『春に聴きたいスピッツ』全曲回顧

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2024年3月25日ST限定配信(期間限定)

スピッツ2024年春限定デジタルコンピレーションアルバム。ストリーミング配信限定でDL配信はされなかった。

2024年3月4日~10日まで“あなたが今年の春に聴きたいスピッツの楽曲を最新アルバム『ひみつスタジオ』から1曲、スピッツの全楽曲から1曲”の投票を募集、3月25日のデビュー記念日に配信を開始した。『ひみつスタジオ』からの投票1位「ときめきpart1」と全楽曲からの上位9曲が選曲されている。2024年春限定とされているが具体的な終了日は明記されていない。また配信が終了しても自力でプレイリストを組めば再現可能となる。

「スピカ」のみ何故か”Remasterd 2021″表記があるが、これは2021年に発売した『花鳥風月+』の際のリマスターと思われる。しかし『花鳥風月+』の配信においては各配信サイトで無表記「スピカ」で配信されているため何故今回この曲だけ表記が加えられたのかは不明である。一応「春の歌」「若葉」「チェリー」「正夢」「ヒバリのこころ」については2017年の『CYCLE HIT』のリマスターが存在、「ヒバリのこころ」は1stアルバム収録のアルバムバージョンが採用されているため『スピッツ』2002年リマスター音源と思われる。他の曲も各オリジナルアルバム(8thまでは2002年リマスター、9th以降は当時)から引っ張ってきているのだとすればオリジナルアルバム収録が無い「スピカ」のみ『花鳥風月+』から引っ張ってきたことを示す”Remasterd 2021″表記がされた理由にはなる…かも…。※アナログ盤用にもマスタリングされているので厳密な最新リマスターはアナログ用なのかもしれないが配信には使用していないだろうと推測。

「春の歌」はまあそのままなので1位確定というか、最早「春の歌」を筆頭にした春コンピというくらいリード曲的存在になる事は容易に予想できたことだが、“新しい季節”を歌っている4月発売の「ロビンソン」、主題歌になったドラマ『白線流し』の影響でリアルタイム学生世代を中心に卒業ソングの1つとして捉えられていた「空も飛べるはず」の2曲が上位入りしなかったのはかなり謎。けっこうコアなファンのみが投票に参加し、ベタな選曲を避けたのか、「ロビンソン」「空も飛べるはず」を春の歌としてリアルタイムで感じた世代は既に聞かなくなっていてリスナー層が入れ替わっているのだろうか…。

あと「タンポポ」も春のイメージ。「ただ春を待つ」は春を待つ曲なので冬か。シングルだと春発売の「夢じゃない」「冷たい頬」「流れ星」「ホタル」「ルキンフォー」辺りは当時の春の空気を思い出す。「美しい鰭」も昨春の久々の大ヒット曲というイメージ。

どうも明確に春の曲以外は2023~2024年の直近のツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR ’23-’24 “HIMITSU STUDIO”』、及び2023年のFCツアーライブBlu-ray/DVDに収録された曲がやたらセレクトされているような感じではある。そんなに頻繁にライブでやってない曲でも直近1年でライブで聞いてよかったなと思ったFC会員による票が集中したのかもしれない。

当初アルバム感想として取り上げる予定で準備していたが、配信アルバムというより投票プレイリストに近い形式である事と期間限定のST配信である事からアルバム感想として残すのは何か違うのではないかという事になった。さらにスピッツの過去曲回顧は現存最古に近く既に10年以上前の「要リメイク対象」となっているものの時間がかかるため当面手をつけられそうにない。よってこの機会にこういう形での過去曲回顧として1度取り上げてみようという事になった。

昔なじみの曲がほとんどだし、今回はC/Wを引っ張り出して聞き込んだりも無いのでさっと書き下ろせるだろう…と始めてみたものの、思ったより長くなってしまい、1日分としてアップするには4月1日新年度開始記念スペシャルみたいな分量の更新内容になってしまった。

