ZARD 30周年シングル回顧3+~1999-2001~

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ZARD 30周年シングル回顧3+~1999-2001~

99年はアルバム『永遠』、シングル『MIND GAMES』発売後はこれまでを総括する初の本格ベストアルバム『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』、続くリクエストベスト『ZARD BEST~Request Memorial~』を発売し、並行して新たな方向性でのシングルをリリースするなど精力的に活動。ベスト2作は前年のB’z『Pleasure』『Treasure』の大成功を踏襲したもので、B’z同様に時間差での特典商法を展開。コアなファンは特典コンプのために何枚も買いに走り、結果発売間もなく中古屋にはベスト盤がありえないほど並ぶ事態となった(当時規模拡大中であった中古大手チェーンBOOK OFFにはB’zとZARDのベストが必ずズラ~~ッと並んでいた)。

『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』は300万枚の最高ヒットを記録した一方、ついにおなじみのヒットメイカー織田哲郎、栗林誠一郎の提供が途切れ、葉山たけしも離れ、後にGIZA studioで活躍する新たな作家陣が大量起用されるようになった。またR&BやHIP HOPのブームに影響されての大胆かつ実験的なシングルを連投。見るからに迷走極まりない作品連発とベスト盤で一気に区切りがついたことで売上は激減した。

『ZARD BEST The Single Collection~軌跡~』の強すぎる”売り”として“全曲1位か2位”というものがあったが、その1位は「MIND GAMES」が最後となった。

デビュー10周年を迎える中でようやく発売された9thアルバム『時間の翼』だったが、相変わらずのセミベスト状態、10周年なので記念に入れたという意味不明な理由で「負けないで」「揺れる想い」の長尺リミックスがぶち込まれ、表題曲「時間の翼」は未完成で2番サビから収録されているというフルアルバムとしてもギリギリ体裁を整えた状態であった。

当時体調不良は正式にはアナウンスされておらず、「Get U’re Dream」がNHKシドニー五輪テーマ曲だったことから期待された紅白にも出なかったが、この際に前向きな姿勢だったが体調が優れないので辞退したと報道された。元々TVに出ていなかったのであまり本気にされていなかった。紅白御意見番和田ア●子が番組で批判してい

生前最後の作品となった『Golden Best 15th Anniversary』のヒストリーブックではプロデューサー談として明かされ、『時間の翼』の後に体調不良で活動休止していた、という事になっていた。闘病中だったと明かされたのは没後だったため、”『時間の翼』の後に体調不良で活動休止していた”というのもまだ半信半疑ではあったが、没後に90年代後半から体調を崩しがちだった事が正式に明かされている。

ただしその一方で作品にも表れていたように時代の変化に適応しようと不慣れな事にまで挑んで方向性を見失っていたのを半ば認めるかのように今後への迷いも休止の一因であったというプロデューサー談も出ている。

このようにこの時期の方向性と体調不良を巡る話は全て没後の関係者証言で、時期によっても微妙に言っている事が変わっていたり実際の当時の活動に若干の矛盾があったり(割と海外撮影とかもしている)と謎も多い。重要なのはこの時期について生前本人が語った事は何一つなく、既に本人不在で真意も真相も知ることは不可能であるという事だ。

大昔に公開していたものを破棄して2021.7~9新規執筆

Brand New Love

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99年2月17日
作曲:綿貫正顕、編曲:徳永暁人
98年に3期WANDSへ歌詞提供したシングルのセルフカバー。この当時はまだWANDSが存続していたためボーカルの和久次郎もコーラス参加している。もう1曲同時期に提供した「明日もし君が壊れても」をセルフカバーした時はWANDSは解体して辞めていたので参加してない。

原曲はキーボードとギターが両立するという3期WANDS(というより2期後半はほとんど音が聞こえなくなって窓際化していたキーボード木村真也氏)悲願のサウンドが成立した名作だったが、今作ではギター中心で原曲よりハードなアレンジへと変貌。これまでのセルフカバーと違って原曲とは異なるがしかし別解釈すぎでもない、原曲に負けずとも劣らない仕上がり。加工はされているが原曲にあったラップパートの要素も継承していて坂井泉水本人が担当するなど新たな挑戦もしていてけっこう攻めた1曲だったと思う。少しでも制作が後になっていたらメチャメチャ音が軽くなるかもっと実験に走っていたのは確実で、GIZA化する前にこれがやれて良かった
★★★★☆
8thアルバム『永遠

