5つ数えれば君の夢

2014年3月公開。

東京女子流の初主演映画で、5月には立て続けに『学校の怪談 呪いの言霊』も公開されるなどほぼ同時期に展開した主演映画プロジェクトだったがこれっきりとなり、全メンバー演技方面への進出は以後無かった。

当時どちらも見る気にならずスルーしたものの、気にはなっていたがレンタルにも入らないようなレベル。『学校の怪談 呪いの言霊』は数年前に格安中古で見る事ができたが、こちらは2022年になって『金田一』のためにHuluに再加入した際に発見(以前は無かったはず)。公開から8年、既にメンバーが24~26歳になっている中でようやく見る事ができた。

女子高のミスコンを舞台にして1人園芸部で友人もいないさく(山邊未夢)が昨年のミスコンで優勝したものの周囲と距離を置いているりこ(新井ひとみ)に声を掛けられ今年のミスコンの協力を依頼される。一方で昨年のミスコンには1クラス代表1人の制約からりこに持っていかれ、今年はクラスが変わったためミスコンに燃える宇佐美(庄司芽生)、それを狂信的に支える友人筆頭の都(小西彩乃)、文化祭実行委員の委員長として女子高の黒い部分を垣間見ながらも真面目に仕事をこなしていく委員長(中江友梨)の5人を主人公にして割とドロドロした女子間での不穏な人間関係が炸裂する青春群像劇的な内容。

山戸結希監督の個性が強く猛烈な絶賛と猛烈なワケの分からなさによる賛否が分かれたような1作で、詩人めいた台詞回しが多くてかなり難解。一方で細かい心情描写、ダークな部分の描き方が丁寧でキラキラアイドル映画の真逆を行く芸術的な作風は印象には残る。女性監督ならではの繊細な心理の描き方なのかもしれない。一方の男性陣が主に3人(宇佐美を弄ぶクズミスター男子、さくが憧れるバイト先花屋の青年、委員長の兄)出てくるが、どれも魅力に乏しく、クズ男子はテンプレ的にクズだし、他の2人もこれといった特徴が無い。

委員長だけ委員長と呼ばれ続けて名前が不明なのと1人だけ他メンバーとの密接な絡みが無く、ブラコン描写があるだけなのでやや浮いた感がある。宇佐美の他校クズミスター男子にいいように弄ばれるサマやそんな様子をうらめしそうに見つめながらも終盤には狂気の愛を告白する都はインパクトで演じた小西彩乃の怪演は見どころ

ピアノが弾けるので都にりこのピアノ伴奏をさくを通して頼んだのが運のツキ。ていうか宇佐美ベッタリな都がミスコンの敵であるりこのピアノ伴奏を引き受けてくれるわけないだろ、宇佐美グループを恐れてりこと仲良くしたら狙われると警戒していたのになんでそういう行動に出るんだ…。という事で案の定りこをプールに突き落とすように命じられて逆らえなくなるさく。全てを察して自らプールに飛び込み、思いを吐露するりこ。このりこの真冬のプール独白、そしてその後のびしょ濡れのままでのミスコンソロダンスシーンは(都が裏切ってピアノを弾かないので前半は無音、後半はあまりのりこの迫力に押されたのか何故か「エリーゼのために」を弾き始めたのでそれに合わせてダンスし、駆け付けたさくも自身の花壇をぶち壊して摘んできた花をばらまいて支援)展開が良く分からなくても映像と演じた新井ひとみの迫力で圧倒される。

結局さくとりこは再会する事無くりこが留学して去ってしまうが、さくは変われたようで優勝した宇佐美と都ら一行(何も変わっていない)にホースの水をぶちまけて嫌味を言いながら爽やかな笑顔を見せて吹っ切れ、それを見ていた委員長もブラコンにある程度区切りをつけたのか晴れやかな笑顔を見せておしまい。りこのダンス後は一切出てこなかった。

部分的に圧倒されるところはあったけど基本的にはなんか良く分からんし、あまり好きな作風でもなかった。ただちょうどリアル高校生くらいのタイミングで(撮影時の新井ひとみは中3かも)、デビュー当時子供だった5人が少し成長したアイドルとしては若さの最盛期のタイミングでこういう記録映像が残せたのは良かったと思う。2022年になってみるとやはりメンバーが若い。新井ひとみの圧倒的美少女っぷりと存在感が目を引き天性のものがあるように思うが、5人の中では小西彩乃の怪演もいい味を出していた。庄司芽生もギャル感頑張っていたけど、小西彩乃が狂気的な愛をぶつけるシーン始め、随所での表情の見せ方が思いのほかうまくてこれは案外才能があったのでは。

小西は2015年に心折れたように脱退引退してしまった。元々歌唱とダンスに強い自信を持ち、ダンスは庄司芽生の存在で早くに1番にはなれないと悟ったっぽいけど歌唱面においてはグループNo.1の自覚と誇りを持っていたと思われ、それが2013年以降声が思うように出せなくなり明確な挫折を経験。取り戻すための奮起して1度は明け渡したソロパートも取り戻したのがちょうどこの時期だった。しかしやはり戻しきれずに2015年休業直前の5周年ライブで4人がさらなる成長を見せる中で、1人だけ声の伸びが無かった。そのまま腰痛を理由に休業して年末に脱退。

小西は実は「Limited addiction」サビのほとんどを高音バリバリで歌い上げるよりも他のメンバーには出せない低音部での声の魅力があり、この後の「十字架」のソロパートではまさにそこを生かしていた。また演技面での今作の狂気や闇を見せられたのも挫折経験ゆえだったと思われる。サビをメインで歌う事はできなくなるかもしれなかったがBメロ部分や下ハモで生かすことは出来たし、そういった高音バリバリ以外の長所、魅力に気づければ新たな芽はあったんじゃないかと改めて思った。

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