スキマスイッチ 20周年シングル回顧1+~2003-2007~

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1999年に大橋卓弥(Vocal)、常田真太郎(Keyboard)で結成。大橋が常田に楽曲のアレンジを依頼した事が結成のきっかけとなったとされる。当初から作詞作曲編曲は2人の連名でセルフプロデュースだったが、この手の2人組だとボーカルが作詞、演奏担当が作曲と編曲というイメージがなんとなくあるのでスキマスイッチも勝手にそう思われており、メンバーは事あるごとに2人とも作詞もするし作曲もする、2人とも曲を書いているとイメージを訂正している。ただ作詞・作曲は2人とも同じくらい手掛けているがアレンジ面では常田が一手に手掛けているようなクレジットや発言もしており、「ボーカルとアレンジャー」という言い方はしていた。実際に常田のクレジットにはOther Instruments,Treatmentという表記がされており、アレンジ面では大橋はあまり口出しせずに常田の担当分野として任せていた事が伺える。

「奏(かなで)」、「全力少年」、「ボクノート」、「ガラナ」と代表曲とされる楽曲やシングルヒットは基本的に全てこの初期に集約されている。紅白出場も2005~2007年で全てこの時期である。初出場が「全力少年」のタイミングで2006年は「ボクノート」で、2007年に「奏」と過去曲になってそのまま途絶えた。

シングル売上は最大で15万にも届いておらず、印象よりも数字は出ていない。まだまだシングルヒットが出る時代に小中ヒット、スマッシュヒットレベルの数字であり、アルバムも40万台程度であった。この時期の最後にリリースしたベスト盤で初めて70万近くまで伸ばしている。正直もっとヒットしていてもおかしくないし、売れている印象ではあったのだが…。玄人受けするような細部へのこだわりがイマイチ玄人リスナーに届いておらず、ライトリスナーには細かい事はあまり理解されずに中途半端なポジションになってしまったせいなのだろうか…。

この時期はシングル10枚、ミニアルバム1枚、アルバム3枚を立て続けにリリース。当初からアルバムは3部作構想もあったようだが、システマチックなやり方に徐々に歪みが生じつつもあったようで、2007年にはアリーナツアーなど大規模なツアーも決行したが新作リリースはシングル1枚に留まり、ベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』を置き土産として年末には翌年のソロ活動開始を告知。3度目の紅白出場を最後に2人での活動は休止状態となり、2008年は大橋はソロデビュー、常田はプロデュース活動と別々の活動を行った。ただ活動休止を正式に宣言したわけではないので、あくまでソロ活動中心の時期という認識になっている模様。

2023.7執筆

1st view

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2003年7月9日
記念すべきデビュー作。初登場68位だったが、7週トップ200にランクインし、広がる気配は見せた。今作リリース時はまだシングル作品の基本フォーマットをまだ定めていなかったらしく、C/Wは「小さな手」1曲のみの全2曲でInstrumental曲やカラオケ(Backing Track)の収録も無い。

アップテンポな曲が必要という事で制作されたためか、かなり明確にスピード感のあるナンバー。アップテンポの曲は以降のシングルでもあるがそれらとは毛色が異なり、デビュー作にして割と異色の作風でもあるように思う。とにかくどこかへと逃げ出そうと爆走していく主人公の様子は後年メンバー自ら”僕らなんて、自殺するかもしれない男の歌でデビューしましたからね(笑)”と語るほど。確かにかなり追い詰められていて切迫感が凄い。

サウンド面でも2人組というのを強調するようにアコースティックギターとピアノを軸にしたバンドサウンド。オーヴァードライブMIXでは文字通りのサウンドに厚みが増していて派手になっている。『夏雲ノイズ』でも無表記で別ミックスに変更して音の響きが変わっているが、その後はシングルバージョンで2度ベスト盤に収録されていたためか、『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selectionではオーヴァードライブMIXで選曲された。
★★★★☆
1stミニアルバム『君の話』(オーヴァードライブMIX)
1stアルバム『夏雲ノイズ』(表記は無いが別ミックス)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection(オーヴァードライブMIX)

