JUDY AND MARY 30周年シングル回顧~1993-2001~

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女性ボーカルに男性演奏陣というソニーとしてはREBECCAに続く存在として大ブレイクした90年代を代表するポップロックバンドJUDY AND MARY。
結成の経緯が変わっていて、元々恩田快人が既に別のバンドでメジャーデビューを果たしている中で、サイドプロジェクト的に始動。インディーズで作品をリリースするもあくまでサイドプロジェクトだったので1度解散したが、恩田快人の中で熱意が高まって再始動となり、この過程で参加できなくなったギタリスト藤本泰司が辞退し、オーディションで浅沼拓也(TAKUYA)が加入して最終メンバーが揃った。既にキャリアのあった恩田・五十嵐はデビュー時点で既にアラサー、ほぼ新人のYUKIとTAKUYAは20歳そこそこと年齢にやや開きがあった。さらにビジュアルが4人ともバラバラで全く噛み合ってそうに見えないといういびつさも異色だった。

初期~中期は恩田快人がメインライターだったが、プロデューサー佐久間正英の後押しもあって自我を開放したTAKUYAがメインライターへと切り替わり、末期には編曲プロデュースまでTAKUYAの名義になってしまうなど、バンドの主導権は極端な偏りを見せた。恩田快人は曲を全く書かなくなってしまい、TAKUYAが作曲面に限らず、YUKIとの作詞の共作の増加、Additional Production by TAKUYA(『THE POWER SOURCE )→Album Concept and Additional Production:TAKUYA(『POP LIFE』)→Total Stage Concept by TAKUYA(『44982 VS 1650』)→Produced by TAKUYA、編曲:TAKUYA(『WARP』)とアルバムにクレジットされていた表記を見てもどんどん深く関与していったことが分かる。それゆえに完全にやりきっての悔いの全く残らない全力で駆け抜けた短くも濃い活動期間となった。

99年に1度活動を休止、解散は絶対ないと念を押してこの間に各自ソロ活動を行い、1年後に約束通りに復活。しかし恩田快人は脱退の意志を固めており、復活から1年で結局解散となってしまった。完全にやりきっての解散、ソロアーティストとしてのYUKIの大成功もあって、再結成ブームの中においても再結成の可能性は限りなく低いとされている。不仲だったイメージが強いがメンバー間の共演が無いわけではなく、恩田快人と五十嵐公太がZAMZAで再度バンドメンバーになったり、2006~07年頃に高橋瞳のプロデュースをTAKUYAが担当した際に、ドラムに五十嵐公太を起用したこともあった。確執があるとみなされていた恩田快人とTAKUYAの間にもわだかまりは無くなっているようで、2019年には恩田快人と五十嵐公太によるトークイベント「今だから語ってしまおうトークJAM」にTAKUYAもサプライズ出演して色々と思い出話を語ったらしく、再結成どころか再会すら出来ていない(3人がYUKIに会えない、リマスター再発もソニーに言っているがYUKIが止めていると発言)現状が明かされたという。

2017.3~5新規執筆「JUDY AND MARY シングル回顧1~1993-1996~」「JUDY AND MARY シングル回顧2~1997-2001~」を統合、
C/Wを追加して2024.1~2リメイク

1st POWER OF LOVE

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1993年9月22日
記念すべきデビュー作。1992年にインディーズでリリースした『BE AMBITIOUS』が最初のCDだったが当時の恩田快人はJACKS’N’JOKERでデビューしていたのであくまでJUDY AND MARYはサイドプロジェクトのつもりでライブをやって終了となっていたが、熱意が湧いた恩田快人はJACKS’N’JOKERを脱退してJUDY AND MARYを本格始動させることを決意。しかしギターの藤本泰司はソロアルバムの構想があったため辞退して脱退、オーディションを行って浅沼拓也(TAKUYA)が加入してのデビューとなった。初登場95位を記録してギリギリのランクイン。

POWER OF LOVE

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
前年の1992年にインディーズでリリースされていた『BE AMBITIOUS』収録曲(ギターがTAKUYAではなく藤本泰司)をアレンジはほぼそのままにリメイク。後のイメージとはかけ離れたドタドタしたポップともロックともキャッチーとも言い難い何とも言えないノリの楽曲。明確なサビも存在せずに淡々と進行していくサビどこ路線でもあり、まあ売れはしないか…という感じはする。ただ『BE AMBITIOUS』の中から選ぶなら「BLUE TEARS」は筆頭として、もう1曲シングルにするならこの曲しかないかも。へヴィメタル系のバンドに所属していた恩田快人がまだYUKIの歌声に合うポップ寄りな作風に合わせていくのに不慣れだったのか、とりあえず激しくしないようにしてみた!といった感じのサウンドメイクは結果的に妙に音がスカスカというどっちつかずな作風になってしまったようにも思う。『BE AMBITIOUS』ではもっと音が軽いし、YUKIのボーカル処理もかなり微妙なのでこれでもメジャーデビューの装いでかなりパワーアップしてもいる。

『BE AMBITIOUS』、シングル(『J・A・M』も同じ音源)共にラストはフェードアウトだったが、ベスト盤『FRESH』ではしれっと最後まで演奏されるバージョンに差し替えられ、『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』でもこの音源がリマスターされている。
★★★☆☆
インディーズアルバム『BE AMBITIOUS』(原曲)
1stアルバム『J・A・M
1stベスト『FRESH』(完奏するバージョン)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(完奏するバージョン)

C/W MAKE UP ONE’S MIND

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
同じく『BE AMBITIOUS』収録曲(ギターがTAKUYAではなく藤本泰司)のリメイク。新たにミディアムテンポのイントロと歌い出しが追加されてから『BE AMBITIOUS』同様のパンクなノリのアップテンポに切り替わる。表題曲と違って今作は『BE AMBITIOUS』バージョンの方が荒々しさが前面に出ていて曲に合った勢いがあった。メジャー版では冒頭をミディアムにしたのに加えて全体に音が整っていて荒々しさは消え去っているが、この曲調だと荒々しいくらいの方が合っていたと思う。初期ロリータパンク路線もインディーズ時代からするとメジャー仕様に整えていた事が分かる1曲。
★★★☆☆
インディーズアルバム『BE AMBITIOUS』(原曲)
1stアルバム『J・A・M

2nd BLUE TEARS

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93年11月21日
キャリア唯一の100位圏外。前作が95位だったのでギリギリ100位以内に入れないくらいだったのかもしれない。初期のシングルで表題曲カラオケ(backing track)が収録された唯一のシングルとなり、1st、3rd~6thはカラオケの収録は無く、次にカラオケが収録されたのは7th『Over Drive』。

BLUE TEARS

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
『BE AMBITIOUS』収録曲(ギターがTAKUYAではなく藤本泰司)のリメイク。これまた明確なサビが無い曲だが、前作と異なりむしろ全編サビのような少し切ないメロディーで駆け抜けていくウィンターソング。『BE AMBITIOUS』収録曲の中ではポップ&キャッチーな楽曲でどれか1曲シングルにする曲を選ぶなら間違いなく今作だったといえる。『BE AMBITIOUS』バージョンはもう少し荒めの演奏だったがメジャー仕様で整えられた結果、これがピタリハマったと思う。結果的に方向性がそれぞれ異なっていた初期3シングルの中でも最も後年に通じるこれぞという1曲になった。

