MY LITTLE LOVER 30周年シングル回顧~1995-2004~

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80年代にキーボードプレイヤー、作家としての活動を開始し、桑田佳祐、サザンオールスターズとの仕事、自身のシンガーソングライターデビューの経験を経てMr.Childrenのプロデューサーとして確固たる地位を築いた小林武史。Mr.Childrenが大ブレイクした頃から水面下で準備を進めていて自身が発掘した新人AKKO(Vocal)、1990~1993年までTHE BARRETTのギタリストとして活動していた藤井謙二(Guitar)を2人組のユニットとしてデビューさせた。当初は小林武史プロデュースの2人組だったが1stアルバムから小林武史も正式にメンバー入りして3人組となった。

デビューから猛烈な勢いで大ヒットし、シングル180万越え、アルバム280万越えという大成功を手にし、AKKOと小林武史が結婚するなどめまぐるしい展開を経て、徐々に実験性が前面に出ていき、リリース間隔も開くようになっていき、人気は落ち着いていった。後半かなり売上は落ちていたものの、この時期までは基本的に評価が高く、レビューサイト全盛期にはあまりヒットしなかった『Topics』までは名盤と評される事が多かったように記憶している。

2002年に藤井謙二が脱退、夫婦ユニットとなるが小林武史まで脱退してこの時代は幕を閉じた。

3人時代のヒット曲連発、完成度の高さは今聞いても確かなものだが、この時代でも末期の頃はかなり地味な曲が多く、シングル回顧でやるというのはこれまで実現していなかった。実際のところ、2010年前後の対談レビュー連投期の候補にもあったように記憶しているが(既にその時点でほぼ全シングル出ていた状態)、『Singles』の時代だけで済ませるのもなぁ…という事で見送られ続けていた。2025年30周年という事でとりあえずやるだけやってみようという事でやってみたが、後半しょっぱいなぁというのはご了承願いたい…。

2025.6,9~10新規執筆
(Kinki youで思い立って7月開始に合わせたKinKi Kids執筆のため大枠執筆後に1度中断)

1st Man & Woman/My Painting

B00005H05W
1995年5月1日
当時のO社や『CDTV』でも「Man & Woman」単独A面扱いされていたはずだが、ジャケットをよく見ると確かに「Man & Woman・My Painting」と書いてあり(/ではなく・)、袋に貼ってあったシールにも同じ大きさで2曲書かれている。ただし表と裏でそれぞれのジャケットというタイプの両A面ジャケットではなく、表で2曲分、裏ジャケは普通に裏ジャケとなっている。

後のベスト盤では全て「Man & Woman」しかA面扱いされていないが、公式サイトディスコグラフィーでは現在でも律儀に両A面表記で記載されている。

初動1.1万枚で初登場48位を記録(1.1万で48位って…)、45位→43位と粘った後に33位→21位→13位→12位→16位と駆け上がってトップ10寸前で足踏みした後に8位→11位→7位と推移し、9週目でトップ10入り、11週目で最高7位を記録、その後もロングヒットして11月まで27週ランクイン、91.7万枚の大ヒットを記録した。最もミリオンヒットが生まれた1995年だっただけにこの売上でも年間32位とさほど目立たない順位になってしまうのが恐ろしや…。

今作時点では小林武史プロデュースのボーカルAKKOとギター藤井謙二の2人組。AKKOは小林武史が見つけてきた新人で藤井謙二はTHE BARRETTのギターとして既に1度デビューを経験、1993年に解散した後のセカンドキャリアとしての参加だった。

作詞の名義に使用していたKATE“Kenji Akko Takeshi Ensemble”の頭文字を取った共作名義とされ、女性が作詞しているイメージを作るためという理由もあったようだ。実態は小林武史の単独作詞であり2人は関わっていなかった。1stアルバム時点で小林武史の正式加入が決まるとKATE表記は破棄されて、小林武史名義へと修正されている。また編曲も”小林武史 & MY LITTLE LOVER”にしていたが、これも実態は小林武史単独だったようでメンバー入りした事によって単独名義に変更された(大枠は小林武史でも担当楽器のギターのアレンジやソロ考えるくらいは藤井謙二も関わってそうだが…)。よってKATE名義、小林武史 & MY LITTLE LOVER名義が表記されているのは1st~3rdシングル盤のみである。

Man & Woman

作詞:KATE、作曲:小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞作曲編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)

90年代半ば頃、ガールポップという若いポップス系女性シンガーを総称する呼び方があった。絶妙にヒット曲を聞き始めた時期とズレていたのもあって全くと言っていいほどこの括りの女性ソロシンガーはほとんど通っていなくて知らない。しかしガールポップという単語を聞くと真っ先に浮かぶのがこの曲だ。まさにガーリーなポップ、その極みにある軽快でキャッチーなポップスだと思う。桑田佳祐、サザンオールスターズそしてMr.Childrenの大ブレイクでアレンジャーとしてブレイクした小林武史だが作曲と編曲を手掛けた小泉今日子「あなたに会えてよかった」(1991)のミリオンヒットという作家としての実績もあり、満を持しての自身が楽曲も一手に手掛けるユニットのデビューとなれば新人離れした楽曲クオリティになっているのも当然だった。しかしこの曲でさえも1stアルバムの中ではまあ割と普通のシングル曲というくらい次の2シングルが更なる高みなのであった。あと最初から完成され過ぎて天井だったので、違う方向に向かうしかなくてアート、深化、実験に走りすぎたという側面もあるか。

最初のAメロと最後のAメロでももう1回出てくる“あなたとのことはきっとピントきてた”という歌詞、てっきり”ピンときてた”、要するに「ピン」と(いう直感が)きていたという意味だと思っていたのである時改めて歌詞を見てたらトまでがカタカナになってて「ピントがきてた」(ピント=焦点が合っていた的な意味)だったと知って随分後になってえええ!?と驚いた。てっきり誤植なのかと思って他の収録アルバムの歌詞を見たら全部「ピント」だった。しかし「ピントきてた」って微妙に良く分からない言い回しより「ピンときてた」の方が文章の意味が通ると思うんだけどなぁ…(納得いってない)。

別バージョンはしばらくなかったが、2010年代以降になって『acoakko』でのアコースティックセルフカバー、『evergreen+』でのリミックス音源が発表されている。『evergreen+』バージョンはドラムの質感が変わっていてクレジットがCDトレイ下の円形表示になってて超絶見難くて確認が大変だがドラマーのクレジットがあるので打ち込みドラムから生ドラムへの演奏差し替えが行われている模様。
★★★★☆
1stアルバム『evergreen
1stベスト『Singles
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~
1st配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko』(セルフカバー)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(『acoakko』収録Ver.)
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)

