キンモクセイ 活動急始記念シングル回顧 2001-2007,2011

7,80年代の日本のポップスを00年代前半のミュージックシーンで再現していた特異なバンド、キンモクセイ。世間がR&B風やらラップミュージックで沸いている時代に実にマイペースに”あの頃の匂い”を掲げ、懐かしくも新しいサウンドを展開し続けた。早い時期での「二人のアカボシ」でのブレイクはあったものの、時代と合ってなさすぎたせいか早々に忘れられてしまい1発屋扱いされるようになってしまったが、02~06年当時のヒット曲が懐かしくなる中でも彼らの楽曲は色褪せない。むしろ全体に懐古ムードが高まり、時代の彼方へ置き去りにされていた80’sのサウンドすら逆に新しいものとして受け入れられるようになってきた昨今、キンモクセイの楽曲に改めて触れてみると当時よりもさらに普遍的に感じられる。

『Beautiful Dreamer』15周年2017年2月11日に、02年2月11日このサイト開始当時にまさに「二人のアカボシ」がブレイクしていたのを思い出し、調べたら02年2月11日付の週間チャートで初のトップ10入りを果たしており、ベスト盤の年表でも2月11日に初のトップ10入りをしたことが記載されている。ここだ!という事で過去曲回顧旧スタイル最終章を飾ったキンモクセイのシングル回顧だったが、活動急始に合わせてC/W追加で早くもリニューアル。

※2015年に概ね執筆したままお蔵入りしていたものを2016年デビュー15周年に向けて微修正、しかし修正が遅れてタイミングを逃して再度お蔵入りしていて2017年2月のサイト15周年と「二人のアカボシ」のヒットが同時期だった事から2017.2.11公開したものをC/Wを追加した完全版として2020.3大幅追記修正。
※音源を所持していなかった8thC/W、11thC/WはSpotify無料版(PC)で試聴したのみで感想を書いていますので視聴環境が他の曲と著しく異なります。



1st 僕の行方

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01年10月24日
“時代を後どり”、“ポピュラーミュージックグループ”というキャッチコピーを掲げての記念すべきデビュー作。BARKSによるこんな記事も残されているが、R&BやHIP HOPが主流になり、浜崎あゆみが全盛期で、桑田さんが1人ミリオン状態で、ミスチルの人気が復活して、GLAYラルクが大失速して青春パンクが元気だったこの時代に全く即さない音楽性だった事もあり、“時代を後どり”というキャッチは秀逸だった。しかしやはりCD売上が急速に冷え込む中での時代の後どりはマズかったのか今作リリース時点では全く無風状態で100位圏外。

僕の行方

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
イントロの瞬間から“あの頃”の雰囲気が漂う1stにして新人感のない貫禄安定の1曲。各楽器は決して派手には鳴らさないもののよく聞くとかなり細かく作りこまれたバンドサウンドになっていて色々な演奏に耳を傾けて聞くと毎回違う楽しみ方ができる。あとクレジットをよく見るとCongaの演奏クレジットがドラムの張替智広とは別枠でムーチョ張替になっているのが地味に遊んでて面白い。

夏の電車は走る~のサビもそこまでキャッチーというわけではないがけっこうクセになってきて普遍性が高い。一方で歌詞は夏の電車が僕らを乗せて走るという言葉に呼応するのが”引き返したい気もしらないで”、”残してきた人も知らないで”、”幾つの気がかりも知らないで”などとどれも未来を懸念するような言葉が並んでいて、デビューという始まりながらも相当な不安を抱えていてでも電車は止まれないから前に進むしかない…みたいな複雑な心境が見え隠れする。デビューの心境というだけでなく、電車は人生にそのまま置き換える事も可能。社会に出ていくというのはまさにこういう心情だよな…。

また“あの日の歌が蘇る”の後に“だけどなごり雪は降らない”と分かりやすく明示されているので主人公が思い浮かべているのはまさにかぐや姫、イルカの名曲「なごり雪」そのものだろう。

MVでは「8時だヨ!全員集合」のコントセットを再現しているが…01年10月時点で高校2年生でも既に番組名しか知らない世代だったので「二人のアカボシ」のヒット以降にこのジャケットを見た際もなんか昭和のコントっぽいセットだなとしか思えなかった。当時25歳前後だったメンバーは番組終了時点で10歳前後だったので小学生の頃の記憶として残っていたとは思われるがメンバーと同世代以上じゃないと分かった上での懐かしさは感じられないのでは…。

1stアルバムではストリングスは素晴らしいものだVersionとしてそのままストリングスを加えた豪華なアレンジ。まあ悪くはないけど別に入ってなくてもいいかなぁ…。
★★★★☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』(ストリングスは素晴らしいものだVersion)
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

僕の行方
キンモクセイ
2007/11/21 ¥255

僕の行方 (ストリングスは素晴らしいものだVersion)
キンモクセイ
2002/07/03 ¥255

C/W しあわせ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
やたらと自分を幸せだと連呼しまくる幸せ言い聞かせ系ソング。具体的に何がどう幸せなのかはあまり明かされず”こんな不順な生活なのに”、”こんな不純な生活なのに”あの人とこの人といれるから幸せだという。不純で不順なあの人とこの人との生活って一体…。まあ幸せかどうかは気の持ちようだと思うのでそういう事なんだろうけど、でも何かどこか疑問を持っていないとこんな幸せ幸せ連呼しないよなぁ…。
★★★☆☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ

しあわせ
キンモクセイ
2002/07/03 ¥255

C/W 逃げろ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
01年に自主制作でリリースしたミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録曲のリメイク。とにかく”逃げる”曲だがどうやら主人公は君が好きな事は不変ながら君にはあの人がいてあの人に対する憎しみが消えないので自制のために逃げる、という事なのか。『キンモクセイの約18分』のバージョンもだいぶロックで勢いがあったが、このC/Wでの再録はさらにブラッシュアップされていてより激しさが増している。特にボーカルの激情っぷりはなかなか他の曲では出てこないテンション感だと思う。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス』(自主制作盤ミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録Ver.)

