Mr.Children 30周年シングル回顧2+~1996-2000~

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Mr.Children 30周年シングル回顧2+ 1996-2000

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ミスチル現象で出す曲出す曲大ヒットする中でバンド(というか桜井)が苦悩の時期に差し掛かり、難解で重い曲が増えたのがこの時期。象徴的アルバムとなった『深海』リリース後は、『深海』が何かと引き合いに出され、深海脱出か?という言葉は以降の作品で何度もリスナーの間で議論される頻出ワードとなった。

97年春には活動休止を宣言。休止中に「ニシエヒガシエ」リリースなどもあったため、後年ほど1曲も新曲が出ない年が出てくる事からすれば休止とは言えないような1年以上新作が途絶える事は無かったが、実際に長期の休みには入っていた。休暇中も桜井はPro Toolsを自宅に導入して制作を継続していたとされる。復帰後には特に複雑な楽曲が急増したが、桜井がPro Toolsの使い方をマスターしながら制作したかのような曲が多い。また小林武史との関係をどうするか、小林武史抜きでは何もできないわけではないと自立しようともがいた時期でもあったようで、後年『DISCOVERY』と『Q』の時期はある程度までメンバーだけで制作を進めてから小林武史と合流していたとも語っている。

活動休止、桜井の不倫スキャンダルによるバッシング、新たなロックバンドの台頭、宇多田ヒカル出現による音楽シーンの変革も重なり、復帰後にミスチル現象が再現される事は無かった。シングルでは「終わりなき旅」がかろうじてのラストミリオンとなり、先行シングルやシングルカットがあったとはいえ30万、40万枚まで急落する事もあり、アルバム『Q』は浜崎あゆみに大差で及ばず初登場2位となりミリオンを割り込んだ。

『DISCOVERY』でも『深海』に通じる重さを引きずったためか、『Q』では自由な作風となり、さらにジャケットでは桜井が潜水服を着ているがアーティスト写真ではメンバー4人が潜水服のヘルメットを脱いでわきに抱えて笑顔でグッドサインをしているというもっと視覚的に『深海』脱出をイメージさせようともしていた。

ただ作風がヘンテコすぎてイマイチ伝わらなかったと考えたのか、翌01年以降は新作の準備を進めながらもその前のデビュー9周年を過ぎたタイミングでここまでをベスト盤で総括。さらに分かりやすく『Q』本体では直接使用されなかった4人の潜水ヘルメットを脱いだグッド写真を『Mr.Children 1996-2000』最終曲「Hallelujah」の解説ページの背景に再使用して改めてアピール。解説にも”次のミスター・チルドレンを期待させる”で締める事で完全な区切りとした。

当時のMr.Childrenが『深海』からの重いイメージを払拭したがり、ポップ路線へ回帰しようとしていたのも重なってか、この時期をまとめた『Mr.Children 1996-2000』は「マシンガンをぶっ放せ」「I’LL BE」といったシングルを選曲しなかったり、ポップな曲やバラード系を選曲する傾向が見られ、ベストアルバムとしてはやや偏った選曲にもなっていた。

2022.5 2013年に1度リメイクしていた「Mr.Children 1996-2000+ レビュー」を全面改訂。
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000』全曲に加えて全C/Wとアルバム曲の独自追加で構成。

10th 名もなき詩

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96年2月5日
史上最高となる初動120万枚を突破し、最終的に2度目の200万枚越えを果たした『Tomorrow never knows』に続く2番ヒット作。O社史上200万枚越えシングルを2作出したのはCHAGE&ASKAに続く2組目で最終的にもこの2組しかいない。

後に初動記録はAKB商法によって抜き去られ、AKB商法への批判は過熱する事態にもなったが、今作当時のO社の集計は本来は前週に先行ランクインしてしまう分を繰り越して集計していたため、月曜発売の今作は金曜フラゲ分からの3日分で前週に初登場するはずが1週間フル+3日分が繰り越されての120万枚であった。この繰り越しルールは翌97年以降に廃止されて現在のルールになった。シングル売上が初動に偏る傾向と爆発的な大ヒットが生まれる時代はまだこの後数年は続いたものの初動記録の塗り替えが不可能になった理由の一因はこの繰り越しルール廃止も可能性があると思われる(またこれに伴ってかこれ以前はゾロ目合わせだのけっこう好き勝手に発売していたのが特別な理由がない限りみんな水曜発売になった)。

猛烈な初動売上とはなったが7週連続トップ10入りした後は割とスーッと落ちていき、15週で100位圏外となり、年明けに年間チャートの影響か2週再浮上したので100位以内登場週数は17週。初期ほど年中ランクインするような状況ではなくなり、ドカンと流行ってスーッと引いていくというのは当時のミリオン常連勢でもみんなそうなってきていた。またO社では年間1位だが、「CDTV」では僅差だったglobe「DEPARTURES」が年間1位で今作は2位だった。

なかなかに気持ち悪い感じの不気味な色合いのベロ出しジャケット桜井のベロに「NO NAME」と書いてあるだけで曲の正式なタイトルすら書いてない。なお裏ジャケ及び歌詞カードからトレイ下まで一面には桜井が口をふさがれて目をひん剥いたような殺さないでぇぇぇぇ的断末魔を思わせるような写真が乱発されていて、さらにヤベェ事になっている。一体どういうつもりだったのかは不明だがこれで敬遠されて売上に数十万単位で影響したのではないかとも思うが果たして…。

Instrumental(カラオケ)が収録されたシングルは今作が最後となり、以降27thシングル『四次元 Four Dimensions』の「ヨーイドン」で1度だけ復活したのみ。

名もなき詩

ドラマ『ピュア』主題歌。ギター中心に4人の演奏を前面に出したバンドサウンド主体となっているが、これは当時のメンバーの意向が強かったとされる。2番以降はアコーディオンのような音色が入ってきたりブラスアレンジが足されたりもしているが基本はバンドを主体としていてこの頃の小林武史のバランス感覚は相変わらず素晴らしかった。後半にはラップのような早口パートが炸裂するなど盛り上がりもハンパなく、転調してのラストサビ、そして最初に戻って(半音上がったままなので最初と同じではないが)終わっていくという構成の秀逸さも含めて文句なしにここまでの最高傑作といえる圧巻の名曲

なおイントロからAメロまではG、Am7と押さえるのも簡単な2コードしかないため、ギター初心者でもAメロだけなら練習初日で誰でも桜井和寿気分になれる曲でもある(Bメロになるとコードが増えてくるのでさすがに初日では無理、サビはバレーコードも出てくる上にラストサビ転調でほぼ全部バレーコードになって大変なので1曲弾き倒すにはそこそこ練習が必要であり最初の練習曲に選ぶと結局他の曲よりも習得に時間がかかるので注意)。

“僕はノータリン”のノータリン=脳みそが足りん=差別用語とされ放送禁止用語と判断され、当時のTV出演時の歌詞表記では“言葉では足りん”に書き換えて放送されていた。シングル及び『深海』『Mr.Children 1996-2000』『Mr.Children 2011-2015』には全て元の歌詞で掲載されているが『1/42』のみ”言葉では足りん”で掲載されている。しかし『1/42』でのライブ音源でも明らかに元の歌詞で平然と歌唱しており、当時のTV出演でも普通に無視して元の歌詞で歌っていた事があったようでそこまで徹底して禁じられていたわけではない模様。
★★★★★
5thアルバム『深海
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(regress or progress ’96-’97 tour final IN TOKYO DOME)

