桑田佳祐 ソロ30周年シングル回顧2~2007-2016~

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桑田佳祐 ソロ30周年シングル回顧2~2007-2016~

サザンの30周年を翌年に控えて2007年は4期となるソロ活動を行った。この4期は3期以上にサザンとの差別化が図られておらず、またアルバムリリースというゴールが無く、シングルとライブのみで幕を閉じた。そのライブDVDに全曲収録したCDを付属させる形でまとめていたが、映像作品の付属という形では一般にはあまり知られる事が無かった。

08年にサザン30周年を迎えたが、ここで無期限休止を発表。これまでも何度も休止はあったが、復活がいつになるのか全く分からない、少なくともこれまで以上に長引くことが予想される状況の中、09年に再びソロ活動が開始。

サザンが明確に休止している中で行われていた5期ソロ活動はこれまでのようにアルバムを出して一区切りというものではなくなった。また自身の病気による一時活動休止、オリジナルアルバム、ベストアルバム、さらに続くシングル…と盛りだくさんの内容となった。サザン最長の休止期間とイコールになったため最も長期のソロ活動となった。

サザンは35周年を迎えた2013年に復活。その後2年間サザンでの活動が続いたが、2016年からは再びしれっとソロになり6期ソロ活動が始まった。この6期ソロでは5期の終盤で見せていた歌謡曲要素、そして打ち込みの多用が目立つのが特徴だ。恐らく2018年はサザン40周年で再びサザンとして活動すると思われる。

2017年9~10月執筆

9th 明日晴れるかな

明日晴れるかな (初回限定盤) 明日晴れるかな (通常盤)
07年5月16日
03年以降毎年サザンとして活動していたが、5年ぶりのソロ活動。今回も3期前半同様にサザンとの差別化を意識しないものだが、サザンではド派手なシングルが宿命づけられていたので、一応それなりに違いはあった…と思う。

今作は初回盤がスリーブケース仕様なのではこれまでと同じだったが、初回盤のみのボーナストラックが存在。これに伴い品番が初回・通常でそれぞれ用意された初のソロ作品となった。

30万枚を越え、当時としてはそれなりの大ヒットを記録した。30万どころか20万枚を越えるシングルヒットは今のところ今作が最後となる。

明日晴れるかな

作詞作曲編曲:桑田佳祐、弦・管編曲:島健
月9ドラマ『プロポーズ大作戦』主題歌。専用のタイトルバックでは桑田本人もギターを弾きながら歌唱している1シーンが挿入されていた。山下智久が長澤まさみと結婚するために何度も過去と現在を行き来して少しずつ運命を変えていくというドラマは青春ストーリーとしても好評で、また1番過去に戻る時が高校時代という事もあって山下智久、長澤まさみ、榮倉奈々、濱田岳、平岡祐太ら85~88年生まれの主要キャスト陣がドラマで大々的に制服姿の学生を演じたのもほぼ最後となり、作中で使用されたMONGOL800の「小さな恋のうた」がちょっとしたリバイバルヒットになったりと、同世代である自分自身としても学生時代末期の思い出として印象深いドラマになった。

桑田さんはそんな20代前半の若者たちとはかけ離れた当時既に50過ぎのオッサンだったので、正直このドラマの主題歌というのは地味に難題だったんじゃないかと思う。普通にもっと若い奴に頼めよっていう。ていうか山P自分で歌ういつものパターン今回やんねーのかよっていう(実は山下智久は何故か月9主演時はセルフ主題歌をやらない事が多く、2013年の「SUMMER NUDE」主演時が唯一。)。そんな中で人生をやり直そうとする主人公の心情にも、それ以外の明日に迷う全世代にも届く迷いと希望の歌を書き上げたのはさすが。当時のサザンの派手路線の連発に少し飽きてきていたのですごく久々の大名曲に感じられた。
★★★★★
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

C/W こんな僕で良かったら

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫
本人出演のアメリカンエキスプレス「MORE THAN JUST A CARD」CMソング。ビッグバンド風のジャズナンバー。ゴージャスで大人な雰囲気は07年当時はイマイチ良さが分からないどころか、ジャズテイストが苦手だったが10年経つとこのスウィング感がとても心地いい。10年で印象がガラッと変わった1曲。
★★★★☆
アルバム未収録

C/W 男達の挽歌(エレジー)