1.ときめきpart1

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
17thアルバム『ひみつスタジオ』(2023年5月17日)
最新アルバム13曲から固定1枠の座をゲットした。映画『水は海に向かって流れる』主題歌。デラックスエディション/初回限定盤のBlu-ray/DVDにMVが収録されなかったが、発売日当日にYouTubeでMVが公開されたり、CDTVやMステで連続して披露されたりとアルバムのプロモーション楽曲となっていた。このアルバムから絶対に1曲選べと言われても特に季節で聞きたい曲が無ぇ…通年だろ…というのが正直なところでどの曲が選ばれてもなんか適当に曲調とか雰囲気で適当に理由付けできなくもない…という事で春は出会いの季節→ときめきの出会いがあるかもよ→「ときめきpart1」は春の曲!!と結論付けられなくもない。

サウンド面では2010年代のストリングスブームの中で近年ロックバンドにストリングスが凄く多くなってきたから自分たちはもう使わないと警鐘を鳴らし(『小さな生き物』の時は雑誌インタビューで宣言、次の『醒めない』の時は特設サイトで公式に宣言)、そのストリングスをJ-POPのバンドに率先して入れまくった張本人四天王の中でも最強と目されるアレンジャーの1人亀田誠治を起用し続けながらノーストリングス宣言で本当にストリングスを使わなくなっていた中で、バイオリン1人を起用。ストリングスを最後に導入したのは2010年のシングル「つぐみ」だったと思うけど、今回もストリングスではなくバイオリン1人であるところにまだ安易に行かないぞ…という意識も感じられる。避けに避けてきただけあってここぞというタイミングでの今作の使用はとても効果的で美しく響いているように聞こえる。優しい雰囲気の曲だ。
印象度★★★☆☆
春に聴きたい度★★★☆☆

2.春の歌

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
11thアルバム『スーベニア』(2005年1月12日)
30thシングル(カット) 最高5位 売上6.7万枚(2005年4月20日)
2ndシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1997~2005 Spitz Complete Single Collection

スーベニア』の1曲目を飾った楽曲。アルバムは1月発売で当初は迎春、来る今年の春に向けたアルバム1曲目といった存在感だったが、実際に春になって「アクエリアス」CMソングに起用されたため3ヶ月後の4月に新曲「テクテク」との両A面シングル『春の歌/テクテク』としてシングルカットされた。CMは春限定でなく通年で使用され続けたため夏でも秋でも冬でも春のう~た~♪と流れていた(春の期間限定キャンペーンじゃないのに良く起用したな…)。2017年に藤原さくらが大胆改変アレンジでカバーした際はかなりクセ強なふぁるのうぅたぁ♪が物議をかもした。

ド直球ストレートすぎて逆に誰も使わなかった「春の歌」を堂々使用した文字通り”春の歌”。サビ頭もそのまま”春の歌”。ひねくれた良く分からない歌詞を書くイメージだったスピッツにしては比較的分かりやすく、前向きで希望が見えるような気がする歌詞で春を彩る定番曲へと成長した。Aメロとか一筋縄ではいかないというか、それなりにそれなりな道のりを苦労して進んできたような言葉が並んでいるし、大サビでのサルのままで孤りとか言い出したりしていて、らしさも発揮されている。そこからのサビの開放感であるところは当時着うたでサビだけ聞いていたリスナーとフルで聞いていたリスナーで少しイメージが変わっているところもかもしれない。
印象度★★★★☆
春に聴きたい度★★★★★

3.若葉

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
34thシングル 最高5位 売上3.8万枚(2008年11月5日)
13thアルバム『とげまる』(2010年10月27日)
3rdシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 2006~2017 Spitz Complete Single Collection

前年のアルバム『さざなみCD』から1年以上のブランクを経ての久々のシングルとして発売された。映画『櫻の園』主題歌。

映画が11月公開だったのでシングルも11月発売。タイトル「若葉」だし、”花咲き誇る頃に”という歌詞もあるので春の曲といえるが、発売が晩秋の時期だったのでなんとなくそのまま秋のイメージの曲になっている。歌詞が全て過去形になっていてサビ頭にあるように思い出している曲なので、違う季節に遠い春を思い出しているようなイメージ。なので実際に春に聞くのは少し違う気がしてしまう。

