『新しい季節に聴きたいスピッツ』全曲回顧

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2025年4月5日ST限定配信(期間限定)

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スピッツ2025年春~夏までの限定デジタルコンピレーションアルバム。ストリーミング配信限定でDL配信はされなかった。

2024年にそれぞれ季節限定で配信された『春に聴きたいスピッツ』、『秋に聴きたいスピッツ』に続く期間限定配信の3作目となる。指定されたアルバムから1曲+全曲対象から9曲の全10曲だった前2作と異なり、今作はシングル『ロビンソン』発売30周年記念として、「ロビンソン」収録は確定の上で「ロビンソン」冒頭の歌詞”新しい季節はなぜかせつない日々で”に引っかけた『新しい季節に聴きたいスピッツ』として募集したアンケート結果を基に残りの14曲が決定された。

ジャケ写は同じ最新アーティスト写真が使用されていた前2作と異なり、『ロビンソン』8㎝シングルジャケットの写真をマキシサイズに変更した写真となっている。

10曲だった前2作より5曲増加し、さらに『春に聴きたいスピッツ』とは重複が目立つ選曲となっている。

“新しい季節”なので卒業イメージは外れた感じがあり、「空も飛べるはず」が今回も選曲されなかったのはその辺りが理由か。

2025.4新規執筆

1.ロビンソン

作詞作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳&スピッツ
11thシングル 最高4位 売上162.4万枚(1995年4月5日)
6thアルバム『ハチミツ
非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ
1stシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991~1997 Spitz Complete Single Collection

前4作がいずれも30位前後にランクインしていた中でいきなり初登場9位を記録。シングル初のトップ10ヒットとなった。翌週11位となるも10位→9位→4位と浮上していき、トップ10に居座るロングヒットで一挙大ブレイク。最高位は4位で5、11、13週目に3度記録している。また4~11位のうち8位以外にはすべてランクインした(なんか微妙に惜しい…)。13週連続合計14週トップ10入り、100位以内36週のランクインで自身最大のヒットシングル

制作当初、草野は今作を地味な曲と評し、アップテンポのロックナンバーだった「俺のすべて」の方に乗り気だったため、「俺のすべて」のリハを先に行っていたが、最終的に「ロビンソン」A面、「俺のすべて」C/Wで決まるもポップすぎるとしてシングルにするのに乗り気でなかったとされている。またタイトルと歌詞本文に全く関係が無かったりもするが、草野がタイを旅行した際に印象に残っていた“ロビンソン百貨店”からとった仮のタイトルがそのまま採用されたためとされている。

フジテレビ系バラエティ『今田耕司のシブヤ系うらりんご』テーマ曲。草野は後年も何故売れたのか良く分からない理由の1つとして“人気テレビ番組やCMのタイアップではない”と語っていたように1ヶ月交代のバラエティのエンディングタイアップ(初回OAが3月末だったものの基本的に今作は4月のタイアップ)の影響は大きくないと考えていたようである。ただ月~金の17時~17時25分生放送という一応週5回毎日流れるタイアップではあり、放課後の学生需要はそこそこあったのかもしれない。実際次の5月にはシャ乱Q「ズルい女」が起用されてミリオンヒットになっていて番組開始からいきなり2ヶ月連続ミリオンヒットを輩出している。まあシャ乱Qは既に前作「シングルベッド」でミリオンヒット、ブレイク済みだったのでタイアップ関係なく売れていたとは思うが…。

エレキギターは主にアルペジオに徹しているため、アコースティックギターやベース、ドラムの音が良く聞こえてまとまったポップで切ない質感のサウンドが印象的。冒頭の歌詞“新しい季節はなぜかせつない日々で”というのは環境が変わった後(クラス替えや進学)の最初の頃の感覚とリンクする。まあこれ以外はそんなに新生活感は無いんだけど…。

