2011年に対談で行った『広瀬香美『SINGLE COLLECTION』全曲レビューX(クロス)』は対談史上最高の完成度を争うものとなっていて未だにやり直したい感覚があまり無い。
一方で数年おきにベスト盤が出るだけに聞き返す機会も多く、なんだかんだ加えたい事はいくつか出てきてもいる。単独で普通にやったところであの対談のノリは120%越えられないのは確実なので今回はいつもの過去曲回顧とは少しだけ方向性を変えて対談とは別の軸から対談では取り上げきれなかった感想やシングルの別バージョンに言及したアナザーバージョンとして単独で振り返ってみることにした。
デビューはシングルではなく1992年7月の1stアルバム『Bingo!』。年末の1stシングル『愛があれば大丈夫』はタイアップ効果もあってロングヒットを記録したが、続く2ndシングル『二人のBirthday』は100位圏外になってしまうなど名前が認知されるには至っていなかったが、1993年冬にアルペンCMソングとなった3rdシングル『ロマンスの神様』で大ブレイク。しばらくは春の時期にもシングルを出しており、4thシングル『ドラマティックに恋して』こそヒットしたものの、その後はアルペンタイアップでヒット、春のシングルは極端に売れないという状態が続き、いつしかTUBE=夏に対して広瀬香美=冬のイメージが定着、”冬の女王”と呼ばれるようになる。
1997年夏ドラマ主題歌タイアップで挑んだシングル『夏だモン』がコケ、その次の冬のシングル『promise』は一転して2番ヒットを記録すると同時に完全に冬中心の活動へとシフト。そして1998年ベストアルバム『THE BEST Love Winters』は『ロマンスの神様』を上回り189.4万枚の自身最高売上を達成。絶頂を極めた1998年までを振り返る。
1st 愛があれば大丈夫
1992年12月2日
編曲:鷺巣詩郎
デビュー作ではなく、7月に1stアルバム『Bingo!』でデビューしてから5ヶ月後の1stシングル。偶然にも冬発売となったがこの当時は冬で攻めていくつもりは全くなかったものと思われる。映画『病は気から 病院へ行こう2』主題歌。発売時点では映画公開前で100位圏外だったが、12月19日に映画が公開されるとタイアップ効果が発揮され、年明けの合算週で93位に初ランクインするとそのまま17週連続チャートインした。特に2~3月にかけては7週連続で40位台をうろつく驚異のキープ力を見せ、最高42位は2週連続で記録したものとなる。このロングヒットにより10万枚を超える売上を記録した。
All Instruments Played by 鷺巣詩郎となっているものの、1人オケ制作ではなくキーボード、ギター、サックス、トランペット、トロンボーン、ハープ、ストリングス、さらにAdditional Product and Operate:松井寛(“松井さんが師と仰ぐ作編曲家・音楽プロデューサーの鷺巣詩郎さん”という記述が2023年の記事にある)というクレジットもあってけっこうな人員が導入されている(『GOOD LUCK!』でのクレジットより)。リズム隊以外ほとんど生演奏でAll Instrumentsとかクレジットしちゃいけないレベルじゃねーかデビュー作にして元気一杯、地球規模のスケールの大きさで恋愛無敵感フル開放状態な明るい愛の歌。1stアルバムは比較的地味目な曲が多かったが、ズンズン突き進んでいくメロディーの突き抜け具合といい、1枚目とは思えないほどのシングル曲らしい新曲。
シングルバージョンでは2008年に『愛があれば大丈夫-08’Remastering』としてC/Wに「ロマンスの神様」「GIFT」の08’Remasteringという過去曲のリマスター3曲をまとめた配信限定シングルがリリースされているが、下記のようにベスト盤連発で毎回CDでもリマスターされまくっていて『THE BEST Love Winters』以外のベスト盤は2008年より後のリマスターであり、現存『THE BEST Love Winters』の次に位置するので2番目に古いリマスターとなり(最新は2022)、特に意味のないバージョンだと思う。ほとんどのベスト盤で1曲目を飾っている。
★★★★★
1stベスト『THE BEST Love Winters』
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
9thベスト『Kohmi30th』
愛があれば大丈夫(28 a cappella version)
1993年5月21日
from 2ndシングル『二人のBirthday』C/W
次回作『二人のBirthday』C/Wに収録されたアカペラバラードバージョン。バラード化していて多重録音アカペラと手拍子のみでゆったりと進行する。あまりにゆったりしているため1コーラス+サビのみで3分半とオリジナルより1分ほど短く終わるがさほど短く聞こえない。
原曲のワクワク感や無敵感は見事にそぎ落とされているが、ゆったりとしたテンポと重ねられたコーラスワークは聞いていて心地がいい。全くの別物として考えればこれはこれでありか。
★★★☆☆
アルバム未収録
愛があれば大丈夫(GOOD LUCK!Version)
1993年3月24日
from 2ndアルバム『GOOD LUCK!』
編曲:鷺巣詩郎
アルバムバージョン。冒頭30秒に28 a cappella versionのアカペライントロが加えられている以外はシングルと同じアレンジ、最後のアウトロ部分が10秒強程度長くなっている。冒頭のアカペラ部分は28 a cappella versionのイントロ30秒と同じものだが、28 a cappella versionではコーラスから入ってメインパートがフェードインしてきていたが、今作ではメインパートが最初から入っているなどミックスが変更されている。アルバムのクレジット上ではこの部分は「~Opening Chorus~」と表記されており、アレンジは広瀬香美、コーラスはCall Me Sistersとなっている。Call Me=香美であり、1人多重コーラスの事をCall Me Sistersと表現したのではないかと思われる。
★★★★☆
愛があれば大丈夫 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:広瀬香美
25周年でのリメイクバージョン。今作に関しては自らアレンジ・演奏したピアノ弾き語りバージョン。アカペラバージョンがゆったりしすぎだったので今作もややゆったりはしているんだけど、ピアノ弾き語りとしては比較的ポップなノリ。キーも変わらず歌い上げており、他の曲に比べるとボーカルスタイルはかなり変わったとはいえ感じる変化はさほど大きくは無い。
★★★☆☆
愛があれば大丈夫(with 眉村ちあき)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
2019年12月からYouTubeを開始し、2020年から「歌ってみた」動画を開始したところ、派手なピアノ弾き語りパフォーマンスからキャラクターの破天荒さも含めて再ブレイク的な盛り上がりを見せ、そこでの厳選されたカバーやコラボセルフカバー、新曲を織り交ぜた新作アルバムを発売。今作は眉村ちあきとのコラボパフォーマンス。2016と同じくピアノ伴奏のみだが、今作はYouTubeでの破天荒ピアノパフォーマンスによる原曲のフレーズを生かした勢いのあるピアノ伴奏になっている一方で広瀬香美はほぼピアノ&コーラス程度。メインボーカルは完全に眉村ちあきで大半が眉村ちあきの単独歌唱になっているので、本人伴奏によるカバー曲といった状態。それでも眉村ちあきのボーカルにも勢いがあるので違和感のない好カバーとなっている。
★★★★☆
2nd 二人のBirthday
93年5月21日
編曲:鷺巣詩郎
半年で終了したTBSの紀行番組『自然がいちばん!地球塾』エンディング。前作がヒットし、2ndアルバム『GOOD LUCK!』は50位となり数万枚のヒットである程度の次の新作が注目されていたはずだったが、今作は一転して100位圏外に終わった。売れなかったものの本人がライブでお気に入りを公言したことがあるそうで、ベスト選出率は高めでライブでの扱いもかなり良いようだ。ヒット曲ではなく冬の曲でも無いのに最初のベスト『THE BEST Love Winters』に選曲したり、誰も覚えて無さそうなのに『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』に収録されている辺りからもそれが伺える。
恋愛至上っぷりは1stと変わらないが今作の方が全体に落ち着きを感じる。スケールの大きさは健在で前作に続いて歌詞が地球規模になっているのが印象的。夕陽が沈むシーンを“地球に沈む太陽頬染めて一生忘れない”だもんな…。ワクワク盛り上がる1stに対して今作は本当に感情を揺さぶるような感動的クライマックス感がある。ラストサビでメインボーカルと張り合うかのようにウウウウウウウ♪と高音を張り上げまくる部分もインパクトが強い。初期の元気なシングル群の中では落ち着いた雰囲気なので埋もれがちだが確かな名曲だ。
