森高千里 シングル回顧1~1987-1993~
シングルが40枚だったので20枚で分割したが、実際の公式ではレコード会社が変わった~19th、20th~で分けられることが多い。厳密には20thは新レコード会社ワン・アップ・ミュージックを設立したが品番は前のままという過渡期で、21stから品番もワン・アップ・ミュージック独自のものに切り替えられた。
また音楽的には自身で楽器演奏(主にドラム)を開始したタイミング(「渡良瀬橋」以降)が大きな転機となっているほか、それ以前にも個性的な歌詞を自作し始めた、派手な衣装を止めたなどいくつかのターニングポイントがあるのがこの前半の特徴だ。
初期の路線は特段個性のあるものではなく、ある程度時代に即したような曲が並んでいたが、まずとんでもない歌詞で強烈なインパクトを残し、そろそろ耐性が出来てきて歌詞がインパクトなだけでは前ほど驚かなくなってくると、自ら楽器演奏を開始するという流れは鮮やか。唯一無二の存在へと進化していった前半を振り返る。
- 森高千里 シングル回顧1~1987-1993~
- 1st NEW SEASON
- 2nd オーバーヒート・ナイト
- 3rd GET SMILE
- 4th ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス)
- 5th ALONE
- 6th ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)
- 7th 17才
- 8th だいて(ラスベガス・ヴァージョン)
- 9th 道/青春
- 10th 臭いものにはフタをしろ!!
- 11th 雨
- 12th 勉強の歌/この街(HOME MIX)
- 13th 八月の恋
- 14th ファイト!!
- 15th コンサートの夜
- 16th 私がオバさんになっても(シングル・ヴァージョン)
- 17th 渡良瀬橋/ライター志望
- 18th 私の夏
- C/W ロックンロール県庁所在地(Single Version)
- 19th ハエ男(シングル・ヴァージョン)/Memories(シングル・ヴァージョン)
- 20th 風に吹かれて
1st NEW SEASON
1987年5月25日
作詞:HIRO、作編曲:斉藤英夫、Keyboard Solo:森高千里
当時はEP/CTのみの発売で、88年3月25日にC/Wを2nd「オーバーヒート・ナイト」に差し替えた両A面仕様で8センチCD化された。当時のアルバムでのクレジットでは“Sampling Keyboard Solo”というクレジットだったが、1作目にしていきなり本人がキーボードソロ演奏を担当していてPVでもこの箇所ではキーボードの前に行って演奏している様子が映し出される。当初この演奏表記は普通に演奏クレジット枠だったが、後年のベスト盤では何故か作詞作曲編曲クレジットと一緒に併記されるようになり、現在の公式サイトディスコグラフィー、『ザ・シングルス』、『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』では演奏クレジットが非掲載にも関わらず何故か”Keyboard Solo:森高千里”の表記だけ作詞作曲編曲の横に一緒に掲載されている。どうしてこんなことになったのだろうか…。
80年代後期らしい固めのユーロビート風の打ち込みに物凄く固めのボーカルが乗っかる…という初々しさと緊張感が漂う1作目らしい1作目。正直初期の作品は個性もあまりなくて後々あまりに個性的すぎるのもあるがあまり印象に残らない曲が多いが、初期3作の中では売上通りでなんかんだこれが筆頭かなと。失恋から立ち直ろうとする歌詞だったり、割と淡々とした曲調はデビュー作らしい派手さは無いがサビのメロディーの良さはこれが1番かなと思う。
シングルバージョンは歌詞カードに書いてある2サビのリピート部分に突入するより前の1サビのリピート終盤で早くもフェードアウトが始まり、2サビのリピートのド頭(ファーストフードで♪)からすぐに音が消えていってしまう(歌詞カードでは2サビリピート部分にはFade Out表記がされているほど)。
1stアルバム『NEW SEASON』では現在のCD盤では表記が無いがアルバムバージョン。オリジナルより1分ほど長くなっていてシングルではほとんど聞けなかった2サビのリピート部分が最後まで歌われ、さらにアウトロのギターソロ部分まで収録されている。しかしそれでもなおフェードアウトでギターソロと共に遠ざかっていってしまう。
斉藤英夫によるリアレンジが全曲に施された1stベスト『森高ランド』ではリアレンジされた。大幅にイメージが変わるほどではないが、斉藤英夫が当時の制作環境で自宅で宅録してきた1人制作オケという事もあって全体に音が軽めに仕上がっている。ボーカルは経験を重ねて固さが抜けていて森高千里感(?)が増した。加えてアルバムバージョンよりもさらに30秒ほど長くなり、ついに6分越えの長尺になってしまったが、今度こそ最後まで演奏された。2サビを終えた後のアウトロギターソロも最後まで演奏され、もう1度サビ終わりの締めが歌われて演奏がちゃんと終了する。ここまで来るとなんかやっと完全版聞けた!感が強い。そして思ったより長ぇ曲だった…。
初期のアルバム収録では2回とも最終曲を飾っていたので恐らくリアルタイムのリスナーにとって締めの1曲という印象が強かったと思われるが、『the best selection of first moritaka 1987-1993』以降のベスト盤では3連続で時系列収録なので1曲目を飾っていて始まりの1曲という印象が個人的には強い。
★★★☆☆
1stアルバム『NEW SEASON』(Album Version)
1stベスト『森高ランド』(新録音)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
2nd オーバーヒート・ナイト
1987年10月25日
作詞:伊秩弘将、作編曲:斉藤英夫
英字表記の場合は「OVERHEAT.NIGHT」で現在の公式サイトではこの表記だがアルバム収録時の表記は最初は「オーバーヒート.ナイト」でこれ以外は「オーバーヒート・ナイト」である事が多い。また公式の『ザ・シングルス』曲目では「オーバーヒート.ナイト」だが、作品内での表記は「オーバーヒート・ナイト」だったりもして“.”と”・”の違いにこだわりがあるのかないのかイマイチ良く分からないことになっている。2012年のセルフライナー動画では「OVERHEAT. NIGHT」と表記し、元々OVERHEATED NIGHTだったのが言いにくいのでピリオドを入れて…と解説しているので英字のピリオド表記が本人公式と思われる。
当時はEP/CTのみの発売で、88年3月25日に「NEW SEASON」との両A面扱いで8センチCD化されたがジャケ写は1stのものが使用された。このため1曲目収録のシングルCDとしては発売されておらず、You Tubeでのセルフライナー動画でも1stは1stのジャケ写が使用されている8センチCDを持って解説していたが今作はEP盤を持って解説していた。後にSPEEDの作詞作曲で広く名が知られた伊秩弘将だが前作ではHIRO名義、今作で伊秩弘将名義でクレジットされ、森高千里作品で作詞家として、そして同年の渡辺美里の作品では作曲で起用されるという何故か作詞と作曲でそれぞれ別の人への提供で作家デビューしていた。
ユーロビート系でサウンドはいかにも80’sで歌詞も夜がオーバーヒートしている感じ(?)で、なんというか80年代の夜のクラブな雰囲気。AメロとBメロのようなサビの2ブロックしか無くややサビが分かりにくいが、やたら合間にダンシンダンシン言っててクールに決めた台詞っぽいパートも出てくるのでシングルっぽい風格も一応あると思う。アウトロで曲が終わったと思ったら瞬時に持ち直してその後でフェードアウトしていくという謎のフェイントかまされるのが聞くたびになんだか気になる。