君の話

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From 1stミニアルバム『君の話
2003年9月17日
デビューシングルから立て続けにリリースされたミニアルバムの表題曲。これもアコースティックギターとピアノを軸にしたアップテンポ。ファンキーなノリが漂う辺りも、なんとなく事務所オーガスタの伝統芸能っぽい。「view」に続いてリード曲がこれなのでこの手の作風を得意とするユニットと当時は思われてそうだが、実際はそんなことは無く、割と意識してアップテンポなのを作ろうとしていたのかなとも思う。」

エヴォリューションMixとして1stアルバムにも収録された。エヴォリューションMixではパーカッションがフューチャーされ、オリジナルでも入っていたもののそんなに聞こえなかったパカラパカラとした音が目立つようになっていて存在感が増している。べスト盤にも選曲されたがそちらはオリジナルバージョン。
★★★★☆
1stアルバム『夏雲ノイズ』(エヴォリューションMix)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

2nd 奏(かなで)

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2004年3月10日
今作よりシングル作品の基本フォーマットを確定。C/Wは歌入りの新曲、Instrumentalの新曲、そして表題曲のカラオケ(Backing Track)の合計4トラック。C/Wは実験の場とする事を決めており、このためアルバム曲とも少し異なるようなやや実験的で地味な楽曲がC/Wには多くなった。

また事務所オーガスタはBMG→Ariola(ソニー系)にオーガスタのレーベルを作ってデビュー以来そこに在籍していたが、2017年にオーガスタがユニバーサルとの提携を発表した事でソニーからユニバーサルへ全員強制移籍となり、それまでのBMG→Ariolaでリリースしていた全作品(CDはAUCK→AUCL品番)が廃盤となった。新たなユニバーサル傘下のオーガスタのレーベル(UMCA品番)から2018年1月3日に一斉再発となったが、アルバムは通常盤仕様でオリジナル、ベスト、セルフカバー盤は再発、ライブ盤は全作廃盤のままとなった。シングルは既に需要が低かったためかにほぼ淘汰され、「奏(かなで)」「全力少年」の二大代表作と前年出たばかりの最新作「LINE」の3作のみが再発された。今作は3作の中の1作となり、現在もUMCA品番で流通している。

初登場22位から1度もトップ20に入ることなくロングヒットを記録。200位以内38週(連続でランクインしたのは10月までで残り7週は2005~2007年にかけて時々浮上してのランクイン)。時代が時代だけに累計6.7万枚と枚数は大したことないが最大の代表曲として定着した。カバーも多く、2007年に島谷ひとみが最初にカバーしたのを皮切りに多数のカバーが年に数曲単位のハイペースで発表され続けた。何故か男性よりも女性アーティストのカバーが多い。

今作のロングヒットで存在を知って『夏雲ノイズ』で聞き始めたのを記憶している。ネクストブレイクどころかほぼ最大の代表曲になってしまったという事で、以降もバラードは多いんだけどいわゆる売上は高くないけどカラオケで大ヒットして初期の名バラードとして認知されたような90年代で言うところのミスチルの「抱きしめたい」、GLAYの「ずっと2人で…」に該当するようなポジションだったと思うんだけど、結果的にこれを越える存在感のヒットが出せなかったというところは時代の変化か、今作が大きすぎたゆえか…。この当時でも30万枚規模のヒットならまだ出せる時代だったけど「全力少年」「ボクノート」の最大ヒットでその半分以下だもんなぁ…。一応今作は着うたでトリプル・プラチナ、着うたフルでダブル・プラチナ、シングルトラックでミリオン認定をレコード協会から受けており、CD売上枚数以上に見えない形でのDLはされていたようではあるし、カバーが多いようにストリーミング市場でも未だに聞かれている1曲にはなっているようだ。

別れと旅立ちを歌った楽曲で卒業シーズンに特に似合う曲になっているが、歌詞の内容が意外と抽象的。男が夢追いで旅立つような曲は多いのであえて旅立つ女性を見送る男性という設定にしているが、僕と君がどういう関係なのかが意図的に曖昧にされている。”君が大人になってく”、”君の手を引くその役目が僕の使命”というフレーズから僕と君にはかなりの年齢差がある事が伺え、”君が僕の前に現れた日から”というフレーズもこれらを受けて考えると親と子のようである。しかし親子で子供の上京を歌っているにしては手を繋いでいたり、ふたりはどんな時もつながっていけるとか言ってみたりとまるで恋人同士のような表現も散見されるという。親子にも思えるし、恋人同士にも思えるがいずれでもない。1番近いのは少し年の離れたカップルならば全てのフレーズに不自然さは無くなるが…。全体ではなく部分的に広く共鳴できるようにしてあるというのが狙いか。

