Every Little Thing シングル回顧4~2007-2010~
この時期になると爽やかなポップス路線に回帰。、個性派極まっていた歌い方のクセが抜けてストレートな歌い方に戻った。CDで聞く分には歌い方がスッキリと落ち着いたように聞こえてはいたものの、08年7月の「とくダネ!」コーナーの「朝のヒットスタジオ」では「Time goes by」を原曲オケで歌ったため、出し切れない高音部分が悪い意味で話題になってしまった。
09年後半にはサウンドプロデューサーとして五十嵐充が復帰。あくまでELTは2人のままで五十嵐は外部参加という扱いだったが、久々の3人での楽曲制作が行われた。提案はエイベックス側からで五十嵐充も凄くやる気になっていたそうだが、ベストヒットツアーとベスト盤リリースを同時並行で行い、アルバム『CHANGE』発売とほぼ同時にそのツアーが終了。最後は五十嵐充もステージに登場し、ライブで共演もしたが、ツアー自体はベストヒットツアーだったのでシングル曲程度しか披露されず、『CHANGE』を引っ提げてのツアーは開催されなかった。その後1年近くライブもCDも出していないだけに、せっかくの五十嵐充とのアルバム制作は2010年に夏頃をメドにじっくり作っていけば良かったのに…。09年秋~10年春までの過密日程には謎が残る。
32nd キラメキアワー
07年8月8日
作詞:持田香織、作曲:多胡邦夫、編曲:林真史&Every Little Thing
ほぼ1年ぶりのシングル。クセのないストレートなさわやかなポップナンバー。個性的な歌い方を辞めてだいぶ自然体になったので、本当にごく普通のポップな曲だが妙に新鮮に聞こえる。タイトルのアワーはhourにも意味的にはかけているが歌詞中では「きらめきの泡」と歌われており(2番では「かがやきのアワー」)、泡ともかかっている。雲1つ無いような前向きで開放的な言葉が並び問答無用で青空が見えてくる爽快な1曲。
MVは爽快な青空の下、高原でカメラがグルグル回りながら謎の舞いをしながら歌っている持田、ギターを弾いている伊藤というさわやかな映像が展開。もちろん泡にひっかけて泡も飛び交う。この時期では一際印象に残るMVだ。
★★★★☆
8thアルバム『Door』(Door version)
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
33rd 恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之
07年10月31日
冬へ向けての両A面シングル。「サッポロ冬物語」CMタイアップに起用された新曲「恋をしている」と、「サッポロ冬物語」タイアップの初代で91年に起用されていた槇原敬之の「冬がはじまるよ」を本人を招いてのカバー。前後の作品より高い売上を記録した(今作以降では最高売上)。
恋をしている
作詞:持田香織、作曲:菊池一仁、編曲:中村康就&Every Little Thing
冬の始まりを告げる温もり系ウィンターバラード。エイベックスの王道的というか、良くも悪くもクセを極力排除した万人受け型の年末バラードという印象で、直球で狙いに行ったような曲だと思う。普通にいい曲だが少し面白味には欠ける。あまり張り上げず、かといって弱々しくもなく、丸めすぎなくなった歌声はようやく変化に合わせていいところに落ち着いた印象がある。
★★★☆☆
8thアルバム『Door』
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
冬がはじまるよ feat.槇原敬之
作詞作曲:槇原敬之、編曲:林真史&Every Little Thing
槇原敬之91年の大ヒット曲のカバー。原曲はアップテンポだが、今回はややゆったりめのアレンジになっており、当時のELTらしい雰囲気に見事に作り変えられている。槇原はこの年にエイベックスに移籍していた縁もあってかそのままコーラスにも参加。しかし槇原は浜田雅功と歌った「チキンライス」にしてもそうだったように自分の名前が入るようなゲスト参加においても基本的にデュエット形式にせずに、完全に相手を立ててコーラスに徹するというポリシーでもあるのか、今作でもバックコーラス状態。よく聞けば確かに槇原のコーラスなんだけど、流して聞いているとfeat.と表記されるほどの存在感は正直無い。