前述のように当時は100位圏外でタイアップも無かったが1996年10月に開始したフジテレビ系バラエティ『めちゃ×2イケてるッ!』初代エンディングテーマに起用され、翌年3月まで半年使用された。初代エンディングということもあって正規の使用期間終了後も2006、2012、2016年に1度ずつ再使用され、番組終了が決定した後の2018年1~3月の最終クールでは再度今作が起用され、最終回SPではOPで起用されるなど初代ゆえか最後まで特別に扱われていた。また2代目エンディングはは引き続きJUDY AND MARYの「Hello! Orange Sunshine」だったり、JUDY AND MARY休止~復活した1999~2000年にかけて3曲連続で起用されたWhiteberryの曲の中で2曲が恩田快人の提供曲(「YUKI」「通学路」)だったりと番組とは縁も深かった。

歌詞は過去の恋を振り返る内容であまり関係ないが、楽曲全体に青春の匂いが漂っていて、そこのところに目をつけたのか発売から13年後、バンド解散からも5年が経過した2006年に映画『シムソンズ』主題歌として抜擢された。これは2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックカーリング競技女子日本代表だった”シムソンズ”の高校時代(結成時)の奮闘を題材にした内容(ただしかなり脚色されていて始めたきっかけや4人の年齢設定など根本から事実とは違う設定も多かった模様)で加藤ローサ、藤井美菜、高橋真唯、星井七瀬が主演、大泉洋がコーチ役で田中圭が結成のきっかけになった選手役を演じた。現実ではシムソンズは2002年大会の後に解散しており、現役継続したメンバー2人がチーム青森のメンバーとして2006年トリノ大会に出場(映画はこのタイミング)、1度引退した後に復帰してさらに北海道銀行フォルティウスとして2014年大会にも出場したが、以後のオリンピックには別のチームが代表になっている。しかし女子カーリングを題材にした映画が他に無い事もあってか、他の競技よりも試合時間や試合回数が多いので放送機会も多い女子カーリングがオリンピックで放送されると毎回世間のカーリング熱が一時過熱する現象が起こり、そのたびにこの映画のDVDが売れる(オリンピック開催時期にAmazon見てみるとけっこう跳ね上がっている)という現象が起こるくらいには地味~に後年に残る映画になっていたりする。

映画『シムソンズ』公開とベスト盤『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』発売時期が同じだったのでベストのリード曲のようにもなった。旧『FRESH』で聞いた時はあまり印象に残っていなかったが、映画を通して初期にこんないい曲あったんだなと改めて気づかされた。前述のように歌詞は過去の恋愛の話なので映画の内容無関係なんだけど、雰囲気は非常にマッチしていた。

エンディングでの吹雪の音はインディーズ版の頃から入っているマストな音となっていたが、『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』収録時にはこの吹雪の音が若干長く編集されているという違いがある。何故か追加された封入ライナーノーツの解説では“波の音”と書かれているがどう聞いても風のヒューヒュー音であり、波の音ではない。
★★★★☆
インディーズアルバム『BE AMBITIOUS』(原曲)
1stアルバム『J・A・M
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(ラストの吹雪の音が長い)

C/W LOLITA A-GO-GO

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
初期のロリータ路線っぽさが前面に出ている…というかタイトルがそのまんまでロリータでゴーゴー(?)な感じのロックナンバー。2分40秒しかない短さなのでタイトルをシンガロングするようなサビっぽいパートは1度しか出てこないであっという間に終わってしまう。
★★★☆☆
1stアルバム『J・A・M

3rd DAYDREAM/キケンな2人

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94年4月21日
ソニーのディスコグラフィーで両A面表記になっているほか、ジャケットでは表が「DAYDREAM」、裏が「キケンな2人」でそれぞれをCoupiling withと表記している。しかしその後「キケンな2人」はA面扱いされていない

DAYDREAM

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
1stアルバム『J・A・M』からのシングルカット。またしても作風がコロッと変わっており、今作に関してはYUKIが大ファンだった同じ女性ボーカル+男性演奏陣体制のレーベルの先輩バンドREBECCAっぽい路線を90年代半ばに再構築した感じ。REBECCAとはキーボードサウンドの比重や時代が変わった事による音の響きなどで大きく違いがあるものの、この曲に漂う疾走感は80’sの匂いが漂う。当時はこのレトロさが微妙だと思っていたが、慣れてくるとこれはこれで普通に聞ける。またこの曲でMステやCDTVゲストライブに初出演したためか、初期映像として特に2000年前後になってアーカイブが溜まってきた頃によく放送していた過去のCDTVのゲストライブ特集映像でよくかかっていたので初期3作の中では1番最初に印象に残った。

「POWER OF LOVE」同様にフェードアウトで終わっていく構成だったが、『FRESH』収録時に最後まで演奏されるバージョンに差し替えられ、以降のベスト盤では完奏するバージョンが採用されている。
★★★☆☆
1stアルバム『J・A・M
1stベスト『FRESH』(完奏するバージョン)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』(完奏するバージョン)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(完奏するバージョン)

キケンな2人

作詞:Tack and yukky、作曲:TAKUYA
1stアルバム『J・A・M』まではギター弾いているだけで作詞作曲には関与していなかったTAKUYAの初作曲作品。いきなり作詞にも介入しており、以後YUKIと共作になった際はTack and yukky名義で解散まで統一された。早くも特有の癖の強さが炸裂していて個性が発揮されているが、今作に関してはメロディー自体は淡々としていて後年のようなメロディーメイカーとしての覚醒には至っていない感じ。

シングルは比較的シンプルにバンドサウンド主体で特にエレキギターが目立って曲を引っ張っていくアレンジになっているが、『ORANGE SUNSHINE』ではLet’s Go!”DAIBUTSU”MIXとなりかなり大胆にリアレンジ。ギターは引っ込んだが全体に加工したような複雑な音の響きになっており、ヘンテコ感が漂う上、中盤過ぎにはあまり展開せずに音数が少ない状態が続く場面もありオリジナルより40秒以上長くなっている。長年アルバムでしか聞いていなかったのでなんか変な曲入っているなぁ…と思っていたが、シングルバージョンの方が普通に聞きやすくて良かった。『The Great Escape-COMPLETE BEST-』にも選曲されずシングルバージョンがアルバム未収録のままになってしまったが、Let’s Go!”DAIBUTSU”MIXのヘンテコっぷりに引きずられた感もあり、Let’s Go!”DAIBUTSU”MIXが無くて普通にアルバム未収録なだけだったらもう少し人気を集めていたかも…。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』(Let’s Go!”DAIBUTSU”MIX)

4th Hello! Orange Sunshine/RADIO

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94年8月21日
前作と同じ仕様で表に「Hello! Orange Sunshine」、裏に「RADIO」でそれぞれC/Wと表記している。現行のソニーディスコグラフィーからは掲載を外されているシングルになっているので公式の扱いは不明。前作と異なり2曲の扱いが完全同列でオリジナルアルバム、ベストアルバムに全て揃って収録されている。

初登場35位から22位に浮上して25位→27位→36位…と粘る推移での9週ランクインで10万枚に迫る売上を記録。ブレイクの兆しを掴んだ。

Hello! Orange Sunshine

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
後追いで聞くとここから本格的にJUDY AND MARYが始まったと感じられるガールポップロックの王道的なキャッチーなナンバー。1stアルバムまではどうにも軸が定まっていない感じがしていたが、この曲で進むべき方向性を見出したようなイメージ。なんとなく10代の頃のワクワク感を思い出させてくれる1曲だが、ここからしばらくはティーンの心を鷲掴みにするような曲が多い。1994~96年辺りが中学時代に直撃していた世代はドンピシャだったんじゃないだろうか(1997~99年が中学時代だったので直撃ではないっていうか2000年代初頭のレビューサイト界隈では若干年上の人たちがこちらが届かないような高い熱量で語っていたような印象があると同時に我々世代には直撃のHysteric Blueをパクリだと一刀両断してちゃんと評価しない風潮があったり、解散の時に再開後TAKUYAの曲ばかりで恩ちゃん1曲も無かったのでその辺りなんですかね~みたいな話を直撃世代の当時のメル友にしたら知ったような事を簡単に言うなとマジギレされたりと数年の年の差でも世代間の隔たりを物凄く感じて『POP LIFE』は聞いていたんだけど『WARP』はそのまま見送ってベスト盤だけ聞いてサイト開設後5,6年経ってからようやく後追いでじっくり聞いたのもたぶんその辺りに潜在的な理由が)。

