ゆず 20周年シングル回顧3~2007-2011~

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ゆず 20周年シングル回顧3~2007-2011~

デビュー10周年を迎えたゆずはアルバム曲をまとめたベスト盤『ゆずのね 1997-2007』で10年間を総括。そしてデビュー以来の共同プロデューサーだった寺岡呼人を離れ、新たに蔦谷好位置を共同プロデューサーに迎えた。蔦谷好位置はJUDY AND MARY解散後ソロになって低迷していたYUKIを復調させて以降幅広いアーティストを担当。同じく長らく低迷していたエレファントカシマシも蔦谷好位置が関わった途端に再ブレイクといえる勢いを取り戻すなど、中堅からベテラン級のミュージシャンに新風を吹き込むのに長けたプロデューサーという印象があった。ゆずも例外ではなく、蔦谷好位置が関わるようになった事でこれまでの枠を拡大。加えて北川がこれに刺激されたのか、これまで以上に未開の地を切り開いていくように次々と新たな楽曲を生み出していった。

さらにTV出演も解禁。北川に至っては月9ドラマの主演級にまで挑戦(ただし役者業にはそれ以上手を出さなかった)。新たなファン層を開拓することに成功。「栄光の架橋」が最大の代表曲のような扱いになってきて”上がり”を迎えそうなタイミングで次々と新たなカードを切っていったため、一定以上の人気と存在感をキープしたまま突き進んだ。

ゆずの音楽性がはるかに拡大していく中でも岩沢の楽曲の世界観はシンプルなまま変わることが無く、結果的に北川が大半の楽曲を書くようになり、岩沢曲はアルバムで数曲以下、シングルA面採用機会も激減した。

23rd 春風

春風
07年3月7日
詩曲:岩沢厚治、Strings Arranged by 柏木広樹
当時は「春風 meets 葉加瀬太郎」というタイトルでシングル盤に表記されていたが(ジャケットや歌詞のタイトル表記は「春風」、曲目部分の表記のみ「春風 meets 葉加瀬太郎」)、アルバム収録以降は「春風」で統一されている。聞こえる弦の音を全部葉加瀬氏が弾いているわけではなく、ストリングスは普通にNAOTOストリングスが演奏しており、バイオリンソロを葉加瀬太郎が担当。有名人である葉加瀬太郎とのコラボ扱いを強調するためにmeets 葉加瀬太郎としたものと思われるが、表記が消えても葉加瀬太郎の演奏が消されたわけではなく、音源は変わっていない。ベスト盤など演奏クレジットが無く、meets 葉加瀬太郎の表記も無ければ普通のストバラにしか聞こえなくなる(当時はここまでフューチャーした曲があまり無かったので豪華な感じはあった)。分かる人にはこのソロは葉加瀬太郎特有の…とか分かるのかも知らないが素人には分からない。meets 葉加瀬太郎の表記、残した方が良かったのでは…。

王道の岩沢バラードだが、インディーズ時代の曲をリメイクしたものらしい。葉加瀬太郎とのコラボにより、いつものゆずよりは少しだけ新鮮な空気も入った王道以上の1曲になったという印象もある。春になると聞きたくなる1曲だ。また今作で本格的にTV出演を解禁してMステにも出演。徐々に変化の兆しを見せていった。
★★★★☆
8thアルバム『WONDERFUL WORLD
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

Original Soundtrack Single 映画「しゃべれども しゃべれども」

「しゃべれども しゃべれども」オリジナルサウンドトラック
07年5月23日
映画のサウンドトラックだがアルバムではなくシングルとしてリリースされた。この映画、アルバムにするほど劇中曲が無かったのだろうか…。実質ゆずの新曲シングルのような扱いでリリースされたが、2曲目は映画のテーマ曲(インスト)、3曲目は落語で、ゆずとは全く無関係だった。