★★★★★
1stベスト『THE BEST Love Winters』
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
二人のBirthday(LA.Mix)
from 3rdアルバム『SUCCESS STORY』
編曲:鷺巣詩郎
タイトル通りにLAでミックス変更を行った(と思われる)アルバムバージョン。冒頭30秒の壮大なイントロをカットしていきなりドラムが入る部分から始まる。しかし歌と同時に終了したシングルと異なり、アウトロが追加(演奏が1度復活)されているためトータルでは10秒弱しか短くなっていない。
全体のミックス変更により、より柔らかく優雅な音像になっている。LAというだけあってなんか狭い日本のスタジオとLAの広いスタジオの空間の差がそのまま出ているかのような(勝手なイメージ)…。
2011年対談時に“子供の頃、高速道路走っててちょうど夕陽が沈んでいくときにこの曲がかかっていて今でもその光景だけ覚えてる”とコメントしたけど、当時聞いていたのは『SUCCESS STORY』を録音したカセットテープだったのでシングルではなくこっちのバージョンを聞いていて感じた事である。シングルバージョンを聞いたのは5年後の『THE BEST Love Winters』収録時だった。
★★★★★
3rd ロマンスの神様
1993年12月1日
編曲:小西貴雄
「アルペン」CMソング。初登場6位となり、1週目から大当たりとなったが2週目には4位に浮上、3週目に1位になると合算週を挟んで4週連続1位→2位→1位と合計5週1位となり、2月最終週まできっちり12週連続トップ10入り、100位以内21週ランクインで170万枚を超える最大のヒット作となった。アルペンとのタッグによる広瀬香美の方向性を決定づけた代表作。少しでも音楽を理論的に理解できるリスナーからは構成の無理やりさを指摘されることもあるが、CMソングになるに当たっての各方面からの様々な要求に応えて手を入れまくっているうちにこうなったらしい。冬の定番のように扱われているが、冬を示唆するフレーズは何一つ出てこない。これは別に広瀬香美が冬を無視したわけではなく、そもそもこれ以前のアルペンタイアップ自体が概ねこんな感じであった。GO-BANG’Sの「あいにきてI・NEED・YOU!」とかLINDBERGの「Dream On 抱きしめて」とかアーリー90’sな感じの曲がこれまでも採用されていて、この曲もその流れに沿ったものになっていると思う。しかし歴代の曲と違って何故かイントロの瞬間からゲレンデが見えるという謎の魔力を併せ持っている。奇跡の1曲。
今夜の飲み会で彼氏候補を品定めして合格ラインと勝手に判定した相手といい感じになり、大サビでは星占いの内容を思い出して確信し、最後のサビでは土曜日遊園地に行ったと思ったら次の瞬間には1年後のハネムーンまで駆け抜けていってしまい、ロマンスの神様に一方的に感謝して終わるというあまりにもイケイケ過ぎる歌詞の内容はネット普及以降では炎上というかバカにされるかネタにされること必至ではあるが、逆にここまで開き直った歌詞を書ける女性シンガーは今の世の中ではもう出てこないんじゃないかとも思う。なお合格ラインの相手が何故夜の飲み会でサングラスをしたままなのかは地味に謎である。
2008年に『愛があれば大丈夫-08’Remastering』のC/Wで08’Remastering、2016年には歴代のバージョンを集めた配信限定シングル『ロマンスの神様』に16’Remasteringなどもあるが、そもそもベスト盤必須曲である今作は毎回リマスターされ続けている上、CDではいちいち書かれていないが配信だとほとんどのバージョンに〇〇’Remasteringとあるので古いバージョンは都度用済みになってしまいほとんど意味が無い。以下並べてみたところで初出シングルバージョンだけ音小さいな…というくらいしか分からない。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』
ロマンスの神様[a cappela]
2001年11月7日
from 2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
編曲:広瀬香美
1人多重コーラスのアカペラバラードのリメイクバージョン。バラードベストを出す際にバラードではない曲をバラードにリメイクして収録するというバラードベストあるあるの法則(?)に従って、堂々の1曲目を飾った。スローテンポなので2番がカットされている。ゆうきっとあいがせっかいをすっくう♪とほのぼのコーラスしながら始まるイントロ部分からゆったりと展開してバラードっぽくなってはいるが、バラードというよりもアカペラアレンジを堪能すべき内容。この曲にバラードはやはりちょっと合わないと思うので普通にスローにするのではなくアカペラ化したのはナイスアイデア。
2016年の配信シングル『ロマンスの神様』にも収録。
★★★☆☆
ロマンスの神様(弾き歌いVersion)
2007年12月5日
from 3rdベスト『Alpen Best』
編曲:広瀬香美
「アルペン」CMソング。01-02シーズンを最後にライブで声を維持するための肉体改造に伴いしばし休養になると同時にアルペンCMタイアップからも離れていたが、コンピ盤『R35』が”もう1度妻を口説こう”のキャッチコピーで大ヒットしたのに思いっきり乗っかって07-08シーズンのCMは“あの頃、ゲレンデにいた人達へ!”を掲げて“もう一度ゲレンデで恋しよう”と登場人物たちがこの曲とスキーというあの頃を思い出す内容になっており、広瀬香美とアルペンタイアップの始まりの1曲である今作が再び起用された。その際に新たに制作されたのがこのバージョン。『Alpen Best』では1曲目にオリジナルバージョンが収録され最後にこのバージョンが収録された。
弾き語りではなく、弾き歌い。はじけるようなアッパーなピアノ演奏+多重録音コーラスと手拍子や足踏み等、鳴っている全ての音源を自ら演奏した勢い溢れる弾き”歌い”バージョンとなっている。確かにこの勢いは弾き”語り”ではなく、弾き”歌い”と形容すべきだ。休止前後の頃からバラード続きだったのでてっきりしっとりしたセルフカバーだと思っていたので久々に勢いのある広瀬香美が復活して当時は感動した。オリジナル以上にワクワクする躍動感に満ちていてリメイクバージョンの中で今作が最高だと思う。その次のオリジナルアルバム『Making My Life Better』にも収録されたが冒頭5秒に新たなコーラスが加わっている。2016年の配信シングル『ロマンスの神様』にはオリジナルで収録。
★★★★☆
11thアルバム『Making My Life Better』(冒頭5秒にコーラス追加)
ロマンスの神様 2016
2016年10月12日
From 配信シングル『ロマンスの神様』、13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:小西貴雄
「アルペン」CMソング。『25thプレイリスト』に先駆けて配信限定でリリースした『ロマンスの神様』にオリジナル、a cappela、弾き歌いversion、ライブ音源の歴代バージョンが網羅されそこに収録された新録音バージョン。この年はCMもテコ入れされ、長年起用されていた加藤晴彦からブレイク前新人の永野芽郁に交代。明らかにJR SKISKIの影響を受けた青春路線へとシフト。なんか2007年の『R35』便乗といいスキーブーム後の苦境の中でパクりばっかりじゃね?“青い冬、はじまる”をキャッチコピーに新曲「青い冬ハジマレ」も制作され、「ロマンスの神様 2016」を使ったバージョンと「青い冬ハジマレ」を使ったバージョンと永野芽郁主演で複数パターンのCMが作られた。この「ロマンスの神様 2016」バージョンのCMでは永野芽郁がこの曲を口ずさんで「その曲あなた生まれる前のじゃない!」と突っ込まれる場面があり、もうそんなに時が経ったのか…と物凄く遠い目になる。というか「ロマンスの神様」が生まれる前どころか永野芽郁さん1999年9月生まれなので「ストロボ」(1998)まで全トップ10ヒットシングルが生まれる前ですわ…。広瀬香美が売れてた頃に生きてないんですわ…。生まれた後なの「恋のベスト10」からなんですわ…。
オリジナルと同じ小西貴雄がリアレンジを担当し、当時とは違うアレンジだがイメージを損なわずにリアレンジした2016年の新たな「ロマンスの神様」として仕上げてきたような印象。目玉としてアピールしていたのはキーを半音上げて自身の限界にチャレンジしたという点で、日頃の喉を維持する鍛錬の成果を存分に見せつける形となった。