アコースティックを生かしたシンプルなサウンドで最後まで派手に盛り上がる事は無いが抑えの美学というか、淡い雰囲気が現在ではない遠い過去の映像と重なるようなそんな印象がある。ストリングスで奏でるようなラインを終始エレキギターが奏でているところもポイントでこの三輪ギターがたまらない。
印象度★★★★☆
春に聴きたい度★★★☆☆

4.チェリー

作詞作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳&スピッツ
13thシングル 最高1位 売上161.3万枚(1996年4月10日)
7thアルバム『インディゴ地平線』(1996年10月23日)
非公認ベスト『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ
1stシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991~1997 Spitz Complete Single Collection

人気絶頂期にリリースされ、「ロビンソン」と並ぶ自身2番ヒットシングルとなった。タイアップ無しでリリースされ、同じくタイアップの無いMr.Children『花-Mémento-Mori-』と同時発売でデッドヒートを繰り広げ、今作は初登場2位だったが、4週目に1位となり、最終的には『花-Mémento-Mori-』を上回って年間4位(『花-Mémento-Mori-』は5位)となった。

なおタイアップではないが同年夏頃に放送された『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』内で5回くらい放送された「勝俣・本上愛の行方」というモテないキャラだった当時アラサーの勝俣州和と当時20歳そこそこの新人だった本上まさみのお見合いデート企画で毎回クライマックスでこの曲を使用してテーマ曲のようになっていた。そこで初めてリアルタイムでスピッツに触れたのでその印象が強く、ノンタイアップという認識が個人的にはあまりない。

スピッツバブルのピークであり、明るくポップなスピッツのパブリックイメージそのままの1曲。『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』は概ねこのような曲を期待して手に取られ、その期待に沿った時期の曲だけが綺麗に切り取られて収録されていた事もあり、よりこのイメージが強くなった。作風的には前のアルバム『ハチミツ』の明るく開いた音像の延長にあるが、今作が収録された『インディゴ地平線』はもう少し落ち着いた作風のため今作の置き場がなく、仕方なく最後にボーナストラックのように配置されている。

代表曲中の代表曲で、春に大ヒットした春の曲。「春の歌」と三大ミリオンの残り2作「ロビンソン」と「空も飛べるはず」でスピッツの春の歌四天王だろうと思っていたのだが後者2曲は選曲されなかった。
印象度★★★★★
春に聴きたい度★★★★★

5.桃

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
12thアルバム『さざなみCD』収録曲(2007年10月10日)
アルバムの2曲目。1曲目「僕のギター」が割とゆったりした始まりなので今作の方が勢いづけの1曲目っぽい。桃=桃色=桜と同じ=春!!というまさかそんな発想で選ばれたわけではあるまいな…。2023年にFC限定で発売されたFCツアーのライブBlu-ray/DVDに収録されていたのも影響した?

桃の花の季節のイメージ?桃本体(?)は夏の果物だしなぁ…。ていうか歌詞でも序盤2行目に”桃の唇”というワードが出てくるだけで、大サビで”甘い香り”というのが桃に繋がっているのかなという程度で桃そのものが登場するわけではなく、そんなに桃ってる(?)内容ではない“つかまえたその手”の相手の名前が”桃”だったという可能性よりは死を暗喩している説の方がしっくりとはくる曲調もまあ春っぽいといえば春っぽいし、違うといえば違う。安定感のある良曲ではあるが…う~んでもどうしても季節選ぶなら夏じゃないかなこれは。
印象度★★★☆☆
春に聴きたい度★★☆☆☆

6.謝々!