初期のYUKIの放っておいても漂うような幼い雰囲気とパンキッシュなサウンドをぶつけるロリータパンク的な路線もそれはそれで味があったけど、もっとストレートに生かしていくとなるとキャッチ―でポップで耳障りのいいJ-POPと呼ばれるようになったこの方向性が売れ線として正解でもあった。後に活動休止~休止明けの時期にかけて恩田快人はWhiteberryの初期作品の作編曲プロデュースを手掛けたが、当時リアル中学生だったWhiteberryに概ねこの頃の雰囲気を継承させていたような印象がある。
★★★★☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

RADIO

作詞:Tack and yukky、作曲:TAKUYA
前作に続いてTAKUYAによる楽曲だが今回はクセの強さは抑えストレートにメロディーの良さを追求したようなストレートなポップロック路線。一気に才能が開花したというか、恩田快人と並ぶ2人目の作曲メンバーとして飛び出してきたようなイメージ。

ラジオをテーマにした名曲というと浮かんでくる曲の1つ。彼らがやっているラジオは聞いたことは無いんだけど、これもなんとなく“10代の頃に深夜ラジオを聞いていたあの感覚”を思い出させてくれるようなノスタルジックさがある。
★★★★☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

5th Cheese “PIZZA”/クリスマス

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94年11月2日
前2作同様に表に「Cheese “PIZZA”」、裏に「クリスマス」でそれぞれC/Wと表記している。現行のソニーディスコグラフィーからは掲載を外されているシングルになっているので公式の扱いは不明。前作同様に2曲の扱いが完全同列の扱いだが、今作の場合は『FRESH』には揃って選曲されずファン投票による『The Great Escape-COMPLETE BEST-』には揃って選曲されている。

前作を上回り初登場15位を記録してさらに飛躍したが前作のような上昇や停滞する推移にはならずに緩やかにランクダウンしていくという動きだった。このため8週ランクインとなったものの累計売上は前作を下回った

Cheese “PIZZA”

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
今作でついにTAKUYAがシングル1曲目に採用された。前作のポップさを継承しつつも謎にレゲエ調なのでどこかゆったりまったりした印象も受ける曲。レゲエ調ゆえのまったりさが災いしてかなんだか妙に存在感が薄く、ベスト盤『FRESH』にスルーされた四天王の1曲、しかも四天王の中で唯一シングルカットではなかった曲という憂い目にあっている。四天王全てファン投票ベストでは選曲されているので不人気というわけではないだろうけど(『FRESH』未収録だったシングルは全部救済されているので被りを考えたファンが集中的に投票した可能性も)…。ピザのチーズのとろけ具合と、恋にとろける様子を重ね合わせた歌詞の視点は独特でユーモアがある。
★★★☆☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
18thシングル『Brand New Wave Upper Ground』C/W(リメイク「Cheese“PIZZA”Large!!」)

クリスマス

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
「Cheese “PIZZA”」がレゲエ調でなんとなく夏とか南国っぽいイメージだがこちらは発売時期に合わせたクリスマスソング。結果的にキャリア唯一のクリスマスソングとなったが勢いのある元気なロックサウンドで直球ストレートな明るいクリスマス感が全開で華やかな気分になる。歴代数々のクリスマスソング特集で上位になるほどの知名度はないものの、毎年クリスマス付近に1度はラジオから流れてくるのを聞く事もあり、少なくとも現在は「Cheese “PIZZA”」を越える知名度や残り具合ではあるんじゃないかなとは思っている。
★★★★☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

6th 小さな頃から/自転車

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95年1月21日
2曲とも2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』からのシングルカット。前3作とは異なり、ジャケット表に2曲が並列表記されており、C/W表記が無い。ベスト盤にも揃って選曲されている。初収録音源無しのシングルカットではさすがに伸ばせず初登場37位へと後退した。

小さな頃から

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
どちらかというとバラードに分類されそうなミディアムナンバー。映画『シムソンズ』では挿入歌として使用された。小さな頃の純粋さを思い出して明日への希望を見出す歌詞の内容は初心を思い出させてくれるためか、目標へ向かっていく時にこの曲に励まされた、この曲を聞くと学生時代が蘇るというリスナーも多そう。TAKUYAにとっては当初弾いているだけだったギターを今作辺りから自身の色を出せるようになったとも語っているそうで(「キケンな2人」でいきなりかなり自由にやってなかったか?)、ひたすら淡々としているリズム隊に対してギタープレイが光る。
★★★★☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

自転車

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
次の「Over Drive」へ続いていくようなストレートな王道ポップロックナンバー。同系統でいい曲がたくさんあるのでどうしても影が薄くなってしまうところはあるが、TAKUYAが主導権を握る前のポップでストレート、そしてこれまた子供の頃を思い出させる無邪気な元気さが眩しい。恩田快人にあってTAKUYAに無い作風ってこういう10代を思い出させるような歌詞を呼び起こすような文字通りのガールなポップ感だったのかなと思う。
★★★☆☆
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

7th Over Drive

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95年6月19日
これまでの6シングルを上回って初動だけで10万枚を突破して初のトップ10入りとなる初登場4位を記録。2週目11位に落ちるも3週目に9位に浮上し、8位→9位→11位と10位前後をうろついて最終的に18週ランクインのうちトップ10に4週、トップ20に8週ランクインしていた。売上67万枚でブレイク作にして現在は2番ヒット作

両A面扱いのようなシングルが続いていたが今作から明確に単独A面シングル。またここまで2ndシングルにしか収録されていなかった3曲目の表題曲カラオケ(今作以降Backing Track)が復活し、今作より収録されるようになった。

Over Drive

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
人気を決定づけたブレイク作にしてファン人気No.1でもある代表曲中の代表曲。切れ味のいいギターのイントロから抜群に爽快。ポップでロックでキャッチーであると同時に年月を経ても色褪せない普遍性もある永遠のスタンダードのような90年代半ば以降のJ-POPバンドのお手本のような1曲。リアルタイムでは聞いていないんだけどイントロを聞くと90年代が一瞬にして蘇る。初夏の爽やかな季節が最も似合うように思うが発売が思いっきり梅雨真っ只中というのは1ヶ月遅かった気がしなくもない。

この曲はなんとなく恩田曲っぽいイメージがあったんだけど、恩田曲っぽい雰囲気を継承したTAKUYA曲だったというのは意外なところでもある。「そばかす」と逆のイメージなんだよな…。「RADIO」でメロディーメイカーの片鱗を見せていたとはいえ一気に覚醒しすぎ。
★★★★★
3rdアルバム『MIRACLE DIVING
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME、1650 EBISU GARDEN HALL)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W エゴイスト…?

