Every Little Thing シングル回顧5~2011-2016~
アルバム『CHANGE』で復帰した五十嵐充だったが、結局それっきり継続的に関与する事は無かった。『CHANGE』ツアーは無かったので、1年経過してから活動が再開された。『CHANGE』の穏やかモードを引き継いだのと、震災の影響もあってか、しばらくはかなり落ち着いたバラード系のナンバーが続き、アルバム『ORDINARY』はELTの中でも最も穏やかな1作となった。
一転して次のアルバム『FUN-FARE』では軽快な楽曲が増え、エレクトロ路線など新たな境地も開拓するようになった…が、20周年を前にしていよいよシングルヒットが全く出せなくなってきてしまい、20周年は前倒しで20年目に突入した2015年に大々的に掲げてしまう事となる。09年に出したばかりのベスト盤にその後のシングルを加えたコンプリートシングルA面コレクションをニューアルバム『Tabitabi』とセット販売のみで格安でリリースするなど奇をてらった戦略は失敗というほど売れなかったわけではないが、成功というほど売れたわけでもなかった。
以降は持田の結婚もあり、活動は緩やかに停滞していく。20周年を掲げていたにも関わらず全く歌番組には呼ばれず、かつて「うたばん」でそのオモシロキャラを開眼させた伊藤はバラエティの常連のような存在になってきて、公式サイトには音楽の情報よりもバラエティ番組出演の情報ばかりが並ぶようになった。しまいには新譜情報が発売目前まで全く告知されないようになるなど、プロモーションがほとんどされない、されないので未だかつて見た事ないような最低順位と最低売上を大幅更新する…という悪循環…。
なんとか2016年まで1年に1曲は何かしら作品が出るという状態をキープしたが…2017年は夏にようやく配信で新曲が1曲リリースされたのみ。バラエティ出演メインの状態が続いていて今後はどうなってしまうのか。20周年を越えて正直不安も残る状態なのも確かだ。
39th STAR
11年2月23日
作詞:持田香織、作曲:HIKARI、編曲:HIKARI&Every Little Thing
「星と月の空の下、描かれる男女の物語」というコンセプトでの初の2枚同時発売。今作は女性目線のミディアムナンバー。五十嵐充と組んだ前3作を踏襲したような落ち着いた雰囲気だが、なんだかんだ作りこんでいた五十嵐サウンドに比べるとギターもアコースティック主体になりかなり軽めになっている。正直あまり印象に残らない更に地味な雰囲気になってしまったなと…。
話題になったのはMVがショートムービー仕立ての連作になっていて、チャン・グンソクが主演した事。K-POPブームの中でこの2ヶ月後には「Let me cry」で特大ヒットを記録するほど高まっていたグンソク人気により、主にグンソクファンの間で話題になり、初回盤DVD付が2作ともプレミア化するという基本的に出荷しすぎて値が即ダブついて旧作投げ売りラッシュになるのでお馴染みなELT史上後にも先にも見られない現象が巻き起こるほどだった。といっても久々にトップ10入りして2万枚を越えるヒットになったという程度で、一般的にヒット曲として認識されるほどではなかった。『CHANGE』期のシングルで一気に1万割れするまで低迷していたのでよほど生産を絞っていて2倍売れただけでも相当な反響だったようだ。
このMV、元は10分(2曲で20分)あり、シングルとアルバム『ORDINARY』の特典DVD収録時はフルサイズで収録されていたが、『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』のMV集に収録された際は曲の時間にほぼ合わせた大幅カットによるダイジェスト映像になってしまっている上に台詞部分も全部音声オフになってしまったので、ストーリーが良く分からない事になってしまっている。音声ONになっているオリジナルを見ても結局話は良く分からなかったりもするが…。
藤井美菜とグンソクは仕事の同僚らしく付き合っている。グンソクと藤井の誕生日(誕生日一緒っぽい)を前に2人はケンカしてしまうが、グンソクは友人の足が不自由な初音映莉子に励まされ一緒にプレゼントを選んでもらう。仲直りしてサプライズで藤井は自宅でグンソクの誕生日を祝いプレゼントを渡すが突如グンソクが出て行ってしまい泣き崩れるところで終了する。何の背景も描かれずに足が不自由な初音映莉子とグンソクとの関係はナニコレ?となってしまったのはカットされた弊害だが、いずれにしても今作だけでは話が分からないようになっている。
★★★☆☆
10thアルバム『ORDINARY』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
40th MOON