さすがにYouTubeでの再ブレイクや50代になった頃にはここまで過剰なキーへのこだわりを見せる場面は減ったが、この2016年頃は高音キーの維持に過剰なまでにこだわっていて、今作のように半音上げでも歌えることをアピールしたりと、高音出るのよアピールが凄かった。あまりにもアピールして聞いている方がムチャだろと思うような更なるキー上げチャレンジをしてライブ披露までしていたものだから、さすがにちょっとアピールがウザいという人も出てきていたかもしれないが(実際ヤフーコメントとかで見かけた記憶)、こういった事を自ら惜しげもなく披露してしまえる自信というのもまた広瀬香美らしいし、こういう自信家じゃないと一連のヒット曲のような歌詞もかけなかったと思う。
★★★★☆
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
ロマンスの神様(Live at NHK HALL in 2001)
2016年10月12日
DVD化はされていたようだが、配信限定でリリースした『ロマンスの神様』で音源化された2001年のライブバージョン。デビュー以来ライブを行っていなかったのでこの時が初のツアーであった。何故この後すぐにしばし休止をして肉体改造に挑んで歌い方を変えたのか、その答えの一端がこの音源で伺える。
とりあえずイントロからしてめっちゃ音が低い。あれ下げた?っていうレベルじゃないくらい誰が聞いても分かるレベルで低くなっていてガッツリとキーが下がっている。ちょっとこれは別の曲なんじゃないかというくらいに低すぎて違和感が…。
初のツアーで高音を維持することができなかったので肉体改造に挑んだと休止明けに語っていたが、ライブ映像を見ていなくてこの話からてっきり原曲キーで歌ってヘロヘロだったのかと思っていたのでこの音源には驚いた。元々TVで懲りてCD制作のみで生きていくと決めていてライブをやるのをずっと拒否していたのをようやく承諾したのがこの時だったようだが、原曲キーではライブで歌えないとして思いっきりキー下げしまくってステージに立つ事となり、プロとしてこの時のパフォーマンスでは到底納得がいかなかったんじゃないかと思う。今作でわざわざそんなキー下げライブ音源を収録したのは前述のここから努力して2016年になって半音上げを成功させたという自信から来るものだったんじゃないだろうか。
★★★☆☆
アルバム未収録
ロマンスの神様(オリジナルカラオケ)
一応これも。2016年配信限定『ロマンスの神様』には御丁寧にオリジナルカラオケバージョンも最後に収録されている。元々初出の8㎝CDにはカラオケが収録されていた(初期のシングルはC/Wまで、途中から表題曲のみ)のだが、配信でシングルを出した際にカラオケは全部カットされてしまったので配信で聞けるカラオケはこれだけである。
ロマンスの神様(Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06)
2019年11月27日
From 8thベスト+ライブアルバム『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
編曲:鳥山雄司
ベスト盤とセットで収録された『AUTUMN TOUR 2019 “Vocal Unlimited vol.8” Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06』のライブ音源。10月6日に行われたライブを11月27日に速攻でライブアルバムにするという…。
ブルーノートでのライブだがバンド編成ではなく”Arrange & Guitar:鳥山雄司”のクレジットしかないアコースティックギター主体+本人ピアノ演奏+簡易同期打ち込みオケ編成によるアコースティックアレンジでの演奏だった。アコースティック編成なので盛り上がりにくいところはあったが、本編最後となったこの曲ではサビ頭のコーラスパートを観客と大合唱、収録された音源の中でも最大の盛り上がりとなっている。
★★★☆☆
ロマンスの神様(with 百田夏菜子)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
ももいろクローバーZの百田夏菜子をメインボーカルに迎えたバージョン。広瀬香美はピアノ演奏とコーラスに徹しており、最後のサビ以外は百田夏菜子による単独メインボーカル。一生懸命な歌唱に加えて意外と大サビ以外の(ずっと~♪の部分はさすがにね…)サビの高音も線の細い裏声にならずパワフルに歌い上げていてTVによく出ていた頃のももいろクローバーZの生歌唱に比べても抜群に上手くなっている印象。また広瀬香美がサビ頭のBoy Meets Girl、Fall In Loveの普段はコーラスや観客パートにしている部分を単独で歌っているのはほとんど初めてに近く新鮮(最後のサビだけは休まず全部歌っている)。
★★★★☆
ロマンスの神様/広瀬香美 x Night Tempo
2023年12月13日(配信限定)
Produced and mixed by Night Tempo
Night Tempoによるリメイクセルフカバーバージョン。イマドキっぽい電子変換アレンジといった感じ。何故か大サビがカットされており、2コーラスのサビからそのままラストサビまで繋いで駆け抜けてしまうので3分半で終わってしまう駆け抜ける構成。
シティポップブームの立役者であるためか、イラストのイメージが1993年原曲当時よりももう一昔前の80年代、シティポップブーム便乗っぽいのはミスマッチ感があってちょっと気になるが…。
広瀬香美本人は海外在住でスキーをしないと公言しており実はゲレンデにほとんど縁のない人である。海の男のイメージの強かった加山雄三は実はスキーもやる人だったので新潟県湯沢市で「加山キャプテンコースト」(1991~2011、現在そのまま廃墟化)を立ち上げた事があったが、スキーをやらない広瀬香美はさすがにスキー場経営にまで乗り出す気はなかったと思われる。
2022年経営難に陥っていた長野県の「北信州木島平スキー場」が民間譲渡されることになり、2023年にSBCメディカルグループ(CM打ちまくってる「湘南美容クリニック」)がお買い上げ。SBCは同時に「ロマンスの神様」のネーミングライセンスの使用権に関する契約を締結しており、なんと2024シーズンより「スノーリゾート ロマンスの神様」に改名、まさかの「ロマンスの神様」スキー場化爆誕。このバージョンはその「スノーリゾート ロマンスの神様」テーマ・ソングとして制作されたもの。シーズン中にはゲレンデ下部特設ステージに実際に広瀬香美が訪れて極寒の中でライブを行ったりもした。
美容色全開なかつてないスキー場運営が今後どのように転がるのかはかなり不透明(少なくとも地味だった前身に比べてかなり派手にはなっている)だが、広瀬香美は「ロマンスの神様」の使用権を与えただけで経営しているわけではない。まあ潰れたら潰れたでイメージダウンはあるかもしれないが…。
★★★☆☆
4th ドラマティックに恋して
1994年5月11日
編曲:広瀬香美
ドラマ『上を向いて歩こう!』主題歌。前作がチャートアウトしてすぐの発売となり、初登場4位を記録。初動10万越えはタイアップ効果もあり前作を上回り自身最高記録、3週連続トップ10入り、10週ランクインで自身5番ヒットとなる37万枚の売上を記録。冬以外では最大のヒット曲。しかし冬テーマのベスト盤が多いせいもあるが、ベスト盤に外される事が多く、アルペン以外でのタイアップヒットとしても最高であったにも関わらず、露骨に『タイアップコレクション』からも外され、機械的にシングル全てを収録した2011年の『SINGLE COLLECTION』までシングルバージョンがアルバム未収録のままだった。
『SINGLE COLLECTION』リリース時のネット番組でドラマサイドの要請で修正が入ったからかなりグチャグチャになっちゃった…と不満を語っていたが、全体に空回り気味な歌詞や変に明るすぎる曲調も滑り気味。「ロマンスの神様」みたいなはじけたキャラクターを過度に要求されたのか、サビのフックとなる“ドキッツドキッ♪”とか“接近中!接近中!”とかコーラスの薄ら寒さもちょっとやべぇ感じだけど、サビを締めくくる“彼うぉぉぉぉぉ食べちゃいたぁい♪”の破壊力は一級品であり、最早黒歴史レベルである。そんな強烈な高音シャウトで肉食全開アピールしなくても。
発表後ほどなくしてやはりちょっとこれは…という感じはあったのかもしれない。ただ『SINGLE COLLECTION』発売時に改めて振り返ったことで1周回って面白くなってきたのか、その後の『Winter High!!』にはシングルコレクション系以外のベスト盤への唯一の収録を果たし、ファン投票上位30曲の枠にも入り『Kohmi30th』にも収録されている。
★★★☆☆
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
ドラマティックに恋して[LA.MIX]
1994年12月16日
From 4thアルバム『Harvest』
編曲:広瀬香美
