槇原敬之 35周年シングル回顧4+~EMI時代 2004-2006~

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2003年6月のシングル『Good Morning!』を最後に新作リリースが無かったが、2004年に東芝EMIへの移籍を発表すると2004年4月より新作リリースが始まった。「僕が一番欲しかったもの」が久々のトップ10ヒットを記録したタイミングで「世界に一つだけの花」セルフカバーも収録したアルバム『EXPLORER』はソニー時代に匹敵する50万セールス、10年ぶりのO社1位という大ヒットを記録。さらに立て続けに古巣ワーナーよりソニー時代も網羅し、EMI移籍1発目の「優しい歌が歌えない」までの31作のシングルをリリース順に収録した決定盤的ベスト盤『Completely Recorded』がリリースされ『EXPLORER』を更に上回る売上を記録。「世界に一つだけの花」をきっかけとしてこのタイミングで売上が再ブレイクして2度目の全盛期を迎えた。

ただその後は真理をひたすら説くような説教じみた歌詞が続いたためか、「チキンライス」提供&参加で注目される機会もあったものの大復活した人気は定着せずに売上はあっさり収束してしまった。

大きな変化として2005年頃から新たに自身のプライベートスタジオJingumae Buppu Studioが稼働、技術の進歩もあってシンセプログラマーの起用を廃止。元々自身で打ち込んだデモの段階で相当作り込んではいたらしく、事件からの復帰以降第二次ワーナー時代にはプログラミングがクレジットされた事もあったが何故か消えたり復活したり同じ曲でもシングルとアルバムであったりなかったりと不安定だった。いずれにしても第二次ワーナー時代から『EXPLORER』までは毛利泰士がRhythm Treartment→ynthesizer Prgrammingとして必ず参加していたが、『Listen To The Music 2』からは槇原本人が全ての打ち込みを担当するようになった。これに伴い毛利泰士がお役御免となりクレジットから消え、これまで基本的には”Keyboards”(『太陽』『Home Sweet Home』で一時”Programming”も追加)だった槇原のクレジットは『Listen To The Music 2』『LIFE IN DOWNTOWN』より“All Instruments”に代わった。沢田知久はEMI移籍と同時に参加しなくなり離れてしまったが、第二次ワーナー時代後半から積極起用して沢田知久に代わってメインエンジニアの座に就いた飯尾芳史もプライベートスタジオ稼働後は離れ、新たに滝澤武士を起用。以降は彼でほぼ固定され、そのまま2度目の逮捕まで最長起用の専属固定エンジニアとなった。これによるサウンド面の変化が大きく、EMI時代後半からはカシャカシャした機械音などが目立つようになり、それまで暖かみがあった打ち込みの音色の雰囲気が変わってしまった。

シングル5枚、オリジナルアルバム2枚、カバーアルバム1枚をリリースし、3年間で東芝EMI時代は幕を閉じ、また移籍となった。2006年11月にEMIから発売予定だったシングル『五つの文字』、『LIVE IN DOWNTOWN』のライブDVDは発売延期となり、シングルはそのまま発売中止で移籍後のエイベックスでのアルバム曲として収録、DVDは1年半も発売が遅れて移籍先のエイベックスから発売されるなど、終盤は決まっていたリリースも待たずに移籍を急いだ感もある。

この時代の最大の特徴はDVD付が一般的になる中で最後まで導入を見送り、シングル5枚、オリジナルアルバム2枚、カバーアルバム1枚全てがCD-EXTRA仕様だった事である。ソニー時代の『Such a Lovely Place』で凝ったCD-EXTRA(オリジナルOP曲を作ったり、起動のたびにコンテンツ増加)をやった事はあったが、EMI時代のCD-EXTRAは前半は主に秘蔵映像と題したメイキング映像を収録していたが(画質劇悪)、後半はスクリーンセイバーや壁紙などの連投だった。末期は正直もう義務感で毎回収録しているかのよう

『EXPLORER』がダントツでヒットした事もあってか10年後の2014年に『EXPLORER 10th Anniversary Edition』としてリマスター再発された。槇原敬之のオリジナルアルバムリマスターはソニー時代2作を飛ばしてワーナー時代の1st~7th、10th~12thと14th『EXPLORER』が2013~2014年の間に一挙揃った事になる。またこの時点でEMIがユニバーサルに吸収されていたため、『EXPLORER 10th Anniversary Edition』はユニバーサル品番(UPCY)に変わっている。また何故か逮捕前2019年の30周年を前倒しで掲げてリリースしたカバーアルバムのベスト盤『The Best of Listen To The Music』はユニバーサルからリリースされている。シリーズ3作全てレコード会社が異なっていて『2』をリリースしただけのEMI(ユニバーサル)が何故発売権を得たのかは謎だが、前述のようなEMIでリリース予定だった作品を発売中止にしてまで急に移籍した件の穴埋め(?)をここで果たした…?