実はシングル表題曲の中で唯一ドラムが打ち込みでストリングスっぽい音も生ストリングスではなくシンセ。サポートはベースとアコースティックギターのみ。パッと聞き分からないが、よく聞くとちょっと軽めの響きになっているが、こってりしすぎないのが良かったのかもしれない。

『夏雲ノイズ』では前曲「えんぴつケシゴム」演奏終了後にそのまま「overture」が収録されている(このため「overture」は頭出しできない)という続けて聞いた時だけ前奏付アルバムバージョンとして聞ける仕様。さらに前奏が加わった…という感じだが元のイントロが長いのでさらに前奏があってもな…というのはあり、トラック分けを駆使した仕掛けをやってみたかった以上の意図はあまり感じられない。

セルフカバーは『DOUBLES BEST』での2人だけのセルフカバー、2017年の配信限定「奏(かなで)for 一週間フレンズ。」(ボーカルそのままで演奏を生演奏に差し替え)、同時期に制作された『re:Action』のre:produced by スキマスイッチ(全面リメイク)の3音源がある。「奏(かなで)for 一週間フレンズ。」、re:produced by スキマスイッチの2音源は基本的には大きく変えることは無くフルバンド+ストリングス編成で丁寧に新録音しているが、スキマスイッチの場合通常営業がフルバンド+ストリングスなので、原曲のあえて打ち込みにしたライトさっていうのはキャリアの中でも特例であり、それが逆に際立つ結果になっているのかも。
★★★★★
1stアルバム『夏雲ノイズ
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
配信限定(奏(かなで)for 一週間フレンズ。)
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(re:produced by スキマスイッチ)
1stセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Love Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』(re:produced by スキマスイッチ)

3rd ふれて未来を

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2004年6月16日
1stアルバム『夏雲ノイズ』1週前先行シングル。「view」「君の話」とここまでアップテンポの方が多い印象だけど、持ち歌全体としてはライブで盛り上がる曲が少なく、みんなで盛り上がる曲というイメージで制作された模様。前作がじわじわロングヒットの兆しを見せている中で初登場25位を記録し、累計で1万枚を突破したもののアルバム1週間前先行もあってさほど大きくは伸びなかった。

ウキウキするようなポップ感が眩しい1曲で、確か当時前作と今作をちらっと耳にした好印象で『夏雲ノイズ』を聞くに至ったような記憶が…。以降キャリアを重ねる中で「全力少年」「ガラナ」のヒットもあったものの系統が違うし、それ以上にシングルがミディアム~バラード多めのイメージになっていったのでこの突き抜けたポップ感が貴重というかもう少しこういう若さ溢れる感じも若いうちにやっておいてもよかったのではないか。

ポップでさらっと口ずさめるような馴染みやすさがある…と見せかけてサビがファルセットなのはカラオケ殺しでもあるし、そもそもBメロからキーが高い難曲。スキマスイッチにはこういうカラオケで簡単に歌わせねーぞというような曲が多い。

数々のライブ盤に収録されているライブ音源でもだいぶ歌い方を崩しているが、『DOUBLES BEST』の2人だけでのセルフカバーはピアノ+ボーカルのみで前半はゆったり進行するせいでかなりメロディーが崩され、テンポアップしてからも改変しまくったメロディーで歌唱しておりかなり自由な感じ。こんだけ崩しまくる曲も他に無いような。
★★★★☆
1stアルバム『夏雲ノイズ
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by 真心ブラザーズ)