逃げろ
キンモクセイ
2001/10/24 ¥255

2nd 二人のアカボシ

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02年1月9日
ラジオでのパワープレイ数記録を当時更新するほど発売前から評判が良く、前作100位圏外に対して今作はいきなり初登場15位を記録、14位→17位と推移して4週目で10位を記録。トップ10入りはこの1度きり(全シングル通してこの1度だけ)だったが、8週連続トップ20入り、4月頃までランクインして紅白出場後の再浮上含めて100位以内20週ランクイン、20万枚を越える自身ダントツ最大ヒットとなった。

CDが一気に売れなくなっていたのもあってこの年の紅白は20万前後のヒットを出した初出場組がけっこう多く並んでいたがキンモクセイもその1組として出場を果たした。ただ年明けのヒットだったのと年末にはもうすっかり売れなくなってきていて1発屋コース濃厚になっていたため、初出場組の中でも99年のSomething ELse並にもうこれっきりだろうなぁ感は正直当時あったと思う。なんか流行ってた程度にしか聞いてなかった人なんか紅白時点ですでにちょっと懐かしいくらいになっていたのではないか。

歌詞に”アカボシ”、”ミヤウジヤウ”が出てくることからジャケットは明星チャルメラしょうゆ味のパッケージ風になっている。初回盤では実際にインスタントラーメンの袋入り仕様にするなど徹底した遊びを行っていて、突然の大ヒットによる完売を受けて地方別に色と味を変えた新初回盤パッケージも出回ったとか…。

二人のアカボシ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
物凄く上位に居座って大ヒットしたわけではないけど、02年の冬の間にロングヒットした最大の代表作。R&BからHIP HOPなどが流行になっていた当時、今作の雰囲気は明らかに浮いていたがだからこそなんだか目立っていたし、冬の寒さと懐かしさと切なさが混在した独特の雰囲気が合致してなんだか新鮮だった。hitomiの「SAMURAI DRIVE」とかDragon Ashの「Life goes on」とかKICK THE CAN CREWの「マルシェ」とかモーニング娘。の「そうだ! We’re ALIVE」とかDEENの「見上げてごらん夜の星を」と一緒に聞いていてまあかなりカオスな時期だった気がしなくもないが、割とどれも鮮明に覚えている曲たちだな…。これらの他の曲はオールシーズンだけど、今作に関しては冬の寒い間に特に聞きたい。ジャケットにもシティポップス風味と書かれているが、シティポップが再度トレンドに上がるようになった近年改めて再評価されそうな、というか当時より今の方が流行りに近い作風のような気もする。

二番煎じになるので作らなかったのか、たまたま出来た奇跡の1曲だったのかは不明だけど、何となく奇跡の1曲だったような気もする。何度も聞くことで良さが滲み出していく曲がキンモクセイには多いんだけどこの曲はファーストインプレッションだけでかなり鮮烈だった。作中で描かれている夜明け前の2人が何故離れなければいけないのか、その理由は一切明かされない。ただ残る疾走感と切なさが秀逸。後に終盤で出てくる“朝焼けの水蒸気”という歌詞は元は”旅客機”だったのが前年の911テロを考慮して差し替えになった事が明かされている。

MVもラーメン繋がりで屋台のラーメンが舞台となっているが何故か屋台の客としてCDデビュー1年前の竹内めぐみが出演している。以降キンモクセイのMVに出た女優はその後必ずステップアップするという法則が…。最初に完成したMVではラーメン屋台の店長が若干魔法じみた技を駆使しながらラーメンを作っていくというふざけた過程が盛り込まれていたが、一旦それで完成後に勝負曲なのにふざけすぎじゃないかという事で英断が下り、急遽ラーメン調理シーンの大半をカットして余った部分にメンバーの演奏シーンを増加させるという再編集を行ってMVが完成したと後に明かされた。このエピソードと共に元のバージョンは後にMV集で公開されているが、確かにラーメン屋のオヤジで笑う。
★★★★★
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

二人のアカボシ
キンモクセイ
2002/01/09 ¥255

C/W ゆびわ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
少々独特なプロポーズへの決意と未来の妄想を綴ったポップス。”いずれあの子と”というのはいずれ生まれる子供を想定しているという事なのか。『音楽は素晴らしいものだ』ではnew recordingsと題されていて新録されているが10数秒ほど長くなっていてテンポもやや落ちてストリングスアレジも加わっている。オリジナルを先に聞いていると軽快さが失われて少し遅い感じがしてしまう。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』(new recordings)

ゆびわ
キンモクセイ
2002/01/09 ¥255

ゆびわ (new recordings)
キンモクセイ
2002/07/03 ¥255

C/W 二人にしやがれ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
沢田研二の「勝手にしやがれ」を彷彿とさせるタイトルで、曲調も他の曲以上にあの頃臭が強い。なんか本当に70年代末期くらいにありそうな感じの雰囲気の曲ではあるが、「勝手にしやがれ」っぽいところは無かったりもする。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

二人にしやがれ
キンモクセイ
2002/01/09 ¥255

3rd 七色の風

七色の風
02年5月9日
前作がちょうど100位圏外になる直前(86位)に発売され、初登場14位を記録。初動売上・順位共に前作の出足は上回ったもののロングヒットせずに落ちていってしまい5万枚に届かない売上となった。それでも2番ヒット…と早くも1発屋感の漂うチャートアクションとなってしまった。

5人乗りの自転車が無かったのか4人乗り自転車+1人自転車に乗っているというジャケット写真になっているが、プロモーション盤ではこれを長い自転車の横に5人が並んでいるものに微改変してイラスト化して大瀧詠一の名盤『A LONG VACATION』風のパロディデザインにしているほか、配布されたステッカーはこのイラストを大滝詠一、佐野元春、杉真理によるアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』風のパロディデザインにしている。当然「七色の風」自体もナイアガラサウンド…と往年の大瀧詠一リスナーを引き付けるようなプロモーションが展開した。

七色の風

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
いわゆるナイアガラサウンドと呼ばれるような大瀧詠一オマージュしたようなカラフルかつ独特の深いエコー感のある爽やかポップス。サビ始まりかと思いきや基本的に2ブロック(と大サビ1回)を繰り返すだけでどちらもサビ、もしくはAメロとBメロ(とCメロ)しかないような構成。シンプルな割にアイデアが詰まっていて長くなったのか5分近くに及び意外と長かったりもする。

GW前後の初夏を彩るさわやかでポップないい曲だなと思ったものの、もう1つ伸び悩んで早くも1発屋モードになってしまった。単に季節に合わせたサウンドを展開した&元々のバンドの実力の高さが普通に発揮されただけだったようにも今にしてみると思うが、「二人のアカボシ」とはイメージが違いすぎたのと当時のヒットシーンではナイアガラサウンドオマージュが懐かしいというよりなんか普通なポップな曲だったという感じで流されてしまったのだろうか…。正直個人的にも当時ナイアガラサウンドとか言われても良く分からなかったので普通に明るいポップな曲として聞いていた。

MVではボーカル伊藤が演技をしたいとの意向でテニスをしながらのちょっとしたラブロマンスが繰り広げられ相手役に乙葉が出演。当時おっとり系とか癒し系としてブレイク途上の時期だった。展開するラブロマンス模様のセンスは昭和だったが、この当時の乙葉は確かにかわいらしく、マドンナって感じ。
★★★★☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

七色の風
キンモクセイ
2002/05/09 ¥255

C/W 追い風マークⅡ

作詞作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ
前作の「二人にしやがれ」に続いて今回は吉田拓郎の「マークⅡ」を彷彿とさせるタイトル作。明確なサビらしい部分が無いが全編勢いがあってけっこう耳に残る良曲。コーラスのシンガロングっぷりも目立っているが、メンバーの中でコーラス表記があるのはギター佐々木のみで佐々木は2番冒頭の単独ボーカルも担当しているが、他のメンバーにはコーラス表記が無い。山口育孝&田辺音楽集団スーパーコーラスユニットと表記されていてシンガロングしているのはどうやら彼ららしい。といっても田辺音楽集団って誰なのか良く分からないが…。山口育孝はA&RのBMGスタッフで、後のMV集のコメンタリーにも進行役で一緒に参加していた。
★★★☆☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ

追い風マークII
キンモクセイ
2002/05/09 ¥255

C/W 波

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
01年に自主制作でリリースしたミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録曲のリメイク。泣きたい心情の主人公があえて1人旅に出て気が済むまで泣いてから帰ろう、という1人で発散する内容がなんだか繊細そうな伊藤俊吾のイメージと妙に合致する。悲しさは無くてなんとなく優しく寄り添ってくれるような雰囲気で派手さは無いけどけっこうじんわり来る1曲。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス』(自主制作盤ミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録Ver.)