フォトグラフ

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99年2月17日
作編曲:徳永暁人
8thアルバム『永遠』を締めくくるバラード。「永遠」に続いてバラードでメロディーメイカーとしての徳永暁人の良さが強く出た1曲だと思う。アルバム締めのバラードって割とスケールが大きめでそんなに好きな曲は無かったのが今作に限っては派手さは無いんだけどメロディーが強くて印象に残る。しっとりとしたエンドロールのようなこの曲をもって90年代全盛期のZARDにピリオドが打たれた印象もある。

『Request Best~beautiful memory~』ではリミックス&コーラス追加がしれっと行われている。オリジナルは2番でドラムが入ってからもいかにも打ち込みっぽい音色だが、リミックスによってドラムの音色がしっかりしたものに変わっているのでオリジナルよりバンドっぽさが増したように感じられる。ギターなんかはオリジナルの方がいいけど、リズム周りはこのリミックスの方が好み。
★★★★☆
8thアルバム『永遠
ライブアルバム『ZARD Cruising&Live~限定盤ライブCD~』(ライブ)
4thベスト『Request Best~beautiful memory~』(コーラス追加、ミックス変更)

CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU
/坂井泉水+小西康陽

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99年2月17日(アルバム『永遠』初回特典8センチCD)
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99年9月15日(限定アナログ盤)
アルバム『永遠』初回盤に紙ケースに入った8センチCDとして収録されていたピチカート・ファイヴ小西康陽とのコラボカバーシングル。歌詞カードは無いが紙ケースの蓋(?)みたいなところにしれっとクレジット表記のみある。

当初封入の応募ハガキで抽選1999名にアナログ盤プレゼントというキャンペーンが行われ、アナログ盤限定でCDではショートサイズの「CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU~readymade wizard mix short cuts~」がフルサイズで収録されるとしていた。

しかし9月には限定アナログ盤として一般発売。元々今作に関しては応募ハガキではZARDと小西康陽のコラボとしながらも紙ケースにはIzumi Sakai+Yasuharu Konishiとも書かれていた。限定アナログ盤のジャケットもそれをレコードサイズに巨大化しただけなのでジャケットではIzumi Sakai+Yasuharu Konishiとなっていて坂井泉水(from ZARD)+小西康陽(from PIZZICATO FIVE)名義にでもしておけばZARD扱いされずに済んだのにうっかり対策しなかったものだからO社でZARD単独名義シングルとして扱われ、当時再生環境などろくに残っていなかった(レコードプレイヤーは当時の若者が実家に帰ればあるかもしれないレベル、現在のビデオデッキくらいな感覚くらい?)のでアナログ盤が売れるはずも無く初登場50位。これで4thから続いていたシングル連続トップ10入り記録が分断された扱いとなった。今作がZARD名義でなければ4th~没後現時点ラスト45thまで連続トップ10入り記録だったのに、O社の記録では4th~29th30th~45thという扱いである。

CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU

作詞:B.CREWE、作曲:B.GAUDIO、編曲:小西康陽
1967年Frankie Valliが発表した楽曲のカバー。1982年Boys Town Gangがディスコ風にカバーしたものが日本で大ヒット、邦題「君の瞳に恋してる」として現在は元が誰だったのかは良く分からないが曲だけは聞けば誰もが聞いたことあるレベルで知っているという存在のスタンダード的な1曲となっている。日本でも多くのミュージシャンがカバーしているのでそこそこJ-POP聞いていれば数バージョン以上のカバーを聞いたことがあるのではないだろうか。07年に織田裕二がカバーしたバージョンは自身が主演した月9主題歌にもなっている。

いくつかのカバーを見ているとタイトルが「CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU」と「CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU」、OFF OFOFFだけの2パターンあるが、原題は「CAN’T TAKE MY EYES OFF YOU」、しかし歌詞中では全てOFF OF YOUと表記している事からそっちを採用するカバーが増えてカバーのカバーが続いているうちにこうなったものと思われる。

小西康陽のテイストが強いというか遊園地のような明るく楽しい感じの好カバー。ZARD制作陣ではこういうアレンジはしないだろうなというようなノリなので新鮮な外部コラボとしても聞ける。この曲をちゃんと聞いたのがこのバージョンが最初だったので割とこれがスタンダードになってしまっているところもある。
★★★★☆

CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU~readymade wizard mix short cuts~

リミックスバージョン。別アレンジのようにも聞ける仕上がり。サブタイトルにshort cutsとあるようにショートサイズとなっていて4分59秒。合わせて10分届かないんだから8センチCDの容量の問題でショートにしたというわけではなく、何故ショートにしたんだ…。
★★★☆☆

28th MIND GAMES

28th MIND GAMES
28th MIND GAMES 99年4月7日 初動7万程度まで低迷したが奇跡のラッキー低レベル週でまさかの初登場1位となり(99年の1位としても最低売上)、そのまま最後の1位獲得作品となった。売上も15万割れまで一挙低迷。99年当時では1...