2ndアルバム『ミーハー』のAlbum Versionでは冒頭にカウントが入っているほか、フェードアウトではなく最後まで演奏されるという違いがある。
『森高ランド』の新録音ではテンポがかなり速くされた。シングルとアルバムでは5分前後あったのが3分47秒まで短くなっていてとにかくスピーディー。あっという間に駆け抜けていくようなイメージ。
★★★☆☆
2ndアルバム『ミーハー』(Album Version)
1stベスト『森高ランド』(新録音)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
3rd GET SMILE
1988年2月25日
作詞:伊秩弘将、作編曲:島健、編曲:斉藤英夫(森高ランド)、編曲:前嶋康明(ザ・森高)
今作よりCDでの発売も始まった。本人作詞ではない初期3作の最後の1作。島健が作編曲という珍しい1曲。90年代以降の島健ってピアノや主にストリングス系のアレンジャーとして、ストリングスアレンジを施す際に色々なところで起用されていたイメージだったのでなんか普通に作曲と編曲している上にイメージの圏外にある普通にユーロビート系のダンスナンバーとは…。サビ頭が”行くぞ”になっているし、ライブでは盛り上がりそうなアップテンポなナンバーだが、アレンジはかなり薄味というか淡々としまくり。ほとんどリズムと薄いシーケンスの音で突き進んで随所でシンセの装飾音が入ってくるんだけどかなり控えめなので延々ビート刻んでいる印象しか残らないという…。
シングルでは最後のサビの繰り返しの途中でフェードアウトしていってしまうが、『ミーハー』収録時のAlbum Versionでは最後のサビがしっかり歌われ、さらに長いアウトロも聞ける…が、しっかり終わらずにこれまたフェードアウト。
『森高ランド』の新録音では斉藤英夫によるリアレンジでギターを効かせたロック系のバンド風アレンジに変更されていて前2作よりもリアレンジの度合いが大きい。というかけっこうガラッと変わった。
前2作と異なり『ザ・森高』にも生き残り、前嶋康明によるコンサート・アレンジ・ヴァージョンとして生音でリメイクされた。『森高ランド』でのロック系アレンジをさらにライブ仕様に発展させたようなイメージ。ドラムが軽めでライブの生バンドアレンジにしては…というところはあるが最初のシングルバージョンのアレンジの薄さに比べると進化したなと感じられる仕上がり。
★★★☆☆
2ndアルバム『ミーハー』(Album Version)
1stベスト『森高ランド』(新録音)
2ndベスト『ザ・森高』(コンサート・アレンジ・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
PV
200曲セルフカバー(2012)
200曲セルフカバー(2014)
4th ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス)
1988年4月25日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
アルバム『ミーハー』表題曲「ミーハー」をリミックスしてシングルカットでC/Wにはアルバム音源そのままのシングルカット「ミーハー(オリジナル・ヴァージョン)」が収録された。リミックスに際してバージョン名だけでなくタイトルに「ザ・」が付属し、以降「ザ・」が多用され、「ザ・」が森高のシンボル(?)のようにもなった。
アルバム唯一にして初の本人作詞ながらアルバムのタイトル曲になっていてシングルカットにもなった事からもその作詞の非凡なセンスが好評だった事が伺える。実際最初の作詞にしていきなりサビで“お嬢様じゃないの 私ただのミーハー”と言い放つのはなかなか凄いセンスだと思う。なんか少しアホっぽい感じもあるんだけど独自の道がしっかりある感じというか…狙って出せるようなものでもなかなかないような…。
オリジナルもなかなかのインパクトだったがこの「ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス)」では特にインパクトの強いサビのフレーズを切り貼りして間奏に使用するなど、リミックス、しかも当時よくあった引き延ばし系のリミックスバージョンみたいな雰囲気。当時のシンセサイザーの威力を活用したオリジナルからさらにバリバリに活用しまくったようなサビの切り貼り+ようやく始まった歌メロがサビ始まりに変わっていたりと、た・だ・のミーハー♪のフレーズがより耳にこびりつくような仕上がり。
『森高ランド』の新録音ではオリジナル表記に戻った「ミーハー」として収録。かなりスピーディーになっていて声も低くてかなりあっさり歌っているのでだいぶ印象が異なる。
『ザ・森高』では「ザ・ミーハー(ザ・森高ヴァージョン)」として「ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス)」をさらにリミックス。間奏のボーカル切り貼りはより複雑になっているようにも聞こえるが全体には少し落ち着いたような印象も。
と、当時は出すたびに新バージョンで発表されていたが、『the best selection of first moritaka 1987-1993』『ザ・シングルス』では「ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス)」が、『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』ではオリジナルの「ミーハー」でアルバム収録されている。
★★★☆☆
2ndアルバム『ミーハー』(「ミーハー」)
1stベスト『森高ランド』(新録音「ミーハー」)
2ndベスト『ザ・森高』(ザ・ミーハー(ザ・森高ヴァージョン))
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』(ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス))
7thベスト『ザ・シングルス』(ザ・ミーハー(スペシャル・ミーハー・ミックス))
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』(「ミーハー」)
PV
セルフライナー
200曲セルフカバー(2014)
200曲セルフカバー(2015)
5th ALONE
1988年10月25日
作詞:森高千里、作編曲:安田信二、編曲:斉藤英夫(森高ランド)
安田信二の作編曲と作家が異なるものの初期の切ない失恋路線を引き継いだ楽曲。前後のシングルがインパクト強いだけに後追いで聞くと地味目な印象になってしまいがちではあるが、今日別れたばかりでタイトル通りALONEになった主人公の未練全開なサビでの好きよの連発はシンプルな言葉遣いが曲の落ち着きや地味さをいい感じにカバーしていて意外と残りやすい。切ない曲ながらもサウンドもけっこう心地いいミドルナンバーだ。
アルバム『見て』では表記は無いがアルバムバージョンとなっていてアウトロのフェードアウト部分が変更されていて若干長くなっている。フェードアウトで終わるのはシングル同様だがサビがそのままフェードアウトしていくシングルと異なり先にリズムがフェードアウトしてオフになり、シンセと再度サビの一部を繰り返すのみになって静かに消えていく。
『森高ランド』での新録音では斉藤英夫によるリアレンジで、オリジナルの要素は残したまま打ち込みながらバンドサウンド風にリメイクしているのでオリジナルよりもリズムがしっかりしてギターも鳴っているなどがっしりとした仕上がり。こちらはシングルとほぼ長さは同じながらもフェードアウトせずに演奏が終了する。恐らくライブでのバンド演奏を想定して打ち込みされたものと思われる。
