スキマスイッチ 20周年シングル回顧2+~2008-2013~

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2007年末に大橋卓弥のソロデビューが発表され、2008年は大橋卓弥がソロで大活躍する1年となった。2008年年明け早々、年始恒例(?)のユーキャン2008キャンペーンソングとしてソロデビューシングル「はじまりの歌」が大量OAされたのも手伝って、直近のスキマスイッチを上回る売上と初登場3位を記録。2作目のシングル「ありがとう」も母の日ソングとして一定の人気を獲得した。シングル3作、アルバム1作を全てトップ10ヒットさせ、ソロでは固定のサポートバンドDrunk Monkeysを結成して5人編成でのバンド活動を行い、日本武道館公演も達成した。

きっかり1年でソロ活動を終えて2009年からはスキマスイッチの活動を再開すると発表。色々話し合ってこれまでの作り方も見つめ直したとされる。ソロが大成功したものの大橋本人は全てはスキマスイッチのため、ソロで得たものをスキマスイッチに持ち帰るつもりでソロでずっとやっていく気は無くてスキマスイッチ再始動へのモチベーションも高かったようだ。一方で常田はソロ活動の充実ぶりを外から見ていて大橋はもう戻ってこないのかもしれないと思い、いざ再開しようという時に2人のテンションに落差があり、大喧嘩に発展しながら徹底的に話し合ったとされる(通称「三茶の夜」)。

以前はお互いの楽曲やなんだかんだ明確に区切られていた担当区域(常田のアレンジ)に口を出すことはほぼ無かったが、再開以降はより具体的に2人で話し合って楽曲制作するやり方に変え、当初は常田もアレンジにまで口を出すのかと戸惑ったとも振り返っている。結果的に解散の危機にすら陥っていた関係も改善され、より2人共同作業で突き詰めていくような形に関係性も進化することになった。

この時期になるとヒットからは徐々に遠ざかり、ブレイク以降続いていたトップ10ヒットにも届かなくなっていった。初期を越える知名度を獲得した大ヒット曲もないが、アニメタイアップも増え、局所的に知名度のある曲も少なくないと思われる。完成度の面でも聞き続けたリスナーや後追いのリスナーの間ではこの時期の楽曲やアルバムの評価は以前にも負けないどころか上回る充実ぶりだったと思う。

一方でリリースペースは明らかに落ち、オリジナルアルバムは2枚に留まった。契約枚数を重ねるためなのかは分からないが、ほぼ毎ツアーごとのライブアルバム発売が始まり、2013年までの時点でオリジナル5枚に対してライブアルバムは4枚に迫り、間もなく追い抜く事は確実となった。また10周年を控えた2012年は2人だけでのリメイク企画アルバム『DOUBLES BEST』、2人だけで初の47都道府県ツアー「TOUR2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”」を開催。そして迎えた10周年2013年は前ベスト『グレイテスト・ヒッツ』の内容を全て網羅してその後の楽曲も詰め込んだ2枚組ベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』を発売した。この関係でオリジナルアルバムが途絶えたため、前ベスト時はベストのみ収録でオリジナルアルバム未収録となったシングルは先行の「マリンスノウ」だけだったが、今回は「ラストシーン」、「ユリーカ」、「スカーレット」、「トラベラーズ・ハイ」(C/W)、「Hello Espencially」の4シングルがオリジナルアルバム未収録となった(以降のコンピ盤や20周年ベストで選曲された事もあるのでベスト1回ポッキリなのは「スカーレット」だけ)。

2023.7~8執筆

11th 虹のレシピ

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2009年5月20日

以前も作詞作曲編曲は2人の名義で、2人で曲を作っているとは言っていたがシンガー(大橋)とアレンジャー(常田)という表現をする事もあるなど、アレンジ面は常田が一手に担っている分業にしているような部分もほのめかしてはいた。アレンジの中心が常田である事に変わりはないが、以降は大橋が常田のアレンジにも口を出したり、2人でもっと話し合って制作を進めるようになり、当時はシステマチックになってしまっていた作業を見つめ直したとも発言していた。

