世にも奇妙な物語 ’20夏の特別編

例年は「春の特別編」で昨年は「雨の特別編」と6月にズレ込んでいたが、2020年はついに7月にズレ込んで「夏の特別編」となった。今回に関しては4月に「春の特別編」で予定されていたのが新コロ延期になったとされている。

近年は通常より短い短編含めた4+1編成だったが、今回は余裕が無かったのか通常4本のみ。

ただし既に「秋の特別編」放送が決定どころか4本撮影が完了しているらしく、放送日も未確定なのにもう秋の特別篇4本の予告編がエンドロールで流れるという前代未聞の事態となった。春の連ドラすら夏にスライドしてまだほとんど放送開始してないのに秋のSPドラマの撮影がもう終わってるって一体いつ撮影したんだ…。




しみ

広瀬アリス主演。
両親が経営するクリーニング屋の娘広瀬アリスが両親が友人の葬式で不在の際に黒ずくめの女(関めぐみ)からシャツに着いたチョコレートのしみを抜いてほしいと依頼を受ける。しかししみは抜けず、しかも徐々に巨大化していく不気味な現象が発生。両親は何か隠しているような不穏な言動を見せ始め、やがてしみが腹部に転移した父(宮川一朗太)が急死。これを受けて母は先の葬式の友人との間の共通の友人で危ない宗教にハマった友人がいて、父は縁を切っていたが友人は宗教友人と交流を続けていた末に口論になり殺してしまったという。父は血の付いた衣服を全て消し去り証拠を隠滅。殺人隠ぺいの手助けをしていた。

安置所での父に再度しみが広がり、驚愕する広瀬アリスだったが、母もしみの呪いが発動してその場で死去。1人残された広瀬アリスは例の黒ずくめの女を発見して後をつけると女は宗教友人の娘で、呪いの儀を継続して行っていて広瀬アリスのシャツにもしみが広がり始める。自分は関係ないという広瀬アリスだったが幼少期、パパの手伝いをしようと例の殺人シャツを洗ってパパに怒られるという一幕があった。そんなん覚えてない!と言い張るも聞く耳を持たずに呪いの儀を継続する女に驚愕してシャツを脱ぎ捨てて…というサービス展開があるはずもなく、驚愕してパニックになった広瀬アリスは女を鈍器で殺害。父と同じく返り血のついたシャツのしみを綺麗に消し去り、家も引き払って東京へ移住。たくましく婚活に励んでいたが、ワインをこぼした際のしみによりトラウマが発動。必死にしみを落とそうとするところにゾンビ化した女が出現。そして謎の頭痛が…。

場面は一転して脳出血で植物状態の広瀬アリス。両親は健在で、看護師が関めぐみ主治医が宗教友人婚活で出てきた青年が主治医についている若手医師、呪いの儀で使われていた紋様は単にこの病院のマークだった。幾度も出てきたしみの模様とは脳内の出血の痕で両親は主治医からこの出血状況だと手術も困難だと言われていて、CT画像を見た両親はこのしみさえ無ければ…と。しみ=脳出血状況で、意識の底で広瀬アリスがしみを消してくれと叫んで終わるという呪い殺しよりも悲惨な結末に…。

呪いバッドエンドかと思わせて植物状態でしたオチ。恐怖展開からのそれは全部植物状態の深層意識の中で見ていた夢でしたというオチ自体は2015年の竹内結子「箱」を彷彿と同じだがこれ救いが無さすぎる上に現実的過ぎて呪いより怖い

物語冒頭、両親が去った後に広瀬アリスがふいに頭痛を感じている1カットがあって実はここで発病して倒れていたとか、その後両親が「1人で留守番させるんじゃなかった」と後悔を滲ませる会話、関めぐみが「いい天気ですね」と言うのとかも現実でリフレインしていて、意識のない中で広瀬アリスの夢に反映されていた、というのはいいにしても、両親を殺害隠蔽犯にしたり、病院のマークが呪いの儀になったり、主治医と看護師が黒幕になってしまうという変換はよく考えなくともなかなかトリッキーだな…。

3つの願い

伊藤英明主演。
豪邸で妻(沢井美優)と食事していた伊藤英明だが一瞬の間に妻が誘拐されてしまう。駆けつけた刑事は伊藤英明が5年前に急に投資で大ブレイクした資産家だがそれ以前の経歴は謎で、妻の存在もなるべく隠そうとしていて妻の戸籍が存在しない、妻の旧姓も出身地も知らない事に疑念を抱く。刑事(松角洋平)に追い込まれた伊藤英明は真実を語り始めた。

