TUBE 35年で61シングル回顧+2~1990-1995~

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TUBE 35周年シングル回顧+2~1990-1995~

90年代に突入して完全自作体制へ突入。この時期は春にアルバム先行シングル(迎夏シングル)→7月にアルバム→8月にシングル(盛夏シングル)という基本リリース体制で進行していた。また盛夏シングルは翌年のアルバムには入れずに未収録というパターンだった。これにより『TUBEsstⅡ』がリリースされた際は半数が初収録だった。

セールス面での全盛期もこの時期に迎えており、売上はグングン伸びたがミリオンヒットに至る突出した大ヒットは生まれなかった。1位もなかなか取れなかったが、菅原潤一社長はそれこそが人気が長続きした理由だと後年インタビューで回答している。実際1曲ピークが生まれなかった事でピークが長く続く高止まり状態にもなったと思う。

アルバムでは『終わらない夏に』が初回・通常の合算でミリオン、『TUBEstⅡ』が最大ヒットでミリオンを達成している。

※2015年執筆、2020年全面修正+連載時は無かったアルバム曲を新規で少し追加

11th あー夏休み

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90年5月21日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉&前田亘輝、編曲:TUBE
Re-newed編曲:池田大介

なかなかOKを出さない長戸プロデューサーの意向に反発しながらもヤケクソで制作されたというラテン風味の歌謡ナンバー。これまでのシングルタイトルは英語ばかりであり、日本語は2ndの「に首ったけ」の部分だけだったので、今作も元々「あー夏休み」の部分はOh Summer Holidayという歌詞が乗っていた「Summer Holiday」という曲だったそうだが、プロデューサーがOKを出さず「だったら”あー夏休み”ならいいわけ?」と反論したら「それだ!」と言われ、唖然としながらも最終的な判断はメンバーに委ねられ、解散の危機に陥りながらも腹を括ってどうせなら徹底的にやろうと歌詞もおちゃらけたものに書き換え(何故か一部エセ関西弁に…)、PVでも浴衣姿でふざけまくってリリースしたらヒット。「Beach Time」以来のトップ10入りを果たし、この時点で「シーズン・イン・ザ・サン」に続く2番ヒット、20万越えの売上を記録した。レコードからCDに切り替わり市場規模も大きく変わってく過渡期だったので単純比較はできないが、自作で越えねばならない高い壁と意識していた織田哲郎3曲のうち2曲をまさかのこれであっさり抜き去ってしまった事になる。作曲が連名になっているが、相当直しが入ったのでどっちがどの部分を作ったかも良く分からなくなったのと曲が曲だけに恥ずかしかったのかお互いここは俺の作曲じゃないいやここは俺じゃないと譲りあった結果平等に連名にしたとか。

結果的に今作のおかげでTUBEはより自由になり、80年代のヒット曲を越えるためにラテン歌謡という新たな武器も獲得できた重要な1曲に。とはいえ売上は20万程度で年間チャートにしても48位とさほど大きなヒットではない。TUBEの歴代シングルの中でもトップ10にも全く入ってこない。しかしTV番組で夏休み感を出したいときにはBGMにしとけば万事OK、というくらいに毎年あちこちで使われまくっているので夏到来&夏休み定番曲として残っていき、これも90年代末頃はそこまで絶対的な代表曲っていう感じではなかったと思うんだけど気が付けば現在は「シーズン・イン・ザ・サン」と並ぶ圧倒的代表曲になっているように思う。ラテンといっても本格的なものではなくメンバーも言うようにラテンフレーバー程度であり、テンポを落とせば演歌になってしまいそうな強烈な歌謡テイストのアクが強さが強烈なまでにザ・日本の夏。正直歌謡テイストが苦手だったんだけど、やっぱりこの曲を聞くと夏が来るんだよな。ただこの意味合いは初めて聞いた頃と今では全く違う。

学生時代→来たぜ夏休みィィィィァァ!!実際はそんなに予定無い
現在→大 人 に 夏 休 み は 無 い 嗚呼夏休みの季節が来たんだなぁ…

と暑さにぐったりしながら毎年思う。
★★★☆☆
10thアルバム『N・A・T・S・U
2ndベスト『TUBEstⅡ
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