個人的には今作はまあこういうのもいいかな程度で原曲のアップテンポな方が好きだった。ただ原曲を知らなかったり馴染みが薄いリスナー間ではこっちの方が最初に聞いたとか、馴染み深いという人も多いらしく、原曲の知名度が思ったより低かったのが少し驚きだった。でも確かにこの曲って大ヒットはしたけどミリオンヒットの「どんなときも。」「もう恋なんてしない」に挟まれてて意外と取り上げられる機会が少ないんだよな…。
★★★☆☆
8thアルバム『Door』
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
34th サクラビト
08年2月13日
作詞:持田香織、作曲:多胡邦夫、編曲:十川知司&Every Little Thing
夏、冬と季節モノのシングルが続いていたが今回は春。しかも和風バラードという新境地を開拓した。春の情緒を存分に音で表現したような和風モードはELTとしては新しかったが、逆に桜が舞っているような季節以外ではあまり聞くことのない曲にもなってしまった。
これまで基本的に1種発売だったが、今作でついにDVD付形態での発売が開始された。
★★★☆☆
8thアルバム『Door』
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
35th あたらしい日々/黄金の月
08年8月27日
3月に8thアルバム『Door』を発売し、8月に今作。そこから新作アルバムを掲げないベストヒットツアーを開始してその最中に五十嵐充がかかわったシングルを出し始めて年末にベスト発売、そして年明けの9thアルバム『CHANGE』と怒涛のスケジュールが立て込んだドサクサでベスト盤収録のみとなり、オリジナルアルバムには収録されなかった。
あたらしい日々
作詞:持田香織、作曲:吉木絵里子、編曲:中村康就&Every Little Thing
ドラマ『シバトラ』主題歌。ドラマを見ていたので久々にリアルタイムで聞いた1曲。スッキリした歌い方がだいぶ戻ってきて「キラメキアワー」以上の爽快感もあって、声の状態がかなり復活した印象があった。
一方でさわやかな曲調は当初はドラマにも合っていたのだが…終盤にはヒロインが黒幕を刺殺して真・黒幕と化すという原作漫画には全くない展開のバッドエンドに終わった挙句に、1度目のSPでは獄中のヒロインが犯した罪を必要以上にまで責められ、SP2ではついに殺されてしまう…と、とことんダークだったので最終的にこの曲の持つ明るさやタイトルバックが全く似合わなくなってしまった。「あたらしい日々」どころがヒロイン転落し続けて人生終わっちゃった(その後原作も別の方向でバッドエンドになってしまった)だけに、せっかくの希望にあふれた曲だったのに最終的には物凄く浮いてしまったのはあんまりだった。
★★★★☆
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
黄金の月
作詞作曲:持田香織、編曲:亀田誠治&Every Little Thing
「jump」以来となる持田のA面作曲。今回は意外性のある方向には走らずに「あたらしい日々」と同系統の明るいポップナンバー。これまた珍しい亀田誠治の起用により通常の楽曲よりロックバンドっぽさがちょい強め。「あたらしい日々」が良すぎてちょっと印象負けしてしまったところもあるけど、これくらいの曲が書けるならもう少し作曲してもいいのになとは思う。
★★★★☆
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
36th DREAM GOES ON
09年9月23日
作詞:持田香織、作曲:五十嵐充、編曲:五十嵐充&Every Little Thing
脱退してから全く関与していなかった五十嵐充がサウンドプロデューサーとして突如復活。メンバー復帰をしたわけではなく、あくまでサウンドプロデューサーとして参加しているので、ジャケットもMVも2人のままだった。提案は社長のMAX松浦がしたらしく、この頃には脱退した頃のわだかまりも解消されていたのですんなり行ったようだ。