螺旋

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From 1stアルバム『夏雲ノイズ
アルバム1曲目を飾ったアップテンポナンバー。当初バラードのイメージがさほど強くなかったのは「view」「君の話」「ふれて未来を」、そしてこの曲をリード曲においていたのもあったかも。アコースティックギターとピアノサウンドを生かしたオシャレなバンドサウンドを基本としてメロディーを聞かせるという初期のアップテンポナンバーでの早くも完成形といった印象。今作ではブラスサウンドも導入して、ファンキーな要素も加味されていて何となくなイメージではあるがオフィスオーガスタ所属っぽい仕上がり。

『DOUBLES BEST』で6位当選するなどファン人気も高く、ライブアルバムでも毎回ではないがちょいちょい収録されているので忘れられてはいないんだけど、メンバー発信で人気曲だというのは『DOUBLES BEST』2位だった「藍」に一点集中しており(しかも「ファン投票で1位になった事もある」といつの間にか1位扱い)、以降のベスト盤では何故か1度も選曲された事が無い。
★★★★☆
1stアルバム『夏雲ノイズ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)

4th 冬の口笛

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2004年11月24日
アルバムに続いてシングルでも初回盤DVD付が導入された最初の1作。1stアルバムのヒットを受けて今作も初登場6位へと躍進した初のトップ10ヒット。以後しばらくトップ10の常連となった。AOR風味の落ち着いたミディアムナンバー。サウンド全体の雰囲気から冬の空気感、温もりに満ちているのが印象的。1stアルバムを聞いて予想以上に良かったので今作以降はシングルも聞くようになった。

寒くなってきた頃から年末にかけて聞きたい1曲だが、逆に年が明けてしまうとなんだかしっくり来なくなり、結局1年のうち1~10月辺りまではあまり聞かなかったりする個人的に季節限定ソングの位置づけになっている。地味といえば地味なシングル曲ではあるんだけどなんかいいなぁ…から気が付くと凄くいいなぁ…に変わっていくようなそんな1曲だ。

feat.Takuya ver.は大橋のハーモニカがエンディング部分でフューチャーされたもの。曲自体は長くなっておらずアウトロ部分に新たにハーモニカが足されている
★★★★☆
2ndアルバム『空創クリップ』(feat.Takuya ver.)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by SPECIAL OTHERS)

5th 全力少年

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2005年4月20日
初登場3位を記録した本格ブレイク作。NHK紅白歌合戦にも満を持して今作で出場した。「ボクノート」と並ぶ最高売上を誇るが、O社売上記録は当時想像の半分以下の13万程度に留まっている。コブクロが40万ヒットで大ブレイクしていた時期だけに、どう考えても30万枚前後は売れたかのような印象だったんだけどスキマスイッチって本当に売上が全然伸びてないんだよな…(アルバムも初期3作で30~40万台に留まり、ベストでようやく70万近くまで突き抜けた)。丁寧に作りこむタイプで着うたで極悪音質、サビだけで済まされるようなポジションでも無かったと思うんだけど…。着うたでトリプル・プラチナ、着うたフルでプラチナ、PC配信(シングル)でゴールド、2014年以降現基準のシングルトラックでダブル・プラチナ認定は受けているが、感覚的にはCDでこのくらいの枚数出ていても不思議ではなかったような…。2018年の移籍の際に再発されて現在も流通している3シングルのうちの1作

ピアノメインのアコースティックサウンドにストリングスを生かした爽やかなアップテンポナンバー。少年時代の気持ちを取り戻そうとする歌詞が眩しい。20代の青年だった当時の彼らが歌う当時と全力で中年になった彼らが歌うこの曲はまた違った味わいもある。発売当時は20歳だったので全力で少年だったのは小学生くらいのイメージで聞いていたけど、年齢を重ねてみるとその対象が10代全般の頃にまで広がったような感覚がある。いずれにせよ大人の視点から少年時代の気持ちを思い出そうとする歌詞の内容はどの世代にとっても失ったものや得たものを思いつつ何かしら響くものはあるような1曲だと思う。”躓いて転んでたら置いてかれんだ“が2番では”遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ“と読みが同じで言葉が変わっている部分にこだわりを感じる。

『DOUBLES BEST』での2人だけのセルフカバーはピアノとアコースティックギターというシンプルな2人の演奏のアコースティックバージョンといった装いで地味にこれもいい。