My Painting

作詞:KATE、作曲:小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞作曲編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)

両A面だったの…?と後追いだと誰もが思ってしまいそうだが、公式サイトでは現在もしっかりA面扱いで当時はPVも制作されていたという(2001年のDVD『clips』にもしっかり収録)。しかし1stアルバムに一緒に収録されたのを最後に1度もベスト盤に収録された事がない。自選集『Self Collection〜15 Currents〜』にも選んでもらえず…っていくらなんでもあんまりだ。

これまたガールポップ感溢れる良曲ではあるんだけど、この時期においてはまあ順当にC/W、トータル名盤なアルバムの中の1曲…という印象は変わらない。それこそ今になってこんな曲が出てくれば全盛期クオリティ!全盛期を思わせるこれぞジャパニーズポップス!とか言って絶賛しそうではあるし、それくらいのクオリティではある。

その後の扱いからお察しなように小林武史があまりこの曲に興味が無いのか、最初から完成されていたという認識なのか『evergreen+』でも全体の印象があまり変わっていない。冒頭のドラム音がオリジナルよりクリアに響いている感じはあるけど「Man & Woman」のような生ドラム差し替えも行われていない。
★★★☆☆
1stアルバム『evergreen
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)

2nd 白いカイト

B00005H05Y
1995年7月3日
作詞:KATE、作曲:小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞作曲編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)

1曲+instrumental versionでC/W無しで発売された(当時の定価で700円)。前作が初めてトップ10入り(8位)した翌週11位だった週に初登場20位、前作が最高7位を記録した週に17位に浮上するも23位→24位→31位と緩やかに下降、このまま下がっていくかと思いきや20位→17位と来て8週目に14位に浮上、この週に次回作が初登場2位を記録。次回作の大ヒットに引っ張られて16位→14位→12位→11位→12位→14位→19位とトップ10目前で刻みまくるロングヒットとなった。結局トップ10入りならず最高11位、しかもその後はこれまで刻んでいたのが嘘のようにわずか3週で100位圏外になってしまい18週ランクインで売上51.7万枚。前後の大ヒットに挟まれて地味な売上となってしまったものの初登場20位、最高11位からのロングヒットでの50万枚突破で存在感は発揮した。2021年夏にはサントリーチューハイのCMソングに起用された。

前後の大ヒットに挟まれて地味な立ち位置になってしまいそうだが根強い人気があり、この曲を好きだという人はけっこう多くて感覚的にだけど「Man & Woman」よりも人気があるような気がする。恋のタイトロープとか宇宙とダンスとか随所で正直イマイチ意味が分からない部分もあるんだけどトータルで青い夏空を想起させ、どこかここではない遠い夏の日を思い出すようなそんなノスタルジックさも感じさせる。まさにエヴァーグリーンな名作。前作では小林武史の担当領域の音ばかりメインで鳴っていてギター藤井謙二のお飾り感がハンパ無く、今作でも曲中の大半で他の音に埋もれていてやはり目立たない時間の方が多いものの、イントロで刻むエレキギターや間奏ソロで存在感を発揮。以降随所で目立つプレイを聞かせるようになり、欠かせない存在となった(脱退した後のギターがポッカリ抜け落ちた感は思った以上にとてつもなかった)。

evergreen』にAlbum Version表記があるが他の曲のように分かりやすい違いが無く、各楽器の音のバランスを調整した(ミックスをちょっといじった)程度っぽい。かなり微細なプロ感覚での変更と思われ、聞き分けは至難でわざわざ8センチCDを探してきて歴代音源と聞き比べてみたが…ほ と ん ど 全 部 同 じ な ん だ が … ?

いやシングルには何か違いがあるはず…と注意深く聞いてみたところ、ベースの音が『evergreen』ではわずかに強いか。なんとなくシングルとアルバムは響きが少し違う。ただベスト盤以降ではリマスター効果だけでシングルなのかアルバムなのかもうさっぱり分からなくなる。リスナーの間でも『Singles』以降はシングルバージョン(のリマスター)という判断と(Wikipediaはこっちのようだ)、シングルはシングルのみでベスト盤は全てAlbum Version(のリマスター)と判断しているリスナーもいるようでどっちが正解か分からない(そもそも指摘している人が極端に少ない。明確に違う「ALICE」でさえそんなに多くないんだから今作くらいだと研究しているファンもほとんどいないのかも…)。ベースの感じだとシングルだけ弱くて後は同じに聞こえるけど…あまりに些細過ぎて何度か聞いていたら分からなくなってくるレベル。『Singles』のリマスターの時点でだいぶ音圧が変わっててそれだけでもう違いが分からなくなるし、1995年当時はミックス作業を要したけど、00年代になる頃にはもうリマスター技術だけで調整できる程度の些細な音のバランス違いだったのではないかと思う。

なお『evergreen+』のリプロデュースもパッと聞きほとんど同じだが、イントロ部分のドラムからちょっと違う事が分かる。
★★★★☆
1stアルバム『evergreen』(Album Version)
1stベスト『Singles
1stアコースティックセルフカバーアルバム『organic』(セルフカバー)
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~
2nd配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko gift』(セルフカバー/2度目)
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)

3rd Hello,Again〜昔からある場所〜

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1995年8月21日
作詞:KATE、作曲:藤井謙二 & 小林武史、編曲:小林武史 & MY LITTLE LOVER
作詞:小林武史、作曲:藤井謙二 & 小林武史、編曲:小林武史(1stアルバム以降表記変更)

日本テレビ系ドラマ『終らない夏』主題歌。初動だけで22万枚叩き出して初登場2位を記録(よりによって同じ小林武史プロデュース&トイズファクトリーのMr.Children「シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~」が3週連続1位だった)、5位→2位と推移した後に4,5週目で2週連続1位となった。10週連続トップ10入り、23週ランクインで184.9万枚という驚異的な売上を記録、最大のヒット作となった。この勢いでリリースされた12月の1stアルバム『evergreen』は今作のさらに100万枚プラスの280万枚という空前の大ヒットを記録。