「二人のBirthday」同様にLAでミックス変更されたバージョン。「二人のBirthday」に比べるとそんなに劇的な変化は感じられないが、音の処理が異なり、なんとな~く今回もこっちの方がちょっと音が豊かというか柔らかい感じがするかな…という程度。
★★★☆☆
5th 幸せをつかみたい
1994年12月1日
編曲:広瀬香美
「アルペン」CMソング。前年の大ヒットを受けて2年連続起用、このまま毎年恒例となった。初登場6位となったが、初動は前2作を下回る7万枚。そこからまくって4週連続トップ10入り、12週ランクインで前作の推移を上回り、45万枚のヒットを記録した。今作でもまだ冬はさほど意識されていない。ひたすら突き抜ける高音で幸せをつかみたい思いを最大限表現した1曲。似たようなタイトルの曲は他にもあるが、ここまで痛烈に幸せをつかみたいという願いがビシバシ響いてくる曲は他にないと思う。けーっていてきチャンス♪といい二人のものぉ~~~~がたり♪といい、いちいちハイトーンで伸ばしまくるのもインパクト絶大。なお当時のCMはまだアルペン自体もイケイケだったので複数バージョン制作されており、ラストサビを使ったバージョンもあったがいずれにしても“二人のものぉ~~~~”、“なんとか終わぁ~~~~”と絶妙にあと1歩のところで尺切れという仕様になっていた。わざとやっていたのか、サビのサイズを間違えて納品してしまったがこれでいいやと強行突破したのか…。後年も「ストロボ」などサビ終わりで途切れてしまう曲はあったが、“二人の物語”が”二人のもの”になってしまうのではちょっと意味合いが違うよな。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
幸せをつかみたい(ALBUM VERSION)
1994年12月16日
From 4thアルバム『Harvest』
編曲:広瀬香美
イントロ前にアカペラで新たな歌詞とメロディーが追加されている。それ以外は同じと思われる。しっかりALBUM VERSION表記があったが、配信版では何故かバージョン表記が無い。
★★★★☆
幸せをつかみたい(Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06)
2019年11月27日
From 8thベスト+ライブアルバム『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
編曲:鳥山雄司
ベスト盤とセットで収録された『AUTUMN TOUR 2019 “Vocal Unlimited vol.8” Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06』のライブ音源。
同期の簡易リズムと観客の手拍子とリズミカルなギターによるアコースティックバージョン。冒頭では延々と”けぇ~ってぇてきチャ~ンス♪”を2分近くひたすら連呼。アウトロでひたすらフェイクしまくるバックでは冒頭で連呼した”けぇ~ってぇてきチャ~ンス♪”の声をループさせる試みも。
★★★☆☆
6th 愛はバラード
1995年5月24日
編曲:広瀬香美
「住友生命」CMソング。3作連続のヒットで固定ファンも増えたと思いきやまさかの初登場49位と大コケ。そこから42位→41位とわずかに上昇する推移を見せるもここで打ち止めとなり、5週でチャートアウト、4万枚に留まった。5週ランクインの割に最初の3週でじわっと順位を上げた辺りこれって発売が周知されていなかったのでは…?2年連続の5月発売だったが、これで5月発売シングルが年間スケジュールから消え去る事に…。
これまでイケイケな歌詞が目立っていたが今作は一転して”二人の愛はバラードがいい”という独特な表現でゆっくり愛を育んでいこうという穏やかなバラード。この時期のシングル並べると確かにインパクトが弱い。冬でも元気でもない大人の落ち着きを見せたかったものと思われるが、5月末に聞く感じの曲ではないよなぁ…。
★★★☆☆
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
愛はバラード(MIX IN HARMONY)
1995年12月16日
From 5thアルバム『Love Together』
編曲:広瀬香美
イントロでリズムトラックが先行して鳴っているためオリジナルより10秒ほど長い(オリジナルは5分35秒、このバージョンは5分45秒)。このバージョンのみ大サビ部分(ギターソロ前)でバック演奏がオフになってメインボーカルとコーラスのみのアカペラになるという大きな違いがある。
★★★☆☆
愛はバラード
2001年11月7日
from 2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
編曲:広瀬香美
特にバージョン表記は無いが、当時雑誌のインタビューでミックス変更と歌い直したとコメントしていた。歌い方がややマイルドになって落ち着いた感じ。これ以外にイントロはMIX IN HARMONYと同じリズムトラック先行パートが加わっている。このスネアの音がMIX IN HARMONYとは明確に異なる。MIX IN HARMONYはリバーブがかっていてタ~ンと響くが、こちらは硬い響きでパンと鳴るため、ボーカルの違いよりも聞き分けしやすい。
このバージョン発表後の次のベスト収録機会であった『タイアップコレクション』ではシングルバージョンに戻され、『SINGLE COLLECTION』は機械的に全てシングルバージョンだったが、その後の直近のベストアルバムではこっちのバージョンで連続して収録されている。
★★★☆☆
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
7th ゲレンデがとけるほど恋したい
1995年12月1日
編曲:広瀬香美
「アルペン」CMソング、清水美砂・大沢たかお主演の映画『ゲレンデがとけるほど恋したい。』主題歌。イケイケだったアルペンはついに全編ニュージーランドロケで映画製作にも手を出したが、これっきりであった事や興行記録の情報が出てこない事、何より未配信どころかVHS止まりでDVD化すらされなかった事からもお察しな興行成績だったと思われる。VHSしか視聴手段がない以上、21世紀になって早い段階で視聴困難な状況と化して最早幻の映画である。広瀬香美と大沢たかおはこの縁で1999年に結婚したが2006年に離婚した。
前作の大コケで固定ファンが定着していなかった事が判明し、今作も「アルペン」タイアップをもってしても前年の半分以下となる初動3万台で初登場14位となり、これでブレイクの波は完全に去ってしまったかに思われたが映画が12月9日に公開された効果か、2週目に10位に浮上、7位→6位(合算週)と連続上昇、以降はトップ10から落ちたものの年内~年明けにかけての上昇推移で一定の存在感を示し、13週ランクインで38万枚のヒットとなった。当時は映画も一応それくらいの話題作ではあったようだ。メインキャストの若い男女4人は清水美砂、大沢たかお、西田尚美、鈴木一真だったようで4人とも有名俳優としてその後も一線級で生き残っているし、柏原収史も出ていたし、KenjiとしてDragon Ash結成前年の降谷建志はこの映画で芸能界デビューを飾っているだけにDVD化したらそこそこ需要ありそうなんだけど。
本格的に冬にシフトしてきてついに”ゲレンデ”がタイトルに登場もしたが、タイアップに合わせたのはタイトルだけ。冬の都会が舞台にはなっていて、実際の歌詞中には”ゲレンデが”の言葉は登場せず、”とけるほど恋したい”というフレーズも熱いハートの事である。冬の都会で恋が絶好調な事を歌っているのに何故こんなにゲレンデが見えるのか、タイトルに”ゲレンデ”があるだけでこうなるとは思えず、この声が冬を思わせるのか。制作サイドもこの辺りの事に気づき始めたのか、単に好評だったから連続起用ではなく冬の定番としてやっていこうという姿勢に変わってきたのもこの辺りからだろう。
“ゲレンデ”がタイトルにあるのもあって、筆頭代表曲の1つとして扱われているが、全盛期の売上の中で突き抜けたヒットではないため売上を知ると思った以上に低くて驚かれる事が多いシングルでもある。「ロマンスの神様」に匹敵するヒット曲とか少なくともゲッダン並(5,60万は売れた)くらいの感覚を持たれている感じはある。
元々は5分15秒程度の長さだったが、オリジナルシングルバージョンで収録されていたのは『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』が最後で、『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』からは5分6,7秒に短縮されたバージョンで収録されるようになった。元のバージョンでは最後のジャージャ~~~~が最後まで伸びて終わっていたが、短縮されたバージョンではこのジャージャ~がフェードアウト処理に変更されている。全体にもややリバーブ感抑えたり低音強くなったようにも聞こえミックス変更もしている…?