この曲が再開1作目にふさわしかったのかは正直分からない。洋楽を意識してサビであまり盛り上がらない構成にしている上に、バラードでもないのに演奏が延々続いてシングルとしては規格外の7分40秒に達するのはあまりにも長すぎる。あまり大作には聞こえないのにじんわりと長く、特にエンディング部分でナナナ合唱が始まってしまい長々と続くのが規格外にまで長くなった最大の原因。シングルでは常時使用していたストリングスを排してブラスセクションを交えたセッション主体の演奏は1発録りだったらしく、生の躍動感に満ちていて聞き心地が良い。トータルで浸れば長さを感じずに心地よく聞ける1曲ではあるんだけど、再開1発目のシングル曲としてはヒットは狙えないよなぁ…。ミスチルファンを公言しているメンバーだけに、ミスチルが休止から復活した際の「終わりなき旅」が7分越えだった…という点を意識していたのかは不明だが、地味にありそう…。

歌詞もちょっと面白く、CDをリスナーに届けていく事自体がテーマになっていて随所にメッセージが込められている。”丸いレインボゥ”はCDの事だし、ほぼそのまま置き換えられる部分も多いが、やや分かりにくく描写した部分もあり、当時のインタビューでもいくつか例を出していたが”全部覚えてなくてもいいから 落とさずに持っていてよ”はダウンロード(当時は着うた)が主流になってきていた時代を反映しており、落とさずに持っていて=ダウンロードではなく形としてCDを持っていてほしいという意味合い。”高くて辛くても あきらめんな ちょっとズルしてもいいから 君の声が必要”はキーが高くて辛くてもキー下げ等(ちょっとズル)してもいいから歌ってくれよ(君の声が必要)という意味が込められている等々…。

シングルはフェードアウトしても7分40秒だったが、album ver.は堂々完奏して10秒ほどさらに長い。全体の演奏のバランスもやや強めになっているほか、ラストのナナナ合唱も派手になっている。良く見るとコーラスに亀渕友香&The Voice of Japanが追記されている。アルバムでわざわざゴスペルシンガー隊(亀渕友香&The Voice of Japan)を呼ぶってどこに力入れているんだ。

なおメンバーは洋楽を意識してサビを盛り上げないようにしたら売れなかったとか初めてトップ10を逃した曲とYouTubeで振り返っていたがこれは事実関係がメチャクチャである。前後シングルよりは売れていないが、比較的ヒットしたことになっている次回作との差は0.6万程度しかない。トップ10に関しては完全な間違いで、1st~3rdシングルでトップ10を逃しているので初ではないし、今作は初登場5位でしっかりとトップ10ヒットしている。4th以降続いていたトップ10入りを逃したのは力作バラードシングル「さいごのひ」である。このありえない間違いについてはチェックもせずに公開した点も含めてその手の基礎データくらいはスタッフが事前資料として用意しておかなきゃダメな案件…

どこで認識が狂ったのかは不明だが、いずれにしてもメンバーがセールス的な失敗作と認識しているせいか(ほぼ誤解だが)、その後の扱いも悪い。
★★★★☆
4thアルバム『ナユタとフカシギ』(album ver.)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

11thシングルC/W
NHK教育テレビアニメ『獣の奏者 エリン』OP。1年間の放送のうち前半に使用され、1月からOAされていた。これに伴い実はソロ活動真っ只中の2008年夏にこの曲だけスキマスイッチとして制作していたという。この時はまだ作り方も以前のままどころか、カッチリ作りこまれたような作風は以降よりも以前な感じはある。正直かなりぎこちない状況で制作されていたと思われる。いわゆるハチロクのリズムの曲で着実に踏み進めていくようなメロディーの強さも印象的。タイアップで引っ張られたのかアイリッシュな雰囲気が漂うアレンジも珍しく、けっこう唯一無二の存在感を持った1曲だと思う。しかもこの曲、3分16秒しかなく、かなりスパッと終わる。この曲2周しても「虹のレシピ」が終わらないんだけど…? 歌詞が少ない短曲ではなく、サビ始まり~1番~2番~ラストサビときちんと構成(2番からラストサビに間奏が無かったりアウトロが無かったりはする)されていての3分16秒なのでかなり濃縮されているといえる。

