8th 渇いた叫び
98年5月20日
ベスト盤『SINGLES COLLECTION+4』から7ヶ月、シングルとしては実に1年1ヵ月ぶりというブランクを経てのBeat reC移籍第1弾。日本コロムビアにビーイングが新たに設立した新レーベルで同じZAIN所属だったBAAD、元々コロムビアからリリースしていたPAMELAHと共に移籍した。同時期にBMGにBERGレーベルを作ってDEENを移籍させるなど、他社との提携レーベルを作って移籍させるのが一時流行ったが、これは大阪へ拠点を移動しての来るGIZA発足へ向けてのビーイングの東京縮小の一環だったのだろうか…。
引き続きの小松未歩提供でシングル予定だった「大空へ」含めると3連続となったがこれが最後となった。この年を最後に小松未歩の提供はほとんどなくなった。GIZAでは01年に愛内里菜に提供した後は04~06年に三枝夕夏 IN db、北原愛子、愛内里菜に1曲ずつ、岩田さゆりに2曲だが作詞まで提供したのは岩田さゆりのみ(A面採用はこのうち愛内里菜と岩田さゆりの2曲だけになるなど97~98年の怒涛のシングルA面提供とは様子が違う)。
ジャケットではギターの小田孝が今作で一気に短髪にトランスフォームした。実際には『SINGLES COLLECTION+4』リリース後12月まで続いていたLive Horizon Ver.2の映像や写真で既に短くなっているので発売の半年前にはもうトランスフォームしていた模様。
渇いた叫び
作詞作曲:小松未歩、編曲:小澤正澄
テレビ朝日系アニメ『遊☆戯☆王』OP。テレビ朝日で半年放送され(4~10月)、99年3月に映画版が公開されて終了した独立したアニメシリーズで、テレビ東京系で数年おきにタイトルを変えながら現在まで続いている現行の遊☆戯☆王との繋がりは無い。半年で終わったのでOP/ED共に最後まで固定で(EDは3期WANDS「明日もし君が壊れても」)、映画版でもそのまま2曲が使用された。現行シリーズと関係が無いためか、当時VHS化されたっきりで、DVD化されず、再放送もされず、ネット配信のラインナップにも入っていない…など半ば黒歴史、封印されたかのような扱いとなっている。主題歌としてOAされていた音源は当時のビーイングのアニメ主題歌の例に漏れず、やはりシングル盤とはアレンジがやや異なっていた、というかまだ未完成系のようなアレンジだったようだ。
『遊☆戯☆王』は作品自体に触れたことが無いので、なんかアニメ主題歌らしいという事までしか把握していないが、歌詞の世界観はだいぶ作品を意識した要素を取り入れているのかなという気はする。ざっくりとはFOV王道の人生応援系の系譜ではあるんだけど、抽象的な表現など他の作品では見られないようなスケール感が印象的。レーベルメイトとなったPAMELAH小澤正澄の編曲はこれが唯一だがこれまでに比べるとかなりギターが前面に出た爽快なロック調となっていてバンドが新たなる境地に向かっている事を感じさせる。ただ結果的にこれ以降の曲はFIELD OF VIEW&池田大介の編曲が主流になるので、この曲だけどこにも属さない立ち位置にもなったと思う。3rdアルバムでも今作は少し浮いている。
爽快ではあるんだけど、サビが思いのほか盛り上がらないような印象もあるというか、意外とけっこう覚えにくい。歌い出しの”このまま”からけっこう複雑で音程が掴みにくい。キーが高いのでそもそもカラオケきついが、覚えようとしたら他の曲に比べてもかなり難しいと感じたのを記憶している。
★★★★☆
3rdアルバム『FIELD OF VIEWⅢ~NOWHERE NOWHERE~』
2ndベスト『FIELD OF VIEW BEST fifteen colours』
3rdベスト『Memorial BEST~Gift of Melodies~』
4thベスト『complete of FIELD OF VIEW at the BEING studio』
6thベスト『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Extra Rare Best 2020』
渇いた叫び
FIELD OF VIEW
2020/05/13 ¥255
C/W 孤独なTraveler
作詞作曲:浅岡雄也、編曲:池田大介
前作C/Wに続いてアコースティックギターを生かしたロックナンバー。ただ意味なく頑張ろうぜ、夢を信じようぜというのではなく1番では“仲間達も社会に馴染んできて「妥協するのも仕方がない」と真面目な顔で言った”、“なりたかった自分の姿とあまりにも違ってしまった”と大人になりきれず苦悩する姿を描いているのがこれまでよりも深みが増している。
最近ちょっとパッとしない的な繰り返しの日々で忘れてしまった思いを思い出して再生へのポジティブシンキングへ向かっていく曲は2ndアルバムで特に多かったが、仲間が大人になっていってしまうという寂しさまでは出ていなかったのでまた少し年齢を重ねた感じがする。その上での再起の思いは当然あの頃よりもさらに力強い。
この曲をよく聞いていた高校生当時は前半よりも“あきらめた顔して飛び乗る 列車はきっと動かない”というフレーズが特に好きだった。それから5年くらい経過して、本当にかつての仲間たちが社会に馴染んできた頃に改めて前半の歌詞が沁みるようになった。
たぶん現役当時に聞いていたよりも解散以降になって響いたっていうリスナーが多そうな1曲。『遊☆戯☆王』で手に取った当時の10代なんか特に。
★★★★☆
アルバム未収録
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