N・A・T・S・U

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90年6月21日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
10thアルバム『N・A・T・S・U』の表題曲…だが10曲中8曲目という随分と地味なポジションに収録されている。序盤の「THE SURFIN’ IN THE WIND」「90’S DOOR」なんかも爽やかで90年代到来を感じる洗練っぷりだが、タイトル作である今作はタイトルこそローマ字にして・で分けているが真っ向勝負で夏を歌った楽曲。これまた奇をてらわないさわやかさで自作でもやっていける実力を存分に示したサマーソングだと思う。

このアルバム、「あー夏休み」が入っているものの、メンバー間でも賛否のあった「あー夏休み」ヒットの結果が出る前に制作されているので、むしろ「あー夏休み」でシングル用に振り切った反動で、アルバム自体はかなりメンバーがやりたいことをストイックにやれたようだ。おふざけなし、ストレートな良メロポップロックナンバーが並んでいる。その象徴としての1曲でもあると思う。
★★★☆☆
10thアルバム『N・A・T・S・U
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

12th 湘南My Love

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91年5月2日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
今作以降しばらく迎夏シングル(先行)→アルバム→盛夏シングル(アルバム未収録)というリリースパターンが定着。湘南ご当地ナンバーのミディアムバラード。TUBEのバラードの中ではかなり知名度が高い代表的扱いになっていると思われ、バラードベスト収録や10年後には「湘南My Love 2002」としてリメイクもされたことがある。

実際のTUBEの出身地はサザンと違って湘南ではなく湘北寄りだったそうだけど、湘南=夏なイメージってサザンとTUBEによって全国的に定着したんじゃないかという気も。あとヤンキーのイメージは漫画「湘南純愛組」(「GTO」の高校時代)とか。割とベタな楽曲なだけに馴染みやすい反面、けっこう早くに飽きてしまったが、久々に聞くとやはりスタンダードな名曲だなとも思えるようなそんな1曲。

「湘南My Love 2002」はアコースティック&ストリングス&2番から軽い打ち込みっぽいリズムが入ってくる形でリメイクされているが、当時の流行り(R&BやHIP HOPのブームによりリズムが軽い)に合わせたリミックスバージョンといった感じ。オリジナルも90年代前半臭が強いが、今となっては逆に2002の方が時代性が強くなってしまったような…。
★★★☆☆
11thアルバム『湘南
2ndベスト『TUBEstⅡ
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ
22ndアルバム『good day sunshine』(湘南My Love 2002)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

十年先のラブストーリー

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91年5月25日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
11thアルバム『湘南』最終曲。ファン人気最上位とされる人気バラード。90年代のアルバムラストを飾るTUBEバラードは毎回派手なものが多いが今作以降でこの流れが固まったと思う。後のバラードベスト発売へも繋がっていった。10年単位での愛を歌った派手なラブソングだが力強く高らかな歌声・メロディー共に名曲と呼ぶしかない名曲

『Melodies&Memories』では新録音されているが、完成されているのであまり変えるところが無かったのか歌い回しが少し変化した以外に演奏には大きな変化はない。パッと聞き区別もつかない。人気の高さにより「君となら」と共に『Melodies&MemoriesⅡ』にも選曲されたがそちらはオリジナルバージョン
なお偶然にも今作発売の10年後2001年に前田亘輝は飯島直子と離婚した。
★★★★☆
11thアルバム『湘南
1stバラードベスト『Melodies&Memories』(新録音)
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

13th さよならイエスタデイ

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91年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
Re-newed編曲:沓野行秀

アルバムの後にリリースされた通称“盛夏シングル”。この盛夏シングルは基本的に翌年のアルバムには収録されず、後の『TUBEstⅡ』でアルバム初収録となっている。「あー夏休み」「湘南My Love」と共に実は20万台の売上だったが今作は一気に57.5万枚と2倍以上の売上に爆上げした。

女性目線の歌詞によるラテンテイスト+歌謡ナンバー。今作以降盛夏シングルではこのような攻めまくりのシングルを出すようになったが、オリジナルアルバム未収録でバランスも考えなくていいせいか、「あー夏休み」で自由になったせいか、かなりエスカレートさせたある意味で遊びまくりな曲が続いた。今作もコテコテな歌謡臭を漂わせながらラテンテイストが前面に出ていてこの組み合わせに強烈なインパクトがあり耳に残る。