この時代を総括したベストアルバムは存在せず、EMI(ユニバーサル)からリリースされたベスト盤は前述のカバーベスト『The Best of Listen To The Music』のみとなっている。『Completely Recorded』に「優しい歌が歌えない」、『Best LIFE』では「僕が一番欲しかったもの」「世界に一つだけの花」は早くもリメイク(Renewed)されており、「明けない夜が来ることはない」のみそのまま収録されている。よってシングル5枚を聞くのもオリジナルアルバムを辿る方が早いが、早くもシングルバージョンアルバム未収録の楽曲も出てきている。

2014年 『槇原敬之 EMI時代 2004-2006 レビュー』として公開
2026.1~2026.2 35周年を記念してブログ移植リメイク

31st 優しい歌が歌えない

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2004年4月28日
10ヶ月ぶりの新作で東芝EMI移籍1作目初登場12位で売上2.1万枚と前作よりは好調な売上を記録した。初回盤DVD付がだいぶ普及してきていたが、今作ではCD-EXTRAを導入し、秘蔵映像を収録。しばらくCD-EXTRAに秘蔵映像というパターンが続くが制作現場でのメイキング…というか制作現場で息抜きにふざけている様子などが収録されていた。EMIはCCCD積極採用側のレコード会社だったので(トップの宇多田ヒカルには採用を蹴られたが)、CD-EXTRA導入はCCCD回避を目的としたものだった可能性は高い。

レンタルで聞いていた当時、唯一新品購入したシングルCDだったりもする。しかも発売直後ではなく2週間くらいして急にこの曲は買うべき曲だ!とか思ったのを記憶している。

優しい歌が歌えない

壁にぶつかった主人公がひたすら闇の中でもがき、自問自答して自らの愚かさに気づき更生するという内面描写に徹した内容。“5月の道が光ってた”というラストフレーズは5月病で落ち込んだ状態からの復活ソングとしても受け入れられそう。ドラムが左に寄っていたりと打ち込みながらもギターベースドラムピアノの各楽器の配置にステレオ感があってシンプルにバンドサウンドが強調されているのも印象的。MVでは萩原流行(2015年没)が延々と壁に向かってアタックしまくるという楽曲を体現したような内容になっていたのも印象に残っている。

タイトルは「優しい歌が歌えない」だが優しい歌が歌えない状態になった主人公が答えを見出して優しい歌が歌えそうだ、と締めて希望を持たせて終わる。実際にはこの2004年まではまだ良かったけど2005年以降の楽曲はストレートな説教と教訓で”正しさ”の主張が強くなりすぎて、どんどん優しさが失われていってしまったように思う。おそらく自分が信じる“正しい道”がより確立されたんだと思うんだけど主張しすぎたあまりに何かが歪んでしまって意固地さを感じるようになってしまった。全く自覚なしに「優しい歌が歌えない」状態になってしまったという皮肉。この先の曲を聞くとタイトルそのままの状態に陥ってしまったように思えるし、当時とは違った見方ができる曲だ。

正直今ではそんなに上位に入ってくる曲ではないのでなんであの時あんなにこの曲に引かれたのか…。ソニー以降のオリジナルアルバムは聞いていたが、この時期にベスト盤で済ませていたワーナー時代の全オリジナルアルバムも一気に集めたりもしてハマっていたのと、2004年当時は徐々に闇に向かっていくというか、体調不良が本格化してきてすっきりしない日々が続いていたから妙にしっくり来たんだろうなぁ…。
★★★☆☆
13thアルバム『EXPLORER
8thベスト『Completely Recorded
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

C/W とりあえず何か食べよう

「ファミレス」と同系統の怒ってるときはとりあえず何か食べて落ち着いてゆっくり考えようと提案する系(?)ソング。ただ「ファミレス」で言いたかったのはとりあえず何か食べる事よりも、自分がされて嫌な事は他人もしないといった類の教訓だったのに対して、今作はもっとストレートに腹が減れば機嫌もそれだけ悪くなるからとりあえず何か食べようという内容なので似ているようで違っている。意外とゆったりした曲ばかりでポップで明るい楽曲が少ない『EXPLORER』の中では明るいポップソング。
★★★☆☆
13thアルバム『EXPLORER
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

32nd 僕が一番欲しかったもの

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2004年7月28日
ドラマタイアップ効果と楽曲自体の良さが受けて初登場9位、売上8.1万枚と久々のヒットを記録。CDがすっかり売れなくなってきたので数字だけ見ると10万にも届かずしょぼめに見えるが、シングルでトップ10入りは第二次ワーナー時代は1度も果たせなかったため、逮捕前の『Hungry Spider』以来であり、事件からの復帰後ついにシングルでのトップ10復帰だった。200位以内に拡大していた登場週数でも16週を記録している。

前作同様にCD-EXTRAで秘蔵映像(メイキング)を収録。このシングルだけ公式サイトにCD-EXTRAの記載がないがユニバーサルのサイトには記載がある

同じ日テレ水曜ドラマ枠主題歌でシングルがヒットしてアルバムの先行シングルでもあるという流れが『Hungry Spider』→『Cicada』の時と時期も含めて似通っていた上、C/Wにセイン・カミュによる英語詞バージョンが収録されているところまで被っていたのでジンクス的に1999年の悪夢まで再現されないか不安になった人もいるとか…いないとか…。