C/W また会えるかな

NISSANブルーバードCMソング。後からタイアップが決定したため発売当初のビニールに張られたタイアップシールに記載がなく、後から生産された分に追記されていたようだ。C/Wにまでタイアップがついたのは珍しいが後からのためか両A面にするわけでもなく完全にC/W扱いとなっている。ゲストの学生時代の同級生が今何をしているかを調査するという内容の2010年代後半に放送されていたテレ朝のバラエティ『あいつ今何してる?』のエンディングとしても使用されていた。タイトルや曲調、一部の歌詞のみを耳にしてピッタリだと起用されたのかもしれない。

ただ歌詞をよく見るとこれは…浮気か不倫かはたまた専業者かいずれにせよワンナイトな相手に「また会えるかな」と言っているけっこうな内容であり、CMタイアップも番組タイアップも全然歌詞見ないでほのぼのした曲調だけで起用してやがんな…というのが見えてくる。『B-SIDE』対談でも“下心が育てた曲”、”何の説明もしようがないというか、しないほうがいいくらいの曲”と桜井が語り、鈴木も2番はそれオンリーだと指摘して“めくるめくの世界へ”のフレーズをイジっており、中川田原はコメントゼロな始末。

『深海』『BOLERO』の作風とは大きく異なって初期っぽい雰囲気のポップなアレンジになっているので制作自体は楽しかったようだ。重たい曲が続く中で当時はこのタイトルから逆に解散を心配されるんじゃないかという懸念もあった事を鈴木が明かしており、確かに下心に見せかけて活動休止の予告ではないかと無駄に深読みするリスナーがいても不思議ではない
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

11th 花-Mement Mori-

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96年4月10日
スピッツの「チェリー」と同時発売で猛烈な1位争いを展開、今作が2週連続1位となり完全に抑え込んだかに思われたが3週目に逆転され、4週目には「チェリー」が1位となり、最終的な売上も「チェリー」が上回った(ランクイン週数は12週上回られ、売上は10万弱の差)。それでも150万枚は突破しており、今作まで8作連続ミリオンの偉業を達成。またノンタイアップでの初動売上1位の記録も更新した。

今作よりカラオケ収録が廃止され、さらに今作は1曲のみの1コイン(500円)シングルとして発売された。

花-Mement Mori-

死を想えという副題は藤原新也の著書から引用。”同年代の友人たちが家族を築いていく 人生観は様々そう誰もが知ってる”は年齢を重ねるごとに響いてくるフレーズだ。全体にずっしりと重く暗い雰囲気は漂うが”負けないように枯れないように”と芯の強さも感じられため息色した通い慣れた道を往復する人生のテーマソングとしても聞ける頼もしい1曲でもある。大サビでは一転してミスチル史上でもトップクラスにハードな激しいロックサウンドが炸裂する。全体にどっしりとしたバンドサウンドはNYのウォーターフロントスタジオでのヴィンテージ機材による録音の賜物だろうか。

この曲のイントロのアコースティックギターも簡単なのですぐ弾けるようになって冒頭だけ完全再現できるのが楽しかったなぁ…。
★★★★★
5thアルバム『深海
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
20thシングル『優しい歌』C/W(リメイク「花」)
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE』(リメイク「花」)
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

From 5thアルバム『深海』

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96年6月24日
曲間が繋がって厳密には全てではないが1つの方向性で貫かれた全体にいわゆるコンセプトアルバムとして有名な1作。直近の2シングル「名もなき詩」「花-Mement Mori-」しか収録せず、残りは次回作に回された。シングルを連発していてアルバムをしばらく出していなかったので当初から2枚に分ける構想があったというが、実際の発売は9ヶ月も開いた。

帯も無い普通のプラケース仕様で発売された。以後同様の形態での発売は05年の『I♥U』のみだが『I♥U』は黒トレイが容易に交換可能なものではないため、ケースが割れても市販品で交換可能なミスチルのアルバムは現時点で今作が最後である。

シーラカンス

深海に「Dive」してそのまま繋がっているアルバム2曲目。暗い歌いだしでシーラカンスに呼びかけると、一転してエレキギターが単独で鳴り響き、続いてリズム隊が入ってくる。このどっしりしつつもくすんだようなサウンドがこの時期の特徴でウォータフロントスタジオでのヴィンテージ機材でのアナログ録音の成果のようだ。ジャーンジャンジャッ、ジャジャンジャンジャジャ、ジャーンジャジャンジャズダダドダドダとギター→ドラムが入ってくる部分が個人的に物凄く好きな部分で、ミスチルが4人組ロックバンドであることを再確認することが出来る。徐々に演奏が盛り上がっていくが、ラストではバンドがフェードアウトしていき、やがてピアノの演奏に切り替わるとそのまま静かなバラード「手紙」へ繋がっていく。
★★★★☆
5thアルバム『深海

ありふれたLove Story~男女問題はいつも面倒だ~

「Dive」~「シーラカンス」~「手紙」と完全に繋がっていて今作もほぼシームレスに歌いだしに突入するものの演奏自体の繋がりはない。少し前の甘酸っぱい恋愛を歌っていたのが嘘のようなやさぐれまくりな作風で、出会って互いの愛が燃え上がるまではありふれたラブソングの体裁だがやがて冷め切って別れていくまでのカップルの現実にありふれた顛末までがしっかりと描かれる。過去のロマンティックなラブソングを否定するかのような身も蓋も無さに加えてわざとしゃがれた歌い方をしたりと投げやり感がハンパ無い。それでもラストでは”進め GO AWAY 進めえええ…”と強引ながらも「CROSS ROAD」と同じような締めなのは救いなのか逆に絶望か。後になってみると当の桜井本人が男女問題の面倒さに巻き込まれていた時期と見て確実なんだよなこれ…。

歌詞は抜きにしてあっけからんとしたノリのいい曲ではあるし、キャッチーでもあるので『深海』のアルバム曲でベスト盤向けだったのはこの曲だったんじゃないかと思う。
★★★★☆
5thアルバム『深海

Mirror

『深海』アルバム曲でベスト盤『Mr.Children 1996-2000』に唯一収録されたのは最も穏やかなこの曲。…だったが本当に休憩のような隠れた小曲であり、裏ベストとかならまだしも「マシンガンをぶっ放せ」を外してまで正規のベスト盤に入れるような曲だったとは思えない。ライナーにもそんなような事が書いてあるが、最初のベスト盤リリース当時はメンバー的には『Q』で潜水服を脱いだ姿をアー写にしたりととっくに『深海』モードは抜けたよアピールを繰り返していたのに、何かと『深海』が引き合いに出され続けていたので、『深海』に通じるようなエッセンスはなるべく排除し、『深海』にだってこういう軽やかな曲もあるんだよと言う事を示したかったという事だろうか。少しでも後だったら選曲されていなかったのではないか。
★★★☆☆
5thアルバム『深海
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000

深海

アルバムラストを飾るタイトルチューン。“今じゃ死にゆくことにさえ憧れるのさ”というフレーズが出てきたりとかなりダークモードな精神状態で、鎮魂歌っぽくもあるが穏やかにシーラカンス=自分の心の奥深くに向けて再び歌いかける。終盤ではけっこう派手に盛り上がるも、どこか完全に「深海」に沈み込んだままのような重い空気も漂う。最後に入っている水音はさらに深く潜る音なのか、浮上する音なのか…
★★★☆☆
5thアルバム『深海

12th マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-

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96年8月8日
初のマキシシングル。最初から帯の無い薄型マキシケース仕様。5thアルバム『深海』からのシングルカット「マシンガンをぶっ放せ」と新曲2曲が収録された。ジャケットには『MR.CHILDREN BOOTLEG』としか表記されていない。『マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-』という表記は背文字の部分のものでこれが今作の正式タイトルとして扱われている。