サビの歌詞の“少女”が”処女”に聞こえるのも歌詞の内容からして狙ってやったのだろうか。かなり酸いも甘いも知り尽くした女性が若き日の純情を振り返っているような内容で昨日どころか数えきれぬ男と夜を共にしている事から数年~10年近くは昔の純情を振り返っているように思えるがそれで何故に”イエスタデイ”なのか。昨日の事のように鮮明な記憶なのだろう。
★★★☆☆
2ndベスト『TUBEstⅡ
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

Smile

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92年4月15日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
編曲:徳永暁人(For Tomorrow’s Friends)

5曲入りの1stミニアルバム『Smile』表題曲で1曲目。92、93年は最初にミニアルバム→迎夏シングル→フルアルバム→盛夏シングル(アルバム未収録)という4連続リリースを繰り広げた。かなりの多作っぷりだが、全曲自作ではなかったとはいえ80年代は年間2枚のフルアルバム+前田と春畑はソロアルバム+渚のオールスターズとかやっていたので、割と余力があったのだろうか。

笑顔をテーマにしたストレートな励ましソングでポップな曲調もあってか自然と笑顔になれるような優しさも感じられる。笑顔の大切さを改めて感じられる笑顔の名曲

2008年の明石家さんまが総合司会を担当したフジ系『27時間テレビ』では番組中にさんまがゲストで出てきたBEGINにエンディングまでに曲を作ってくれと無茶振りしてエンディングで新曲「笑顔のまんま」が披露されたのがトピックだったが、番組のテーマが「笑顔」だった事もあって、CM前後のキャッチ部分では笑顔関係の楽曲がランダムで使用されていた。大塚愛の「SMILY」とか数年前でまだ記憶の新しい曲もあったが、それらの曲の1つとして今作が使われていたので、けっこう驚いた記憶がある。92年当時のCMタイアップは記憶になかったので、ふいに2008年にもなってTVでこの曲のサビ頭を繰り返し聞くというのが妙に新鮮だった。

2002年の日韓W杯の際にはコンピ盤『2002 FIFA WORLD CUP OFFICIAL ALBUM~SONG OF KOREA/JAPAN~』の韓国版に「Smile~For Tomorrow’s Friends~」としてリメイクされた音源が収録され、日本では37thシングル『I’m in love you, good day sunshine』C/Wとして収録された。オリジナルのポップな雰囲気はそのままだが、「I’m in love you, good day sunshine」同様に徳永暁人による単独アレンジで、ドラムが打ち込み全開の軽いリズムに変わってしまっていて当時のGIZAサウンドの影響がダイレクトに反映されてしまっている。なんでこんな軽くした…?と当時も残念に思いつつ曲の良さは変わらないとも思う。改めて聞くとオリジナルはオリジナルでちょっと音が古いし、For Tomorrow’s Friendsはこれまた一時期の流行りの音に乗っかりすぎだしで、リメイクするならもう少し前か後だったら良かったのになとは思う。
★★★★☆
1stミニアルバム『Smile
37thシングル『I’m in love you, good day sunshine』C/W(For Tomorrow’s Friends)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

14th 夏だね

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92年5月2日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
前作に続いてさらに売上を伸ばして60万枚を突破、以後3年間60万枚以上の売上をキープした。爽やかなミドルポップナンバー。勢いがあってどんどんいろんな路線を拡大していた時期だけにこんな感じで穏やかに夏がやってくるのを感じられる楽曲は90年代のシングルでは珍しく、メロウな雰囲気がひたすら心地いい。夏がじわじわ近づいてくるのを感じられる曲で、まずはここから今年の夏のTUBEを始めようという毎年のシーズンインソングとしても優秀。

今作が収録されている『納涼』は前作に続いてさらに方向性を広げた作品でイケイケ路線の曲が目立つので2曲目に唐突に爽やかな今作が出てくるとかなり浮いていた。が、メロディーの良さは単独で聞くよりさらに強く感じられる。

03年には今作と雰囲気が似ているシングル「青いメロディー」C/Wでcosta del sol mixとしてリメイクされた。mixとはなっているが完全なる別アレンジで謎のトロピカルハワイアン風味に変貌。これは何をしたかったのか正直ワケが分からな…。
★★★★☆
12thアルバム『納涼
2ndベスト『TUBEstⅡ
39thシングル『青いメロディー』C/W(costa del sol mix)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

