Dear
1993年12月16日
from 3rdアルバム『SUCCESS STORY』
編曲:服部隆之
初出となる原曲。打ち込み主体の中で今作だけは生のバンド+ストリングス+ブラスと豪華編成となり終盤にはLA現地で収録されたゴスペル隊によるド派手なゴスペルコーラスまで使用された超大作。歌詞もスケールがでかく、”遠い異国の恋人”とか”遠い遠いこの国で私待っているのよ”と遠距離の相手が海外にいる事が明確に示されている。また全体的に話し言葉調になっている。
最初に聞いたのがこのバージョンだった事もあり、シングルバージョンよりも何気に思い出深かったりはする。少ない機会ながらこのバージョンもベスト選曲された事はあり、『THE BEST Love Winters-ballads-』で初選曲、『Kohmi30th』ではDISC-1にVer.2.05が収録され、初回限定盤BOX SETのDISC-3にこのバージョンが収録された事で初めて同一作品内に2バージョン収録された。セルフカバーアルバム『名曲アルバム』ではこのバージョンがリメイクされている(後述)
事務所独立騒動の際の会見では困り果てている様子やマスコミが食いつきそうなゴシップネタ(自分が代表になれば返り咲ける発言に始まり、8年でマネージャー28人辞めた、免許の更新もわからないような世間知らずな人等)が優先的に記事になったが、もう少し詳細を書いた記事では平野T.J.ヨーイチ氏が1番思い出深い曲を聞かれて「Dear」だと即答したとして「彼女が私と一緒にデモ音源を作ったりした」とも発言したそうだが、実際に『SUCCESS STORY』のクレジットではProducerは田村充義だが、exceptとしてこの曲だけは平野T.J.ヨーイチがProducer、広瀬香美がCo-Producer扱いとなっていた。コーラスアレンジは広瀬香美だがゴスペルコーラスアレンジは平野T.J.ヨーイチ、演奏は国内ミュージシャンだが海外のゴスペルコーラス隊のレコーディングは恐らくLAで行われており、LAレコーディングのSupervisorを担当していたのでゴスペルコーラス部分はアレンジからレコーディングまで平野氏が深く関わっていたのではないか。
★★★★☆
2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
8th DEAR…again
1996年11月11日
編曲:本間昭光・広瀬香美
「アルペン」CMソング。原曲「Dear」を3年後にシングル「DEAR…again」としてサビ頭以外のほぼすべての歌詞を全面書き換え・リアレンジしてリメイクしたもの。初動3万で初登場20位となり、2週目には30位まで落ちたためリメイクではやはり伸びないかと思われたが3週目に15位に浮上すると4週目に10位となりトップ10入り。さらに9位→7位と年内に上昇し続けた。歌詞にクリスマスが出てくるためかクリスマスを過ぎた合算週で17位まで落とすとゆっくりランクダウンしていったが、13週ランクインで30万枚越えのヒットとなった。通常上昇型のヒットはブレイク期にのみ見られる現象で固定ファンがついてくれば初動型になっていくのが一般的。しかし固定ファンがつかずに初登場の順位も低いが、リリースされた事が知れ渡り、12月になって本格的に冬がやってくると浮動層が動いてシーズンモノとして購入してチャートを上昇するという世にも珍しい売れ方を繰り返すという特異な存在となった。
生音&ゴスペルコーラスで豪勢だったアレンジのメインフレーズなど基礎部分だけ残してシンプルな打ち込みアレンジにまとめてライトな雰囲気に変えたほか、歌詞は歌い出しの”元気”だけそのままで直後から話し言葉を改まった言い回しに変えたことで主人公女性をしっとりとした雰囲気の主人公に全面改変。サビだけはほぼそのままだがサビ終わりの海外設定を排して”遠い遠いこの国で私待っているのよ”→”遠い遠いこの距離に心止まらないでね”と相手との距離を曖昧に。国内の遠距離恋愛に適用可能にした事でより幅広い共感を得られるようになり、実にシングル曲らしくリメイクされている。アルバムレコーディングには数曲キーボード奏者として関わっていたが今作よりアレンジャーに抜擢された本間昭光もいきものがかりの時代ならもっとストリングス派手にドーンくらいの壮大さは残していたかもしれないが、当時はこんなライトなアレンジにも長けた人物だった。
一方でメロディー自体は歌うの2度目でやたらと力んでしまったのか、変に力が入っていたり力み過ぎてズラし気味になっている部分が悪目立ちしており、代表曲を歌い過ぎた往年のシンガーが声の変化か飽きたかでズラし歌唱しまくる感じにもどこか近い。
本人的にも早い段階ですぐに後悔したのか、翌年2月のアルバム収録時にVer.2.05に作り直し、後のベスト盤にもVer.2.05で徹底して収録するようになった。シングルバージョンは機械的に全てシングルバージョン採用にした『SINGLE COLLECTION』にしか収録されていない。久々にシングルバージョンを聞くとコレジャナイ感が凄い。
★★★☆☆
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