リメイク以外では2020年に映画『2分の1の魔法』日本版エンドソングに起用された事を受けてリマスターとして単独再配信された際に区別のために「全力少年 (Remastered)」と表記された。何故か直後のセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~』では「全力少年 (Remastered)」表記のまま収録されたが、アルバムはアルバムで再度リマスターが施されていたはずで何故この表記をアルバム収録時にまで残したのかは謎。そもそもマスタリング違うんじゃないのか?『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~』用のリマスターが先に行われていて、その音源を「全力少年 (Remastered)」として配信していたなら同一マスターという事になるが…。
★★★★★
2ndアルバム『空創クリップ
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
24thシングル(produced by 奥田民生)
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by 奥田民生)
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』TKY selection(produced by 奥田民生)

6th 雨待ち風

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2005年6月22日
梅雨真っ盛りに発売された大バラード。早くも盤石の大バラード感があり、以後もこの手のバラードは最も得意としてシングルでも何曲も出てくるような印象。1曲1曲どれもいいんだけどそのどれもが「奏」もヒットを越えられない…というどこかそういう絶対的な認識を覆せなかったのがこれ以上のブレイクを阻んだのか…と何となく思うところもある。シングル用のバラードという気合ゆえに力作過ぎるのもあるか。ただ大ストバラがトレンドだった時代にはフィットしていたようにも思うんだけども。

元々はインディーズ時代の持ち歌で「夏雲ノイズ」というタイトルの別歌詞の曲だった。1stアルバム制作時に偉い人からアルバムをこのタイトルにすればと言われてタイトルだけ取られてしまい、改めて作り直したのが今作となる。

重い失恋バラードで暗いので今作を聞くのにどうしても構えてしまう。またよく見ると「雨待ち風」であって作中で雨が降っている描写はないんだけど、何故か土砂降りのイメージが残っているのはMVで男女2人が土砂降りの中というシーンがサビ部分で使用されているからだろう。

シングルでは6分に到達しないようにギリギリ5分59秒で終わらせているところに苦心の跡が見えるが、Album ver.はピアノストリングスによるイントロが追加され6分40秒を越える。
★★★☆☆
2ndアルバム『空創クリップ』(Album ver.)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

キレイだ

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From 2ndアルバム『空創クリップ
2005年7月20日
ほぼ1年前の2004年6月にw-inds.の12thシングルとして提供した楽曲のセルフカバー。書き下ろしではなく元々デモとしてあった曲を提供したようだが、当時のw-inds.の連続シングルヒットの中でも少し傾倒が違うゆえに割と印象に残っている曲だった。セルフカバーにあたってはこの時点ではあまり使用していなかったエレキギターを前面に出したロック調にアレンジ。w-inds.版もアレンジはw-inds.サイドでやっていたのでスキマスイッチとはだいぶ異なるイメージに仕上がっていたが、セルフカバーでもスキマスイッチの王道から大きく外して異色のアレンジにしてきたのはなかなか面白い。

ライブ映えする勢いのある仕上がりとなったため、ライブでは盛り上げナンバーの1つとしてライブ盤でも何度か登場するくらいにはスキマスイッチの曲になった感じもある。
★★★★☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

飲みに来ないか

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From 2ndアルバム『空創クリップ
2005年7月20日
朗らかな雰囲気の曲調なのでタイトルだけ見ると友人を飲みに行くようなノリの曲かと思うが彼女とケンカして仲直りまでの男性側の心情を素直に綴ったような生活感漂うラブソング。通常のベスト盤には3回全て収録されるなど異例の好待遇となっているが、リメイクされたことは無い。ファン人気が高いというより、兼ねてより大橋がお気に入りと公言しているので、MVが制作されたのもベスト好待遇も大橋の押しの強さによるところも大きいのかもしれない。3連続収録は他の曲を差し置いてやややりすぎているようにも思うが、良質なアルバム曲といった風格はある。
★★★☆☆
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』TKY selection