心臓が弱くリサイクルショップでアルバイトをしてギリギリで生活していた伊藤英明は倉庫で品物整理をしている中でランプを発見。魔法のランプっぽかったので遊びでこすって呼び出してみたら本当に魔人(滝藤賢一)が出現。願いを3つ叶えるが、無から生み出すのではなく何処かから持ってくる、等価交換だと説明する魔人。実例を示すサービスとして魔人が消えて出現したと思ったらリサイクルショップで1番高い宝石の指輪が一瞬で伊藤英明の懐に入っていた。

願う事にした伊藤英明は1つ目に大金(5億)2つ目に自分を愛してくれる妻を要求。何処かから大金と妻が出現した。女の記憶は消されていてどこの誰かも分からず名前以外は分からない、そのためこのような状況だと刑事に説明する伊藤英明。

3つ目の願いを聞きだす前に誘拐犯からの電話で身代金をもって出向く事になり、実はランプも要求にあった事を知った刑事は犯人はランプの事を知る人物だと推理。投資家の伊藤英明を頻繁に取材していたライターの父が5年前に強盗殺人で殺されていて5億円が失われていた事からライターが犯人だとして急行するがまさかのシロ。

現場についた伊藤英明の前にランプの魔人が再登場。妻もいたが既に記憶を消されて無反応。魔人は「まさか5年も待たされるとは」とコメント。真意を測りかねている中で、5億円が消え去り、妻も消え去っていく。魔人は改めて自分の能力は等価交換であると告げ、伊藤英明はようやくその交換の相手が赤の他人ではなく5年前の自分にとっての未来の自分(つまり現在)だった事を悟る。つまり魔人は5億円を手にした伊藤英明がその後の投資で自力で5億円稼ぐまでに5年もかかるとは思ってなくてやはりだめな奴だと言っていたという事。

そして明かされていなかった3つ目の願いとは健康な心臓だった。刑事たちが駆けつけた時、心臓をえぐられた伊藤英明の死体が転がっていてバッドエンド。

スリリングな展開で交換相手が未来の自分だったというホラーなオチも良かったけど、結局妻となる女がどこの誰だったのかは不明(金さえあればいいだけの女だと魔人が説明しただけ)、そして心臓の入手ルートがおかしかった。心臓に関しては5年前に願って即交換になったわけではなく、願った後に電話がかかってきて非合法で入手した心臓をアメリカで移植する手はずが整ったというものだったので、未来の自分からえぐられて持っていかれた心臓が謎にアメリカ経由になった事になっていてさっぱり分からん。じゃあ結局誰の心臓だったのよそれ。

そもそも魔人が回収のために身代金誘拐をしてわざわざ騒ぎ立てる必要もないし、何なら身代金要求の電話の声、当然ボイスチェンジャーしてたけど滝藤賢一は喋り方が特徴的なので最初の段階でこの溜め方滝藤賢一じゃね?と分かってしまったというのも致命的だった(ライター犯人説のミスリードが完全に無駄になってしまった)。

結局5年前の自分から交換というのが5億円以外は整合性が取れていなかったのでちょっとスッキリしなかった。

燃えない親父

主演。
死んだ父が火葬されても燃えずに出てきたというブラックコメディ。何か未練があるのではないかという事で、まずはサイン入り田中みな実写真集を一緒に燃やしてみるが失敗、恋人がいたのではないかという事でジャスミンなる海外のママ3人を連れてくるが弟が知ってただけでハズレ、オカマのジャスミンが友人だった事が発覚するがこれもハズレ…。

とハズレ続きで火葬代(というか棺は毎回燃えるので棺代がかさむ)ばかりがヤバい事になっていく中で杏はさじを投げて一時退場。ただ帰ったわけではなく車に戻っていただけで主役なのに何故一時主役不在で話を進行させていたのかは良く分からず。外が大雪だったので新コロ撮影延期の影響でもないと思うが…。