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
ブレイクモードに乗っかって躍進していったバンドの勢いがそのまま出ているようなポップロックナンバー。ややサビどこ感(?)があり、「Over Drive」があればC/Wに回るしかなかったとはいえ、C/Wにしてはかなりの良曲だし、けっこう王道っぽい曲なのに解散後のリクエストベストまで放置されていたというのはもったいない。
★★★☆☆
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

8th ドキドキ

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95年10月21日
前作の最終ランクイン週に入れ替わるように初登場8位を記録。累計は25万を越えて14週ランクインするなど緩やかな推移は見せたもののトップ10には初登場週のみ、トップ20も2週で落ちてしまい、30~40位台、60~80位台で残りの登場週数を分け合うような粘り方をしたので前作ほどのインパクトは残せず、やや谷間に位置するようなシングルヒットとなった。

ドキドキ

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
大ヒット作に挟まれているのでやや影の薄い立ち位置だが、これまたとびきりポップでキャッチーなナンバー。ドキドキというより抑えきれないワクワクとかウキウキ感がにじみ出ていて問答無用に明るい気持ちになれる。恩田快人がメインライターだった頃の「ORANGE SUNSHINE」から続いていた10代の青春感というか放課後っぽさが漂っていたのって今作が最後だったようにも思う。

演奏開始前のところから音源が残っていたらしく、解散後に曲が始まる前の未公開音声が追加されていくという2段変化を果たしていった稀有な経歴を持つ曲でもあり、『The Great Escape-COMPLETE BEST-』では開始前にYUKIによるカウントが追加され、『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』ではYUKIのカウントの前にさらにYUKIの喋っている声が追加された。
★★★★☆
3rdアルバム『MIRACLE DIVING
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』(YUKIによるカウント追加)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(カウントの前にYUKIの喋りがさらに追加)

C/W 夕暮れ

作詞作曲:TAKUYA
アコースティック主体のミディアムバラード。一気に駆け上がっていた押せ押せの時期にあって落ち着いたバラード系なのでどうにも地味なのは否めないが箸休め的な1曲ではあると思う。『The Great Escape-COMPLETE BEST-』に選曲されたのでちゃんと聞いているファンも多かった模様。
★★★☆☆
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

9th そばかす

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アルバム『MIRACLE DIVING』が大ヒットした後、重要なその次のシングルだったが、「Over Drive」を遥かに上回る最大のヒットシングル。初動だけで28万枚に達して前作累計を突破し、初登場1位を記録。結果的に唯一のNo.1ヒットとなった。7週連続トップ10入り、21週ランクインで累計は105.8万枚に達し、ミリオンヒットを達成。90年代の大成功パターンに乗っかる事に成功した。

そばかす

96年2月19日
作詞:YUKI、作曲:恩田快人
アニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』初代OP。当時まだまだアニメはアニメソングであり専用の歌手が歌うものというイメージも強く、ましてや子供向けタイアップでヒットを狙うものでは無かったが、ビーイングが『SLAM DUNK』で主題歌占拠を行い大ヒット。ソニーもそれにならってこのるろ剣タイアップを駆使してヒット作を生み出した。ただ完全にソニー占拠はせずにエンディングには他社も起用されていた。この後すぐには乱用しなかったが、ドラマタイアップやCMタイアップで容易くヒットが飛ばせなくなった2000年代序盤以降になるとソニーはアニメ主題歌占拠によるタイアップ御用達レーベルみたいな状態になり、「BLEACH」「NARUTO」「銀魂」など後続のジャンプアニメに限らずガンダムやハガレンなど局や時間帯に関係なくアニメ主題歌枠を占拠しまくってこのパターンを乱用。ソニーアニメタイアップパターンの最初の1歩がこの曲だったともいえる。

メンバーはるろ剣を全く知らなかったらしく、しかも突如アニメタイアップが決まったから3日で書けという緊急案件として話を受けたため、詳しい内容も知らされず、仕方ないので知っていたアニメ『キャンディ・キャンディ』をイメージしたという。そのせいもあってか明治初期を舞台にした剣術バトル作品であるるろ剣とは全く共通するところが無いテーマ曲というより単なる”タイアップ”曲となったが、当時は人気アニメにJ-POPが主題歌というのと、結局アニメを見ている子供たちは聞くきっかけがあっていい曲であればハマるというのを証明するかのように自身最大のミリオンヒットを記録。
作品内容と全く関係が無かろうと当時の子供たちにはるろ剣=この曲であり、それはドンピシャ世代の中川翔子がJUDY AND MARYのトリビュートアルバムでこの曲を取り、自身のアニソンカバーアルバムで今作の後任OPとなった川本真琴「1/2」を選曲しているのも分かりやすい一例といえる。そう考えるとみんな好き勝手にタイアップチャンスとして仕事受けていた中でタイトルに作品名の英訳を入れたT.M.Revolutionはずば抜けて律儀であり、後にアニソン専属アーティスト化したのも納得…。

個人的にも初めてリアルタイムで聞いたのがこの曲。ただしるろ剣は全く知らず、大ヒットしていたので知ったという感じ。そのせいばかりでもないがサビよりも何故かAメロを聞くと懐かしい感じがして1996年当時の空気感を思い出す。当時はとにかくキャッチ―ということで聞いていたが改めてCDでちゃんと聞いてみるとこの曲なかなかとんでもない。イントロからギターが暴れまわるが、キャッチーな歌メロに対してギターは終始ギターソロを弾いてるかのように縦横無尽に暴れ回っていてそのまま最後まで違う曲を演奏したまま駆け抜けていく。

「Over Drive」がTAKUYA作曲ながら恩田快人がリードしてきたJUDY AND MARYを踏襲した曲だったのとは真逆で今作は恩田快人の作曲ながらTAKUYAがリードしていくこの先のJUDY AND MARYを示したような1曲になった。この2曲で作曲者が逆なのは面白いが、2人のソングライターの均衡が崩れずに双方が色をぶつけ合いながら発展させることができればJUDY AND MARYはとんでもないモンスターバンドになっていたかもしれない。結果的に恩田快人の最終A面曲にもなったが、ここで綺麗に主導権が入れ替わったのを象徴する1曲でもあると思う。
★★★★★
4thアルバム『THE POWER SOURCE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W ステレオ全開

作詞:Tack & Yukky、作曲:TAKUYA
『MIRACLE DIVING』からのシングルカット。アルバムでは冒頭に当時サンフレッチェ広島に所属で1995~1997年にかけて日本代表でも活躍していたサッカー選手の柳本啓成による「オフサイドー!」という掛け声とそれに反応するメンバーらしき声が入っていたが、シングルでは削除されている。

ガシャガシャ暴れ回るハチャメチャなイントロから全開で突き抜けていくTAKUYAらしさが解放されたロックナンバー。TAKUYAが自我を解放したのは佐久間正英がその才能を高く評価してもっと自分を出していけばいいとアドバイスを送った事もきっかけになっているそうだが(晩年まで佐久間正英はTAKUYAを評価していて自身が死期を悟って最後に制作したラストソングでも”最後にもう一度大好きなTAKUYAと一緒にこの作品を仕上げたい”として招くほど溺愛していた)、まさにこの時期にそれを実現させた事が良く分かる1曲。ステレオというよりTAKUYA全開を宣言するような…。自由過ぎるアレンジに対してメロディーはあくまでJ-POP的にキャッチーでしっかり聞かせてくるし、確かにこの頃のTAKUYAは凄かった。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』(冒頭掛け声あり)
ライブアルバム『44982 VS 1650』(1650 EBISU GARDEN HALL)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-』(冒頭掛け声あり)

10th クラシック

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前作がイレギュラーな大ヒット過ぎたのもあったが今作も初登場3位を記録、3週連続トップ10入りで16週ランクインで売上63.2万枚となり、「Over Drive」には届かなかったものの3番ヒット作となった。

