SIAM SHADE シングル回顧 1995-2002,2013

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SIAM SHADE シングル回顧 1995-2002,2013

94年インディーズデビュー、95年にメジャーデビュー。メンバーは栄喜(Vocal)、KAZUMA(Vocal&Guitar)、DAITA(Guitar)、NATIN(Bass)、淳士(Drums)の5人。栄喜は当初CHACKという本名と全く関係ない名前を名乗っていたがHIDEKIへ改名後に漢字表記の栄喜となった。また淳士も当初はJUNJI表記だった。NATINは解散後にNATCHINに変更して再結成時もNATCHIN名義、KAZUMAは解散後に遠藤一馬名義で活動していたが再結成時はKAZUMA名義となっていた。と、メンバー表記に何かと変更の多いバンドでもあった。

一般的に栄喜がボーカルでツインギターと思われているが、KAZUMAは元々栄喜が抜けるというのでボーカルとして代わりに入ったのに何故か栄喜がそのままメインボーカルのまま抜けなかったので栄喜とKAZUMAのツインボーカル体制となったらしい。実際に単なるコーラス以上の存在感でKAZUMAのボーカルが生かされた曲やKAZUMAのメインボーカル曲もあるが、扱いとしてはボーカルもギターもサイド扱いではあり、シングル表題曲においてはKAZUMAがメインボーカルとして目立つ機会は少なかった。ボーカルKAZUMAとしては解散後の2003年にビビアン・スーとのコラボでガンダムSEEDタイアップヒットしたVivian or Kazuma「moment」のヒットの方が有名なのではないだろうか。

97年に「1/3の純情な感情」の大ヒットで一躍ブレイクし、以後トップ10ヒットを飛ばして一定の人気を獲得。末期はやや低迷してトップ20レベルになっており、02年年明けに解散を発表。3月の解散時ベストアルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』があまり宣伝されなかったのもあってか、ヒット曲満載の初ベストにも関わらずほとんど売れずに終わるなど、2002年3月10日の日本武道館での解散ライブの盛り上がりに反して世間的にはやや地味な解散であった。

その後断続的に再結成を繰り返していたがライブ中心で20周年を迎えた2016年に完結を宣言して以降は活動を行っていない。

一連のヒット曲はどれも抜群にキャッチーで爽やかでもあり、一般的にもアニソンヒットの代表作の1つ「1/3の純情な感情」のイメージが強かったりする一方で変拍子を多用した非常にテクニカルな演奏がロック界隈で非常に高く評価されたりもしていたようだ。

個人的には「1/3の純情な感情」のヒット以降トップ10常連のロックバンドとして認識していたもののシングルは1つも手に取っていなかったが、解散時に『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』が出るというのでこれが初聞き。その1つ前の『SIAM SHADEⅧ~B-side Collection~』も合わせて聞いたのが最初だったのでちゃんと聞いたのは解散後だったりはしたがリアルタイムでのヒットの印象は強い。

2022.1~3執筆

1st RAIN

B000VOOMHC B00005G9LR
95年10月21日
メジャーデビュー作。当時はボーカル栄喜がCHACKという全くの別名を名乗っていた。同年5月のGLAYの1stシングルと同一表記同タイトルという丸被りをぶちかましたがソニーは確認していなかったのだろうか…。せめて「Rain」にするとかさ…。ただRAINどっち派論争みたいな事は両者のブレイク後も特に発生せず、周囲でもそんな話題になった記憶はない。今みたいに数回クリックすれば簡単に後追いできる時代でもなかったのでむしろみんな両方とも知らなかった。

疾走感のあるロックナンバーでブレイク前5シングルの中ではロックな中に適度なキャッチーさを併せ持ったバランスのいい曲だと思う。サビだけでなく平メロもけっこう印象的で文字通りに最初から最後まで駆け抜けていく。「1/3の純情な感情」以降から遡って聞いてもそんなに初期っぽさとか感じずに比較的すんなり聞けた。
★★★★☆
2ndアルバム『SIAM SHADE Ⅱ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2001.12.28 日本武道館)