★★★☆☆
3rdアルバム『見て』(表記は無いがアルバムバージョン)
1stベスト『森高ランド』(新録音)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
6th ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)
1989年2月25日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
アルバム『見て』収録曲「ストレス」のリミックスによるシングルカットでタイトルは「ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)」に改められた。「ミーハー」に続く“ザ・”付属によるリミックスシングルカットで、方向性もそのままインパクト路線をより拡大させたようなパワーアップ版のようになっている。さらに今作ではウェイトレス姿という一見曲に関係ないがインパクトだけはあるコスプレ衣装にて視覚的なインパクトも重視。一応「ストレス」と「ウェイトレス」の“トレス”繋がりでこうなっているようでとにかくインパクトで覚えてもらおうという考えがあったようだ。さほど大ヒットはしなかったが一応初のトップ20ヒットでここまででは最高の売上を記録し、次回作への弾みとなった模様。
ひたすらストレスが溜まると連呼しまくり、そしてストレスが地球も男も女も何もかもダメにしてしまう事を訴えるというストレートな内容だが、シンプルさを追求したためかストレスの原因については一切言及されていない。具体的なストレスの原因を並べた方がストレスあるあるで共感は呼べただろうけど(SMAPの「ストレス」(『Peace!』C/W)はこの手法を取っている)、ひたすらストレスが溜まる、ストレスがダメにすると1番言いたい事だけを明確に繰り返しているのが大きなインパクトに繋がっていると思う。斉藤英夫によるシンセを駆使しまくった初期の80’sアレンジもここに極まった感がある。
オリジナルの「ストレス」も十分にインパクトだが、「ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)」では間奏にエフェクトのかかった声や溜まるぅ~と台詞が入っていたり怪しげなサウンドが加味されたリミックスが施されている。この怪しげな雰囲気が”中近東”の由来か?(なんとなく中近東っぽいイメージ)。
『森高ランド』の新録音では表記が「ストレス」に戻っているが、テンポが速くなってより忙しなくなっている。間奏ではストレスが溜まって苦悩している台詞が入っているが何故か早口言葉を言い切ってああスッキリした!と言い放つという謎のストレス解消も行われていてちょっと笑える。
『ザ・森高』の「ザ・ストレス(ザ・森高ヴァージョン)」ではストレスの国を探す探検隊の男性2人による寸劇が冒頭で展開するなどよりぶっ飛んだ設定に。ついにストレスの国を発見した2人の前に現れたのはストレスの国の女神で…というところから曲がスタートし、曲本編自体は「ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)」とほぼ同じだが、間奏では寸劇の続きで捕まってしまい女神の生贄にされてしまうと焦り助けを求める2人の様子と女神の高笑い、そして『森高ランド』の「ストレス」に入っていた早口言葉でストレス解消しようとする台詞もぶち込まれまさに集大成のような仕上がり。なお探検隊の2人がどうなったか明らかにならないが最後の様子から女神の生贄にされてしまったと思われる。合掌。
アルバムへの収録はこのように初期は毎回違うバージョンで収録されていて、シングルバージョンである「ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)」でアルバム収録となったのは99年の『the best selection of first moritaka 1987-1993』が最初だったが、以降のベスト盤では3連続で「ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)」で収録されている。
また2006年には安倍なつみがジョージアGABAのCMソングとしてカバーしてシングルとしても発売された。この際のタイトルは「ザ・ストレス」でC/Wには危機Version、shakabone HIDE Remix、アカペラVersionとひたすら同曲別バージョンで攻め、一応カバー自体は話題にはなったものの既に安倍なつみの人気が低迷しつつあったこともあって7作目にして初のトップ10落ちとなってしまうなどセールス的にはコケてしまった。
★★★★☆
3rdアルバム『見て』(「ストレス」)
1stベスト『森高ランド』(新録音「ストレス」)
2ndベスト『ザ・森高』(ザ・ストレス(ザ・森高ヴァージョン))
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
7th 17才
1989年5月25日
作詞:有馬三恵子、作曲:筒美京平、編曲:斉藤英夫
1971年の南沙織のデビュー曲のカバー。南沙織は発売時タイトル通り17才だったが、森高千里は既に20才になっており、C/Wにはそのまま自身作詞、作編曲が斉藤英夫の新曲「20才」を収録。ライブでミニスカ姿でカバーを披露したらウケが良かったので急遽音源化されたようで、結果的にはブレイク作となり、初のトップ10入りを果たし、20万枚近いヒット作となり、この後今作の売上を越えたのは12th「ファイト!!」まで無かった。
当然リアルタイムでなく『DO THE BEST』で知った世代なのでこの頃から知っている世間の森高千里のイメージであるこの曲のカバーやミニスカ衣装などは全く把握してなくて正直今でもそんなにこの頃の映像を見ていないのでピンと来ないのだが、ここを通っていればやはりこの最初に売れた頃の派手な衣装イメージでけっこう決定づけられているらしい。
オリジナルは筒美京平が編曲も担当していたが今作では斉藤英夫が担当しており、これまで同様の80’sなユーロでビートなアレンジが施されているが、イメージを壊すような事はしていないようで恐らく当時で言うところの18年前の曲が現代風に蘇った感じだったと思われる。改めて聞くとけっこう爽やかな曲で若さも溢れているんだけど、つんくや秋元康が書く若い女の子目線の割とお花畑なキラキラなアイドルソングを中学生頃からリアルタイムで経過してきた者としてはこの17才けっこう大人っぽいなぁ…という印象もある。キャピってないし、タピってもないし。なんか今だったらタイトル「25才」くらいでも別にそんなに違和感ないラブソングとして受け止められそうだ。
アルバム『非実力派宣言』では最初と最後に2バージョンで収録。冒頭のカーネーション・ヴァージョンはカーネーションの直枝政太郎によるリアレンジでカーネーションによる演奏でのバンドバージョン。テンポアップして2番がカットされているものの、最も味わいが異なる別アレンジになっていてなかなか面白い。
アルバム『非実力派宣言』最後のオレンジ・ミックスは間奏で海へデートに来たシチュエーションでの台詞が挿入され、演奏終了後も波音のSEを残すなどデート感が色々加えられているが演奏自体はミックス変更程度。
『森高ランド』の新録音はここまでの曲に比べると変化があまりない。むしろなんか急いで無理やり打ち込み直したような感じもしてきて明確にこのバージョンならではの特色を感じ取れない。これは発売から7ヶ月しか経っていない(5月→12月)のでほとんどやり直したい事も無く、むしろ一挙全曲宅録という状況下で逆に時間が無いくらいだったと思われ、そういった影響があったのかも?