「俺のすべて」と比べても地味だと作者本人が思ったのは確かに分かるし、ライブで盛り上がるのも「俺のすべて」の方が圧倒的ではあるが、しかしやはり派手さだけではない圧倒的な名曲オーラはあると思う。ただでさえ高いスピッツの曲の中でも最後のルララでファルセットまで行く超高音は一般男性には不可能な領域であり、90年代カラオケブームの中で一体何百万人を撃沈させてきた事だろうか(当時のカラオケは高い曲は最初から下げられてて原キー設定は”+3″表示とかになってたので未設定のまま(キー下げ)で乗り切ってた人は多いかも)。ただその誰も立ち入れない感じの高音と”誰も触われない 2人だけの国”という歌詞が妙にハマっていて、本当に遥か高いところにある別次元の名曲みたいなイメージが初めて聞いた時からある。

リアルタイムでは意識して聞いていなかったが、早い段階でシングル盤のセットレンタルで手にしてその時点で既に”聞いた事ある知っている曲”だったので最初に聞いたのがいつだったのかよく覚えていない。リアルタイムでは1999年冬クールの土曜9時ドラマ『君といた未来のために』がタイムリープモノで主人公の堂本剛が初回で1999年大晦日に心臓発作で死亡して目覚めると1995年にタイムリープしていてこの曲のサビが最新のヒット曲としてかかっているという場面で使われていたのが印象深い。
★★★★★

2.春の歌

『春に聴きたいスピッツ』と重複。まさかの2曲目という曲順まで重複した。まあこれは順当というか、春のスタートソング感あるしね。

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3.若葉

『春に聴きたいスピッツ』と重複。まさかの3曲目という曲順まで2曲連続で重複した。まあこれも順当というか、春の新生活って若葉の季節だしね。

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4.ビギナー

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
37thシングル『シロクマ/ビギナー』両A面曲(2010年9月29日)
13thアルバム『とげまる

両A面曲なので『CYCLE HIT』収録は飛ばされているが、『とげまる』では1曲目。タイトルや歌詞の内容からもなんとなくそんな新生活スタート感はあるか…。この時期は安定感抜群ではあったが1曲1曲の印象は薄めで、凄く安定していい曲ではあるが、スピッツらしい良曲以上の印象がつかないままだった。アルバム1曲目としてもあまり残ってなかったが、久々に聞くとじんわり染みわたる良さはあるな。
★★★☆☆

5.僕はきっと旅に出る

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
38thシングル『さらさら/僕はきっと旅に出る』両A面曲(2013年5月15日)
14thアルバム『小さな生き物

両A面曲なので『CYCLE HIT』収録は飛ばされている。『小さな生き物』では最終曲旅に出る=新しい始まりという感覚か。「さらさら」が久々の新曲である程度勢いがあった中で両A面としてバランスのいい曲ではあったけど…久々に聞いたらサビ頭しか覚えてなかった。もっと覚えていると思ったんだけど、サビになるまで何の曲だっけ?アルバム曲だっけ?とかなったままで聞いても思い出せんかった…。逆に新鮮でいい曲だった。
★★★☆☆

6.スピカ(Remasterd 2021)

『春に聴きたいスピッツ』と重複。今回も『花鳥風月+』にはついていないのに“Remasterd 2021″表記が謎につけられている。前回も書いたように七夕リリースのシングルで夏の旅行向け「リゾッチャ」CMタイアップなので、初夏~夏の旅行のイメージが強すぎて新しい季節に聞きたいとは全く思わない。2年連続選ばれるなんてそんなに春のイメージあるだろうか…。

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7.ヒバリのこころ

『春に聴きたいスピッツ』と重複。今回もシングルバージョンではなく、フェードアウトが遅くて30秒程度長い1stアルバム『スピッツ』収録バージョン。これはデビュー曲だし、サビの歌詞もそのままだし、もっと1位2位でもおかしくないくらい春、スタートのイメージ。

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8.見っけ

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
16thアルバム『見っけ』(2019年10月9日)
アルバムタイトル曲&1曲目。特に新しい季節を感じる要素はないが、キラキラしたシンセ音がイントロからバンドと並行して鳴っているのが少し珍しい=新しいというのと、新しい季節に何かを発見していくような感じ?「優しいあの子」の頃から頻繁に言われていた“サビどこ”、要するに明確なサビらしいサビが無く流れていく構成の曲が多くなっていたサビどこ路線最盛期を象徴するアルバム1曲目って感じ。ほぼサビだけとも言えるし、サビの無いほぼ同じブロックを繰り返す曲とも言える。聞いたら思い出せたけど、サビどこ路線の曲は聞き込みが足りないとやはり残りにくいな。
★★★☆☆