2nd TIME’S

B000VOOMHM B00005G9M6
96年2月1日
前年11月のアルバム『SIAM SHADE Ⅱ』からのシングルカットSingle Versionとして再録音されているようで、概ねのアレンジは同じだがかなり音像が変更された。オリジナルはややばたついた感じだったが、Single Versionは全体にブラッシュアップされて一体感のあるサウンドにまとまった。ドラムが分かりやすく、アルバムではドラムがかなり目立って鳴っているのでこれがばたついた印象に繋がっているが、Single versionではドラムが引っ込んで他の楽器とのバランスが良くなっている印象。

初期5作の中では最もポップで明るい雰囲気の楽曲。サビのメロディーの良さが硬派なロックバンドとしてだけでなく広くヒットチャートでウケそうな売れ線の雰囲気をまとっているようにも感じられる。ただシングルというよりはアルバムの名曲といった印象もある。
★★★☆☆
2ndアルバム『SIAM SHADE Ⅱ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』(Single Version)

3rd Why not?

B000VOOMHW B00005G9Q5
97年2月21日
シングルなしでリリースされたアルバム『SIAM SHADE Ⅲ』1曲目のシングルカットボーカルCHACKはHIDEKIに改名順位売上共に最低記録で、1万枚を割ったシングルは今作のみ。2作連続シングルカットとなったが今回はSingle Mixとなっていて前作のVersionとは表記が異なっている。今作も再録音はされているようだが前作ほどの違いは無く、全体にやや響きが異なるといった感じ。部分的にはどっちがどっちか判断できないが、やはりシングルの方が整っている感じはする。まあシングルバージョンとして聞いているのはベスト盤でのリマスターでアルバムは当時のオリジナル音源という差があるので8センチCDと比べたらどうなるか分からないが…。

まくしたてる平メロから比較的広がりのあるサビで一気に開けるが、前2作よりはキャッチーさは控えめでロック色が強い。アルバム1曲目という事もあって名刺代わりのイメージではあったと思うんだけど、案外アルバム2曲目の「LOVESICK ~You Don’t Know~」の方がシングルっぽいキャッチーさがあったように思う。
★★★☆☆
3rdアルバム『SIAM SHADE Ⅲ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』(Single Mix)
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~』(Single Mix)
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2001.12.28 日本武道館)

4th RISK

B000VOOMI6 B00005G9R9
97年5月21日
基本的にSIAM SHADEの楽曲クレジットはLUNA SEA同様に全クレジットがSIAM SHADE名義(何故かwikiには原曲が誰なのか書かれていてファンの間では周知の事実というのも共通)だったが、今作は作詞が松井五郎との共作。テレビ東京系ドラマ『恋、した。』エンディングだったためなのかは不明。

疾走感のある曲でデビュー作の勢いを彷彿とさせるが平メロのメロディーはやや印象薄めでサビになると急にメロディアスになる。このサビのメロディーはかなりシングル向け、ブレイクを狙いに行っていたんじゃないかと思う。何故かこの次のアルバムに収録されずにそのままオリジナルアルバム未収録となっていたが、解散発表と前後してリリースされたC/W集『SIAM SHADEⅧ~B-side Collection~』のラストにRemixで収録され(クレジット部分にいくつかの曲がリミックスされている旨がしれっと記載されている)、『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』には普通に収録された。ミックス違いは何となく音の響きが違うかな程度。
★★★☆☆
8th(B面集)アルバム『SIAM SHADEⅧ~B-side Collection~』(remix)
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~

5th PASSION

B000VOOMIG
97年7月30日
今作よりサウンドプロデューサーに当時ビーイングを離脱した明石昌夫を起用。厳密にはこの1997年にはまだビーイングでのアレンジ(小松未歩の1stアルバムとかけっこう関わっていた)やB’zのサポートも継続していたが、既に参加は激減していてB’zのライブサポートもこの年を最後に離れている。