また曲名はあくまで「マシンガンをぶっ放せ」であったはずが2017年に1年限定配信された配信ベスト『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』収録時に「マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-」という曲名で収録され、そのまま現在の公式サイトでの曲名も「マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-」に書き換えられてしまった。『Mr.Children Bootleg』はあくまでこのシングル全体を指すタイトルで単独の曲名の事ではないので曲名を「マシンガンをぶっ放せ-Mr.Children Bootleg-」とするのは明確に誤表記だと思うのだが…。

シングルカットということもあって1位は獲得したが11週で100位圏外(4週トップ10入り)で70万枚程度の売上となり『CROSS ROAD』から続いていた連続ミリオンは途絶えた

マシンガンをぶっ放せ

5thアルバム『深海』からのシングルカットでアルバム内では次の曲と繋がってヘリの音がエンディング部分に被さっていたが今作ではヘリの音が消されて独立して編集されている。このためシングルバージョンといえるがそれ以外は特に変更されていない。『深海』期を象徴するような曲で、社会に向けて(?)マシンガンをぶっ放すかのように半ば投げやりにまでまくしたてるロックナンバー。歌声もだいぶやさぐれているが、この時にしか無かったロックバンドらしい尖りっぷりが貴重な1曲。ベスト盤に収録されなかったのが悔やまれる。

当時は95年にフランスが世界中の反対を押し切って核実験を強行した事から冒頭の歌詞が展開していったと思われるが、しかし2番の”愛せよ目の前の疫病を 憎めよ無能なる組織を”が現在にドンピシャしてしまっているのが凄い。
★★★★☆
5thアルバム『深海

C/W Love is Blindness

明らかに不倫を題材にしている上に苦悩&それでもこの愛を貫きたいという強い思いが赤裸々に歌われた重苦しいロックナンバー。esを理由にしても何ら救われないような苦悩がここにあり、当時はまだすっぱ抜かれる前ではあったが、桜井は現在の奥さんと不倫関係にあったとされていたので、割と当時の本心そのままだったのではないか。とにかくどん詰まり度MAXで重い。しかし鬱屈とした感情をぶつけるかのような作風はとてもロックバンドしている
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

C/W 旅人

いざ出来上がってみるとアレンジを練りに練った多重録音を重ねて完成された音源が出来上がる一方でこう4人でMr.Chidlren、衝動1発のロックバンド的な勢いが音源から感じられないのがミスチルの特徴でもあるが、今作はシンプルに4人組ロックバンドの勢いが出ているようなシンプルなロックナンバー。相変わらずしゃがれ気味、やさぐれていて重たい事は重たいがそれを吹き飛ばそうとするようにこの時期にしてはかなり爽快感のある勢いが気持ちいい。C/Wの中ではトップクラスに好きな1曲。
★★★★★
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

13th Everything(It’s you)

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97年2月5日
再度8センチに戻っての半年ぶりのシングル。これまでの多作っぷりからややを間を開けての新作となり、アルバム『BOLERO』の1ヶ月前先行シングルにもなった。2週連続1位となり、120万枚を突破しての再度のミリオンヒットとなったが先行シングルが影響してトップ10入りは4週で100位以内も13週とこれまでよりやや少なめとなった。

Everything(It’s you)

明石家さんま主演ドラマ『恋のバカンス』主題歌。リアルタイムでヒットしているのを明確に記憶しているのは個人的には今作からとなる。STAY♪して♪の高音の韻踏みも鮮やかな直球ラブソング。当時ミスチルファンの友人が「この曲は桜井さんが奥さんに向けて書いた歌なんだ」などと豪語していたが、直後に色々報道された件からしても誰かに歌っていたのだとすればたぶん相手違う罪深き秘密をこの胸にしまって墓場まで持っていこうとするくらいの相手の方だろう。

サウンド面でもビジュアル面でも最もロックに傾倒していた時期でもあり、メンバー全員がモハモハの長髪となっていていかにもなロックバンド然としていた。全体にバンドサウンドが強調されていてベスト盤のライナーに書いてあるようなハードロックまで行っているかどうかは別にしても間奏では珍しく長いギターソロまである。このギターソロは前半は田原、後半は桜井が弾いているのがMVでも確認できるが、ベスト盤の解説では桜井が弾いているとしか書かれていない「君がいた夏」の”桜井の”スライドギターといいまた黙っておけば分からないような余計な一言を…
★★★★☆
6thアルバム『BOLERO
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

C/W デルモ

モデルの視点で歌った職業哀歌。サウンド面ではソウルっぽい感じで他に似た系統も無くけっこう異色な実験作。20代後半のある程度キャリアを重ねたモデル目線の女言葉で歌われているが…なんだかそれっぽく描いてはいるもののモデル的には大きなお世話のような気も…。”涙 モデル”などと韻を踏んでいるのか駄洒落なのかという部分もあるが、最後の最後にギャグ欲求が抑えきれなかったのか突如”水泳大会のおりも政夫”という意味不明なパワーフレーズが飛び出して曲は終了していく。最後の一行だけでなくフェードアウトしていく最終盤でデルモデルモデルモデルモデル…と連呼した後におりもおりもおりもおりも…と続けて連呼するなど地味におりもおふざけが継続しているのがじわじわ来る。

現代ではネット検索により容易にフォーリーブスの元メンバーだった事や『アイドル水泳大会』での司会業が有名だったというのを知る事ができるが、発売当時からしばらくはフォーリーブスや水泳大会がTVで盛んだった80年代をリアルタイム体感していた年配世代じゃないと分からないネタであり、友人間でもおりも政夫ってなんだ…?誰なんだ…?実在するのか?とひたすら疑問が飛び交うばかりで誰1人おりも政夫とは何なのか知らずに謎のままであった。

『B-SIDE』収録時の手書きの歌詞カードではこの最後の1行に注釈が追記されていて※この一文は本作品のコンセプト、物語りとは一切関係ありません。とわざわざ記載。しかし対談ではこの事には何も触れずにサウンド面での話に留まっている。
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

From 6thアルバム『BOLERO』

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97年3月5日
前作未収録になっていた「Tomorrow never knows」以降のシングルも全て収録。半ベストのような構成もあって2度目の300万枚を突破。『Atomic Heart』に続く2番ヒット作。今作発売直後のドーム公演で活動を休止した。いわゆるミスチル現象とは概ね今作までを指す。

アルバム4曲のMVが制作された事もあり、4月には「Everything (It’s you)」と「花 -Mémento-Mori-」も追加した『music clips ALIVE』というMV集VHSも発売(LDでも発売)。長らくミュージックビデオ集は今作のみでしかもDVD化されずに放置されたままであった。現在はYouTubeで公開されている。

今作より毎回特殊パッケージに凝るようになり、今作は透明スリーブ+ひまわり畑を表現するために折り畳みが多いデジパック仕様。スリーブが経年劣化でパッキパキに折れて砕ける、ブックレットの収納部がきつめなので気をつけないと開け口がビリっと破れる…など特殊ゆえの難点も増えていく。

タイムマシーンに乗って

しゃがれ気味の声で歌われるハードなロックナンバー。バンド外部のブラスアレンジも入ってくるがそれ以上に4人の演奏が激しく、ミスチルロック路線の中では最高峰の1曲。歌っている内容は過去の偉人に歌いかける内容になっているが、生と死が同列で扱われていたりと、かなり苦悩がにじみ出ている感じで重たい。間奏以降のスケールの大きい展開は小林武史の手腕が大きそうなアレンジだがこの頃は本当に天才だったなぁ…。
★★★★★
6thアルバム『BOLERO