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&棚谷祐一
18thシングル『冷たい頬/謝々!』両A面曲(1998年3月18日)
8thアルバム『フェイクファー』収録曲(1998年3月25日)

『フェイクファー』の1週間前にリリースされた先行シングルの両A面曲。シングルコレクションアルバムは1曲目しか収録しない法則に基づき、『RECYCLE』にも『CYCLE HIT』にも収録されていないので、最早存在感はオリジナルアルバムに収録されたC/W曲と変わらない。

読みは「シェイシェイ」。サビで何度も「シェイシェイ」と歌っているのと文脈から中国語「謝謝」と同じ「ありがとう」の意味で使用されているが、表記は「々」を使用した独自表記となっているほか、本気で中国語に寄せた発音にしているわけでもなく、ハマりがいいので使用したものと思われる。

春真っ盛りの発売だったため春のイメージは確かにあったが、「冷たい頬」も同様だったので今更ピックアップされるとは思わなかった。ライブでもほぼやっていないはずだが、これも2023年のFCツアーライブBlu-ray/DVDに収録されているほかどうやら直近の一般ツアーのアンコールでも演奏されたのが大きかったようだ。ホーンセクションを導入した賑やかで明るいサウンドにゴスペルコーラスまで入った割と豪勢な演奏。スピッツのライブはメンバー+キーボードのクジヒロコというシンプルな編成が基本でストリングス隊やホーン隊は帯同しないし(そもそもいても出番がほとんどない)、比較的珍しいタイプの曲だと思う。当時はホーンサウンドがあまり好きでは無かったのでアルバムの中でも1番聞かない曲になってしまっていたが、すっかり志向も変わって今聞くと華やかでいいな…。

序盤で“記号化されたこの部屋からついに旅立っていくんです”というフレーズがあり、春の旅立ちのイメージに重なるというのはあるのかもしれない。
印象度★★★☆☆
春に聴きたい度★★★☆☆

7.君と暮らせたら

作詞作曲:草野正宗、編曲:笹路正徳&スピッツ
6thアルバム『ハチミツ』収録曲(1995年9月20日)
アルバムの最終曲。ポップな名盤『ハチミツ』を締めくくる良曲…やっぱこのアルバム突き抜けて良メロ連発のポップアルバムだな!という以上の印象が無く、春のイメージが全く無い。冒頭の“緑のトンネル抜けて”が新緑の季節っぽいのか…?これまた2023年のFCツアーライブBlu-ray/DVDに収録されていてしかも1曲目だったのが影響した?

前の曲から記号化されたこの部屋からついに旅立って君と暮らせたら…となんだか変に繋がってしまうのも偶然なのか。
印象度★★★☆☆
春に聴きたい度★★☆☆☆

8.スピカ(Remasterd 2021)

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&棚谷祐一
19thシングル『楓/スピカ』両A面曲(1998年7月7日)
1stスペシャルアルバム『花鳥風月

『フェイクファー』収録曲「楓」のシングルカット+新曲「スピカ」の両A面シングルとしての発売。日本航空「リゾッチャ」CMソングとして使用されており、他の両A面2曲目に比べるとそこそこ世に流れていた曲だったと思われるが、前述のようにシングルコレクションアルバムは1曲目しか収録しない法則に基づき、『RECYCLE』にも『CYCLE HIT』にも収録されず、オリジナルアルバムにも収録されずに『花鳥風月』にのみ収録されている。

サウンド的には『フェイクファー』の延長で共同アレンジャーも同じ棚谷祐一。ポップでおとなしいイメージからもっとエレキギターがガンガン鳴るようなロックバンドへとシフトチェンジしていた時期だったがミックスの段階で望んだサウンドに仕上がらず試行錯誤を始めた時期でもあり、『ハヤブサ』『三日月ロック』で理想のサウンドに到達する前のいかにも過渡期っぽいサウンドではある。今までよりも激しめにエレキギターが鳴り響いていて収録された『花鳥風月』の中では最もロック色が強い。しかし『ハヤブサ』『三日月ロック』以降と比べると音像が異なっていて、ちょっと歪んだ感じでロック色を出そうとしているかのような…。

「リゾッチャ」タイアップが意識されていたのかは分からないが(『フェイクファー』のレコーディングで最初に準備された仮タイトル「粉のように」だったっていうし)、飛び立っていくような開放感のある爽快なサビメロだと思う。大サビの“南へ向かう風 流れる雲に”のくだりなんかはハワイとかグアムへ向かう「リゾッチャ」っぽいんだよなぁ…。発売も七夕だったし、タイアップからしても春というより初夏~夏のイメージ。これまた2023年のFCツアーライブBlu-ray/D(以下略)
印象度★★★★☆
春に聴きたい度★★☆☆☆