今作ではまだプロデュースに多少の遠慮があったのか、楽曲自体もキャッチーさよりもハードさを前に出しているし、明石昌夫らしいキーボードのキラキラ感もちょろっと忍ばせている程度。一方でまくしたてるようなサビには勢いがあるが、その勢いに任せてさらっと“終わってまうぜ”と突如関西弁のようなフレーズが炸裂するなど天然面白ポイントが飛び出すのが聞きどころ。SIAM SHADEの歌詞はこのようにハードでカッコいいサウンドに乗せて時々天然面白な表現が出てくるが、ここで”終わってまうぜ”をぶち込んでくるセンスはなかなか天才的だと思う。単純に”終わってしまうぜ”だと微妙にハマりが悪く、”終わってまうぜ”がピタリハマるというのはあったにしてもこの流れでやるのが凄い。“終わっちまうぜ”ではダメだったのか

『SIAM SHADE Ⅳ・Zero』では表記は無いがボーカル再録音のアルバムバージョンらしいがイマイチ違いが分からない。『SIAM SHADE Ⅶ』では全英語詞でリメイクされており、”終わってまうぜ”が気になってしまっていたリスナーでも気にせずにカッコいいサウンドを堪能できる仕上がり。
★★★☆☆
4thアルバム『SIAM SHADE Ⅳ・Zero』(アルバムバージョン)
7thアルバム『SIAM SHADE Ⅶ』(全英語詞リメイク)
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2000.8.29 ON AIR EAST)

6th 1/3の純情な感情

B000VOOMIQ
97年11月27日
アニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』ED。フジテレビのゴールデン枠(19時30分~20時)で放送されていた人気アニメで完全にソニーが占拠していたわけではなく他社も起用されていたが、主にソニー系のミュージシャンがこのタイアップでヒットを飛ばしまくり、ビーイングと並んでアニソンではないアニメタイアップヒットの手法を確立した。特に最初のOPだったJUDY AND MARY「そばかす」がミリオン、続くOPの川本真琴「1/2」も70万枚を越える大ヒットを記録していたが、今作はそれに続く69.9万枚の大ヒットを記録した。エンディング7曲の中ではダントツで今作だけが飛び抜けたヒットだった(※最初のEDであるTHE YELLOW MONKEY「TACTICS」は「JAM」との両A面でヒットしているが「JAM」が引っ張った部分が大きい)。またJUDY AND MARY、川本真琴はそれ以前に既にヒットを出していたがSIAM SHADEは前作まで2万枚にも届かない売上で推移していて一般的にはあまり知られていない状態からいきなりの初登場7位、年明けに最高3位まで浮上するというドカ当たりであった。

前作に続いて明石昌夫がサウンドプロデュースをしているが、明らかに介入の度合いが増しており、楽曲のキラキラ感が増している。といってもキーボードが前に出すぎる事は無くあくまでメンバーの演奏が主軸でちゃんとロックバンドしている。ドキャッチーなメロディーに加えてどれだけ愛情を伝えようとしても1/3も伝わらないというフレーズのインパクト、純情な感情という韻踏みの馴染みの良さなどワードセンスも抜群でとにかく耳に残る。売れ線に走ったとかこれでアニソンバンドになってしまったとかいう見方もあったのかもしれないけど長く広く愛される曲になって今なお残り続けている曲になったのも確かだと思う。また当時はアニソンとアニメタイアップを分けたがる風潮があったが、当時の子供たちもすっかりいい大人になった昨今ではその境も無くなり、あの頃聞いていた馴染みの懐かしアニソンとして定着しているように思う。カバーも多くされているが、2011年のFLOWのカバーはシングルとしても発売されたのでカバーでは1番有名か。Buono!がカバーしたのもなかなか面白かった。

大ヒット曲だけに一般的にイメージされるSIAM SHADEの姿というのは今作以降しばらくの印象が強く、ボーカルの人は坊主(厳密には坊主手前くらいの超短髪)というイメージも強いかも。

前作同様に『SIAM SHADE Ⅳ・Zero』では表記は無いがボーカル再録音のアルバムバージョンらしいがイマイチ違いが分からない。”言えないでいる”のがなり具合にちょっと違いがあるか…?
★★★★★
4thアルバム『SIAM SHADE Ⅳ・Zero』(アルバムバージョン)
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2002.3.10 日本武道館)