7th ボクノート

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2006年3月1日
映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』エンディング。声優交代リニューアル後最初の映画作品にして、初のリメイク(1作目1980年)でもあった。1996年に原作者が亡くなり、武田鉄矢が主題歌を退いて以降の旧声優陣の時代からJ-POPミュージシャンの起用も増えてきていたのでスキマスイッチの起用は珍しい事では無かった。何故か先日のYouTube企画では今のアーティストが主題歌になったのは僕らが初だと連呼していたが、SPEED、知念里奈、ゆず、島谷ひとみといったトップ10ヒットミュージシャンが既に手掛けていた。声優交代後初の映画主題歌でJ-POPミュージシャンの起用がここから連続するようになったのを勘違いしたのではないか(スタッフ事前チェック案件)。今作も「全力少年」に匹敵する売上を記録した(ほぼ横並び)の2番ヒットを記録。当時映画を見て主題歌として接した子供達が大きくなってこの時の記憶がきっかけでファンになるという種も蒔いていたんじゃないかなと。ただ2018年の移籍に伴う再発の際に「奏(かなで)」「全力少年」は再発されたのに今作は再発されなかったのでこの2作よりは格下の扱い(再発しても細々売れる見込みも無いと判断された)と思われる。

ドラえもんを存分に意識したような馴染みやすいミディアムナンバーだが、歌詞はのび太やドラえもんに寄せるというよりかは煮詰まった末に、自分自身を励ますような視点で書いたような内容になっている。いい曲ではあるんだけど、刺激は少なめだなというのと、レミオロメン「太陽の下」が同時期に出ててなんか前年ブレイクの若手が似たような春っぽいミディアムナンバー出してきたなという印象があって、双方に前年の勢いを上回るほどの勢いを感じなかったのが正直なところ。

20周年の際はオーケストラリメイクされたが…原曲で十分なストリングスをさらにド派手にオーケストラにしてもあまり驚きはなかった。この曲を20周年で選択したというところで代表曲という認識はメンバーにとっても強いんだろうなというのと『のび太の恐竜2006』世代が久々に聞いてみるのにはいいのかもなとは思った。まあ「奏」は2017年に同時に2種リメイクしているし、「全力少年」も奥田民生バージョンでシングル化、リマスター再配信もしているのでしばらく手をつけていなかった今作にお鉢が回ってきた感じもあるけど。
★★★☆☆
3rdアルバム『夕風ブレンド
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
1stセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Love Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』(for 20th Anniversary with Orchestra)

8th ガラナ

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2006年8月16日
映画『ラフ ROUGH』主題歌。連ドラ『H2~君といた日々』、映画『タッチ』と前年にあだち充原作の実写化が続いた流れがあり、一般的に野球漫画のイメージが強いあだち充だが、今作は競泳(飛び込み)モノの80年代末期の原作でアニメ化もされていない作品だった。映画『タッチ』に続いて長澤まさみ主演(速水もこみちとW主演だが長澤まさみが先)でいきなり実写映画が制作されたが、興行的にはかなり厳しい結果に…。長澤まさみもブレイク以降なかなか代表ヒットが出ずに主演作でもコケる事も少なくなかったがそれ以上に相手役の速水もこみちが同時期にOAされていた連ドラ『レガッタ~君といた永遠~』が記録的低視聴率で打ち切りになったため、ネット上では低視聴率やそれに伴う打ち切りを「レガる」「レガった」と呼ぶ文化が爆誕する有様であった。

まあそんな一応話題作として公開されはしたもののコケた主題歌タイアップだったため、正直主題歌としては浸透していないと思われる。今作が自身初にして唯一の1位となった事と、ガツンとしたアップナンバーであったため、「全力少年」に続くバラード以外の代表曲としてはある程度は認知されているのかなと。なお1位になったといっても「全力少年」「ボクノート」には及ばない12万枚で自身3番ヒットとなる。

少々がなり気味なボーカルやバラードイメージが強くなってきていた中での目が覚めるようなアップテンポナンバーだったので当時のインパクトもけっこう強かった。シングル表題曲ではこれまで使用を避けていたエレキギターを解禁したが、そんなに前面には出していない。サビでも疾走するストリングスの方が印象的でエレキギターに対して初使用もあってかだいぶ遠慮している感じはある。

『夕風ブレンド』収録時は「ガラナ」~「スフィアの羽根」~「惑星タイマー」の3曲が全てalbum ver.で繋がったような演出になっていて今作の場合はエンディングに「スフィアの羽根」へ繋がるピアノ演奏が加えられている。
★★★★☆
3rdアルバム『夕風ブレンド』(album ver.)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~