キンモクセイ
2002/05/09 ¥255

4th さらば

さらば
02年7月3日
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』と同時発売・同時収録。特にバージョン変更も無くそのまま収録されているのでリード曲的な扱いであると同時にアニメ『あたしンち』タイアップがついていたのでアニメジャケット仕様で視聴者層向けにシングルも一緒に出したというような形で、C/Wは無くカラオケ収録のみ。また限定生産盤という扱いであった。初登場15位で数万枚のヒットとなり、3番ヒットとなったがアルバム同時収録が無く先行シングルにしておけばもう少し伸びて2番ヒットを狙えたものと思われる。

さらば

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
テレ朝系アニメ『あたしンち』初代OP。恐らく2番目に知名度が高い曲で、子供時代に見ていた視聴者であれば唯一知っているのがこの曲という人も多いかもしれない。アニメでは05年6月まで使用された。その後最終回でも使用されたらしい。そもそもこの作品、読売新聞の日曜版に掲載されていた漫画だったのに何故か日テレじゃなくてテレ朝でアニメ化された。映画にもなったことがあり、サザエ、ドラ、ちびまる子、しんちゃんと20世紀で定番化したまま新定番が生まれなくなっているファミリーアニメ界(?)00年代の新定番として愛されていくかと思われたが、残念ながらそうはなれなかった。祖父母が同居してないのに加えて一軒家でも無くマンション暮らしの4人家族というのはサザエ、ドラ、ちびまる子、しんちゃんよりも現代の家族の形にジャストフィットしていると思うのだが…(連載当初と違って当時特に何も気にせず見ていた子供たちがいざ働く世代になった事で実はしんちゃんの父ひろしが超勝ち組だった事を実感してひろし勝ち組説が定着するような時代になってきていたりもするし)。開始当初の関東圏では「ドラえもん」直後の19時30分枠だったが、放送開始わずか2年でそれなりの視聴率だったにも関わらずこの枠に「しんちゃん」が移動してきたことで土曜午前11時のローカル枠へ飛ばされてしまった。その後はかなり粘ったが09年にアニメ終了12年に原作も作者疲労により終了してしまった。アニマックスでは15年10月から半年間新シリーズでアニメ『新あたしンち』が放送された。キンモクセイ活動急始に呼応するように原作漫画も2020年からAERAで連載再開が発表された(読売ではなくテレ朝系列の雑誌に移動した模様)。同時期に再開した両者だが再アニメ化となり再度組むなんて事ももあるか…!?

原作は読んでいたがアニメはそんなに見てなかった。ただこのアニメというと“こんにちはありがとうさよならまた会いましょう”が浮かぶ。これまた明確なサビが無く、全編サビのようなキャッチーさで進行するので非常に覚えやすい曲だ。お別れをテーマにした曲は数あるがドラマチックなやつではなく、明日もまたとか次のライブでとかまた会おう的な爽やかさでまさにエンディングにこれ以上ないくらいふさわしい曲。

元々は01年に自主制作でリリースしたミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録曲。『キンモクセイの約18分』はバンドアレンジのみだったが、今作ではホーンアレンジが効いた華やかなサウンドにブラッシュアップされた。
★★★★☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス』(自主制作盤ミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録Ver.)

さらば
キンモクセイ
2002/07/03 ¥255

5th 車線変更25時

車線変更25時
02年11月27日
1stアルバム明け最初のシングルで「二人のアカボシ」での紅白初出場が決定したのとほぼ時を同じくしてリリースされた。紅白には出たものの既にブレイクしたアーティストという扱いから1発屋に近い印象を持たれていてそれでもパワープッシュで年末の歌番組に出まくっていれば違ったかもしれないが、既に年末特番にもあまり出てこなくて扱いがあまりよくなく、Mステのスーパーライブにも呼ばれず(紅白初出場組のうち藤本美貴、BoA、RAG FAIR、中島美嘉、KICK THE CAN CREW、島谷ひとみはMステにも出れていて、Mステがジャニーズ的なアレやコレやで厳しかったw-inds.もそこそこ他の番組には出ていただけに紅白放送時にはキンモクセイよく出れたな…くらいの感じになっていたのを記憶している。ただスーパーライブは呼ばれずとも一応今作リリース時のMステ通常放送出演は果たしており(何故かテレ朝アニメタイアップの前作では出れなかったのに)、「二人のアカボシ」「七色の風」に続く3度目にして最後のMステ出演となった。初登場22位とトップ20落ちしたものの若干の粘りを見せて最後の数万クラスのヒットを記録した。

車線変更25時

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
まさかのディスコ歌謡ナンバー。ここでまさかディスコとは…。インパクト抜群だったので当時もなんか今回の曲凄いぞ…とちょっとだけ一部では話題になっていたようにも記憶している。真夜中に海を目指して車を走らせる内容になっているが、彼らは神奈川県相模原市出身なので国道16号や246号など地元の地名が具体的に出てきて地元が近い人は特に海まで向かっていく光景が浮かびやすいかも。かなりの意欲作で面白かっただけに、このタイミングでもう少し売れていればなぁ…。

「七色の風」での演技に続いて今度は踊りたいという伊藤の意向で本格的なダンス練習を経てMVでは伊藤が1人でキレのいいダンスを披露している。このダンスの雰囲気が近い時期にヒットしていた氣志團の「One Night Carnival」にちょっと似ていた。なお演技もダンスもかなり大変だったたしく、これで懲りて以降はやりたいと言わなくなったとか…。
★★★★☆
2ndアルバム『風の子でいたいね
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

車線変更25時
キンモクセイ
2002/11/27 ¥255

C/W 夢を見させて

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
01年に自主制作でリリースしたミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録曲のリメイク。ストリングスアレンジが加えられている。これにて4曲全てがメジャーでリメイクされた。童話『マッチ売りの少女』をベースにして援助交際をテーマにした割と社会派な楽曲。マッチ売りの少女を例えにしているのが不思議な物語感を醸し出しているが、正直夢を見させてとは歌っているものの夢は見られそうにない…。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス』(自主制作盤ミニアルバム『キンモクセイの約18分』収録Ver.)