9.正夢

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ&亀田誠治
29thシングル 最高4位 売上14.0万枚(2004年11月10日)
11thアルバム『スーベニア』(2005年1月12日)

亀田誠治がJ-POPストリングスアレンジャーと化していった時期で、SOPHIAにもストリングスたっぷりアレンジを施していたり、アレンジを手掛けた平井堅のストバラ(ストリングス大バラード「瞳をとじて」はこの年の年間1位である。スピッツのシングルでは今作が最もド派手にストリングスで敷き詰められた曲。『スーベニア』の時期は過剰なまでに音圧MAXな時期だった事もあって、マジで隙間なく一面ビッシリ音で埋め尽くされているような音像が印象的。

フジ月9ドラマ『めだか』主題歌、富士フイルム企業CMイメージソングと当時からWタイアップがついていた。2番サビで“愛は必ず最後に勝つだろう”とKANの大ヒット曲を引用した箇所があり、Special ThanksとしてKANが表記されていた。全体に美麗な雰囲気の楽曲ではあるが、歌詞には何気にかなり危うげなものを感じ、人によって様々な解釈ができるのではないだろうか。

ドラマも発売時期も完全に秋の曲であり、個人的には一面の紅葉の景色が浮かんでくる1曲でもあるので春に聞きたい曲ではないかな…。特に季節を特定するフレーズも見当たらないが、サウンド感も秋が深まっていくイメージなんだよな。これまた2023年のFCツアーラ(以下略)
印象度★★★★☆
春に聴きたい度★★☆☆☆

10.ヒバリのこころ

作詞作曲:草野正宗、編曲:スピッツ
インディーズミニアルバム『ヒバリのこころ』(1990年3月21日/インディーズVer.)
1stアルバム『スピッツ』(1991年3月25日)
1stシングル(同時発売) 100位圏外(1991年3月25日)
1stシングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991~1997 Spitz Complete Single Collection』(シングルVer.)
1stスペシャルアルバム再発盤『花鳥風月+』(インディーズVer.)

元々は1990年のインディーズ時代のアルバムタイトル曲としてリリースされていた曲だが、メジャーデビュー時にアレンジを変更してリメイクし、シングルとアルバム同時発売でのメジャーデビュー作となった。スピッツの周年起点はメジャーデビュー日ではなく結成起点(1987年)となっているので30周年ツアーも『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection-30th Anniversary BOX-』も2017年結成30周年起点だったりするが、1991年3月25日も記念日として扱っており、メジャーデビューを起点とした10周年、20周年時にはPV集DVD、15周年時には『CYCLE HIT』、30周年に合わせて「紫の夜を越えて」を配信リリースするなど何かしら発売される事も多い。

同時発売のシングルとアルバムではフェードアウトの長さが異なりアルバムの方が30秒程度長い。『CYCLE HIT 1991~1997 Spitz Complete Single Collection』にはシングルバージョンが収録されているが、今回選択されたのはアルバムバージョン

“僕らこれから強く生きていこう”と歌うサビがメジャーデビューの決意のように感じられ(実際には前述のようにインディーズ時代から歌っている曲なので関係ない)、デビュー曲らしいデビュー曲。既に世界観は完成されており、さらにインディーズVer.とは主にギターソロやリズムパターンが大きく変更されているが正統にブラッシュアップしたような印象。冒頭の歌詞に“僕が君に出会ったのは冬も終わりのことだった 降り積もった角砂糖が溶け出してた”と冬の終わりの雪解けを思わせる内容になっているのと何より3月25日デビュー記念日が印象付けらているため、春のイメージは強い。この曲が最後に来るのもおさまりが良く、一部何故この曲がここに…という疑問もあったが『春に聴きたいスピッツ』を綺麗に締めくくってくれる。
印象度★★★★☆
春に聴きたい度★★★★☆

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