上が『SINGLE COLLECTION』、下が『THE BEST “1992-2018″』。何故2019年のベスト盤になって突如このような変更処理を施したのかは謎。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』(最後の1音フェードアウト)
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』(最後の1音フェードアウト)
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET(最後の1音フェードアウト)
ゲレンデがとけるほど恋したい(WHAT AN EXCITING MIX!)
1995年12月16日
From 5thアルバム『Love Together』
編曲:広瀬香美
ミックス変更されたアルバムバージョン。大半はほとんどシングルバージョンと同じだが、このバージョンはシングルバージョンを後年短縮したバージョンよりさらに短く5分2秒程度で終わってしまう。これはド頭のドラムが省略された仕様になっている事と、後年の短縮バージョン同様に最後のジャージャ~~~~の末尾をフェードアウト処理している事による。
ゲレンデがとけるほど恋したい 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:TUBE
夏のTUBEと冬の広瀬香美奇跡のコラボバージョン。元々は1997年のカバーアルバム『Thousands of Covers Disc1』の1曲目でTUBE「シーズン・イン・ザ・サン」をカバーしたという縁があったが、2015年のTUBEの『Your TUBE+My TUBE』で曲提供依頼があり、広瀬香美が「おかげサマー」を提供してこれがアルバムの1曲目となった。「おかげサマー」へのお返しとして今作でのリメイクをTUBEが手掛け、これまた1曲目となった。
アレンジは「あー夏休み」のラテンテイストを導入したようなTUBEっぽいというか「あー夏休み」っぽい夏アレンジ。演奏はTUBEでボーカル前田はコーラスに徹しているが、歌詞中の彼氏のセリフとして「」表記されている2ワード、1番Bメロ「ちょっと太った?」、2番Aメロ「かぜひくよ」のみ前田単独ボーカルにするという細かい遊び心が炸裂している(前田さんに太った?って聞かせるのが高難度である)。季節が逆ながら意外と違和感のない面白いコラボレーションだ。
★★★★☆
ゲレンデがとけるほど恋したい(with 鬼龍院翔<ゴールデンボンバー>)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
ゴールデンボンバー鬼龍院翔をメインボーカルに迎えたバージョン。広瀬香美はピアノ演奏とコーラスに徹している。最後のサビで広瀬香美が単独メインで歌うパートもあるが、聞いたことないような低音キーで、鬼龍院翔にとってもあまり高くもないキーで普通に歌っているので曲本編にはあまり面白味は無い。代名詞である「女々しくて」の連呼をトレースしてイントロや間奏で“絶好調!絶好調!絶好調!”、“ゲレンデが!ゲレンデが!ゲレンデが!”を挟んでいるところに個性発揮を集中している。
★★★☆☆
Dear
1993年12月16日
from 3rdアルバム『SUCCESS STORY』
編曲:服部隆之
初出となる原曲。打ち込み主体の中で今作だけは生のバンド+ストリングス+ブラスと豪華編成となり終盤にはLA現地で収録されたゴスペル隊によるド派手なゴスペルコーラスまで使用された超大作。歌詞もスケールがでかく、”遠い異国の恋人”とか”遠い遠いこの国で私待っているのよ”と遠距離の相手が海外にいる事が明確に示されている。また全体的に話し言葉調になっている。
最初に聞いたのがこのバージョンだった事もあり、シングルバージョンよりも何気に思い出深かったりはする。少ない機会ながらこのバージョンもベスト選曲された事はあり、『THE BEST Love Winters-ballads-』で初選曲、『Kohmi30th』ではDISC-1にVer.2.05が収録され、初回限定盤BOX SETのDISC-3にこのバージョンが収録された事で初めて同一作品内に2バージョン収録された。セルフカバーアルバム『名曲アルバム』ではこのバージョンがリメイクされている(後述)
事務所独立騒動の際の会見では困り果てている様子やマスコミが食いつきそうなゴシップネタ(自分が代表になれば返り咲ける発言に始まり、8年でマネージャー28人辞めた、免許の更新もわからないような世間知らずな人等)が優先的に記事になったが、もう少し詳細を書いた記事では平野T.J.ヨーイチ氏が1番思い出深い曲を聞かれて「Dear」だと即答したとして「彼女が私と一緒にデモ音源を作ったりした」とも発言したそうだが、実際に『SUCCESS STORY』のクレジットではProducerは田村充義だが、exceptとしてこの曲だけは平野T.J.ヨーイチがProducer、広瀬香美がCo-Producer扱いとなっていた。コーラスアレンジは広瀬香美だがゴスペルコーラスアレンジは平野T.J.ヨーイチ、演奏は国内ミュージシャンだが海外のゴスペルコーラス隊のレコーディングは恐らくLAで行われており、LAレコーディングのSupervisorを担当していたのでゴスペルコーラス部分はアレンジからレコーディングまで平野氏が深く関わっていたのではないか。
★★★★☆
2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
8th DEAR…again
1996年11月11日
編曲:本間昭光・広瀬香美
「アルペン」CMソング。原曲「Dear」を3年後にシングル「DEAR…again」としてサビ頭以外のほぼすべての歌詞を全面書き換え・リアレンジしてリメイクしたもの。初動3万で初登場20位となり、2週目には30位まで落ちたためリメイクではやはり伸びないかと思われたが3週目に15位に浮上すると4週目に10位となりトップ10入り。さらに9位→7位と年内に上昇し続けた。歌詞にクリスマスが出てくるためかクリスマスを過ぎた合算週で17位まで落とすとゆっくりランクダウンしていったが、13週ランクインで30万枚越えのヒットとなった。通常上昇型のヒットはブレイク期にのみ見られる現象で固定ファンがついてくれば初動型になっていくのが一般的。しかし固定ファンがつかずに初登場の順位も低いが、リリースされた事が知れ渡り、12月になって本格的に冬がやってくると浮動層が動いてシーズンモノとして購入してチャートを上昇するという世にも珍しい売れ方を繰り返すという特異な存在となった。
生音&ゴスペルコーラスで豪勢だったアレンジのメインフレーズなど基礎部分だけ残してシンプルな打ち込みアレンジにまとめてライトな雰囲気に変えたほか、歌詞は歌い出しの”元気”だけそのままで直後から話し言葉を改まった言い回しに変えたことで主人公女性をしっとりとした雰囲気の主人公に全面改変。サビだけはほぼそのままだがサビ終わりの海外設定を排して”遠い遠いこの国で私待っているのよ”→”遠い遠いこの距離に心止まらないでね”と相手との距離を曖昧に。国内の遠距離恋愛に適用可能にした事でより幅広い共感を得られるようになり、実にシングル曲らしくリメイクされている。アルバムレコーディングには数曲キーボード奏者として関わっていたが今作よりアレンジャーに抜擢された本間昭光もいきものがかりの時代ならもっとストリングス派手にドーンくらいの壮大さは残していたかもしれないが、当時はこんなライトなアレンジにも長けた人物だった。
一方でメロディー自体は歌うの2度目でやたらと力んでしまったのか、変に力が入っていたり力み過ぎてズラし気味になっている部分が悪目立ちしており、代表曲を歌い過ぎた往年のシンガーが声の変化か飽きたかでズラし歌唱しまくる感じにもどこか近い。
本人的にも早い段階ですぐに後悔したのか、翌年2月のアルバム収録時にVer.2.05に作り直し、後のベスト盤にもVer.2.05で徹底して収録するようになった。シングルバージョンは機械的に全てシングルバージョン採用にした『SINGLE COLLECTION』にしか収録されていない。久々にシングルバージョンを聞くとコレジャナイ感が凄い。
★★★☆☆
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
DEAR…again(Ver.2.05)
1997年2月5日