明日天気になぁれ

詩曲:北川悠仁
映画「しゃべれども しゃべれども」主題歌。明るくポップで前向きかつさらっとしたアコースティックナンバーだが、単独のシングルA面としてはやや弱めで、アルバムのタイアップ付新曲くらいのポジションな印象。シングル自体が特殊なものだったので当時手に取らなかったが、その後オリジナルだけでなく、ベスト盤にも丁寧に収録されたのでその後の入手には困らなかった。
★★★☆☆
8thアルバム『WONDERFUL WORLD
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]

ミュージック
/Golden Circle feat.寺岡呼人・松任谷由実・ゆず

ミュージック(初回限定盤)(DVD付) ミュージック
07年7月11日
作詞:松任谷由実・寺岡呼人・ゆず・桜井和寿、作曲:松任谷由実、編曲:寺岡呼人
プロデューサーの寺岡呼人が主宰しているライブイベント『Golden Circle』の10周年記念企画で寺岡呼人・松任谷由実・ゆずのコラボ作品。4者が全員ボーカルで参加している。シークレットでライブに参加した縁でミスチル桜井が作詞のみに参加しているが歌唱・演奏には参加していないためメンバーにも入っていない。アコースティックギターの演奏は寺岡が担当し、ゆずは2人ともギターでの参加はしていない。北川がタンバリン叩いている以外はボーカルのみの参加となる。

ユーミンは既にヒット曲は出せなくなっていたが今作ではさすがのメロディーメイカーっぷりを見せていて聞いていてワクワクしてくるような楽曲に仕上がった。何気に05~07年の間に出たゆず関連の曲の中ではこの曲が最も好き。

冒頭でカーラジオをつける描写があるためなのか、2014年のニッポン放送60周年記念ソング「忘れられぬミュージック」として再利用リメイクされ、その際はゆず/ももいろクローバーZ/back number/大原櫻子&松任谷由実という名義になった。なんかリミックスめいた電子音主体のアレンジになってしまい、コラボ感はパワーアップしたものの普通にオリジナルの方がアレンジは良かった。
★★★★☆
アルバム未収録・未配信

24th ストーリー

ストーリー
08年2月6日
詩曲:北川悠仁
メンバーと綾瀬はるかが出演したトヨタ自動車「ラクティス」CMタイアップ。北川がラクティスを運転、後部席で律儀にシートベルト締めながら岩沢がギターさすがにギター弾くには少し狭、綾瀬はるかがタンバリン叩きながら3人で歌うという車のCMなのにほとんど曲のPVみたいなCMだった。しかも綾瀬はるかが「ラ」ってやった後に「ラクに行こうぜ、ラクティスで。」とサビ頭のフレーズまで復唱。CMのキャッチが先にあって北川がそこに合わせて歌詞を書いたのかその逆かは分からないが、少なくとも”ラクに行こうぜ”と「ラク」がカタカナ表記されているのはラクティスと合わせたためと思われる。単にかかっているだけのCMソングよりも密接したタイアップソングとして機能した。さらにまだTV出演解禁まもなくTVで見るのが珍しかったゆず自らが出演して綾瀬はるかと共演するというのもかなりのインパクトがあった。

これまで以上に明るく突き抜けたバンドサウンド主体のアレンジはゆずがこれまで以上の境地へ向かっていこうとしているかのようで新鮮に聞こえた。実際には今作までが寺岡呼人のプロデュースというこれまで通りの体制だったが、ここからのゆずは毎回のように新たな地平を切り開いていく挑戦の時期に突入。07年に既に予兆は見えていたがそれが本格化していく1年になった。
★★★★☆
8thアルバム『WONDERFUL WORLD
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