スフィアの羽根

8thシングルC/W 
朝日放送『熱闘甲子園』テーマ曲。この年の甲子園は斎藤佑樹・田中将大の投手対決に注目が集まり、決勝で決着がつかずに再試合となるなど例年以上に盛り上がり、この効果でテーマ曲も注目されて「ガラナ」でMステに出た後に改めてこの曲でもMステに出るほどの反響を得た。

2nd以降C/Wは実験の場としていたが、今作はタイアップ曲という事もあってかヒット性のあるシングル曲のような風格がある。アップテンポでもバラードでもないちょうどいいテンポ感で聞き心地も良く、馴染みやすいポップスだと思う。最早これなんでC/W送りにしちゃったのかなというレベル。一方で歌詞自体が適度な熱さもあり、ポジティブな内容なので合ってはいるんだけど、熱闘というような熱さを感じるサウンドではなくとっても涼し気なポップス然としているのであまり『熱闘甲子園』っぽくはないような気がしなくもない。

両A面ではないので慣例によってBacking Trackは収録されなかったが、3rdアルバムに収録され、以降ベスト盤に皆勤で選曲されている。『グレイテスト・ヒッツ』ではC/Wで唯一選曲され、選曲が拡大した『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』にも当たり前のように選曲され、C/W集『POPMAN’S ANOTHER WORLD』にもC/Wなので連続して収録され、さすがにもうないだろうと思ったら『POPMAN’S WORLD-Second-』では常田セレクションで選曲された。一方で『DOUBLES BEST』『re:Action』には選曲されず1度もセルフカバーはされていない。「藍」は1度やってるんだから20周年でリメイクするなら今作が良かったんだけど、当時の反響に対してはあくまで局所的な盛り上がりだった(ので知らない人は知らない、ファン人気が格段に高いわけではない)という捉え方に変わっているっぽい。

『夕風ブレンド』収録時は「ガラナ」エンディングに加えられたピアノから繋がって曲が始まるがキーが異なっていたためか、イントロド頭だけオリジナルと音程が異なる。またエンディングでオーケストラ演奏が追加されて「惑星タイマー」のalbum ver.へ繋がる。
★★★★☆
3rdアルバム『夕風ブレンド』(album ver.)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
3rdベスト(C/W集)『POPMAN’S ANOTHER WORLD
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection

9th アカツキの詩

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2006年11月22日
アルバム先行だった事もあり、前2作の10万越えヒットから一転して4万に届かない大暴落となってしまった。前作での1位獲得からトップヒット連発街道に乗り切れずにトップ10ヒット止まりになってしまったのは否めない。

曲自体はここまでの(ソロ活動前)スキマスイッチの集大成というかスキマスイッチの真髄のような名曲。バラードでもアップテンポでもないどちらにも属さないタイプの楽曲ではあるが、アコースティックサウンドを生かしつつ、適度に盛られたアレンジ、ファルセットに至るまで高音を駆使しつつ気持ちよく展開していくメロディーといい、これぞスキマスイッチと思えるポップソングだと思う。

シングルは歌が終わるとすぐに演奏も終了するが、album ver.はエンディングのアレンジを変更し、16秒ほど長くなりもう少し盛り上がってから演奏が終了するという違いがある。
★★★★★
3rdアルバム『夕風ブレンド』(album ver.)
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection

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From 3rdアルバム『夕風ブレンド
2006年11月29日
3rdアルバム1曲目で「愛」をテーマにしたバラード。タイトルは「藍」だが、歌い出しの”あい”は「愛」であり、その後の歌詞でも「恋愛」「愛すべき人」と「愛」しか使っておらず、「藍」は歌詞中に1度も出てこないところがミソ。アルバム1曲目から重厚なバラード始まりな上、届かない存在ならいっそ消えちまえ(超訳)という思考に垣間見える特有の怖さ・重さが滲み出ている歌詞も相まって少々重め。引き込まれるメロディー展開もあってか確かな1曲といった印象。ファン人気が非常に高い事がメンバー、リスナーの共通認識となっているほど人気曲オブ人気曲。なんかいつの間にかメンバーは「ファン投票で1位になった事もある曲」とか連呼してて人気No.1みたいなことになっているけど、目に見えて人気が示されたのは『DOUBLES BEST』投票の時に「奏」に続く2位だったというくらいのような気もしなくもないが…。いつ1位取ったの?