Brandnew my lover

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97年3月5日
「タイムマシーンに乗って」以上にダークなロックナンバー。1番ではKiss MeだったBメロ部分は2番ではKill Meに変わり、”優しく殺してくれ”と日本語でも明言するなど愛と狂気が織り交ざったかのようなハードさが印象的。この方向性は本当にこの時期だけでもう2度とやる事は無いんだろうなと思う。
★★★★☆
6thアルバム『BOLERO

ALIVE

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97年3月5日
打ち込みが多用されたデジタルサウンドが無機質さを醸し出し、環状線で帰宅中から始まるが最終的にはあらゆる国境を越えていくなどスケールが大きい。夢が無くても希望が無くてもやがてどっかで光が指すから生きていこう(超訳)というなんだかギリギリでALIVEしているかのような精神状態。チャートに溢れたこの手の曲はこういった根拠のない希望がもっと絶対的な希望として歌われるものだが、そういった空気皆無。ほとんど期待してない希望。目線は死に向かっているのにギリギリのところで生を選択しているかのような切迫感がある。この時期を象徴する曲ではあるとはいえベスト盤への選曲は『深海』からは「Mirror」を選曲していたことを思うと意外で、『BOLERO』から今作だけというのはそれほど重要な位置づけゆえか。
★★★☆☆
6thアルバム『BOLERO
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000

幸せのカテゴリー

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97年3月5日
初期よりはロックテイストが強いが、初期っぽいポップさが感じられる。歌われているのは別れであの頃とは違う観念が芽生えているように思えるが、テイストが初期っぽいので『深海』以降押しつぶされそうな空気の中で1番落ち着くのはこの曲だと思う。個人的な好みでは「タイムマシーンに乗って」だけど、ベスト盤に「Mirror」を入れるくらいポップさを意識するならこれは最高の楽曲だったのでは。
★★★★☆
6thアルバム『BOLERO

14th ニシエヒガシエ

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98年2月11日
1年ぶりのシングル。ドラマ主題歌にも起用されて情報が出回っていたのでもう活動再開かと思いきや今作時点ではまだ活動休止中というのが正式な見解となっている。このため発売時のメンバー稼働は無く、ジャケットは謎の巨体な女装、MVにも偽物バンドが演奏しているシーン主体のものが制作され、C/Wもメンバー非関与の初のリミックス音源が2曲収録されるなどメンバー不在感を強めている。後に当初は覆面バンド名義でリリースする計画もあったと明かされている。

ドラマタイアップがあったもののメンバー稼働でのプロモーションが無く、楽曲もこれまでとは大きくかけ離れた内容だったこともあり、初登場1位となったものの初動の段階で半分近く売上を落とし、累計でも66万枚と前作の半分程度にまで大幅に落とす結果となった。

8センチCDはまだもう少し続くが通常の形態で開く8センチシングルは今作が最後で次回作以降は独自仕様(開き方が異なる)が続くようになった。

個人的には次回作からシングルアルバム全購入するようになったので今作が初めて手にしたシングルにして唯一レンタルしたシングルとなる(今作含めて以前のシングルはその後全て中古屋で集めた)。

ニシエヒガシエ

ドラマ『きらきらひかる』主題歌。深津絵里主演で連ドラでの視聴率は1度も20%に届かなかったが、99年、00年にスペシャルが制作され99年SPは唯一20%を越えるなど一定の人気はあったようでDVD-BOX化もされた。

桜井は休止中に自宅にPro Toolsを導入したとされていて、Pro Toolsの使い方を覚えた桜井がそれを生かして色々な音を編集して作ってみました的な1曲。実際頬をたたいた音がサンプリングされて使用されていると明かされている。後にも先にもこの手のサウンドは出てきていないほどの実験的な楽曲でこれまでのようなヒット性は皆無。今作が60万枚しか売れず、GLAYやラルクがミリオンを飛ばすようになっていたので時代は確実に動いていき、ミスチルのトップ時代は終了したんだなーと当時感じたのを記憶している。

とはいえ中学1年生の終わりだったこの時期、前年の『BOLERO』からレンタルで聞き始めた程度の段階で、もっと前からのミスチルファンの友人はドラマを見ていなかったので事前に曲を一切聞かずに発売日に待望の新曲は名曲に違いないと張り切っていた。こちらは事前に聞いていたので今回ちょっとあまりに今までと違う曲だよと伝えたのだが彼は盲目的でミスチルの新曲がハズレなわけがないと聞かなかった。その頃猿岩石の新曲「君に会いに行こう」を買っていてこの友人は今さら猿岩石なんて…と散々バカにしてくれたものだった。翌日待望のミスチル新曲を聞いた彼は死んだ目で言った。たった一言「終わった」と。このシングルの発売は3月、直後に中2のクラス替えがあってその友人と話す機会は無くなってしまったが、彼はその後ファンを続けたのだろうか。

中2以降で出会った友人たちは比較的今作を受け入れていてカラオケでもそれなりに普通に選曲していたが(中2にドンピシャだったので「光の射す方へ」とかも頻繁に選曲されていたが「終わりなき旅」を除いてこの時期の曲ばかりカラオケで歌っていた世代って実はあまりいないのでは…)、サビの途中の歌詞にないあのパートをどう発音するかで個性が出ていたのが思い出深い。サァァサァァ寄りなのかツァァツァァ寄りなのかで別れ、個人的にはサァァサァァ寄りのチョイとツ寄せだったが、新たな友人はメチャメチャハッキリとしたツァァツァァで歌っていてさすがにツ過ぎねーかと思った。

「1/42」では間奏が引き延ばされ、けっこうライブ映えのする曲だった事が分かる。
★★★☆☆
7thアルバム『DISCOVERY
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children Stadium Tour 2015 未完)

C/W ニシエヒガシエ EAST Remix

remixed by 小林武史&藤井丈司
リミックス。小林武史&藤井丈司といえば桑田佳祐の1stアルバム『Keisuke Kuwata』を共に作った仲でまさかのこんなところで再共演。リミックスを手掛けるようなトラックメイカーではなかったと思うが何故こんなところで唐突に…。歌は残してシンプルなリズムトラックでかなり抑えめな雰囲気に変貌。まあ打ち込みによる別アレンジ寄りのリミックスだなぁ…という感じで特にこれといって思うところもないがそれでもWESTよりは…。

表向きアルバム未収録C/Wだが、『B-SIDE』のシークレットトラックとして収録されたが配信版では未収録。
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE』DISC-1シークレットトラック

C/W ニシエヒガシエ WEST Remix

remixed by James Lavelle & Masayuki Kudo for U.N.K.L.E. & Major Force West Productions.
原曲にエフェクトをかけたイントロ部の演奏から「まだき…」と歌が始まった一瞬でキュロロロと音が鳴ると一転、歌が全く入らずに延々とインストが続くという謎のインストトラックになってしまう。最後にはリミキサーらしき人物(James Lavelleだろうか)のセリフが入っていてなんか英語で今作がこれにて完結するみたいな事や日付を言った後にゴセイチョウ、アリガトウゴザイマシタとかカタコトで言われる。ナンダコレ。

表向きアルバム未収録C/Wだが、『B-SIDE』のシークレットトラックとして収録されたが配信版では未収録。こんなん正直いらないから「I’LL BE」と「ヨーイドン」を収録してくれと思ったファン多かった説。
★★☆☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE』DISC-2シークレットトラック

15th 終わりなき旅

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98年10月21日
前作から8ヶ月ぶり。本格的な活動再開として大々的にアピール。新曲プロモーション含めてメンバー稼働で復活がアピールされた。その甲斐あってか初動50万枚を突破し(それでも休止前よりは低い)、6週連続トップ10入りして100位以内15週ランクイン、107万枚のミリオンヒットを達成。結果的に今作がO社最後のミリオンヒットシングルとなった。