7th グレイシャルLOVE

B000VOOMJ0 B00005G9UR
98年5月13日
アルバムを経てHIDEKIが栄喜という漢字表記に変わった。初登場10位とトップ10入りギリギリだったが17万枚を越えて自身2番ヒットを記録、しばらくトップ10ヒットが続くようになり、前作の売上が突出してはいたもののトップ10常連の人気を獲得した。

明石昌夫プロデュースの中では今作が最も売れ線キラキラな仕上がりになっていて、キーボードの存在感も最も強い。サビ以外ではかなりこだわりのロックサウンドも追求しているようにも聞こえるが、爽やかに突き抜けるサビは歌詞までストレートで売れ線全開。売上以上に当時のヒット曲としての印象、インパクトが強く、ベスト盤で聞くまではレンタルもしていなかったのに『CDTV』でランクインしているのを聞いているだけですっかり馴染んでいた。まあちょっとJ-POPヒットチューン的なキラキラに行き過ぎたというのはあったのかもしれないが、そもそもに狙ってこれだけキャッチーな曲が作れるんだから改めて凄いバンドだったんだなと思う。
★★★★☆
5thアルバム『SIAM SHADE Ⅴ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~

8th Dreams

B000VOOMJA B0000566JM
98年8月5日
前作より数万枚売上は低いが順位は上昇して初登場4位を記録しての連続ヒット曲。フジテレビ『プロ野球ニュース』テーマ曲という爽やかなタイアップもついていた。

スポーツ番組のテーマ曲というメジャーな感じ(?)のタイアップがついたこともあってか、ラブソングではなく夢をテーマにした爽やかソング。前2作ほどはサウンド面での明石昌夫のキラキラサウンドは無いが、サビの突き抜ける高音と前向きかつ直球で熱い歌詞がキラキラしていて実に90年代のJ-POPど真ん中。サビの歌詞の青空しか見えなさが清々しい。ここまでの連続ヒットですっかり見た目怖そうな体育会系だけどめっちゃ爽やかなバンドという印象が固まった。
★★★★☆
5thアルバム『SIAM SHADE Ⅴ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2001.12.28 日本武道館)

9th NEVER END

B000VOOMJK B00005G9VT
98年10月28日
J-POPのロックバンド然としたヒット3連発の後で改めてロックバンドとしての意地を見せたような少し毛色の異なるロックナンバー。今作ではサビ以外の演奏の複雑さがより増していてサビでもさほど突き抜けずに少し抑えたトーンになっている。このため前後のシングルに比べて地味で印象に残りにくく、実際前後のシングルより売上も落ちた(10万割れ)が、聞き込むとこのバンドの凄さがより見えてくる深い1曲。変拍子が凄いと言われることの多いSIAM SHADEだがヒット期のシングルではそれが1番出ているのが今作なんじゃないかと。

明石昌夫が関与したのは今作までとなったが前作と今作ではもう既に役目を終えていてあまり出番がないというか、「PASSION」~「グレイシャルLOVE」の時ほど明確にプロデュースしている感じが無くなってきていた感じはある。
★★★★☆
5thアルバム『SIAM SHADE Ⅴ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(1999.5.15 国立代々木競技場第一体育館)

10th 曇りのち晴れ

B000VOOMJU B00005G9WD
99年2月24日
ドラマ『鬼の棲家』主題歌。前作で一旦10万割れとなったがドラマタイアップ効果もあって「グレイシャルLOVE」に迫る17万枚の売上を記録して3番ヒットとなった。今作より明石昌夫が離れてセルフプロデュースに戻った。