AKKOと藤井謙二の2人組としては今作が最終作。1stアルバムでは小林武史のメンバー正式加入に伴い、KATE名義が破棄され、小林武史単独に修正された。また小林武史 & MY LITTLE LOVERでは二重表記になってしまうため編曲も小林武史単独に変更となった。いや消すのそっち(MY LITTLE LOVER)かよ、編曲:MY LITTLE LOVERにするんじゃないのかよ!と思わなくもないが、自分がメンバーに入って自分で作詞作曲編曲全部1人でやってるんだからこれでいいだろうという小林判断?小林武史が完全提供した曲に歌とギターを入れているだけなのが実態だったが、メンバーも制作に参加している事をアピールするための戦略的というか気を遣ったようなクレジットだったという事か。そう考えると”編曲:サザンオールスターズ”の実態が”桑田佳祐&片山敦夫ほか”でメンバーは呼ばれた時しかレコーディングにすら参加していないのが最早公然の事実となっている中でも気を遣ってバンド名義のクレジットを続ける桑田佳祐はなんだかんだバンドマンなんだなと思ふ。なお藤井謙二が今作の作曲に参加しているのは事実で後年も最初に藤井が持ってきた曲は難解だった事と小林武史が手を入れたというような事を小林武史の証言として『Singles』のライナーに掲載している。表記変更後も藤井の名前が一貫して先になっているのもそういった経緯だからだろう。

ポップス史上最高峰の名曲。30年経過してこの曲自体が最早”昔からある場所”の領域となっているが、前作以上のエヴァーグリーンさで当時聞いても今聞いても“昔からある場所”を感じるというか…基本的には過去へと思いを寄せている歌詞なんだけど主人公は今もちゃんと生きていて、振り返っているだけではない。誰もがどこか部分的に共鳴できるような普遍性の高さがあると思う。またアレンジの完璧さよ…。なんとストリングス未使用。印象的なギターリフとバンドサウンドを軸にサウンドを構築しており、ストリングスで盛大に盛り上げなくてもスケールの大きな曲は作れるというのを小林武史がとうの昔に証明していた…という事実は2000年代以降の小林武史のピアノまみれ/ストリングスばかりで知られる作風とは一線を画す。アレンジに名前は無いが作曲者として先に名前の挙げられている藤井謙二のギターが重要な役割を占めているのは間違いない。この3人だったから生まれた奇跡の名曲。フォーエバー。

JUJUはシングルとして、絢香もアルバムでカバーしており、そちらの方がオーソドックスなストバラ、歌も遥かに上手い。しかしそうではないのだ。ストリングス使って優雅にしたり、圧倒的な歌唱力で歌い上げれば素晴らしいというわけではないんだ、違う違うそうじゃ・そうじゃなぁぅい(別の意味で違)、とカバーを聞くと思う。

organic』、『acoakko debut』(『acoakko』)にそれぞれ別のアコースティックセルフカバーが存在する。いずれもスローテンポになったり、アレンジが変わると普通の名曲になってしまいオリジナルの圧倒的な名曲オーラは減退する印象。『evergreen+』では他の曲に比べると若干音のバランスが変わったくらいで明確な違いはあまりない。やはりいじるところがあまりなかったのかなと。
∞★★★★★∞
1stアルバム『evergreen
1stベスト『Singles
1stアコースティックセルフカバーアルバム『organic』(セルフカバー)
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~
1st配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko』(セルフカバー)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(『acoakko』収録Ver.)
9thアルバム『re:evergreen』DISC-2『evergreen+』(リプロデュース)
22ndシングル『音のない世界/時のベル』C/W(acoakko Live ver.)
2017年配信シングル(acoakko ver./『acoakko』収録Ver.にベースとストリングスを追加録音)

4th ALICE

B00005H063
1996年4月22日
作詞:小林武史 & AKKO、作編曲:小林武史
1stアルバム後、そして小林武史が正式にメンバー入りして3人組となってからは最初のシングル。KATE名義だった前3作は小林武史単独に修正されてしまったが、今作は最初からAKKOが共作で作詞に参加しており、これ以降は作詞はAKKOが手掛ける事も増えた。小林武史とAKKOが結婚した事は当時も発表されていたようだが、出産のために活動休止というのは正式には発表されず、リリース間隔は4th~5thで半年、6th~7thでも半年空いているが、単にじっくり制作しているだけみたいな間隔でもあり、長く休んでいる印象は与えないように調整していたっぽい。デビューしたての新人とプロデューサーが2年目にいきなり結婚妊娠ってなかなかぶっ飛ん2016年にanderlustがデビューした際ボーカルの越野アンナが小林武史の娘(=AKKOの娘)と判明し、1996年7月30日生まれとされている事から、今作(4月)と次回作(10月)の間に長女(越野アンナ)を出産していた事になる。

初動29万枚を記録したが松田聖子「あなたに逢いたくて」に及ばず初登場2位。2週目以降は3週連続5位(6位の後もう1回5位)とやたら5位を連発しながら7週連続トップ10入り、13週ランクインで売上103.4万枚2作連続ミリオンで1stアルバム後も好調な売上だった。

前3作よりもデジタルサウンドを導入しつつもポップな雰囲気は損なっていない絶妙なバランス感の1曲。サビメロの気持ちよさも印象的でミリオンヒットもうなずけるだけのキャッチーさが感じられる。2番サビと最後のサビで合計3回出てくるなんて発音しているのか良く分からない箇所(リギリギラリギリギラにもレゲレゲラレゲレゲラにも聞こえる)は明確な歌詞が無く、歌詞カード上では全て記号の羅列で表現されている。3ヵ所とも記号の並びが全て異なっているが、実際の歌唱では特に意識せずに3ヵ所とも同じように歌われているように聞こえる。

アルバムバージョンってさっぱり違いが分からないなぁ…前作同様に微細なミックス違いなんだろうなと、『Singles』『Best Collection~Complete Best~』に収録されているのがシングルバージョンだと長年思い込んでいたが、シングルバージョンは8㎝シングルCD盤にしか収録されていなかったらしい。8㎝シングルCD盤では序盤のアコースティックギターが無くて音数が少なく、打ち込みドラムの音も軽めで質感が違う。かなり音がスカスカで後追いで聞くとこんな音少なかったっけ…?と驚くレベル。

『NEW ADVENTURE』収録時にはalbum versionと表記されているが、シングルでは聞こえなかった序盤からのアコースティックギター追加、中盤以降のエレキギターの存在感が増し、打ち込みドラムの音色などサウンド全体が追加・変更されている。何故かその後全てのベスト盤に無表記でalbum versionが採用されていてalbum versionが正規バージョン扱いとなったようだ。一応100万枚売れたシングルではあるし、ベスト盤も最初のは50万売れているんだからそこそこ何か違うぞ?と気づいたリスナーもいるはずだが、現状のネット上では消えたか埋もれてしまったかあまり言及されている様子が無い(Wikipediaには記載されていた)。

それどころかついには現行配信版シングル『ALICE』もアルバムバージョンに差し替えられていた(Amazon,Apple,Spotifyで確認)。何故かC/Wまで一緒に差し替えられてしまっており、C/W「めぐり逢う世界」は1stアルバム『evergreen』からのシングルカットで8㎝シングルでは表記無しで冒頭のSEが削除されているシングルバージョンであった。しかし現行配信版シングル『ALICE』ではSEありの『evergreen』収録バージョンに差し変わっている。

4thシングル『ALICE』は2曲ともシングルバージョンは当時の8センチCDを探してこないと聞く事ができなくなってしまっている。何故2曲揃ってそんなことになってしまっているのかは謎だが、2ndアルバムと1stアルバムと別々のアルバムから音源を引っ張ってきて差し替えているので意図的と思われる。「ALICE」はシングルバージョンの音は確かにスカスカなので分からなくもないが、何故C/Wまで…。シングルバージョンを聞きたければHARD OFFへ行こう!大体!毎回!いつも同じメンツと一緒に青箱にある!