夢を見させて
キンモクセイ
2002/11/27 ¥255

C/W ぽっかぽか

作詞作曲:佐々木良、編曲:キンモクセイ
1stアルバム収録曲のシングルカット。ほのぼのとしたシングアロング的な楽曲でボーカルも全員で歌っている。サビ以外は普通に恋人に向けて歌っているようなラブソング風味なんだけど、サビになると主人公の一人称が全部「我」だったり、我は向日葵だと言ってみたり、明日はあの街で咲くとしようとか言い出したり、我こそが愛だと堂々言ってみたりと急になんかやべぇ奴みたいになるのが変にインパクトがある。それに引っ張られてか一部のボーカルがちょっと魔王っぽくも聞こえる。しかしほのぼのしているのでさらっと聞くとあまり変な感じがしない。
★★★☆☆
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ

ぽっかぽか
キンモクセイ
2002/07/03 ¥255

6th 同じ空の下で

同じ空の下で
03年4月9日
紅白出場を経て冬も越えての03年最初のシングル。初登場20位を記録したものの、2週目に急落(95位)してしまい、集計が200位までに拡大されたものの200位以内でも4週ランクイン、1万割れと低迷した。最後のトップ20どころか最後のトップ30入りとなった。

同じ空の下で

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
春らしいさわやかさとちょっぴりセンチな気分が同居したポップス。「七色の風」とさわやかさでは近い部分があるけど、もう少し大人な佇まいで落ち着いている。最初は地味な曲だなと思ったものの、後からじわじわ効いてきて今ではかなり好きな1曲になっていて時期にもよるが割とNo.1に近い位置づけ。当時のいくつかのヒット曲と並んで大学入学当時の思い出の1曲でもあり、この曲を聞くとイントロのピアノの瞬間から03年春の青空と大学のキャンバスを思い出す。当時通っていた大学の敷地の半分以上は病院やスーパーに様変わりしてしまい、最早記憶の中にしか存在していないが、無くなってしまった事でより思い出になった感もある。離れていても同じ空に下にいるという思いは、今よりも今が過去になってより響いてくる曲だ。安定した演奏もひたすら心地いい。なお当サイト掲示板のタイトルはその時々で気分な楽曲のタイトルをつけているが、近年はこの曲からの引用で固定されている。
★★★★★
2ndアルバム『風の子でいたいね
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

同じ空の下で
キンモクセイ
2003/04/09 ¥255

C/W Pocket Song

作詞作曲:張替智広、編曲:キンモクセイ
過ぎてゆく毎日を穏やかに捉えたような淡々とした1曲。落ち着いた地味な佇まいで当時は普通すぎると思ったけど日常の中でふとなんかこういった曲に浸りたい瞬間がやってくるのが後年分かるようになってきた。少し焦っている時に落ち着ける1曲でもあり、これを「Pocket Song」と題したのはなかなか秀逸だ。ポケットに常備しておきたい1曲
★★★☆☆
2ndアルバム『風の子でいたいね

Pocket Song
キンモクセイ
2003/04/09 ¥255

C/W ふれあいUSA

作詞作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ
初期のTHE BOOMみたいな陽気なスカ風のノリノリなナンバー。Fu~♪とか陽気に歌っている伊藤氏がちょっと無理してないか不安になってくるほど陽気だ。USAな様子は歌詞で1度だけ”街行く綺麗な人 最先端流行りのUSA”という部分のみ。君について延々歌っているのにこの箇所は街行く人の描写になっているので曲とあまり関係ない上に、USAが最先端の流行りってカーモンベイベーアメリカ的なダサ系だと思うしいつの時代のセンスなんだろうか。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

ふれあいUSA
キンモクセイ
2003/04/09 ¥255

7th 人とコウモリ/日曜日の夜

人とコウモリ/日曜日の夜 人とコウモリ/日曜日の夜
03年9月17日
初の両A面シングル。表と裏で白と黒になっている純然たる両A面扱いで(コウモリに引っ掛けてか「人とコウモリ」の方は上下逆になっている)2曲ともMVが制作された平等な扱いの純然たる両A面扱いでそれぞれ主演が異なるが世界観的には繋がっていて連作となっている。また2曲とも伊藤以外のメンバーが作曲した初の表題曲となった。初登場36位と本格的に低迷が始まり、続く2ndアルバムも初登場30位…と前作のトップ10入りから大幅に売上を落とし、ブレイクの勢いは完全に無くなってしまった。

人とコウモリ

作詞:伊藤俊吾、作曲:白井雄介、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
スカ風の怪しげなナンバー。急に売れ線を放棄したというかダークに攻めた仕上がりで当時は意味不明だった。正直これでついていけなくなったライトリスナーは多いと思うし、個人的にも以降はアルバムを聞かずにシングルだけチェックするくらいになってしまった。改めて聞いてみるとこれはこれでカッコいいいし新境地だったと思うんだけど、決定的に売れなくなってしまったのはこれでは仕方なかったという気は今でもする。この後も暗黒な感じのシングルが続くのでそこも覚悟の上で貫いたのか。MVには本格ブレイク前の蒼井優が出演。
★★★☆☆
2ndアルバム『風の子でいたいね
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

人とコウモリ
キンモクセイ
2003/09/17 ¥255

日曜日の夜

作詞:後藤秀人&伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ&鈴木茂
アルバムでは1曲書いていたが、シングルでは初の後藤作品。伊藤以外のメンバー作はここまでのC/Wで発表されていたのでこれにてシングルで5人全員の曲が発表された。3連ミディアムナンバー。ここまでのキンモクセイらしい雰囲気は戻っているものの、けっこうまったりしているのでややかったるい。好きな相手をあきらめるという内容のため詞の内容も切なく、加えて「日曜日の夜」で検索すると検索候補が「憂鬱」「眠れない」「不安」「頭痛」「下痢」「腹痛」「涙」など精神不安なワードばかり並ぶようなそれが日曜の夜である。これはどうしてもあまり積極的に聞きに行く気がしないではないか…。MVは2曲繋がっており、今作では蒼井優に代わって中学生の少年が主演している。
★★★☆☆
2ndアルバム『風の子でいたいね
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

日曜日の夜
キンモクセイ
2003/09/17 ¥255

C/W 密室 午前1時14分

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』に収録されていた「密室」のリメイク。「午前1時14分」というタイトルが新たに加えられた。原曲もやや重たい楽曲だったがさらに鈍重になっていて1分以上曲が長くなった(6分越え)。この後バンド自体がやや暗い方向性に向かう事を考えるとかなり分かりやすく闇堕ちしてきている感じも。当時はちょっと驚いた。
★★★☆☆
アルバム未収録
1stアルバム『音楽は素晴らしいものだ』(原曲『密室』)
密室 午前1時14分
キンモクセイ
2003/09/17 ¥255

8th 二人のムラサキ東京 
/キンモクセイと東京ジェンヌ

二人のムラサキ東京
04年4月21日
“キンモクセイと東京ジェンヌ”名義でリリースされた男女デュエットシングル。女性ボーカルの東京ジェンヌの正体は当初一切明かされてなかったため誰なのかが話題になった…とされている。後に松たか子だったと正体を明かした事でさざ波のように話題が継続した結果、当初はついにトップ50落ちとなる初登場65位と過去最低だったが東京ジェンヌ誰なのか効果(?)で2週目66位に居残り、80→92→88位となんと65位から5週もトップ100で刻むチャートアクションを繰り広げて、200位以内では9週ランクインで前2作を上回る累計1万越えを達成した。