9.魔女旅に出る

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ、オーケストレーション:長谷川智樹
3rdシングル 100位圏外(1991年10月25日)
2ndアルバム『名前をつけてやる
1stシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991~1997 Spitz Complete Single Collection

『名前をつけてやる』1ヶ月前の先行シングル。アルバムでは最終曲。初のストリングス導入曲で担当した長谷川智樹と意気投合して次のミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』は長谷川智樹とともに制作された。

「僕はきっと旅に出る」同様に旅立ち=新しい季節のイメージと思われる。魔女といってもおどろおどろしい悪そうな年寄り婆のイメージではなく、曲自体に毒々しいイメージもないどころか優しい雰囲気。『魔女の宅急便』のキキのイメージに近いのかなとは思ったがアメリカのドラマ『かわいい魔女ジニー』がモチーフらしい。

1996年9月の「渚」リリース時にレンタル屋で6枚セットシングルを借りてきてカセットに録音したのがスピッツを聞き始めた最初なんだけど、その時に何故か売れる前のシングルである今作が含まれていた。なのでC/W「鳥になって」と共にスピッツの思い出の最古にある曲で馴染み深い。当時からあまり初期の曲というイメージはなく、ヒットシングルと並べて聞いても遜色なかった。また思い返せばロックバンド+ストリングスの曲はこれが初めて聞いた曲だな。
★★★★☆

10.グリーン

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
15thアルバム『醒めない』(2016年7月27日)
アルバム6曲目。タイトル見てどのアルバムに入っている曲なのかも覚えていなかった。『小さな生き物』『醒めない』『見っけ』辺りは曲名見てもどこに何が入ってたかかなり怪しいのでこの3作のどれかだろうというう推測は当たっていたが…。

力強く前向きな明るめのロックナンバー。“今芽吹いたばっかの種”というサビの歌詞が新生活と重なる部分があるか。納得の選曲。覚えていなかったくせによくもまあぬけぬけと
★★★☆☆

11.歩き出せ、クローバー

作詞作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳&スピッツ
6thアルバム『ハチミツ』(1995年9月20日)
アルバム3曲目。全曲がキラキラ勢いに満ちた最大ヒットアルバムだけにやはり覚えている強度が違う。このアルバム、少し後追いで聞いているのでリアルタイム補正は『インディゴ地平線』~『三日月ロック』(小6~高3までの最も多感な時期にリアルタイム購入で聞きこんだアルバム群)には及ばないはずなのに。

新しい季節のイメージはないが、“歩き出せ”というのが新しい季節を進み始めるイメージと重なって始まりっぽいのかな。
★★★★☆

12.初恋クレイジー

作詞作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳&スピッツ
7thアルバム『インディゴ地平線』(1996年10月23日)
思い出補正著しいアルバム曲の1つ。最初にリアルタイムで聞いたアルバムの2曲目で、1曲目の「花泥棒」は短いオープニングナンバーで駆け抜け、2曲目の今作は当時のシングルヒットのイメージのリード曲級の1曲だったのですぐに耳に残った。年明けのドラマ『メロディ』主題歌オファーの際に当初既出の今作を主題歌に提供してシングルカットする案がメンバーサイドから提示されたが、新曲を打診されて「スカーレット」が制作されたとか。

秋の空のイメージがなんとなくあったので、新しい季節に全く一致しないが…。タイトルも「初恋クレイジー」で新しい要素無いし…。“おかしな秘密の場所へ”行こうとしているのが旅立ち=新しい季節方程式に無理やり当てはめてきた感じ?
★★★★☆

13.ルキンフォー

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
32ndシングル 最高3位 売上4.9万枚(2007年4月18日)
12thアルバム『さざなみCD
3rdシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 2006~2017 Spitz Complete Single Collection