25th Yesterday and Tomorrow

Yesterday and Tomorrow
08年6月25日
詩:北川悠仁、曲:北川悠仁・蔦谷好位置
今作でプロデューサーを蔦谷好位置に変更。一方で前作と同じトヨタ自動車「ラクティス」CMタイアップで綾瀬はるかとの共演も継続。前回同様のスタイルで車内で3人で歌っているが、「ラクに行こうぜ、ラクティスで。」のキャッチは継続使用されたため前作ほど密接なタイアップ感は無かった。それでも同じフォーマットのCM効果で曲自体も前作の続編のような印象が強かったが、今作の方がストリングスを盛り込んだり、曲もアレンジもスケールが拡大している。これは寺岡体制では出せなかった雰囲気で蔦谷好位置に変えたからこその効果だと思う。10周年を越えてこんな新鮮な空気が出せるのかと当時は驚いたが、なんだかんだ前作の方が良かったな…という思いもあったりして…。前作がラクティスタイアップにバッチリ合っていただけにタイアップソングとしては2番煎じっぽくなってしまったところが原因か。

『FURUSATO』収録時には1番古い曲になっていたせいか、浮いていたので再録音したとされたがどこが変わったのかイマイチよくわからない。
★★★☆☆
9thアルバム『FURUSATO』(表記は無いがアルバムバージョン)
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

26th シシカバブー

シシカバブー(初回限定盤)(DVD付) シシカバブー
08年11月5日
詞曲:ゆず
ドラマ『サラリーマン金太郎』主題歌。「嗚呼、青春の日々」以来となる原作者のイラストジャケットになったが、実際に作品タイアップになるのは今作が初。また「嗚呼、青春の日々」の頃はTBS高橋克典版がシリーズになっていたが、今作はテレ朝の永井大版となる。また「ミュージック」ではDVD付属もあったが今作ではシングルで初のDVD付初回盤が登場した。

ゆず名義で制作された珍しい1曲だが、謎のシシカバブーという単語、ありえないほどのハイテンション&楽し気な曲調は明確にゆずのこれまでのイメージをぶっ壊した。TVでもはじけまくりなパフォーマンスを繰り広げる北川、ギター弾いている事もあって動かずに真面目に演奏する岩沢という2人のノリの差がすさまじいコントラストになっていてインパクトがあった。正直意味不明な曲だが楽しいのでOK、楽しんだもん勝ちな1曲。シ!シ!カ!バ!ブー!

また同じクールの月9ドラマ『イノセント・ラヴ』には主演の堀北真希の相手役、つまり実質主演カップルの男役として北川が出演。TV解禁どころかいきなり役者になってしまった事でも話題になった。今までTVに出なかったのでゆずの2人、どっちがどっちか区別がつかなかった人もこのドラマ出演やパフォーマンスのコントラストにより一気に区別がつくようになったんじゃないかと思う。
★★★☆☆
9thアルバム『FURUSATO
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
3rdライブアルバム『二人参客 2015.8.15~緑の日~』(ライブ)
4thライブアルバム『二人参客 2015.8.16~黄色の日~』(ライブ)
5thベスト『ゆずイロハ

27th 逢いたい

逢いたい
09年4月22日
詩曲:北川悠仁
NHKドラマ『ゴーストフレンズ』主題歌。ドラマに合わせたというより北川が亡くなった父への思いを込めた曲だと明かしているのでかなり個人的な曲でたまたまドラマのテーマにはまったものと思われる。故人への切実な思いが歌われているだけにシリアスで重たいところもあるが素直に泣ける1曲だ。蔦谷好位置による新鮮な空気に加えて、弦一徹のストリングスアレンジにより、「栄光の架橋」も越えるような派手な盛り上がりはストバラ全盛期のトレンドでもあり、時代にもマッチした。この年は多作で「虹」もインパクトを残したので年末には「虹」が歌われることも多くて若干影が薄くなっていたようにも思うがNHKタイアップもあって紅白ではこの曲が歌唱された。
★★★★☆
9thアルバム『FURUSATO
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