From 6thアルバム『welcome-muzik』
編曲:本間昭光・広瀬香美
アルバムバージョン。大枠のアレンジはシングルバージョンだがさらに細部の装飾を加えてボーカルを再録音した事実上の完成形。アルバムが2月5日発売だったという理由と、「DEAR…again」シングルバージョンが「Dear」のVer.2であり、今回は細部を変更してアップデートしたのでVer2.05という説明もしていた。イントロ前にWaiting for Christmasというコーラスが新たに追加されているため、歌本編を聞かずともシングルバージョンとの違いは冒頭で判別可能(いきなり演奏から始まるのはシングルバージョン)。イントロのコーラスに加えて最後のサビ前の間奏がシングルバージョンより長くなっているため(長くなった部分で歌詞には無いボーカルが入る)、5分40秒だったシングルバージョンから6分5秒まで長くなっている。
シングルバージョンでの不自然なまでのボーカルの力みとズラし歌唱が無くなり、曲に寄り添った落ち着いたボーカルスタイルになったほか、よりブラッシュアップされたアレンジにより文字通り完成したような印象。季節柄クリスマス付近に特集番組やラジオでよくかかる際はシングルバージョンが使用される事も多々あるとは思われるが、ベスト盤で広瀬香美を聞く際には『SINGLE COLLECTION』以外はこのバージョンとなり、メインバージョンとして扱われている。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』
Dear
2010年12月15日
From セルフカバーアルバム『名曲アルバム』
編曲:服部隆之
2010年の『名曲アルバム』はアルバム曲を対象としたセルフカバーアルバムであったが、“当時の最高音質のオケをリミックス、コーラスを含めたヴォーカルは全て新録”と紹介されており、ボーカルだけ再録音して演奏はミックスし直しただけであった。原曲「Dear」をここにきて復活させたという事は原曲への思い入れもあったという事か。肉体改造によりパワフルな歌声にはなったが、歌の表情の豊かさに関しては正直以前の方があったとは思う。どちらにもどちらの良さがある。
エンディングが改変されており、オリジナルではバンド演奏がオフになってゴスペルコーラスとメインボーカル&コーラスで派手に盛り上がってゴスペルがハ~レル~ヤァァ…♪と歌いながらフェードアウトしていく構成だったが、今作はバンド演奏のまま歌い続けてサビの途中でフェードアウトしていってしまう。派手に盛り上がったオリジナルに比べてボーカルの変化やミックスも含めて抑えめな印象。
★★★☆☆
DEAR…again 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:菅野祐悟
シンフォニックなリアレンジバージョン。2番途中までストリングスとコーラスで進行し、後半はリズムも入る。当時自身が校長をしていた音楽学校の生徒たち(広瀬香美合唱団)の合唱を大々的にフューチャーしているため原曲「Dear」の要素も加味したような派手なバージョンだ。
★★★☆☆
Dear…again(Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06)
2019年11月27日
From 8thベスト+ライブアルバム『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
編曲:鳥山雄司
ベスト盤とセットで収録された『AUTUMN TOUR 2019 “Vocal Unlimited vol.8” Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06』のライブ音源。
アコースティックギター1本によるアコースティックバージョン。イントロのソロギター長いな…と思っていたらそのままギターがメロディーを奏で始めて広瀬香美が歌わずにまさかの1番丸々ギターインスト、2番から広瀬香美が歌い出すという異色の構成。間奏からはピアノ演奏も入る。たぶんピアノ弾き語りでこの曲を演奏する事はライブでけっこうやっていると思うのでギターメインの編成は珍しかったのではないか。
★★★☆☆
Dear…again(with chay)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
chayをメインボーカルに迎えたバージョン。広瀬香美はピアノ演奏とコーラスに徹しているが、ピアノ1本でしっとり歌い上げてコーラスを入れる余地も無いので終盤までコーラスの出番も無くchay単独ボーカルによるピアノバラードで進行。2番サビに向かってピアノ演奏に力が入って盛り上がっていくものの、広瀬香美の声が出てくるのはサビ前のコーラスからラストサビにかけて。
chayの歌がうまいのは伝わるが、それなりの歌唱力のあるシンガーによる普通に歌うま!以上の特色は正直あまりないかも…。
★★★☆☆
9th 真冬の帰り道
1997年1月1日
編曲:本間昭光・広瀬香美
「アルペン」CMソング。この年から年末年始を挟んで曲を交代する2曲制になった。元旦リリースとなり、合算週に初登場15位→翌週10位とまたも上昇してのトップ10入り。年明けのシングルは初となったが、年内ほどの伸びはなかったものの12位→16位→19位とゆっくり推移して9週ランクインで20万越えのスマッシュヒットとなった。
初期から続いてきたはじけて元気な冬の広瀬香美としてはひとまずの最終楽曲。もう少しこの路線で聞いてみたかった気もするが…。”幸せは冬にやってくる”とここまで来ると完全に冬に寄せてきているのも面白い。サビ頭の”イエーイ”の後につく”!”が出るたび”!!”、”!!!”と1つずつ増えるっていう小細工は歌詞カードを見ないと分からない遊び心だ。ストリーミングやら配信やらになってしまうとこういう遊びがますます見逃される事になってしまうのはちょっと悲しい。
この曲に関しては初めて1バージョンのみ。アルバムでの変更も無かった。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
10th 夏だモン
1997年7月24日
編曲:本間昭光・広瀬香美
ドラマ『金のたまご』主題歌。80年代後半~90年代前半のいわゆるトレンディドラマ全盛期を代表する主演俳優浅野ゆう子が連続して主演を続けていた末期の頃の主演作で2011年の対談時2人とも思い出せないくらい影の薄いドラマだった。ドラマは全くヒットしなかったわけではないが、あえて夏に挑んだ今作、見事なまでに初登場34位とコケてしまい4週ランクインで3万割れの売上に留まり、夏に大敗した。4年後の高校時代「トリビアの泉」が流行ってる頃に、“広瀬香美は「夏だモン」という曲を出したが売れなかった”と話したらトリビア級に驚かれるどころか嘘だ嘘だとホラ吹き扱いされてなかなか信じてもらえなかったくらいに認知度も低いらしい。
楽曲自体はこれまでのノー天気テイストを引きずった元気でポップなナンバー。サビでこれ見よがしに夏だと歌っている以外に夏ワードは無いので実はそこまで夏っぽくなかったりもするし、ちょっと夏アピールが安直な感じはある。夏なら夏でもっとサマーリゾート風なアレンジにでもして、冬とは作風が違うところを示した方がよかったのかもしれないが、サウンドもいつも通りなんだよな…。そして冬以外だと何故明るさがビミョーにズレて滑った感じになるのだろう。「ドラマティックに恋して」ほどではないが、今作もどこか浮ついた感じがして冬ほどの良さを感じない。
前述のTUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」を収録したカバーアルバム『Thousands of Covers Disc1』は今作直後にリリースされ、C/Wに収録されていた「カリフォルニアの青い空(It Never Rains In Southem California)」カバーが先行シングル扱いとなった。このアルバムも夏に大敗している。
翌1998年に広瀬香美は広末涼子へ「summer sunset」を提供。広末はインタビューで「広瀬さんの夏は私が歌います」と頼もしいコメントを残し、トップ10ヒットを放った。これにてサマーソングでのトップ10ヒット、夏へのリベンジは果たされた。
★★★☆☆
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
夏だモン(ヤッパ…冬だモンVer.)
