1996年4月に2作目のベストアルバム『TUBEstⅡ』を発売。この時期のアルバムは初回盤と通常盤で集計が分けられていたため『終わらない夏に』でのミリオン達成も記録上は分断されてしまっていたが、ベスト盤は1種発売だったのできっちりとO社集計上でのミリオンを達成。自身最大のヒットを記録した。売上としてはこれがピークとなり、シングル売上はその前の「恋してムーチョ」で落として以降徐々に低迷した。
ルーティン化していた迎夏シングル→アルバム→盛夏シングルのパターンや作風にも変化が見られ、まず“夏”を連発していたシングルタイトルは「Only You 君と夏の日を」を最後に打ち止めとなり、1997年以降は方向性を少し変えてのシングルが続くようになった。シングル売上は一気に下がってしまい、90年代末には早くも数万程度まで落ちてトップ10入りを逃すことも出てきたが、ドラマタイアップによる『きっと どこかで』は久々に目立ったヒットを記録して紅白再出場にまでこぎつけた。まだまだシングルCDがドカドカミリオンヒットしていた90年代末期にシングル売上4万台まで落としてしまったものの、アルバム売上の低下は数年遅れて下がっていくような感じだったのとライブ規模は変わらずに根強い人気を保ち、2020年代になっても1万枚程度はキープできているので相当凄い。
個人的にはリアルタイムでTUBEをチャートで見るようになったのはこの時期から。
2025年40周年仕様に修正
23rd Only You 君と夏の日を
1996年5月11日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
ベスト盤『TUBEstⅡ』が最高ヒットのミリオンセラーを記録している中でリリースされた1996年最初の新曲。タイトルに夏を入れたシングルを連投しまくるのは今作で打ち止めとなった。売上は30万枚を越えたものの「恋してムーチョ」以降を下回った。
ベスト盤を経てこれまでよりもガツンとしたギターサウンドを前面に出した爽快サマーロックチューン。前年は大人になっていく感傷を歌った曲が少し目立ったが、今作ではノリノリな方向性になっている。当時CMで聞いたのが印象的だったのかTUBEはまだ認識していなかったが曲だけは耳に残っていた。サビの”一緒に飲み干したいね”は明らかにビールのCMを意識した歌詞だけど、これが小学生当時はいかにも大人!と思ったのを記憶している。しかし大人になっても一向にビールはおいしくならずにまずいままで、さらに水だろうとお茶だろうとジュースだろうと食事の際にジョッキレベルで水分を飲み干す事が出来ないままである。最早悟っているがあのジョッキを飲み干すことは生涯無いのだろう。
という事で歌詞はそんなでもないが(おい)、メロディーとアレンジの爽快さが突き抜けていて今でも1,2を争うほど好きな曲。
演奏終わりにウォイエェェェェェ♪というボーカルが入っている、というのは恐らく既におなじみになっていると思うけど実はウォイエェェェェェ♪は『Only Good Summer』収録時に新たに追加されたボーカルで、シングルバージョンにはウォイエェェェェェ♪が入っていない演奏のみとなっている。以後ベスト盤にも『Only Good Summer』収録Ver.(ウォイエェェェェェ♪あり)で収録されており、ウォイエェェェェェ♪なしのシングルバージョンはシングルでしか聞けない状態となっていた。2025年の『All Singles TUBEst-Blue-』で初めてシングルバージョンでアルバム初収録となった。特にアナウンスされていないがシングルバージョンで統一する事にこだわったっぽい?
まあ貴重なシングルバージョンといえどあまりにウォイエェェェェェ♪ありに馴染み過ぎてしまったため、これが無いと物足りなく感じてしまったりも…。
★★★★★
16thアルバム『Only Good Summer』(エンディングにウォイエェェェェェ♪追加)
3rdベスト『TUBEstⅢ』(『Only Good Summer』収録Ver.)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~』(『Only Good Summer』収録Ver.)