two友
/ゆずグレン

two友 【初回盤CD+DVD】 two友
09年5月13日
作詞作曲:ゆずグレン、編曲:GIRA MUNDO
ゆずキマグレンによる合体(コラボ)ユニットによる楽曲。ユニット名はそのまま合体したものだがゆずは2文字しかないので削りようがなかったようだ。キマグレンのラップとゆずの伸びやかなメロディーが交互に歌われ、サビは08年の「LIFE」のヒットでブレイクしていたキマグレンの「LIFE」でついたパブリックイメージそのままの世界観にゆずが見事に溶け込んだようなまさにお互いの良さを生かしたコラボだったと思う。ただ全員で歌っているサビは岩沢が主メロを歌っていて岩沢の高音が強すぎるあまりにキマグレンが埋もれてしまい声だけ聴くとほぼゆずにしか聞こえない。

もう少し話題になっても良かったと思うんだけどキマグレンが既に「LIFE」の1発屋ムードだったのと、ゆずがインパクトあるシングルを連続リリースし続けたので一気に埋もれてしまった感じもある。もう少しゆずのリリースがゆったりしていた時期にやっていれば…。
★★★★☆
ゆずのアルバム未収録(キマグレンのアルバムやベスト盤には収録されている)

28th いちご

いちご
09年7月29日
詩曲:北川悠仁
「シシカバブー」をも凌ぐようなはじけまくりのハイテンションバラエティソング。キャッチコピーは「夏のエッチな衝撃ポップチューン!」。普通「two友」のようなそれぞれだけでは生まれないようなコラボ曲が生まれれば、それなりのインパクトを放つものだが、よりによって直後にこんなイメージの遥か圏外みたいな超絶インパクトを放たれれば「two友」もたまったものではない…と、「two友」に同情したくなるくらい何だかとんでもねぇ1曲だった。アリのコスプレをして歌う変なMVもインパクトがあった。ゆず単独のシングルとしても真面目で壮大な「逢いたい」→「虹」という鉄板の流れではなく、間にこの衝撃を挟んだことでそれぞれが際立った。好き嫌いを超越して1度耳に入り込んだら離れない。
★★★☆☆
9thアルバム『FURUSATO
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

29th 虹

虹
09年9月2日
詩曲:北川悠仁
日本生命のCMタイアップ。CMがドキュメントタッチでスケートの浅田真央やモーグルの上村愛子を取り上げていたので、そのまま2010年のバンクーバーオリンピックへの応援歌のようにも響いたことで売上自体はあまり高くなかったがロングヒットを記録。記録よりも記憶に残る楽曲となった。
ストリングスをフルに生かした壮大な楽曲でとにかくスケールがデカく、サビの岩沢の超高音による「越えて~」の連呼は本当に高い壁を越えてゆくようだ。カラオケで一般男性が歌おうとすると1音たりとも越えられずに墜落するけどな 個人的にもこれは新たな代表曲になったなと思ったんだけど…売上だけ見るとそんなに伸びていなかったのが不思議。同時に蔦谷好位置と組むようになっての壮大さが早くもピークに達したようにも感じる。以降も日本生命タイアップや壮大路線は続くが結果的にこの曲を越えていく曲がなかなか出せなくなってしまい壁を越えたはずのこの曲が壁になってしまったという風にも感じている。
Album Versionではエンディング部分が派手にリアレンジされている。
★★★★★
9thアルバム『FURUSATO』(Album Version)
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
3rdライブアルバム『二人参客 2015.8.15~緑の日~』(ライブ)
4thライブアルバム『二人参客 2015.8.16~黄色の日~』(ライブ)
5thベスト『ゆずイロハ

30th 桜会/マイライフ

桜会(さくらえ)/マイライフ
10年2月3日
北川曲、岩沢曲による両A面シングル。これまで複数A面の2曲目以降はアルバム未収録のまま放置されるか、オリジナルアルバム、ベスト盤に一緒に収録されるかの2択だったが、今作の場合はオリジナルアルバムには仲良く収録されたがベスト盤では「桜会」のみが収録されるという初の変則的な扱いになっている。

