あさひなぐ

2017年9月公開

こざき亜衣によるなぎなたをテーマにした漫画原作の実写化。
乃木坂46メンバー主演による舞台化・映画化が同時発表され、5~6月には先行して舞台版が公開された。
映画版は西野七瀬主演で桜井玲香、松村沙友理、白石麻衣、伊藤万理華、生田絵梨花、中田花奈、斉藤優里が出演している。

まあレンタルでいいやと思っていたが…

当初6月公開のX-MENシリーズでヒュー・ジャックマン最終出演作となった『ローガン』を見るつもりで映画館の優待チケットを確保していたのだが、よほど客入りがよろしくなかったのか、開始2週間程度で1日2回上映とかの隅っこに追いやられ、1ヵ月で完全終了してしまい、見逃してしまった

このチケットは9月末が期限であり、何か見ないと1300円が無駄になってしまう!

この極限の危機の中でギリギリのタイミングでこの映画『あさひなぐ』が公開された。正直48・46系のドラマは緩いものが多く、1以外は投げっぱなしか奇をてらいすぎた最終回でがっかりするパターンが続いた『マジすか学園』シリーズに始まり、1番普通に完結した乃木坂46の『初森ベマーズ』もかなり緩いアイドルドラマだったし、狂信的な評価を浴びる欅坂46でさえ散々思わせぶりに引っ張って結末を全部放り投げたあの惨状が記憶に新しい。正直あまり期待できなかった。

とはいえ秋元康が適当な原案だけ出して後全部組み立てを無茶ぶり丸投げしたような一連の深夜ドラマ群と異なり、今回は漫画原作というしっかりしたものだし格段にちゃんとしたストーリーモノだろうという事で、『あさひなぐ』で期限切れ間近の優待券を消費することにしたのだった。




舞台版とのキャストの違い

舞台版は齋藤飛鳥主演で井上小百合、新内眞衣、若月佑美、生駒里奈、堀未央奈、衛藤美彩、北野日奈子が出演した。
映画版は西野七瀬主演で桜井玲香、松村沙友理、白石麻衣、伊藤万理華、生田絵梨花、中田花奈、斉藤優里が出演している。

飛鳥、井上、堀、北野とか舞台版の方がキャストが好みなんだが

主役が所属する二ツ坂高校のメンバーのうちデブキャラの文乃だけは舞台版、映画版共にメンバー以外が演じているが、ライバルの國陵高校は舞台版ではメンバーが3人演じていたが、映画版では生田1人だけで後はメンバー以外が演じている。ただしそのうちの1人である寒河江純を演じた樋口柚子は樋口日奈の実姉。樋口日奈は映画も舞台も出演無しだがそういう温情は無いのね…。

また中田花奈、斉藤優里は主人公の中学時代からの友人役であり、序盤に登場して台詞もそれなりにあるが「同級生」表記になっていて役名が設定されていない

主な設定

高校入学から話が始まり、東島旭(西野七瀬)、八十村将子(桜井玲香)、松村沙友理(紺野さくら)が新入部員。
宮路真春(白石麻衣)が2年生のエースで、野上えり(伊藤万理華)が次期部長の2年生、大倉文乃(富田望生)が2年生。

当初部員は3年生が5人いるが、このうちの1人がエースの宮路に5人での試合での席を譲っていて試合メンバーは3年4人+宮路。作中最初の試合のインターハイで3年生(全員乃木坂46メンバー以外が演じている)が引退するため、以降は野上えりを部長とした前述の6人が部員となる。また一堂寧々(生田絵梨花)は別のライバル校の驚異の新人として登場する。