君となら

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92年6月10日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
12thアルバム『納涼』最終曲。静かに始まり徐々に盛り上がりを見せていく壮大なウェディングバラード。『Melodies&Memories』で新録音されて、『Melodies&MemoriesⅡ』ではオリジナルで収録されたのは「十年先のラブストーリー」と今作のみで、2トップの代表バラードとして扱われている。これ以降も感動的な大バラードナンバーがたくさん出てくるので個人的には今作がそこまでという印象ではないが、それでも名バラードには違いない。
★★★☆☆
12thアルバム『納涼
1stバラードベスト『Melodies&Memories』(新録音)
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

15th ガラスのメモリーズ

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92年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
Re-newed編曲:葉山たけし

「さよならイエスタデイ」に続くラテンフレーバー歌謡路線。「だって夏じゃない」まで含めて3年連続でインパクト溢れるラテン歌謡が続いたが、3曲の中では個人的にはこの曲が1番好き。アレンジの遊びっぷりはより加速度を増していて、サビ以外は妙に淡々としたメロディーとアレンジになっていてまるで別の曲のようでもある。しかもこのサビ以外の部分は妙に久保田早紀の「異邦人」に似た雰囲気を感じる。これが元ネタという事なのだろうか。
★★★★☆
2ndベスト『TUBEstⅡ
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Re-newed)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

Say Hello

B0000A12DV
93年4月21日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
2年連続となる5曲入りミニアルバム『Say Hello』表題曲にして1曲目。「Smile」同様にリスナーをストレートに励ます明るいポップナンバー。今作でも”いつも笑顔でいこう”と歌っているがさらに拡大して“Say Hello 声をかけよう”と呼びかける。フォーマットも同じミニアルバムなので意識的に共通させつつもさらにその先を目指したような1曲だと思う。まあ「Smile」の方が印象的で人気も根強く残った曲にはなったようだけど…これも十分にいい曲だ。
★★★☆☆
2ndミニアルバム『Say Hello

16th 夏を待ちきれなくて

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93年5月12日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
16枚目にしてついに初の1位を獲得。現在は2番ヒット作。今作で同年に初の紅白出演も果たした。これまで以上にガッツリと引き込まれるメロディーに大きな躍進を感じる。ここから直球勝負のド王道で名曲を連発する全盛期が始まった。『TUBEstⅡ』で一斉にシングルを聞いたときにまずもってタイトルがかぶりまくってどれがどれだか分からなくなったが、その状態を比較的最初に抜け出していい曲だなと思った曲の1つ。

しかし初1位、2回しか出てない紅白での歌唱曲、80万枚に迫る2番ヒット、普通に考えてかなり圧倒的に代表曲のはずなのに現在TVに出てもまずもって歌われる事は無い…。全盛期の連続ヒットの1つ程度でしかないのはやはり当時の1つのボーダーであったミリオンに届いていない、突出していないせいなのか。

…と書いていたら、2020年8月4日のNHK「うたコン」出演時に披露された(「日本の夏からこんにちは」とセット)。
★★★★☆
13thアルバム『浪漫の夏
2ndベスト『TUBEstⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

浪漫の夏

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93年6月16日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
13thアルバム『浪漫の夏』表題曲にして1曲目。この時期に売上も一気に躍進したが、楽曲面でも大きく突き抜けたように思う。自作になってから主に「シーズン・イン・ザ・サン」「Summer Dream」「Beach Time」の爽やかなヒットソングを越えていかなければならないという戦いはあったと思うんだけど、そこはひとまずラテン歌謡という新たな武器で新たな方向性を広げる事で突破してきた。そして爽やかな方向性でもいよいよ過去のイメージを塗り替えていけるようになったのはこの時期からだと思う。突き抜ける爽快さと気持ちよく鳴り響くエレキギター、ポップでもあるがロックでもある。洋楽か歌謡曲かという括りではなく、本当にこれぞJ-POPになったというそんな時代を映した充実した1曲。
★★★★☆
13thアルバム『浪漫の夏
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