桜会

詩曲:北川悠仁
異国情緒漂う不思議な雰囲気の楽曲。聞こえ方は新鮮だが、やや地味にも感じられ、さらに今作をブラッシュアップしたような多国籍ナンバー「雨のち晴レルヤ」が生まれた後にはちょっと影が薄くなったように思う。「虹」という遥かなる高みの後のシングルとしてはほっこりした曲には感じられた。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-』(Album Version)
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
5thベスト『ゆずイロハ

マイライフ

詩曲:岩沢厚治
蔦谷好位置にプロデューサーが変わって北川がどんどん新境地を切り開いていく中で岩沢曲は影が薄くなるどころかリアルに曲数が激減してしまった。なんと「春風」以来3年ぶりのA面起用になったため、A面の岩沢曲を蔦谷好位置がプロデュースするのはこれが初という事になった。あまり派手なアレンジにはせずにバンド主体のアレンジになっていてさすがの安心感ではあるが、やはり寺岡時代とは空気が異なる事も感じられる1曲。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-

31st 慈愛への旅路

慈愛への旅路
10年8月25日
詩曲:北川悠仁
じ、慈愛?え?困惑した壮大ナンバー。「虹」でいきなり壮大の極みに至ってしまったせいか今作は早くも壮大さの飽和感が漂う。なんだか前向きな歌詞にしても自己啓発が少し行き過ぎているんじゃないか、アレンジも行き過ぎているんじゃないか…という行き過ぎちゃった事を強く感じてしまう。ヒットシーンがストリングスに染まっていた時期だけにゆずもすっかり多用するようになってしまったな…というのもあった。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-』(Album Version)
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]

32nd from

from from
10年12月1日
詩曲:岩沢厚治
「からっぽ」の頃から変わらぬ雰囲気の得意の岩沢バラード。蔦谷好位置によりあの頃より派手なアレンジになっているのが特徴で、ストリングスバラードだが、意外とサビでエレキギターも鳴り響いているのでストリングスが飽和している感じは薄め。一方どこか地味というかシングルで派手な曲が続いていたので、この流れで安定のバラードが来ると地味に感じてしまい、当時ほとんど印象に残らないシングルになってしまった。改めて聞いてみるといいバラードなんだけど…。『ゆずイロハ』では「マイライフ」に続いて今作も外されてしまった。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]

33rd Hey和

Hey和
11年1月19日
詩曲:北川悠仁
壮大自己啓発路線の最果てのような平和の祈りソング。作風がこれまで以上に厳かな雰囲気だった事や歌いだしでいきなりが出てきたり、終盤にかけての大コーラス展開などちょっとどうした?というくらいの異様な雰囲気が漂う。この年の11月には高島彩と北川が結婚したが少し前から結婚間近の報道の流れで北川の実家が宗教法人である事も合わせて広く報道されていたのとも重なり、宗教っぽい曲だという見方がけっこうされていた。正直やっぱりこれは宗教っぽいなと思ったし、これまでの流れを踏まえても壮大な方向にどんどん向かっていたので行き過ぎの極みのようでもあり、好きではないというよりもさらに苦手に近い1曲。00年にKinKi Kidsが『D album』に収録した楽曲「Hey!和」を北川が知っていてパロったのか、あまりに真面目すぎる曲に直球の「平和」では堅すぎるのでタイトルでユーモアを出すために自ら考案したのがたまたま被ったのかどっちなのかは地味に気になる。