ただむしろ前2作より明石昌夫参加してんじゃないの?と思うようなとびきりキャッチーなJ-POP的ヒットナンバーに仕上がっているのが印象的。ドラマを意識した部分もあったのかもしれないけど、歌詞の前向きキラキラ度合いは「Dreams」と並んでトップ級。“いつかは青空に変わるさ”とか“夢は逃げないから”とかストレートにJ-POPヒット曲頻出ワードっぽい言葉が並んでいて迷いを全て吹き飛ばすような青空しか見えないような爽快感だ。今作を最後にキラキラJ-POP感は一気に鳴りを潜めていく上に、アルバム『SIAM SHADE Ⅵ』が2面性を提示した2枚組になったり(今作はポップサイドの中でも置き場がないほどだったのでラストに配置されている)、結局それが最後のオリジナルアルバムになったりと、急速に方向性が変わっていく事になっただけにさすがにちょっと反動で葛藤が生まれるきっかけにもなってそうだなと今になってみると思う。リアルタイムで当時のチャートを見ていてあまり興味が無くても何となく聞けばヒット曲として覚えているのも今作辺りまでだったという人は多そう。

しかし一言だけ伝えたい事があると言いながら”夢は逃げないから”、”日はまた昇るから”、”いつでもそばにいる”、”誰より愛しい”と出てくる4回一言だけ伝えたい事が全て変わっていきいつしか励ましから完全な告白になってるところがちょっと面白くて好き。

今作が最後の8センチシングルとなり、今作までのシングルは2007年にマキシシングル化して再発された。
★★★★☆
6thアルバム『SIAM SHADE Ⅵ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(1999.5.15 国立代々木競技場第一体育館)

11th BLACK

B00005G7I2
99年9月15日
初のマキシシングル。しかしマキシ化で容量が増えたのに何故か今作よりカラオケ収録が無くなった(8センチ時代はカラオケが無いのは1stのみだった)。前作から7ヶ月とやや間を開けてのリリースとなったが、次回作「1999」を2週間後に発売する2作連続リリース。好調だった前作から一気に半減したが初登場5位は3番目に高い。

売れ線ドキャッチーだった前作から一転して激しさを前面に押し出したロックナンバー。まくし立てるようなサビは迫力はあるがブレイク前よりも非キャッチーで明らかにバンドが新たな方向性を目指そうともがき始めたかのようでもある。非常に聞き応えがあって意欲的な楽曲ではあるがヒットチャート向きではなかったのも確かで、今作に関しては何か新曲が2連続で出たという印象しか当時は残っていなかった。しかし久々に聞いたらこれもカッコいいな。
★★★☆☆
6thアルバム『SIAM SHADE Ⅵ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2000.8.29 ON AIR EAST)

12th 1999

B00005G7JW
99年9月29日
前作から2週間での連続リリース。激しさを強調した「BLACK」に対して今作はこれまでの方向性に近いキャッチーさをまとったSIAM SHADEのシングルらしいシングル曲。明らかに今作の方が売れ線っぽかったんだけど逆に売上を落としてしまい、低迷していった。

突き抜けるサビの爽快感には以前のSIAM SHADEの健在っぷりを感じる。一方でこれまで以上にKAZUMAとのツインボーカルを生かす試みがされていて、Bメロのカタカナ部分を栄喜とKAZUMAが交互に歌ったり、ラストでは2人の掛け合いボーカルも聞く事ができる。また曲自体はキャッチーでサビには前向きな言葉を持ってきてはいるものの全体の歌詞は世紀末的というか仕事も金もないどん底状態の中で光を見出そうとするような不況真っ只中の困窮っぷりで「Dreams」とか「曇りのち晴れ」とは一線を画する。冒頭から“暗い話題ばかりのブラウン管壊してしまうのも Feel So Good”とロックな姿勢を見せるがそれに続く歌詞は“だけど買い換えるほどのゆとりのない世の中 とりあえずReservation”である。TVがブラウン管なのが時代を感じる昨今だが買い換える余裕がないという理由で壊さないのである。カッコよくReservationとかキメているが、ここでのReservationは流れ的にブラウン管壊すので新しいTVを”予約”したという意味ではなく壊すことを”留保”したとか壊すことに”疑念”というやっぱ壊すの辞めた的な意味だろう。演奏は凄いのにこのなんとも言えない貧乏庶民ロックっぷりが切ない。SIAM SHADEにしか表現できない名曲
★★★★☆
6thアルバム『SIAM SHADE Ⅵ
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection

13th せつなさよりも遠くへ

B00005G7LT
00年4月19日
2000年唯一のシングル。C/Wが初めて2曲に増えた。7月に『SIAM SHADE Ⅵ』をリリースしたもののこれが最後のオリジナルアルバムとなったため、オリジナルアルバムに収録されたシングルは今作までとなった。初登場10位となったがこれが最後のトップ10入り

とんでもない高速で駆け抜けるハイスピードロックナンバー。とにかく演奏がとんでもなく早く、演奏の良し悪しが良く分からなくてもなんだか凄まじい勢いでとんでもないことになっている事だけは分かるとんでもない1曲。とりあえずとんでもないと連発してとんでもない感を表現してみた

サビのインパクトも強く、個人的に前2作はやや印象が薄かったが当時のヒット曲として記憶しているシングルとしては今作が最後だった。確か友人が今回の新曲いいぞと盛り上がっていた記憶もあるが、友人間でSIAM SHADEが話題になったのもこの時が最後だったかな…。

アルバム収録時にAlbum Versionと明記された唯一の曲で実際にイントロ部分が異なっている。しかし実際に表記していない「PASSION」とか「1/3の純情な感情」のアルバム音源にアルバムバージョンの記載入れておいて、今作に堂々明記されていたAlbum Version表記が消えているという配信のバージョン表記あるあるが炸裂しているのは配信の音源表記のいい加減なところだな…。
★★★★☆
6thアルバム『SIAM SHADE Ⅵ』[Album Version]
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2002.3.10 日本武道館)

14th Life

B00005HWNX
01年4月11日
1年ぶりのシングル。1年ぶりだったためかC/Wが3曲収録されていて全4曲。ただし3曲目の「時代だとか流行だとかよく解んねぇけど要はカッコ良けりゃそれでいいんじゃねぇの」はタイトルの異様な長さに対して7秒で終わるという珍作で謎っぷりが一部で話題に。今作以降アルバム制作に至らずに解散したため、最後にリリースされた『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』がアルバム初収録となった。初登場13位となりついにトップ10落ち。

スローに始まり、キーも速度も上がっていくという徐々に盛り上がっていく壮大な構成の楽曲。これまでにない緩急の付け方や生と死をテーマにしたシリアスな歌詞も含めて違う次元へ向かっていった末期屈指の名曲。一連のヒット連発に対する反動というかここのところもがいている感じはあったが、アルバムを2枚に分けるなど分裂気味だったところからしても一気に歪みが大きくなっていったようにも思う。この頃にはすっかりヒット曲としては耳に入らなくなってしまったが、解散後に『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』で聞いて妙にハマった。何故か時々無性に聞きたくなる万人受けはしそうにないけど何故か妙に好きな1曲だ。
★★★★★
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
11th(ベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅠ COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~

15th アドレナリン

B00005NYPQ
01年9月27日
前作から5ヵ月ぶりで初登場14位と連続でトップ10落ちしたので2001年になってすっかりチャートでは地味な立ち位置になってしまった。

末期3シングルの中では極端には振り切っていないがそれでも重苦しい空気は漂っていて、「曇りのち晴れ」の頃の歌詞を思うと“だけどすっかり胸はぽっかり空いたままで”とかもうヒット期の爽やかキャッチーな方向には戻れないというかどことなくもがきまくっているような雰囲気を感じる1曲。次回作は明らかに終幕を意識したファイナルソングなので、ロックバンドとしての葛藤が見られるのは結果的に今作が最後。この迷いを抜けた先を聞いてみたかった気もするが…。
★★★☆☆
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection

16th LOVE

B00005R6J6
01年11月28日
結果的にラストシングル。解散発表は年明けで発売時はラストシングルとして発売したものではなく、当時は12月28日に初の日本武道館を公演という1つの到達点が控えていたのでそこに向けての感謝の曲…にしてはなんかあれ…?という感じだったと思われる。特にちょうど1年前にLUNA SEAが終幕を発表して「LOVE SONG」をラストシングルとして発売して締めくくったばかりで今作はその時のイメージと非常に被る

