TUBE 35年で61シングル回顧+1~1985-1989~

スポンサーリンク

TUBE 35周年シングル回顧+1~1985-1989~

ビーイング系のグループながら外部のCBSソニーからデビューしたTUBE。当時はまだビーイングも大きなヒットは無く、現事務所ぐあんばーる社長菅原潤一によれば長戸大幸はCBSソニーにTUBE(当時はパイプライン)の資料を送ったが返事が無いと困っており、菅原潤一がCBSソニーとコンタクトを取って埋もれていた資料を発掘させてデビューさせるのかどうなのか話を進めさせたとされる。

1985年6月1日The TUBEとしてデビュー。当時はTheがついていたが「シーズン・イン・ザ・サン」発売を前にして姓名判断師の助言によりTheを削除したところ見事ヒット。姓名判断の人すげぇ!というより「シーズン・イン・ザ・サン」が売れるべくヒットチューンだったという方が正しそうだが…。メンバーは特に夏や湘南に強いこだわりがあったわけではなかったようだが、ビーイングの戦略により夏のイメージを強調した作品をデビュー当初から発表し続けた。

ただし80年代は夏だけではなく通年営業をしていた。それどころか年間2枚のアルバムを制作し、前田・春畑は各自ソロ作品、87年からは渚のオールスターズの活動も並行して行うという激務っぷりだった。

デビュー当初から自作もしていたが、C/Wやアルバム曲に採用される程度で、シングルとして世に出てヒットしていったのはどれも提供楽曲。主に織田哲郎作品になると目立ってヒットしていた。9thシングル『SUMMER CITY』で初めて前田の作詞作曲がシングル化されると、9thアルバム『SUMMER CITY』で初の全曲メンバー作となり(編曲はまだ)、続くシングル『Stories』でついに”作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE”という基本スタイルへ到達した。

80年代TUBEは初のベストアルバム『TUBEst』で締めくくられ、そこまで冬のオリジナルアルバム発売だったタイミングで代わりに発売され、以後冬の活動は無くなり夏に特化していった。

※2015年執筆、2020年全面修正+連載時は無かったアルバム曲を新規で少し追加

1st ベストセラー・サマー

B00FJVKPXW
85年6月1日
作詞:三浦徳子、作曲:鈴木キサブロー、編曲:武部聡志・鈴木キサブロー
Re-newed編曲:小野塚晃

(チャーン、チャーン、チャッチャラチャラッチャー)ベッセラサマー(どぅっどぅ~るどぅっどぅ~る)♪という冒頭部分に後追いのリスナーが誰だコレ!?と思う事間違いなしの今となっては謎すぎるデビュー作。チェッカーズなど職業作家提供のバンドがトレンドだったという時代背景もあってか、外部の職業作家による提供曲。1stアルバムはビーイング内部の作家で制作しているのに肝心のデビューシングルを外注したというのはその方が確実という判断だったのか、こういうトレンドだったのでシングル曲だけはソニーに逆らえなかったのか。

妙にエロティックなノリはインパクトはあるが、1stアルバム内でさえも何だか浮いている。初期はこういう方向性でしたというのではなく、これ(と次のシングル)だけ違う方向を向いているといった感じ。それでも当時は一応それなりに狙い通りにいった感じではあったらしく、トップ10入りは逃したものの10万枚を越えるヒットを記録。それなりに華々しいデビューではあったようだ。

大胆にリメイクされたRe-newedは変貌っぷりが凄いが妖しげでアダルティな雰囲気は案外合っているかもしれない。
★★★☆☆
1stアルバム『HEART OF SUMMER
1stベスト『TUBEst
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)
32ndアルバム『SUMMER ADDICTION』アナログ盤のみ追加収録(Acoustic Version)
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