11年2月23日
作詞:持田香織、作曲:鈴木大輔、編曲:中尾昌文&Every Little Thing
「星と月の空の下、描かれる男女の物語」というコンセプトでの初の2枚同時発売。こちらは男性目線。「STAR」よりは派手目なサウンドでややアップテンポ気味ではあるんだけど、それでもやはり地味な雰囲気。作曲が五十嵐充が関与して初期ELT路線の延長にあるday after tomorrow、girl next doorの鈴木大輔だったという逆輸入みたいな展開もあまり意味が無かった…。
MVは「STAR」の続きと何故グンソクが突如出て行ったのかの理由が描かれる。といってもやはり描写不足で、結局足が不自由な友人の初音映莉子の思いに気づいたグンソクは藤井美菜を捨ててそっちへ走ろうとするもなんで来たんだ!とフラれるという顛末。星と月の空の下、二股かけて両方不幸にしたグンソクが途方に暮れたまま終了してしまう。
『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』のMV集に収録された際はダイジェストでカットされてしまっているが、フルサイズでは初音映莉子が花屋である事、花屋の店長として田中要次が起用されていた事、実はグンソクと藤井美菜の誕生日だったこの日は初音映莉子の誕生日でもあった事(偶然が過ぎんだろ…)などが明かされているんだけど、なんでそれら削った?そしてどっちみちやっぱりひっでぇ話だなぁ…。
★★★☆☆
10thアルバム『ORDINARY』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
41st 宙-そら-/響-こえ-
11年7月13日
アニメ映画『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム・白き英雄 レシラム』主題歌タイアップによる両A面シングル。映画は『黒き英雄 ゼクロム』と『白き英雄 レシラム』の2本立ててそれぞれの主題歌となっている。
全く別の曲では無く、2曲とも基本的にはほとんど同じ曲。サビが同じで、アレンジや構成、歌詞を変更するという実験的試みがされている。
宙-そら-
作詞:持田香織、作曲:菊池一仁、編曲:中尾昌文&Every Little Thing
MVはこちらのみが作られたので一応こちらがメディアではメインでかかっていた。今回も地味目なミディアムナンバーですっかり落ち着ききってしまった感じが漂い、印象に残りにくい。夏のシングルは爽やかな曲が続いていたけど夏でもついに地味ミディアムになってしまうとは…。
★★★☆☆
10thアルバム『ORDINARY』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
響-こえ-
作詞:持田香織、作曲:菊池一仁、編曲:十川知司&Every Little Thing
アレンジも歌詞も変わっているのでサビメロが同じでも別の曲のようにはなっているが、思ったほどそんなに変わってないというか…。地味めなバラードという点であまり差が無いのでなんだか似たような曲というのが正直なところ。似たようなというかまあ同じ曲といえば同じ曲なのは事実なんだけど。
★★★☆☆
10thアルバム『ORDINARY』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
42nd アイガアル
11年8月24日
作詞:持田香織、作曲:HIKARI、編曲:HIKARI&Every Little Thing
新垣結衣主演の月9ドラマ『全開ガール』主題歌。久々の大型タイアップだったが、当時のガッキー人気はやや収束しつつあり、視聴率もさほど良くなかったのでトップ10復帰も叶わず、さほどヒットしなかった(それでも最後の1万越えヒットだが…)。ドラマにひっかけたタイトルになっているので「愛がある」というより「愛ガール」に近い発音が正式な発音のようだ。
『CHANGE』期以降の地味ミディアム路線の中では一際光る明るいポップナンバーになっていて、なんだかんだ気合いの入った勝負作っぽくはなっていると思う。それでも無理な高音にいかないようになっているのでどうしても盛り上がり切らない。こういった曲調はこの時期ゆえか。
★★★☆☆
10thアルバム『ORDINARY』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
43rd Landscape
11年12月7日
作詞:持田香織、作曲:HIKARI、編曲:HIKARI&Every Little Thing