そんなにはないと思うけどシングルが配信されていると思ったら、実は差し替えられているアルバム音源だったなんて事例は今後気づかれずに埋もれて歴史が修正されて行ってしまうのだろうな…。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録/未配信(配信版シングルはC/Wもろともalbum versionに差し替え)
3rdアルバム『NEW ADVENTURE』(album version)
1stベスト『Singles』(表記はないがalbum version)
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2(表記はないがalbum version)
23rdシングル『blue sky』C/W(acoakko Live ver.)
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~』(表記はないがalbum version)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(セルフカバー)

5th NOW AND THEN〜失われた時を求めて〜

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1996年10月28日
作詞作曲編曲:小林武史
日本テレビ系テレビドラマ『ナチュラル 愛のゆくえ』OP。初動25万とまだまだ高い数字を記録したがglobe「Can’t Stop Fallin’ in Love」に及ばず初登場2位。登場週数13週は前作と同じだったがトップ10入りは3週に留まり、65.0万枚と大幅に落とした。このドラマ自体にタイアップ効果が無かったようでEDだったFIELD OF VIEW「Dreams」は初のトップ10落ち(14位)となっている。

今作は次回作と違って映画『スワロウテイル』とは無関係でタイアップ上の繋がりは無いが、小林が手掛けた劇中バンドYEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」とは作風的にはやや近いものを感じる。いわゆるコバタケバラードの雛形みたいなストリングスを入れたバラードだが、まだピアノにまみれていなかったり、王道こってりバラードではなくちょっと幻想的な質感に仕上げているところは大きく違うところ。このちょっとくすんだ感じはMr.Children『深海』のサウンド作りにおいて成果を得たニューヨークウォーターフロントスタジオで制作された効果のようだ。

母になっていくAKKOの中にみた少女性が前作なら、今作は父親になっていく小林の中の漠然とした実体のない気持ちが自然と映し出されたのがこの曲だったのかもしれないと『Singles』のライナー内で小林のコメントとして掲載されている。確かに漠然としていてイマイチどういうことなのかは分かりにくいが、サウンドの雰囲気からは少年性が見えるような気はする。

『PRESENTS』では表記は無いがアウトロが1分40秒ほど長いロングバージョンで収録されている。これは元々MVで使用されていたバージョン。ベスト盤ではシングルサイズに戻っているので今作は差し替えにはなっていない模様。
★★★★☆
2ndアルバム『PRESENTS』(表記はないがアウトロが長いアルバムバージョン)
1stベスト『Singles
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(セルフカバー)

6th YES〜free flower〜

B00005H068
1996年12月2日
作詞作曲編曲:小林武史
初動16万枚と落としたが初登場1位。「Hello,Again〜昔からある場所〜」以来2度目にして最後の1位、また初登場での1位はシングル唯一となった。5週(年末合算含む)トップ10入りしたものの11週ランクイン、初動の低さも響いて45.5万枚に留まり、この時点で最低売上となった。この当時、ミリオンヒットも複数飛ばして1発屋以上の人気は一時獲得していたのに1位を取れないというのはそんなに珍しくなかった。7月にも初の1位を取ったものの唯一の1位&最高売上より遥かに低い売上に終わる…というのがシャ乱Q「涙の影」で起こっていた

映画『スワロウテイル』に関連しているのは前作ではなく今作の方で映画の中に登場する“All or Nothing”というバンドの「Free Flower」というヒット曲として挿入歌扱いで使用されているらしい。シングル盤では“MY LITTLE LOVER as ALL OR NOTHING”という表記もあるが、メインで扱われる曲ではないためなのか『Singles』の解説ではこの事には既に全く触れていない

これまでのポップスのイメージから一線を画すひんやりとしたトーンで統一され、ひたすら淡々と進行していく。サビはそれなりに盛り上がり、Yes Yesの連呼も耳には残るのでかろうじてのヒットチューンらしい佇まいも残しているが、この後の実験サウンドの始まりを告げる1曲になった。1996年夏頃から『CDTV』を見始めたので前3作はどこかで聞いた事はあるがまだマイラバを認識しておらず、今作の1位で初めて認識した。当時の1位になるようなヒット曲の中ではかなり異色でクールだなと思ったのを記憶している。ちゃんと聞いたのは『Singles』発売時なので5年くらい経過してたんだけど、発売時にサビだけ流れたのを聞いただけでYes Yesの連呼は5年経っても凄く印象に残っていた。この後「DESTINY」のヒットまでは『CDTV』でのランクインを見ていても特段マイラバのヒット曲として認識していなかったので(「Shuffle」「空の下で」の2曲はどこかで聞き覚えはあったけど「ANIMAL LIFE」「Private eyes」は『Singles』時点で知らない曲だった)どこか引き込まれるところがあったんだろう。

なおマシュマロでのこの回答はこの曲の”Yes Yes”以外の全てのサビの歌詞であり、つまり答えは”Yes Yes”30周年回顧やるよという意味であり、執筆を進めていた頃であった(その後7月のデビュー日に合わせてDOMOTOへ改名するKinKi Kidsを先にやる事になったので中断)。

『Private eyes』C/Wに収録されたremixはシンセ打ち込み主体のテクノ風になっている。
★★★★☆
9thシングル『Private eyes』C/W(remix)
2ndアルバム『PRESENTS
1stベスト『Singles
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

7th ANIMAL LIFE

B00005H06F
1997年6月25日
作詞:小林武史 & AKKO、作編曲:小林武史
MY LITTLE LOVER featuring AKKO名義。半年のブランクと通常シングルではないような名義でのリリースもあってか、初動7万台まで落ち込んで初登場5位、8週ランクインで22万枚と売上はさらに半減した。

featuring AKKOとなっているようにAKKOに似せた同じ格好見た目のバックバンドをつけた4人バンドスタイルで全面的にビジュアルイメージを展開。少女性から一気に大人の女性をイメージした歌詞に変貌。これAKKOが作詞に参加しているからいいけど小林単独作詞だったらやりすぎ感はあったかもしれないとちょっと思ギター以外は打ち込みのロックバンドスタイルだが、これまでより分厚い藤井のギターサウンドが前面に押し出されていてカッコいいグラムロック風にもなっている。サウンド的にはfeat.藤井謙二なんじゃないかと思うくらいギターで引っ張っているんだけど、あくまでAKKO中心のコンセプトだからって影に徹する事になるっていうのはちょっとあんまりじゃないか。