1st MIX CD『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
僕達だけのSummer Days
From 16thアルバム『Only Good Summer』
1996年6月10日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
16thアルバム『Only Good Summer』1曲目。96年は『TUBEstⅡ』のミリオンヒットがあったが、この反動だったのかシングル「Only You 君と夏の日を」は初登場9位とトップ10入りギリギリ、『Only Good Summer』もこれまでより大きく売上を落としてベスト盤の半分程度になってしまったが、作風としてはベスト盤に負けないここまでの集大成のような内容に仕上がっていた。
今作も90年代ここまで築き上げてきた爽やか王道のサマーチューン。既にこの手の楽曲も量産されまくっているので区別がつかないともよく言われるが(『TUBEstⅡ』でさえも最初に聞くとタイトルが似ているので区別つかなかった)、それでもこれだけ作ってきてまだまだ飽きさせないようなメロディーの良さや爽快感はなかなか凄いと思う。
★★★★☆
1st MIX CD『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』(ショートサイズ)
Someday
From 16thアルバム『Only Good Summer』
1996年6月10日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
『Only Good Summer』最終曲。定番の大バラードではなく、フォークロック感溢れる静かな始まりながらも躍動感のあるバンドサウンドでこれからも仲間たちと共に走り続ける意気込みを歌う。既に十分走ってきた中でそれでもまだ走り続けるための歌。着実に踏みしめるような力強いバンドアンサンブルから終盤には走り出すようにストレートなアレンジに切り替わるのも秀逸で更に勢いが加速していくようなイメージ。
★★★★★
2nd MIX CD『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』(ショートサイズ)
24th 情熱
1997年5月20日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
夏タイトル連投を廃止して新たな方向性に挑んだ意欲的なシングル。これまではラテンといってもラテンフレーバー漂う歌謡曲といった感じで導入していたが、今作ではキーボードやシンセなどをほとんど使わず、エレキギターも使わずに生のギターとパーカッションを前面に出し、随所にサンバ風のホイッスルやフラメンコ風の手拍子を加えるなどした本場っぽい人力のラテン・サンバ系サウンドが展開。これまでよりも異国感の高い1曲になっており、今までの夏とは違う情熱的な熱さに満ちている。何故かコロナエアコンのCMタイアップだったが、よくまあこんな熱い曲をエアコンのタイアップに起用しようと思ったな…涼しくなる気がしねぇよ…
今年のTUBEは新しいみたいな感じで新曲として紹介されているのをTVで見たのがリアルタイムでTUBEを認識した最初だったと記憶している。なのでTUBEとしては新路線なんだけど個人的にはこれがTUBEの最初の印象でもある。当時はTUBEって随分暑苦しいグループなんだなぁと思っていた。
TVで見ただけでCDは手に取ってなかったんだけど、改めて当時のシングル盤を見ると全員ギター持っている上に、お揃いの民族衣装に身を包み、全員ヒゲ面(付け髭?)というTUBEの文字が無ければ誰のCDなのか全く分からない勢い。メキシコとか中南米のイメージ?
この路線はあまりウケなかったのか、そもそも“1995年の壁”を越えてベスト盤の区切りやビーイングのブームが去っていってみんな落としていたのも合わさってかついに30万割れ(26万)。それでも30周年ベストのUnique枠には「-純情-「-花火-」も含めた3曲のうち最低1つは入れるべきだったと思う。まさか90年代と00年代以降のお祭り路線数曲でキツキツにしてしまい、この本格ラテン路線の入る余地が全く無くなってしまったのは残念だった。
メンバーも本格的なラテンバンドではないし目指してもいない、それっぽくやってもちゃんとTUBEになると語っていて、実際本場っぽく聞こえるけどマジで本場というわけではない。それでもラテンの要素はおふざけや歌謡曲と合わせた曲が多く、割と真面目な路線が少ないのでラテンのノリをおちゃらけた方向に使うのではなくこういう情熱的な方向はもっとやってほしかったなと思う。
★★★★☆
17thアルバム『Bravo!』
3rdベスト『TUBEstⅢ』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
Born in Japan
From 24thシングルC/W
1997年5月20日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
シングル『情熱』C/W。シングルでは情熱的なラテン要素の強い楽曲を連投していた97,98年だったが、C/Wやアルバム曲ではハードロック色の強い楽曲もけっこうやっていた。1997年は前田亘輝ソロでも年末にアルバム『HARD PRESSED』をリリースしているが、LAレコーディングで現地ミュージシャンの演奏によるハードロック路線に傾倒。ハードロックへの傾倒がTUBEでもソロでも強く出ていたのがこの時期だったのかもしれない。今作はハードロック路線のTUBEとしても1,2を争う激しさと熱さを持った1曲で、ボーカルも終始喉に悪そうながなりたてまくった歌い方をしているのが印象的。
『Bravo!』収録時は「Born in Japan~extended surf mix~」として別ミックスで収録された。オリジナルバージョンが激しいとはいえストレートなサウンドになっているのに対してextended surf mixではがなり立て気味のボーカルをかなり強調し、バンドサウンドに関してはぎゅわんぎょわんに歪ませまくっているのでかなり極端なやりすぎなまでに振り切ったようなミックスになっている。なんかこの曲すげぇな…という印象にはなるが、やりすぎてアルバム内においてもやや浮くほど。C/Wと逆の方が良かったのではないかと思わなくもない。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
17thアルバム『Bravo!』(extended surf mix)
Bravo!