一方これまで3曲収録だったが、今作は2曲となった。

二人のムラサキ東京/キンモクセイと東京ジェンヌ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
超絶なまでにザ・昭和歌謡なデュエットソング。今なら1周回ってこの昭和感も面白いが、04年時点で昭和歌謡デュエットとか時代錯誤すぎて引いてしまい今作は手に取らなかったのでベスト盤リリース時に初めてちゃんと聞いた。東京ジェンヌは当時正体不明とされたものの、歌声を聞けば松たか子だよねこれ?となんとなく察しがつくくらい松たか子そのまま。場末のスナックとかで歌われてそうなまさに昭和歌謡イメージのテンプレみたいな1曲。間奏の台詞の掛け合いもシュールだ(東京ジェンヌが貴方東京の人よね?と聞くが伊藤が神奈川とあっけからんと回答する)。

『NICE BEAT』では初回盤ボーナスディスク送り、『ベスト・コンディション』でも初回盤ボーナスディスク送りと何故か2回とも初回盤限定収録となっている。
★★★☆☆
3rdアルバム『NICE BEAT』(初回盤のみ)
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

二人のムラサキ東京
キンモクセイと東京ジェンヌ
2004/04/21 ¥255

C/W 愛の食事(New mix like 60’s)

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
『風の子でいたいね』2曲目に収録されていた曲をシングルカットでリミックス。今作に関してはミックス変更程度で大幅変更は施されておらずなんとな~く音の響きが変わったような感じ。タイトルからして60年代風のミックスにしたものと思われるが60年代風がなんなのかそもそも良く分かってない。元々かなり時代を感じるようなレトロな歌謡ポップス路線だったので、レトロには違いないのだが…。原曲の方がエコーな感じとかもう少し後の80年代的な感じで、それより素朴な60’sといった感じなんだろうか。
★★★☆☆
シングルミックスアルバム未収録
2ndアルバム『風の子でいたいね』(原曲)

愛の食事 (New mix like 60’s)
キンモクセイ
2004/04/21 ¥255

9th メロディ

メロディ
04年8月25日
話題性で多少引っ張った前作に対してこれといったタイアップなし、発売がそもそも話題になることもなくなり、さらに低迷してしまった。O社初登場71位は100位圏外の1stを除くと最低位となるが、以後0.3万枚ラインが標準となるためダントツでこれだけ低いみたいな最低売上なシングルは無かったりもする。

メロディ

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
シンプルなタイトルだが、これまでのイメージを一新し、ドコンドコン鳴り響くドラムや淡々と進行する曲調など全体通して不穏な空気が全開。聞いているだけでなんだか不安な気分になってしまうような、いわゆる“暗黒時代”へ突入したようなダークな曲。後にヒットのプレッシャーできつかったような事を語っているので今作のダークさはまさにそれなのかもしれない。最初はナンダコレと思ったものの、今までにない新たなサウンドは歌謡曲路線に行き過ぎるよりはけっこう新鮮に聞こえてきて当時妙にハマった。
★★★★☆
3rdアルバム『NICE BEAT
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

メロディ
キンモクセイ
2004/08/25 ¥255

C/W 君とチンパンジー

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
A面からは一転して以前のキンモクセイのイメージに近い明るめのラブソング。ドラムの張替もボーカルを取っていて伊藤と張替のデュエットとなっている。歌詞にチンパンジー要素が全くの皆無で何故にこういうタイトルなのかがかなり謎。変な曲っぽいタイトルなのに聞いたらなんか普通に爽やかでいい曲だし、ギャップがありすぎて未だに曲と曲名が一致しない。3rdアルバムには他にも「兄ちゃんの唐揚げ」「太郎のおかたづけ」など一見ナンダコレ?と思うようなタイトルの曲がいくつかあるので(しかも実際聞くと珍作ではなく意外と普通にいい曲)暗黒時代の副産物だったのだろうか。
★★★☆☆
3rdアルバム『NICE BEAT

君とチンパンジー
キンモクセイ
2004/08/25 ¥255

C/W 二人のアカボシ(LIVE at 日比谷野外大音楽堂2004.4.25)

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
最大のヒット曲2ndシングルのライブバージョン。序盤はキーボード弾き語りのスローバラードでサビ以降はバンドが入るもなぜかレゲエ風のノリでまったり進行…と元の面影の無いアレンジで進行した後に2番からは元のアレンジへ移行する。序盤が大胆改編で展開がゆっくりなので演奏は7分半に及ぶ。序盤のアレンジは新鮮ではあるがこれなら普通にオリジナルで聞かせてくれよ…というくらい大胆に変更していて唯一最大のヒット曲になってしまった同曲への複雑な心情がこの1コーラス丸々大改変に繋がっていたのか、単に演奏しまくってきたのでちょっと違う聞かせ方をしたかったのか。
★★★★☆
ライブバージョンアルバム未収録

二人のアカボシ LIVE at 日比谷野外大音楽堂2004.4.25
キンモクセイ
2004/08/25 ¥255

10th むすんでひらいて

むすんでひらいて
04年12月1日
アルバム『NICE BEAT』への21日前の先行シングル。前作に続いて初登場70位と低迷し、アルバムも45位と低迷した…がアルバム初回盤ボーナスディスクに入れたとあるカバーがわずかなる突破口へと繋がる事となった(次回作へ続く)。前々作に続いて2曲収録(新曲+リメイク)。

むすんでひらいて

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
有名な童謡と同タイトルなのでほのぼのした曲なのかと思いきや前作の路線を引き継いだような暗めの楽曲でほのぼのさは皆無。前作以上に淡々としていてどこか不穏な空気が漂いまくる。歌いだしがいきなり“この世は終わりに向かい進む船よ”とかスケールがデカい上にかなり追い詰められているんじゃないかと心配になってくる。ただ前作同様に不思議とハマる要素はあったし、この先の進化を思うと必要な道筋だったんだろうなと思う。
★★★☆☆
3rdアルバム『NICE BEAT
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

むすんでひらいて
キンモクセイ
2004/12/01 ¥255

C/W 恋人なくした~冬~

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&佐橋佳幸
2ndアルバム『風の子でいたいね』収録曲「恋人なくした」のリメイク。サブタイトル“~冬~”と題されたが歌詞を冬模様に変えたわけではなく、アレンジを思いっきりウィンターソング風味に変えたといった装い。元々原曲もかなりまったりした雰囲気だったが、冬仕様になってもまったりさは変わってなくて伸びやかなメロディーはけっこういいんだけどどうにも長さを感じてしまう。それでもひたすらまったりしか印象が無かった原曲よりは冬の空気感をふんだんに盛り込んだこっちのバージョンの方がわずかに印象は上。
★★☆☆☆
2ndアルバム『風の子でいたいね
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