ブレイク作ではあるものの以降はこの曲のイメージを引きずることなく、まだ今作が最高ヒット曲だった時にデビュー5周年を掲げて出した『ザ・森高』で「ザ・17才」などとリメイクしても不思議ではなかったがやらなかった。さらにオリジナルでのインパクトや今作を越えるヒットを残していったため徐々に代表曲扱いでは無くなっていったと思われる。実際シングルバージョンがアルバム初収録になるのに10年もかかっていたりもする(『the best selection of first moritaka 1987-1993』)。
★★★☆☆
4thアルバム『非実力派宣言』(カーネーション・ヴァージョン)
4thアルバム『非実力派宣言』(オレンジ・ミックス)
1stベスト『森高ランド』(新録音)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
8th だいて(ラスベガス・ヴァージョン)
1989年9月25日
作詞:森高千里、作編曲:高橋諭一
アルバム『非実力派宣言』収録曲のシングルカットで、ラスベガス・ヴァージョンとしてリアレンジされている。このアルバムで初めて高橋諭一が参加し、以降斉藤英夫と並ぶ作編曲で関わり続け、斉藤英夫も伊秩弘将も関わらなくなって以降も最後までメインアレンジャーとして関わり続け、そのまま同じアップフロントのつんくプロデュースのハロープロジェクトでも初期に重宝された。
ジャケットでもギターを抱えているがこれまでとは一転してバンドサウンド風の暖かみのあるポップな曲調となり、一気に作風が変わった。オリジナルバージョンはゆったりしていてより素朴さが前面に出ていたが(あとフェードアウトで終わる)、ラスベガス・ヴァージョンではアレンジを変えてテンポアップしている(あと最後まで演奏される)ので受ける印象はだいぶ異なる。また今作の肝はだいてをひたすら連呼しまくる繰り返しの魔力であり、「ALONE」で見せた好きよの繰り返しをよりインパクト抜群に発展させたようでもある(「ザ・ミーハー」→「ザ・ストレス」のパワーアップと似たような印象もある)。今作に至っては1度に5連発、サビ1つで合計20回、後半は繰り返しが多いので歌詞カードのほとんどが「だいて」で埋まるという歌詞カードの視覚的にもなんかすげぇ事に…。曲自体は盛り上がるようなノリでも無く、じっくり聞かせる曲でもないんだけど、このだいて連発が強烈な個性になっていていよいよ作詞の才能が開花してきた事を感じさせる。
『ザ・森高』ではラスベガス・ヴァージョン(reproduction)としてシングルバージョンをリプロダクトしているが、基本的にミックス変更という感じでより柔らかい感じの音像になっている。
★★★☆☆
4thアルバム『非実力派宣言』(原曲「だいて」)
2ndベスト『ザ・森高』(reproduction)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
9th 道/青春
1990年1月25日
新録音ベストアルバム『森高ランド』に新曲として収録されていた「道」のシングルカットと新曲「青春」という初の両A面シングル。発売時から終始両A面としてきちんと扱われている唯一のシングルで他の両A面2曲目が全て未収録になった『The Best Selection of First Moritaka 1987-1993』においても今作のみは2曲とも収録された。
道
作詞:森高千里、作曲:安田信二、編曲:斉藤英夫
作詞をするようになってからはインパクト勝負な歌詞のシングルが続いていたが今作はこれといったギミックも無いポップで普通にいい曲。最初期の失恋路線を自作でもやってみたような作風になっているので初期に通じるものを感じる。打ち込みもだいぶバンド風になってきて淡々としているが、切ない歌詞とメロディーじは地味ながら光っている。切ない感じを出すためかやはり初期のように少し高めのキーになっていて最後のサビではさらに上がって高音がきつめな辺りも初期っぽい。普通にいい曲なんだけどインパクトの凄い曲が並ぶシングルコレクション系のアルバムだとどうしても印象に残りにくい。シングルカットに際しても特に変更はされていないようだし、収録回数の少なさもあって影の薄いシングル曲ではある。それだけに飛ばされたシングルもある『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』でしっかり収録されていたのは意外だった。
★★★☆☆
1stベスト『森高ランド』
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
青春
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
タイトルは「青春」だが、歌詞は失恋を乗り越えていこうとする元カレへ向けての前向きさが綴られていて失恋を乗り越えたこれからが私の青春だというニュアンスで使用されている。「道」が作詞をしていなかった初期路線を踏襲した失恋ソングだったのに対して今作は前向きさが強調されていて「道」より少し時間を経ての続編だったり、自作での失恋に対する作風の違いを示した1曲といえるかもしれない。今作もバンド風ポップソングとなっていて、90年代に突入したばかりだがもう80年代を引きずっていない印象。
何故か次のオリジナルアルバムには収録されなかったが、『ザ・森高』ではザ・森高テイクとして生バンド演奏にてリメイクされた。アレンジはほぼそのまま生演奏に差し替えたような感じだが、全体に音色に暖かみが出て生演奏バージョンの方が普遍性が高いと思う。
★★★☆☆
2ndベスト『ザ・森高』(ザ・森高テイク)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
10th 臭いものにはフタをしろ!!