『春に聴きたいスピッツ』に入ってもおかしくないと思っていた曲の1つで今回は無事に選出された。前向きな歌詞と新生活をこれから始めていく心境にかなり当てはまる部分が多く、テーマとの親和性は最も高い曲かもしれない。

スピッツの歌詞=何を描いているのかイマイチ良く分からないというイメージがずっと強かった中で、今までに比べるとかなり分かりやすく前向きな歌詞に感じられたのでこの時期のシングルの中でも特に覚えていて好きな1曲。これからも進んでいく決意を思わせるためか、MVには過去のMVに登場していたシーンの再現映像が大量に登場、そのあまりの集大成っぷりに急に解散するとか無いよな…?と逆に不安になってしまうほどだった。周年でも無いのに何で?と思っていたが、1987年結成起点での20周年だったからなのかも。
★★★★☆

14.君と暮らせたら

『春に聴きたいスピッツ』と重複。前回も謎だったがまた選ばれたの?というのが正直なところ。冒頭の“緑のトンネル抜けて”が新緑の季節っぽい、新生活を1人暮らしではなく誰かと暮らし始める予定のリスナーが多かったのだろうか。

『春に聴きたいスピッツ』全曲回顧
2024年3月25日ST限定配信(期間限定)スピッツ2024年春限定デジタルコンピレーションアルバム。ストリーミング配信限定でDL配信はされなかった。2024年3月4日~10日まで"あなたが今年の春に聴きたいスピッツの楽曲を最新アルバム『ひ...

15.魔法のコトバ

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
31stシングル 最高5位 売上11.4万枚(2006年7月12日)
12thアルバム『さざなみCD
3rdシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 2006~2017 Spitz Complete Single Collection

映画『ハチミツとクローバー』主題歌。原作者が作品タイトルを決める際にスピッツの『ハチミツ』とスガシカオの『クローバー』が並べてあった事から2作をくっつけたタイトルとなり、2005年にアニメ化された際は主題歌は別だったが、挿入歌としてスピッツとスガシカオの曲が大量に使用された。ただしスピッツサイドはシングル曲は使用しない事を条件としていたらしい(「スピカ」は使われているので『CYCLE HIT』に収録されたシングル1曲目という意味合いだったと思われる)。翌年に制作されたこの映画版は実写で嵐の櫻井翔が主演だった。主題歌としてはスピッツの新曲である今作が起用されたが、櫻井翔主演である事からエンディングはスガシカオではなく、スガシカオが提供した嵐「アオゾラペダル」という形になった。

当時、1年以上新曲が無く(前作が1年3ヶ月前の『春の歌/テクテク』で「春の歌」はシングルカットだった)、久々の新曲という事で盛り上がって普段シングルは買っていなかったのに今作は買いに走った。そんなに曲が気に入ったというわけではなかったんだけど、それだけ新曲を待ち望んでいた頃だったんだろうな…。

真夏のイメージしか残ってなくて新しい季節のイメージは全く無かった。映画の内容が新しい季節にリンクしているのだろうか。”また会えるよ”と歌詞にある事から別れ=旅立ち=新生活方程式?何だか無理やりな連想ゲームみた

この前のアルバム『スーベニア』はスピッツ史上最強音圧なのではないかというくらいにギンギンに突っ込んだような派手なサウンドが印象的だったが、今作ではタイアップもあって『ハチミツ』頃のポップ感を、亀田誠治と組んでからの今の体制で改めて意識してみたようなポップ感がある。ロックサウンドを求めていくようになって失われていったあの頃のどこかカワイイ感じを少し彷彿とさせるというか。「正夢」ほどビッシリではないが、当たり前のように亀田誠治によるストリングスも鳴り響いており、改めて聞くと2000年代半ばのサウンドという感じもする(2010年代になるとスピッツはロックバンドがみんなストリングスを入れるようになったといち早くストリングスに染まった業界に警鐘を鳴らすと自分たちはもう使わないと宣言してロックバンドのストリングス化を担った1人である亀田誠治の起用を続けながらストリングスを使用しなくなるという尖りまくった行動に出た)。
★★★☆☆

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