恋人なくした ~冬~
キンモクセイ
2004/12/01 ¥255

11th 夢で逢えたら

夢で逢えたら
05年2月16日
3rdアルバム『NICE BEAT』初回盤ボーナスディスクに収録していた「夢で逢えたら」のシングルカット。有名曲カバーだったことと久々に世間の耳に届くようなダイハツ・ミラジーノのCMソングとしてOAされていたのが好評でシングルカットながら初登場36位を記録。70位台だった前2作の売上を初動だけでぶち抜いて1万枚に迫る累計売上を記録するなどこの時点での通常よりもヒットし、下がる一方だった売上が唯一明確に復調した。後のベスト盤の帯の宣伝文句でも「二人のアカボシ」「さらば」に続いて「夢で逢えたら」の収録がアピールされていた。

夢で逢えたら

作詞作曲:大瀧詠一、編曲:キンモクセイ
吉田美奈子の有名曲カバー。元々大瀧詠一やナイアガラサウンドも彼らがリスペクトする方向性の1つではあったし「七色の風」のようなシングルもあっただけに、かなりの好カバーでオリジナルの持ち味を生かしながら確固たるキンモクセイとしてのカバーになっていて素晴らしい仕上がり。これを聞いた大瀧詠一からの評価も高かったらしく、当時既に隠居状態だった大瀧詠一とメンバーが対面する機会も設けてもらえたという。この縁をもう少しうまく展開させていればナイアガラサウンドに魅了されてきた歴戦の財力のあるアダルト層をもっと取り込めたかも…。
★★★★☆
3rdアルバム『NICE BEAT』初回盤Nice Bonusのみ
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

夢で逢えたら
キンモクセイ
2005/02/16 ¥255

C/W ちょうど今から

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
安定のキンモクセイらしいポップス。これといった特徴もあまりなくそんなに強い存在感のある曲ではないが奇をてらわない良曲といった印象。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

ちょうど今から
キンモクセイ
2005/02/16 ¥255

C/W 夢で逢えたら(総天然色Style)

作詞作曲:大瀧詠一、編曲:キンモクセイ
原曲の吉田美奈子の兄であるエンジニアの吉田保によるミックスバージョン。吉田保にミックスをやってもらうというのは02年にDEEN&原田知世でやったのと全く同じで、DEENの場合はアルバムからのシングルカット時に吉田保によるミックスで発売していた。DEENとキンモクセイはレコード会社の担当(山口氏)が同じという縁があったので、同じような流れが提案されたものと思われる。

DEENの吉田保ミックスは違いがどこにあるのかを判別不能なくらいだったが、今作は冒頭から聞こえる音色がだいぶ違ってストリングスが追加されている上に演奏時間も8秒くらい長くなっている(フェードアウトが遅い)などけっこう変わった。どういうわけかカラオケバージョンもこの総天然色Styleでのカラオケしか収録されていない。シングルカットなんだし普通にこっちメインにすりゃよかったのに…。
★★★★☆
アルバム未収録

夢で逢えたら (総天然色Style)
キンモクセイ
2005/02/16 ¥255

C/W 熱き心に(New mix)

作詞:阿久悠、作曲:大瀧詠一、編曲:キンモクセイ
コンピ盤『ナイアガラで恋をして Tribute to EIICHI OHTAKI』に収録されていた楽曲をリミックスで初めてキンモクセイ名義の作品に収録したもの。大瀧詠一が小林旭に提供した楽曲であり、小林旭のカバーという事になる。この当時は大瀧詠一バージョンはデモの存在が示唆されてはいたものの未発表だったが没後発見された音源を集めた2016年の『DEBUT AGAIN』に収録された。

オリジナルを知らないが、大瀧詠一の楽曲のカバーはまさに得意分野と思われ何の違和感もなく普通にキンモクセイの新曲のように自然に聞けてしまう。むしろデュエット歌謡とかダークなシングルが続いていて今までのイメージとは少し異なる曲ばかり出していたのでこっちの方がキンモクセイっぽいと感じるようなところもある。
★★★☆☆
New Mixアルバム未収録
コンピ盤『ナイアガラで恋をして Tribute to EIICHI OHTAKI』

熱き心に (New mix)
キンモクセイ
2005/02/16 ¥255

12th SUMMER MUSIC

SUMMER MUSIC
05年7月27日
8thから2曲収録になったり、3曲に戻ったりしていたが今作以降は2曲(C/W1曲)となった。今度は季節シリーズで行こうという話になったのか、まずは夏をテーマにしたシングル。

SUMMER MUSIC

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
カバーを経て明るい方向に回帰。暗黒なシングルが続いていたのでキンモクセイが進化して戻ってきた!というのが第1印象。80年代~アーリー90’sといったあの頃の夏のヒット曲のタイトルやフレーズが歌詞に散りばめられた歴代サマーソングオマージュが全面展開。”ああ夏休み”(TUBE「あー夏休み」)、”珊瑚礁”(松田聖子「青い珊瑚礁」)、”チャコもミーコも”(サザンオールスターズ「チャコの海岸物語」)、”高気圧の女の子”(山下達郎「高気圧ガール」)、さらにコーラスでナツナツココナッツ(石川優子とチャゲ「ふたりの愛ランド」)などパッと聞いて分かる範囲でもこれだけぶっこまれているけどたぶんもっと多いんじゃないかと思う。楽しく聞ける1曲でここからしばらくは少し目が覚めたような曲のキレがあって『13月のバラード』へ繋がっていく。
★★★★☆
4thアルバム『13月のバラード
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

SUMMER MUSIC
キンモクセイ
2005/07/27 ¥255

C/W 僕の夏

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
キンモクセイの中ではエレキギターやドラムの音がかなり前面に出てドッシンバッシン鳴り響いているロックナンバーでその分だけ力強く印象に残る「SUMMER MUSIC」とは違うカラーのサマーソング。今作以降はリリースもやや鈍っていくが、C/W曲のインパクトが以前よりも増して2曲とも強い両A面のようなシングルが続くようになる印象がある。

『13月のバラード』ではmore 陽炎 versionとなっていて文字通りによりモヤッとした陽炎のような音像に変わった。実際の夏というのは数々のサマーソングが描くようなカラッと爽やかなものではなく、じっとりぐったり暑いものであるが、そんな実際の夏の暑さに近いのはこっちのバージョンかもしれない。
★★★★☆
4thアルバム『13月のバラード』(more 陽炎 version)
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

僕の夏
キンモクセイ
2005/07/27 ¥255

僕の夏 (more陽炎version)
キンモクセイ
2005/12/21 ¥255

13th 冬の磁石

冬の磁石
05年11月30日
夏に続いて冬をテーマにしたシングル。このままカレンダー形式をとったアルバム『13月のバラード』へと繋がっていった。

冬の磁石

作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
一転して冬の凍てつくような寒さをサウンドで表現した切な系ウィンターチューン。早い段階でこの曲出してれば2作目以降のヒットも出せたんじゃないかというくらい勝負作っぽい勢いもある。「二人のアカボシ」に1番近いというか続けてヒットしそうな気がする曲というとシングルの中では今作が1番近いかなとなんとなく思っている。作曲がほとんどの楽曲を手掛けていたボーカル伊藤ではなく後藤秀人だったのが意外だった。