今聞くとこれはこれでカッコいいと思うんだけど、当時聞いた記憶が全くない。
★★★☆☆
3rdアルバム『NEW ADVENTURE
1stベスト『Singles
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

8th Shuffle

B00005H06I
1997年8月20日
作詞作曲編曲:小林武史
前作よりも好調で初登場4位から5週連続トップ10入り、10週ランクインで30万枚を突破

爽快なサマーポップロックナンバー。藤井のギターを生かしつつも華やかなブラスとウキウキなリズムで躍動感のあるバンド感のある仕上がり…だが生のホーンセクションにはこだわりつつドラムは打ち込みであまり存在感が無い。実験的な曲が続いた中で、ロック色を残しつつもポップ性を取り戻して1stの頃とも違う新たなマイラバのポップスを聞かせてくれた会心作。当時「YES〜free flower〜」と同じ人たちとは認識していなかったが、サビが爽快なサマーソングとして1997年の夏~秋にどこかで聞いた事ある曲としてなんとなく認知していた。しかし30万だったのかぁ。5,60万は売れた(マイラバと認識してない)ヒット曲だと思ってたんだけどなぁ…。

月9ドラマが『ビーチボーイズ』で今作とかEvery Little Thingの「For the moment」「出逢った頃のように」とか(ZARDの「永遠」のPVの荒野のイメージも)流行ってた1997年の夏って凄く爽快な夏だった印象がある。
★★★★☆
2ndアルバム『PRESENTS
1stベスト『Singles
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

9th Private eyes

B00005H02B 4047002178
1997年11月12日
作詞:AKKO,小林武史、作編曲:小林武史
8センチシングルがまだ主流の中で12㎝マキシシングルとしてリリースされた。3曲目がInstrumental(カラオケ)ではなく、「YES 〜free flower〜(remix)」となっている。初登場8位から5週ランクインに留まり、累計10万割れと最低売上を大幅更新。

11月25日には『Private eyes Rough Mix』と題したエッセイ+8㎝CDも発売された(上記右の画像)。これは角川CDmini文庫という角川とコラボした商品で文庫本よりさらにミニサイズのミニ本と8㎝CDが一体化したコンパクト仕様。本の内容は全ページ白黒のAKKOと風景の写真集にポエムが添えてあるもので表紙に記された作品の名義は“Takeshi Kobayasi&AKKO”となっていて藤井不参加。Music Perfomed by MY LITLLE LOVERとなっていてCD盤にもMY LITLLE LOVERと書かれているのでかろうじて音楽部分はMY LITLLE LOVER名義なので藤井も含まれる…といった具合(ただしメンバー表記は無いので藤井の名前は無い)。CDには新曲「Tokyo Tower」「ランデブー」と「Private eyes(re-mix)」が収録されていた(『Private eyes Rough Mix』は作品名で曲名ではない)。3曲ともリミックス色の強い打ち込みサウンドとなっている。藤井あんまり参加してなさそうなサウンド…「ランデブー」は次のシングル『空の下で』C/W、企画アルバム『The Waters』に収録されたが従来のバンド路線にリアレンジされており、「Tokyo Tower」は『The Waters』に収録された際にversion 2になっていてこれもアレンジがまるで異なる。『Private eyes Rough Mix』は3曲ともそこでしか聞けない音源となっている。

『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』の解説では当時R指定テクノと呼ばれた…とあるが、全く記憶していなかった。『Singles』に外されたので初めてちゃんと聞いたのが『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』だったがやはり覚えてなかったし…。世間的にも実験に走りすぎてコケたシングルくらいにしか思われてなかったのでは。

1番は音数少なめで進行し、2番以降はリズムトラックも入ってくるがもう完全に”リズムトラック”であって”打ち込みのドラム”ではないトラックメイカー志向な1曲。オリジナルの時点でも最初からリミックス曲のような異色さが漂っている。今となってはピアノストリングスまみれでお馴染みのあの小林武史がこんなテクノ志向を見せて自分が所属するバンドのシングルとしてリリースしていたなんてコバチル、コバオロメン、コバックナンバー以降のピアノストリングスが特徴でお馴染みのコバタケバラード世代に聞かせてもコバタケソングスだとは信じられないのではないだろうか。小林武史ってこんな電子方面テクノ方面に傾倒して攻めてた時期があったのかという歴史的遺産として『Private eyes Rough Mix』と共に価値のあるシングル曲。

『Private eyes Rough Mix』に収録されているre-mixはオリジナル5分19秒に対して6分52秒まで長くなっているが大雑把な印象はあまり変わらず、引きのばしというかいわゆるExtendedのような仕上がり。ほぼ別アレンジになっていた「YES〜free flower〜(remix)」とはremix、re-mixと表記が異なるが、一部素材だけ使ってトラックはほとんど新規な一般的なリミックスをremixと表記し、元のアレンジを長くしたようなExtended的なやり方はミックスをもう1度やり直したという考え方でre-mixとして意図的に分けたものと思われる。

扱いは不遇。一応全盛期に当たるトップ10ヒットシングル群なのに『Singles』『Best Collection~Complete Best~』両方に外されたのでベスト盤収録が自選集『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』1回だけ。自選しているだけマシではあるけど。
★★★☆☆
角川CDmini文庫『Private eyes Rough Mix』(re-mix)
3rdアルバム『NEW ADVENTURE
2ndベスト『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~

10th 空の下で

B00005H06L
1998年1月21日
作詞作曲編曲:小林武史
初登場6位を記録したが2週目25位という当時としては記録的ランクダウン、3週目は26位だったが5週ランクイン12万枚の売上に留まった。これでも10万割れの前作よりは高い。アルバム先行シングルに該当するので売上が伸びなかったのかと思いきや、アルバムは3月4日なので1ヶ月以上は離れていたので普通に不振気味だったという事か…。

『Singles』の全体解説ライナーではこの時期の小林武史はまだアルバムを1枚しか出していなかった事に気づいたのと同時期にAKKOから「Man & Woman」のような曲もたまには書いてと言われたとある。「Private eyes」の話の後に書かれていてそこから「空の下で」の話に流れていくので、アルバムリリースを見据えて実験ばかりではなくポップな曲も少しシングルでやろうという意識はあったと思われ、今作は確かにそれに該当するポップな1曲だと思う。「Shuffle」ほどウキウキではないが、明るく開放的でワクワクしてくるような抜群のポップさがある。さすがに前作で攻めすぎた反動で見切ったリスナーが多くなり売上は伸びなかったけど、然るべき時期に出していればもっと売れていたんじゃないかなと。
★★★★☆
2ndアルバム『PRESENTS
1stベスト『Singles
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