29th 世界はきっと未来の中

29th 世界はきっと未来の中
29th 世界はきっと未来の中 99年6月16日 98年の2枚同時発売以来となる1曲+カラオケの1コイン500円シングル。初ベストとリクエストベストの合間に発売されたという点でB'z「HOME」と同様の立ち位置のシングル。初登場2位だったが...

30th 痛いくらい君があふれているよ

30th 痛いくらい君があふれているよ
30th 痛いくらい君があふれているよ 99年10月14日 97年に「風が通り抜ける街へ」で3位になって以降もトップ3を下回った事は無かったが、今作では「負けないで」以降続いていた連続トップ3も途切れる初登場5位。あまりにも挑戦的な作風だっ...

31st この涙 星になれ

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31st この涙 星になれ 99年12月1日 今作よりマキシシングルへと移行。24th以来となるC/Wのカラオケが復活、また前作と異なり独立した5曲目としてシークレットトラックが収録された。 前作同様に初登場5位。売上もほぼ同等だったがわず...

32nd Get U’re Dream

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32nd Get U're Dream 00年9月6日 NHKオリンピックタイアップもあってNHK用の特別PVのような歌唱映像も用意されるなどビッグタイアップとなり、「世界はきっと未来の中」以来となる20万枚突破(最後の20万越え)。ただ話...

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33rd promised you
33rd promised you 00年11月5日 タイアップ先のテレ朝『土曜ワイド劇場』主題歌として4月から使用されていた楽曲を半年以上経過してシングル化したもの。初登場6位、5週で100位圏外になるなど前作があれでも大ヒットだったと思...

明日もし君が壊れても

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01年2月15日
作曲:大野愛果、編曲:徳永暁人
98年に3期WANDSへ歌詞提供した曲のセルフカバー。前作で「Brand New Love」をセルフカバーした際は現役だったので3期WANDSボーカル和久次郎がコーラス参加していたが00年にWANDSは解体してしまったため、今作には御本人コーラス参加は無く、元BAADの大田紳一郎がコーラス参加している。今作で大田紳一郎からはfrom BAAD表記が無くなっているのでこの時点ではもうBAADは消滅した後という扱いになっていたようだ。

実験サウンドとGIZAサウンド化が著しいアルバム内において最もがっしりとしたロックサウンドが炸裂する比較的正統派なカバー。結果的にセルフカバーであえて外したようなアレンジをする事が多いZARDだが、3期WANDSへの提供2曲だけは別解釈ではない割と真っ向勝負なZARDバージョンとして制作していたような…。ZARD流のロックバラードとして素晴らしい仕上がり…だったのだが、現在この坂井泉水が唯一関与している正規バージョンが廃盤、未配信という憂い目に…。

『Request Best~beautiful memory~』では告知なく葉山たけしによるリアレンジが施されている。王道ポップな感じにリアレンジされ、そちらも悪くはないが今作の少し尖った感じは薄れてしまった。

鶴澤夢人によるリアレンジは葉山たけしバージョン同様の王道ポップ志向でのリアレンジだが、だから葉山アレンジと比べると薄味で手腕の差が露骨に出るだけ…という仕上がり。
★★★★☆
9thアルバム『時間の翼
4thベスト『Request Best~beautiful memory~』(葉山たけしアレンジ)
リアレンジアルバム『時間の翼~30th Anniversary~』(鶴澤夢人アレンジ)

時間の翼

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01年2月15日
作曲:大野愛果、編曲:徳永暁人
編曲:小林哲(『止まっていた時計が今動き出した』収録Ver.)

表題曲なのに未完成という前代未聞で収録された1曲。サビのみと簡単に形容されることが多いが実際にはフェードインで曲が始まり、サビ~Cメロ~ラストサビとなっているので、2番サビから始まって最後まで演奏されるような構成になっている。当時のインタビューではZARD第2章を告げる曲として近いうちに完成形を発表するとコメントしていた。当時第2章というのは相当意識していたようで翌年のシングルでも使われたが、明確な次を示すものにはならず、結局03年に本格的に再始動した頃には第2章という言い方もしなくなり、『止まっていた時計が今動き出した』というもっと盛大に復活を印象付けるようなプロモーションに切り替えていた。

