ZARD 30周年シングル回顧1+~1991-1996~
Zardデビュー前の坂井泉水は大学卒業後OLとして働いた後にスターダストに所属してモデル活動を行ったとされている。インターネット普及前のZARD全盛期でも知っている人は知っていてこの頃の写真集は当時からプレミアだったようだ。その後ビーイングのB.B.クィーンズのコーラスのオーディションで長戸大幸に見出され、オーディションには落選したものの(既に決まっていた宇徳敬子と被るためとされる)坂井泉水としてデビューの準備が開始され、1991年2月にZardとしてデビュー。
当初バンド構想でありながらメンバーが決まっていなかったがまもなく男性メンバー4人が加入して5人組バンドとなる。町田文人(Guitar)、星弘泰(Bass)、道倉康介(Drums)、池澤公隆(Keyboards)の4人の男性メンバーは2ndアルバム『もう探さない』~3rdアルバム『HOLD ME』と1週間後の5thシングル『IN MY ARMS TONIGHT』まではメンバーとしてきちんと名前が表記されていた。ただし写真は2ndアルバム『もう探さない』ブックレット内の2点だけで、顔の判別は至難である。
TV出演は『負けないで』が最後で、作品発表のみに留める活動方針が固まると『CDTV』等で確認できるわずかにPVが流れる機会においても坂井泉水以外の姿は確認できなくなりバンドメンバーは完全消滅した。公式にきちんと明言していなかったため、媒体によって坂井泉水を中心としたバンドだったり、坂井泉水のソロプロジェクトであったりと安定していなかった。
また男性メンバー4人はその後ビーイングはおろか少なくともメジャーの舞台でプレイヤーや作家として名前を見かける事も無く、全員が正体不明、消息不明である。町田文人だけは何度かメディアに登場しており、2007年の坂井泉水死去直後にはフジ系『とくダネ!」』に出演、2018年のテレビ東京系『じっくり聞いタロウ~スター近況㊙報告~』では元メンバーとして出演してかなり当時の事を語ったようだが、ZARDサイドとしては既に男性メンバー4人については完全非公式であり、関連本で名前や存在が示唆される事も一切ない。
ドラマタイアップもあって1stシングル「Good-bye My Loneliness」から実はトップ10ヒットを放つ順調な滑り出しだったが、1発屋状態で一時低迷、4thシングル「眠れない夜を抱いて」で1stを越えるヒットでブレイクすると、続く「負けないで」のミリオンヒットで一気に人気アーティストとしての地位を確立。以後ミリオン3枚、安定して1位2位を獲得し続け、7,80万台のヒットを連発する黄金期へ突入した。
一般的にイメージされているリアルタイム世代のZARDとは概ねこの時期までを指している事が多く、コナン等アニメタイアップでZARDを初めて知った若干の後追い世代とは地味に隔たりがある。
1st Good-bye My Loneliness
2nd 不思議ね…
3rd もう探さない
4th 眠れない夜を抱いて
あの微笑みを忘れないで
92年9月2日
作曲:川島だりあ、編曲:明石昌夫
3rdアルバム『HOLD ME』4曲目。リード曲として1曲目を飾っていたわけでもないが、いつの間にかシングルよりシングルのような存在感を持った大人気曲となった。アルバム曲では人気知名度No.1は揺るがないのでは。個人的にも当初は今作が初期のシングルで本当にシングルだった「眠れない夜を抱いて」とは立場が逆だと思っていた(こっちがシングルであっちはアルバムリード曲かと…)。明るくリスナーの背中を押してくれるような内容で、「負けないで」より今作の方が励まされるというリスナーも案外多いんじゃないかと思う。「眠れない夜を抱いて」と共通してこれまでの陰りのある雰囲気から一気に青空の下で心を開いていくかのような開放感がある事でこれぞZARDというものを確かに掴んだ感じはする。
リスナー、本人双方が思い入れが強いためベスト収録機会も多い。坂井泉水も自選である『ZARD BLEND~SUN&STONE~』で選曲していたにも関わらず、2007年のFC会報での企画『LOVE&POWER』でも1曲目に配置、これはB社スタッフが6曲も差し替える等の選曲をいじったうえで追悼ベスト『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』となったが今作に関しては残されてそのまま1曲目だった。ライブ盤『ZARD Cruising&Live~限定盤ライブCD~』でも選曲されており、生前唯一のライブツアー『What a beautiful moment』でも当たり前のように選曲。