11th DESTINY

B00005H06P
1998年5月13日
作詞作曲編曲:小林武史
フジテレビ系ドラマ『WITH LOVE』主題歌。竹野内豊の初単独主演ドラマ(前年の『理想の結婚』は常盤貴子主演の2番手扱い、『ビーチボーイズ』は反町隆史とのW主演)で最終回にかけて視聴率が20%を越えて盛り上がるヒット作となった。主題歌である今作も初動12.6万枚と初動だけで前2作の売上を突破すると7週連続トップ10入り、12週ランクイン51万枚久々の目立った大きなヒットとなった。2ndアルバム『PRESENTS』が60万枚にも届かない不振な売上に終わっていて低迷が明らかだった中でマイラバ健在ぶりを示す起死回生のヒットとなり、これが効いたか続く3rdアルバムは80万近くまで売上を伸ばした。結果的には最後の大ヒットどころか今作を最後にトップ10ヒットからも遠ざかった(2009年の『音のない世界/時のベル』で1度だけ8位を記録)。

ロングヒットモードになっていたので『CDTV』で毎週かかっているのを見ていて明確にヒット曲としての当時の記憶がある。初期のポップなイメージよりも憂いを帯びたようなややロックで重めなサウンドになっていて新境地を切り開いてのヒットという感じだった。当時友人がしきりに今作でAKKOのボーカルが別人みたいに変わった!と騒いでいたが、『CDTV』でサビしか聞いてない程度では普通にマイラバの声じゃね?という感じで誰1人共鳴せず、それでも声が変わったってば!なんで誰も分からないんだ!とやたら主張していた。その感覚は今でも分からない。曲調が違うから当然歌い方もそれに合わせていてそりゃ「空の下で」や「Shuffle」のような明るい曲とは違うでしょうよ…とは思うんだけど。
★★★★☆
3rdアルバム『NEW ADVENTURE
1stベスト『Singles
1stアコースティックセルフカバーアルバム『organic』(セルフカバー)
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(セルフカバー/2度目)

12th CRAZY LOVE/Days

B00005H06R
1998年7月23日
9月2日のアルバム『NEW ADVENTURE』への先行シングル。「空の下で」の時と同様に直前ではなく一応1ヶ月以上離れていてそこまで不利ではなかったはずだが、前作のヒットが嘘のような初登場11位とトップ10入りをついに逃してしまい、累計7.6万枚と前作初動にすら遠く及ばず。

『NEW ADVENTURE』リリース後はシングル発売はなく、既出曲のリミックスや大量の空白トラックを駆使した隠しトラックを収録するなど実験色の強いコンセプトアルバム『The Waters』を12月にリリースして以降は本格的な活動休止状態となった。今回も特に休止発表はなかった。この間に小林・AKKOは家族でNYへ移住、次女が生まれたとされている。次女も後年HARUHIとしてデビューしており1999年2月25日生まれとなっているので、前作や今作がリリースされた頃には既に妊娠が判明していたと思われ、とりあえずリリースは年内までという方針も決めていたのではないか。

なお『NEW ADVENTURE』収録曲であり、『The Waters』でバージョン違いや隠しトラックで複数バージョン収録されてやたらフューチャーされた「STARDUST」という曲のサビ終わりのフレーズに“隠れていよう”とあり、これが活動休止を暗示、予言するフレーズだったというのが『Singles』や『Self Collection〜15 Currents〜』のライナーノーツに連続して記載されている。2度も書かれているので事実かと思っていたがよく読めばこの話にはどこにもメンバー証言が含まれておらず、あくまでライナーを担当した小貫信昭氏(ミスチルや槇原敬之の公式本書いてる人)の推測である事には留意しておきたい。

最後の8センチCDとなった。

CRAZY LOVE

作詞作曲編曲:小林武史
キリンビバレッジ「ナチュラルズ」CMソング。AKKO本人も出演していた。

夏のマイラバらしい明るくキャッチーなメロディーの楽曲だが、打ち込みのリズムアレンジが忙しなく一部ダブっぽくなったりと実験的な作風が抜けきっていなくてストレートなポップに徹しきれていない。そんなにアップテンポに感じられる曲ではないのだがこの打ち込みビーツ(?)のおかげでなんだか落ち着かない感じがしてしまう。クレイジーなラブを歌っているのでそういう意味ではクレイジーなのかもしれない。

前作のヒットで健在っぷりを存分に見せつけていたが…今作は全く記憶にない。「DESTINY」の後はそのままアルバムと実験アルバム出してそのままいつの間にか活動しなくなっていたというところで中学時代前半でマイラバの記憶が1度完全に途絶えている。改めて振り返ってみると「DESTINY」ヒットが中1の最後で、中2で今作とアルバム、次のシングルの時はもう高1の終わりだったので環境がすっかり変わっていた。10代にとっての数年は大きい。
★★★☆☆
3rdアルバム『NEW ADVENTURE
1stベスト『Singles
2nd配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko gift』(セルフカバー)
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

Days

作詞作曲編曲:小林武史
日本航空「JAL夏の北海道『地平線リゾート』」CMソング。

日常の大切さをかみしめるようなどっしりとした壮大なロックナンバー。雄大に広がっていくような楽曲で歌詞も日常というよりも旅先の風景を切り取ったようなイメージとなっているが、これはJAL北海道キャンペーンのCMタイアップだったのもあるとは思われるが実際に北海道を旅した際の光景からインスパイアされているとされ、『Singles』ライナーでのAKKOの証言だと空港に降りた途端に広がるタンポポ畑に感動していた姿をそのまま詞にしたのかもしれない(“したのかもしれない”なのは作詞にAKKOが関与しておらず小林武史が作詞しているため)という。なので日常の中で日常の大切さを感じるというよりも、旅先で大自然に癒される事で改めて日常の大切さに気付いて噛み締める、というようなイメージ。

じわじわとストリングスの出番が増えてきているが(案の定だがこの時期から後のストリングスアレンジでベッタリな関係になる四家卯大を起用し始めている)、藤井のギターの存在感も同時に増しているため、しっかりとロックバラードっぽくなっているのがまだまだ後年とは違うところであり、後のコバタケバラードとは一線を画す。