セイリング・ラヴ

B0000A12DI
85年7月1日
作詞:長戸秀介・織田哲郎、作曲:織田哲郎、編曲:長戸大幸
1stアルバム『HEART OF SUMMER』の1曲目。今からシングル盤を最初に聞く人はいないと思われるので最古のアルバムである今作が時系列では最初となるわけだけどその1曲目なのでTUBE始まりの1曲というイメージがある。シングルこそ外部作家の曲だったが、アルバムは当時のビーイング社内の制作陣中心にメンバーも含めてOKが出れば採用というスタンスだったようで、今作も早速織田哲郎の楽曲。新曲ではなく1980年に織田哲郎としてはWHYに続くプロデビュー2作目で織田哲郎&9th IMAGE名義でリリースされた唯一のアルバム『DAY&NIGHT』収録曲「Sparking Love-胸につのる想い-」を改題リアレンジしたもの(編曲が織田哲郎だったのが長戸大幸になった)。

書き下ろしではないが、既に「シーズン・イン・ザ・サン」に通じていく爽やかな雰囲気は全開で、後追いで聞けば1st2ndシングルよりも今作の方がTUBEのデビュー曲っぽく聞こえるくらい「シーズン・イン・ザ・サン」に綺麗に繋がっていくような作風だ。声の若さもあって非常に初々しさも漂う。そういう意味では長戸大幸プロデューサーの中でTUBEの夏バンドイメージは当初から割とハッキリしていたのかもしれない。
★★★☆☆
1stアルバム『HEART OF SUMMER

2nd センチメンタルに首ったけ

B01LY0BFNE
85年10月21日
作詞:三浦徳子、作曲:鈴木キサブロー、編曲:長戸大幸
前作と同じ外部提供に今度はプロデューサー長戸大幸自らが編曲を担当。基本は前作の2番煎じ路線。センチメンタルくびったけぇぇぇ~~~(どぅっどぅ~るどぅっどぅ~る)♪というサビ終わりにインパクトが集約されている。ていうかどぅっどぅ~るどぅっどぅ~るなリズムが前作とほとんど同じじゃないか…。前作とクオリティ面でもインパクト面でも大きな差を感じないが、2番煎じは無かったらしく、大コケ。トップ50にすら入れないTUBE史上最低売上となってしまった。デビュー作が売れたのでまとわりついてきていた大人たちもみんな去って行ってしまったそうで、続く2ndアルバムも低迷、デビュー1年で天国から地獄状態となり、メンバーもスタッフも早くも危機感を抱いたという話も伝えられている。ただまとわりついていた大人たちがいなくなったことで誰が本当の信頼できるスタッフなのか改めて分かったともメンバー談。

『OFF SHORE DREAMIN’』収録時は冒頭40秒ほどが波音SEになっているので厳密には無表記のアルバムバージョンだが演奏自体はたぶん同じもの。売れなかったとはいえ扱いはよく、30周年でベスト盤にしっかり選曲されたほか、2017年11月にさいたまスーパーアリーナで行われた「TUBE LIVE AROUND 2017 ”Unknown 4” ~冬でもアリ!?ーナ~」ではマニアックなセットリストの中でふいに披露された。
★★★☆☆
2ndアルバム『OFF SHORE DREAMIN’』(OP波音追加)
1stベスト『TUBEst
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

ス・テ・キ・な サタデーナイト

B0000A12DJ
85年12月1日
作詞作曲:織田哲郎、編曲:長戸大幸
織田哲郎&9th IMAGE『DAY&NIGHT』収録曲「土曜日の夜」の改題リアレンジ楽曲。2ndアルバムでも引き続き織田哲郎のカバーが収録された。かなり陽気でポップなノリの楽曲で印象に残りやすい。渚のオールスターズでもセルフカバーされ『渚のカセットVol.1』では織田哲郎と前田亘輝のデュエットバージョンを聞くことができる。ただ渚のオールスターズでは何故か「ステキなサタデーナイト」と表記されたり、「ス・テ・キ・な サタデーナイト」だったり表記がブレまくっていて“・”をつけるのかつけないのかハッキリさせてほしい。
★★★☆☆
2ndアルバム『OFF SHORE DREAMIN’

3rd シーズン・イン・ザ・サン

B00HCGKMJO
86年4月21日
作詞:亜蘭知子、作編曲:織田哲郎
The TUBEからTUBEに改名。これまで織田作品はカバーばかりだったがここで織田哲郎がTUBEのために書き下ろした渾身の楽曲をA面投入。既にアルバムではこの路線が標準だったように思うが、前2シングルとはガラッと方向性が変わったさわやかポップなサマーソングで見事に大ブレイク。ヒットメイカー織田哲郎としても初の大ヒットだった。