既に持田の声もだいぶ変わっていて、2人になってからの歴史も長くなっていたため、3人時代の再現は全くしていない。あの頃の煌びやかさは影を潜めたかなり落ち着いた打ち込みポップスを展開させている。持田は歌い方についてもかなり五十嵐に相談していたようで、それを受けてか五十嵐も現在の持田が全く無理なく歌える曲調にする事に注力した印象も受ける。このため歌い方はここ最近よりもさらにスッキリとクセのないリラックスしたものになった。
しかし曲も歌い方も何もかも落ち着きすぎてしまい、正直地味になってしまった感じもある。五十嵐復帰と聞いてあの頃の作風を期待したリスナーにとっては恐らく何も残らないくらいの勢い。個人的も当時う~んこれは…となってしまった1人だが、何度か聞いているとじわじわと良さが見えてきた。物語がまたここから始まると歌われる歌詞も3人の再開1発目としてふさわしかったと思う。
★★★☆☆
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
9thアルバム『CHANGE』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
37th 冷たい雨
09年11月18日
作詞:持田香織、作曲:五十嵐充、編曲:五十嵐充&Every Little Thing
五十嵐充復帰第2弾。バラードナンバーだがこれまた圧倒的に地味。これまたよく聞けばいい曲なんだけど、3曲の五十嵐復帰作の中ではこれが1番地味だと思う。アルバムではストリングスを派手に盛り込んでいるが、それでもやはり地味だしなぁ…。
何故かこの時期、全く関係ないベストヒットツアーそして謎タイミングでの全シングルコレクション『Every Best Single~COMPLETE~』が発売されるという多忙っぷりだった。前々作、前作、今作とベスト盤でアルバム初収録となったが、前作と今作に関しては次のオリジナルアルバム『CHANGE』にも収録されることになった。
同時並行でライブとベスト盤と五十嵐とのアルバム制作が進むことになり、その直前だった前作と今作までは比較的じっくり作れたがこの後の五十嵐充とのアルバム『CHANGE』制作はツアーの合間を縫う形で時間が無かったと後に語られている。何で制作とツアーとベストが全く噛み合ってなかったのだろうか。
★★★☆☆
3rdベスト『Every Best Single~COMPLETE~』
9thアルバム『CHANGE』(Album version)
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
38th Change
10年2月24日
作詞:持田香織、作曲:五十嵐充、編曲:五十嵐充&Every Little Thing
アルバム『CHANGE』の先行シングル。DVD付のみで発売されCDのみでの発売形態が無かった。
五十嵐復帰3部作の中では最も明るく軽快なポップソング。地味な感じは否めないし、劇的に変わるわけではないけど、確かに何かが変わっていくような着実な感じが地に足がついていてここまで来たからこそしっくりくる。何度か聞いていると良さが見えてくる。
『CHANGE』というアルバム全体でそんな感じだった事もあり、アルバムもトップ10入りギリギリと低迷。結局アルバムを引っ提げてのツアーは行われず、五十嵐充の関与もこれっきりになってしまった。エイベックスとしても3人が再び一緒に作るというこの展開をこの時期に詰め込んでまでスケジュール組んだのは話題性を期待していたと思われる。しかしまさかここで目に見えて失速するとは思ってなかったのでは…。
今のELTに合わせたという点ではよかったんだけど、ちょっと合わせすぎて落ち着きすぎてしまったところはあったと思う。もう少しじっくりやっていればまた違ったと思うし、ここのところ出番のないところでは本当に出番のなかった伊藤のギターが実はけっこう鳴っているという点では面白かったりもしたんだけど…。これは生音主体になってきていたここ最近に対して五十嵐作品では打ち込みメインとなり、ギターが唯一の生楽器という曲が大半だったため、いつもの倍以上ギターを弾いたと伊藤本人も語っていた。
★★★★☆
★★★★☆
9thアルバム『CHANGE』
4thベスト『Every Cheering Songs』
5thベスト『Every Best Single 2~MORE COMPLETE~』
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