僕が一番欲しかったもの

天海祐希主演日本テレビ系水曜ドラマ『ラストプレゼント 娘と生きる最後の夏』主題歌。なんと「Hungry Spider」が主題歌だったドラマ『ラビリンス』と同じ日テレ水曜ドラマ枠(22時~)に戻ってきイギリスの男性グループBLUEに提供した「THE GIFT」(作曲のみ)の日本語詞セルフカバーでもあった。

「THE GIFT」は元々来日時にSMAP「世界に一つだけの花」を聞いたメンバーが気に入ってこの曲の作者に曲を提供してほしいとなって作曲のみの提供依頼で作詞はイギリスの作詞家が行うという話になっていたが、槇原は歌詞から曲を書くスタイルなのでまずは日本語で書いてセイン・カミュが英訳した英語詞で提出。向こうの人たちが聞いてもう少し整合性がとれるものに書き直したいと言われたので何度かやり取りをして「THE GIFT」が完成したとされる。今作はその最初に書いた日本語詞バージョンという事なのでセルフカバーではあるが日本語詞「僕が一番欲しかったもの」が最初に出来たバージョンという事になる。

抽象的な“素敵なもの”を他人にあげることで自身も幸せになれるという説法がひたすら繰り返される歌詞は「Are You OK?」のように何かに例えてすらいないので情景は全く見えない。真理を歌ってはいるし、この曲の歌詞が好きだという声も多く、新たなる代表曲の1つとなったが、この時期の他の曲は「世界に一つだけの花」くらいしか知らないというリスナーならストレートにいい歌詞だと感じられると思う。前後の作品もずっと聞いていたリスナーだとまた教訓…と感じてしまい、2番の歌詞は同じ事を繰り返すという内容のため、”また”を随所に挟んで少し変えただけだったりもして疲れる歌詞のように感じるのではないか。

ただそれよりも何よりもとにかくメロディーとアレンジが神がかっていた。正直なところもうシングルヒットは出ないと思ってたんだけど、この曲はものの見事に全盛期級だったと思う。
★★★★★
13thアルバム『EXPLORER
10thベスト『Best LIFE』(Renewed)
13thベスト(販路限定)『SELECTED BEST』(Renewed)
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live/提供版「The Gift」)
2nd配信限定ライブアルバム『槇原敬之 Concert Tour 2022~宜候~』(Live)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

C/W What I wanted the most.

英語バージョンだが「THE GIFT」のセルフカバーではなく、「僕が一番欲しかったもの」をセイン・カミュが英訳したバージョン。アレンジは同じ。前述のような経緯なので2番目に出来たバージョンだが、イギリスサイドではこれでは整合性が取れていないと受け取られたようだ。メロディーだけでもやはり名曲。

「THE GIFT」の歌詞は”And the gift is what you get by givin’ more than you receive. And you’re learning fast that maybe this is how you’ll be happy”=“ギフトとは受け取るより与える事だ それを早く知ることができれば君の幸せに繋がる”というサビ部分が槇原が最も伝えたい事と一致している…というかほぼこれだけで完了したと言っていいほど的確に要点を抑えており、全体にはラブソングの要素を加えた歌詞に改変。確かにそっちの方が分かりやすいように思う。
★★★★★
アルバム未収録
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

夏は憶えている

From 13thアルバム『EXPLORER
The Beach Boys風アレンジが施されたノスタルジックなサマーソング。珍しくベースとドラムも生音のバンドサウンドで制作されている。少年時代の夏の思い出を切り取った歌詞も実際に歌詞通りに経験していなくてもどこか少年時代の夏休みに帰った気分になれる。サビで”例えどんな場所にいても自分で探さなければ何も見つからない”としっかり教訓も挟んでくるが、情景描写との繋げ方も良く、このくらいだと”教え”を聴かされている感じがほとんどないのですんなり入ってくる。『EXPLORER』にもしっかり繋がった良曲。
★★★☆☆
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)

Tag Team

From 13thアルバム『EXPLORER
ノリのいいアップナンバーなので意外と盛り上がりの少なかったアルバムの中でも盛り上げ系ナンバーに属する…がライブアルバムに入ったことは無。家族について歌った曲が多いのもこのアルバムの特徴だが、今作では独自の家族観を提示しているのが目を引く。家族というのは神様が考えてわざと分かり合えないメンバーで組んだTag Teamなんだと主張。家族の負の部分も含めて幸せに向かっていくための神様の試練なんだ的なエイベックス期にかけてよく出てくる独自の神様論がこの時期には珍しく全面展開し、その対象が家族という…。ただこれは本人提唱のものではない。かねてから我が家はなんでこんなにモメるのか、家族なのに分かり合えないのかと自身の母親との関係について思っていた槇原にある人が話してくれて肩の荷が下りたという経験から書き下ろしたとされ、その話をTag Teamとしてまとめ直したものとされている。