アルバム『CHANGE』以降続いていた落ち着いたミディアム~バラード路線の集大成のようなバラード。山の中腹のような草原で歌うMVにしてもそろそろ既視感全開になってきた。クリスマスの時期が舞台になっているがサウンドにクリスマスっぽさは無く、MVの風景にもこれといった季節感が無い(撮影は秋頃だと思うけど)ので、クリスマスの時期に出したいというメンバーの意向とは裏腹にあまり季節感の無い曲になっていると思う。
★★★☆☆
11thアルバム『FUN-FARE』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
44th ON AND ON
13年2月20日
作詞:持田香織、作曲:HIKARI、編曲:HIKARI&Every Little Thing
2012年はリリースが無く、久々のシングルとなったがこれまでの落ち着いた流れを払しょくする軽快に突き抜けた明るいポップナンバー。個人的には久々に突き抜けた印象の曲が来たと感じた。というかすっかり落ち着ききっていたので予想外の明るさに驚いた。問答無用で元気になれるようなポップナンバーはそれこそ「あたらしい日々」とかその辺まで遡る感じで久々にヒットを狙っていこうという気合いも感じられる。実際エイベックスもここで現時点で最後のやる気を出してきたのか、アルバム『FUN-FARE』に向けてあまり大きなタイアップではないものの、とにかくタイアップを大量にとってきて片っ端からつけるという戦略を展開した。
★★★★☆
11thアルバム『FUN-FARE』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
45th ハリネズミの恋
13年4月10日
作詞:持田香織、作曲:多胡邦夫、編曲:村田昭&Every Little Thing
前作に続いて明るく突き抜けつつも新たなELT像が見える1曲。今回はカントリー調で前作以上にワクワク感が漂う。CMでサビだけかかっていても十分に耳に残るだけのキャッチーさもある。個人的には何度目かの勝手にELT再ブレイクの風を感じたが…地味な時期が長すぎたので低迷を打破するに至らなかったのは残念。
★★★★☆
11thアルバム『FUN-FARE』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
START
作詞:持田香織、作曲:HIKARI、編曲:HIKARI&Every Little Thing
テレビ東京のソチオリンピックテーマ曲。タイアップが付いたことでアルバム曲ながらMVが制作され、ベストアルバムでもシングル曲と同等の扱いを受けている。地に足の着いたような応援歌になっていて、静かにふつふつと力が湧いてくるような今のELTらしい応援歌だと思う。テレ東タイアップという微妙さもあってシングルで切るには…という感じだったんだろうけど、TBSとテレ朝が2012年ロンドンのSMAPと福山雅治の曲をそのまま使い回すという暴挙に出るくらいならこの曲起用してくれよとは思った。
MVはスケートリンクが舞台になっており、スケート選手の少女が選手に成長していく過程を描写したあからさまな浅田真央人気便乗みたいな内容になっているが、若干の低予算感が漂う。1番人気とも言える女子フィギュアスケートの放映権もテレ東が取れるわけないしな…。
★★★★☆
11thアルバム『FUN-FARE』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
配信 RUN FOR
14年9月24日
作詞:持田香織、作編曲:星野純一
持田も参加したホノルルマラソンのオフィシャルテーマソング。全曲にタイアップをつける力の入れようだった『FUN-FARE』であまり結果を残せなかったせいなのか、今作以降はあからさまに手抜きプロモーションが横行するようになった。手抜きっていうかもうほぼプロモーションゼロっていう。1番声の調子が不安定だった時期に散々「Time goes by」「fragile」攻めという地獄を経てすっかり歌番組に出なくなって、バラエティ出演ばかりが本格的に目立つようになってはいたが…。
配信とはいえジャケットくらいまともに作れよ…ただのフォントじゃねーかよ…と言いたくなるほど適当なジャケットによる配信限定でリリースされた。半年後の企画ベスト『Every Cheering Songs』で初CD化され(これもほとんどプロモーションされず発売直前までジャケットも公開されなかった)、さらにその後の『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』でもシングルと同等の扱いを受けて収録された。
EDMみたいなエレクトロサウンド全開の異色ナンバーでここにきてまた新しいというか違う次元に行ってしまったようなナンバー。なんだかんだインパクトはあり、これはこれでけっこういい曲ではあるものの、今のところこの系統の曲がこれしかなく、完全な単発作となっているのでイマイチ捉えにくい曲でもある。