作詞作曲編曲:桑田佳祐
本人出演のダンディハウスCMソング。女性にかっこよくキスしたつもりが嫌がられて物凄い情けない顔をする桑田さん…など三枚目を演じていたCMの印象が根強い。こちらも前曲からの流れでスムーズに聞ける曲だと思う。
★★★☆☆
アルバム未収録

初回盤・アナログ盤のみC/W
こんな僕で良かったら(Trumpet&Jazz Piano Trio:CM Version)

作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐、片山敦夫
タイアップ先CMのバージョンの1つとして作られたインストバージョン。Jazz Pianoと書かれているがクレジット上ではキーボードになっている。この音数では桑田さん演奏に参加していないのでは…と思いきや、“Drum Programming”として参加している。
★★★☆☆
アルバム未収録・未配信

10th 風の詩を聴かせて

風の詩を聴かせて
07年8月22日
初回盤はスリーブケース入り、ステッカー封入とこれまでとほぼ同じものだが、今作は初回・通常で品番が違う形態にはなっていない。前作がタイアップ効果による大ヒットだった事と、今作以降そこまでの大型タイアップに当たる事が無くなった事もあり、概ね15万前後のヒットが継続。固定ヒット+αという状況が続くようになった。

風の詩を聴かせて

作詞作曲編曲:桑田佳祐
映画『Life 天国で君に逢えたら』主題歌。05年にガンにより38歳で亡くなったプロサーファー飯島夏樹が遺した小説と自身が死の直前まで連載していたエッセイを原作にしての映画化。2年後にはドラマ化もされている。飯島夏樹はサニーサイドアップに所属しており、同事務所で活動していた当時の大黒摩季とは親交が深く、飯島の死後大黒摩季は飯島に捧げる楽曲「HEAVEN’S WAVES~Dedicated to NATSUKI IIJIMA~」を発表した。…が飯島がよく聞いていたという理由で映画主題歌の話は桑田さんに来たようだ。まさしく大人の事情でビッグタイアップには関われなかった大黒摩季だったが、09年のドラマ化の際は新たに大黒摩季が書き下ろした「最後のラブレター」が主題歌に採用された。

故人への思いをはせる静かなアコースティックバラード。タイアップ先に合わせているところもあるが”盆の花火”という単語も登場するので誰もがお盆のシーズンに亡くなった家族を思う時に寄り添ってくれる曲だと思う。映画主題歌のバラードという共通点からサザンの「真夏の果実」のようだとも言われたが似ても似つかないのが実際のところ。味がある名曲だとは思うが、過去の名曲と並ぶほどではないかなという印象は発売当時からあまり変わらない。この手の曲調は夏の終わりに聞くとより響いてくるものがある。

原由子がコーラスとキーボードで参加しているがキーボード表記が後になっている。これは片山敦夫もキーボードで参加しており、そちらがメインのためと思われる。しかしこの曲丁寧にドラムまで生になっているが、ほとんどバンドサウンドになっていない。バンドサウンドを打ち込みにする事も多いのにこういう打ち込みでもいいところで生にこだわるのは良く分からん…。
★★★★☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

C/W NUMBER WONDA GIRL~恋するワンダ~

作詞作曲編曲:桑田佳祐
自身出演の缶コーヒー「WONDA」CMタイアップ。と書くまでなくタイトルで2回も連呼しているのでまああの缶コーヒーのCMタイアップがついていたんだろうな…というのはとっくにOAが終了している現在でも容易に察することができる。コカ・コーラタイアップ同様にしばらく継続出演して「ダーリン」「DEAR MY FEIRND」へと交換されていった。インパクトを残したのはCMの内容がシリーズ通して桑田佳祐が故人とCG合成を駆使して共演するというものだったことで黒澤明、植木等、ジャイアント馬場らとそれぞれ”共演”した。

スピード感のあるロックナンバー。久々に桑田ロックのカッコよさを感じられる1曲。ただCMの内容がかなりインパクトがあったため、正直なんか曲がかかっていた気はするが映像>>>曲というインパクトになってしまったのは否めない。

この曲では原由子のクレジットがChorus Dubbing Adviser。コーラスとしては参加していないのでコーラスダビングを行う際に助言をしたというのを律儀に表記したようだ。
★★★☆☆
4thベスト『いつも何処かで