DEAR…again(Ver.2.05)
1997年2月5日
From 6thアルバム『welcome-muzik』
編曲:本間昭光・広瀬香美
アルバムバージョン。大枠のアレンジはシングルバージョンだがさらに細部の装飾を加えてボーカルを再録音した事実上の完成形。アルバムが2月5日発売だったという理由と、「DEAR…again」シングルバージョンが「Dear」のVer.2であり、今回は細部を変更してアップデートしたのでVer2.05という説明もしていた。イントロ前にWaiting for Christmasというコーラスが新たに追加されているため、歌本編を聞かずともシングルバージョンとの違いは冒頭で判別可能(いきなり演奏から始まるのはシングルバージョン)。イントロのコーラスに加えて最後のサビ前の間奏がシングルバージョンより長くなっているため(長くなった部分で歌詞には無いボーカルが入る)、5分40秒だったシングルバージョンから6分5秒まで長くなっている。
シングルバージョンでの不自然なまでのボーカルの力みとズラし歌唱が無くなり、曲に寄り添った落ち着いたボーカルスタイルになったほか、よりブラッシュアップされたアレンジにより文字通り完成したような印象。季節柄クリスマス付近に特集番組やラジオでよくかかる際はシングルバージョンが使用される事も多々あるとは思われるが、ベスト盤で広瀬香美を聞く際には『SINGLE COLLECTION』以外はこのバージョンとなり、メインバージョンとして扱われている。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』
Dear
2010年12月15日
From セルフカバーアルバム『名曲アルバム』
編曲:服部隆之
2010年の『名曲アルバム』はアルバム曲を対象としたセルフカバーアルバムであったが、“当時の最高音質のオケをリミックス、コーラスを含めたヴォーカルは全て新録”と紹介されており、ボーカルだけ再録音して演奏はミックスし直しただけであった。原曲「Dear」をここにきて復活させたという事は原曲への思い入れもあったという事か。肉体改造によりパワフルな歌声にはなったが、歌の表情の豊かさに関しては正直以前の方があったとは思う。どちらにもどちらの良さがある。
エンディングが改変されており、オリジナルではバンド演奏がオフになってゴスペルコーラスとメインボーカル&コーラスで派手に盛り上がってゴスペルがハ~レル~ヤァァ…♪と歌いながらフェードアウトしていく構成だったが、今作はバンド演奏のまま歌い続けてサビの途中でフェードアウトしていってしまう。派手に盛り上がったオリジナルに比べてボーカルの変化やミックスも含めて抑えめな印象。
★★★☆☆
DEAR…again 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:菅野祐悟
シンフォニックなリアレンジバージョン。2番途中までストリングスとコーラスで進行し、後半はリズムも入る。当時自身が校長をしていた音楽学校の生徒たち(広瀬香美合唱団)の合唱を大々的にフューチャーしているため原曲「Dear」の要素も加味したような派手なバージョンだ。
★★★☆☆
Dear…again(Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06)
2019年11月27日
From 8thベスト+ライブアルバム『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
編曲:鳥山雄司
ベスト盤とセットで収録された『AUTUMN TOUR 2019 “Vocal Unlimited vol.8” Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06』のライブ音源。
アコースティックギター1本によるアコースティックバージョン。イントロのソロギター長いな…と思っていたらそのままギターがメロディーを奏で始めて広瀬香美が歌わずにまさかの1番丸々ギターインスト、2番から広瀬香美が歌い出すという異色の構成。間奏からはピアノ演奏も入る。たぶんピアノ弾き語りでこの曲を演奏する事はライブでけっこうやっていると思うのでギターメインの編成は珍しかったのではないか。
★★★☆☆
Dear…again(with chay)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
chayをメインボーカルに迎えたバージョン。広瀬香美はピアノ演奏とコーラスに徹しているが、ピアノ1本でしっとり歌い上げてコーラスを入れる余地も無いので終盤までコーラスの出番も無くchay単独ボーカルによるピアノバラードで進行。2番サビに向かってピアノ演奏に力が入って盛り上がっていくものの、広瀬香美の声が出てくるのはサビ前のコーラスからラストサビにかけて。
chayの歌がうまいのは伝わるが、それなりの歌唱力のあるシンガーによる普通に歌うま!以上の特色は正直あまりないかも…。
★★★☆☆
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