From 17thアルバム『Bravo!』
1997年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
17thアルバム『Bravo!』表題曲にして1曲目。水着姿の3人の寝そべる背中を赤色加工したこれまでの青のイメージを大きく変えた情熱的な印象のジャケ写もインパクトなアルバムだったが、アルバムでは相変わらずまだまだ人気健在ぶりを見せて80万枚を越える大ヒットを記録
意表をつきまくりのこの曲では「情熱」の方向性をさらに本格化させたようなラテン・サンバノリの楽曲。いきなりポルトガル語を導入している辺りにもシングルではやれないような本格感が漂う。TUBEのラテン路線では1番本格派なのがこの曲だと思うし、アルバム1曲目がいきなりこれというのはこれまでのラテン歌謡とは明らかに異なる新たな局面を感じさせる。
いかにも本場っぽいがしかし本格的ではない、というさじ加減が絶妙な曲でこれもまたTUBEらしい1曲だと思う。なおこのアルバム、こんな感じでラテン要素の強い情熱的な方向性なのかと思いきや、2曲目に「Purity-ピュアティ-」が来たり、ハードロックの要素の増した方向性も目立っていたりとかなり幅広く、熱い方向性のアルバムであった。『Bravo!』『HEAT WAVER』の2作は特にシングルやリード曲で判断しない方がいい。
★★★★☆
25th Purity-ピュアティ-
1997年8月8日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
TUBE唯一のシングルカットで何故か8センチCD時代にマキシシングルでリリースされた。収録内容は8センチCDと同じでC/W1曲だが、いつもは表題曲のカラオケのみの3トラック仕様なのが今作ではC/Wのカラオケも収録された4トラック仕様となっている。なおC/W「そんなもんさ」もシングルカットなので新曲が入っていなかった唯一のシングルでもある。さすがにカラオケしか新たに聞ける音源が無いシングルカットでは売れようがなくて超コケ。初登場33位とトップ10落ちどころか30落ちで2nd以来の低順位という不名誉なシングルになってしまった。なお初登場33位でも2.9万枚は売れているのでトップ10前後をキープしている20周年(2005年)以降のシングル売上より高い。
アルバム収録当初は「Purity」という表記だったがシングル時にはカタカナ読みのサブタイトルがつけられている。一応サビで思いっきりピュアティと歌っているものの、字面だけだとピュリティとか最悪プリティに誤読されることが多かったのだろうか。ファン人気は非常に人気は高いと思われ、バラードベストにも30周年ベストのバラード枠にもしっかり選曲され、90年代後半のバラードでは「きっと どこかで」と双璧のバラードの代表曲の1つとして扱われている。
アンプラグド風味でアコースティックギターをメインにしたアコースティックスタイルのバンドサウンドによるミディアムナンバー。抑えたサウンドと切ない歌詞とメロディーが至高。これが最初はアルバム曲だったというのが最早恐ろしいほどの名曲。売上からしてもシングルカットによりファン以外に広く聞いてもらうという意図があったとしても完全に失敗しちゃってはいるんだけど、でもこれはシングルにしておくべき1曲だったとも思う。ていうか普通に先行シングルとして出しておけよ
★★★★★
17thアルバム『Bravo!』
3rdベスト『TUBEstⅢ』
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ』
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
26th -純情-
1998年4月22日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