クラシック

96年10月28日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
今作でもギターの存在感は強いものの、縦横無尽に暴れ回るまではしていなくてそれ以上にメロディーの良さをストレートに押し出している印象。メロディーメイカーとしてのTAKUYAの素晴らしさが最も出たシングル曲だと思う。本当にグングン上り調子だったんだろうなぁ…。YUKIが赤いドレスで歌うPVの印象も強いが、少し前の10代の青春をそのまま眩しく描いていた世界観からはあっという間に遠ざかっていったようにも思う。この辺り若いYUKIとTAKUYAの成長も合わさってめまぐるしい変化だった。
★★★★★
4thアルバム『THE POWER SOURCE
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W おめでとう

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
表題曲までは行かない感じではあるが王道のガールポップロック感のあるナンバーで『ORANGE SUNSHINE』辺りに入っていても違和感のないような曲。ただやはりギターの存在感は増していてバンドのパワーバランスが変わってきている事も感じられる1曲。
★★★☆☆
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

11th くじら12号

B00005G50M
『THE POWER SOURCE』1ヶ月前の先行シングルとしてリリース。初登場5位から3週連続トップ10入りで12週ランクインとなったが初動が下がっていたため累計売上は44.7万枚に落ち着いた。この売上はこの後も2作が上回っている。『THE POWER SOURCE』は216.2万枚の空前の大ヒットとなり、急速に駆け上がった人気は一気にピークに達した。

くじら12号

97年2月21日
作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
くじら→くじらを食べる日本人のドルフィン・キック、12号→サッカーの背番号でサポーターナンバーという意味合いでサッカー日本代表応援の意図を込めているらしい。当時は前回大会をドーハの悲劇で逃し、次こそはと初のW杯出場をかけたアジア予選が3月から始まる1ヶ月前(11月の最終戦で出場を決めたのは有名)。サッカー日本代表=青のイメージが一般にも強くなっていくところだったが、ストレートに表現せずに含ませるTAKUYA独特のひねくれっぷりが炸裂しているようにも思う。キャッチーなメロディーは全盛期全開で前作と並ぶ大名曲っぷりだが、今作はアレンジもかなり攻めまくってひねくれている印象も受ける。TAKUYAのギターだけでなく、ベースドラムボーカルもみんな跳ね回っているイメージ

PVでのYUKIのすさまじく濃いメイクもインパクトで、前作で赤いドレスで歌ってた人と同一人物に見えず、シングル出すたびに顔の印象が違うのでしばらくYUKIのイメージが定まらなかった。なおこのPV、やたらバッチバチしており、大爆発でメンバー全員黒コゲでモッハモハというコントみたいなオチがついていたりと『CDTV』でかかっていてもインパクトの強いものだったが、実は一部しか制作されてないのでフルサイズが存在しなかったと後で知って驚いた。ここまで色々やっててちゃんと作ってなかっのかよ…。
★★★★★
4thアルバム『THE POWER SOURCE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W KISSの温度

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
前作同様にこれまでと変わらない恩田曲らしいガールポップロック路線だが自由なギターが絡んできて一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出すというこの時期らしい曲。バンドの全盛期が長く続かず、恩田曲が出てこなくなってしまったのはこの辺りのバランス…だったんだろうなぁ…。2人の作風の違いがもっと共存し合えればモンスターバンドとして更なる飛躍もあったのかもしれない。
★★★☆☆
4thアルバム『THE POWER SOURCE

12th ラブリーベイベー

B00005G50X
97年5月21日
『THE POWER SOURCE』から2ヶ月でのシングルカットC/Wも過去曲のライブバージョンだったので新曲は収録されておらず、初登場12位とトップ10入りも逃がす事態となり累計でも10万枚を下回った。

ラブリーベイベー

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
終始激しくギターが鳴り響く爆音ギターロック。TAKUYAが遠慮なしにギター弾き倒して圧倒し、Aメロでは叫びのような呪文のような謎の言葉が羅列され、わけが分からないんだけど何もかも乗り切ってスルッと聞けてしまうそんな圧倒的勢いに満ちた全盛期を象徴する1曲。

シングルカットまでした割に何故か『FRESH』で外されてしまい、『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』でも『FRESH』以降の4シングル追加収録だけでスルーされてしまったが、この待遇の悪さはかなり謎。時期的には次のアルバム『POP LIFE』収録曲が優遇されているライブ盤『44982 VS 1650』においてもドーム公演、恵比寿ガーデンホール公演の両日演奏されていたり、解散ツアーでも終盤で演奏されたりと発表以降毎回披露されるライブ定番曲になっていたようなので、『FRESH』に選ばなかったのは極端に売上が低かったせいなのだろうか。『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』の方は明らかにその後のシングル4曲追加にだけ意識がいっていて、「Cheese“PIZZA”」、「ラブリーベイベー」、「イロトリドリ ノ セカイ」、「手紙をかくよ」の4曲は忘れてたっぽいし…。
★★★★☆
4thアルバム『THE POWER SOURCE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME、1650 EBISU GARDEN HALL)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

C/W どうしよう NAGOYA SPECIAL(Live Version)

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』収録曲「どうしよう」のライブバージョン。冒頭で名古屋スペシャル!と叫んだのが何故かそのままタイトルになり「どうしよう NAGOYA SPECIAL」となっている。しかし当時開催中だったツアー『THE POWER SAUCE DELIVERY ’97』どころか前年の1996年のツアーにも名古屋公演は無く、『JUST A MAMBO TOUR』ツアー1995年5月31日の名古屋市民会館公演まで遡らないと名古屋公演が無い。この公演では2曲目に演奏しているので1995年5月31日の名古屋市民会館公演の音源なのだろうか。アレンジの大きな変更はないがスタジオ音源の3分12秒から7分36秒まで倍以上の長さになっており、間奏が長くなり、コール&レスポンスが繰り広げられるなどしているのが主に”NAGOYA SPECIAL”な部分であると思われる。シングルでは唯一のライブ音源、ライブ盤『44982 VS 1650』は全盛期のものだし、初の映像作品は1996年のツアーのものなので、今作が最古のライブ音源になるはず。まだツアーといっても5公演程度だった頃の貴重な記録だったのかもしれない。
★★★☆☆
アルバム未収録ライブ音源
2ndアルバム『ORANGE SUNSHINE』(「どうしよう」)
ライブアルバム『44982 VS 1650』(「どうしよう」1650 EBISU GARDEN HALL)

13th LOVER SOUL

B00005G51V
97年10月14日
初動19万枚を叩き出して好調だったが、SPEED「WHITE LOVE」(初動48万)、globe「Wanderin’ Destiny」(初動34万)、L’Arc~en~Ciel「虹」(初動33万)、河村隆一「Love is…」(初動32万)と太刀打ちできない30~40万クラスの初動が最上位争いするという90年代後半~00年頃にかけて何度かあった歴史に残る激戦週の1つに数えられる1997年10月27日付チャートにぶつかってしまい、抑え込めたのは広末涼子「風のプリズム」(初動15万)だけとなり、1位クラスの新譜6組が一挙ぶつかった中では初登場5位となった。2週目以降10位→11位→9位と年末のヒットチャートで粘る推移を見せて存在感を示すヒットとなり、14週ランクインで50万枚を突破した4番ヒット作となる。

LOVER SOUL

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
6分を越える長尺のバラードだが長さをあまり感じさせない冬の名バラード。JUDY AND MARYの聞かせるバラード系といえばこの曲だと思う。PVの影響もあるが、雪原がイメージされる雄大なメロディーが印象的だがよく聞くとこんなメロディー重視の曲でもギターは限りなく挑戦しまくっているのが凄い。バンドの緊張感、4人のせめぎあいという意味でもバンドがキャリアハイに達していたのはこの時期だと思う。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W BATHROOM