C/W MY LITTLE HOMETOWN

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫
出身地である茅ケ崎をテーマにした曲。曲自体はレゲエ調の陽気なナンバー。サザンの茅ケ崎ライブが伝説視されているように特別な思い入れがあるようで、あまりインパクトは無いが他のタイアップ曲を差し置いてまで『I LOVE YOU-now&forever-』に収録させた事からも思い入れの強さが伺える。この曲では原由子はコーラスで参加。結果的に全曲でクレジットされる事となった。
★★★☆☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-

11th ダーリン

ダーリン(初回限定盤) ダーリン
07年12月5日
なんと07年3作目。ソロで年間3作のシングルを出したのは初で唯一となっている(サザンでも21世紀以降では04年だけ)。初回盤は “Darling”トゥインクルバッジ付属。品番が別に分けられ、一般的にはDVD付に用いられる「VIZL」の品番が使用された。以降何故か頑なにDVD付初回盤をやらずに色々なグッズをつけるという独特の商法が延々続けられた。時代に即していたとは正直言えず、また無駄に大量生産されていたためか、そのどれもが軒並み初回盤としての価値を失い、後に投げ売りされるという…。

年間3枚のシングルを出したのでソロアルバムも期待されたがこのまま08年前半はサザン30周年の準備に突入したため、4期ソロ活動はここで終了。アルバムは出さなかったがソロツアーは行ったためこの模様を収録した映像作品『桑田さんのお仕事 07/08~魅惑のAVマリアージュ~』が3月にリリースされ、その付属CDとして3シングルのC/Wまで全曲がぶち込まれてまとめられた…とライトリスナーには手が出しにくい扱いでおしまいになってしまった。実質的なアルバム初収録は『I LOVE YOU-now&forever-』となった。

ダーリン

作詞作曲編曲:桑田佳祐、弦編曲:桑田佳祐・片山敦夫、管編曲:桑田佳祐・山本拓夫
自身出演の缶コーヒー「WONDA」「金の微糖」CMタイアップ。このタイアップでは唯一のA面。故人と共演するCM内容が反映されたのか、横浜を舞台にしつつ昭和を思わせるザ・歌謡曲な雰囲気が漂う楽曲。それこそ缶コーヒーよりもかつてやっていた「音楽寅さん」の実際の番組内容はともかく「寅さん」の単語に最もハマりそうなシングルが今作だと思う。CMでの渥美清との”共演”が無かったのは惜しまれる。

当時はかなり歌謡臭強いなと思っていたんだけど、その後もっと歌謡風味の曲が増えたせいか、改めて聞いてみるとそんなにコテコテな感じはしない。むしろ丁寧な生音サウンドといいこのくらいだと心地よかったりもする。
★★★★☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

C/W 現代東京奇譚

作詞作曲編曲:桑田佳祐、弦・管編曲:斎藤ネコ
映画『闇の子供たち』主題歌。主題歌といっても半年以上先の08年8月に公開された。タイでの人身売買をテーマにして話題作で出演陣も有名俳優が揃っていたが内容ゆえにあまり大きなヒットにはならず、またノンフィクションと宣伝していたのがフィクションも大いに含まれているとかなんとかで最終的にノンフィクションの宣伝文句が削られるなどゴタゴタもあったようだ。
いずれにせよ重いテーマのため曲もかなり陰の空気が漂う昭和歌謡風ナンバー。いつもと違う管弦編曲者を招いている事もあり、ド派手な管弦アレンジはまさに昭和歌謡の世界(懐古番組のイメージ)であり、ムーディーな雰囲気が濃厚。
★★★☆☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

C/W THE COMMON BLUES~月並みなブルース~

作詞作曲編曲:桑田佳祐
しゃがれた声で歌われている渋めのブルースナンバー。淡々と進行し、歌が入っている部分はそんなに長くないが、間奏では各楽器がソロを演奏で盛り上がるため6分近い長さに達する。歌メロよりも演奏が聴きどころという印象がある。
★★★☆☆
アルバム未収録

12th 君にサヨナラを

君にサヨナラを(初回生産限定盤) 君にサヨナラを(通常盤)
09年12月9日
08年サザン30周年での活動再開で無期限活動休止を発表。再びソロに戻ったが、準備に時間を費やしていたのか翌09年も終わろうかというタイミングでリリースされた。デビュー以来必ず毎年1作は新作をリリースしているのでもしここでリリースが無かったら初の新作の無い年になるところであった。