前作「Purity-ピュアティ-」シングルカットでの失速も響いたのかついに新曲で初登場13位と80年代以来のトップ10落ち。「恋してムーチョ」の急低迷の後は「ゆずれない夏」で40万台だった以外は30万前後、「情熱」で30万割れとなっていたが今作は10万ちょいまで落ち込んでしまうなどここに来てさらに売上が急落した。
なんか去年のと似てるなぁ…と思って当時スルーしちゃったんだけど、ギターとパーカッションを前面に出している点は共通しているが今作では随所でエレキギターを入れてロック色を加味しており、よく聞くとこれまた新しいTUBE流ラテンロックの誕生に感じられる。一方間奏ではどぅどぅどぅどぅぅ~んどぅ~んと怪しげな音が鳴り始めたり、続くギターソロでテンポが落ちたりとありえない展開になっているのが遊び心満載、予測不能で面白い。「情熱」とは全く違う曲だけど長年印象が被っていたのは漢字2文字のタイトルも似ていたせいだろうか。なおタイトル表記的には次回作と兄弟曲的な扱い。
★★★★☆
18thアルバム『HEAT WAVER』
3rdベスト『TUBEstⅢ』
1st MIX CD『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
27th -花火-
1998年6月3日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
以前のルーティンでは6月にアルバムというのが多かったが、この年はアルバム前にもう1枚シングルをリリースして7月にアルバム発売となった。売上は前作よりさらに落として10万ギリギリだが初登場9位を記録してトップ10復帰を果たした。今作もまたパーカッションがけっこう鳴っているが「-純情-」で加味していたロック色をさらにメインに持ってきてラテンフレーバー&和風フレーバーのロックといった印象。27枚も出してここまでメインテーマとして取り上げていなかった花火を満を持して取り扱った花火ソング。正直当時のヒット曲としてはあまり認知されていないものと思われるが、野外ライブで花火演出で披露するのにはうってつけのためファンの間では馴染み深い1曲と思われる。また花火大会の相次ぐ中止に伴いTV局で花火を買い取って(?)打ち上げてそれを中継して少しでもお茶の間に夏気分を提供するという場面が散見された2020年、MステSPでも花火演出が行われて、花火とのコラボという名目で今作が3曲のメドレーの1曲として披露されるという珍しい事態にもなった。
初めてちゃんと手に取って聞いたのはこのシングルなので思い入れも深い。またシングルでは珍しい力強い応援歌となっているのもあって中学2年生当時からよくこの曲には励まされた。
この時期の曲がほとんど30周年ベストに外されたのは何とも残念。特にこの曲はライブでもかなり披露頻度が高い定番曲として残っていたと聞くが何故…。似たようなシングル連発を止めて新たな方向性に挑みまくっていたこの頃もまたTUBEの絶頂期だと思う。
★★★★★
18thアルバム『HEAT WAVER』
3rdベスト『TUBEstⅢ』
2nd MIX CD『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
MENTHOL HEAVEN
From 27thシングルC/W
1998年6月3日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
「-花火-」C/Wで『HEAT WAVER』にも収録された。ハードなテイストの爽快ギターロックナンバー。『HEAT WAVER』はTUBEの中ではハードロック色の強い作風のアルバムで先行2シングルよりもこの曲が実質的にアルバムの方向性を反映したリード曲だったと思う。なんかC/Wにシングルよりシングルみたいな爽快な曲が入っていて驚きだった。「Only You 君と夏の日を」みたいな爽快なギターロック系のTUBEをもっと聞きたい!という人にスッと差し出したい1曲。
★★★★★
18thアルバム『HEAT WAVER』
人類のために乾杯!