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
ついにC/WまでTAKUYAになってしまったが、今までとは違う一面を見せたA面に対してこちらはイメージ通りのポップロック系。すっかりギターの存在感が当たり前になってTAKUYA色の強いバンドに変わってきている事は感じてしまうところはあるものの…。『POP LIFE』収録曲として初めて聞いたのでがC/Wという意識があまりなくシングル曲並のインパクトが当時からあったのでを記憶している。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

14th 散歩道

B00005G529
98年2月11日
前作に続いて初動19万枚を叩き出し、敵がいなければ文句なしの1位だったものの今度はMr.Children「ニシエヒガシエ」とEvery Little Thing「Time goes by」がまたも30万台と太刀打ちできない高レベルな首位争いをしていたので初登場3位となった。5週連続トップ10入りするなど前半は好調だったが、その後あっさり落ちてしまい12週ランクインに留まった事もあり前作を下回るも48万枚の売上を記録。「くじら12号」を上回り5番ヒット作となった。またこの後シングルカットが続いたり活動休止となった事もあって人気が一気にピークアウトしたため、この後は今作の累計どころか初動を上回るシングルヒットも出ていない

ここに来てTAKUYAの曲が採用されないという珍しいシングルになったが、続く『POP LIFE』ではこの2曲以外は全てTAKUYAの曲となり、TAKUYA一辺倒の状況へ完全に傾く事態となった。

散歩道

作詞:YUKI、作曲:五十嵐公太
シングルでは唯一の五十嵐作曲ナンバー。鈴木保奈美主演のドラマ『ニュースの女』主題歌。ニュースキャスターを題材にしたストレートなドラマだったが、鈴木保奈美が西村雅彦と結婚した直後に西村が亡くなり、その死亡ニュースをキャスターとして読まないといけないというハードな展開から西村の連れ子だった高校生の滝沢秀明と同居することになるというストーリーが展開。タッキーへ片思いする同級生役でブレイク直前の深田恭子が出演していた。鈴木保奈美は今作の後にとんねるず石橋と結婚・妊娠引退(現在は復帰)してしまったので、久々の主演作にして最後の主演作(当時)でもあったが、何故かこのドラマたまたま見ていたのでその主題歌である今作もリアルタイムで聞いた。さらに誕生日が近かったので誕生日プレゼントしてシングルをもらったので、現役時代のシングルで唯一所持したシングルでもあり思い出深い。

ウキウキ感を極限まで高めたようなポップなメロディーは恩田・TAKUYAの両名に全く引けをとらない。本人も「こんなすげぇ曲を書けたことに自分が一番驚いている」と後にベスト盤でコメントしたが、キャリアハイのバンドの勢いはこういうところにも出ていたのかも。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME、1650 EBISU GARDEN HALL)
1stベスト『FRESH
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W ステキなうた

作詞:YUKI、作曲:恩田快人
結果的に最後となった恩田曲。今作はそのまま『POP LIFE』に収録されたが、この曲以外に新たな恩田曲は無く、活動休止を経ての復活後も全てTAKUYA曲(1曲五十嵐曲)となり恩田曲が復活することは無かった。曲が書けなくなるスランプに陥っていたという説もあるが、休止期間の1999年Whiteberryのデビュー当初のプロデュースを坂井紀雄と共同で3曲担当。通常は坂井紀雄単独の作編曲プロデュースだったが恩田快人が曲提供したデビューミニアルバム『after school』リード曲の「通学路」と「あそびたいの」、1stシングル「YUKI」の3曲は単独作曲で坂井紀雄と恩田快人の共同編曲プロデュースだった。恩田快人がリードしていた頃のJUDY AND MARYのガールポップロックな方向性をそのまま中学生バンドだったWhiteberryで再現していただけに恩田快人が引き続き参加していたら「夏祭り」の1発で終わらない未来もあったかも…と思ったものだった。

とはいえここ数作はC/Wに回っていて変わらぬ魅力はあってもどうしてもA面にはならないTAKUYAの陰に完全に隠れて押されているどころか押し出されている印象もあった恩田曲だが、今作では再度輝きを取り戻したかのようなA面級の良メロが炸裂。タイトル通りに「ステキなうた」であり、攻めまくるTAKUYAに対してど真ん中を貫ける恩田曲は必要な存在だったと思う。2人が共存するような期間がほとんど無いままにあっという間にTAKUYAのバンドになってしまうほどとにかくTAKUYAが才能を爆発させある意味制御不能な状態になっていたと思われるが、解散に至る原因として真っ先に2人の確執(というよりオフコースにおける小田と鈴木の関係に近い感じはする)が挙げられることも多かった。ただ後年男性メンバー3人だけでトークイベントを開くなどみんな丸くなって昔の仲間としてわだかまりなく交流されているようなのでやはり当時は若かったというのとそういう激動の時期だったというのはあると思う。逆に2019年の3人のトークイベントの内容が記事になるとYUKIが再結成を拒否しているという風潮が出来上がってしまったが、リマスター再発や単に会うだけも拒否しているみたいな状態なようで、確かに『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』を最後にソニーが何も出さなくなった不自然さ誰かがリマスター再発を拒否していないと起こらない状況ではあるよな…という納得感もあった。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE

15th ミュージック ファイター

B00005G52J
98年4月1日
アルバム『POP LIFE』までは2ヶ月強とまだかなり間があったものの、シングルにしては攻めまくりな楽曲だったのがダイレクトに響いて敬遠されてしまい、初動の時点で前作から半減以上大幅ダウンの7.9万枚で初登場5位。2作連続で20万に迫りながら5位、3位だったので初登場位置は変わらず、2週目も8位に残ったものの6週ランクインに留まって前2作の初動にすら及ばない15万枚に届かない売上となった。先行するシングルの失速が響いたのか、アルバム『POP LIFE』は前作から100万人いなくなるという規模のデカさながらミリオンは突破した(115万)。

ミュージック ファイター

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
ドゥビドゥビバッパ連呼→イエ~イと同時に縦横無尽な爆音サウンド炸裂→繰り返し→浮遊感のあるサビメロ+暴れ回るバンドサウンド、というとんでもなくトリッキーな実験ナンバー。曲だけ聞いても凄いが、歌詞カードが律儀でドゥビドゥビバッパをちゃんとカタカナで一語一句漏れなく正確に記載。1番は規則的なので文字にしやすいが、2番での崩してドゥビドゥーバしているような部分も省略されずにきちんと文字で再現されている丁寧さが凄い。意味不明すぎてついていけないか、なんか逆にすげぇ!と熱狂するかの両極端になりそうな曲だが、吸収力の高い中学時代当時は割と周囲でもみんな今回の新曲なんかすげぇ!の方に傾き、この曲の不思議な魔力にハマった

『POP LIFE』では「ドュビドュバディスコフィーチャリング ウィズ サー・サイコ・セクシー」が前奏扱いで加えられており、以後の『44982 VS 1650』収録のライブ音源2曲でもセットで演奏され、この際は1トラックにまとめての収録。「ドュビドュバディスコフィーチャリング ウィズ サー・サイコ・セクシー」はタイトルの長さに反して16秒しかない謎トラックだが、『44982 VS 1650』では40秒弱まで引き延ばされて使用されている。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME、1650 EBISU GARDEN HALL)
1stベスト『FRESH
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W ミュージック ファイター(ヒヨちゃんMIX)