初回盤はスペシャルブックケース、2010年のカレンダーをあしらった“2009年にサヨナラをハンカチ付属。

君にサヨナラを

作詞作曲編曲:桑田佳祐、弦編曲:佐橋佳幸
2年ぶりのシングルだが何故か前作と印象が被る。実際にはけっこう違う曲なんだけど、この時は実際に「音楽寅さん」が復活していて、寅さん感(?)が自然に漂っていたので、寅さん感(?)という側面において印象かぶりを起こしているのかもしれない。別れをテーマにしているが死別の雰囲気が漂う辺りに老いの気配と深みを感じる。
★★★☆☆
4thアルバム『MUSICMAN
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

C/W 声に出して歌いたい日本文学

作曲編曲:桑田佳祐
『音楽寅さん』で8月に放送されてそのすさまじさがインパクトを残した18分越えの最長楽曲

近代日本文学10篇にメロディーをつけてメドレーにしたもの。つまり芥川龍之介とか太宰治とかこの中のいくつかは学生時代の教科書で目にしていたようなあの難解な小説の地の文をそのまま歌にしてしまったという壮絶企画である。桑田さん本人はこれら日本文学の愛読者であったわけではないどころか、ほとんど読んでいないとされており、おいおい…というところも無くは無いが、逆にだからこそメロディーをつけるなんていう大胆な発想ができたのかもしれない。

正直壮絶な割にはとにかく長いし、美メロが聞けるわけでもなく、メロディーもそんなに印象に残らないので聞き通すのはかなりしんどい。『I LOVE YOU-now&forever-』に無理やり収録した事で収録時間と曲数が圧迫された(この1曲分で3,4曲は入るわけで…)のは残念だった。
★★★☆☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-

C/W HONKY JILL~69(あいなめ)のブルース~

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫
09年4~9月までレギュラー放送として復活した『桑田佳祐の音楽寅さん~MUSIC TIGER~」OP。今回もユースケ・サンタマリアが合いの手で参加している。1期の「MUSIC TIGER」に比べるとまあタイトルの時点で下ネタ全開になっている。桑田さんらしいといえばらしいんだけど、なんだかんだでけっこうカッコいいロックナンバーになっていた前回に比べると今回はおふざけ色が強くなってしまってこれは単純にイマイチ…。第2弾とか続編モノの難しさを感じる1曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

13th 本当は怖い愛とロマンス

本当は怖い愛とロマンス(初回生産限定盤) 本当は怖い愛とロマンス(通常盤) 本当は怖い愛とロマンス(アナログ盤) [12 inch Analog]
10年8月25日
02年以来となるオリジナルアルバムをついに宣言してその先行シングルとして用意された。…が、食道がん発覚による治療に突入するため、一時的に活動休止となり、10月に予定していたアルバム発売は延期。今作は既に完成していたので予定通りに発売された。

7月12日:病気が発覚
7月28日:公表して休養発表
8月2日:手術
8月24日:2日の手術と22日退院を公表

今作のフラゲ日には既に手術と退院まで完了していた事を公表。退院していたとはいえMV撮影を行う余裕は当然なく、ジャケットを無理やりCG加工したものが使用されていたが、それではさすがにあんまりだという事で『MUSICMAN』発売時には事務所アミューズの仲里依紗を起用した新MVを撮り下ろし収録した。

初回盤は「本当に“デカい”缶バッジ」付属。このためにパッケージが分厚かった。

本当は怖い愛とロマンス

作詞作曲編曲:桑田佳祐
意外とありそうで無かったピアノポップナンバー。ビートリーな奮起を醸し出しつつも全編通してポップでメロディーもキャッチー。その割に歌詞は突如フラれた男のショッキングな心中が綴られている。デビュー曲の頃と違ってどこか3枚目っぽさが漂うのは年齢を重ねたゆえの余裕か。
個人的には2010年以降の楽曲の中ではけっこうダントツで好きな1曲。当時はそうでも無かったんだけど、2010年以降の曲を思い起こそうとするとインパクトで「ヨシ子さん」が勝手に全てを押しのけて最初に脳裏にやってきやがるが純粋にいい曲というとこれが浮かぶ。
★★★★☆
4thアルバム『MUSICMAN
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-