詰め込み気味ながら王道さわやかなスポーツ青春映画

時間軸は入学から3年生の引退試合、夏合宿を挟んで新人戦、そしてもう1試合、ラストカットでは全員かなり厚着になっているので4月~年末頃までとなっている。映画の時間内でこれだけ描くので展開はかなり駆け足。主人公の旭でさえ家族が全く出てこないし、友人である中田花奈、斉藤優里もこれが連ドラなら合間合間で適宜出てくるところなんだろうけど、序盤以降は完全に姿を消す。メンバーそれぞれの葛藤やバックボーンも不明のまま。八十村なんかは中学時代は剣道部で何故なぎなたに転向したのか、そしてこないだまで中学生の剣道部員だったにしては金髪ヤンキー口調なのはキャラクターとして奥が深そうだが元剣道部だったという以外は触れられない。

それでも3年生引退の切なさ、敗北、悔しさ、地獄合宿、成長、一致団結してのクライマックス…と一通りの出来事はスッキリ描かれていき、終わってみれば非常に好印象。それぞれのキャラクターにかなりの余白を残し、さらに物語としてもまだまだこの6人での時間は3年生の引退試合まではまだ半分以上の時間が残されていてその先への余韻もあって続いていく感じ(とはいっても狙いすましたかのような続編を期待させる伏線などは張ってない)。この余白の残し方が非常に心地のいいものだった。

漫画原作だけに随所に実写にすると浮くような漫画的なノリがあって当初戸惑った。また顧問の先生(中村倫也)のオールネタキャラみたいな激しいノリなどプロ視聴者の叩きの餌になりそうな笑いの要素も終わってみればバランスは良かったと思う。ホロリあり、熱さあり、笑いありという感じになり、顧問の先生のほとんどアドリブとされるハイテンションが無かったらもっと硬い印象で終わってたと思うし。

メンバーも好演というか西野、松村、白石はほとんど本人のキャラの1つ(パブリックイメージ)に近いところがあって最初からハマっていた。それとは違うところを演じた桜井と伊藤、特に伊藤はキャラクター的に普通な部長という役どころで普段とは違うテンションを見せていて好印象だった。生田は舞台経験があるだけにさすがの貫禄だったが、1人だけ他校のライバルなので出番が少なく、しかも熊本から引っ越してきた設定なので熊本弁を喋るという謎のキャラ付けはいらなかった気がする(この謎すぎる熊本出身設定は原作設定なんだろうなと思ったらやはりそうだった)。

惜しむべくはやはり年齢…

高校1年と2年を演じるにはメンバーの大半が高校どころか大学さえ卒業した20代半ばに差し掛かっているので、やはりそろそろギリギリ感はどうしてもある。せめてもう3年前だったら(白石で大学卒業の年)、続編も期待できたところだけど…。

ただ文乃役の富田望生だけ00年生まれのリアル女子高生を起用しているが、3年生役や生田以外の相手高校のメンバーなどもメンバーに合わせてか93~96年生まれ辺りを中心に(上限92年、下限98年、1番年下が00年の富田望生)揃えているので映画全体の世界観としてはそんなに違和感のあるものではなかった。

大名作というわけではないけど良作

そんなわけで物凄い青春映画の最高傑作というほどではないけど、期待以上の良作だった。『初森ベマーズ』筆頭に48・46系列の深夜ドラマやファンを唖然とさせたとされる映画『超能力研究部の3人』辺りの過去作の印象から期待値が下がっている人や、最初からアイドル映画だと思ってあまり期待しないで行けばほぼ確実に期待以上になると思う。

乃木坂46のファンなら恐らく満足だろうし、乃木坂46の中では他のメンバーの方が好きでこのキャストはそこまで好きじゃないとか(個人的には伊藤のまりかっとさん以外はそんなに…)、そこそこ程度の認識でも改めて好感度が増す、ファンの友人に連れられて見に行ったような人でもファンになるんじゃないかというくらいメンバーは魅力的だし、ストーリーもさわやかで大きなツッコミどころなども無い。なので、よほどのプロ映画評論家気質だったり、やたらアイドルや若手の演技に厳しい演技力プロ判定人気質、重心が最初から「否」寄りのプロ否定論者…等のプロ系寄りの気質を持たない限りは今作を見て文句を言う人はいないんじゃないかと思う

★★★★☆

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