それにしても“テレビや映画で幸せな家族を描くのは現実があまりに違うからなんだろう”とはまたけっこうな言い様だなとは思う。
★★★☆☆

Happy Ending

From 13thアルバム『EXPLORER
暗めのミディアムバラードナンバー。正直かなり地味な曲ではあるが、先述の家族観が形成されるに至った自身の幼少期の親との思い出が実話として綴られているのである意味「Tag Team」的考えへと行き着いたのは何故なのかという答え合わせ的な意味を持つ曲ともいえる。実話とされるこの曲で描かれているのは子供の頃に万博公園に家族で出かけた日に浮かれていた槇原少年が飛ぶ鳥のおもちゃをせがんで買ってもらいとても嬉しかった…が、帰り際に母親が無駄遣いさせたと怒り出したので急に体が震え返さなきゃとオモチャを見たら既に飛ばすのに失敗してへこませてしまったので返す事も出来ず号泣…という。母親が”あんな怖い顔”でブチ切れ、槇原少年は”急に体が震え”るほどのショックを受け、”まるで死んだ鳥を抱いてる気持ち”へと陥り、”悲しくて泣く”とされているがその後”あの時あんなに泣いたことも今は笑い話だけど”というので大号泣した事が伺える。これは…う~ん…。ちょっとこの母親理不尽すぎやしないですかね。買う前に怒って買ってくれないならまだしも買って遊んで帰り際に急にブチ切れ始めるってそりゃ子供泣くよ。そして家族で出かけた割には父親の様子は一切描かれていないのはどうしてなのか。槇原少年をかばったのか一緒に怒ったのか、母親とケンカになったのか全く分からない。むしろ父親いる?来てたの?というほど全く描かれていないが、実家が電器屋をやっていた事は有名だし、今作でもわざわざ平日に出かけた事が書かれているので電器屋が定休日の平日に家族で出かけたと考えるのが自然だろう。本人は両親には感謝している旨を語り続けているが、父親の話が全く出てこず母親との衝突話ばかりでも最終的な感謝は両親宛となるのはちょっと不思議なところだ。

兼ねてから父親との関係はほぼ言及がない一方で(捕まった時に週刊誌が取材して父親のコメントが出た事はある)デビュー前後の大学受験を巡って母親と散々言い合いになっていたのは既にあちこちで語られており、母親と衝突が多かった事は既知ではあった。しかも最終的に「大学に行かなくてもいいから合格通知だけもらう」という正直意味不明な落としどころを提案したらそれでいいと言ったというエピソードも伝えられていた。そしてここに来てまた母親限定の理不尽エピソードを投入されるとなると母親としてはたまったものではないような気はする。本人は今作を出してもなお両親には感謝している旨を語り続けていたが、当時はまだ地元で電器屋もやっていただろうに…この曲は果たして実話として第3者大勢に広く聞かせて大丈夫だったのかと当時からけっこう地味に気になってしまっていた。
★★★☆☆

世界に一つだけの花

From 13thアルバム『EXPLORER
SMAPへの提供曲セルフカバー。最初に提出した「Wow」が没になった後の残りの1週間で書き下ろした楽曲。『本日ハ晴天ナリ』の歌詞にもかなり反映されていたらしいが美輪明宏の著書に影響を受け、入信したわけではないが仏教経典に興味を抱いた槇原は仏教の考えを曲に反映させるようになっていたという。今作も天上天下唯我独尊の考えが基本になっているが、そうしようと思って書いたというよりはどういう曲にしようか迷っている時の明け方に目が覚めて降ってくるようにものの10分で歌詞が書けたとも言っている。確か天上天下唯我独尊だとか仏教云々の話は少し後から語り始めた話で、最初の頃は曲が降ってくるように書けたという部分だけだったような…。

当初はアルバム曲として提供したのでセルフカバーする許諾も得ていたらしいが、シングル化して大ヒットしたのと提供直後の『本日ハ晴天ナリ』から『EXPLORER』まで間があったのもあってか、しばらくはライブでのみセルフカバーを披露していた。そのセルフカバーがついに収録されるというのは一大トピックだった。元々アレンジまで込みでSMAPへ提供していただけあって、セルフカバーでもSMAP版を踏襲したようなアレンジになっているが、間の抜けたリズム音をスパイス的に終始織り交ぜていたりとあえての大真面目ドスレートな編曲は避けたかのような形跡もある。

この曲に関しては多くの人に受け入れられた一方で、現実社会にもがき苦しむ大人を中心に競争否定は絵空事だの負け犬の戯言だのと言われたり、そもそも冒頭の歌詞も花屋に並んでる花がどれも綺麗なのは当たり前、花屋の店先には選び抜かれた花界のエリートだけ並んでいてダメな花は店には並ばないだろーが何言ってるんだという歌詞の矛盾への指摘なども相当あってかなりの賛否も巻き起こした。しまいには反戦歌にまでされてしまい、SMAPも次のシングルが出せなくなったり、平和の使者みたいになってしまったりとその後にも大きく影響した。説教路線を極めていった当時の槇原が歌うとどうも説教っぽさがより強調されてしまい、歌唱力的には劣るSMAPが歌った方がその辺りを考えずに聞けるのかなという気はする。なんだかんだあまり深く考えなければ好きな曲だ。