今作では開きが1回多い折り畳み式の特殊ジャケットになっている。

GLAYやラルクが全盛期でミリオンを連発していた事や、2週目にリリースされたSPEED『ALL MY TRUE LOVE』の方が勢いがあって売上も上回っていた事、かなり大々的に復活をアピールした中でのかろうじてミリオン突破だった事もあり(ミリオン突破作の中では1番低い)、前作と違ってやはり本気出しても以前のようなトップ級ではなくなってきている事も感じられるような当時の状況ではあった。

個人的には活動再開を機に本格的に聞き始めようとこの少し前からファンの友人の助けも借りながら旧作を揃え始め(『BOLERO』と前作はレンタルはしてカセット録音はしていた)、今作より新品購入を開始。以後シングルアルバムは全てリアルタイム購入・現在も所持している(配信は買わないのもあり)。

終わりなき旅

ドラマ『殴る女』主題歌。「名もなき詩」が主題歌だった『ピュア』主演だった和久井映見主演のフジテレビ火曜9時枠のドラマだったが、視聴率は平均でかろうじて10%に乗せるも一桁を連発するような当時としては大コケに近いような状態だった。94~97年まで『妹よ』『ピュア』『バージンロード』と月9ドラマ主演作が連続大ヒットして和久井映見の人気はピークに達していたがその次の主演ドラマである今作が大コケしてしまい、民放連ドラの主演も今作が一気に最後になってしまい以降は脇に回るようになったのでよほどだったと思われる。タイトルが物騒だったせいなんだろうか。まあドラマがそんな状態だったのでドラマ主題歌としてヒットしたという感じは正直ない。ミスチルサイドとしても『ピュア』で縁のある和久井映見主演ドラマなら復帰作のタイアップとして文句なしではあったんだろうけど…。あとここまでの出演作は全く見てなかったんだけどこの後の脇に回ってからの和久井映見は見ていてけっこう印象深かったりはする。

非常に重たい曲調ではあるが励まされる歌詞、壮大な雰囲気に圧倒され当時はとにかく聞きまくった。聞いた回数はこの時期だけでダントツになっているんじゃないかと思う。ひたすら着実に前進していくようなイメージの曲だが転調に次ぐ転調で、特に最後のサビで上がるというのは珍しくは無いがこの曲の場合1回上がってさらにダメ押しでもう1回上がるので最後の高音部はかなりしんどいことになる(当時のTV出演でもひっくり返りかけていた)。しかしこれがとてもドラマティックでもある。

桜井が冒頭から終始エレキギターをジャンジャンジャン…と延々ストロークし続け、最後のサビ前の静かになる部分でも弾き続ける。某番組でこの事を止まらない歩みを表現しているなどと実際に普通はこうするという弾き方を交えながら2017年にみん杉(みんな大好き杉山勝彦)が熱弁していたが、直後に発売された『himawari』C/Wのライブ音源ではその普通はこうするという弾き方で桜井があっさり演奏していたため、止まらない歩みを表現するために絶対必要な弾き方ではなかった事があっさり判明してしまい、TVのような場で自説を披露する危険性が垣間見えた。

半年後の「3年生を送る会」で1,2年生が3年生へ送る歌としてこの曲が選ばれた。放課後練習として教室で毎日この曲をかけて歌うというのが2週間くらい続いたのかな…。ただ7分に及ぶ楽曲は長すぎるという判断が途中で下ったらしく、放送委員のカセットテープダビングストップ&ゴー編集の努力により1番途中から一気に2番サビへすっ飛ばすというやや強引なカット作業が施された。当時PCで切り貼りするような作業ができるような時代ではなく、学校にはカセットテープ再生機しか無かったはずなので、たぶん自宅でCDのカセット録音を手動で行う(途中で録音を止め途中から再開する)というアナログな作業をしたものと思われる。しかも今作にはカラオケバージョンが無いので、普通の歌入り音源を流してそれにあわせてみんなが歌うという微妙な展開であった。またさすがに声を張り上げて歌う男子もおらず、オクターブ下で歌う者ばかりとなり、思ったよりくら~い雰囲気になった。

このように印象としてはやはり中学時代を思い出す曲の1つだけど、その後も幾度となく励まされた名曲。
★★★★★
7thアルバム『DISCOVERY
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field-)

C/W Prism

活動再開作だというのに余計『深海』をこじらせたような重めのナンバーで“自分に嘘をつくのがだんだんうまくなっていく”という陰鬱な感情が歌われるダークな楽曲。心機一転したのかと思いきやこれ大丈夫なのか…?とは思ったし、全然ディスカバリーできてないような答えの見えなさがビシバシ出てしまっていたことがいつまでも『深海』を引きずられて語られる事にも繋がった。

「終わりなき旅」にも励まされたんだけど徐々に色々考える事が増えていく中で、歌詞がどんどん刺さるようになってきて割とドンピシャな1曲ではあった。けっこう当時からしばらくこのモードがハマる時期があったのでC/Wの中でもトップ級を争う好きな1曲だったりもする。
★★★★☆
7thアルバム『DISCOVERY
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

16th 光の射す方へ

B00005H06Y
99年1月13日
アルバム『DISCOVERY』3週前の先行シングル。C/Wはアルバム未収録になる事が発表されていた。初登場1位となるも初動は前々作並の30万程度に再度落ち込み、2週目3週目は9位となったがアルバム発売を機に急落。まさかの100位以内わずか6週ランクインとなり売上は46万枚。初動33万から2週目以降13万弱しか伸びなかったというのはミリオンが当たり前だったミスチルがこの売上!?と当時としてはけっこう驚愕な推移だった。

今作ではジャケットが横に開くという特殊仕様。次の2作でも3作連続でこの仕様が踏襲された。

光の射す方へ

タイトルだけで王道ヒットチューンを期待して買ったのだが(お前…『ニシエヒガシエ』の時の友人と同じ轍を…)、なんかとんでもなくマニアックな楽曲でぶっ飛んだ。「ニシエヒガシエ」に続いてPro Toolsでの編集が楽しくて仕方なかったんだろうなと思えるデジタルな実験サウンド。かなりマニアックながら2番まではそれでも一般的な曲構成で進むのに間奏から終盤に向けてはボーカルは奥に引っ込んで加工された挙句にサビ担当と光の射す方へ担当で左右にセパレートしたりとやりたい放題。このバックでずっとリフレインしているザンバッタベラ(ベラベラベラ)にもガンバッテエラ(エラエラエラ)にも絶妙に聞き取れない謎の掛け声も一体何なのか。一説ではstep up to brighter(brighterbrighterbrighter)ではないか、step up to brighterだとほぼ「光の射す方へ」の意味になってくるので要するにタイトルをリフレインさせているという説があるが、stepのところがstepよりももう少し濁音に聞こえるのでjump up to brighterではないかとも言われているようだが公式に明言はされていないようだ。後にも先にもここまでやりたい放題のシングルは他になく、00年代のバラードばかりになってきた頃にはよくこれをシングルに出来たよな…と思うようになった。

当時買うの2作目だったし、なんだかんだ聞きまくっていたらさすが中学2年生当時の柔軟な感性によって段々慣れてきてそこそこ好きな曲になった。もうこの時点で先述の友人よりもファン熱が上回っていたのではないかと思う。聞き始めが遅く以前のイメージがあまりなかったのも幸いした。大体当時ミスチルの話題を出すような同級生は大概もっと早くから聞いていて過去のヒット曲の鮮烈なイメージがあったので、前作「終わりなき旅」でさえも以前に比べればそこまでではないみたいな感触を語っていたし、今作に至ってはわけわからん感じだったんだと思う。