『ZARD BEST~Request Memorial~』投票では5位(シングル表題を除くと1位)、『Request Best~beautiful memory~』投票では1位とファン投票でもダントツの人気を見せていた。『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』に収録されたばかりだったのでやや不利だったはずなのにこの強さである。
収録されまくった割には別バージョンは無かったが2012年の『ZARD ALBUM COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』PREMIUM DISCでは「あの微笑みを忘れないで(2012 Movie-theme ver.)」と題された葉山たけしによるリアレンジバージョンが収録された。映画「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」主題歌タイアップもついたのになぜか単独発売せずにBOXのプレミア音源扱いされたためコアファン以外には知られていない惜しい存在となったが、現代風にリアレンジし直した感じでこちらもなかなか良い雰囲気。2012年時点ではもうシングルヒットは望めなかったかもしれないが、単独リリースすればそこそこ爪痕残せたんじゃないかとは思う。
★★★★☆
3rdアルバム『HOLD ME』
1stセレクション『ZARD BLEND~SUN&STONE~』
2ndベスト『ZARD BEST~Request Memorial~』
ライブアルバム『ZARD Cruising&Live~限定盤ライブCD~』(ライブ)
3rdセレクション『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』
4thベスト『Request Best~beautiful memory~』
3rdBOX『ZARD ALBUM COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』PREMIUM DISC(2012 Movie-theme ver.)
5thベスト『ZARD Forever Best~25th Anniversary~』
遠い日のNostalgia
92年9月2日
作曲:望月衛介、編曲:明石昌夫
ヒーリング系ピアニストとして活躍していた望月衛介の唯一のZARDへの提供曲。当時ビーイング所属でB.B.クィーンズのキーボードとしても活躍していた。2011年のB.B.クィーンズ再結成では4人しかいなかったのでなんか減ってね?もうちょっといなかったっけ?となったがMi-Keの2人と栗林誠一郎ともう1人いなかったのがこの望月衛介氏である。
思い出を振り返る失恋バラード。じっくり歌い上げていくバラードで何気に6分近くに及ぶ大作。しかしその割にベスト盤で聞くときには長さを感じない…と思いきや実はベスト盤収録時に最後のサビをバッサリ編集カットして1分程度短くしている。なんか編集版でもけっこうガッツリ聞いた気分になるので長年気づかなかった…。
99年の『ZARD BEST~Request Memorial~』には投票11位とけっこうな人気曲であることが判明していたが、『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』では実は坂井泉水は選曲してなくてスタッフが6曲入れ替えた中の1曲であった。また『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』に収録されてもなお投票1位を獲得する圧倒的人気を見せた「あの微笑みを忘れないで」とは異なり『Request Best~beautiful memory~』投票では30位圏外となり収録されなかった。後期には意外と人気が無くなっていたのだろうか。
2012年の『ZARD ALBUM COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』PREMIUM DISCでは葉山たけしによるリアレンジ「遠い日のNostalgia(Acoustic arrange ver.)」を収録。アコースティックを生かしたバンドサウンドで原曲よりもライトな仕上がり。これまた編集サイズでの収録となっていて結局この曲の適正サイズは最後のサビカットなんだろうか。結局フルサイズは3rdアルバムでしか聞けない。
★★★☆☆
3rdアルバム『HOLD ME』
2ndベスト『ZARD BEST~Request Memorial~』(編集バージョン)
3rdセレクション『Soffio di vento Best of IZUMI SAKAI Selection』(編集バージョン)
3rdBOX『ZARD ALBUM COLLECTION~20th ANNIVERSARY~』PREMIUM DISC(Acoustic arrange ver.)