宗教っぽいと言われすぎた感もあるこの曲だが、実際には北川が単身セネガルを訪れて現地で戦争や平和を改めて考えて真剣に向き合ってかなりの時間をかけて制作した楽曲とされており、丁寧にも『2-NI-』初回盤DVD特典映像では完成に至るまでのドキュメントも収録されている。宗教っぽいの一言で片づけられてはたまらない、本当の想いを知ってくれという考えがあったかは不明だが、このドキュメントにかなりの時間を割いた結果、特典DVD内においても岩沢の影がますます薄くなるという弊害も生んだ。というのも曲のレコーディングの段階まで岩沢が曲作りに口出ししたりするわけもなく、またセネガルへ出向いたのも北川1人だったので、ドキュメント映像が延々北川のソロ活動みたいになってしまったためである。ただでさえ曲数が減っていた上に、北川1人であれこれ悩んでいる映像が長々と収録されていたので当時はけっこう本気でゆずのパワーバランスは大丈夫なのかと心配してしまった。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-』(Album Version)
4thベスト『YUZU YOU[2006-2011]
3rdライブアルバム『二人参客 2015.8.15~緑の日~』(ライブ)
5thベスト『ゆずイロハ

第九のベンさん
/The fevers

第九のベンさん【完全生産限定盤】
11年5月4日
作詞:大工の仁さん、作曲:大工の仁さん、岩さん
『2-NI-』からのシングルカット。グッズ(タオル)+DVD(MV収録)が付属する限定盤シングルとして発売され、相当生産数を絞っていたのか一時期プレミア化していた(現在はAmazon中古1円ラッシュで入手難度も他のシングルと変わらない)。ゆずとTRICERATOPSとのコラボレーションと紹介された上での”The fevers”名義だったので”The fevers”はゆずとTRICERATOPSの5人組スペシャルバンドと思われがちだが、クレジット上の区別ではTRICERATOPSはあくまでコラボレーション相手であり、The feversのメンバーは大工の仁さん、岩さんの2人だけとなる。実際新たに制作した今作のC/WもThe fevers名義だがTRICERATOPSは参加していない。なお仁さん=北川、岩さん=岩沢と思われる。

大工と第九をかけた遊びネタで実際に第九を引用したメロディーもヤケクソ気味に飛び出す。演奏にTRICERATOPSを招いて本格的にロックバンドしているので仕掛けの割には曲自体はけっこうガツンとしていて爽快。実際に仕掛けほどふざけた曲ではなく、けっこう勢いよく聞くことができる。
★★★☆☆
10thアルバム『2-NI-

配信 LOVE & PEACH

11年7月20日
ゆずは早くから配信に積極的でそれこそ「アゲイン」は着うたが生まれる前だった。着うた誕生後はライブ音源を新曲・既存曲問わずに着うたでの配信を続けていたようだが、iTunesを始めとしたPC向け配信としては実質的にこれが初の配信シングル。「いちご」に続くような全力全開のバラエティソング。派手な勢いにはインパクトがあるが、ここのところあまりにはじけた曲や派手な曲を連発していたのでここまでくるともう聞いてる方も慣れてしまい、最初の頃の衝撃は正直あまり無かった。最初はこんなのもやるんかいゆず!という感じだったのが、まあこのくらいやってくれるのがゆずだよね、っていう。慣れって怖いし残酷…。
★★★☆☆
11thアルバム『LAND
5thベスト『ゆずイロハ

34th 翔

翔(初回限定盤)(DVD付) 翔
11年11月30日
詩曲:北川悠仁、編曲:斎藤有太&ゆず
『YUZU YOU[2006-2011]』より前に出ていたがオリジナルアルバム未収録だったので収録されずに次のオリジナルアルバムに収録された楽曲。蔦谷好位置を離れ、斎藤有太との共同アレンジだがプロデュースはシングル初のゆずの単独名義。1番はギターとキーボードで進め、2番からバンドが入ってくるが全体にこざっぱりとしたアコースティック色の強いアレンジで間奏ではギターではなくハーモニカソロを採用。寺岡呼人時代ともまた違うアコースティックな響きを生かしたアレンジは派手続きだった中では新鮮だった。原点回帰とはまた少し違う不思議な感覚だ。ただ歌っている事自体はここ最近の壮大路線とあまり変わらず、そうなると単にいつもより地味な曲…という印象にもなってしまう。
★★★☆☆
11thアルバム『LAND
5thベスト『ゆずイロハ

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