17th だって夏じゃない

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93年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
ラテンフレーバー歌謡曲三部作(?)の中では最も攻撃的な1作。花火とか金魚すくいとか夏祭りっぽい単語が散りばめられているが、基本的には夜の情事を描いていてアダルティー度が高い。あまり気にしていなかったというか昔はなんでこの歌詞の流れでサビ終わりが”固くなる”=緊張している?のか良く分かってなかったが、よく見ると2番の同箇所が”濡れてくる”になっている事からも緊張してフリーズしているのではなく、ド直球表現だった模様。通常この手の表現は”熱くなる”程度でオブラートに包みそうなところだが…。いや凄ぇ曲だ。シングルでさらっと出して3作しかない1位獲得曲のうちの1曲としてヒットさせちゃうんだぜ…
★★★☆☆
2ndベスト『TUBEstⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

18th 夏を抱きしめて

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94年5月11日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
TUBE最大のヒットシングル。ここまで3作連続1位を記録したがこれが最後でTUBEのシングル1位はこの3作連続の3作のみとなった。前年秋に前田ソロ「Try Boy,Try Girl」が「夏を待ちきれなくて」を越える大ヒットを記録。これにより前田ソロの方が売上が高いという状態になってしまったが、今作ですぐに逆転。結果的にミリオンにはあと10万弱届かず、「Try Boy,Try Girl」を越えたのは今作だけ、売上のピークもここになってしまった上に、その名曲っぷりと売上枚数の割には現在は明らかに「シーズン・イン・ザ・サン」や「あー夏休み」にも知名度で大きく差をつけられ、あまり代表曲としても認識されてない感じもある。せめてミリオンに届いていれば懐古系番組でもう少し取り上げられる機会もあったのだろうか。

アコースティックバラード調に静かに始まり、2番からバンドインして盛り上がっていく構成がさわやかだけど熱い。「夏を待ちきれなくて」に続いてメロディーの良さも冴え渡っていて躍進っぷりはまさにピークといえる勢い。爽やかなTUBEの最高峰だと思う。惜しいのはアウトロの春畑ギターがとてもいい感じなのに最後まで聞かせてくれずにフェードアウトしていってしまうところ。アルバムバージョンで完全版を聞かせてくれる…事も無く、曲が長尺化しそうでもないのに何故そんなに早くフェードアウトさせてしまったのか。

『TUBEstⅢ』のAcoustic Versionは1番の静かなアレンジをさらにアコースティックで穏やかにしてそのまま進行させたような落ち着いた仕上がり。よりメロディーの良さを感じられる。
★★★★★
14thアルバム『終わらない夏に
2ndベスト『TUBEstⅡ
3rdベスト『TUBEstⅢ』(Acoustic Version)
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

一人になっちゃった

B0000A12DX
94年6月15日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
14thアルバム『終わらない夏に』9曲目。このアルバムはO社の記録では初回と通常を合算した場合オリジナルアルバム唯一のミリオン突破で(出荷ベースにしているのか水増ししているのか最近は公式に前作もミリオン、「夏を抱きしめて」もミリオンヒットだった事にして解説を書かせることも多い)メンバーも緻密さではこの頃がピーク、1曲の中で細かく楽器を変える等徹底的にこだわって作ったと語っていて、『BEST of TUBEst~All Time Best~』にも枠が少ないのに複数選曲されるなど、メンバーにとっても1つの最高点であったという認識が強いと思われるアルバムだ。

「もう負けないよ」「終わらない夢に」「傷だらけのhero」「Horizon」「夏よありがとう」などベスト盤やMIX CDに選曲されるような名曲はたくさんある中で今作は取り上げられた事は無いが最初に聞いた時に強く印象に残った。この曲ではかつて同じように夢に向かっていた仲間たちがみんな夢をあきらめていってついに今も同じ場所で戦っているのが自分1人になってしまったという心情を歌っている。残された者だけが感じる寂しさとそれでも自分はまだこの先を行くぞという強い決意、そこにとてつもない意志と強さを感じた。実際TUBEと同時期に80年代を駆け抜けてきたバンド達はこの時期までに続々と失速・解散となっていった。そんな思いも込められているのかもしれない。
★★★★☆
14thアルバム『終わらない夏に