90年代とは市場規模が異なっていたため、単純な売上では90年代ピーク時の作品群に及ばず、また00年頃まではヒット曲を生み出し続けていたため、あくまで初期のヒット曲/ブレイク作であってそこまで絶対的な存在には感じなかったのを記憶している。サザンでいえば「いとしのエリー」、ミスチルで言えば「CROSS ROAD」くらいのポジションみたいな。ヒット当時を知る年配リスナーにとってはずっと最大の代表曲といった印象だったんだろうけど…。00年代以降世間に知られたヒット曲が無くなってくるととりあえず懐古系の番組に出てきたらまずはこれか「あー夏休み」みたいな扱いになっていき、いつの間にかTUBE最大の代表曲(むしろ現在ではこの2つを筆頭にして他にもいくつかある程度しか知られてない勢い)として90年代の一連のヒット曲をぶち抜いて扱われるようになっていた、といった印象。

個人的に『TUBEst』を手に取った段階で知っていた曲はこれ1曲だけだった。CDより先に90年代のTVで耳に入っており、なんかもっとダイナミックな曲だと思っていたのに、CDで聞いたらパーカッションとサックスの音とボーカルが最前面でバンドの音が遥か後方でなんともおとなしかったので驚いた。けっこうバンド感の薄い曲だったんだなと…。

『TUBEstⅢ』に収録されたRe-mix織田哲郎自らリミックスを担当。リミックスといっても明らかにボーカルが今(00年当時)の声に再レコーディングされているほか、原曲ではほとんど聞こえなかったギターがリズミカルに前面で鳴っていて遠かったバンド演奏をだいぶ前に持ってきたようなかなり大きく変えたリミックスといえる。個人的にこっちの方が最初に持っていたイメージに近くて好感触。

『渚のカセットVol.2』では織田哲郎による単独ボーカルバージョンを聞くことができる。正統派の織田哲郎セルフカバーバージョンはまさにこちらで、06年に織田哲郎が『MELODIES』でカバーしたバージョンは強盗に喉をやられた後、復帰したばかりの頃で今よりも声がまだ出ていない時期だったのでかなり渋くて暗い仕上がり。

2015年の『Your TUBE』企画で冬の女王広瀬香美がTUBEに夏曲「おかげサマー」を提供した事が話題になったが、実は広瀬香美は全盛期の97年真夏に1stカバーアルバム『Thousands of Covers Disc1』をリリースし、TUBE、サザンオールスターズ、山下達郎と夏男たちのカバーを一挙収録した事がある。そのアルバム1曲目を飾ったのが「シーズン・イン・ザ・サン」であった。現在のハイパー弾き語りYouTuber広瀬香美ほどはじけてはいないがそれでも元々がイケイケな人だったので97年当時でもなかなかハイテンションなカバーで一聴の価値があると思う。
★★★★☆
3rdアルバム『THE SEASON IN THE SUN
1stベスト『TUBEst
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-mix Version)
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

4th BECAUSE I LOVE YOU

B00C267EC2
86年9月5日
作詞:亜蘭知子、作曲:長戸大幸・西村麻聡、編曲:長戸大幸
プロデューサー長戸大幸が自ら作曲にまで関与したミディアムナンバー。90年代以降は作詞作曲編曲に名前を出すことは無くなったのであまり知られていないが元々は長戸大幸も作家であった。恐らく当時の長戸大幸は純粋な音楽好きであり、優秀な作家が集まってきたので自らが書くよりも自分より才能のある作家たちに任せて自分はプロデュースに徹して判断を下していこうと考えたのかなと最近思っている。実際悪くは無い曲ではあるが、何か違うというか歌謡曲的な雰囲気なども含めて織田哲郎や栗林誠一郎の洗練された感じに比べるとどこかこれをメインでやってたらすぐに時代に置いてかれていただろうなという感じもある。