1990年5月25日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
突然知らない男がロックについて知識自慢してきてマウント取ってきた態度に腹を立てた主人公がおじさんと呼ぶわよとけん制、以後おじさん呼ばわりしておじさん連呼しながらこのロック語りおじさんをやり込めていき私はもぐりで構わない、これがロックだと言い放つという個性溢れまくりな楽曲。タイトル自体は本文とそこまで関係が無く、出てもこないが、シングルの中では特にぶっ飛んだ歌詞度では「ザ・ミーハー」、「ザ・ストレス」とこれ以上は無いと思わせておいてまだ先があったというNo.1レベルの珍作だと思う。
ロックについての曲なので曲調もロックナンバーとなっているが明確なサビも無くほとんど同じメロディーの繰り返しで駆け抜けていくので2分40秒ちょいしかないという短さ。しかし歌詞が凄いのでどこまでも印象に残る。おじさんおじさん連呼しているが前述のように当初は「知らない男」であり、マウント取ってくるのでおじさんと呼ぶわよと言ってからおじさん呼ばわりが始まっているので、ストーンズ10回見に行ったと豪語するこの「おじさん」がどの程度年齢的におじさんなのかは良く分からない。まあ1990年時点でストーンズ10回も見に行ってんだから普通に30代以上=当時の森高視点でも立派におじさんっぽいけど。
オリジナルアルバムには未収録だが『ザ・森高』に2バージョン収録された。もっと臭いものヴァージョンは観客の歓声が終始鳴り響き、間奏で森高の観客への反応などが追加されたライブ風のリミックスを施した疑似ライブバージョン(ライブ風だが演奏は打ち込み)。
おじさんヴァージョンは生演奏でリメイクされているほか、曲後半を繰り返すため4分弱まで長くなっているという違いがある。生演奏ながらエレキギターが激しさを増したわけではないので案外打ち込みの方がガツンとしているようにも聞こえる。
★★★★☆
2ndベスト『ザ・森高』(もっと臭いものヴァージョン)
2ndベスト『ザ・森高』(おじさんヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
11th 雨
1990年9月10日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
2ndベスト『ザ・森高』までの曲で唯一3rdベスト『DO THE BEST』にも収録されるなど時代をまたいで収録される特異な経歴を持った楽曲となっていて、コンピ盤収録の機会も多く、さらには別バージョンも数多く存在する。
『DO THE BEST』が入口だったので、初期楽曲では唯一馴染みがあった…というかこの曲だけこんな初期だと長らく知らなかった。『DO THE BEST』だとこの次に古いシングルが16th「私がオバさんになっても」でそこからは25thまでほぼ全部入っていたので『the best selection of first moritaka 1987-1993』や『ザ・シングルス』を聞くと「雨」だけ随分先に出てくる印象がある。
しっとり淡々としたバラードだけどメロディーの良さ、雰囲気の良さは随一。森高バラードというとこの後に特に名曲が多くこれ以上に好きな曲もあるにはあるけど、いざ森高バラードを挙げろとなるとやはり筆頭に上がってくるのはこの曲になってくるかなとは思う。この時期は面白い歌詞の曲の方が多いが、大マジなバラードでもこうして当たった事で、メリハリもついた。実際歌詞が特にぶっ飛びまくったアルバム『古今東西』においてはカオスな世界観を1度グッと引き締める効果を発揮している。
サビは全て2回繰り返す構成だが、シングルバージョンでは1番のサビのみ1回。これを他のサビ同様に2回繰り返す構成に変更した上での複数のバージョンが存在する。
『古今東西』のアルバム・ヴァージョンは最初と最後に雨音が追加されているがベーシックなアレンジはシングルのままでそこに終始ループして鳴っている変なシンセ音が追加されている。この追加音が妙に気になってしまって正直この追加音いる…?
『ザ・森高』のロック・ヴァージョンは全面的にリアレンジされており、最初のサビからベースギタードラムがドーンと入ったロックバンドのバラード的なアレンジとなっている。数あるバージョン違いの中でも最も大きく変更されている印象。
シングルバージョンのアレンジのまま1番のサビを2回にしたのが『DO THE BEST』『MY FAVORITES』に収録された無表記バージョン。いわゆるこれがフルバージョン的存在。
シングル『まひるの星』C/W、リミックスアルバム『mix age*』に収録された「雨(1999)」はアコースティックバージョンといった装い。ピアノのアレンジはオリジナルとほぼ同じだがアコースティックギターやパーカッションが彩りを添えていて正しくアコースティックバージョンな感じ。
と、現役時代だけでこれだけあったのになんと2009年に唐突にas right as rain mixと題したボーカルそのままでさらにアレンジだけリニューアルした新バージョンが「渡良瀬橋」との両A面で唐突にシングル発売された。これは現代風にブラッシュアップしたようなイメージ。
★★★★☆
5thアルバム『古今東西』(アルバム・ヴァージョン)
2ndベスト『ザ・森高』(ロック・ヴァージョン)
3rdベスト『DO THE BEST』(シングルVer.の1番サビを長くしたフルバージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
レア&リミックスアルバム『mix age*』(1999)
6thベスト『MY FAVORITES』(『Do THE BEST』Ver.)
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
12th 勉強の歌/この街(HOME MIX)
1991年2月10日
2作目の両A面シングルで今回も新曲とシングルカットの2曲。「この街(HOME MIX)」は両A面扱いされない事が多くアルバム収録は『ザ・シングルス』のみとなっている。
勉強の歌
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
文字通り勉強推奨ソング。学生を終えてから改めて思うもっと勉強しておけばよかったという少しばかりの後悔をストレートな言葉で表現した楽曲で勉強はしないよりしておいたほうがいいわ♪と特にサビのストレートさはあまりのストレートっぷりが逆にユニークすぎるという個性的な楽曲に仕上がっている。勉強しろ勉強しろと親や教師は繰り返す…とは多くの人が経験してきた感覚だけどこういった親や教師よりも年齢が近い歌のお姉さんがただ勉強しろというのではなく、しないよりしておいたほうがいいわと言ってくると何だか親や教師よりも説得力があったりもする。高校生くらいまでの間に今作を聞く事は無かったが、そのくらいまでで聞いていたらけっこう響いていたかもしれない。
オリジナルアルバムには収録されなかったが、『ザ・森高』では「ザ・勉強の歌」としてリミックスされた。まだまだ80年代後半のリミックス文化を引きずったようなエクステンデッド系のリミックスといった印象。
★★★☆☆
2ndベスト『ザ・森高』(ザ・勉強の歌)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
この街(HOME MIX)
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
アルバム『古今東西』からのリミックスでのシングルカット。故郷を歌った真面目路線の楽曲でアップテンポな曲調に乗せて故郷を賛歌する内容だが、曲中で場所を限定するような事はしていないのである程度幅広く適用可能。間奏では一転して熊本弁による台詞が登場し、本人の故郷感が全開になる。オリジナルとHOME MIXではこの熊本弁の台詞部分が異なるほか、HOME MIXのイントロなどがリミックス風の引き延ばしアレンジになっているという違いがある。
自選・他薦問わずセレクト系のベスト盤にも選ばれやすい楽曲だが、なぜかいつもオリジナルバージョンでシングルバージョンであるHOME MIXは『ザ・シングルス』にしか収録されていない。
『ザ・森高』でのザ・森高ヴァージョンは大幅なリアレンジが施され、バッサリ1コーラスで終わらせているので台詞も無く、長さ自体は半分程度になっているがまったりスローバラードに改変され、本人演奏のアコースティックピアノを聞くことができる。
2013年には℃-uteがシングルとしてこの曲をカバーしたがザ・森高ヴァージョンをカバーしたようなバラードに改変されており、間奏の台詞もつんくによるお花畑女の子っぽい内容に改変されていた。
★★★☆☆
5thアルバム『古今東西』(原曲)
2ndベスト『ザ・森高』(ザ・森高ヴァージョン)
5thベスト『harvest time』(原曲)
6thベスト『MY FAVORITES』(原曲)
7thベスト『ザ・シングルス』(HOME MIX)
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』(原曲)
13th 八月の恋
1991年6月25日
作詞:森高千里、作曲:筒美京平、編曲:斉藤英夫
ベスト盤『ザ・森高』への先行シングル。同アルバムではアルバム・ヴァージョンで収録されたが、イントロがちょっと長いだけで、これまでのアルバムバージョンに比べるとほとんど変わらないレベル。
カバーにして初ヒットととなった「17才」の作曲者であった筒美京平が森高千里のために書き下ろした新曲、というのが今作の最大のポイントだが、結果やや浮いた存在のシングルの中でもかなり地味な1曲に。サビが無いような昭和歌謡感まったりメロディーを斉藤英夫の編曲でなんとか溢れ出る昭和臭を抑え込んだ…といった雰囲気。昭和に一世を風靡した作家は筒美京平に限らずほとんどが平成以降にヒット曲を大幅に減らし、90年代は新たな作家やプロデューサーの時代へ突入していくような作家の世代交代も容赦なく激しい時代だっただけに筒美京平だから凄い、あの筒美京平だから名曲、という事にはもうならなくなっていたんじゃないかと思う。加えて当時の森高陣営もバラバラに曲を発注していたわけでもなく、斉藤英夫、高橋諭一、伊秩弘将…と全盛期を迎えようとしている次の時代の作家陣を継続起用して充実していたし、わざわざ筒美大先生に依頼しなくてもという…。このまったり感がこれはこれで悪くはないんだけど、まあ続けて提供を依頼するような感じではない…よなぁ…。
★★★☆☆
2ndベスト『ザ・森高』(アルバム・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
14th ファイト!!