EMIで発表した事とJニーズという事がダブルに重なって権利的に面倒だったのか、『Best LIFE』では早速Renewedにリメイクされてしまい、冒頭ボーカルが電子加工されてしまった。ただその後のアレンジはややロック色強めながらも変な装飾は無く比較的ストレートなアレンジになっていて聞きやすい。

『春うた、夏うた。~どんなときも。』ではオリジナルセルフカバーが収録されたが、こちらは配信版ではカットされてしまい、現在でもカットされたままとなる。以降も代表曲としてライブでの演奏が多いのでライブアルバムへの収録の機会も多いが、DL一括購入のみ可、単独DL不可、STカットという扱いが長年続いた。2025年2月に公式に解禁が告知され、規制全面解除となった。しかし『Best LIFE』はJニーズではなく他社との兼ね合いから未配信のままなのでRenewedはCD探してこないと聞けない。
★★★★★
10thベスト『Best LIFE』(Renewed)
12thベスト『春うた、夏うた。~どんなときも。』CDのみ(配信版はカット差し替え)
13thベスト(販路限定)『SELECTED BEST』(Renewed)
2ndライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA“cELEBRATION”』(Live)
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
4thライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2010″~Sing Out Gleefully!~』(Live)
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live)
2nd配信限定ライブアルバム『槇原敬之 Concert Tour 2022~宜候~』(Live)

チキンライス
/浜田雅功と槇原敬之

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2004年11月17日
ダウンダウン司会のフジテレビ系音楽番組『HEY! HEY! HEY!』から生まれた企画作。発売元はEMIではなく、ダウンタウンが所属するよしもとのレコード会社R and C。「僕が一番欲しかったもの」リリース時の7月の放送回に出演した槇原に冗談半分で依頼したところ槇原が快諾して奇跡的にトントン拍子で話が本格化した(同番組では同じように小室に依頼したH Jungle with tもあったが、この少し前にスガシカオにも同じような冗談半分の話をした際はスガシカオが本気になったものの浜田や番組側が本気にしていなかったので話が進まなかったなんてこともあったらしい)。

制作は1曲のみでC/Wはメイキング映像ならぬメイキング音声のような作詞をした松本の証言をまとめたトラックとなっていて、3曲目にはカラオケを収録。

TV発のヒットとして初登場2位、売上18.9万枚と高い売上を記録。これは1996年以降の槇原のシングルでは30万枚を越えた『Hungry Spider』『どうしようもない僕に天使が降りてきた』に次いで3番目に高い売上となる。といっても今作は名義こそデュエットのように名前が出ているものの実際には槇原は追っかけコーラスや最後のラララなど単独で声が聞こえるところはあるもののコーラスのみ、全編が浜田ボーカルなので槇原のシングルとしてカウントしていいものなのかは微妙なところ。

チキンライス

作詞:松本人志
作詞に槇原の名前は入っていない松本単独名義。しかし封入されている松本直筆の歌詞と完成版の歌詞では異なっている箇所が散見される。特に3番の平メロは松本直筆と完成版ではかなり別物になっている。松本の歌詞に槇原がメロディーをつける形で書かれたため、特に終盤は文字数も乱れまくりでメロディーに乗っからない部分が多く、構成を変えたり、槇原による書き換え(順序変更やニュアンスを変える変更、完全な書き足し)が行われた事は明らかであるが、共作扱いにはせずに松本を立てたという事だろう。これは歌唱面でも同様で“浜田雅功と槇原敬之”なのにデュエットにはなっておらずただのコーラスにしては目立つコーラス程度の存在感ではあるものの、全編浜田メインボーカルで槇原は歌詞のあるパートをソロで歌ったりはしていない(最後のラララとか槇原単独メインで聞こえる部分はある)。

松本の幼少期の貧乏だった頃の実話がそのまま歌詞にされており、歌詞を読んだ槇原が感動して号泣するシーンも放送されていた。この状況でBUSAIKUHAMADAの時(WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント)のようにおふざけに徹するのではなく、槇原の熱意に応えるように素の部分を垣間見せたような歌詞に仕上げつつ照れ隠しのようなユーモアを混ぜて芸風を堅持した松本のバランス感覚が絶妙。ただメロディー自体は温かみはあるものの、意外とパッとしないというか、そんなにシングルっぽくないというか…。

アルバムには未収録で槇原単独でのセルフカバーとしてオリジナルアルバムとベスト盤に収録された。立ち位置としてはアルバム曲としてしっくりは来たけど、ボーカルは浜田の素朴なオッサン声の方が合ってたと思う。あと槇原は“俺”は使わない(「Hungry Spider」の主題歌依頼の時に”俺”を一人称にした歌詞を提案された際も拒否している)ので、槇原単独で”俺”と歌っているオリジナル曲は貴重