MVには映画『NANA』で大きく知名度上げた直後の宮崎あおいが出演。全盛期的な圧倒的な存在感を放っている(1番の全盛期は個人的には映画『ただ、君を愛してる』だと思ふ)。長澤まさみが『ツバサ』のMVに出ていたらアンダーグラフがブレイクしたように宮崎あおい美しい効果でもう少し楽曲自体に注目も集まらなかったものか…。宮崎あおい目当てでいいからMVから入って曲を聞いてくれ!な1曲。
★★★★☆
4thアルバム『13月のバラード
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

冬の磁石
キンモクセイ
2005/11/30 ¥255

C/W 優しい人になりたい

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
さらっと軽快なアコースティック調の優しい1曲。軽快で優しげな曲調だが1番2番共に君の元へたどり着く前に“死んでしまう”という言及があり、1番では風邪をひいた心が小さくなっている事、2番では木枯らしが吹き荒れている夜である事が直接的ではないが間接的に原因のように描写されており、優しくなりたいというよりかはそれと同時に優しくされたい、癒されたい、それは裏返せばかなり心が疲弊している事が伺える。休止の原因の1つが伊藤氏がメジャーのプレッシャー(売れる事)に負けてしまい心がやられたというものだったが、もしかしたらこういうところに出てきていたのかもしれない。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

優しい人になりたい
キンモクセイ
2005/11/30 ¥255

14th さよならの表情

さよならの表情
06年10月18日
いよいよリリースが本格的に滞ってきてしまい、2006年は今作1枚ポッキリ(新曲2曲)の発表となった。最低位更新は免れるも100位圏外の1stを除いて売上枚数が記録されたシングルでは今作が最も売上が低い。

さよならの表情

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
C/Wやアルバムでは伊藤以外のメンバーのボーカル曲も出ていたがシングルでは唯一の伊藤とドラム張替のツインボーカル体制といっても伊藤メインで最後のサビの冒頭で2人の掛け合いボーカルを聞く事ができる。これまでよりもエレキギターを前面に出しているのが特徴でアコースティックは入れずにギター2人がエレキギターを弾いている上に伊藤までエレキギターを弾いているのでエレキギター3本体制。シングル表題では最も派手なアレンジとなっているが、あの頃感は存分に残されていてキンモクセイらしさと更なる攻めの姿勢がピークに達した1つの到達点のような1曲になった。新境地を感じさせる方向性だっただけに当時も期待が高まった曲だったんだけど、結果的に独立した作品みたいな形になってしまい発展が無かったのは残念。

MVには子役の伊藤綺夏が出演。翌07年に『まるまるちびまる子ちゃん』で2代目のちびまる子ちゃんに選ばれ一挙有名になった。この事は『金木犀e.p.』初回盤DVDに収録されたMVのコメンタリーでメンバーも触れているが、ちびまる子ちゃんスタイルとMV時では見た目がかなり違うので最初は気づかなかったようだ。

同じく『金木犀e.p.』初回盤DVDのコメンタリーではバラードの別アレンジが存在する事を示唆していたが、『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Discの最後に「さよならの表情~Sunset Ballad~」として発表された。ガラッと変わったピアノストリングスバラードに変わっていてかなり印象が異なる。夕陽と別れの切なさは案外こっちの方が出ているかもしれない。
★★★★☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc(Sunset Ballad)

さよならの表情
キンモクセイ
2006/10/18 ¥255

さよならの表情 ~Sunset Ballad~
キンモクセイ
2007/11/21 ¥255

C/W 真っ赤な林檎にお願い

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
サディスティック・ミカ・バンド「タイムマシンにお願い」のリスペクトパロディナンバー。冒頭のギターアレンジからパロディ全開で、冒頭の歌詞は”タイムマシン”、タイトルは「~にお願い」とかなり明確に元ネタを示唆しまくっているので、「タイムマシンにお願い」を知っていれば誰でも一瞬でパロディだと分かるようになっているが、正直当時知らなかったので過去最高にエレキギターガンガンいっててロックだなぁ…今後はロック路線にするのかなぁ…という印象しか抱いていなかった。いずれにせよ「さよならの表情」といい今作といいけっこうロックバンド感を前面に出していたので少し派手さを意識しているのかなと思った程度であった。

「タイムマシンにお願い」を初めてちゃんと聞いたのは豊崎愛生が2018年に『AT living』でカバーした時であれこの感じどっかで聞いたことあるぞ…?なんだっけ…?と。そこから久々にこの曲を聞いて初めて繋がった。
★★★★☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

真っ赤な林檎にお願い
キンモクセイ
2006/10/18 ¥255

涙の木の唄

07年11月21日
作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&澤近泰輔
『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc1曲目に未発表曲として収録された楽曲。クレジットによれば先の「真っ赤な林檎にお願い」と全くの同日(今作は後日別スタジオで追加録音をしている)にレコーディングされているようなのでこの位置で取り上げる事にする。

どこか寂しさを感じる部分もあり、その辺りはバンド末期っぽくもあるし、「真っ赤な林檎にお願い」があるなら採用されたのがそっちで未発表になったのも分かるんだけど、隠しておくにはもったいない隠れた名曲。寂しさはあるんだけど穏やかであろうとする前向きさも感じられてとても気分的にしっくりくる1曲。当時は地味な未発表曲だなと思ったが、曲を書いた伊藤氏と同じくらいの年代になってきた頃に(OVER 30’sくらい)なんだかこの曲のモードがやけにスーッと響いてくるようになった。
★★★★☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

涙の木の唄
キンモクセイ
2007/11/21 ¥255

さくら

さくら
07年3月21日
作詞:伊藤俊吾、作曲:後藤秀人、編曲:キンモクセイ
数々の桜ソングをカバーしたカバーアルバム『さくら』のタイトル作にして唯一のオリジナル曲。森山直太朗の「さくら」もカバーしていたがそちらは「さくら(独唱)」表記にして表記被りを回避している。唯一の新曲は伊藤ではなく後藤作曲によるもので「冬の磁石」に続くメイン曲採用。前シングルまでとは打って変わってここから休止まではすっかり落ち着いた地味なトーンの楽曲が続くので、もうなんか本当に今にして思うと休止へ向かう末期的な感じはある。今作も派手さは皆無で1度聞いただけでは数々の有名桜ソングカバーの中ではかなり影が薄くなってしまうのは否めないが、何度か聞いているといつしかじわじわ効いてくる。発表から10年近く経過してからの方がなんだか毎年桜が咲いた季節になると引っ張り出して頻繁に聞いているような気がする。最初★3から個人的に上り詰めた曲の1つ。
★★★★☆
5th(カバー)アルバム『さくら
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~』初回盤Bonus Disc

さくら
キンモクセイ
2007/11/21 ¥255

15th 金木犀e.p.