規格外の「虹のレシピ」よりは遥かにシングル表題曲らしい楽曲ではあるが、ソロ活動中の制作であり、再開作ではない事を考えると再開後最初のシングル表題曲にはならないというのも分かる。ただスキマスイッチのカラオケランキングで上位に入っていたりするので、メンバーとしては人気曲である事を早くから認識していたようで明らかに表題曲よりその後の扱いが良い。
★★★★☆
4thアルバム『ナユタとフカシギ
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
3rdベスト(C/W集)『POPMAN’S ANOTHER WORLD
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』TKY selection

12th ゴールデンタイムラバー

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2009年10月14日
アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』OP。初めてアニメ盤(期間生産限定盤)も作られた。人気アニメタイアップもあって初登場2位を記録。「奏」「全力少年」「ボクノート」といった筆頭代表曲に続く4番手くらいの代表ヒット扱いにはなってそうだが、実際には売上は前作から5000枚強くらいしか伸びておらず4.2万程度

ここまでの楽曲の中でも明確に異色な楽曲で、じわじわ解禁しつつあったシンセの使用を全力解禁。常田のクレジットもこれまでOther Insruments止まりだったのが、今作ではProgrammingと明確に表記されるほど打ち込みの要素を強めに取り入れただけに聴感としてもだいぶ異色な感じはする。さらに使用を避けていた英語のフレーズも盛り込んでいるが、まだ遠慮があったためか英字を使用せずに全てカタカナ表記にしている。いずれにせよ避けていた事を解禁した事で一気に幅を拡大する事となった。

詰め込み過ぎの歌詞でかなり歌いにくく、勢いがあってインパクトの強いヒット曲に思えるものの意外と聞き込むほどにとっつきにくい曲だなと感じる。また前作ほどでは無いが今作も5分40秒とアップテンポにしてはかなり長い。加えてalbum ver.ではイントロを長くしてエンディングもフェードアウトでは無く最後まで演奏されるため6分を突破していく。ちょっとこの時期凝りすぎて曲が長くなりすぎる傾向があったのかも。
★★★☆☆
4thアルバム『ナユタとフカシギ』(album ver.)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by RYMESTER)
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~

SL9

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From 4thアルバム『ナユタとフカシギ
2009年11月4日
『ナユタとフカシギ』アルバム曲では先行2シングルのC/Wに収録されていた「Aアングル」、「Bアングル」と連動したバラード「8ミリメートル」が代表曲扱いされ、10周年ベスト、20周年ベストSNT selectionと連続収録されているが、しっとりではなく壮大に盛り上げて聞かせるバラード曲としてライブで重宝されるようになったのは「8ミリメートル」ではなくこの「SL9」であった。実際当時のツアーこそ「Aアングル」「Bアングル」「8ミリメートル」の連続披露がライブアルバムに記録されているものの、その後は10周年ベストに選曲したのに10周年ツアー『10th Anniversary Arena Tour 2013 “POPMAN’S WORLD”』では「8ミリメートル」はスルーで「SL9」が選曲されていた。オーケストラコンサートの『10th Anniversary Symphonic Sound of SukimaSwitch』でも「8ミリメートル」はスルーで「SL9」が選曲され、15周年の『15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA~Reversible~』でも「8ミリメートル」はスルーで「SL9」が選曲され、20周年ベストの初回特典映像にもなっている『”Live Full Course 2022″ ~20年分のライブヒストリー~』でも「8ミリメートル」はスルーで「SL9」が選曲され…と同じ事が繰り返されている。毎回ではなく平時のツアーでは演奏されないものの周年ライブでは必ず「SL9」が演奏されている。