曲自体が似ているわけではないが、SIAM SHADEとしては珍しい本格バラードで壮大な雰囲気や歌詞からは終幕感が漂いまくっている。なんとなくこれで終わるんじゃないかというかこの先があるのか不安になったリスナーも少なくなかったのでは。

出した時点で恐らくこれで最後の曲という意識で出したものと思われ、ラストシングルとして話題にして発売していれば売上はもう少し伸びたのかもしれないがこの末期はもう積極的に売りに行くことをあえて避けているかのようでもあり、今作も初登場20位まで順位を落としてヒットはしなかった。『SIAM SHADEⅨ A-side Collection』もほとんど宣伝しなかったのでトップ10ヒットを連発したバンドのベスト盤としては驚くほど売れずに終わってしまい、イマイチ解散自体も話題にならず知らない間に解散していたとかいつ解散したか覚えてない(「1/3の純情な感情」は知っている)というリスナーも多かったと思う。12月28日の初武道館から02年3月10日に再び日本武道館を解散ライブを行なって解散するなどファン向けにはきちんと派手に解散ライブを盛り上げてピリオドをつけてはいるんだけど、なんか地味な解散の仕方だなぁというのが当時の印象(けっこうな人気バンドだったのになんか扱い小さくない?という)。
★★★☆☆
9th(A面集)アルバム『SIAM SHADEⅨ A-side Collection
12th(ライブベスト)アルバム『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』(2001.12.28 日本武道館)

17th Still We Go

13年9月18日(DL配信)
13年10月27日(ライブ会場限定CD)

作詞:栄喜、作曲:DAITA
再結成以降で唯一リリースされた新曲。配信限定で9月に配信された後にライブ会場限定でカラオケを追加収録したCDとしても発売された。現役時代全クレジットはSIAM SHADE名義だったが、今作では個人名義になっている。

2002年3月の解散後、2007年に元チーフマネージャー中村新一が死去。この追悼のために2007年11月18日に一夜限りの再結成ライブを解散ライブを行った日本武道館で決行。これに付随してベスト盤『SIAM SHADE XI COMPLETE BEST~HEART OF ROCK~』がリリースされた。2010年にはトリビュートアルバムとライブベスト『SIAM SHADEⅩⅡ~THE BEST LIVE COLLECTION~』をリリース。2011年には東日本大震災の復興支援活動として再結成してのライブを何度か行った。2013年に再結成してツアーを行ったがその際に制作されたのが今作である。

2014年は活動が無く2015年にLUNA SEA主催のフェスに出演(この際に普段は解散している状態でライブのたびに再結成しているというニュアンスで「(20周年ツアー前なので)今解散している状態」と発言したらしい)、2015年後半から2016年にかけて20周年記念ツアーを行ったがこれを持って完結を宣言。20周年展開の際は新曲発表は無く、結果的に断続的に何度も再結成された割には基本的に過去曲でライブを行うばかりとなり新曲は今作1曲のみだった。

前向きな言葉で今を生きていくリスナーを勇気づける前向きでキャッチーなロックナンバー。作風的にはバンド後期よりも最も売れていた時期の延長にあり、「1/3の純情な感情」~「曇りのち晴れ」頃までを知っているならこれぞSIAM SHADEだと思えるような楽曲だと思う。比較的にファン向けのリリースだったのでコアでテクニカルな楽曲でも喜ばれたのではないかとも思うが、一連のヒット曲と並べても遜色のないシングルっぽい楽曲をここで書き上げていたとは…。再結成を繰り返していたのは何となく把握していたが新曲を出していたのは当時知らなかった。解散から20周年になるので2022年に過去曲回顧で取り上げようと思った時にこれだけまだ聞いてなかったので2021年の年末になってDLそて聞いてみたんだけど今作にはいい意味で驚いた。

“俺達は1つのSIAM SHADE”というフレーズもたまらないが、タイトルといい、前向きな歌詞といい、これは当時はここからまた始まるのかと、更なる新曲の制作も相当期待されたのではないかと思うが…これだけだったのは惜しい。再結成しての新曲はまだまだ聞きたかった。
★★★★☆
アルバム未収録

Still We Go
SIAM SHADE

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