From 18thアルバム『HEAT WAVER』
1998年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:松本玲二、編曲:TUBE
『HEAT WAVER』最終曲。なんと80年代以来となるドラム松本が久々の作曲、そしてなんと自ら歌っている(サビでは前田リードに変わる)という異色楽曲。通常TUBEのオリジナルアルバムは11曲か12曲だが、『HEAT WAVER』は13曲目にインストを配置してから今作を配置しているので本編の後のボーナストラック的な感じにもなっている。
デビュー当初はスッキリとした細身だった松本氏だが(89年の『TUBEst』ジャケ写ではまだスッキリしている)90年代以降徐々に横に拡張していきこの頃にはすっかり人相まで大きく変わって顔も真ん丸になられていた。ある意味ドラマーらしいどっしりとした雰囲気になったとも言え、今作でもドラマーらしい(?)どこかゆったり構えて余裕な感じのボーカルを聞くことができる。2015年の季節4シングルではC/Wで1作ごとにメンバーがメインボーカルをやるという企画では秋シングル「TONIGHT」C/W「Endless Way」で完全なる単独ボーカルを披露している。そもそも曲調が似ているほか”いつか乾杯したいね”という今作を意識したようなフレーズも登場する。
2015年の春シングル『いまさらサーフサイド』初回盤DVDに収録された2014年のライブ映像では前田が歌わずにサポートと一緒にギター(春畑はパーカッションサポートと一緒にパーカッションを演奏しているが振りがメインであまり演奏してない)、松本がサビもメインで歌う(ドラムはサポートが演奏)、そして何故か2番Aメロではベース角野が歌う歌唱時のみベースを手放す)、というオリジナルとは異なる編成も聞くことができる。
★★★☆☆
28th きっと どこかで
1998年8月5日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&池田大介
広末涼子と明石家さんまが親子役で主演したドラマ『世界で一番パパが好き』主題歌。TUBEは連ドラ起用が異様に少なく、今回が「あの夏を探して」以来2度目であり、しかもシングル表題曲としての連ドラ主題歌はこれっきり。これ以降の連ドラ主題歌は2001年の『京都迷宮案内3』の後期主題歌(2クールのうち後半)に「What’cha wanna do?」が起用されたというのが唯一だが「燃える煙るモナムール」C/Wで済まされてしまった。何故ここまでのキャリアと長く人気を維持しているのに連ドラのタイアップ話が回ってこないのか…。断っているのか、夏イメージが強すぎるが故に主題歌に起用しにくいのか…。
ドラマではOP的なポジションで使用されたが、サビだけとかではなく毎回ちゃんと専用の映像と共に1コーラス流れていたので初回OA当時からかなりインパクトがあってこれは凄い名曲が来たぞ!ミリオンだ!最大ヒットになるぞ!と燃えたのを記憶している。実際久々に初登場2位を記録してこの時点で前後のシングルの4倍程度の40万台の売上を記録。正直これはミリオンだと思ってたので半分にも届かなかったのはショックだっこのヒットで2度目の紅白出演まで果たすなど低迷する一方だった状況下で起死回生のヒットとして扱われた90年代末期の代表作。2000年代前半くらいまでは「虹になりたい」と今作が割と強めの代表ヒット認識されていたと思うんだけど、いつの間にか80年代織田哲郎3シングル+「あー夏休み」ばかりになってしまったな…。
ドラマ主題歌を意識してか発売自体は真夏ながら夏を意識した単語は全く登場しない。けっこうテンポはあるもののバラードに分類され、サビ以外はピアノ伴奏でしっとり、サビで一気に爆発する感情系バラード。ドラマ自体は正直恐ろしくつまらなかったんだけど(前述のようにOP映像があったのは覚えているんだけど、内容は初回で母が死んだ事で13年ぶり親子再会となったが浮気のせいで離婚したと母から聞かされていた広末はさんまを恨んでいて…という導入部分以外は覚えてない)、それでも曲は非常に印象に残ってこれは買わねば!と思った記憶。しかし直前まで買うつもりだったんだけど、まだあんまりCD買える経済状態じゃなかったので(中2)、結局この直近ではポケットビスケッツの「Power」(500円)を買うに留まりレンタルとなった。一応普通にレンタルするよりは3倍くらいの速度で一直線に向かっていって手に取る勢いではあった。
あと「SMAP×SMAP」出演時に披露した時はサビ前までは春畑がピアノを弾いていて、サビになるとピアノがぶわっとギターに切り替わるという当時最先端だったCGを駆使した演出が行われ、スゲェェェェェ!!と近未来的演出に心が躍った(CG演出がまだ新鮮で凄かった当時にスマスマの歌コーナーはやたら金かけてCGを多用していた)。そんな中2当時の記憶。