タイトルを連呼するサビは昔のコーラスグループみたいだが、過ぎゆく夏の侘しさのようなものを感じられ、夏の終わりに聞くとけっこうしんみりするナンバー。ヒット曲に挟まれた地味曲みたいなポジションになってしまい、30周年ベストにもスルーされて王道からは逸れるもののふいに聞きたくなる曲。
★★★☆☆
4thアルバム『BOYS ON THE BEACH
1stベスト『TUBEst

BOYS ON THE BEACH

B0000A12DL
86年12月1日
作詞:亜蘭知子、作編曲:織田哲郎
4thアルバム『BOYS ON THE BEACH』1曲目。「シーズン・イン・ザ・サン」の制作陣によるサックスを生かした爽やかポップナンバー。描かれている夏は”永遠の夏”だったり”終わらない夏”を思うという冬発売らしい違う季節に思う夏路線。10代から大人へなっていく心情を歌っているので振り返る夏は去りゆく少年時代の夏でもある。若き日の必死にもがいていた時代のメンバーだからこそ響くところもある。
★★★☆☆
4thアルバム『BOYS ON THE BEACH

BOYS ON THE BEACH
TUBE
1986/12/01 ¥255

5th SUMMER DREAM


87年4月10日
作詞:亜蘭知子、作編曲:織田哲郎
Re-newed編曲:吉川忠英

「シーズン・イン・ザ・サン」と同じ制作陣で前年に続くヒットを着実に狙いに行ったさわやかサマーポップ。よりポップに明るく磨き上げたような爽やかさがたまらない。目論見通りにヒットし、80年代の代表曲の1つとなった。冒頭にある“渚のカセット”という歌詞から当時の制作陣が集結した渚のオールスターズへとつながっていった。渚のオールスターズ『渚のカセットVol.1』では前田亘輝・亜蘭知子・織田哲郎という作家陣が全員集合した3人ボーカルを聞ける。ただ亜蘭知子に合わせるのもあってか歌うごとにキーが上がっていき、織田哲郎の登場時にはかなりヤバいキーになっていて当時の織田哲郎ですら他で聞けないような限界ギリギリの高音で歌わされる(最後の”抱きしめたい”はさすがに裏声)という何の罰ゲームなのか分からない状態になっていてカオス。『SONGS』での織田哲郎カバーでは自然なキーで歌う織田哲郎バージョンを聞ける。

しかし年間2枚のアルバムを制作しながら前田・春畑のソロ活動を開始し、さらに渚のオールスターズも始動させるとか、いくらなんでもそこらのブラック企業も優しく見えるほどの激務。働かせすぎだったんじゃないかと今更ながら思う。
★★★★☆
5thアルバム『Summer Dream
1stベスト『TUBEst
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

SA・YO・NA・RA…

B0000A12DM
作詞:亜蘭知子、作編曲:織田哲郎
5thアルバム『SUMMER DREAM』の1曲目。静かに始まり徐々に開けていくように広がっていく曲構成、聞かせるメロディー、サックスを生かしつつ爽やかなアレンジ…と「シーズン・イン・ザ・サン」から始まったド王道のTUBE×織田哲郎による期待を裏切らない路線。「シーズン・イン・ザ・サン」「SUMMER DREAM」をいいと思ったなら絶対に外さない1曲だと思う。織田哲郎によるアルバム1曲目というパターンは今作が最後で、最多にして最も深く関与した『Beach Time』でも1曲目に織田曲は持ってきていない。同じ方法論で繰り返すのはここで打ち止めにしたという事かも。
★★★☆☆
5thアルバム『Summer Dream

SA・YO・NA・RA…
TUBE
1987/05/21 ¥255

6th ダンス・ウィズ・ユー

B00FJVKR9Y
87年8月26日
作詞:亜蘭知子、作曲:栗林誠一郎、編曲:長戸大幸
前年のアルバム『Summer Dream』で作家デビューしていた栗林誠一郎が表題曲採用。これまたヒット作に挟まれた方向性の異なる曲…といったポジションになってしまっている曲で比較的80年代歌謡曲っぽい。後年のZARDにおいて織田哲郎に続く2番手のような扱いをされていた栗林誠一郎だが、その流れは既に始まっていたような気がしなくもない。ただ「BECAUSE I LOVE YOU」のような歌謡寄りよりは洗練されていて作家として90年代に重宝されるようになる才能の片鱗は存分に感じられる1曲だ。黒いジャケットも異色だが、30周年ベストでは何故かユニーク枠に回された。確かに他にあまり見当たらない曲調だけどユニークかこれ…?

