別の提供者から織田哲郎に戻った時のこれぞ織田哲郎!とすぐ分かるような曲ではなく、今作に関しては言われなければ分からない。継続してのプロデュースではなく1曲限りの久々のプロデュースという事でかつての王道を繰り返すのではなく、今の成長した相川七瀬に合ったものをという事だったのかもしれない。ロックバンド路線を進んでいたアルバム『7 seven』以降の方向性の延長にあるようなバンド系のロックナンバーで地を這うような根の張ったような頼もしさも感じられる。
アルバム収録は15周年ベスト『ROCK or DIE』のみ、収録シングルを厳選しほとんど初期ヒットシングルで固まる中でダントツで新しい曲としての収録となった。
★★★★☆
3rdベスト『ROCK or DIE』
2nd配信 ヒカリノミ
12年10月31日
作詞:相川七瀬、作曲:亀井登志夫、編曲:亀井登志夫、鈴木”Daichi”秀行
2010年末に新たなプロジェクトRockstar Steadyとして新作を発表していたが、直後の2011年に東日本大震災が発生。復興支援ライブで「夢見る少女じゃいられない」を歌っても喜ばれはするけどどこか場にそぐわないと本人が感じてしまったようで、自身の代表曲と震災後の空気が合わなのでそれを受けてしっとり優しい方向性へと方針転換を図って亀井登志夫をプロデュースに招いて生まれたのが今作で、そのまま翌年のアルバム『今事記』へと繋がった。
という事で震災の影響をかなり引きずってのしっとり和風路線だったが、狙い通りに優しい雰囲気の1曲。『THE FIRST QUARTER』でもロック以外の事はやっていたし、近い方向性ではあるけど今作は明確に優しさや前向きさが前面に出ているのは大きな違いだと思う。
★★★☆☆
11thアルバム『今事記』
30th 桜舞い降りる頃、涙色 feat.mayo
14年3月5日
作詞:相川七瀬、作曲:岡本真夜、編曲:渡邊篤弘
岡本真夜とのコラボ作。表題曲である”feat.mayo”は相川七瀬名義で相川七瀬がメインボーカル、岡本真夜がコーラスで生のバンドサウンド編成。C/Wの”feat.nanase”は岡本真夜名義となっていて岡本真夜がメインボーカル、相川七瀬はコーラスでアレンジも全く異なる打ち込み主体で編曲は十川ともじ。
00年代以降めっきりヒットから遠ざかっていた岡本真夜だが、今作では全盛期を彷彿とさせるキレのある良メロを聞くことができる。率直に90年代にメガヒットしたけど今はさっぱりな2人が組んだところで…と思ってしまうリスナーも多かったと思うけど、両者共にいつもよりも話題になると踏んでヒットを狙いに気合を入れたのか、いざ聞いてみると思った以上の良さに驚く。切ないメロディーラインにしっかり生音で演奏される優しい響きは相川七瀬としては直近の『今事記』の作風の延長でもあったのでけっこうハマっていたと思う。一方の岡本真夜メインボーカルバージョンはこざっぱりした仕上がりなのと全盛期のイメージで聞くと声質が変わった(正直良くはなっていない…)ように思う。
震災以降続いていた優しめ路線は今作をもって終了。20周年は再度原点のロックシンガーへ回帰したため、今作はアルバムにも収録されずに取り残されたままとなっている。
★★★★☆
アルバム未収録
31st 満月にSHOUT!
15年8月26日
作詞作曲:織田哲郎、編曲:織田哲郎・THE WASTED
20周年を迎え、「tAttoo」以来の織田哲郎作品。今回はTHE WASTEDも加えてのガツンとしたロックバンド路線で「tAttoo」以来久々のロック回帰となった。ー。これ以降やはり相川七瀬はロックという事になったのか、王道回帰したロックナンバーが続くようになった。
THE WASTEDを招いているのでロックバンド色がかなり強い。織田哲郎の場合は基本的に打ち込みロックがメインだったので、織田哲郎を離れてからの方向性もしっかり加味されていて20周年のロックシンガー相川七瀬をしっかり打ち出しているように思う。一方で「Shock of love」辺りまでの久々に織田哲郎が来た時のこれぞ!感は「tAttoo」以上に無いので、正直クレジットを見なければ織田哲郎だとは思わなかった…というくらい割とメロディーは普通な感じでもある。初期のような印象的なギターもやってないし、今作に関してはロックバンドやってガツンと盛り上がろう的なパンク感が魅力か。ウォウウォウォウォー♪
★★★★☆
12thアルバム『NOW OR NEVER』
32nd ACROSS
16年7月6日
作詞:藤林聖子、作曲:TETSUYA、編曲:nikka
L’Arc~en~CielのTETSUYA提供曲。アルバム『NOW OR NEVER』への先行シングルでアルバムではほかにも元JUDY AND MARYのTAKUYA、LUNA SEAのJ、SOPHIAの都啓一と90年代のヒットシーンを共に彩ったロックバンドの盟友達が曲を提供していた。
ただし全員が作曲のみで編曲も演奏参加すらもしていないので個々の色や各バンド当時に似た雰囲気は感じられず。今作も爽やかなロックナンバーでダークさの抜けた今の相川七瀬の王道ロックといった佇まい。いい曲ではあるが割と普通で印象に残りにくいところはある。
★★★☆☆
12thアルバム『NOW OR NEVER』
コメント