その後『Bespoke』で2度目のセルフカバーを行っている。2022年発売なのに2020 ver.となっているのは元々2020年発売予定が逮捕で急遽発売中止となったため。ピアノと門倉聡によるストリングスアレンジとのみでほぼ進行するリズムオフのアレンジだが、完全にオフではなくリズムは終盤に若干聞こえる。それ以外はコーラスの感じとか音色やフレーズそのものはあまり変わっていない。わざわざもう1回作り直した意図はイマイチ見えないところはある。
★★★☆☆
オリジナルバージョンアルバム未収録
14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』(セルフカバー)
10thベスト『Best LIFE』(セルフカバー)
セルフカバーアルバム『Bespoke』(2020 ver./2度目のセルフカバー)
1st配信限定ライブアルバム『MAKIHARA NORIYUKI SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT “cELEBRATION 2015”~Starry Nights~』(Live/Christmas Medleyの1曲)
2nd配信限定ライブアルバム『槇原敬之 Concert Tour 2022~宜候~』(Live)
4th配信限定ライブアルバム『マキハラボ』(Live/「”MAKIHALAB” Christmas Medley」の1曲)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』(セルフカバー)

C/W チキンライスができるまで~松本人志~

「チキンライス」インストがバックで薄くかかる中で、松本人志のトーク断片集。歌詞になっている事柄について延々真面目に語っている声がいくつか切り貼りされているが、恐らくTV用のカメラで撮影されていた制作ドキュメント用の映像から音声だけ抜き出したと思われる。なかなか他にない斬新なトラックだ。「チキンライスができるまで」というタイトルからして、こんな風に喋っていた事を歌詞にしましたよ、という過程ということだろうか。
★★☆☆☆
アルバム未収録

33rd 明けない夜が来ることはない

B00081A4AW
2005年5月18日
36歳の誕生日当日の発売。前年の再ブレイク、「チキンライス」のヒットもあったが、あっという間に勢いは終息してしまい、初登場12位売上2.2万枚とトップ10入りを逃して『優しい歌が歌えない』とほぼ同等の売上に戻ってしまった。今作もCD-EXTRA仕様でオリジナル壁紙+スクリーンセーバー収録。CCCD狂騒は2004年9月で去ったが、レンタルのみしばらく残して販売はほぼ撤退のエイベックス、完全終了させたソニーと違いEMIはその後もCCCD採用をしばらく続けていた(ほとんど出回らなかったけど8月にはセキュアCDなんていう新CCCDまで生み出していた)のとDVD付導入も見送られていたのでそのままCD-EXTRAを続けたのだろうか。

今作より制作体制の過渡期に突入。今作では2000年以降参加していた毛利泰士が不参加となり2曲ともSynthesizer Prgrammingは足立友一に変更となった。また飯尾芳史が参加したのは今作のミックスが最後となった。

明けない夜が来ることはない

“もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対”と並ぶややこしい言い回しによる絶望からの復活ソング。「太陽」の演出にも近いものがあるが暗闇の心情が歌われる1番は音数少なめに進行し、サビで光が差すと2番からバンドサウンドへ移行。本当に光が差し込んでくるようなサビメロの美しさと広がりが感動的

当初物凄い名曲が来た!と思ったんだけど、なんだかサウンドに違和感がある。遠くで救急車のサイレンが鳴っているようなヒーホーヒーホーした音が終始薄くかかっていたり、暗闇を表現するようなチリパリとしたノイズのような音が1度引っかかると気になってしょうがない。また珍しく有賀啓雄のベース、エンジニアの飯尾芳史が何故かドラムでクレジットされており、生のバンドサウンドになっているものの、無機質で機械的な印象があまり変わらず、2番以降になってもイマイチ暖かみが感じられない。5分55秒に達する長尺もあってちょっと聞くのにも覚悟と構えが必要な感じはある。

あれほど一時御執心だった飯尾芳史のミックスだが、今作を最後に新たなエンジニアに切り替えてしまったため、『LIFE IN DOWNTOWN』では今作の録音のみのクレジットとなった。その今作はALBUM VERSIONになった事でミックスは新エンジニアの滝澤武士に変更された。それどころか飯尾のドラムクレジットも抹消されてしまい、打ち込みに差し替えられてしまったようだが、ALBUM VERSIONの方がドラムが生音っぽい響きになっているように聞こえる。序盤のノイズ演出の音色が変更されてより不穏さが増しているが2番以降のバンドサウンドがより生音っぽい響きになった事で絶望から希望の光が差してくるコントラストがよりハッキリした。ただ2番以降はヒーホーヒーホーも復活してしまうのでよほど重要なパートらしい…。それでもシングルよりは聞きやすくなった。
★★★☆☆
14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』(ALBUM VERSION)
10thベスト『Best LIFE
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