「My Painting」と違って今作はしっかり『Singles』には収録された。しかし『Best Collection~Complete Best~』ではコンプリートしてもらえずスルーされてしまった。『NEW ADVENTURE』ではエンディングのような締めくくり感があって『NEW ADVENTURE』で聞く時が1番印象がいいかも。
★★★★☆
3rdアルバム『NEW ADVENTURE
1stベスト『Singles

13th Shooting star〜シューティングスター〜

B00005HULH
2001年2月28日
作詞作曲編曲:小林武史
2年7ヶ月ぶりのシングル。『The Waters』からも2年3ヶ月経過していたため、久々の活動再開としてある程度のアピールはされた。この間にすっかり8センチCDが終了してしまったので今作よりマキシシングルへ完全移行となった。

高橋克典、仲間由紀恵主演の日本テレビ系ドラマ『FACE〜見知らぬ恋人〜』OP。1999年~2004年まで続いた『サラリーマン金太郎』シリーズが当たっていた高橋克典、2000年~2014年まで制作された『TRICK』シリーズが当たったばかりの仲間由紀恵と一応旬な2人だったが視聴率は低迷し、初回が1番高いまま3話以降は一桁街道を爆走。「DESTINY」ほどではないにしてもドラマタイアップで久々の活動再開作で健在っぷりを示すヒットに繋げる狙いは当然あったと思われるが、あの頃のヒットを再現させることはできなかった。初登場13位、4週ランクインで5万枚の売上。

「DESTINY」の雰囲気をもう少しミディアム寄りにした感じもあり、ドラマタイアップでの復帰作で「DESTINY」のヒットよもう1度というのは狙っていたんじゃないだろうか。壮大なストリングスっぽいラインが鳴っているが『Topics』のサポートミュージシャンにストリングスの記載が無いのでシンセか?「Days」同様に藤井のギターの存在が大きいため、ギターとストリングスっぽい音色の共存が実現している…が重くてかったるい感じも漂い始めている。復帰作ならもう少し軽やかで明るいポップスか、「DESTINY」そっくりになってももう少しテンポ感はあった方が良かったような気はする。『Topics』期はじっくり聞くと名盤なんだけどやはり全体に地味目ではあるんだよな…。

3曲目にInstrumentalが収録されず、acoustic versionが収録されている。ピアノメインでアコースティックギターと途中から軽めのリズム他…とオーソドックスなアコースティックサウンドの要素もあるんだけど全体に終始アナログ盤のノイズがパチパチ入っていたり、ボーカルが遠めにエコーがかった加工が施されていたりとドリーミーな雰囲気。アコースティックとリミックスの中間のような仕上がり。
★★★☆☆
C/W(acoustic version)
4thアルバム『Topics
1stベスト『Singles
アコースティックセルフカバーアルバム『organic』(セルフカバー)
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

14th 日傘〜japanese beauty〜

B00005HXBH
2001年4月18日
作詞作曲編曲:小林武史
「カルピスウォーター」CMソング。アルバム『Topics』1ヶ月前先行シングル。前作ではAcoustic Versionが収録されてInstrumentalが収録されなかったが、今作はそのままInstrumental無しでC/Wと合わせて全2曲という、マキシシングルに移行したのに過去最少トラック数のシングルとなった。またこれまでのC/Wは別バージョンやリミックス等で違う音源ながらも全てアルバムに収録されていたが、今作のC/W「マインドゲーム」は初の完全アルバム未収録曲となった。以降はアルバム未収録C/Wもチラホラ出てくるようになる。売上はさらに低迷し、初登場23位、3週ランクイン2万枚の売上となった。アルバム『Topics』は4位を記録するも8万枚の売上に留まるなど、満を持しての活動再開はリスナーがほとんど戻ってこない結果となった。12月には初のベストアルバム『Singles』を発売。こっちは過去のヒット曲遺産が効いて最後の大ヒットとなり、初登場1位で60万枚近い売上を記録した。

新作は再度途絶え、結果的に藤井謙二在籍時最終新作となった。藤井はその後、BURNERD RUSH、FTK&K、HI NORMAL LUNCHを経て2011年にThe Birthdayに脱退したギタリストの後任としてフジイケンジ名義で途中加入、スタジオミュージシャン、サポートミュージシャン業と並行して活動している。経歴からすると元々完全にロック畑の人なので本職に戻った感じでもあるのかもしれないが、スタジオ/サポートミュージシャンとしては幅広くJ-POPミュージシャンに参加している。メンバーとしてはよくマイラバにいてくれたな…という感じもある。

前作よりも明るいポップスだが、しかしやはりどこか地味でかつてには及ばない空気は共通して漂う。今作でもストリングスっぽいシンセと藤井のギターの存在感が絶妙なバランス。ストリングス一辺倒になりつつあった小林武史を藤井謙二がカバーしてそういう印象をまだ抱かせていない。身近なバンドメンバーとしてのギタリスト藤井が離れた後の小林武史は以降ピアノまみれ、ストリングスばかりと言われるほど作風を偏らせていくが藤井を失えばそうなるのは必然であったのかもしれない。小林武史のプロデュースワークの中にはそんなに主張の強いギタリストがいなかった。1番長く接していたプロデュースバンドのギタリストがMr.Childrenの田原健一だが、主張の強いギタリストでないのは誰もが知るところだし、何よりキャリアの始まりは新人とプロデューサーで対等ではなかった。以降のバンドプロデュースも基本新人相手だが、藤井の場合は既にメジャーデビュー済みのプロのギタリストだった。キャリア的に後輩ではあったが、ある程度は対等に近く、そんなギタリストがメンバーであったのは大きかったと思う。
★★★☆☆
4thアルバム『Topics
1stベスト『Singles
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

15th Survival

B00006F24H
2002年9月4日
作詞作曲編曲:小林武史
ギターの藤井謙二が脱退し、AKKOと小林武史のユニットになって最初のシングル。1年5ヵ月ぶりのシングルで『Singles』リリースから今作まで9ヶ月(『Topics』から1年4ヶ月)での再始動となったが、今作は完全な単発リリースとなり、12月に今作とは繋がりの無いアコースティックセルフカバーアルバム『organic』をリリースしたのみで2003年は再度休止状態となった。初登場23位、2週ランクインで1万枚の売上に留まった。今作はオリジナルアルバムには収録されず、2004年1月の『FANTASY』は先行シングル無しの全曲新曲となり、2004年4月に『Singles』収録曲以外のアルバム曲中心のベストアルバム『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』に収録された。C/W「other side」はアルバム未収録。