明確に前後の作品より売れたためか前年のシングル(以前は「盛夏シングル」)をオリジナルアルバムに収録しないというルールが初めて破られ、翌年のアルバム『Blue Reef』に収録された。ただしリアレンジされており、sinfonia versioneとして派手なオーケストラを導入している。50秒近いシンフォニックなイントロが加わった上に、主にピアノ伴奏だったAメロ部分のピアノがシンフォニーアレンジになり、サビでバンドが入ってもシンフォニー要素強め、間奏のギターソロ弾いている間もバックでシンフォニー…と終始シンフォニック感強めの仕上がり。何故バージョン名が英語(symphony versionとかOrchestra Version)ではなくイタリア語なのかは謎(versioneというのは誤植ではなくversionのイタリア表記)。ただバンドとオーケストラの”合奏曲”を意味してsymphony(交響曲)ではなく、イタリア語では広義に合奏曲まで意味合いとして含むらしいsinfoniaを用いた…という事かもしれない…。
★★★★★
19thアルバム『Blue Reef』(sinfonia versione)
3rdベスト『TUBEstⅢ』
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ』
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~』
1st MIX CD『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
29th ひまわり
1999年4月21日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
新機軸かつ熱めなシングルが続いていたが、初期のヒット曲への回帰を狙ったような爽やかサマーチューン。花火に続いてそういえば表題に使っていなかった夏の象徴「ひまわり」を30枚目目前にして採用。売上は前作のヒットから一転してその前の2作の水準に戻った(10万ちょい)。
サビで“もう一度咲かせたいよ”と歌うのは原点回帰を思わせるし、ジャケットの雰囲気も久々のド王道な感じだ。ただ”あの太陽にもう一度咲かせたいよ”なので、太陽とたーいよーで韻を踏んでいる…というより半ばダジャレのような”咲かせたぁいよぉう“なのはネタなのか本気なのか判断しがたい。フゥ~ウ~ウ~フゥ~ウウウ~な夏定番のコーラスとかもなんか懐かしい感じだった。MIX CD『夏と恋』では「SUMMER DREAM」のフゥ~ウ~コーラスからそのまま今作のフゥ~ウ~コーラスへ切り替えるという繋ぎ方がされていて(キーは違うので急に転調したかのような聴感になっている)地味に面白い。
単独で聞くと非常にいい曲なんだけどかなり濃いシングルが続いていたので、当時リアルタイムで聞いていてもあっさりして小粒な印象が強くなってしまったのはもったいなかった。アコースティックギターの爽やかな風味とかもう少し後だったらこういう王道回帰も良かったけど、このタイミングでの王道回帰はまだ早かったようにも思う。それこそ「めざましテレビ」のタイアップがこういう曲だったら爽やかでいい朝を感じられただろうなと思う。実際には「切れてるチーズ」CMソングって。後年改めて聞いてからの方が好印象だった。
2022年のシングル『夏立ちぬ』C/WにLove & Peace ver.としてセルフカバーされた。2020年以降の世界変異によりライブが制限されたままの状況が続く中で、ロシアとウクライナの戦争報道もあって歌詞も世相が反映された内容が続いていた。このタイミングでのセルフカバーも“純粋な恋愛の歌が、今の時代には未来への希望の歌として聴こえる Love & Peace バージョン”と紹介されていたように一連の新曲同様の思いがあったのだろう。オリジナルとは”あの太陽にもう一度咲かせたいよ”の意味が全く異なる。ガッツリキー下げして落ち着いたアコースティックアレンジ、ともすれば低くて暗いという第一印象の仕上がりだが、そういう状況下だったわけで、あの時期がストレートに反映された時代を映したセルフカバーだったと思う。
★★★★☆
19thアルバム『Blue Reef』
3rdベスト『TUBEstⅢ』
1st MIX CD『35年で35曲“夏と恋”~夏の数だけ恋したけど~』(ショートサイズ)
63rdシングル『夏立ちぬ』C/W(Love & Peace ver.)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
Blue Reef
From 19thアルバム『Blue Reef』
1999年6月9日
19thアルバム『Blue Reef』表題曲にして1曲目。前2作がかなり熱いアルバムだったのに対してこのアルバムは原点回帰的な爽やかな方向性と振り切ったようなチャレンジングな方向性を両立させた内容となっている。表題曲である今作はチャレンジングな方向性になっていて、リズミカルながらややじらし気味に進行してなかなかサビに行かずようやく開放的なサビが出てくるものの結局サビが出てくるのは1回ポッキリという変わった構成になっている。また新たなTUBEの夏がやってきた事を感じられる。王道のいつものTUBEに少し飽きたら聞きたい1曲だ。
★★★★☆
30th Yheei!