C/W スポンジ

カントリー風の明るめのポップナンバー。人間をスポンジに例え、正しさや素直さを洗剤にしてWash away! Wash away!(超訳)という何だか発想が飛びすぎたような歌。きれいになろうとしすぎるというか“汚いものは全部片っ端から洗っちゃえ”というのは飛躍しすぎだろう。”ダメな自分を好きにならなくちゃ”と「MILK」で歌っていたころとは決定的に考え方が変わってしまったわけだけど、”ダメなものは変えなきゃいけない”という思いが強くなりすぎて、このような行き過ぎた発想になってしまったようで実際『槇原敬之の本』では『本日ハ晴天ナリ』の時点で”ダメな自分は何とかしなきゃ”だと発言していたとされる。サウンド面でも変な電子音を鳴らすという傾向があって『LIFE IN DOWNTOWN』期はどうも音に馴染めない。
★★★☆☆
アルバム未収録
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

34th ココロノコンパス

B000BDJ69M
2005年11月2日
9月28日にリリースされたカバーアルバム『Listen To The Music 2』に続く新作。初登場17位、売上1.3万枚と第二次ワーナー期の低迷期の水準に戻ってしまい再ブレイクの波は完全に消え去ってしまった。今作もCD-EXTRA仕様でオリジナル壁紙(PV原画、ジャケット素材)+ペーパークラフト収録。

『Listen To The Music 2』、シングルでは今作より槇原のクレジットがKeyboardsからAll Instrumentsへと変わった。しかし今作限定でManipulatorとして足立友一(前作ではSynthesizer Prgramming)がクレジットされており、まだ完全には槇原単独で打ち込みをしていなかったらしき状況が伺え、クレジットの過渡期となった。

ココロノコンパス

これまで散々歌ってきた人のために何かしようというところに加えて、裏目に出ることがあっても何もしない方がマシだなんて思わず、その心は正しいからその心のコンパスが差す方へ恐れず進め!というという1歩進んだ教訓ソング。もの。誰かのためにと思った事ならそれは正しいというのは、余計なお節介かもしれないがその辺りは考慮せず、自身のココロノコンパスが正しいというのはこちら側の一方的な正義にも思える。個人的には100人いれば100通りの正義があるわけで、正しさに執着しすぎるとどこかで間違える事になるんじゃないかと思っているんだけど、特にこの時期の楽曲で一気に押し付けが強くなって全く響かなくなってきたのはこの辺りから本格的に正義が自分の側にしか無い(かのように思えるほど)強い主張が増えたからなのかもしれない。特にこの曲は今までのような”「僕」が気づいた事”という形式じゃなくて、最初から最後までこうあるべきという真理を知る者からの「君」へのメッセージ形式になっているので余計気になったのかもしれない。ノリ自体は明るくてポップだったので歌詞を深く気にせずに雑訳で聞けば心のままに踏み出すぞ!と背中を押してくれる単純な応援歌として聞けるところは救いか。

それにしてもわりとアップテンポな曲なのに何で5分55秒(ALBUM VERSIONだとイントロ追加により6分越え)とか妙に長くなってしまっているんだろうか?サウンドメイクに懲りすぎたのか説教の詰め込みすぎなのか。ALBUM VERSIONでは前述のようにイントロ追加に加えて、Manipulator表記消失、代わりにストリングスが追加されている。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』(ALBUM VERSION)
3rdライブアルバム『SYMPHONY ORCHESTRA “cELEBRATION 2005”~Heart Beat~』(Live)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

C/W ゥンチャカ

おそらくライブで盛り上がることを想定したようなレゲエのリズムに乗せた“君”肯定ソング。サビはみんなで踊ろう盛り上がろうというよくあるライブ向け盛り上げソングっぽい言葉が並んでいるんだけどサビ以外は良い事悪い事など道徳的な話になっているのはいかにもこの時期らしい。ゥンチャカとはレゲエのリズムをそのまま言葉にしたもの。それがそのままタイトルになり、サビでも連呼されるので意味なんか感じずに比較的すんなり聞ける1曲。

『LIFE IN DOWNTOWN』ではそのまま収録されているはずだが何故かManipulatorの表記が消え去っていて、足立友一の名前が記載されていない。
★★★☆☆
14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

35th ほんの少しだけ feat.KURO from HOME MADE 家族

B000CSUYMY
2006年2月1日
アルバム『LIFE IN DOWNTOWN』先行シングルにしてコラボシングル。feat.槇原敬之で相手の作品に参加した曲はあるが、槇原敬之のシングルでゲスト表記がついたのは今作が初で今のところ唯一となっている。今回もCD-EXTRA仕様でジャケットイラスト壁紙+スクリーンセーバー収録。結果的にEMIでの全シングル/アルバム(ライブ盤含む)がCD-EXTRA仕様であった。

今作よりAll Instruments:槇原敬之に加えて基本的にはギタリストのクレジットがあるかないかだけ(曲によってはその他楽器も入る)というクレジットで固まり、シンセプログラミングやマニピュレーター担当者の名前が完全消失ほぼ1人で打ち込みを完結させる体制が完成したようだ。以降2019年の『Design & Reason』で毛利泰士がSynthesizer Programmerとして復帰するまでこの体制が続く事となる。