5th IN MY ARMS TONIGHT
6th 負けないで
7th 君がいない
8th 揺れる想い
果てしない夢を
/ZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄
9th もう少し あと少し…
10th きっと忘れない
11th この愛に泳ぎ疲れても/Boy
Oh My Love
94年6月4日
作曲:織田哲郎、編曲;明石昌夫
5thアルバム『OH MY LOVE』1曲目。初のアルバム曲でのタイトルチューン。派手さはないが王道を極めた確かなサウンドと幸せ溢れる感じの歌詞も含めて全盛期極まる盤石の1曲といった印象。
『ZARD BLEND~SUN&STONE~』でセレクトされ、『ZARD BEST~Request Memorial~』では投票6位で収録されるなど本人・ファン双方から評価が高く、『Golden Best 15th Anniversary』にも収録されたが逆にここで収録された影響か、追悼ベストの投票ではいきなり30位圏外で未収録になるなど極端な結果となった。
★★★★☆
5thアルバム『OH MY LOVE』
1stセレクション『ZARD BLEND~SUN&STONE~』
2ndベスト『ZARD BEST~Request Memorial~』
3rdベスト『Golden Best 15th Anniversary』
5thベスト『ZARD Forever Best~25th Anniversary~』
If you gimme smile
94年6月4日
作曲:栗林誠一郎、編曲:明石昌夫
爽快なギター中心の明るめのロックナンバー。このアルバムでは「Oh My Love」「来年の夏も」「あなたに帰りたい」といったミディアム~バラード系の評価が非常に高くどれも印象的な曲だが、1度もベスト・コンピに収録されていないこの曲の爽快さと明るさが個人的にはけっこう好き。意外とありそうでないような曲調なので、他の曲と並べても王道以上を感じられるというか。隠れた名曲だと思うんだけど特に今作リアルタイム派は「Oh My Love」「来年の夏も」「あなたに帰りたい」「Top Secret」とセルフカバー「雨に濡れて」も捨てがたい…といった感じになり1番影が薄い気がする。
★★★★☆
5thアルバム『OH MY LOVE』
12th こんなにそばに居るのに
13th あなたを感じていたい
14th Just believe in love
Forever you
95年3月10日
作曲:織田哲郎、編曲:明石昌夫
6thアルバム『forever you』タイトル曲で3曲目に収録。前作リード曲「Oh my love」と並んで人気の高い楽曲だが今作はドバラードで比較的一聴した感じは地味。過去を振り返りつつ出会った君との永遠の愛を誓うような歌詞の内容の特に前半部分はここまでの半生を振り返る私的な思いを反映させているようにも思えるため、ほとんど人柄が分からなかった坂井泉水の本音に少しでも触れられた…ような気になるというところも人気の秘密なのかもしれない。
実際没後のスタッフ証言等ではこの曲は当時デビュー前の活動の事が週刊誌を賑わせてある事無い事書かれてけっこうショックを受けていた坂井泉水が当時の仕事に後悔が無いならそのことを書けばいいととアドバイスされて書いたというエピソードも紹介されていて実際にリアルな思いであったらしい。
★★★☆☆
6thアルバム『forever you』
2ndベスト『ZARD BEST~Request Memorial~』
4thベスト『Request Best~beautiful memory~』
5thベスト『ZARD Forever Best~25th Anniversary~』
瞳そらさないで
95年3月10日
作曲:織田哲郎、編曲:明石昌夫
DEEN5thシングルとしてミリオンヒットした歌詞提供曲セルフカバー。6thアルバム『forever you』最終曲として収録された。1993年にテレサ・テン「あなたと共に生きてゆく」の作詞を担当したのが最初の外部歌詞提供だったが、今作を皮切りに自社のDEEN、FIELD OF VIEW、3期WANDSへと歌詞提供が相次いだ。今作は最初のセルフカバーとなったが、スローなボッサ調へと大胆改変したためかなりイメージの異なる仕上がりに。スローゆえに2番サビがカットされて一気に最後のサビへと飛ぶ構成に変わっているため本来の2番サビで歌われていた“話そらさないで”が無くなっている。率直にまったりしていてかなり地味になってしまい、原曲最大の持ち味である爽やかさも無くなってしまった印象。こういうのもありかなとは思うがあくまで別バージョンとしてであり、爽やかなZARDバージョンも聞いてみたかった。原曲準拠のオケで坂井泉水が歌っている音源とか残ってないのだろうか。
SARD UNDERGROUNDが取り上げた際にはDEENバージョン準拠でカバーされた。またDEENは多数のセルフカバーを発表している。
★★★☆☆
6thアルバム『forever you』
DEEN25周年ベスト『DEEN The Best FOREVER~Complete Singles+~』初回盤PREMIUM DISC
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