1999年8月4日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&池田大介
テレビ朝日系「熱闘甲子園」OP。C/W「楽園」はアルバムからのシングルカットという珍しいパターン。初登場18位と一気に低迷して売上も前作10万越えからいきなり5万枚を下回る4万台となった。
「恋してムーチョ」ほどではないが近い系統の陽気な楽曲。文字通りにYheei!って感じのイラストのジャケットは最早TUBEの文字がなければ分からないレベル。一応それなりに応援歌してはいるんだけど、甲子園のタイアップとしてはちょっとノリが軽すぎないかこれ。率直に言ってしまえば高校球児もっと真剣勝負しているだろ…おちゃらけすぎじゃない…?という。当時はあまりはじけた感じのTUBEはどうにも好きになれず、なんでこんなノリノリなの?と思っていた。実際「恋してムーチョ」といい今作といいちょっとノリのいい曲出すと恐ろしくストーンと落ちてしまっていたので、こういう路線は世間にはあまり求められていなかったのかもしれない。
ただ当時はパッとしないと思っていたけど改めて聞いてみると次回作の強引MY WAYに繋がるような“閉・並・Hey!”、“強・噛・Go!”といった当て字の炸裂っぷりなど遊び心が面白い。というか前田さん一時的に当て字にハマっていたのだろうか。リズミカルなノリの良さは楽しいし気分も上がる。ふざけつつもしっかりと応援もしている。けっこういい曲だったんだよな(当時からの掌返し)。
★★★★☆
3rdベスト『TUBEstⅢ』
2nd MIX CD『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
31st IN MY DREAM
1999年10月20日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE&池田大介
最後の8センチシングル。映画『サラリーマン金太郎』主題歌。C/Wの「世界で君だけが…」も挿入歌として使用された。同年冬クールにTBS日曜劇場枠でヒットしていたドラマの映画版。映画の前にSPドラマがあり、この後も00、02、04年に2~4期まで放送される人気シリーズとなった。連ドラ1期主題歌はTHE ALFEEだったが、直前のドラマSPでは映画と同じく今作が主題歌、「世界で君だけが…」が挿入歌だった。またドラマ2期では織田哲郎、3期では主演の高橋克典が主題歌を担当したがいずれもヒットには繋がっておらず、1期4期の主題歌を担当したTHE ALFFEだけが好調で「希望の鐘が鳴る朝に」「希望の橋」と共にヒットした(「希望の橋」は特に売上上昇は無かったが「希望の鐘が鳴る朝に」は90年代後半以降のTHE ALFEEの代表ヒット)。というわけで前作に続いて今作も初登場16位で売上も前作同様に5万割れとなった。
『サラリーマン金太郎』主題歌は共通して聞き手を鼓舞するような応援歌になっているのが特徴で今作もTUBEシングルの中ではかなり力強くロック色が強い。GOING MY WAYではなく強引MY WAYとなっているのが面白いが、翌年にはSURFACEが「ゴーイングmy上へ」なんつーさらにぶっ飛んだ曲を発表して対抗(?)、そのタイアップ先ドラマが『ショムニ』でTHE ALFEEが『ショムニ』主題歌を02年にやってこれまたヒットしていたので、なんだか数年後にはすっかり印象がごっちゃになってしまった。
シングルA面曲では屈指のExcitingな1曲だと思うんだけど30周年ベストのExciting枠から外されたのが謎。やはりヒットしなかったのが忘れられた原因か。あと「-花火-」以降前作まで手に取ってたのに今作だけスルーしてしまったが、たぶんドラマ見てなかったので興味なかったのとTUBE=夏のイメージが強すぎて10月発売という時点でシーズンオフ感があって興味を持てなかったんだと思う。C/W「世界で君だけが…」が『Melodies&MemoriesⅡ』に収録されたことで抜けが発生しなくなって良かった。
★★★★☆
3rdベスト『TUBEstⅢ』
2nd MIX CD『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』(ショートサイズ)
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』
5thベスト『All Singles TUBEst-Blue-』DISC-3『TUBE-Blue-[1995-1999]ノンストップMix by DJ和』(ショートサイズ)
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