金木犀e.p.(初回生産限定盤)(DVD付) 金木犀e.p.
07年10月24日
結果的に休止前ラストシングルとなったが初の4曲入りEP。メイン曲は「金木犀の花」で残り3曲はアルバム未収録。『ベスト・コンディション』初回盤Bonus Discには別バージョン以外のアルバム未収録は網羅されていたがこの3曲は一切収録されなかった。当時はシングル扱いだったが、Spotifyなど現在のサブスク配信環境下ではシングルではなくアルバムと同じ並びに入っていて『さくら』→今作→『ベスト・コンディション』となっている。

シングルアルバム含めて初の初回盤DVD付。結果的に休止前にDVD付をやったのは今作のみであった。内容は当時出演していた地元神奈川テレビの音楽情報番組「saku saku」出演時(MC:中村優)のトーク出演部分をそのまま収録+前作「さよならの表情」や『さくら』収録曲のMVを06年発売のDVD『大感謝祭~キンモクセイのPV、など~』の続編としてコメンタリー付で収録した内容。

「saku saku」とのコラボの縁で「ふるさと」には中村優がボーカル参加している。また「金木犀の花」MVにはブラックマヨネーズ吉田敬が出演、「ふるさと」は中村優と共にスタジオライブ風のMVが制作されていたが、これらはDVDには収録されておらず未商品化のまま取り残された。

当時なりに全力は尽くしたもののせっかく桜井秀俊を招いての作業だったのに既にバンドの状態があまり良くなかった(休止へ向かっていた)のは少し悔いが残っているという旨を活動再開後にメンバーが語っている。

金木犀の花

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&桜井秀俊
真心ブラザーズの桜井秀俊を共同アレンジャーとして招き、最晩期にして新しいプロデューサーとの作業となった。前作までの勢いとは打って変わってかなり落ち着いたミディアムナンバー。バンド名を冠したような楽曲だというのにこの圧倒的な寂しさと落ち着きは…と前作までのモードの違いに当初戸惑った(「さくら」から地続きだと割と自然な流れではあるけど)。ここに来てバンド名を冠したEPを出してその実質タイトル曲が完全なる失恋歌でここまで哀しみに満ちてしまっているのは切ないなぁ…。当時は休止は発表されていなかったが、バンドの末期感はやはり確実に漂っていたように思う。しみじみとする泣ける曲ではあるが…サビを締める“本当のことはいつも何かを失ってから”という言葉はズシリと響く。
★★★☆☆
ベスト『ベスト・コンディション~Kinmokusei single collection~
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス

金木犀の花
キンモクセイ
2007/10/24 ¥255

ふるさと

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
地元神奈川テレビの音楽情報番組「saku saku」の当時のMCを担当していた中村優(当時20歳)をゲストボーカルに招いてのコラボ曲。グラビア系のタレントでドラマにはほぼ出ておらず、「saku saku」も知らなかったので正直無名の若手シンガーか何かかと思っていた。この時点で歌手活動もしていなかったがこの後09年にシングル2枚だけ出して歌手活動もしたようだ。中村優の単独パートは2番冒頭の”おかえり”程度でメインはあくまで伊藤ボーカル。素朴な女性コーラスがいいスパイスになっている…といった感じの穏やかな良曲。

また他の3曲は7月にレコーディングされているが、今作のみ8月にレコーディングされており、後にベスト盤にて発表された未発表曲も全て06年までのレコーディングなので、この曲が休止前最後の曲だった模様。
★★★☆☆
アルバム未収録

ふるさと
キンモクセイ
2007/10/24 ¥255

えんぴつの恋

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ&桜井秀俊
「金木犀の花」と同じく桜井秀俊プロデュース楽曲。君との恋をしていた日々は”えんぴつだから消えていく”というこれまた哀しい感じの失恋ソングだが、今作は哀しみを吹き飛ばすようなアッパーなギターロックナンバーになっていて「金木犀の花」とは対照的。正反対のアプローチでバンドの対応力の広さを見せたとはいえ、ここまでのヤケクソ気味なアップテンポになってくると違うバンドみたいでもあり、新境地というより迷走に思えなくもない。まあしっとり穏やか続きの中で刺激的な1曲ではあったからEPの流れの中では良かったか。
★★★☆☆
アルバム未収録

えんぴつの恋
キンモクセイ
2007/10/24 ¥255

Young Sunday

作詞作曲:伊藤俊吾、編曲:キンモクセイ
初々しい過去の片思いを回想する懐かしい雰囲気のラブソング。4曲の中では最も標準的というかおとなしすぎず、派手すぎないどっしとした佇まいの演奏を聞くことができる。
★★★☆☆
アルバム未収録

Young Sunday
キンモクセイ
2007/10/24 ¥255

アシタ

11年03月25日(期間&配信限定コンピ盤『HOPE nau!』)
19年12月25日(初CD化、2019 New Mix)

東日本大震災の復興支援の配信限定コンピレーションアルバム『HOPE nau!』に収録された活動休止中に一時再集結して書かれた1曲。活動再開ではないと明言されこのためだけに久々に5人集まってレコーディングしたのみ。当時も少しだけ話題になっていたのは記憶しているが、あの震災直後の3月末なんかそれどころじゃなかったのでスルーしてしまった。正直どこで配信されていたのかも把握しておらず、気が付いたら『HOPE nau!』に入っていたという情報だけ残ってて今やそのコンピ盤がどこにあるのか不明、というかとっくに入手不可になっていた。

活動再開後に『ベスト・コンディション+レアトラックス』を発売した際に『レアトラックス』のラストに伊藤俊吾自らがミックスを担当した2019 New Mixとして初CD化され再度入手可能となった。

キンモクセイの休止以降、疲弊していた伊藤俊吾は裏方の仕事に回っていたようで自身の歌唱活動は2009年12月にDEENのアルバム『LOVERS CONCERTO』収録曲「Glory Day feat.イトウシュンゴ」にゲストボーカルとして参加した程度であった。この後のDEENツアーの最後となる2010年1月の東京厚生年金会館公演にゲスト出演して久々のステージだとコメントしながらライブ披露もしていたが(シングル『coconuts feat.kokomo』初回盤DVDに出演部分は全て収録)、これ以降は表には出ていなかった。2014年に父親の死をきっかけにしてソロサイトを立ち上げて本格的なソロ活動を開始したので、この2011年は精神的には最も地下に潜っていた時期と思われる。

傷つき疲れ果てた者がそれでもいつかを信じて明日を生きていこうとするような歌詞になっていて復興支援というよりももっとストレートに個人的な思いが反映されていたんじゃないかと思う。何かと弱さを克服して強くなりたいみたいな鼓舞する曲も多いけど、今作では“弱い心 暖めて行こう 抱きしめて行こう これからも”というフレーズが優しく響く。こういう曲が聞きたかったというそんな名曲。個人的にも非常に弱い心を自覚しているだけに、強くなろうとするのではなくそれも受け入れて進んでいこうというこの歌詞はとんでもなく響く。そしてそんな弱い心が全開で弱っているこの世界の現状の中、データと現状が明らかに噛み合っていない異常ともいえる何かがおかしいこの現在の中で最早テーマ曲のように聞きまくって最近生きている。
★★★★★
期間&配信限定コンピ盤『HOPE nau!』(配信終了、入手不可)
再発限定べスト『ベスト・コンディション+レアトラックス』(2019 New Mix)

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