今作まではレコード/カセットでのリリース。89年に8センチCD化された際はA面を2曲ずつ両A面スタイルで収録して3枚でまとめられてしまった。これによりアルバムに収録されていなかったC/Wはアルバム未収録以前に未CD化で取り残された。いい加減BOXとか出してほしいが出したら出したで5万じゃ済まないくらいの高額膨大な内容になりそうだしなぁ…。
★★★☆☆
6thアルバム『Twilight Swim
1stベスト『TUBEst
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

7th Beach Time

B00FJVKRT4
88年4月30日
作詞:亜蘭知子、作編曲:織田哲郎
織田哲郎最後のシングル提供作。期待通りのさわやか路線でTUBE=夏を完全確立。「シーズン・イン・ザ・サン」→「SUMMER DREAM」→今作と続けて聞くとどんどんバンド感を出すようになってロック色が強まっていくのが良く分かる。今作はエレキギターも鳴り響き、これまでに比べるとロックバンド感と爽快さがより前面に出ているように思う。80年代の3番手ヒットシングルという感じで、そんなに毎回TV披露されてはいなかったが30周年頃からはTV出演時に複数曲メドレーで披露される際に割と登場しやすい1曲になっている(というか異様に「あー夏休み」以外の90年代ヒットが冷遇されるように…)。2020年のTBS「音楽の日」でも「シーズン・イン・ザ・サン」「いただきSummer」と続けて披露された(2020年「あー夏休み」という状況ではないのと海岸の特設ステージだったので「Beach Time」というまんまな理由もあったと思う)。

ここまで織田哲郎作品が3作綺麗に大ヒットし、合間の他の作家のシングルがあまりヒットしない(夏でもない)という事から本格的に夏バンドのイメージが定着すると同時にさあどうする?織田哲郎の3作を越えるヒットを今後生み出せるのか?という戦いも始まった。

今作以降レコード/カセットだけでなく8センチCDでもリリースされるようになったがここからのレコード消滅までは早かった。
★★★★☆
7thアルバム『Beach Time
1stベスト『TUBEst
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

Hot Night

作詞作曲:織田哲郎、編曲:春畑道哉
アルバム『Beach Time』4曲目同時発売織田哲郎のアルバム『Season』収録曲「HOT NIGHT!」のカバー。本人とカバーが同時発売となったが、TUBEの方がダントツでヒットしてライブ定番曲として人気ナンバーとなった事で最早TUBEの曲としてしか知られていないような勢い。恐らくファンでも織田哲郎バージョンが同時発売だった事を知らずにいつも通りに提供か、知ってても後でセルフカバーしたと思っている人も多いかも。なお織田哲郎バージョンには前田亘輝がスペシャルゲスト扱いで参加していて織田哲郎や葉山たけしらと一緒にホッホッナイ♪している。また渚のオールスターズ『渚のカセットVol.3』では両バージョンとも表記が異なる「HOT NIGHT」として正式に織田・前田のデュエットとしてセルフカバーされている。

ついでに2020年のMIX CD『35年で35曲“涙と汗”~涙は心の汗だから~』に選曲はされていないが1曲目の「-花火-」冒頭に本来のサビメロとは微妙に音程を外したホッホッホッ!ホッナァ~イ♪という謎の連呼が切り貼りされている。これはどうやら渚のオールスターズバージョンの間奏とアウトロで連呼されているホッホッホッ!ホッナァ~イ♪のみを切り取って貼り付けて後半には新たなリズムトラックを追加したものと思われる。渚のオールスターズでは終始演奏が入っているので声だけ引っこ抜くのは至難でありラックメイカーではないDJ和がそんな手の込んだ作業を行ったとは思えない。奮闘して渚のオールスターズバージョンからボーカル音声だけを抽出してトラックメイクをするという手間をかけたのか、TUBE側のエンジニアがミックス前の段階の音源に遡ってボーカルトラックだけ取り出して新たなリズムを加えた新規トラックをささっと用意してDJ和は渡されたその素材を冒頭に張り付けただけなのかは不明。これまでの氏の芸風を考えるとたぶん後者だとは思うが…。