夏よありがとう

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94年6月15日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
『終わらない夏に』最終曲。アルバムラストを飾る大バラードもキレッキレのメロディー、冴え渡りまくる高音、派手に盛り上がる演奏とマンネリ知らずの名曲。まさに全盛期極まる大バラード。ド派手な定番王道バラードとしても今作で最高潮に達してこれ以降は少し方向性を変えたりするようになったように思う。もう当然こんな高いキーは出せなくなって軽く10年以上経過していると思われるが、このキーが出ているうちに生で聞いておきたかったなぁ…。

あとどうでもいい話だが、『Melodies&MemoriesⅡ』でこの曲を最初に聞いた時はまだシングルでも夏系のタイトルが多すぎて区別がついてなくて、この曲もサビで高らかに“君とならァァァァかなえーられるー”とか歌ってたのでこの曲が「君となら」なんだとしばらく間違って記憶していた。
★★★★☆
14thアルバム『終わらない夏に
2ndバラードベスト『Melodies&MemoriesⅡ

19th 恋してムーチョ

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94年7月1日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
最大ヒットの直後にド派手にズッコケてしまったラテン・サンバ・カーニバル系ナンバー。まだシングルでこういうはじけたノリは見せていなかったのでけっこうな衝撃があったためだろうか。スタッフは相当反対していたが、メンバーは自信たっぷりで今作リリースを強行したという逸話も。さすがにこれだけ売上を落としたのでメンバーもコケたのは自認しているらしく、この曲をシングルで通した事に後悔はしていない、とても満足な1曲だが売上がどうだったかは忘れた(笑)などと冗談めかして後年のインタビューで回答している。

今作でガクッと落ちたセールスは以降戻らず…と売上推移だけ見ると下げ幅のすさまじさから人気低迷への戦犯扱いされかねない曲だが、一応これでもシングルの売上トップ10(10位)のヒット作である。なんなら「あー夏休み」も「シーズン・イン・ザ・サン」も「湘南My Love」もこれより下だ。お前ら頭が高いぞ!と威張ってもいいレベル。ライブでも盛り上がりそうだし、00年代に入ってからはイケイケ路線が主軸になってくるのでわりと自然に聞ける楽しい1曲。ていうか前年までのラテン歌謡3シングルのようなアクの強さも無いので断然みんなで親しみやすい曲だと思うんだけど、やはりいきなりベサメムゥゥチョォォォ!!とか言いだされてもイメージが違いすぎたのか…。

2010年のリミックスアルバムに先駆けて51st「灼熱らぶ」C/W「恋してムーチョ feat. エイジアエンジニア(Remixed by Piston Nishizawa)」が発表されているが、これはサビ以外をエイジアエンジニアの書下ろしのラップで構成していて、リミックスというよりエイジアエンジニアによるラップカバーとかサンプリングといった感じ。賛否はありそうだが意外とうまくハマっていて好印象だった。リミックスアルバムではノンストップなので前後の曲と繋がっているがC/Wでは独立した曲として聞くことができる。
★★★★☆
2ndベスト『TUBEstⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

20th Melodies&Memories

B00005G9JW
94年10月15日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
10周年を翌年に控え(10年目)、この年は秋以降も活動を継続。全曲新録音された同名バラードベストの先行シングルでタイトル曲(新作なのでベスト内にてこれだけ新録音はしていない)。シングルでのバラード自体この時点でかなり珍しかったが、毎年のアルバムラストナンバーのように高らかに歌い上げるよりもしっとり歌い上げているような大人っぽい楽曲。やや地味で90年代よりも00年代以降のバラードで見られるような落ち着きだが、メンバー全員が20代でリリースされた最後の楽曲でもあり、大人になっていくバンドの姿を記録した楽曲でもあったのかもしれない。翌年以降も若き日々を振り返るというか若き日々が徐々に去りゆくのを改めて感じさせる曲が続いた。
★★★★☆
1stバラードベスト『Melodies&Memories
2ndベスト『TUBEstⅡ

21st ゆずれない夏

B00005G9KP
95年4月26日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
10周年目前(6月1日で10周年)のシングル。10年間で夏を確立したTUBEの確固たる夏への自信がみなぎっているかのような頼もしいタイトルだ。2作連続で少し違う方向性だった中で期待通りの王道爽やか路線をさらに突き詰めたような1曲だが、どこまでも突き抜けていくような爽快さがたまらない。もう雲1つ無い青空しか見えねぇ