Mステ出演時に放送事故をぶちかましたのも印象深い。”ストッキングを取って”の部分でその先で出てくる“すっぽんぽんになって!?”というよりによってそこかよなワードでのミスをやらかし苦笑いしながら深々とお辞儀をしたのが記憶に残っている(その後から歌に復帰した)。
★★★★☆
7thアルバム『DISCOVERY
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children Stadium Tour 2015 未完)

C/W 独り言

アコースティックとコーラスメインの曲。ほとんど桜井1人で作ったようなソロに近い編成で『B-SIDE』での対談によればコーラスもメンバーがやってくれなかったから仕方なく全部自分でやったと語られていた。複雑な曲を連発していた当時としてはリラックスして聞ける数少ない曲の1つだが、さすがにかなり地味。独り言のような曲だよって自分で言ってるしな。それに地味と言いつつもたぶんカラオケで歌えるくらいはしっかりサビ以外も覚えている辺り、中学2年生当時の柔軟な感性は強い。この当時の地味(と言いつつ歌えるくらいしっかり覚えている)と後年の地味(マジでサビすら覚えてない)って全然違うよな…。
★★★☆☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

From 7thアルバム『DISCOVERY』

B00000JO90
99年2月3日
初動ミリオンを突破して180万枚を越える大ヒットを記録したが200万、300万を3連発した後だけにやや劣る印象の売上となった。

ストリングスアレンジャー四家卯大がクレジットされた初のアルバム。シングルには表記が無かったので実際には「終わりなき旅」のストリングスが四家卯大と小林武史とミスチルの始まりだったという事になるようだ。

やや横長のスリーブケース+特殊デジパック仕様。ディスク固定ではなく、さらに布ケースのような保護も無いため、雑に出し入れするとCDが擦れ跡、傷だらけになっていくという耐久性よりもデザイン重視のものとなっている。

DISCOVERY

アルバム1曲目を飾る鈍重なロックナンバー。サビも無く、ひたすら1ブロックを繰り返していく。ブロック最後でDISCOVERY連呼しているため、結局聞き終えて覚えているのはディスカバリーの連呼ばかり。何かを発見したとは到底思えないどん詰まり感に『深海』抜けてないじゃん…と思ったリスナーも多かったのでは。どこか虚ろな目で必死に見つけたと自分に言い聞かせているかのような重苦しさが漂う。ロックバンド感は強いので後年の方が貴重な1曲になったかも。
★★★☆☆
7thアルバム『DISCOVERY
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

Simple

『DISCOVERY』の中ではタイトル通りに最もシンプルかつ初期を思わせる軽快さがある。あの頃ほどポップに振り切れてないところはあるが、発売当時この曲は初期っぽいよねと友人間で話していたのを記憶している。探してたものはこんなシンプルなものだったと今作では表題曲「DISCOVERY」よりも明確な何かを見つけたようではあるが…そんなシンプルなものとは何なのか、その具体的な言及には欠けており、これまた何を発見しているのかは良く分からない
★★★☆☆
7thアルバム『DISCOVERY

#2601

作曲:鈴木英哉&桜井和寿
「Asia」以来の鈴木作曲だが結局これっきり最後に。ミスチル全楽曲中最強にハードロックな1曲にして収録日のライブで演奏しなかったので『DISCOVERY』の中でライブアルバム『1/42』に唯一外された曲。サビはかなりの高音シャウトで歌われ、喉を破壊しそうだし、最早ミスチルだとは分からないレベル。今作と『Q』の時期はバンド主導で制作を進めてから小林武史と合流して制作する形で最も小林武史を離れようとしていた時期でもあったらしいが、それゆえだろうか。しかし後半にかけての歌詞がひっでぇな…。
★★★☆☆
7thアルバム『DISCOVERY

ラララ

アルバム内では随分と穏やかでほのぼのとした曲。タイトル通りにラララ合唱できるパートもあるため観客と盛り上がっているところも『1/42』で聞くことができる。『DISCOVERY』内ではだいぶ浮いた立ち位置の1曲だったが『深海』における「Mirror」同様にベスト盤に選曲された。いい曲ではあるがベスト盤では「Mirror」と並んで飛ばしポイントになってしまっている。重い曲が多いのでバランス取りのつもりだったのだとは思うけど「ラララ」→「つよがり」の流れはベスト盤としては弱いんだよなぁ…。

また「DISCOVERY」「Simple」同様に今作でも探していたものが歌われているが今作ではさらに曖昧で”簡単そうに見えてややこしく困難そうに思えてたやすい”という探しているものが何なのかと言うと”そんなラララ そんなラララ 探してる 探してる”と最早何を探しているのかさえ分からなくなっているのではないかという勢い。どんなラララを探しているのか、ラララって何なのか、ラララ哲学が始まってしまいそうだ。なお当初「ラララ」ではなく「ホニャララ」だったらしいがメンバー全員の反対で「ラララ」になったらしい。ホニャララで歌っていたら完全にネタ曲になっていたのでは…。

結局『DISCOVERY』というアルバム、発見を示唆する曲も多く何かを見つけたかのように言っているが実態が曖昧であり、本当のところは見つけたつもりになっていた、見つけようとし過ぎて苦しんでいたというのが以降の作風を見ると思うところでもある。
★★★☆☆
7thアルバム『DISCOVERY
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

Image

物凄くシンプルに始まり、ついに降臨した小林武史のストリングスアレンジの要となる四家卯大ストリングスで物凄く壮大に盛り上がりまくり、再びシンプルに戻るアルバム最終楽曲。四家卯大は「終わりなき旅」「I’ll be」でも降臨していたが一旦は今作のみの参加で次回作『Q』には登場しなかった。

楽しく生きていくイメージを想像することを呼び掛けている曲だが、大サビでは飛び込み台の上で背中を押されて落ちていく就活前夜の心情にドンピシャみたいな現実的な事が歌われ、イメージすることの難しさを感じる1曲でもある。発売当時は受験に置き換えて聞いていたなぁ…。
★★★★☆
7thアルバム『DISCOVERY
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(ライブバージョン)

17th I’LL BE

B00005H070
99年5月12日
7thアルバム『DISCOVERY』収録曲のバラードだった「I’ll be」をアップテンポに大幅リアレンジでのシングルカット。C/Wは新曲。売上は伸びず、初動はついに20万割れ、累計でも30万にギリ到達と低迷した。

今作のジャケット表記は曲名と名前は全ての英字が大文字表記となっているため、MR.CHILDREN、KAZUTOSHI SAKURAI、TAKESHI KOBAYASHI、I’LL BE、SURRENDER表記となっている。一転して中の歌詞カード部分ではI’ll be、Surredner表記となっている。

このため今作のシングル盤タイトル自体は「I’LL BE」表記が一般的。曲としてはアルバムバージョンを「I’ll be」、シングルバージョンを「I’LL BE」小文字と大文字で区別するのが自然と定着していたが、便宜上のものであり、公式上の扱いは長年曖昧だった。公式サイトのディスコグラフィーではシングル盤としては「I’LL BE」、曲目では「I’ll be」と歌詞カードに沿った表記を続けていたためである。この公式表記のせいで大文字小文字の区別は正式なものではなく一部ファンが勝手にやっているものであるとの見方が長年強かったが2017年に1年限定で配信された『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』に収録された際の表記が「I’LL BE」となり、その後しばらくして公式サイトも曲目部分がわざわざ書き換えられ、曲目が「I’LL BE」となった。よってアルバムバージョンを「I’ll be」、シングルバージョンを「I’LL BE」と区別する表記が正式な公式表記へとしれっと変更された。2020年にYouTubeにMVを公開した際の表記も「I’LL BE」である(MV自体はI’LL BE/MR.CHILDRENと全大文字で最初にタイトル表示されるので「I’LL BE」表記にするのが最初から自然だったというのもある)。

