ZARD 30周年シングル回顧4+~2002-2006~
2002年にはZARD第2章として再始動を発表…したがシングル1作のみであった。当時体調不良は明かされず、むしろ90年代の同僚たちが次々解散、ビーイングは大阪のGIZA studioに本格移行していて旧ビーイング勢であるZARDは普通に干されているだけなのではないかという見方もあった。現在は体調不良であった事以外にも時代の変化に適応するため今後の方向性にかなり思い悩んでいたのも休止の一因として扱うようになっている。
03年以降はGIZA studioな作風で本格的に活動を再開。04年には久々にオリジナルアルバムらしい新曲メインの『止まっていた時計が今動き出した』をリリース。新たなる復活をイメージさせる展開となり、04年には初ツアーも決行。精力的な活動が続き、翌年には早くも次のアルバム『君とのDistance』がリリースされた。
この間には葉山たけしのアレンジャー復帰もあり、すっかり染まっていた軽めのGIZAサウンドから90年代の厚みのあるロックバンド風サウンドを現代風に再構築してのサウンド面での王道回帰の傾向もどんどん強まっていた。
しかしツアーはかなり無理して当日今日はダメかもしれないと弱音を吐くほどのギリギリの状況で行うなどかなり体調は悪かったようで、06年にシングル2作が発売されたのを最後に新作発売は停止。続く15周年ベスト『Golden Best 15th Anniversary』は本人公認で発売されたが、再び沈黙していた。
2007年5月28日突如として26日に坂井泉水が亡くなったと発表。同時に体調不良が長年続いていてシングル「ハートに火をつけて」の頃に本格的に体調が悪化して検査を受けたところ子宮頸がんが見つかって極秘入院・手術を行っていた事、1度は回復したが2007年4月に肺への転移が見つかり再入院していて、早朝に病院のスロープから転落したことによる脳挫傷で亡くなったと明かされた。
病死ではなく謎の多い事故死とされたため憶測が飛び交ったが、ビーイング側は一貫して自殺ではない事を強調、また肺への転移というのも絶望的なものではなく治療可能なものであり、坂井泉水本人はその後の作品リリースや次のツアーの構想を長戸大幸と電話で打ち合わせしていて前向きだったとしている。
34th さわやかな君の気持ち
35th 明日を夢見て
36th 瞳閉じて
異邦人 /TAK MATSUMOTO featuring ZARD
37th もっと近くで君の横顔見ていたい
止まっていた時計が今動き出した
04年1月28日
作曲:中村由利、編曲:徳永暁人
GIZAに染まった軽めのサウンド全開であるアルバムの中では一際存在感を放つ厚みのあるロック調のタイトルチューン。GARNET CROWの中村由利はZARDへの提供は今作が唯一(というか全部で3曲くらいしか外部提供してなかったはず)。徳永暁人が久々に往年のZARDを思わせる厚めのロックサウンドに仕上げていて、往年のファンであればイントロの瞬間から歓喜するような勢いがあった。なんならドラムはもう少し重くても良かっ
タイトル通りに復活を宣言するような楽曲だが、以降のZARDは攻め続けて初のライブツアーまで敢行した。後にこの時期もずっと体調不良は続いていたとされるが、それ以上に意欲が上回っていたのだと思う。ここ数年のブランクを取り戻すかのような勢いがあった。
★★★★☆
10thアルバム『止まっていた時計が今動き出した』
天使のような笑顔で
04年1月28日
作曲:大野愛果、編曲:徳永暁人
ギター中心にリズミカルでキャッチーなのでかなり早い段階で印象に残る曲の1つになった。落ち着いた曲が多くなっていたのでこういう明るいのも珍しかったし、この後の最終曲「悲しいほど 今日は雨でも」もバラード締めではないアップテンポだったので、いつになく違う感じでアルバムが終わるのも第2章始まった感じがあった。後期のアルバム曲はどうしても売上が低いので90年代ファンの数に押されてリクエストベストでもスルーされがちなのが惜しい。
★★★★☆
10thアルバム『止まっていた時計が今動き出した』
38th かけがえのないもの
39th 今日はゆっくり話そう
40th 星のかがやきよ/夏を待つセイル(帆)のように
サヨナラまでのディスタンス
05年9月7日
作曲:大野愛果、編曲:葉山たけし
久々に激しめでダークな感じの攻めのロックチューン。葉山たけしの復帰によりそんなサウンドもやれるようになった。実質的なアルバムタイトルチューンとして存在感を放っていたが、まずもって明るくなく、「サヨナラ」が後ろ向きという理由でアルバムタイトルには採用されず、改変した『君とのDistance』がアルバムタイトルになったという。『サヨナラまでのディスタンス』がアルバムタイトルだったら後でマジこのアルバム予言だったとしか思えないと散々言われる事になっていただろう。また2020年からこんなにディスタンスが最頻出ワードになり、ディスタンスまみれの世の中になってしまうとは思わなかったな。
★★★★☆
11thアルバム『君とのDistance』
Last Good-bye
05年9月7日
作曲:多々納好夫、編曲:葉山たけし
FIELD OF VIEW95年の3rdシングルへの歌詞提供曲セルフカバー。FOVへ歌詞提供した4曲のうち3曲は即座に『TODAY IS ANOTHER DAY』でセルフカバーしていたが今作だけ10年スルーされておりもうこのままかと思われていたが、リリースタイミングが秋という事で一致したことからチョイスされたようだ。
FOV版がド派手に盛り上がるアレンジになっていて同じ葉山たけしがアレンジしたものの、ZARDバージョンは厚みはあるが妙に淡々としていてフックが弱め。FOVのセルフカバーは結局どれもFOVがド王道の正解でZARDバージョンでは並ぶ感じもあまり無かったかなと思う。
★★★☆☆
11thアルバム『君とのDistance』
あなたと共に生きてゆく
05年9月7日
作曲:織田哲郎、編曲:小林哲
93年テレサ・テンへ歌詞提供した曲のセルフカバー。テレサ・テンはこの2年後95年に亡くなりこれが最後の楽曲となっていた。没後10年という事と当時のテレサ・テンの年齢40歳が近くなってきたこともあり、セルフカバーに挑んだものと思われるが、確かに今になってハマるというか、全体にこのアルバムの頃はボーカルがちょっとキツそうなところも目立つんだけど今作に関してはいい感じに深みがある。
ていうか若い頃によくこの歌詞書けたなとも思う。歌謡バラードとして秀逸な仕上がりで、GIZAアレンジャー小林哲もかなり奮闘していて最初これも葉山アレンジか徳永アレンジかと思った。テレサ・テンと同じく2年後に坂井泉水も亡くなってしまい、結果的にはセルフカバーするのはこれが最後のチャンスだった事になる。「Last Good-bye」もそうだが、残されていたセルフカバーしていない提供曲を2曲まとめてやっていたというのも不思議なものだ。
★★★★☆
11thアルバム『君とのDistance』
君と今日の事を一生忘れない
05年9月7日
作編曲:徳永暁人
アルバムを締めくくる大バラード。スケールの大きな愛を歌っている上に曲のスケールもいつになくデカく、2番のサビがギターソロに置き換えられていて歌われない、その後さらにDメロ、Eメロに該当するような新たな展開を見せる、コーラスが大合唱隊のような派手さで特にサビ部分では明らかに竹井詩織里と思われる声がかなり目立って入ってくる…などこれで全て終わる大エンディング曲のような1曲。結果的にオリジナルアルバム最後の1曲になってしまったわけでこのアルバムにはそういった最後の予兆のような要素も目立つ。
★★★★☆
11thアルバム『君とのDistance』
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