C/W EARLY IN THE MORNING

作詞作曲編曲:桑田佳祐
フジテレビ系『めざましテレビ』2010年度テーマ曲。めざましテレビタイアップの中でもちゃんと朝に特化した楽曲にはなっているが歌詞は下ネタ全開。というかそのままほぼ直球で朝からSEXというのがテーマになっているどぎついものだった。随所で女性のあえぎ声を入れまくるなど(清水美恵が担当)、色んな意味でヤリすぎとしか言いようがないひっでぇ内容。自分らしく行くしかないとか、当時の出演者である大塚、高島、そして軽部ならこの冗談を理解してくれるだろう、などと語っていたが、既に完全なる大御所である桑田大先生にテーマ曲依頼してそんな態度で来られたら断る選択肢はないだろう。「音楽寅さん」も前年ようやくの2期を実現していただいたばかりなフジテレビにとっても、この冗談を理解”するしかなかった”のでは…。

またフジテレビが没落していったのはこの翌年から顕著になった。もう数年後だったら朝にこんな曲はけしからんという苦情がネット記事になってSNS炎上したり、またフジテレビか的な扱いで苦情が殺到していたかもしれない。

サウンド面では珍しく4つ打ちビートが強烈に炸裂するデジタル全開なアレンジになっていてインパクトはある。もう少し歌詞が抑えめだったらなぁ…。
★★★☆☆
4thアルバム『MUSICMAN』(「EALRY IN THE MORNING~旅立ちの朝~」に改題)
4thベスト『いつも何処かで』(改題Ver.)

C/W 今でも君を愛してる(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)
しゃアない節(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)
東京(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)
誰かの風の跡(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)
ダーリン(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)
ROCK AND ROLL HERO(Live Recorded at 日本武道館 2010.3.13)

サザン含めるとこれまでもライブ音源を収録することはあったが、6曲も収録されたのは初。シングルの概念が変わってきたことを感じる試みだが、さすがに今回はメドレー扱いにせず1トラックずつ収録。歓声も繋がっていて(実際の曲順が違う部分も編集で繋げている)ミニライブアルバムとして楽しめる。
★★★★☆

Let’s try again
/チーム・アミューズ!!

Let's try again(DVD付)
11年5月25日
東日本大震災の復興支援のために桑田佳祐が発起人となり、事務所アミューズの面々が集結した復興支援ソング震災が3月11日で、4月20日にはもう配信でのリリースが開始されているので、震災直後に急ピッチで制作された事が伺える。制作が開始されたと思われる震災直後はまだ原発の危機にそこまで目が行ってなかった時期でもあった。

最初からDVD付の分厚いプラケース仕様。DVDには同じく急遽制作されたMVとそのメイキング映像を収録。AKB48とぶつかったため2位だったが初動は19万枚に及び、累計でも30万枚のヒットを記録した。

Let’s try again

作詞作曲(theme):桑田佳祐、編曲:桑田佳祐・曽我淳一
サビのみ新規の書き下ろしで、それ以外は所属ミュージシャンの著名な楽曲のメドレー、タレントや俳優、ミュージシャンの新規台詞を随所に挿入する形で構成。震災直後の状況下で至難のボケ役を担当した三宅裕司の健闘が光る中、吉高由里子の心こもってなさそうな独特のトーンのセリフ「ミンナガンバリスギナイデ」部分を聞くと毎回何とも言えない複雑な感情になる。9分に及ぶ大作に仕上がっていて、自粛モードが続く中でこの明るさをやるだけでも相当な勇気とパワーが必要だったと思われるが、とにかく暗い気持ちの中でこの曲の明るさにはある程度救われた記憶がある。

また編曲を担当した曽我淳一はプログラミング、キーボード担当というこれまで角谷仁宣や片山敦夫が担っていた演奏を担当しているが、これを機に桑田佳祐に気に入られたようでしばらく重宝されるようになった(『MUSICMAN』~サザンの『葡萄』頃までメインで起用されていたが『がらくた』では再び片山敦夫が復権)。桑田&サザンのサポートメンバー史において重要な位置づけの作品だったといえる。
★★★★☆
アルバム未収録

