1stSg このまま君だけを奪い去りたい

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1stSg このまま君だけを奪い去りたい

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1993年3月10日
全てはここから始まった奇跡のデビュー作。曲とCMタイアップが決まっていたがシンガーが決まっていなかった「このまま君だけを奪い去りたい」を当時ソロデビュー予定で準備をしていて長戸大幸の運転手もしていた池森秀一に試しでいいからと歌わせてみたところ採用が決定。池森秀一ソロで準備していた方向性とは異なる事から急遽バンド結成をすることになり、DEENだ!と言われDEENの意味も聞かずに(池森談)DEENとなった。アマチュア時代には古井弘人と共にバンドを組んでボーカルをしていた山根公路にキーボードコーラスとしての参加打診があり、ひとまず2人で先行見切り発車でデビューさせたというのが今作だったようだ。

近年長戸大幸が自身のラジオで色々明かしており、今作に関して池森が語っている事以上の裏話も明かしている。それによると作詞をしているのが上杉昇でそのままWANDSの曲として準備していて「時の扉」との両A面を考えていたが、タイアップ先から両A面はNGと言われたので急遽別のボーカリストを探すことになったという。WANDSバージョンが1ヶ月後のアルバム『時の扉』に即収録されたのは元々WANDSの曲として準備していたためか。

今作のジャケットは池森秀一・山根公路の2人のみ、裏ジャケは池森単独となっていた。しかし当時バンド形式の方がイメージがいいという理由から4人組バンドという構想は長戸大幸の中にあったようでCD発売後にすぐにギターとドラムのメンバーも決め、彼ら2人を裏ジャケットに差し替えた。この2人は仲居辰磨(Guitar)倉澤圭介(Drums)とされるが、表記はされていない。

音源の差し替えは特に行っていないようでCDのロット番号は2つとも同じものだった。なお池森ジャケットだけで厳密には3種あると言われており、スタッフクレジットにSpecial Thanksで神林一夫(現事務所グッデイ代表)の名前が記載されたもの、さらにドコモなどの企業名も加わった上に中島正雄、渡部良のクレジットが追加されたものがある模様。

初登場16位だったが2週目に9位に浮上、5位→3位→2位と駆け上がった。この2位だった時に1位だったのは1万枚に満たない僅差でB’zだった。翌週も2位となったが今度はWANDSが1位、翌週3位の時はWANDSとZARDが、さらに翌週4位の時はさらに大黒摩季が…と最高2位止まりで1位を阻んだのは常に先輩勢であった。最終的に129万枚の最大のヒットを記録した。

このまま君だけを奪い去りたい

作詞:上杉昇 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし
奇跡のような始まりにして、この後も奇跡を起こし続けるボーカリスト池森秀一、DEENの始まりである重要な1曲。さすがに聞き飽きた…となるくらいライブで同じような場面で毎回演奏されるし、正直なところメンバーが言うほどこの曲で出会ってずっとファンを続けているみたいな最初期からのファンは残っておらず、もう少し後追いで聞き始めたファンの方が残っているんじゃないかとは思う。それでもやはり重要な1曲である事に違いはない。名曲

ベーシストが正規メンバーにいた事が無く生音重視になったAOR期でもまだベースだけ打ち込みで済ませる事も多かったDEENだが、今作の打ち込みベースは改めて聞くとかなり時代性が強い。どういうわけか無駄にミョーンミョーンミョーンというかビョビョーンビョビョーンビョビョーンというとにかく妙にミョンミョンビョンビョンしているので1度気にするとちょっと気になって仕方ない。

1番は試しで歌ってみろと言われて歌った時のテイクがそのまま使用されていた事が後年明かされている。改めてCDリリースに向けてフルサイズでレコーディングした際に歌い直したが上手すぎてダメだ最初のテイクの方がいいと判断されてそうなったらしい。初々しいボーカルだなとは思っていたが最初の試しテイクだったとは…。

ライブではキー下げ以降歌いにくそうでその日1番微妙な出来である事が多く、あまり良い思い出がなかったりもする。『ALL TIME LIVE BEST』に収録されている1999年の横浜アリーナは全盛期の最高の出来として、2008年武道館でのAcoustic Versionこそ感慨深かったものの、ほぼ毎回ズレたり苦しそうだったりしていたからなぁ…。直前の「うたコン」生放送では過去最低クラスに声が全く出ていない状態からの25周年武道館での原曲キー復活&田川伸治最終演奏曲として披露された時は感動的だった。以後も洗練されていき、現在は安定感抜群になっているなんて想像できなかった。
★★★★☆
1stアルバム『DEEN
1stベスト『SINGLES+1
1stクラシックスシングル『Classics One WHITE Christmas time』(Acoustic Version)
2nd(1stバラード)ベスト『Ballads in Blue The greatest hits of DEEN
3rd(セルフカバー)ベスト『The Best キセキ』(31stSg/キセキ Version)
4th(クラシックス)ベスト『The Best クラシックス』(Acoustic Version)
5thベスト『PERFECT SINGLES+
1stライブアルバム『DEEN at 武道館~15th Anniversary Greatest Singles Live~』(Live/2008年日本武道館)
2ndライブアルバム『ALL TIME LIVE BEST』(Live/1999年横浜アリーナ)
12thアルバム初回特典2ndバラードベスト『Ballads in BlueⅡ~The greatest hits of DEEN~』(31stSg/キセキ Version)
13thアルバム『マリアージュ』DISC-2『Triangle Cover Album』(Triangle Cover Version)
6thベスト『DEENAGE MEMORY
6thベスト『DEENAGE MEMORY』(31stSg/キセキ Version)
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~
7thベスト『DEEN The Best FOREVER ~Complete Singles+~』(31stSg/キセキ Version)
8th(ラブソングセルフカバー)ベスト『Ballads in Love The greatest love songs of DEEN』(Ballads in Love Ver.)
8th(ラブソングセルフカバー)ベスト初回盤DISC-2『Premium Instrumental Album』(featuring ダイスケ)(Instrumental)
20thアルバム初回生産限定盤のみDISC-2『DEEN WINTER SONG PLAYLIST mixed by ☆Taku Takahashi (m-flo)』(31st/Sgキセキ Version)
9thベスト『DEEN The Best DX~Basic to Respect~』(Studio Live 30th Ver.)