実際「8ミリメートル」は正直 バ ラ ー ド 以外の印象が浮かんでこない普通にバラードであるが、今作の方が少しチャレンジングな方向性が多かった『ナユタとフカシギ』を象徴しつつも、それゆえに他と被らない盛り上がるバラード曲として唯一無二の存在感を放っていると思う。

歌詞は常田の個人的な思い出を描いたもので94年夏と冒頭に登場するが1994年7月17日木星とシューメーカー・レヴィ第9彗星の衝突が世間で話題になって実際にそれを見た時の衝撃や思いが綴られたものとなっている。知らずに「SL9」とだけ見るとスナイパーライフル蒸気機関車を連想するところだがSL9とはシューメーカー・レヴィ第9彗星の略称(Comet Shoemaker–Levy 9)である。…と言っても1994年小学生4年生だった当時、SL9が木星に衝突するのが大ニュースになっていたなんて記憶は全くない。3年生の夏が冷夏でその翌年である4年生の夏は暑く感じたなというのは記憶しているが…。7月17日は日曜日でたぶん20~22日辺りから夏休みだったと思うので夏休み突入前で浮かれていた頃合いだとは思うんだけどそんなニュースあったのかぁ…。

平メロはストリングスも入らず抑えたバンドサウンドで進行するが、この部分のアレンジはいつもよりもだいぶロックバンド的なアプローチになっているように感じる。ギターに藤井謙二(The Birthday、元MY LITTLE LOVER)、ドラムに川西幸一(UNICORN)を招いているところも少しいつもと様子が違う。一転してサビは一気に高音に跳ねあがり、ストリングスも入って壮大に盛り上がっていく。歌詞も相まって宇宙的なスケール感(?)があって、グイグイと引き込まれる。『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』に選曲されなかったのは王道とは少し逸れるせいだったのかなとも思うが、「8ミリメートル」選曲するならこっちだった気がするなぁ…。20周年ベストSNT selectionではまたも「8ミリメートル」が選曲されたが今度はしっかり今作も選曲されたのは良かった。
★★★★★
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection

13th アイスクリーム シンドローム

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2010年7月7日
映画『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク』主題歌。ドラえもん映画タイアップの時と違って子供向けアニメ映画を意識したような形跡はあまり見られない。洋楽を意識したというあまりこってり盛り上がらないあっさりとしたテイストの楽曲。アコースティックギターと歌からいきなり始まる、サビで盛り上がるというよりも高音を伸ばして聞かせる清涼感ある仕上がり、間奏が無く立て続けに進行していく…など他の曲とは一味違う要素が多い。個人的にも再開後どこかしっくりこない部分があった中で今作は明確に新しい&今までとは違う良さがあると感じられた1曲になった。

かなり高音を攻めており、1番サビは裏声、2番サビで地声を張り上げるが、立て続けのラストサビでは転調するので再度裏声になるというとにかく高い曲で20周年時のトークでは「現実的なキーじゃない」「このキーで良かったのかなと思う唯一の曲」などと大橋がコメントしていた。ただここも曖昧になっていて常田はファル・ファル・地声じゃなかったっけ?とすっとぼけておかしな会話に…。実際はファル・地声・ファルで最後はファルセットじゃないと出ない高さだという大橋の最初の主張が正しい。なお『DOUBLES BEST』での2人だけでのセルフカバーでは2番サビもファルセットのままとなっていてサビで1度も声を張らない仕様。