『POPMAN’S WORLD-Second-』では亀田誠治プロデュースでリメイクされたが…ストリングス四天王アレンジャーの1人である亀田誠治を起用したところでいつものJ-POPストバラになるだけで、正直思ったほどパワーアップした感じも変化もなかったなというのが正直なところだったりする。生音のバンドサウンドを基本とするところとか、ストリングスアレンジを得意とするところとか元々亀田誠治の得意とする手法はまんまスキマスイッチの基本的な作り方と一致しており、頼まれた亀田誠治も正直困惑しなかったのだろうか。一応エレキギターを使用していなかった原曲に対して使用しているという違いなんかもあるけど聴感としてあまり印象変わらなかったり…。2006年時点にセルフで完成度の高いアレンジをやれてしまっていたスキマスイッチ(というより当時はアレンジには大橋はあまり口を出さなかったみたいなのでほぼ常田)のアレンジャーとしての実力の確かさが示されたともいえる。
★★★★☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
1stセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Love Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』(藍~僕たちの色彩~)

惑星タイマー

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From 3rdアルバム『夕風ブレンド』(album ver.)、1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2006年7月にオフィスオーガスタのオールスターユニット福耳に曲提供した楽曲。それまで杏子メインボーカルで山崎まさよし、スガシカオがほぼコーラスだったが、この曲より杏子以外のメインボーカルも取るようになり、1番は大橋、2番が杏子、大サビ以降は大橋・杏子・山崎・スガで回していくボーカル編成となっていた(元ちとせは終始コーラス)。同年秋の『夕風ブレンド』でのセルフカバーはalbum ver.でオーケストラアレンジに大幅リアレンジし、メロディーもやや改変(跳ねてない)してゆったり歌唱していた。

2007年8月の『グレイテスト・ヒッツ』収録時は福耳のオケをそのまま使用(演奏のみでコーラスも含めて福耳メンバーの歌唱は全カット)した大橋単独ボーカルバージョンで初収録され、『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』にもこのバージョンが採用された。album ver.よりも福耳バージョンの方がスキマスイッチっぽいが、「星のかけらを探しに行こう Again」や夏恒例の事務所フェスAugusta Campに合わせて宇宙をテーマにしているところがロマンティック。当時の福耳では1番下の後輩であり、その立場からの指名されての曲提供で気合が入らないわけが無く、完成度は非常に高い。
★★★★☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

10th マリンスノウ

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2007年7月11日
2007年唯一の新作。3枚のアルバムを制作してスキマスイッチとして一旦やり切り、5周年にもまだ届いていない早いタイミングでの初のベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』の1ヶ月前先行シングルとなった。前作よりは売れたものの売上は回復しきれず。それでも『グレイテスト・ヒッツ』は70万に迫る最大のヒットを記録した。アリーナツアーも展開するなど最大規模のツアーを行った後はソロ活動を発表。2008年は丸1年ソロ活動に費やす事となり、事実上の活動休止状態となったが、前述のようにこの年はベストとツアーに注力して新作は今作のみで既に新規制作は停止状態になっていたっぽい。

重ための失恋バラード。「雨待ち風」とどこか印象が近いものがあるが、今作の方が気だるく、サビにあるように水中へと沈んでいくようなイメージ。ここまでの疲弊や2人の関係も少しよろしくない感じになってきていて解散の可能性もなくはなかったような時期に差し掛かっていたようだし、この曲の何とも言えない煮え切らなさはそういう状況も影響しているのかも。梅雨の蒸し暑さでぐったりする感覚とサビの沈んでいく雰囲気が妙に重なるので梅雨の印象も強い。

今作は結果的にベスト盤にしか収録されていないシングル曲となった。『re:Action』で取り上げられたのが意外だった。
★★★☆☆
1stベスト『グレイテスト・ヒッツ
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by TRICERATOPS)

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