14th 明日へのマーチ/Let’s try again~kuwata keisuke ver.~/ハダカ DE 音頭~祭りだ!! Naked~

明日へのマーチ/Let's try again~kuwata keisuke ver.~/ハダカ DE 音頭 ~祭りだ!! Naked~(明日へのレインボータオル 明日へのマーチ/Let's try again~kuwata keisuke ver.~/ハダカ DE 音頭 ~祭りだ!! Naked~(通常盤)
11年8月17日
アルバム『MUSICMAN』から半年、シングルとしては1年ぶり。初の複数A面シングルで、なんと3曲A面。この3曲以外は収録されていないため、初めてC/Wが無いシングルとなった。初回盤は「明日へのレインボータオル」付属。

今作はオリジナルアルバムには収録されず、翌年の『I LOVE YOU-now&forever-』に収録されたのみとなったが、収録されたのは2曲目までで「ハダカ DE 音頭~祭りだ!! Naked」はアルバム未収録のまま取り残されている。

明日へのマーチ

作詞作曲編曲:桑田佳祐
自身出演のNTTドコモ「walk with you 2011」キャンペーンCMソング。アコースティックギターメインのシンプルなナンバー。3曲A面の1曲目としてもそうだが、シングルとしてもかなりシンプルな音像で、ここまでのシンプルさは「月」以来じゃないだろうか。さらに「月」は後半それなりに音数が増えるが、今作はそのままで最後まで突き進むし、構成に至ってはもっとシンプルで1コーラスがAメロ→サビ→Aメロに戻るというものなのでAメロとサビの2ブロックが繰り返されるのみ。今作も”震災後”の復興を意識した内容で、シンプルながら確かな希望と前向きさを感じさせてくれる暖かい1曲。
★★★★☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-
4thベスト『いつも何処かで

Let’s try again~kuwata keisuke ver.~

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫&曽我淳一
チーム・アミューズ!!として発表した際は実質サビしか無かったが、1曲としてフルで完成させたソロバージョン。当然完成された楽曲の方がまとまった曲になる…かと思いきやどうもこのソロバージョンあまり印象が無い。サビ部分はチーム・アミューズ!!から聞いていたものなので馴染みはあるのだが…。
★★★☆☆
3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-

ハダカ DE 音頭~祭りだ!! Naked~

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:山本拓夫 / 弦編曲:曽我淳一&金原千恵子
この曲のみ震災後の空気を全く意識しないように好き放題やったようなお祭りノリ。自粛モードが続く中では多少勇気が必要な曲だったとは思うけど、全部綺麗な曲が続いてもなぁ…というところもあり難しいところ。
ザ日本の音頭といった感じの音頭。ただ派手にお祭りしている割には意外と印象に残りにくい曲。アルバム未収録のまま放置されたので、久々に聞き返すまで“なんか変な音頭だった”というボヤっとした印象しか残っていなかった。そういえば冒頭の歌詞でAKBが出てくるとか当時話題になってたな…。
★★★☆☆
アルバム未収録

15th Yin Yang/涙をぶっとばせ!!/おいしい秘密

Yin Yang/涙をぶっとばせ!!/おいしい秘密(通常盤)
13年3月13日
2作連続の3曲A面。サザン35周年を迎える年だったが30周年で無期限休止を発表していたので復活するかどうかは不明だった。35周年での復活へ期待は高まっていたもののこのタイミングでソロで出すって言う事は復活は無さそうだ、無期限休止宣言が5年で解除されるのはやはり無理か…と思いきや、そう思わせておいて…というフリだったのか6月にサザン復活が宣言された。このため今作を残してソロ活動はいったん終了となった。

このような活動しては点で終わったシングルは次のソロ再開時のアルバムにはスルーされるのがこれまでのパターンだったが、作風が合うという理由で「Yin Yang」だけは次のアルバム『がらくた』に収録され、慣例を破った。

久々にシンプルな実質1種リリースで初回盤には「そうだったのか! けいちゃんの格言ステッカー」が付属したが品番は初回・通常で同じだった。

Yin Yang

作詞作曲編曲:桑田佳祐
ドラマ『最高の離婚』主題歌。これまでも歌謡曲のような雰囲気はあったが、これまで以上に強烈な歌謡臭が漂う1曲。昭和を舞台にした昔のドラマならまだしも、現代の離婚を扱うドラマの主題歌に合っていたのだろうか。イン・ヤンではなく、イヤンの当て字でタイトルが決定したようで元々の”陰陽”の意味は曲にはないようだ。3曲の中では最もインパクトはあるが…う~ん…。
★★★☆☆
5thアルバム『がらくた
4thベスト『いつも何処かで

涙をぶっとばせ!!