シングルはフェードアウトだが、album ver.は細かいミックスやアレンジが追加されているほか最後まで演奏される。歌い出し4行の後の間奏のピアノのフレーズ(ポン・ポン・ポン)に追っかけフレーズが追加されている部分が追加要素では分かりやすい部分。ただなんかエンディングのアレンジに終わりようが無くてとりあえず普通にジャジャーンと終わる感じなのでシングルのフェードアウトの方が雰囲気が良かったようには思う。
★★★★★
5thアルバム『musium』(album ver.)
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
1stセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Love Song Selection~

14th さいごのひ

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2011年1月26日
初登場11位となりついに4thから続いていた連続トップ10入りが途切れたシングル。一方でUSENでは1位になるほど反響があったためか、メンバーの中では反響があった曲という認識になっているようでYouTubeの振り返り企画では特に売れなかったようには触れられていない。代わりに何故か5位を記録した「虹のレシピ」が初めてトップ10落ちだの売れなかっただのと言われる始末。

かなり重めのラブバラード。歌うのに覚悟がいるというほどで人生の終わる時にまで言及するほどの猛烈な愛を歌っているゆえか、歌詞を理由としてこの後の東日本大震災発生後は有線への配信を停止したとも明かされている。メロディーも強い力作バラードではあるんだけど確かに重すぎるところがあり、そう何度も聞きたいとは思えないのが正直なところ。

album ver.ではボーカルを再録音。ストリングスが抑え気味のミックス変更もされている。当時のインタビューでは何故か「シングルで入っていたコーラスやストリングスを全部カット」と大橋が謎に口走ったインタビューがあったため、Wikipediaでもそのまま出典として記載されているが聞けば分かる通り、ストリングスは抑えられているだけで普通に入っている。当然album ver.でもストリングスはしっかりとクレジットされている。

YouTube企画では開口一番に大橋が「何が違うんだろうアルバムVer.と」と記憶が消し飛んでいた。常田もミックスじゃない?とアバウトな発言で直後に歌い直した事を思い出したがまだ確証が無さそうで話しているうちに「歌い直した」「コーラスなし」という事実は無事に思い出された。4th以降初のトップ10落ちは「虹のレシピ」じゃなくてこのシングルだという事実は最後まで思い出される事無く、『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selectionに好きだからというシンプルな理由で選曲された。前ベストとの重複曲だし、これ選ぶんだったらもう1枠別の曲が良かったよなぁ…。
★★★☆☆
5thアルバム『musium』(album ver.)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection

センチメンタル ホームタウン

2011年7月9日(配信)
初の配信シングルにして3ヶ月連続配信の第1弾としてリリースされた楽曲。後に『musium』でCD化された。配信体制がレーベル提携先移動(Ariola→ユニバーサル)に伴い、2017年に全作配信し直しとなり、この際に今作と続く「石コロDays」はシングル配信が削除され、ディスコグラフィーDigital枠も2017年以降のものしか記載しておらず、この3連続配信の痕跡は公式に抹消された状態にある。今作が配信シングルだった情報は当時の記事やWikipediaにしか残されていない状況になっている。

カントリーテイストの軽快な楽曲だが、ギターではなくピアノサウンドを生かしてカントリーっぽく仕上げているのが何気に新鮮。シングルというよりは良質なアルバム曲、たまに大当たりするC/Wといった感じではあるかな。『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』にも選曲されたが明らかにシングル枠ではなく、普通にアルバム曲として選曲されているように思う(曲順がアルバム『musium』の配置になっている)。
★★★★☆
5thアルバム『musium
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

石コロDays

2011年8月13日(配信)
15thシングルC/W
3ヶ月連続配信の第2弾。1ヶ月後の15thシングルC/WとしてCD化され、『musium』にも収録された。NHK Eテレ『中学生日記』主題歌。