シングル以外で『BEST of TUBEst~All Time Best~』に選曲された曲としては最古の楽曲。80年代のアルバム曲では1番有名な曲だと思うけど文字通りにホットな楽曲なのでこれはライブで熱い人気ナンバーになったというのもうなずける。
★★★☆☆
7thアルバム『Beach Time
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

8th Remember Me

B00005GB1J
88年12月1日
作詞:前田亘輝、作曲:栗林誠一郎、編曲:明石昌夫
前田亘輝の作詞が初めてA面に起用された初の自作詞シングル。壮大なバラード。アルバムではあったが、シングルにおけるバラードのTUBEとしては最古の代表曲。名曲ではあるけど派手なのでそうお気軽に何度も聞く気分にもなれず長らくあまり好きになれなかったんだけど、徐々に印象が上がっていった。12月発売だがやはり夏よりも誰もいない冬の海岸を見ながら聞くと1番ハマるんじゃないかと思う。

アルバム『Remember Me』では表記は無いが微妙に歌い回しが異なるアルバムバージョン、94年の『Melodies&Memories』ではTUBEの編曲で再録音されストリングス隊により壮大さが増し、00年の32nd「Truth of Time」C/Wでは英語詞バージョンとしても再録音されている(ハワイ限定で発売したシングルでもある)。と、バージョン違いが地味に多い。その都度歌い方も変わっているが、アレンジの変更自体はそんなにされていなくて大枠の印象はどのバージョンも割と同じだったりもする。
★★★☆☆
8thアルバム『Remember Me』(ボーカルが違う)
1stベスト『TUBEst
1stバラードベスト『Melodies&Memories』(新録音)
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~
32ndシングル『Truth of Time』C/W(English Version)

Keeping The Face

B0000A12DP
88年12月21日
作詞:前田亘輝、作編曲:春畑道哉
アルバム『Remember Me』5曲目。後追いだとあまり分からないが、このアルバム制作時ベースの角野は同乗者の恋人が死亡する交通事故を起こして活動を自粛していた。ライブのベースは栗林誠一郎が代役をしていたとされているが、CDではメンバークレジット表記をせず、サポート演奏もベースを誰が弾いているかは表記しない方針を取っていた。このアルバムではメンバー写真も無く、わたせせいぞうによるイラストで構成されているが、このイラストが現状と未来を示唆していて、ジャケットの冬の海のイラストでは椅子が4つあるのに1つ空席になっており、男性3人(サーフボードも3つ)。ブックレット内のイラストでも男性3人のイラストが2枚あるが、ブックレット内の最後のイラストは4人になっている。そしてブックレット裏のイラストはジャケットと場所は同じながら季節や天候や時間が変わっており(来夏?)、サーフボードを掲げた3人に向かって手前からサーフボードを掲げた4人目の男性がやってくるといった来夏の角野復帰を暗示するようなイラストになっていた。

そして楽曲面で状況が反映されているのがまさにこの曲で基本的には単なる応援歌のような言葉が並んでいるものの、曲終盤に出てくる”あせることないぜ””君のかわりは””誰にもできないから”といったフレーズから休養中の角野に捧げた曲と思われる。こういったメンバー4人の絆を感じさせる部分と、90年代前田の得意路線の1つとなった聞き手を熱く鼓舞する負けるなソング、いよいよメイン作家として開花前夜のような春畑道哉のグッドメロディーも合わさって90年代へと繋がっていく重要な曲のようだ。『BEST of TUBEst~All Time Best~』でも80年代はアルバム9枚に対して2曲しか選曲してない中の1曲として選曲されていて「Hot Night」に続く2番目に古い曲となっている。
★★★☆☆
8thアルバム『Remember Me
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