結果的に今作がEMIでの最終シングルとなった。当初秋にEMIから次のシングル『五つの文字』が発売予定だったが中止となった。C/Wの新曲が無い代わりに先行で披露していたライブ音源となんと「世界に一つだけの花」ライブ音源も収録、カラオケ含めた全4トラックを収録予定だったようだ。

ほんの少しだけ feat.KURO from HOME MADE 家族

作詞:槇原敬之・KURO
2週間前にはHOME MADE 家族のシングル「You’ll be alright with 槇原敬之」にコーラス参加していたが、今度はこっちに招く形でのコラボ。HOME MADE 家族は低音ラップ担当と高音ラップボーカル担当とDJで主に役割分担された3人組だが、今作には低音ラップ担当のKUROのみの参加。KUROは作詞でも参加しており担当パートは自分で書いていると思われる。

「You’ll be alright with 槇原敬之」では”&”や”feat.”されてるのに相手を立てすぎてコーラスに留まってしまう恒例パターンで正直どこにいるんですか?状態のコーラス参加だったが、今作では基本は歌メロを槇原が歌い、ラップをKUROが担当と明確に住み分け。導入メロ→ラップ→ラップとメロの中間(1番はほぼKUROだが2番では槇原がコーラス風味でメロっぽく、KUROは低音ラップで同じ歌詞を歌う)→サビは槇原の歌とKUROのラップが並行する、という構成。共作ということもあってか、さすがに今作で真理を説いたりはせず、久々にストレートなラブソング。かなりクールで地味な曲ではあるし、もっとHOME MADE 家族のイメージに近い明るいパーティーチューンのような曲にしていればもう少しヒットしたと思うが、低音ラップと高音ボーカルのコントラストが鮮やかでコラボとしては新鮮だった。
★★★☆☆
14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

C/W Gazer

鈴木雅之への提供曲セルフカバー。2003年にシングルとして提供した「Boy,I’m gonna try so hard.」に続いてリリースされた2004年のアルバム『Shh…』の1曲目に収録されていた。「Boy,I’m gonna try so hard.」は既に『EXPLORER』でセルフカバー済みで続けて今作もセルフカバーした事に。

君を守れるような強い男になりたいと願うというラブソングな歌詞の方向性が「ほんの少しだけ」と共通しているのでこのタイミングで収録されたものと思われる。意外と勢いがあるものの「Boy,I’m gonna try so hard」の方がコクがあって印象的ではあったか。コラボと提供曲という通常とは違う条件下で制作された曲だったためか、久々にラブソングが揃ったCDとなった。
★★★☆☆
アルバム未収録
2023年アナログ盤『LIFE IN DOWNTOWN』追加収録
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

いつでも帰っておいで

From 14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN
アルバムは下町をテーマにしたものだったが、いわゆる一般的なイメージ(ご近所同士の付き合いも深いみんな顔見知りみたいな)の下町の暖かさが前面に押し出されたポップソング。純粋に暖かさを感じられる1曲だ。真理や正しい事の主張に走りすぎなければ暖かい曲はまだまだ書ける。2005年に映画『ALWAYS 三丁目の夕日』がヒットしていた時代背景もあり、なんとなくイメージしやすいところはあったかもしれないが、実際には2006年時点でも果たしてこんな昭和のドラマのような町内の繋がりがある下町が存在したのかは分からない。
★★★☆☆

遠く遠く~’06ヴァージョン~

From 14thアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』初回盤/2023年アナログ盤のみ
1992年の3rdアルバム『君は僕の宝物』収録曲、2001年シングル『桃』初回盤のみC/W桜ヴァージョンに続く2度目のセルフカバー。桜ヴァージョンでは毛利泰士と2人で打ち込み直していたが、今回は槇原単独のAll Instrumentsと小倉博和のギターの2人編成。レゲエのリズムはそのままで大枠は変えていないが桜ヴァージョンよりは明らかに全ての音色が変更されておりリアレンジ感が強い。

元々この曲は新社会人に向けて20代前半で書かれた曲だけに、メッセージがそのままストレートに伝わる原曲や桜ヴァージョンの方がタイムリーで好きなんだけど、少し大人の落ち着きを持ったアラフォー段階でのこのバージョンもこれはこれで悪くない。結局のところ散々説法を説いたり主張が強かったりするアルバム本編よりもグッと来てしまう。なんだかんだ初回盤ボーナス曲だったこの曲が1番ホッとできた。

配信版では『LIFE IN DOWNTOWN』からはカットされているが同じボーナストラックのカバーライブ音源「WHAT A WONDERFUL WORLD」も同様にそれぞれ単曲配信されている。『Best LIFE』(とさらにそこから選曲された『SELECTED BEST』)に選曲されたのもこのバージョン。
★★★★☆
10thベスト『Best LIFE』(’06ヴァージョン)
13thベスト(販路限定)『SELECTED BEST』(’06ヴァージョン)
2023年アナログ盤BOX『Noriyuki Makihara EMI Years 7inch Single Collection BOX』

 

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