『中学生日記』タイアップもあって実際に中学生への取材を通して制作された。このため揺れて迷いながら進んでいく中学生の心情を丁寧に描写しつつ背中を押すような寄り添った歌詞に仕上がっているのが印象的。河川敷で石を投げて水切りするという子供時代あるあるの原風景を切り取り(近年は河川敷で石ではなくスマホ片手にポケモン探すとかなのかもしれな)、タイトルの石コロもそこから取られている。サビのメロディーの広がりもシングル級のインパクトがある。ストリングスを使用せずに、エレキギターをメインにしていてエレキギターを若干ストリングス代わりのように鳴らしている部分も含めて意外とシングル曲としては珍しいタイプ。C/Wとしては最高峰の名曲だし、アルバムでも際立っていた。実際に中学時代にこんな曲があったら一生モノの1曲になっていただろうな。
★★★★★
5thアルバム『musium
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
3rdベスト(C/W集)『POPMAN’S ANOTHER WORLD

15th 晴ときどき曇

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2011年9月14日
「センチメンタル ホームタウン」、「石コロDays」に続く3ヶ月連続配信リリースの第3弾という位置づけだったはずだが、今作は15thシングルとしてCDで同時発売した上に第2弾の「石コロDays」をC/Wに収録。まだまだCDメインの時代で配信を実験的に利用していた事が伺える。実際のところ売上も配信に流れることはなく、初登場10位を記録して前作で逃したトップ10復帰を果たした。

天候をテーマにした楽曲で気象予報士を目指したこともあるという常田の知識が歌詞にも反映されているらしく、大橋は2番冒頭のフレーズが巻層雲の事を示唆しているという意味を分からずに歌っていたという。気象予報士の人がYouTubeゲストに来た時に大橋そっちのけで常田と盛り上がるという一幕もあった。

“次の季節が香り始める その変化に抗うように “暑かった日々を忘れないで”と最後の力振り絞って照らす”という夏の終わり~秋の始まりの描写が好きで、8月末~9月にかけて残暑~涼しい風が吹き始める寸前の時期にとてもハマる1曲。

Mr.Children「CROSS ROAD」みたいな曲を意識したとも語られており、サビの聞き手を掴んで離さないようなメロディー展開には確かにそんな要素も感じられる。メンバーはこの曲が好きだと言う人を知らないだの「虹のレシピ」と同じカテゴリだのと地味曲、あまり人気ない曲扱いしていたが、『DOUBLES BEST』投票9位で選曲されているので立派に人気曲である。個人的も「アカツキの詩」と並んでスキマスイッチの真髄が出た良質なポップソングだと思うし、メンバーが思うよりは人気あると思うんだけどな…。わざわざ前後のバラードシングルを20周年ベストで2人が揃って選出している辺りにはメンバーの認識とのズレを感じる。
★★★★★
5thアルバム『musium
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』(セルフカバー)
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by BENNY SINGS)
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~

16th ラストシーン

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2012年6月27日
映画『臨場 劇場版』イメージソング。2作連続で初登場10位に滑り込んだ。

「さいごのひ」の大バラード的印象が強かったのでま た バ ラ ー ド … っていうのが当時の印象。実際『musium』用に制作していたが「さいごのひ」と被る部分がある事から収録を見送ったとされる。イントロクイズやったらファンでもけっこう間違えそう。しかしこの後『DOUBLES BEST』企画に進みオリジナルアルバム制作に至らなかったため、今作は『DOUBLES BEST』初回盤に次回作と並んで入れたくないのに入れろと言うレコード会社の要請により、入れたくなかった旨の経緯・説明文を書き連ねた上で別ディスクとして同梱するという条件で収録、1年後のベスト盤で正式な形で初収録となった。

「さいごのひ」よりも重たくない優しめのバラード…ではあるんだけどそれでもやっぱり人生レベルで大きな愛情を歌っているのでこれもこれでだいぶ大作であり重いし印象も被る。『DOUBLES BEST』という2人だけの制作企画を行ったり、『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~』収録で済ませてオリジナルアルバム収録に至らなかった10周年までのこの時期はやや停滞感を感じる時期になっていた印象はある。シングル曲に関してすぐバラードに走り、力作ではあるんだけどなんか前と印象が被ってしまうっていう。