1998年1月15日
編曲:本間昭光・広瀬香美
From 7thアルバム『rhapsody』
アルバムバージョン…だが歌詞を冬仕様に一部書き直したリメイク。まあこれはVer.というか完全に「冬だモン」に作り直してしまった。サビ以外夏らしさが特になかった「夏だモン」に対して、冬仕様へ書き直すのを徹底したためかサビ以外も随所が冬っぽくなっていて冬の女王路線へまっしぐら。”ヤッパ…”とかつけてきた辺り、たぶんこのタイミングで本格的に冬に生きることを決意したんじゃないかと思う。80年代のTUBEが夏イメージに反発して意地でも冬の活動を続けるもイメージは変わらずに90年代以降夏にしか活動しなくなり、夏イメージを受け入れた様子とよく似ていた。
対談でも触れたように“自慢のペペロンチーノ”だった歌詞が露骨な冬歌詞変換に伴って“自慢の寄せ鍋”になってしまい、どんな寄せ鍋なんだ…というツッコミ待ちみたいになってしまったのはご愛敬。
★★★☆☆
11th promise
1997年11月27日
編曲:本間昭光・広瀬香美
「アルペン」CMソング。初動3万を越え初動だけで前作売上を突破したのはさすがに得意の冬といったところだが当時これではトップ10レベルではなく、初登場14位。13位→12位と刻んで年末の最終週に一気に4位に浮上すると8位(合算週)→5位→9位→9位と珍しく1月の間に盛り上がりのピークが来て16週ランクイン、54万枚の売上を記録。例年を上回るような目立った推移を見せて再ブレイク的な勢いでの2番ヒットを記録。新たなる代表曲となった。
ラテンやフォルクローレ風味も混ざったような民族的なアレンジが曲の鋭さや切なさを高めるのに非常にマッチしていてメロディーと同等にアレンジの隙の無さも感じる1曲。ラテンなんか普通に夏っぽい雰囲気になるはずなのに何故かとても冬全開に感じられるのが不思議。本間昭光にとってもこのアレンジ経験は必殺級の手ごたえがあったのは確かと思われ、ポルノグラフィティの「サウダージ」や「アゲハ蝶」などの筆頭代表曲でこのアイデアを存分に生かしていたように思う。特に「アゲハ蝶」終盤でリフレインしている民族的なラララ合唱のアイデアは明らかに今作の随所で出てくる民族的なラララ合唱と類似しており、「promise」アレンジ経験あっての「アゲハ蝶」なのはほぼ間違いないんじゃないかと思う。
なおサビ始まりの”Get down”にインパクトがあるのと作中で”promise”が出てこないためか、ネット上ではWikipediaに項目が作られるほどニコニコ動画文化で盛り上がったのを発端として通称「ゲッダン」と呼ばれるようになり、Twitterでプチ再ブレイクして以降は本人自ら乗っかって今作を「ゲッダン」呼ばわりしていた事もあり、公認通称となった。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』
promise(conversion)
1998年1月15日
From 7thアルバム『rhapsody』
編曲:本間昭光・広瀬香美
いわゆるロングバージョン。ギターイントロの前にラララ合唱パートを持ってくる、間奏が長くなるといった変更が施されており、アレンジのラテン風味、民族感が強調され、さらにエンディングもフェードアウトから完奏に変換=conversionされた。改めて優れたアレンジだなと思う。
★★★★☆
promise(soul bossa style)
2001年11月7日
from 2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
編曲:Soul Bossa Trio
「ロマンスの神様」のアカペラ同様にバラードじゃないけど大胆リメイクでバラード改変してバラードベストに収録したリメイク。ゴンザレス鈴木のソロプロジェクトSoul Bossa Trioにより、文字通りボサノヴァアレンジになっているが…これは確かにソウルなボッサそのものではあり、プロフェッショナルなアレンジっぷりではあった。しかし根本的にこの曲をソウルなボッサで聞きたいかっていうと…ねぇ?
★★★☆☆
promise 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:本間昭光
本間昭光が自らリアレンジした2016年バージョン。イントロのラテンギターを少しロングバージョンにしてみたり、アコースティック色の強いバージョンで基本的に新しく一から作り直したというよりも元からあった要素を再構築した感じ。あの頃の本間昭光が神がかっていて間違いなくピークだったのもあるが、2016年時点ではもうポルノグラフィティをヒットに導いた時の勢いはなく、いきものがかりのバンマス兼盤石ストリングスアレンジャー四天王の1人といった安定の地位を築いた大御所アレンジャーの印象で攻めの姿勢はなくなっていた。著しくパワーダウンはしていないが原曲にはどうしたって勝てず、無難なところに落ち着いたような…。
★★★☆☆
promise(Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06)
2019年11月27日
From 8thベスト+ライブアルバム『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
編曲:鳥山雄司
ベスト盤とセットで収録された『AUTUMN TOUR 2019 “Vocal Unlimited vol.8” Live at Blue Note Tokyo 2019.10.06』のライブ音源。
アコースティックギター1本のアコースティックバージョン。バラード風に改変された1番から一転して2番からはリズミカルな演奏に変わりテンポアップする。soul bossa styleのギター1本バージョンとかだと正直微妙だったと思うんだけどこれはアコースティックバージョンとして良改変。
★★★☆☆
promise(with HAN-KUN)
2021年1月27日
From 14thアルバム『歌ってみた 歌われてみた』
編曲:広瀬香美
HAN-KUNをラップボーカルに迎えたバージョン。このアルバムでは広瀬香美はピアノ&コーラスでゲストがメインボーカルとなっているが、他の曲と違ってこの曲のみ広瀬香美はピアノ演奏とメインボーカルとして参加。HAN-KUNはイントロや間奏で新規のラップを加え、サビは2人で歌唱、それ以外は広瀬香美の単独ボーカル。HAN-KUNが歌うのがサビだけで原曲キーを低音地声で歌わせるのは合わなかったのか、HAN-KUNの地声歌唱が低くなりすぎないキー設定にしたようで広瀬香美の声が結果的に低い事に…。低すぎて面白くないためか終盤ではメロディーを崩しまくるアレンジ歌唱へと発展していく。異色さが面白くはある。
★★★☆☆
12th ピアニシモ
1998年1月15日
編曲:本間昭光・広瀬香美
「アルペン」CMソング。年明けのシングルはアルバム『rhapsody』と同時発売。アルバムには別ミックス(Mix on Basis)で収録したものの、同時発売のアルバムに収録されているのはさすがに不利で前作がまだ9位にいる中で遥か下の初登場22位。32位→33位と若干の粘りは見せるも7週ランクインで6万台の売上となった。
落ち着いたピアノ主体のバラードナンバー。「promise」に続いて新たなる大人な落ち着いた広瀬香美を見せ、煌びやかな装飾は極力排してシンプルな打ち込みリズムによる落ち着いた音使いが心地いい。「愛はバラード」の頃よりも格段に進歩していて、抑えたボーカルも表現力が増している。しんしんと静かに雪が降り積もるようなイメージ。前の対談でも語っていたが、スキーで滑っている時ではなくリフトでゆっくり上がっている時の感覚にどこか近いものがある。
★★★★★
1stベスト『THE BEST Love Winters』
3rdベスト『Alpen Best』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
ピアニシモ(Mix on Basis)
1998年1月15日
From 7thアルバム『rhapsody』
編曲:本間昭光・広瀬香美
同時発売のアルバムに収録されたミックス違いバージョン。パッと聞き全部同じで何が違うのか長年分かっていなかったが、じっくり聞き比べしたところ2番のサビやラストサビで特に目立っていたストリングスのような強めのラインがこのバージョンではガッツリ抑えられていて全体にファーッと響いていたシンセも抑えてリズムトラックを中心とした基礎アレンジ部分の輪郭をシンプルにハッキリさせたような感じ。バージョン名のBasisというのはその辺りからつけられたのかもしれない。クレジット上、このバージョンにストリングスの表記は無いが、シングルで鳴っていたストリングスっぽいラインがストリングスなのかストリングス風のシンセなのかどうかはシングルのクレジットが出ていないので正確には不明。
『THE BEST Love Winters-ballads-』は一応『THE BEST Love Winters』と被った曲は別バージョンにして収録していて今作はこのバージョンが採用された。これ以外は全てシングルバージョンでベスト収録されている。
★★★★★
2nd(バラード)ベスト『THE BEST Love Winters-ballads-』
13th Groovy!