ここは実験や地味に走らずにドストレートにポップな初期イメージのマイラバを提示。原点回帰的なマイラバらしいポップスに仕上がっていてメロディーもそこそこいい…が、ギターの存在感が著しく減退。確かにギターはいるにはいるんだけどサポートギター感が凄い。ギターの人って第3のメンバー的になりがちというか、Every Little Thingやthe brilliant greenもそうだったけどメインライター+ボーカルの2人だけいれば必要最小限で”もう1人”にオマケ感が出てしまう風潮がどうしてもあったというか…。しかし今作を聞いてみればどうだろうか。いなくなって改めて藤井謙二の存在が大きかった事を感じたリスナーは多かったのではないか。今作を聞く前に既にファンがいなくなってるよ!とか言うのは禁句だ

結局今作は単発のリリースに終わり、小林武史在籍時に小林武史がやる初期っぽいポップス路線もこれで最後になってしまった。この頃にはもうLily Chou-Chouを経てSalyuのソロデビューに向けての構想に御執心でマジで妻とマイラバには興味を失いつつあったのではないか…と正直思うところではある(娘2人もまだ小さく、AKKOも子育て優先でそんなに活発に動けないところもあっただろうし)。

なおわざわざこのシングルを手に取った事が無かったのでサブスクで聞けるようになるまで聞いたことなかったんだけどC/W「other side」を聞いてみたら9分もある実験テクノサウンド、しかも当時のTKがトランスに傾倒していたのに影響されたのか、トレンドに乗っかってみたのかシンセの音色はトランス風味になっていて驚いた。90年代末期限定だと思ってたけど2002年になっても電子路線まだやってたのね。
★★★☆☆
2ndベスト『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

16th 風と空のキリム

B0001LNN4I
2004年4月28日
変則的な構成のシングル。表題曲の「風と空のキリム」は2曲目に収録されており、1曲目は「深呼吸の必要」で「深呼吸の必要」が実質メイン曲。映画『深呼吸の必要』主題歌でMVが制作されたのも「深呼吸の必要」だったため、「風と空のキリム」は実質C/Wだった。最早シングルタイトルを『風と空のキリム』にした理由が良く分からない。

ベストアルバム『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』と同時発売。これを最後に再び活動休止状態となった。結果的に小林武史在籍時最後の新作にして、”MY LITTLE LOVER”最後となった。

3曲目に収録されている「反復と労働〜風と空のキリム(instrumental)from Original Sound Track」は映画のサントラ代わりを果たすインスト音源だが、この音源は配信版ではカットされ、CD4曲目の「SUMIKA(住処)」が配信では3曲目に配置されている。また”from Original Sound Track”と映画のサントラ盤が別途存在するかのような表記になっているがこの映画のサントラ盤は発売されなかったため、存在しない。このシングルCDが実質サントラ盤の代わりとなる。「SUMIKA(住処)」のみ映画で使用されておらず無関係。

初登場32位から100位以内は2週ランクインだったが200位以内に集計拡大に伴い101位~200位の間で5週も粘っていた事が新たに判明、1.1万枚の売上となった。

深呼吸の必要

作詞作曲編曲:小林武史
映画『深呼吸の必要』主題歌、JAL沖縄キャンペーンソング。映画の特別協賛に日本航空が入っていてコラボ企画が行われていたためJAL沖縄キャンペーンとのWタイアップとなっている。香里奈、谷原章介、成宮寛貴、長澤まさみ、金子さやか、久遠さやか、大森南朋といった6人の見ず知らずの若者(10代~20代の中で谷原章介と大森南朋は当時すでに30代前半で作中でも年上の設定)が沖縄でサトウキビの収穫を行うアルバイト「キビ刈隊」として集結して延々と刈り続ける集団生活の中でそれぞれが抱える問題や葛藤、交流が描かれるという内容の映画。香里奈は同年『天国の本屋〜恋火』『海猿』も含めた3本の映画に出演(主演は今作だけ)して一気に主演俳優街道へ乗っかり、長澤まさみはブレイク作の映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の撮影の合間に今作の撮影へ挑んでいた(今作の撮影で少し太ってしまい『世界の中心~』の現場に戻った際は衰弱して病死するシーンの撮影を控えていたため辻褄が合わなくなってしまうのでダイエットしてくれと言われたとか…)。大ヒットはしなかったが比較的話題作だったと思う。

映画の予告で流れているサビ部分と映画の映像との親和性が非常に高く、それが凄く好印象だったので、『Singles』聞いたっきりだった中で結果的にマイラバのシングルを唯一リアルタイムでレンタルしてきた1作になった(『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』もついでに聞いたけど当時そこまで良さを感じられずこれっきりまた聞かなくなった)。映画は確か後でDVDレンタルしてきたので、当時は確か予告と『SELF COLLECTION~15 CURRENTS~』を借りてきて改めていいなと思ったので新作シングルも聞いておこうとかそんな感じだったと思う。しかしいざ聞いてみたらサビ以外が超絶地味、なんだか思ったよりも遥かにか弱いボーカルで歌われていてあれこんな声出てなかったっけ?と色々疑問だらけになってしまい、結局これっきりまた聞かなくなってしまった。映画本編でも単独で聞くよりはいいんだけど、映画の予告映像はマジで魔法がかかっているかのように素晴らしい名曲に聞こえる
★★★☆☆
6thアルバム『akko』リクエストベスト付DISC-2
2nd配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko gift』(セルフカバー)
3rdベスト『Best Collection~15th Anniversary Box~』『Best Collection~Complete Best~

風と空のキリム

作詞作曲編曲:小林武史
映画の中ではピアノ&チェロインスト「かんしょの唄」として流れており、2008年の小林武史のアルバム『WORKSⅠ』に収録されている。なので厳密にはCD3曲目に収録されているインスト「反復と労働〜風と空のキリム(instrumental)」は「反復と労働~かんしょの唄」とするのが正確なのではないかと思うが、このシングルにおいては「風と空のキリム」のインストとした方が分かりやすいのでそうしたのか。

今作はそれを歌にした楽曲となるが、かなり淡々としていて地味で暗い。どっちが先なのかは分からないが、劇伴のインストを歌にしたからこうなったのだろうか。劇伴のインストとしてはそっちに意識が行ってしまうほどメロディーラインが強すぎると邪魔になってしまうし。やはりか弱い歌唱になっていて、「深呼吸の必要」のようなサビの盛り上がりも皆無のため、これはマジで全く印象に残らず…。ていうか何でこのシングルのタイトルこっちにしたんだろう

acoakko活動とは親和性があったのか、最初期にacoakko化されており、オリジナルバージョンがアルバム未収録のまま長年放置されているが、acoakkoバージョンがアルバムに収録されている。
★★☆☆☆
1st配信限定アコースティックセルフカバーアルバム『acoakko』(セルフカバー)
2ndアコースティックセルフカバーアルバム『acoakko debut』(『acoakko』収録Ver.)

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