一方でこの曲で王道路線も行くところまで行きついた感もあり、『TUBEstⅡ』で初めて聞いた時はこの辺りまで聞いてくると全部同じに聞こえてしまうというのもあって、この曲いいなぁと思ったのはもう少し後だった。逆に今では前半の曲より今作や次回作の方が好きだったりもする。
★★★★☆
15thアルバム『ゆずれない夏
2ndベスト『TUBEstⅡ
4thベスト『BEST of TUBEst ~All Time Best~

いつかの僕よ…

B0000A12DY
95年6月14日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
15thアルバム『ゆずれない夏』1曲目。突き抜けるギターとサックスが爽快な王道のナンバーだが、ラブソングの体裁を取りつつも少し大人になって落ち着いてきてあの頃の熱さをもう1度思い出そうとするような振り返りの視点になっている。冒頭が”この頃僕はカッコ悪いね”だし。いよいよ10周年、30代突入という中で若い頃が少し遠ざかっていくようなそんな心情が反映されていて、ちょうどTUBEのオリジナルアルバムを一気に聞いていったのが当時のメンバーと同年齢の頃だったのも重なってリアルタイムでは聞いていないが内容的に何だかリアルタイム感があった。
★★★★☆
15thアルバム『ゆずれない夏

僕達はどこへ

B0000A12DY
95年6月14日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
『ゆずれない夏』最終曲。これまでアルバムの締めは大バラードというのが定番になっていたがこのアルバムでは1つ前の「今日からずっと」が恒例王道バラードで、今作に関しては大人になっていく中でこれからを少し考えてもう1度走りだしていく…といった装いで10周年を越えていく意気込みが前面に出たようなナンバー。こういった作風でアルバムが終わるのはほとんど初めてだったのでけっこう印象的だ。
★★★★☆
15thアルバム『ゆずれない夏

22nd あの夏を探して

B00005G9L2
95年7月10日
作詞:前田亘輝、作曲:春畑道哉、編曲:TUBE
ドラマ『100億の男』主題歌。初のドラマタイアップだったが、ドラマがヒットせず主題歌としてのタイアップ効果は無かった。強烈なラテン歌謡やベサメムーチョォォ!!(違)と何かとインパクト続きだった盛夏シングルとしては初めての王道爽やか路線。これまではここで異色の楽曲を出すことで鮮やかなコントラストになっていたが、この年は似たようなタイトルの似たような爽やか路線が続くという王道攻めとなった。10周年なので奇をてらわずに期待に応えた結果なのか、ベサメムーチョォォ!!(違)がメンバーも売れなかったと認識するほど売上を落としたので、攻めたシングルを出すのを止められてしまったのか、というよりは初めてドラマタイアップが来たのでそれに合わせてといったところだろう。

爽やかなのを2連続で出した事で前作と印象被りになってしまいややインパクトが薄い。『TUBEstⅡ』で聞いた時に1番最後まで記憶に残らなかった曲でもあるが、よく聞くと若き青春の日々が終わっていく切なさが漂う歌詞といいどこまでも澄んだ青空が浮かんでくるようなサビのメロディーも全盛期極まってる。当時のメンバーと同じアラサーになってくると響いてくる遅れてくる名曲だった。

『TUBEstⅡ』収録のシングルA面の中で唯一『BEST of TUBEst~All Time Best~』からハブられた(C/W3曲のうち「湘南盆踊り」すら収録されたのに…)。結果『TUBEstⅡ』にしか収録されていないというこの時期ではダントツ不遇なシングルとなってしまった。『35年で35曲』には選曲されていたので忘れられてはいないようだが、『BEST of TUBEst~All Time Best~』聞けば『TUBEstⅡ』は聞かなくていいやとなってしまうので現在は見落としがちなシングルになってしまった。しかも『TUBEstⅡ』ではエンディングの演出なのか波音のSEが追加されているので厳密にはアルバムミックスであり、シングルバージョンはアルバム未収録と言う事になる。
★★★★☆
シングルミックスアルバム未収録
2ndベスト『TUBEstⅡ』(波音SE追加)

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