アルバム収録時にストリングスを抑えようとした「さいごのひ」と違って、今作の特色はストリングス全開なところでアウトロではド派手なオーケストラアレンジが大展開する。ライブでもカットして演奏していたほどであまり必要性を感じないような派手な展開だったが、オーケストラライブをいつかやりたいという発言も既にしており、常田が槇原敬之のオーケストラライブ「cELEBRATION」のアレンジャーに起用されたりと、常田のオーケストラアレンジ願望を全面展開したといえる。後に『10th Anniversary Symphonic Sound of SukimaSwitch』でバッチリラストを飾った。
★★★☆☆
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』初回盤A,Bのみボーナスディスク
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
1stセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Love Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』TKY selection

17th ユリーカ

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2012年8月8日
アニメ『宇宙兄弟』OP。アニメタイアップだったが今回はあまり効果が無かったのか、自力人気がさらに低下したためか初登場16位へと後退。期間生産限定盤(アニメ盤)が作られたのは「ゴールデンタイムラバー」「アイスクリーム シンドローム」に続いて3度目だが、今回はアニメ盤のみ「ユリーカ(anime ver.)」が追加収録された。現行ST配信でも「ユリーカ(anime ver.)」を別途聞く事が可能。「ユリーカ(anime ver.)」はサビ(ショート)始まりとなっているので、『宇宙兄弟』を見ていた層だとサビ始まりの曲という印象になっている人が多いのかもしれない。

久々の力強いアップテンポだったのでそこそこ印象的ではあったし、久々にライブを盛り上げる1曲になりそうだという予感はメンバーも当初は感じていたようだ。ほぼ毎回ライブアルバムを制作していて実際に収録頻度は高かったが、直近数作で姿を見せなくなってしまっている。2年後の「Ah Yeah!!」の方が起爆剤として上回った感じがあるし、普通以上にはいい曲なんだけど当時もどこか置きに来ているような停滞している感じはあったかな…。『DOUBLES BEST』ボーナスディスクとベスト収録で処理されてしまいオリジナルアルバムに収録されなかったので、オリジナルアルバムで1度存在感を発揮してほしかったところでもある。それだけでもだいぶ印象変わってたかも。
★★★☆☆
1stセルフカバーベスト『DOUBLES BEST』初回盤A,Bのみボーナスディスク
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセルフカバーベスト『re:Action』(produced by GRAPEVINE)

18th スカーレット

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2013年6月19日
テレビ朝日系『土曜ワイド劇場』主題歌。初登場15位とパッとしなかったものの、2013年4月~2016年9月まで3年半近く土ワイ主題歌として使用され続けたので土ワイ視聴者層にはそれなりに浸透した曲になっていると思われる。土ワイのエンディングで静かに優しくかかっているのは確かにハマっている感じがする。

またバラ(またバラード)。1作おきにバラードだったのでルーティン感が出てきてしまい、最初からまたバラ…となってしまって印象があまり良くなかった。これはスキマスイッチだけじゃなくてミスチル、コブクロ、いきものがかりを筆頭にこぞってストバラ連発の世は大ストバラ時代で、各ミュージシャンそれぞれだけを聞いてもここ数年以上の映画ドラマタイアップのストリングスバラードばかりだな…という状況だっただけに全部聞いていると完全に飽和してたという時代背景がデカい。また「さいごのひ」→「ラストシーン」→今作と雰囲気がより優しく穏やかに…とどんどん覇気が無くなっていくようにも感じてしまった。

ただ前の2曲はラブバラードだったが今作は人生を歌った曲になっており、良く聞けば方向性が大きく異なる。少しあっさりした感じを出したかったのか、良く見るとベースサポートが入っていない初のシングル表題曲で、ドラムは生でベースだけ打ち込み処理されている。実際に意識的にそうしたんだなと思うんだけどちょっと機械音っぽいミョンミョンした音色になっているのも特徴。然るべきタイミングでの発表であればもう少し印象的な1曲になっていたように思うし、前述のように当時はもうどうしようもなかったと思うんだけど時を経て聞いたらけっこういい曲だった。