9th SUMMER CITY

B00005GB27
89年6月1日
作詞作曲:前田亘輝、編曲:和泉一弥
Re-newed編曲:島英二

作詞のみだった前作から今度は作曲も前田亘輝の楽曲が採用された初の自作曲シングル。アルバムでも一気に全曲自作になったがアレンジはまだ参加したりしてなかったりで今作もバンドではなく和泉一弥になっている。偉大なミュージシャン織田哲郎に必死に追いつこうとしていたという当時のメンバーにとって自作への移行は大きな目標であり踏み切ったのは大きな転機、第2のデビューだったと思われるが、02年の本「終わらない旅」での前田曰く「織田ワールドのTUBE版」という、織田哲郎のヒットナンバーを踏襲したようなサマーポップナンバー。織田哲郎の3シングルよりも陽気さが前に出ていて海というよりそのまま“80年代の都会”っぽいイメージ。海のイメージで3ヒット織田シングルに被せていかずにCITYにしている辺りに工夫が見える。ただちょっと軽い印象が先に立ってしまい、十分にいい曲ながら織田哲郎一連のヒット曲を超えるまではもう少し行かなかった感じか。『TUBEstⅢ』のリメイクには選ばれた事があるが、『TUBEst』の10作のシングルのうち「BECAUSE I LOVE YOU」と共に『BEST of TUBEst~All Time Best~』に外されてしまった2曲のうちの1曲となった。初の自作シングル、これが実質デビュー作と考えれば十分にTUBEらしいし、いい曲だとも思うのだが…。

この9枚目までシングル枚数=オリジナルアルバム枚数っていうのが地味に凄い。また早くもEP(レコード)でも発売されたのは今作が最後となった。
★★★☆☆
9thアルバム『SUMMER CITY
1stベスト『TUBEst
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)

10th Stories

B00005G3J7
89年12月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:チューブ
作詞の初起用、作曲の初起用に続いて今作では編曲もTUBE名義(『TUBEst』収録時はチューブ表記)。作詞が前田、作曲が春畑、編曲TUBEという90年以降の基本編成でリリースされた初の完全自作シングル。ベスト盤の先行シングルだったのでオリジナルアルバム未収録。バラード調でさらっと始まるが、サビになると良メロさわやかポップスに変貌する。曲の始まりがかなり印象薄いというかさらっと音が鳴って静かに歌い始めるのでイントロが弱すぎる気はするが、その分サビの伸びやかさが気持ちいい。

それまでボツ喰らいまくっていた春畑が初めて誉められてA面に採用されたというだけの事はあり、サビのメロディーは特に気合入っていると思う。春畑道哉も思い出深い曲としてインタビューでよく挙げている。ここまでの春畑は曲を書いていなかったわけではなくそれまで散々ボツ喰らいまくってきて自分の曲の良さが分からないなんてと憤慨することもあったという。しかし次のシングルはこれで行こうと長戸大幸に認められてシングルに採用された事、これからは春畑がどんどん曲を書けと言われた事は大きな出来事だったようだ。言葉通り、作曲家としての春畑道哉はこれ以降開花してほぼ1人で作曲を担当し続けて数々のヒット曲を生み出し、ZARDへの提供でも採用された。長戸大幸氏の判断基準は絶対的すぎて恐らくそこまでは色々思うところもあったとは思うんだけどその反骨精神が実を結んだともいえるし、当時の長戸大幸のプロデュースワークと育成術が大当たりした一例だと思う(GIZA以降は…)

『Melodies&Memories』での新録音ではアレンジを落ち着いたアコースティック調にガラッと変えていて印象がかなり異なる。

今作から8センチCDに完全移行したが、CD対応のカーステレオのCMタイアップだった…というのも時代を反映している。そして近年はカーステレオにCDプレイヤーがつかなくなってきているという。2019年購入のマイカーにはデフォでついていたが、確かにウォークマンのBluetooth接続とラジオメインでCD再生はほとんどしていない(だってカーステレオってニュイーンと差し込むからこのニュイーンの動作で盤面に傷がつきやすいんだもん)
★★★★☆
1stベスト『TUBEst
1stバラードベスト『Melodies&Memories』(新録音)
4thベスト『BEST of TUBEst~All Time Best~

コメント

タイトルとURLをコピーしました