RE-MIXED BY 佐久間正英
リミックスバージョン。TAKUYAの才能が止まらずにリミックスにまで手を出したのかと思いきやプロデューサーの佐久間正英がリミックスでクレジットされている珍しい1曲。TAKUYAの才能に触発されたのだろうか。ランララランララの部分をフューチャーしたり、基本はリミックスっぽい加工や打ち込み音も入れているんだけどサビの部分なんかはほぼそのまま使っていたりとトラックメイカーの人がやるリミックスとは異なるが、この時期の佐久間正英のプロデュースワークの中ではかなり異色でもある不思議な仕上がり。
★★★☆☆
アルバム未収録

16th イロトリドリ ノ セカイ

98年9月9日
B00005G539
アルバム『POP LIFE』から2ヶ月ちょっとでのシングルカット。C/Wは無く、カラオケ(Backing Track)のみの2トラック仕様。初登場11位から7週ランクインで前作初動に匹敵する7.6万枚の売上。

TAKUYAのソロユニットROBOTSでのセルフカバーシングルと同時発売。ROBOTS版は初登場31位だった。

イロトリドリ ノ セカイ

作詞作曲:TAKUYA
作詞もTAKUYA単独なのは他にもあるが、シングルカットされた事により表題曲では唯一となった。シングルカットなのでヒットはしていないが、「LOVER SOUL」と並ぶバラードナンバーとしてけっこう当時からインパクトも強く、シングルカットされるだけのことはある名曲だったと思う。ソロ色が強かったのかもしれないが違和感なくJUDY AND MARYのバラード曲になってるし、むしろあまり歌がうまいとは言えないROBOTS版の方がセルフカバーの域を出ない感じというか…。

後にBank Bandがカバーしているので世代によってはむしろこっちの方が知られているかもしれない。なんだか万華鏡のようなバラードだなぁという印象もある。
★★★★☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

17th 手紙をかくよ

B00005G53S
98年11月11日
まさかの2作連続シングルカット。今回はC/Wに過去曲のリメイクを収録するも初登場22位とさらに後退した上に3週ランクインと急落、累計で2.2万枚と大不振に陥った。同時発売でビデオシングル(VHS)としても発売され、C/W含めて2曲のPVを収録。

この後のNHK紅白歌合戦には「散歩道」で出場。年明け以降は活動休止状態となった。

手紙をかくよ

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
アルバムやC/Wならばかなりの名曲といった感じのミディアムナンバーでシングルとしてのインパクトは弱め。わざわざ連続でシングルカットしなくてもな…というところはあった。当時は前作はまだもう少し存在感があったけどこっちはもう1曲なんか出てたような…くらいの記憶で一瞬で過ぎ去った感じ。

手紙をテーマにした楽曲ということで女性目線だが、2013年にYUKIが作詞を担当したTOKIO「手紙」は男性目線。別に繋がっていたりはしないと思うんだけど、両者ともしばらく離れている相手に対して手紙を書いている点は共通していてなんだか繋がりを感じた。
★★★☆☆
5thアルバム『POP LIFE
ライブアルバム『44982 VS 1650』(44982 TOKYO DOME)
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-

C/W 帰れない2人(アフリカン カジュアル ヴァージョン)

作詞:YUKI、作曲:恩田快人、編曲:TAKUYA
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』収録曲のリメイクバージョン。TAKUYAが単独でアレンジを手掛けている。原曲はアルバム最後を締めるアコースティックバラードでコポコポ鳴り続けるSEとアコースティックギターの演奏のみのアレンジだったため、今作の方が音数が多い。出だしは完全にコラージュのような雰囲気で始まり、ようやくリズムが入ってくるとなんだか民族的なリズム音でそれゆえのアフリカンと思われる。リアレンジというよりもTAKUYAによるリミックスっぽい仕上がり。

スタジオ音源はアルバム未収録のままながら、発表直後の東京ドーム公演、恵比寿ガーデンホール公演で共にこのアレンジで演奏され、ライブ途中のアクセントとして活用。それぞれの音源がライブ盤『44982 VS 1650』DISC-1,3に2回収録されているという好待遇のバージョンだったりもする。経歴も異色すぎる…。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
3rdアルバム『MIRACLE DIVING』(原曲)

18th Brand New Wave Upper Ground

B00005G4SK
00年2月23日
1999年は丸々新作リリースが無く(ライブ盤はリリース)、解散はしないと宣言していた通りに2000年年明けに活動を再開した。何故か今作だけ新レーベルSO What? Recordsでリリース(レーベル自体はEpicの内部レーベル扱い)したが今作限りですぐに消滅した。初動は久々に10万枚に乗せて初登場4位を記録するもベスト盤『FRESH』の1ヶ月前先行シングルでもあったため、2週目には11位に落ちて7週ランクイン、15万枚を突破し、「ミュージックファイター」と同程度(1万程上回る)となった。休止のタイミングではなく、あえてこの再開のタイミング初のベスト盤『FRESH』をリリースし、そちらは177.6万枚の大ヒットを記録してアルバムで2番ヒットとなるなど健在ぶりを示した。

8センチCDが一気に廃れたタイミングでのリリースとなったため今作でマキシシングルへと移行した(1999年の休止中にYUKIが結成したNina、Chara+YUKIのシングルでは既にマキシシングルへ移行)。

Brand New Wave Upper Ground

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
まさにBrand Newな感じのJUDY AND MARYらしい復帰作…なんだけど以前と同じではないどこか複雑さも感じる1曲。休止前の煌めきは無くなったかなと思うところもあり、実際当時の評判もマチマチだったように記憶している。ここからはTAKUYAが1人で突っ走りすぎて3人が1歩引いた感じになってしまって4人の総力を結集している感じがあまりしなくなってくる。またTAKUYAは自分で歌いたいタイプの人なのか、コーラス以上の存在感でコーラスを入れてきたり、時には一部単独で歌ったりする事が主導権を握ってから随所で見えてはいたが、今作でもサビの一部をガイドボーカルかよ!というくらいの存在感で絡んでくるなどちょっと前に出すぎなように思う。
★★★☆☆
1stベスト『FRESH
6thアルバム『WARP
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W Cheese“PIZZA”Large!!

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
5thシングル「Cheese “PIZZA”」のリメイク。元々のんびりした雰囲気の曲だったがスローテンポになりさらにまったりした雰囲気へ変貌。なんか聞いているだけで太りそうな気がしてくるし、ピザに引っかけてこれをLarge!!と名付けたのは秀逸だったと思う。
★★★☆☆
アルバム未収録

19th ひとつだけ

B000059O00
2000年7月5日
前作から5ヵ月ぶりでここから一気にシングルを畳みかけていく事となったが、結果的には解散へ向かって爆走していくラストスパートであった。初登場9位、5週ランクインで11万枚と前作初動を少し上回る程度となり、トップ10入りがやっと程度となった。

ひとつだけ

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
TAKUYAの作詞介入も当たり前のようになってきてここからラストシングルまでA面は全てTack and Yukky名義の作詞となった。また作曲しなくなってしまっていた恩田快人も既に脱退を申し出ていたようで…。

発売当時は割と普通に夏らしい爽快な曲という感じでそんなに強い印象は無かったんだけど(チャートもすぐ落ちちゃったし)、『WARP』のラストを飾った事で最後の曲というイメージが強くなった。発売当時にかかっているのを聞いた時と、アルバムで聞いた時でだいぶ聞こえ方が変わったが、アルバムではver.WARPとしてボーカルを再録音している。シングル時点ではまだ解散するかどうかの最終決断には至っていなかったと思われ、解散を前提にして『WARP』を制作してver.WARPをレコーディングした時とはやはり違った思いで再度歌い直したんじゃないかなと思う。ver.WARPの方がより芯が強い…ような気はする。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録
6thアルバム『WARP』(ver.WARP)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」』(表記は無いが『WARP』収録Ver.(曲終了後のインストはカット))