なお「Surrender」は「SURRENDER」には書き換えられずに公式サイトは「Surrender」表記のままである。

I’LL BE

7thアルバム『DISCOVERY』収録の大作バラード「I’ll be」。超スロー&9分越えの超大作だったこの曲をアップテンポにしてシングルカットしたのが今作。面影皆無なくらい両バージョンは正反対で、詞やメロディーが同じながらほとんど別の曲。それでいてアルバム未収録、ベストにも入らなかった上に8センチシングルなので今ではけっこう貴重だ。

当時のファンの間では感情たっぷりのスローバージョンが人気だったようだが、当時から躍動感があって勢いを感じるこっちのほうが断然好きだった。歌詞の内容もアップテンポの方が合っているように思う。発売時期の影響か、今作を聞くと5月の初夏の陽気を思い起こさせられる。このシングルバージョンは『DISCOVERY』期の重さを少し抜けて開放的な方向へ向かおうとしている感じはあるんだけど『Q』とは明らかに違う、過渡期的な1曲でもあったと思う。よって『DISCOVERY』に入っているとちょっと勢いがありすぎるが、『Q』のカオスっぷりにも合わないので意外と置き場がない。
★★★★☆
シングルバージョン(I’LL BE)アルバム未収録
7thアルバム『DISCOVERY』(I’ll be)
8thアルバム(ライブ盤)『1/42』(「I’ll be」ライブバージョン)

C/W Surrender

「独り言」路線のアコースティックナンバー。ただ終盤にはスパイス的にエレキギターも入ってくるなどこちらの方がやや盛り上がる。何故かこの後のアルバム『Q』に収録されたり、『Split The Difference』でリメイクされたりと妙に扱いがいい。そこまで何度も取り上げるような曲だったとも思えないが…。『Q』では曲が始まる前にカウントが追加されており厳密にはアルバムバージョン。
★★★☆☆
9thアルバム『Q』(曲前カウント追加)

18th 口笛

B00005H071
00年1月13日
最後の8センチシングル。今作リリース時点でマキシシングルへの移行が急速進行していて既に8センチでの発売が珍しくなりつつあった。初動は再度30万枚越えに復活、この時点で前作累計を初動だけで抜き去る好調ぶりで100位以内にも14週ランクインして70万枚を突破。休止からの復帰以降の作品では「終わりなき旅」以外を全て上回り、人気を落とす中では持ち直したヒット作となった。…がこの直後にサザンオールスターズ「TSUNAMI」が超大ヒットになったり、新鋭の活躍も目立ち、この年はまだまだ大ヒットが生まれた事もあって今一歩伸びなかった感もある。実際今作では初期を思わせるポップ路線でヒットを狙った事もあってか、桜井も後にもう少し売れると思っていたとの発言を残しているし、友人間でも曲の評判が良かっただけにミスチルにミリオンはもう無理なのか…という話になったのを記憶している。

ジャケットに映っているシルエットは田原とされている。また積極的なTV出演をこなした際の桜井の髪色は金髪になっていた。金髪似合わなくね?と話題に

口笛

久々に原点回帰を果たしたミディアムなラブソング。甘いカクテルに例えたような説明もしていたが、長らくヘビーだったり複雑な曲が続いていた中で久々に初期を思わせる路線の良さに改めて気づいてやってみたという事だったようだ。

「君が好き」以降はむしろこの手のミディアム~バラード、それもさらに壮大にアレンジしたシングルの連発(コバチル化)となるが、今作はキーボードの優しい音色を生かしているものの、まだまだ天才ポップス職人小林武史としての手腕を存分に発揮したバンドとそれ以外のバランスのいいアレンジになっていた。これもコバチル化以降に改めて聞きなおした時にこの頃ってギターが凄く前にいるな(コバチル期が絞られ過ぎているだけ)、ストリングスに頼らなくても十分いい曲が作れたんだなと驚いた。当時は初期の落ち着いたバンドサウンドが戻ってきてあの頃を望むファンの評判は良く、友人間でも軒並み好評ではあったが、それでもやはりあの頃ほどは…なんていう手厳しい友人もいてそういう旬を過ぎた感がミリオンに届かない結果に繋がっていたのかもしれない。しかし改めて聞いてもいい曲だ。
★★★★☆
9thアルバム『Q
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children REFLECTION)

C/W Heavenly Kiss

倦怠期を思わせるカップルを描いた落ち着いたミディアムナンバー。30手前まで年齢を重ねて以前よりも大人な雰囲気。抑えたバンドサウンドと落ち着いた曲調で低音域で勝負しているのも新鮮だ。地味ながらもけっこう聞きこめて好きな1曲。初期にも「クラスメイト」とかで近い路線を見せていたけどこういう凝った演奏の曲もやらなくなったなぁ…。
★★★★☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

19th NOT FOUND

B000056WED
00年8月9日
今作よりマキシシングルへ完全移行。通常の薄型プラケースで帯が付属した唯一の作品(「マシンガンをぶっ放せ」、「優しい歌」~「Any」が薄型プラケース仕様だがいずれも帯は無い)。帯裏にNEW ALBUM発売が予告されていた。マキシシングルになったついでに3曲以上収録するミュージシャンも少なくなかったが特に何も変わらなかった。

発売前に桜井が最高傑作宣言をしたとしてメディアが騒いでいた(芸能ニュースで見た記憶がある)が、実際にはこの曲のために活動を続けてきたという手ごたえを語ったのが勝手に最高傑作宣言にされてしまっただけだったようだ。まだまだミリオンが出せる時代において月9主題歌タイアップでも60万台、前作より落とす結果となり、なんとも微妙な落ち目ムードになってしまった。

NOT FOUND

フジ月9ドラマ『バスストップ』主題歌。20世紀の終わりに内村光良と飯島直子で90年代序盤のトレンディードラマ(特に冴えないオッサンがキャリアウーマンと身分不相応の大恋愛をするという大筋は『101回目のプロポーズ』に着想が似ていた)を今更トレースしたかのようなアーリー90’s的大げさな恋愛ドラマで、なんだか古臭いなぁ…と思いつつもウッチャンの好感度やメインの2人の恋模様は毎回大げさでド派手だったが、サイドストーリーの主人公2人の妹と弟(内山理名、吉沢悠)の方が爽やかでいい感じだったのを記憶している。3番手で国分太一が出ていたのは…あまり覚えてないぞ…。確か主題歌がかかる専用映像が無く、毎回クライマックスのシーンで派手にかかりまくっていたのでインパクトもそれなりにあったと思う。ただやはりトレンディードラマ的な内容がもう時代にそぐわず視聴率はもう1つ伸びず初回から20%割れでグダグダ推移。一応最終回で初めて20%を越えたので結末を気にされるくらいは注目されていたらしい。

最高傑作報道に関しては周囲でも、いや今更最高傑作までは…という雰囲気が漂っていたように思う。それでも3連リズムでアコギ1本からバンドとストリングスが一体となって突き進んでいく曲の勢いは圧巻。最高傑作は言い過ぎだけどそれに近いいい曲という印象だった。サビ最後の最高音がどう頑張っても誰1人出せず、カラオケでの鬼門と化し、全員が自爆していったのも思い出。