★★★☆☆
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
46th ANATA TO
15年4月22日
作詞作曲:持田香織,Andy Platts,Jodie May Seymour,和田昌哉、編曲:Andy Platts,Jodie May Seymour,和田昌哉
さらに大胆不敵な変化を遂げた洋楽風のライトなポップナンバー。Andy Plattsを一部楽曲で起用していたアルバム『FUN-FARE』でもこの方向性は少し見せていたがさらにその方向性を広げてくるとは思わなかった。持田が作曲にも参加しているがクレジットは4者の連名になっているのでけっこうアイデアを寄せ合って作りこんだ曲だったと思われる。すっかり落ち着ききって数年、そこを脱却してから20周年へ向けての意欲的なチャレンジはあまり知られることは無かったが随分攻めていたなと改めて思う。「ON AND ON」「ハリネズミの恋」とこの曲はMV含めて持田がちょっと小悪魔っぽいというか20代後半の頃にはほとんど無さそうだった余裕のある大人な感じが魅力的。
★★★★☆
12thアルバム『Tabitabi』
47th KIRA KIRA/AKARI
15年11月4日
20周年を1年前倒しの20年目突入で掲げて、ニューアルバムとベストアルバムの格安セット販売を行った2ヶ月後にひっそり発売された。20周年なので久々のメディア出演が期待されていたが伊藤を中心としたバラエティ出演ばかりになり、ほとんどプロモーションされないという状況が急加速。結果、過去最低の売上を連続更新する事態となった。
KIRA KIRA
作詞:持田香織、作編曲:ミト
アニメ映画『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』の中の「パンプキン王国のたからもの」主題歌。ミト作曲というと個人的には豊崎愛生や花澤香菜を当時聞いていたので、そのあたりに接近したような曲になったなと感じた。ワクワクするようなポップ感は子供向けアニメタイアップとしても分かりやすくていい。アルバム『Tabitabi』も新鮮だったがこれまた新しいところに向かった曲だとは思うんだけど、今作に関しては完全な単発作としてこのままリリースが停滞してしまったのでどういう立ち位置の曲になるのかは不透明なまま。
★★★☆☆
アルバム未収録
AKARI
作詞:持田香織、作曲:Chemical Volume、編曲:Takuya Takahashi
なんとなく字面を合わせた感じにはなったが曲調は全く異なるバラードナンバー。出足はアコースティック調でシンプルだが徐々に音数が増えていき後半にはギターロック調にバンドサウンドがガンガン盛り上がっていく。ただバックの盛り上がりに対してメロディーは淡々としたままあまり起伏が無いので全体の印象はかなり地味。
★★★☆☆
アルバム未収録
48th まいにち。
16年6月15日(配信)、16年9月21日
作詞:持田香織、作曲:山森大輔、編曲:中尾昌文
フジテレビで土曜の午前中に放送されているドキュメントバラエティ「ライオンのグータッチ」テーマ曲として1年間使用された。発売未定のまま2ヵ月経過してひっそり配信限定でリリースされた。リリース告知がなんと配信当日。さらに3ヶ月後には前作以上のノンプロモーションでこっそりCD化された。異様なほどのノンプロモーションっぷりで、ついにはMV制作すら放棄したため通常盤1種のみ。発売情報自体は出回っていたが公式サイトが発売5日前の9月16日まで一切の告知をしないまま放置していたので本当に発売されるのか半信半疑になるような状況だった。公式サイトは放置されていたわけではなく、持田、伊藤のバラエティ出演情報はこまめに告知されていただけに、もう売る気はないにしてもやる気無さすぎ…。案の定初のトップ50落ち(63位)、前作で更新していた最低売上をさらに更新。本当の20周年を迎えた2016年はなんともさみしいこれ1作ポッキリとなった。
「Landscape」頃まで連発していたバラード路線よりもバンドサウンドがどっしりとしたバラードナンバー。ここのところ続いていた新鮮さは無く、盤石の1曲といった感じ。ほとんど知られることのない楽曲となってしまったものの、「ライオンのグータッチ」には乃木坂46の西野七瀬がMCとして出演していたので乃木坂46ファン、特に西野推しの人たちの間では密かに知名度が高かった…はず。
★★★☆☆
アルバム未収録
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