作詞作曲編曲:桑田佳祐、管編曲:曽我淳一&山本拓夫
「ドコモ2012冬」キャンペーンCMソング。ブラスの効いた今作唯一の現代的なポップナンバー。しかしポップな割にさらっと突き抜けて行ってしまいなかなか印象に残りにくい。今回聞くまですっかり忘れていた曲の1つ。
★★★☆☆
アルバム未収録

おいしい秘密

作詞作曲編曲:桑田佳祐、弦編曲:島健、管編曲:曽我淳一&島健
自身出演サッポロ「プレミアムアルコールフリー」CMソング。歌詞にそのままサッポロだのプレミアムアルコールを略したプレアルが登場するなどタイアップ色が強い。しかしそれ以上にド派手な昭和歌謡そのままの曲調にまたかよ感が…。
★★★☆☆
アルバム未収録

16th ヨシ子さん

ヨシ子さん (初回限定盤) ヨシ子さん  (通常盤) ヨシ子さん (Analog) [Analog]
16年6月29日
サザンが35周年で復活してからサザンで活動していたがアルバム『葡萄』リリースとツアーを終えると特にサザン休止の宣言も無く、しれっとソロ活動へ移行。恐らくサザンは40周年でまたドーンとやる…という暗黙の了解と思われる。今作以降は次のアルバムを見据えた活動となったが、今作時点ではいつ出るのかはまだ不明だった。

初回盤は既存曲の別アレンジ、ライブ音源など4曲を追加収録。

ヨシ子さん

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫
自身出演WOWOWの開局25周年CMソング。TVでは奇抜な格好をしたダンサーやらなんやら入り乱れる奇妙奇天烈な世界観を演出して披露され、掴みどころのない何と形容していいのかも分からない歌謡曲を超越したような謎の1曲。そもそもヨシ子さんとは誰なのか、チキドンチキドンとは何なのか、さっぱり分からない。しかもパフォーマンスが派手だった割に音源自体はほぼ打ち込みで構成されているので、コーラス2名を除くと桑田・片山・角谷という馴染みの3人+ボンゴで成田昭彦という最少に近い人員しか起用されていない。あの大森脱退後のサザンでもソロでもいつもサイドでギター弾いていたスキンヘッドの後輩ギタリスト斎藤誠すら不参加なのである。

謎すぎる曲だが、派手な曲でも慣れてきてあまりインパクトを感じなくなってきたここ最近の壁を無理やりぶち抜いたかのようでもあり、意味不明ながら確かにこれは強烈なインパクトを残した。実際気がつけば口ずさめるくらいに全体通して記憶していた。あまり聞いてないはずのうちの母がアルバム『がらくた』を聞いた際にイントロだけで「ヨシ子さん」だと当てるくらいだったので、それほどデカい爪痕を残した曲ではあったらしい。ただWOWOWは25周年がこれで良かったのか、それもまた謎だ。
★★★★☆
5thアルバム『がらくた
4thベスト『いつも何処かで

C/W 大河の一滴

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫
自身出演UCC「BLACK無糖」CMソング。4つ打ちビート+歌謡メロディーという組み合わせが斬新でスリリングな1曲。今風のようであり、猛烈に昭和っぽかったりもして、これまた近年の中では強い印象を残した1曲。
★★★★☆
5thアルバム『がらくた

C/W 愛のプレリュード

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫
自身出演JTB「JTB夏旅2016」CMソング。曲提供だけじゃなくCM出演しすぎで飽和状態な気がしなくも無いが、旅行タイアップらしいさわやかでポップな楽曲。安定以上の1曲だが前2曲が猛烈なインパクトを放つ中ではC/Wで埋もれてしまうのもやむなしといったところか。前作や前々作に入ってれば1強になれただろうに…。
★★★★☆
5thアルバム『がらくた

