GLAY 30周年記念1stシングル回顧「Rain」

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1st RAIN

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1994年5月25日
X JAPANのYOSHIKIに見初められてのデビューとなったため、YOSHIKI主催のインディーズレーベルエクスタシーレコードからインディーズアルバム『灰とダイヤモンド』、YOSHIKI主催のメジャーレーベルプラチナムレコードからシングル(今作)を同時発売。これまでインディーズ経営だけだったYOSHIKI主催レーベルだが、メジャーレーベルも立ち上げる事になりプラチナムレコードはGLAYが第1弾アーティストとなった。これによりインディーズデビューとメジャーデビューを同時に果たすという異色のデビューとなった。C/Wは無く、1曲+カラオケの2トラック仕様。

『灰とダイヤモンド』のレコーディング時はドラムのAKIRAが在籍しており、『灰とダイヤモンド』のジャケットは5人写っていて、AKIRAもGLAYメンバーとしてクレジットされている。このアルバムのレコーディング前日に飲み過ぎて寝過ごしたAKIRAはレコーディング日に大遅刻してこの時点でスタッフからやる気があるのかと疑われ、ボーカルとメロディーを前面に出すというスタッフ側が示していた方向性もしっくり来ないままなんとかレコーディングを終えるも、LAでの「RAIN」のレコーディングにはスタッフからけっこう明確に来るなという態度を示されたらしく、同行せずに国内に残ったという。現地で聞いたメンバーはスタッフと話をしてAKIRA脱退話を一旦保留させ、帰国後メンバーから次々と一緒にやろうと言われるも、AKIRAは熟考の末にやはり脱退すると宣言。今作には参加していなかったのでシングル盤ではメンバーは現4人となっている。

初登場29位から2週目に最高26位を記録、下位でロングヒットして100位以内11週ランクインで10万枚の売上を記録。デビュー作からそこそこのヒット作となった。

YOSHIKI案件色が前面に出ていたものの、結果的にYOSHIKIプロデュースはこれだけとなった。当時はYOSHIKIの七光りとも言われたそうで、破格の待遇がやっかみを生んで界隈では叩かれていたそうなので(当時ネットがあったらマジで戦闘民族インターネッツの罵詈雑言が飛び交ってリアルに潰されてたかも)、なるべく早期にYOSHIKIプロデュース・弟分・部下的なイメージが定着しきってしまう前に自分たちの力でヒットを出したいという意向は強かったと思われる(一応プラチナムレコード時代のアルバムにはレコード会社のプロデューサーとして毎回YOSHIKIの名前は入っていた)。

以後YOSHIKIと交流が途絶えたわけではなく、2015年にはライブで「RAIN」を共演した事もあるが、基本的にはYOSHIKIとGLAYは一定の距離感を保っている。LUNA SEAのSUGIZOがX JAPANに兼任メンバーとして加入したり、L’Arc~en~CielのHYDEがYOSHIKIのバンドやユニットのボーカルとして重宝されたり、YOSHIKIが2023年の紅白のために多数の後輩ロックミュージシャンに声をかけた際にもGLAYメンバーは全く参加していない。

RAIN

作詞:YOSHIKI、作曲:YOSHIKI&TAKURO、編曲:YOSHIKI
4~12月まで放送されていたアニメ『ヤマトタケル』前期エンディング、7月公開の実写映画『ヤマトタケル』主題歌。発売当時はアニメタイアップに合わせてのリリースで、その後夏に公開された実写映画の主題歌にもスライドして起用された。実写映画『ヤマトタケル』は”VSゴジラシリーズ”がハリウッド版制作が決定したので『ゴジラVSメカゴジラ』で終了する予定で、新たなシリーズを立ち上げようという気合の元でゴジラシリーズの制作陣がほぼそのままスライドして参加した。…が、あまりヒットせず1作ポッキリで企画は消え去ってしまい、さらにアメリカ版制作が遅れる事になり(1998年になった)、VSゴジラシリーズが同年も制作されることが決定、しかしスタッフがみんなこっちに回っていたので『ゴジラVSスペースゴジラ』は新規のスタッフ陣で制作される事になったとされ、VSゴジラシリーズファンの間では『ゴジラVSスペースゴジラ』の作風がちょっと違う理由としてこの実写映画『ヤマトタケル』の存在自体はそこそこ知られている。え?内容?全く知ら

YOSHIKI案件でのLAレコーディングで、前述のようにドラムのAKIRAがLAに同行しなかったため、ドラムは現地のMike Bairdが担当。元々はTAKUROが高校時代に作った楽曲「JULIA(reason for so long)」が原曲で、1993年に販売した最後のデモテープ『SPEED POP』(メジャー1stアルバムと同タイトル)に収録されていた曲をYOSHIKIが手を加えてリメイク。歌詞は全面的に書き直され、YOSHIKI主導でアレンジ、LAレコーディングが決行されるというデビュー作にして異様に豪華な仕上がりとなっている。

原曲「JULIA」はボーカルとエレキギターをジャンジャラ弾いているだけの未完成っぽいシンプルな仕上がりだが、原曲とすぐ分かるくらいにメロディーは「RAIN」と同じであった。