C/W Sugar cane train

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
マニアックというほどマニアックではないがあんまりポップでもない…という何とも言い難い難しい時期に差し掛かっていた事が伺えるロックナンバー。『WARP』はやりたい放題のアルバムだったのでその中ではだいぶ普通な方向性ではあると思うんだけど…。
★★★☆☆
6thアルバム『WARP

20th motto

B00005HQ9E
00年11月22日
初登場8位で前作初動を下回っていたが、そこから巻き返して10週ランクインで13.8万枚と前作を上回るヒットとなった。ただ2週目に19位まで落としたのは前作と変わらなかったので感覚的には同程度のヒットという感覚だったかも。

motto

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
愛をもっとォォォォ!自由をもっとォォォォ!のサビ頭のインパクトが強烈かつ狂気をはらんだ超絶楽曲。解散へ向けて暴走、爆走していくような全シングルの中でも最大級の猪突猛進な勢いはなんだかとてつもないものがあった。高校1年生当時、教室で真顔で愛をもっとォォォォ!自由をもっとォォォォ!と叫んでいたJAMのコピーバンドをやっていた女子の姿も何だか怖かった。もちろん一定の声量をキープできる条件付きではあるが真顔で歌っているだけでなんか怖い迫力が醸し出されるというところでも凄い1曲。休止明けから解散までの曲の中では最も印象深い。

PVもなんだかカオスで屋上でチアガールがバックダンサーで女王様風のYUKIが何故かムチ片手に歌っているという謎のシチュエーションだったが大幅なイメチェンを図ろうとしていたのだろうか。
★★★★☆
6thアルバム『WARP
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

C/W ガールフレンド

作詞:YUKI、作曲:TAKUYA
攻めたA面に比べると良メロを比較的ストレートに聞かせる安心感のあるポップロックナンバー。爽やかなんだけどどこか切なさのあるメロディーラインで『WARP』ではラスト手前に配置されているので終わりの気配を感じる1曲と言うイメージにもなった。
★★★☆☆
6thアルバム『WARP

21st ラッキープール

B00005HTCM
01年1月24日
2001年1月9日全国紙朝刊に全面広告を出して解散を告知。ラストシングル、アルバム、ツアーを行い最終地3月7,8日の東京ドーム2daysをもって解散する事が発表された。解散発表後最初の1作。C/Wは無し(カラオケのみ)で割高ラッキーに引っかけた777円だった。

ドラマタイアップと解散特需により、先行シングルだったにもかかわらず初登場3位から7週ランクインで18万枚まで売上を伸ばし、「ミュージックファイター」以降の全シングルの売上を上回った

ラッキープール

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
ドラマ『2001年のおとこ運』主題歌。再開以降のシングルの中ではJUDY AND MARYらしさを存分に感じさせるこれぞという1曲。比較的綺麗な印象なのはサウンドが暴れ回るというより聞かせる事に徹しているためだろうか。真冬の発売だったので冬の記憶と共にある曲なんだけど歌詞は思いっきり夏。しかし夏に聞くと(歌詞は合っているんだけど)なんだか違和感があるし、サマーソング特集みたいなのでもあまり出てこないような…。

ジャケットにはメンバーが出ているのにMVにメンバーが一切出てこないで外国人のJUDYさんとMARYさんの物語みたいになっていた辺り、もう解散してしまった後みたいでちょっと寂しかった。
★★★★☆
6thアルバム『WARP
2ndベスト『The Great Escape-COMPLETE BEST-
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

22nd PEACE-strings version-

B00005HV3I
01年3月9日
アルバム『WARP』からリメイクでのシングルカット。3月7,8日の東京ドーム2daysをもって解散した翌日に置き土産のようにリリースされた。CD+Tシャツ(三方背スリーブにCDと圧縮したTシャツが封入されたBOX仕様)の完全生産限定盤。リメイクとはいえシングルカットでは初のトップ10入りとなる初登場8位を記録するもあまり出回らなかったようで4週でチャートアウトし、7万枚の売上。

2作連続でC/Wは無く、backing track(カラオケ)のみとなった。

2月の解散前にMV集『ALL CLIPS-JAM COMPLETE VIDEO COLLECTION-』がリリースされていたが、この後も5月に解散ライブを収録したライブVHS/DVD『WARP TOUR FINAL』、リクエストベストアルバム『The Great Escape -COMPLETE BEST-』6月に今作のMVを収録したシングルVHS/DVD『PEACE』と上半期までに総まとめのようなリリースが続いた。その後9月にインディーズ時代のアルバムと映像をセットにしたCD+DVD『1992 JUDY AND MARY-BE AMBITIOUS + It’s A Gaudy It’s A Gross-』がリリースされた。

以後は動きがほとんどなく、2003年に『ALL CLIPS-JAM COMPLETE VIDEO COLLECTION-』『WARP TOUR FINAL』の2作のDVDをトールケース化して再発。2006年にメンバー公認&TAKUYA監修のリマスターも施した『COMPLETE BEST ALBUM「FRESH」』がリリースされ、2009年には15周年を記念したシングルBOX『15th Anniversary Complete Single Box』がリリースされ、トリビュートアルバム『JUDY AND MARY 15th Anniversary Tribute Album』がリリースされるなど動きがあり、再結成が相次ぐ流れもあって再結成を求める声も高まったが、新規での作品はこれを最後に発売されていない。20周年や25周年ではリマスター企画等も無かったが、2019年に男性メンバー3人のトークイベントソニーにリマスター再発の話を持ち掛けているがYUKIが拒否しているらしい事や会ってすらもらえない現状が明かされて話題になった(記事では3人は再結成したがっている3人に対してYUKIが拒絶しているみたいな書き方になっていたが再結成はそこまで望んでなくてただ会ってすらもらえないのと再発すら拒否している方がメインだと思う)。サブスクも特に解禁発表もなくぬるっといつの間にか全シングル、アルバムが問題なく配信されている。

PEACE-strings version-

作詞:Tack and Yukky、作曲:TAKUYA
アルバム『WARP』収録曲のストリングスアレンジバージョン。原曲はピアノの演奏を生かしつつバンド感はあまりない異色の曲で既にTAKUYA feat.YUKIみたいな曲だな…という印象だったが、ストリングスを入れた事でますますTAKUYAのソロ曲にメンバーがゲスト参加したような異色っぷりが…。TAKUYAがデカいコーラスや部分的なソロボーカルに留まらずについに2番ではメインボーカルを歌い始めてしまい完全にYUKIとのツインボール体制となったが、当然YUKIのキーに合わせているのでカッコつけた低音地声なTAKUYAのボーカルはねっと~りとしていてどうにもビミョー…。不仲感バリバリで解散しただけに最後に「PEACE」っていうのをやりたかったのかなんなのか…。

MVでは外ロケに始まり、2番以降はスタジオで歌うTAKUYAの姿に切り替わり(2番はTAKUYAメインボーカルなので…)、奥でドラムを演奏する五十嵐(ドラムだけ部屋が別なのでかなり遠いけど…)、近くでベースを演奏する恩田、そしてストリングス隊、最後は涙を見せるYUKIの姿も映し出され、バンド最後の姿、最後のメッセージっぽさは割と伝わるようになっている。
★★☆☆☆
6thアルバム『WARP』(原曲「PEACE」)
3rdベスト『COMPLETE BEST ALBUM 「FRESH」

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