愛のプレリュード
桑田佳祐
2016/06/29 ¥250

C/W 百万本の赤い薔薇

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐、原由子&曽我淳一
フジ系情報番組『ユアタイム』テーマ曲。この番組、ショーンKが出演予定だったのが経歴詐称問題で消えたので出演も無しになって急遽市川紗椰の単独MCに変更するというドタバタがあった事で知られる。結局1年半で打ち切りになってしまったが、桑田さんなりにエールを送る意味合いがあったのか、全体に君への愛を歌った内容だが、「紗椰」と直接名前を出して褒め称えている。これまでのようなスタッフの名前を入れる内輪向けおふざけとは一線を画しているのが特徴。また原由子が編曲に名を連ねたのも珍しい。美しく爽やかに突き抜けていく良作。
★★★★☆
5thアルバム『がらくた

C/W 大河の一滴 (TV Edit)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫
ショートサイズなのかと思ったら、間奏の男女の台詞の掛け合いがカットされたくらいしか違いが無い別バージョン。何故これがTV Editなのか、そもそもこのバージョンいる?という気がしなくも無い。
★★★★☆
アルバム未収録Ver.

初回盤のみボーナストラックC/W
東京(TOKYO Big Band Session)
風の詩を聴かせて(Live at Onagawa Station -2016.03.26-)
明日へのマーチ(Live at Onagawa Station -2016.03.26-)
明日晴れるかな(Live at Onagawa Station -2016.03.26-)

全曲シングル表題曲という豪華な選曲。「東京(TOKYO Big Band Session)」はライブではなく、バンド+ストリングス+ホーンで豪華に彩ったリメイクバージョン。残り3曲は3月26日に女川温泉ゆぽっぽ(JR女川駅併設)からラジオ『桑田佳祐のやさしい夜遊び』の生放送を行った際に披露したアコースティック編成でのライブ音源3曲。このため4曲ともオリジナルとはアレンジが異なり、違いを楽しむことができる。
★★★★☆

16th 君への手紙

君への手紙 (初回限定盤) 君への手紙 (通常盤) 君への手紙 (アナログ) [Analog]
16年11月23日
アルバムへの先行シングル…というにはアルバムまで8ヵ月と離れる事になってしまったため、あまり先行シングルらしい役割にはならなかった。てっきり2017年に朝ドラ主題歌になった「若い広場」を先行シングルにするのかと思ったら、シングル過多になりすぎるせいかアルバム収録のみにしてしまったのはもったいなかったと思う。主題歌だけ買いたい朝ドラ視聴者層には不親切だった。

初回盤は直筆の手紙と歌詞が書かれた便箋、切手風のステッカー…とリアルに手紙風のパッケージ仕様。

君への手紙

作詞作曲編曲:桑田佳祐
映画『金メダル男』主題歌、また前作に代わってWOWOWの25周年CMソングに引き継ぎ使用された。桑田・原・角谷の3名のみしか参加していない表題曲最少人数による演奏曲。弾き語りを軸にしたアコースティックナンバーで、公式にはアコースティック・ロッカ・バラードとされている。人生を綴った歌詞は還暦を越えた深みがあり、泣きメロも相まって涙腺を刺激する。派手さは無いが確かな名曲だ。最近は迷曲も多いがこれは名曲だ。
★★★★☆
5thアルバム『がらくた

C/W 悪戯されて

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫、弦編曲:片山敦夫
またしてもな感じの歌謡曲。『がらくた』には未収録だがMVが制作され広末涼子も出演しているものが『がらくた』初回盤DVD/BDに収録された。もう少し前だったらインパクトがあったんだけど、最早いつもの歌謡ナンバーにしか聞こえなくなってしまうところが地味に凄い。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W あなたの夢を見ています

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:桑田佳祐&片山敦夫
冬というか年末へ向かっていく空気を感じる温かみのあるポップナンバー。表題曲っぽいキャッチーさはあるが、実際なっていたらなっていたでやや弱かったかもしれない。打ち込みドラムが80年代~90年代初期のような響きで少し古臭いのはわざとだろうけど、ちょっと時代錯誤だ。昭和歌謡よりも古く感じる。
★★★☆☆
5thアルバム『がらくた

C/W メンチカツ・ブルース

作詞作曲編曲:桑田佳祐
俺のメンチ食べたのは誰だと怒っていたかと思えばパンツ脱いだとか下ネタ方面に向かい始め、さんま、たけしをダジャレで盛り込んでタモリまで登場するオヤジギャグからウ★コ踏んだと汚い方面に走っていく割に、演奏と歌は案外ふざけてない謎のブルース
★★★☆☆
アルバム未収録

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