1991年10月25日
作詞:森高千里、作編曲:高橋諭一
バレーボールワールドカップイメージソングというタイアップが当たったのか単にシングル市場拡大期の波に乗ったのかは不明だが、今作は最高10位とトップ10入りギリギリながらも100位以内に17週ランクインしてついに「17才」の売上を上回り、この時点での最高売上突破を果たして初の20万枚越え(26.9万枚)となった。
歌詞はそのまま応援歌になっているがド頭で“坊主頭の太郎君”と思いっきり名前を出すという超展開でこの太郎君への個人的な応援歌という体裁になっている。作中では太郎君が補欠でありながら懸命に頑張っている様子しか描かれておらず具体的な部活内容を示唆する言葉は入っていない。ただ坊主頭である点や泥だらけで走っている点からも一般的には高校野球が真っ先に浮かぶところ。しかしタイアップはバレーボールである。これはバレー部なのだろうか。しかし坊主頭で泥だらけで走るバレー部の太郎君…?う~ん…なんか違…。太郎君野球部が1番しっくりくる。楽曲自体は爽やかなポップバンド然とした良メロナンバー。自分でドラムを叩きだすまでは斉藤英夫は打ち込み、高橋諭一は比較的バンドサウンド寄りという傾向があった。
『ROCK ALIVE』のアルバム・ヴァージョンでは冒頭に頑張って!、間奏でもファイト!ファイト!という台詞が追加されているがそれ以外に特に違いはなく、この辺りからアルバムバージョンでの大幅変更は少なくなってくる印象。
★★★☆☆
6thアルバム『ROCK ALIVE』(アルバム・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
15th コンサートの夜
1992年2月25日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
売上は「八月の恋」並に戻り(10万ちょい)、地味な結果となったが、タイトル通りにコンサートをテーマにした曲だったのでライブでは頻繁に披露されて盛り上がっていたらしい。
コンサートをテーマにしているため全体にややロック色が強め。しかし森高千里が行っているコンサートそのものを歌っているのではなく、卒業式の帰りにみんなで行って熱狂したコンサートの夜を回想するという内容の卒業・青春ソングとなっているのがけっこう独特。内容自体は真面目だが単にそのままコンサートそのものをテーマにしない辺りのセンスが光る。道中で星を見上げた思い出にも触れられていて思い返してとても特別な夜になっているという”あの夜”は青春の思い出そのものでなんだかとても眩しく、卒業式の後にコンサートに行った事は無いが、とても懐かしい気持ちになる曲だ。
アルバム・ヴァージョンは冒頭歌い出しの後に1番のサビ直前(友達のことや~♪)を1度歌ってからAメロに突入するなどAメロまでが長くなっているという違いがある。
★★★☆☆
6thアルバム『ROCK ALIVE』(アルバム・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』
16th 私がオバさんになっても(シングル・ヴァージョン)
1992年6月25日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
アルバム『ROCK ALIVE』からのシングルカット。アルバムではフェードアウトだったがシングル・ヴァージョンは間奏を削って短くして最後まで演奏されるという違いが分かりやすいが、ほぼ全面的にリテイクされているように聞こえる。間奏のリフなどもアルバムはシンセ主体だったが、シングルバージョンの方がギター主体になるなどアレンジ自体はほぼ同じだがだいぶバンドっぽさが強めになった。元々アルバムがオリジナルなので『ROCK ALIVE』ではバージョン名無表記だったが、『DO THE BEST』収録時に『ROCK ALIVE』音源を採用したため区別のためにアルバム・ヴァージョンと表記された。以降もベスト盤によってシングルバージョンだったりアルバムバージョンだったりする。
シングルカットだったため最高15位とトップ10入りも逃したが、曲のテーマにインパクトがあったためか異例のロングヒットを記録して、100位以内25週ランクイン。この記録は「雨」の23週を上回る自身最長ロングランヒットとなり、最高15位で20万枚を突破。これにて紅白初出場を果たすなど新たなる代表作となった(以降97年まで6年連続出場)。加えて歌手活動再開以降、すっかりオバさんになっているはずの本人が変わらぬ美貌でこの曲を歌うという場面が長年司会を担当した『FNS歌謡祭』を中心に定期的に放送されるようになり、近年では最大の代表曲扱いになりつつある。
実はけっこう紆余曲折あった曲でアルバム『古今東西』に収録されていた「あるOLの青春~A子の場合~(森高コネクション)」とは姉妹曲に近い関係性となっていて歌詞やメロディーがどことなく似ている。これは元々最初に作られたのが「あるOLがオバさんになっても」という曲でしっくりこなかったのでボツ(未発表)。このボツ曲「あるOLがオバさんになっても」のメロディーに新たな歌詞をつけたのが「あるOLの青春~A子の場合~」となり、「あるOLがオバさんになっても」の歌詞は気に入っていたのでこの歌詞に新たにメロディーをつけてもらったのが「私がオバさんになっても」になった…らしい。
歌詞は作中でも書かれているように女盛りは19歳だという話になった時に既に21歳になっていてどうして!?と思ったのがきっかけになったそうで、当時なりのオバさん像が描かれている。当然当時はオバさんになってもまさかあんな若々しい容姿を保っているとも、カッコつけててもお腹が出てくると言われていた相手の男性が江口洋介になるとも思われていなかったわけで改めて衝撃的だ。夫婦揃って美しくカッコいいままオバさんオジさんになってやがる…。
歌詞が注目されがちではあるけどメロディーのキャッチーさでも群を抜いてきていてこの辺りから斉藤英夫が無双モード、作家として全盛期に突入してきたような印象もある。また今作を機にド派手な衣装も無くなり、この次のアルバム『ペパーランド』からはナチュラル志向へシフトチェンジして本格的に演奏も開始するなど大きな転換点になった。
『DO THE BEST』で聞いたアルバム・ヴァージョンで長年馴染んでいてシングル・ヴァージョンは長らく聞いたことが無かったので愛着にかなり差があったはずが、シングル・ヴァージョンを聞いてからはシングル・ヴァージョンの方が好きだな…と思った数少ない曲の1つ。意外と収録機会が少ない…というかシングルバージョン統一のベスト盤で機械的にシングル・ヴァージョンで収録されるだけで、セレクト系のベストだとアルバム・ヴァージョンになってしまうのでアルバム・ヴァージョンの方が主流なのだろうか。
★★★★☆
6thアルバム『ROCK ALIVE』(アルバム・ヴァージョン)
3rdベスト『DO THE BEST』(アルバム・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』(シングル・ヴァージョン)
7thベスト『ザ・シングルス』(シングル・ヴァージョン)
8thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’87~’92』(アルバム・ヴァージョン)
17th 渡良瀬橋/ライター志望
1993年1月25日
2009年11月25日(雨/渡良瀬橋)
2017年11月15日(渡良瀬橋 完全版)
初の2曲とも新曲の両A面シングル…だったはずが「ライター志望」はアルバムに収録されず長らく放置され続けた完全なC/W扱いが長年続き『ザ・シングルス』でようやくのアルバム初収録となった。最高位は9位とトップ10入りギリギリながら、今作で初の30万枚を突破。
2009年には『雨/渡良瀬橋』としてマキシシングルで再発された。「雨」は新バージョン(as right as rain mix)だったが、「渡良瀬橋」はそのまま。
2017年には『渡良瀬橋 完全版』としてMV、メイキングや新MVを収録したBlu-ray+UHQCD仕様による最新リマスターのオリジナル音源、2017 Versionを収録したCDの2枚組で発売された。完全生産限定BOX盤には2曲の7インチレコードも付属。
基本的にシングルでは今作より本人演奏が本格化。特にドラムは打ち込み楽曲でない限り全面的に自ら演奏するようになった。
渡良瀬橋
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
演奏楽器:Drums,Piano & Recorder
栃木県足利市にある渡良瀬川にかかる渡良瀬橋をテーマにしたいわゆるご当地ソングバラード。タイアップが「いい旅・夢気分」だったので響きのいい川や橋を入れてみようと地図を開いて「渡良瀬川」という単語が綺麗だなと目につき、そこから「渡良瀬橋」が実在するか探したところ足利にある、そこで初めて足利にコンサートで行ったことがあるのを思い出し、一気にイメージが沸いたので現地「渡良瀬橋」に実際に出向いて歌詞を書き上げたというエピソードが伝えられている。歌詞中に出てくる”八雲神社”は実在し(複数ある)、”床屋と公衆電話”も現地に実在する。
ライブで行っただけで現地に縁もゆかりもない上に「この街」で熊本弁での台詞を入れたように熊本出身である事も知られている中で、地元の人に怒られるんじゃないかという心配もしていたそうだが、むしろ感謝されまくって市長から感謝状まで贈られたという。さらに2007年には歌碑まで現地に建てられたとか…。
『DO THE BEST』で最初に聞いた時に個人的に「雨」以上に気に入ったバラードが今作だった。大きな盛り上がりはないがメロディーがとてもよく、現地に行った事は無いがなんとなくイメージが浮かぶ風景描写が秀逸で風情もある。名曲。
今作より本人の楽器演奏が本格化し、PVでもピアノ、ドラム、リコーダーの演奏シーンを組み合わせたものになって視覚的にも演奏をアピール。本格的に生音になった事でサウンドの質がかなり変わった。森高ドラムはかなり素朴なトテトテとした一聴するとかなりしょっぼい音の響きをしているがビートルズ感漂うそのドラミングには独特の味わいがあり、大きな個性となっているように思う。ていうか途中からドラム自分でやり出すアイドル出身のシンガーって…。今作に関してはドラムとピアノだけでなく間奏がリコーダーソロっていうのが素朴で効果的。
カバーも多いが04年の松浦亜弥のカバーシングルが個人的には印象深い(半年後には何故か後藤真希までアルバムでカバーしている)。シングル版は馬飼野康二のアレンジで持ち味を損なわいようにしつつも新たな味わいになっていたが、松浦亜弥が再度カバーした2011年の『Click you Link me』では森高千里がコーラス&リコーダーで参加、編曲も高橋諭一と双方に関わりのあるアレンジャーに変わってより原曲に近い味わいとなった。『Click you Link me』バージョンのカバーは特に好き。
★★★★☆
8thアルバム『LUCKY 7』
3rdベスト『DO THE BEST』
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
6thベスト『MY FAVORITES』
7thベスト『ザ・シングルス』
9thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’93~’99』
PV
セルフライナー
歌碑訪問
八雲神社へお参り
床屋の角にポツンとある公衆電話
渡良瀬川の河原
まとめ映像
ライター志望
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
両A面扱いなのにあまりにもあんまりな扱いの不遇曲。実質C/Wと変わらないような扱いを長年されていたが『ザ・シングルス』では忘れられずに公式にA面扱いされた事で機械的なアルバム初収録を果たした。、『ザ・シングルス』には演奏クレジットが無いので良く分からないが、これ以後よりは以前の作風っぽい。
タイトル通りにライター志望の女性を主人公とした歌詞になっているがライター志望の女性目線ではなく第三者視点(いわゆる神の視点)で物語のようにライター(小説家)を目指して努力し続けている女性ととっとと夢をあきらめろと言う現実的な彼氏の対立を描きつつも”夢のない男よりも夢のある女 あっけからんと一人でその夢つかむでしょう”と締められていて夢を追う女性を肯定して成功すると予言する。これまたなかなかユニーク。男女逆の話はよく出てくるけど、現実的な男性に対して夢のある女性を肯定するっていうのは当時だと今以上に新しかったんじゃないか。
★★★☆☆
7thベスト『ザ・シングルス』
18th 私の夏
1993年4月10日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
演奏楽器:Drums & Piano
’93全日空沖縄キャンペーンCMソング。連続して最高売上を記録し、現在は4番目のヒット作。この辺りから特にタイアップがあってそれに乗っかった歌詞を…という制作スタイルがシングルでは増えてくる。これに伴いタイアップ職人的な歌詞も散見されるようになってきた。今作も全日空の沖縄キャンペーンなので歌詞全体が休暇の旅行を検討する心情になっていてリゾートやビーチでのんびりしようと場所を特定する言葉を出さないようにはしているが2番のサビはそのまま“決めた 沖縄の海にしよう”と完全に行き先を沖縄へ決定。実にタイアップであるが、開放感のあるメロディーは実際本当にリゾートに遊びに行きたくなるような、そもそも行かずとも行った気になれるような社会人の若者の夏休みといった装い。これ以降もいくつか夏のシングルがあるけど年齢と共に段々内容が落ち着いていくのでその変化も聞きどころ。
アルバム・ヴァージョンでは新たなイントロが追加され、間奏が長くなるといった変更や波音の追加などの処理が施されているが、全体のアレンジは変わっていない。
★★★★☆
8thアルバム『LUCKY 7』(アルバム・ヴァージョン)
3rdベスト『DO THE BEST』
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』
7thベスト『ザ・シングルス』
9thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’93~’99』