1998年9月23日
編曲:本間昭光・広瀬香美
NHK教育アニメ『カードキャプターさくら』1期エンディング。1曲+カラオケのアニメ仕様のシングルとして発売したが、初動5000枚割れの初登場67位の1週ポッキリランクインとなって超コケした。「promise」での再ブレイク的な勢いはどこ行ったんだよ…というかあれだけヒットしても固定ファン全くいないのかよっていうこの落差がエグすぎる。というか当時今作がリリースされていたのマジ知らなかった。この次の作品が初のベスト『THE BEST Love Winters』だったので、冬でも何でもないがそのまま直近シングル特権(?)で収録された。ベスト盤で聞いた時、内田有紀への提供曲セルフカバー「幸せになりたい」、新曲「Always I Need」と共に今作も初出の新曲だとしばらく勘違いしていたほど。
冬ではないが、ここまでの王道の明るくキャッチーな「夏だモン」以前の広瀬香美の王道イメージに沿ったような曲。冬の鋭いスピード感とは違うポップさなので何か違ったのかもしれないがそれにしたってこれが全くヒットしなかったのは解せない。完全なアニメ仕様ジャケットではJ-POPコーナーにも置いてもらえずキッズ少女向けアニメソングとして敬遠されてしまっていたのだろうか。『なかよし』連載の少女漫画原作だし、パッケージもアニメ仕様だったし。
なおオープニング「Catch You Catch Me」も作詞作曲編曲全て同じだったが、広瀬香美が歌うには大人っぽいという理由で新人歌手グミをプロデュースするという形で提供。しかしこっちも92位と散っており、グミ名義は1発で終了、本間昭光との関係は続いて2000年にg.e.m.として再デビューするもやはり売れずに即終了し、2005年にはmeg rock名義で再デビューし、この時期には中川翔子への提供が最も多くシンガーソングライター、提供作家として活躍した。また広瀬香美もこのアニメとの縁が翌年4月から放送された2期で続いており、2期OPのANZA「扉をあけて」の作曲のみを提供した。
編曲が本間・広瀬2人の連名だった楽曲は今作が最後となり、この後のベスト盤に収録された「幸せになりたい」、「Always I Need」、『ストロボ』『I Wish』と残りの本間昭光が参加した曲は全て単独編曲へと変わった。
★★★★☆
1stベスト『THE BEST Love Winters』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
14th ストロボ
1998年12月2日
編曲:本間昭光
「アルペン」CMソング。11月11日にリリースしていた『THE BEST Love Winters』が空前の大ヒットになる中でリリースされたため、例年と違って初登場6位で最初からトップ10入り。2週目に5位に浮上して7位→7位(合算週)→8位→10位と「promise」ほどではないものの、2年連続で年末年始に大ヒットし、13週ランクインで30万枚を超えるヒットを記録した。しかし結果的に今作が最後のトップ10入り、最後の大ヒットとなった。
編曲は本間昭光単独で任せるようになったが、今作ではデジタルサウンドを前面に押し出したアップナンバー。1年後のポルノグラフィティでも当初デジタルサウンド(ドラム打ち込み)を主軸としていたもののメンバーにギターとベースがいるのもあって今作のような全面的なデジタルサウンドは導入しておらず、さらに後年のいきものがかりではフルバンド編成+ストリングスが当たり前の徹底した生音編成が主軸にアレンジャーとしての作風を変えていったため、本間昭光の名前から抱く印象からするとけっこう珍しいスタイルのアレンジになっているんじゃないかと思う。前作以上に鋭く突き抜けるようなスピード感、サビ終わりのDreamの高音の伸びといい、ひたすらに圧巻。極まりすぎてもうこれ以上は無かったかもしれないが、路線変更なしでこの先も本間昭光とのタッグを続けていたらどんな曲が聞けたのだろうか?とはどうしても思ってしまう。
なおCMでは30秒バージョンでもstrong>最後のDreamのドリでブツ切りになってしまう。ま た や っ た 。
★★★★★
3rdベスト『Alpen Best』
4thベスト『タイアップコレクション~広瀬香美のテレビで聴いたあの曲達~』
5thベスト『SINGLE COLLECTION』
6thベスト『Winter High!!~Best Of Kohmi’s Party~』
7thベスト『THE BEST “1992-2018″+”雪” Set List Non-Stop Mix』
8thベスト『WINTER TOUR 2020 “SING”+Live at Blue Note Tokyo』
9thベスト『Kohmi30th』初回限定盤BOX SET
ストロボ(remixture)
1999年12月16日
From 8thアルバム『Music D.』
編曲Remix:野崎貴朗
本間昭光を離れた『Music D.』収録時は全面リミックスで収録。Arrangedという表記もあるが堂々Re-mixedとも併記されており、アルバムバージョンというより完全にリミックスバージョン。元の演奏の音も含めて丸ごと電子加工を施したような文字通りremixtureな仕上がり。カオスすぎる実験前回のアルバムの作風には原曲よりは合っていたのかもしれないが、名曲を過剰に電子加工して良くなる…事なんてまあないよなぁ…。
★★☆☆☆
ストロボ 2016
2016年11月2日
from 13th(25周年記念)アルバム『25th プレイリスト』
編曲:本間昭光
「promise」同様に本間昭光自らのリアレンジバージョン。別の打ち込み主体アレンジに変えてはいるが…リミックスのようでもあり、鋭さが消え失せてすっかりベテラン化してしまって正直なところ衰えを感じてしまうようななんともフツーな仕上がり。ボーカルはそんなに違和感があるほど変わってないので単純に「promise」以上にアレンジの腕が落ちた…とは思ってしまう。
★★★☆☆
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