全音源/映像解説

発売30周年記念『このまま君だけを奪い去りたい』~Take away completely~
発売30周年記念『このまま君だけを奪い去りたい』~Take away completely~ 2014年Complete Sorasanaide、2016年Always Not Alone、2018年Many Times Negattayo

C/W DREAMIN’

作詞作曲:池森秀一、編曲:大島康祐
1992年12月2日発売のコンピ盤『ウーマンドリーム オリジナルサウンドトラック』にソロデビュー予定の新人シンガー池森秀一の紹介と共に収録されていた楽曲。ソウルシンガーとしてデビュー予定だった事が書かれており、デビューに向けて曲作りも進めていたとされる。結果的にこの時のソロ名義で世に出た唯一の1曲となった。

急遽デビューが決まり、当時大島康祐をメインアレンジャーに迎えて制作を進めていた池森ソロ曲を手直ししてC/Wとして発表していくことになった。この後のC/Wではアレンジャーを変えて作り直したものが発表されているが、今作の場合はコーラスを差し替えてミックスを変えたのみでアレンジはそのまま。大島康祐によるスッパコンスッパコン響き渡るスパコンサウンドの極致のようなスパコンっぷりによるブラックナンバーだが、池森ソロバージョンよりもDEENバージョンの方がスパコン圧が強くなっていて冒頭のスパ~ンからアタック強め。イントロや間奏での英語のコーラス部分(歌詞記載なし)は女性コーラスから池森メインのコーラスに変更され、サビ途中の女性コーラスは山根コーラス(あ~ふれ~るぅ~♪のところ)に差し替えになっているが、あまり山根さんっぽく聞こえない。この部分は歌詞には普通に表記されているためカラオケバージョンでもメインパート扱いで消されている。

最初に聞いた時はもう『SINGLES+1』の後とかだったので、歌が始まる前からもうあまりにも作風が違い過ぎるので衝撃だった。“FUNKY GROOVE”とか歌い出すし、“踊るGUYS(やつら)”とかDEENの池森秀一が使わないような表現も出てくるし。これだけ聞くと後年にアンチエイジング路線で妙に若々しいラブソングを連発したり、DEENといえばラテン!とか言いだしたり、蕎麦森になってしまう未来は想像できない。ただ当時は見た目もB-BOY系だったとメンバーが証言しているのでこっちが本当の姿だったのか。本来の音楽性が後年見えなくなってしまうのも珍しい。

完全に打ち込みダンス系サウンドのため、バンド形態で演奏するのも難しそうなのと今作は特にノリが違い過ぎるためなのか最初期のライブでもセットリストに入っていなかった。今作に陽の目が当たったのは2010年にC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~』をリリースした際でここでアルバム初収録。ド迫力のリマスターが施された事で、スパコン圧がとんでもないことになった。この後に行われたツアー『DEEN LIVE JOY-Break15~History~』ではHistoryのタイトル通りにこのC/Wベストや初期楽曲、ライブベスト投票で人気だった事に気づいた曲などめっきりライブでやっていない楽曲を多めに披露するライブとなり、2010年キー下げ型バンドスタイルの新生「DREAMIN’」が初演奏された。時代性が一掃されこちらはこちらでなかなかカッコいい仕上がりで、12thアルバム『Graduation』初回特典DVDで映像化もされた。

…が、ライブで演奏したのはこの時くらいと思われ、マニアックナイトでもスルーされてしまった。デビュー〇周年は「このまま~」だけでなくC/Wである今作にも同時に訪れているわけだけど、周年ライブもヒット曲重視でC/Wなんて演奏する余地ないからなぁ…。

しかし気がつけば意外とクセになる1曲に。長戸大幸のプロデュースワークから音楽性が近い同士で組ませるより違う者を組ませて化学反応を起こさせるのが得意だったように思うけど、実際に池森&大島でユニットを組んでいたらどうなっていただろうか。売れはしなかったと思うんだけど、当時の音楽性では1番合いそうではある。
★★★☆☆
コンピ盤『ウーマンドリーム オリジナルサウンドトラック』(池森秀一ソロ)
1stC/Wベスト『Another Side Memories~Precious Best~

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