やがて夫婦の間で子供が出来なかったので杏は養子だったが弟はその後できた子供だった事実が明らかに。杏は意図せず若い頃にそれを知って父とわだかまりがあったが、弟はそのことを知らずに祖母からたった今聞いたので衝撃を受ける。跡継ぎ問題も含めて杏、弟それぞれの問題と和解をもってしてこれは完全に終わった展開だろと思わせて感動BGMで盛り上げたのにまだ燃えず、しつこいぞいい加減にしろ!終わる流れだっただろ!とキレ始める家族一行。

そんな中担当職員の名札「鬼瓦」を見た杏は15年前の母の火葬の際に指輪を入れようとして職員(皆川猿時)に止められた父の姿を思い出す。その時に見た名札も「鬼瓦」だった。15年前鬼瓦氏に指輪を入れるのを拒否され、その鬼瓦氏が自分の火葬担当であるというのが心残りなのではないかと推測した杏は指輪を持ってきて入れさせてくれと懇願。鬼瓦氏も快諾してようやく親父は燃えていった。最後は鬼瓦氏が親父の灰の中に燃え残るはずの指輪が消え去っているのに気づいて終了。

火葬されなくとも死体は死体で生き返る話ではないため終始ブラックユーモア感が漂っていて、何を試しても燃えない親父というシュールなギャグやネタもはじけきれずにキレが悪くてどうにも中途半端な展開が続いてダラダラしていた印象。これは志村けんの死去の際に新コロで死んだ人は死に目にも会えないとか火葬の時にも移る危険がとかトンデモな説が流布したり、葬儀場が死者であふれかえっているとかいうデマが飛び交って平時でもデリケートな話なのにますます葬儀話がデリケートになって扱いにくくなってしまい、ユーモアに振り切れなかったというのもあるのだろうか。

あと家族が分かりにくすぎ。 パッと見は3人の子供と妻だったんだけど、実際は杏が長女、松下洸平が弟(長男)、森矢カンナは弟の妻、そして老婦は親父の妻ではなく母親(杏と弟の祖母)って。老婦がいきなり「この親不孝めが」とか言ってたので妻じゃなくて母親なのは分かるようにはしていたが、説明なく火葬直前から始まったので把握するのに時間がかかった。

配信者

白洲迅主演。
AD白洲迅が憂さ晴らしのためにつまらないネタ配信をしても閲覧は10人程度。どうすればバズるのかぼやいていると視聴者からURLが送られてきた。クリックすると画面が切り替わり、局内へ侵入してくる謎の男目線の配信に。警備員を殺害して一直線に自身の元へ向かっている映像に焦った白洲迅は隠れてやり過ごすが、徐々にハズり始めた視聴者投稿がことごとくヒントを出してくるので追い詰められてしまう。やがてトイレに隠れていた先輩も殺害され、白洲迅は先輩の車で逃走する事に。

何とか車にたどり着くがエンジンがかからず、配信者はついに真横に迫る。ついに終わりかと思いきや視聴者の通報しますよコメントがあると配信を終了して急にいなくなってしまった。安堵する白洲迅。そこに死んだはずの警備員と先輩が現れドッキリだったとさらに安心する白洲迅だったが、2人とも無表情で配信を始め、先ほどの視聴者も通報止めた、他の視聴者も続きを見せろと投稿し始め配信者の配信が開始。

もう意味不明な状態でもリアクション芸を繰り広げてビビる白洲迅についに車中にまで配信者が迫る中でついに視聴カウントは1万を突破、「良かったねバズって」と告げる配信者、壊れて笑い出す白洲迅で終了。

ネットの闇を皮肉るのが好きな近年の『世にも奇妙』だが今回は何のオチもなくて意味不明すぎた。急にソーシャルディスタンスドラマみたいにほとんど1人芝居という構成だったのは最初からそのつもりだったのか、今作だけ撮影できてなくて放送延期になり構成を変えて1人芝居で急遽撮影したのがこれだったのか。

そもそもにこの展開で主人公が恐怖を感じたり逃げ場が無いという設定にかなり無理が…。配信者は常に自分の視点で配信を続けていて主人公は終始スマホでそれを見ているのだから遭遇しないように逃げるつもりならかなりアドバンテージがあるはず。これでは話にならないので白洲迅はスマホ片手に逃走するのではなくちょっと確認するといちいちスマホをポケットに入れてしまう、かなり時間が経過してからポケットから出したスマホを確認して配信者がすぐそこに迫っててビビッて逃げ出すというアホな行動を繰り返していたので途中からわざとリアクション芸やっている珍妙なコントみたいに見えてきてしまった。

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