タイトルのNOT FOUNDはインターネット普及期においてインターネットで昨日アクセスしたサイトに次の日行ってみたら無くなっていてNOT FOUNDと表示されるという実体験からつけられたもので、当時のインタビューではNOT FOUNDだけど画面のどこかをクリックすれば…など怪しいコメントもしていてまあこの話って大人なサイトを閲覧なさっていたのでは…と思わせるような口ぶりであった。

当時は確かにURL打ち間違えるとNOT FOUNDって出る事が多かったように思うけど、そのうち普通に「このサイトにアクセスできません」と日本語で出るのが一般的になってきて現在ではNOT FOUNDってあまり見かけなくなったような気もする。なお当サイトでは存在しないURLを打ち込むとNot Found表示が出るようになっている。
★★★★★
9thアルバム『Q
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸)

C/W 1999年、夏、沖縄

吉田拓郎のオマージュみたいなフォークソング。歌詞は94年に初めて沖縄を訪れた時の思いから始まり、99年7月にDISCOVERYツアーの最終地沖縄で思った事などをつらつら綴っているみたいになっていて、“もう30なのだけれど”と自身の年齢にも言及(桜井は70年3月生まれなので99年夏の沖縄では29歳、翌00年3月で30歳、メンバー4人とも同級生で桜井だけ早生まれだが99年夏の沖縄ではまだ誕生日が来ておらず全員29歳だった)、まさに30歳当時の記録、日記ともいえる。弾き語りから始まって段々バンドサウンド化していくが、延々同じメロディーを繰り返すためけっこう長い。しかしフォークな曲調は新鮮で何気にかなりハマる曲。当時カラオケで友人2人が歌ったがこの曲を知らない別の友人は、終わったと思ったらまだ続く…という長さにちょっとウンザリしていた。
★★★★☆
14thアルバム(C/W集)『B-SIDE

From 9thアルバム『Q』

B000051T91
00年9月27日
収録された2シングルが勝負曲的なヒット狙いの内容だったにも関わらずもう1つ伸ばしきれない中で、今作は浜崎あゆみに大敗しての2位、そればかりかついにアルバムでのミリオン割れにまで低迷。ミスチル落ち目ムードは最高潮に達した。

自由かつ謎曲が乱立し、当時も戸惑うリスナーが続出するほどだが一方で沼にハマったかのように熱狂的な支持も得ているという評判の分かれやすいアルバム。あまりに自由過ぎる作風からもうやる事が無くなって解散するのではないかという解散説、『深海』以降のしがらみから解放されて自由になったのではないかとする説など色々考察されていた。

潜水服の桜井というジャケットに加えてアーティスト写真では潜水ヘルメットを脱いで笑顔でグッドポーズをしている4人というかなりあからさまに『深海』脱出アピールをしたアートワークも展開していたが、肝心の作風がカオスすぎたため『深海』イメージを脱却するには至らなかった。

CENTER OF UNIVERSE

複雑な曲展開でスローな曲調なのかと思ったら突如テンポが変わって早口でまくしたて…とひたすら展開していく分裂症気味の謎曲。けっこう社会に対してもいろいろまくしたててはいるが、締めが“僕こそが中心です””ああ世界は素晴らしい”だったりと目がバッキバキになっているかのような開き直り具合でこれまでずっと漂っていた重さが無い。答えを見つけたのではなく、無理に答えを探すのを止めて楽になったような『Q』の世界観を示している曲だと思う。アルバム1曲目としては最も攻めた実験作でもあるが、最も多感な時期に聞いたためか最初はナンダコレと思ったけど早い段階で妙にハマって聞き込んだ。
★★★★☆
9thアルバム『Q

つよがり

前アルバム制作時にあったが歌モノである今作はバンドを重視した前作にはカラーが合わないので見送られていたというバラード。実際ソロ色が強く、ピアノやストリングスが前面に出てバンドサウンドが数歩以上後退している。当時は勝負的なバラードだなと思った程度だったがこれぞコバチルの雛形のような始まりの1曲であった。ただし前述のように今作ではストリングスアレンジは海外勢が担当していて四家卯大ではない。

また当時は変な曲ばかりの『Q』の中ではシングル以外で最初に印象に残るまともな曲扱いで周囲の評判も良かった記憶がある(今回のアルバムワケ分からんけど「つよがり」はいいよな!みたいなファーストトーク)。発売当時が最も好印象だったかもしれない。この手のバラードが増えていくごとに聞かない曲になってしまった。ベスト盤での「ラララ」「つよがり」「口笛」の並びもこの時期のカオスさが全く反映されていなくて穏やかすぎるように思う。

後にthe pillowsもカバーしたがそっちはロックバラードっぽくなっていてこれはなかなか良い仕上がり。
★★★☆☆
9thアルバム『Q
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000
5thベスト『Mr.Children 2011-2015』(Mr.Children Tour 2009~終末のコンフィデンスソングス~)

ロードムービー

軽快なピアノが印象的なピアノポップ。「つよがり」ばかり注目されて影が薄かったが『Q』の中の隠れ名曲だと思う。最初は『Q』全体のあまりにヘンテコな空気への戸惑いが大きすぎて気づかずにスルーしていた曲だったが、ある時ふいにこの曲かなり良くない?と気づいた。当時同じくその境地に至った友人たちと発売からしばらく経過してから「ロードムービー」の隠れ名曲っぷりについて盛り上がった記憶がある。現在はファンの間でも人気曲として認知されているようだ。
★★★★☆
9thアルバム『Q

Everything is made from a dream

作曲:Mr.Children
この曲と「その向こうへ行こう」の2曲はバンドでセッションしながら作り上げたようで現在のところ唯二の「作曲:Mr.Children」となっている。だが2曲ともとてもバンドで音を鳴らしながら作ったとは思えないバンド感の無さである。今作はワクワクするような展開ではあるもののやはりかなりクセモノ感の強いヘンテコポップ。全ては夢から始まっているというメッセージ性は強いのだが、ミスチルどこへ行く…とは強く思ったなぁ…。今となっては過去の1曲として聞けるわけだけど、最新作としてこの後1年くらい新曲が出ない状態だったんだぜ…。
★★★☆☆
9thアルバム『Q

Hallelujah

事実上の公式ライター小貫信昭氏によるベスト盤のライナーで田原のギターが新たな局面を見せた、『道標の歌』では田原のギターが大きく発展したとどういうわけか田原のギターに妙に言及をした論調で書かれているが、普通に聞いた感じだとアレンジ自体が複雑で発展的であってギターだけが特に新たな局面や発展があるようには聞こえず、何がどう新たな局面なのかは小貫氏独特の感性によるものなのか、ファンの間でも共通認識として今作のギターは田原の演奏が新しいという認識があるのか。なんとなくベスト盤にそう書いてあるから新しいのかなと思っているだけだったんだけど、改めて考えるとなんだか良く分からないんだよな。

Aメロから高音でサビになると音が低いというメロディー展開もそれはそれで新たな局面だし、壮大ながら複雑に凝りまくったようなアレンジは実際に何度も練り直したそうなので、この複雑さだけでも新たな局面であり、この時期の集大成にもなったように思う。『Q』ではこの後もう1曲実質的に桜井と小林の2人で作ったような「安らげる場所」で締めとなるが、『Mr.Children 1996-2000』では今作が最終曲となり、それまでを締めくくってすぐにシングル「優しい歌」へと繋がっていったのでここまでの最終章、次から新たなミスチルが始まるようなイメージでもあった。そういう意味でやたらライナーで強調されていた今後というよりは一旦の終点のイメージなんだよな。
★★★★☆
9thアルバム『Q
2ndベスト『Mr.Children 1996-2000

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