という事で結局全然近いうちに発表されなかった”第2章の予告”たる今作だが、第2章というよりは王道のバンドサウンド風であり、これはむしろ99年以降の試行錯誤迷走を経ての原点回帰と言うべきサウンドなのでは…?この王道バンドサウンド風での完成形が聞きたかったのだがこの形で制作されずに1度完全にストップ、破棄されてしまったようだ。

『止まっていた時計が今動き出した』に収録された際は小林哲によるGIZAサウンドにリメイクされてしまい、キーまで変わってしまった。よって完成形というよりやり直しであり、どうもこちらのバージョンは軽くてしっくり来ない。逆に次のアルバムまでもっと寝かせて放置していれば葉山たけし復帰に伴って、もっと王道のサウンドで聞けたのは確実と思われ、タイミング悪かったなーと。

しかし1コーラスしかできていないとかなら分かるけど何故後半部分だけだったんだろう。歌詞が未完成ながらもフルで録ってあって没後蔵出し音源として出してくるかなと思っていたが全くそんな様子はなく…。

『時間の翼』と『止まっていた時計が今動き出した』で区別されずにどちらも「時間の翼」であったため、『Request Best~beautiful memory~』では『時間の翼』の未公開フルサイズを期待して投票したリスナーが多かったんじゃないかと思う。

『時間の翼~30th Anniversary~』では何故かこの曲だけ「時間の翼~30th Anniversary~」とバージョン名がつけられたが、やはりこのキーでの録音はないのか、サビをコピーして1ブロック増やしただけでフルサイズでのリアレンジではなかった。元々王道アレンジだっただけにオリジナルアレンジをなぞって軽めになってしまうという相変わらずな仕上がり。
★★★★☆(未完成Ver.)
★★★☆☆(『止まっていた時計が今動き出した』収録Ver.)
9thアルバム『時間の翼』(未完成版)
リアレンジアルバム『時間の翼~30th Anniversary~』(30th Anniversary、鶴澤夢人アレンジ)
10thアルバム『止まっていた時計が今動き出した』(別アレンジ完成版)
4thベスト『Request Best~beautiful memory~』(『止まっていた時計が今動き出した』収録Ver.)

クリスマス タイム(ZARD Version)

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01年11月21日
作曲:栗林誠一郎、編曲:徳永暁人
『ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~』に新録セルフカバーとして収録。栗林誠一郎のユニット(坂井泉水がゲストコーラスと作詞で参加扱い)Barbierの95年1stシングルのセルフカバー。Barbierが発表したのはシングル2作とアルバム1作だが曲数的にはアルバム『Barbier first』に収録された10曲が全部で、オリジナル曲はシングルになった2曲ともう1曲だけであとはZARDの英語詞セルフカバー。坂井泉水が作詞したのはシングル2曲だけで、「LOVE~眠れずに君の横顔ずっと見ていた~」は『TODAY IS ANOTHER DAY』でセルフカバーしたので今作だけ取り残されていた。『ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~』が秋冬向けだったのでうってつけだったと思われる。

徳永暁人のアレンジもすっかりドラムがペシペシしてGIZA化していた時期だったが、今作に関しては90年代の楽曲群が並んだ収録曲との兼ね合いか、もっと以前に制作されていた音源だったのか、比較的がっしりとした90年代のサウンドになっていてオリジナルの雰囲気をそのまま継承したZARDバージョンといえる正当な仕上がり。そんなにクリスマス全開でキラキラはしていないが、ひんやりとした冬の空気を感じるようなイントロのキーボードから最高。毎年シーズンが近くなると1回は引っ張り出して聞きたい1曲。

ZARDの楽曲の中で別バージョンとリミックスを除くとベスト・セレクション系のアルバムのみに収録された曲というのは今作のみ。よってどのBOXにも収録されていない曲となった。よって最初の1回しか収録されておらず、リマスターされたのはアシェットの『隔週刊 ZARD CD&DVDコレクション Vol.21(2017年11/29号) サヨナラは今もこの胸に居ます』が初で唯一となっている取り残され気味の音源の1つ。

Barbier原曲は『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』『ZARD SINGLE COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』に収録されているほか、『complte of 栗林誠一郎&Barbier at the BEING studio』でも聞ける…が、『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』以外は現在廃盤絶賛高騰中である。
★★★★☆
2ndセレクション『ZARD BLENDⅡ~LEAF&SNOW~
1stBOX『ZARD PREMIUM BOX 1991-2008 Complete Single Collection』(Barbier原曲)
2ndBOX『ZARD SINGLE COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』(Barbier原曲)

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