C/W「トラベラーズ・ハイ」がベストにも3回収録となる一方で、この曲の収録はベスト盤1回ポッキリで不遇感が強い。ライブアルバムには何度か収録されていてそこまで不遇にはなっていないが…。20周年ベストの選曲で最大の疑問である「さいごのひ」「ラストシーン」を揃って選曲するよりこういう当時も埋もれたけど実はけっこう光る曲をさぁ…。
★★★☆☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~

トラベラーズ・ハイ

18thシングルC/W
10周年を前にして2人で全都道府県をまわる2012年10月~2013年3月にかけて開催されていた「TOUR 2012-2013 “DOUBLES ALL JAPAN”」のテーマ曲として書き下ろし、全国で2人だけのアコースティックで演奏してきた楽曲をバンド+管弦を交えたゴージャスなフルアレンジでスタジオ音源化したもの。ライブ盤『スキマスイッチ TOUR 2012-2013″DOUBLES ALL JAPAN”』収録のライブ音源は発売はシングルの後だが収録された音源自体はシングル発表より前に演奏していた2人だけのピアノとギターのアコースティックバージョンとなっている(曲中で札幌と連呼しているので3月10日公演か?)。

歌詞もそのままでツアーで全国を回っていく様子が歌詞に落とし込まれている。この時だけでなく以降もツアー全般に一致する楽曲であるためライブ盤での登場頻度も高めの定番曲となった。またベストに選曲された後にC/WなのでC/W集にも選曲され、セレクションアルバムに選曲され、20周年ベストの常田セレクションにも選曲され…とオリジナルアルバム未収録曲ながらベスト・コンピに4回も選曲されていて1回ポッキリの表題曲を圧倒している。

47ツアーのテーマ曲をシングルにするというのはDEENが2007~2022年まで5年に1回やっていてDEENは2回目2012年をC/W送りにした以外は3回表題曲としてリリースしたが、表題曲にするにはテーマが狭いというかツアーに来ないリスナーの方が実際には圧倒的大多数である事を考えるとスキマスイッチのこういう曲は表題曲にはせずにC/Wで済ますという判断もまた1つの正解だったといえる。サビで流している曲が「Tomorrow never knows」なのはミスチルファンを公言しているスキマスイッチらしい遊び心だ(タイトルの元ネタであるビートルズの方ではないだろうさすがに…)。
★★★☆☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
3rdベスト(C/W集)『POPMAN’S ANOTHER WORLD
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~
4thベスト『POPMAN’S WORLD-Second-』SNT selection

19th Hello Especially

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2013年7月31日
アニメ『銀の匙 Silver Spoon』エンディング。今作もさほど効果なく初登場17位となり、3作連続で同じようなトップ20入りの位置につけた。そのままベスト盤の先行シングルとなったが、しばらくオリジナルが出ていなかったので16th~19thまでまるっとオリジナルアルバム未収録となった。

アニメタイアップではあったがアニメはあまり意識されていないのか、明らかに10周年記念ソングとして制作されており(“3650日分のメロディーと言葉をパッケージしよう”なんかは10年間を直接示唆している)、10年間のリスナーへの感謝の気持ちを綴りつつワイワイとお祝いするようなアコースティックナンバー。ストリングスも入れてガッツリ派手に構築することが多いスキマスイッチのシングルにおいてはアコースティック編成の最小限のバンド編成で演奏されているのは珍しくかなりさっぱりした聴感になっている。今作はいい意味でのリセットにもなったように思う。そういえばシングルタイトルが英語・英字なのもこれが初めてだった。
★★★★☆
2ndベスト『POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~
2ndセレクションアルバム『スキマノハナタバ~Smile Song Selection~

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