PV
セルフライナー
200曲セルフカバー(2012)
200曲セルフカバー(2014)
C/W ロックンロール県庁所在地(Single Version)
作詞作曲:森高千里
演奏楽器:All Instruments(アルバム)、Drums,Apf,Guitar Solo,Wah Wah Guitar(’95)
C/Wで1番有名な曲。オリジナル、シングル、’95と数年の間に3バージョン発表された。ただシングルバージョンはアルバム未収録ゆえに聞いた事なくて、オリジナルと’95が馴染み深い。バージョン違いに関わらず一貫して編曲表記は無いが全演奏を本人が担当。ギターソロまで本人演奏なのでなかなか必聴。
シンプルな構成でひたすら47都道府県名と県庁所在地を並べていく(県名と県庁所在地が同じ場合は県名のみ)というものだが、九九の歌なんかと同様に小学生の勉強ソング的な価値が高く、実際’95を小学5年生当時に聞いた事で県庁所在地の暗記が完璧になった。当時の小学生でこれで県庁所在地を覚えたという者も少なくない…はず。
03年にはミニモニ。が「ロックンロール県庁所在地~おぼえちゃいなシリーズ~」としてカバー。新たな世代の小学生に役立った…と思われるが既に対象年齢外だったのでまともには聞いたことが無い。03年時点で我らが埼玉県が合併により浦和からさいたまへ県庁所在地が変更になり、これに伴いこのカバーでは“埼玉は浦和”が“埼玉さいたま”と埼玉だけ2回繰り返す構成へと変化した(前述のように県名と県庁所在地が同じ場合は県名のみで歌われているがメロディーが余ってしまうのと音は同じでも表記が漢字と平仮名で違うのでこうなったと思われる)。本人のさいたまバージョンは200曲セルフカバーで音源化された。
★★★★☆
Single Versionアルバム未収録
7thアルバム『ペパーランド』
3rdベスト『DO THE BEST』(’95)
6thベスト『MY FAVORITES』
200曲セルフカバー(2012)
200曲セルフカバー(2015)
19th ハエ男(シングル・ヴァージョン)/Memories(シングル・ヴァージョン)
1993年6月25日
共にシングルカット、シングル・ヴァージョンに変更しての両A面シングル。両A面で両方とも既出曲なのは初。2曲ともシングル用に録り直しされたとはいえ、さすがにトップ10落ち(13位)した。
基本的に初出のオリジナルアルバム『LUCKY 7』から『DO THE BEST』『ザ・シングルス』と揃って収録されているが、『the best selection of first moritaka 1987-1993』のみ「ハエ男」だけで「Memories」はスルーされた。
ハエ男(シングル・ヴァージョン)
作詞作曲:森高千里
演奏楽器:Drums & Piano(right channel)
作曲も手掛けた初のA面曲。周囲にいたというゴマすり男がテーマになっており、ほぼ全編サビの勢いでゴマすり男をハエ男と称して嫌悪感を強烈に表現していく…という珍曲。繰り返しのメロディーとテーマのシュールさが猛烈なインパクトを放っているためほとんど1度聞いただけで覚えてしまうくらいの勢い。また世界最低のサウンドを目指したと語られているように全体に歪んだ音像にされていて、いつもよりもロックンロール色が強く、割と無駄にカッコいい…というのも面白かったりする。
「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」のハエ男コーナーの挿入歌に起用された事でシングル用に録り直すことになったというシングル・ヴァージョンでは全体にハエ男のハエ男っぷりをブラッシュアップさせたような変更が施されていて、SEの強調など細部のこだわりもより強くなっている。
★★★★☆
8thアルバム『LUCKY 7』
3rdベスト『DO THE BEST』(シングル・ヴァージョン)
4thベスト『the best selection of first moritaka 1987-1993』(シングル・ヴァージョン)
7thベスト『ザ・シングルス』(シングル・ヴァージョン)
Memories(シングル・ヴァージョン)
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
この時期には珍しい斉藤英夫による1人オケ制作で森高千里の演奏参加が無い。哀しみではない過去の恋の思い出をテーマにしているため、懐かしさを感じられる1曲。どちらかというと同世代の女性が幅広く共感しそうな感じ。かなり薄いというか軽めの打ち込みで逆に思い出の中を浮遊しているようなアレンジが印象的。メロディーに関してはこの時期は本当に無双状態。
この曲も同じく「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」のEDに起用された事でシングル用に録り直しでシングル・ヴァージョンとなったが、これによりだいぶアレンジが変わり、打ち込みながらリズム隊もがっしりとしてだいぶバンド風のサウンドになった。アルバムでは意識してないと聞き流してしまいそうなくらい小さく鳴っていたギターソロも派手になり、シングル曲っぽく生まれ変わった感じ。最初に聞いたのはシングル・ヴァージョンだったので、シングルの方が馴染み深く、アルバムは思った以上にうす~くて驚いた。
★★★★☆
8thアルバム『LUCKY 7』
3rdベスト『DO THE BEST』(シングル・ヴァージョン)
7thベスト『ザ・シングルス』(シングル・ヴァージョン)
20th 風に吹かれて
1993年10月11日
作詞:森高千里、作編曲:斉藤英夫
演奏楽器:Drums
全日空「ラ・九州」キャンペーンCMソング。このタイアップはC/W「九州育ち」とどっちに決まるかギリギリまで決まらなかったとされている。初の1位獲得シングルとなり前々作とほぼ同じ売上を記録。現在は5番ヒット作。
派手さは無いがどこか遠いところへ行きたいという旅情溢れる雰囲気の良さが今作の魅力。実際「私の夏」で言い切ってしまったのでもう九州行きたいみたいな直球のノリの歌詞は書けないという事情もあったようだが、先の「私の夏」とはまた角度が違って、リゾート!海!とかではない温泉的な癒しを求めているようなそんな1曲。タイアップ自体もそうだったとは思うけど秋冬の旅行の風情が切り取られた1曲だと思う。風景のモチーフにしたのは大分の湯布院だと明かされている。
『DO THE BEST』をリアルタイムで手に取った時は親がレンタルしてきてカセット録音だったんだけど、ドライブのたびにかけまくっていたので小5から中学生くらいまでの旅先や車窓の景色を思い出す。また遠いところへ行きたいな、どこか遠いところへ…。普段そんなに行かないが、いざ行けないとなると行きたい。
★★★★☆
9thアルバム『STEP BY STEP』
3rdベスト『DO THE BEST』
7thベスト『ザ・シングルス』
9thベスト『UHQCD THE FIRST BEST SELECTION ’93~’99』
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