同時発売の『灰とダイヤモンド』に収録されたGLAY VERSIONは編曲:GLAY、Piano:NAOKI ICHIKAWAとなっていてピアノ演奏にYOSHIKIが参加していない(ただ『灰とダイヤモンド』自体この曲の作詞作曲以外にYOSHIKIはクレジットされていないが実際はノンクレジットでガッツリ指示していたという話もあるので”Piano:NAOKI ICHIKAWA”のクレジットが果たして本当にそうなのかは謎である)。Piano:NAOKI ICHIKAWAの伴奏にうす~くシーケンスがかかっている程度で2コーラス進行、間奏でアコースティックギターとシンセっぽいストリングスが入るが、3番以降はまたピアノだけでTERU以外のメンバーがほぼ不参加(間奏の一瞬だけHISASHIかTAKUROがアコースティックギターを演奏?)。『灰とダイヤモンド Anthology』ではRemix & Remastering 2014となったが、さすがに音数が少なすぎて変化に乏しい。それでも音はクリアに大きくなり、より生々しい歌唱が聞ける…感じではあるか。

シングルバージョンは一転して前述のようにLAレコーディングでの豪華編成。YOSHIKI唯一絶対神様的な(?)存在感を放っている。ただ3コーラスもあって長く、間奏を極力省いて歌い続けても原曲の2倍の7分近くに達する長さだけに正直けっこうかったるい。TERUのボーカルこそ初々しいものの、全体には新人らしさ皆無の高すぎる完成度がどうにもアンバランスだし、1曲だけ浮いた存在になっているのは否めない。発売当初からライブでやらなかった(YOSHIKIが見に来る時に今日はやらなきゃまずいだろうとなってセットリストに入れたなんて話も…)というし、メンバーの中でも自分たちの曲ではない感覚は最初からあった事は伺える。

シングルバージョンでは冒頭に雷交じりの雨音が23秒ほど挿入されており、その分だけ長い。『SPEED POP』収録時には冒頭の雨音がバッサリカットされいきなり歌から始まる。以後ベスト盤に収録されたのは1回ポッキリで『THE GREAT VACATION VOL.2~SUPER BEST OF GLAY~』収録時にはシングルではなく『SPEED POP』バージョンが採用された。

『SPEED POP Anthology』におけるRemix&Remastering 2015では冒頭の雨の音が復活しており、シングルバージョンをリミックスしている。ただし冒頭雨の音を前曲「JUNK ART」のエンディングに被せて収録しているのとエンディングが変更されている。元の音源ではストリングスとピアノのアウトロからストリングスが先にフェードアウトして残ったピアノがすっとフェードアウトして終わるが、リミックスでは最後までストリングスとピアノが一緒に鳴り続けてフェードアウトせずピアノもちゃんと最後の1音を演奏して終了する。

また『SPEED POP Anthology』DISC-2には2015年5月31日のYOSHIKIがゲスト参加したライブ音源(Miracle Music Hunt Forever Ver.)も収録されている。YOSHIKIがエンディングで2分以上延々とピアノソロを演奏するため、8分半に達する「RAIN」史上最長の音源となった。

原曲「JULIA」は長年一般流通していなかったが、『rare collectives vol.3』でライブで演奏したアコースティックバージョンが初めてCD化され、『灰とダイヤモンド Anthology』にはデモテープ『SPEED POP』音源が正式収録された。これにより以前より遥かにお手軽に原曲を聞く事ができるようになったが…もっとメロディーも違うものだと思っていたらメロディーがそのままだったので驚いた。確かに歌詞はまるっきり変わっているので作詞:YOSHIKIになったのは当然だ。これは分かる。

しかし「JULIA」のメロディーは「RAIN」そのままであり、これで”作曲:YOSHIKI&TAKURO”はYOSHIKI…ズルくないか…?作詞と編曲にはかなり手を入れ、メンバーが無謀にもピアノ弾いてください!とお願いしたのを快く引き受けて渾身のピアノソロを弾いてくれる気概は素晴らしい先輩ミュージシャン、プロデューサーっぷりだったと思うんだけど、作曲クレジットにまで出しゃばったのは…。ほとんどTAKUROの原曲メロディーなので作曲はTAKURO単独でいいくらいだと思うんだけど感謝料(?)として”作曲:TAKURO&YOSHIKI”のTAKUROを前にする並びが限度じゃないだろうか。まさか終盤のTERUの音域完全無視のムチャぶり高音部分は俺が作った!なんて主張するつもりじゃないよな
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
インディーズアルバム『灰とダイヤモンド』(GLAY VERSION)
1stアルバム『SPEED POP』(シングルVer.の冒頭の雨の音をカット)
5thベスト『THE GREAT VACATION VOL.2~SUPER BEST OF GLAY~』(シングルVer.の冒頭の雨の音をカット)
3rdコンセプトアルバム『rare collectives vol.3』(原曲「Julia」(THE GREAT VACATION in NISSAN STUDIAM Live ver.))
アンソロジー『灰とダイヤモンド Anthology』(GLAY VERSIONのRemix & Remastering 2014)
アンソロジー『灰とダイヤモンド Anthology』(原曲「Julia」)
アンソロジー『SPEED POP Anthology』(シングルVer.のRemix&Remastering 2015)
アンソロジー『SPEED POP Anthology』(Miracle Music Hunt Forever Ver.)

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