2020年5月13日
浅岡雄也が長戸大幸の元を訪れて25周年で何かやりたいと打診した事がきっかけで毎年ソロで行っていたFIELD OF VIEW時代の曲を中心に行っていた周年ライブを2020年はビーイング仕切りで行う事と今作の発売が実現した。2CD+DVDの1種発売。
初期5シングルが未発表テイクでアレンジは同じだが細部の音色が異なる別バージョンで収録されたほか、未表記で「青い傘で」はもっと明確な別ミックス、当時の未完成曲に新たに手を入れて完成させた未発表新曲5曲が収録された。付属のDVD『FIELD OF VIEW~the EXTRA Reflections~』に収録された映像は『VIEW CLIPS~Memorial BEST~』に未収録だったPVを軒並み網羅したものとなっている。
この時点では再結成だとも一時復活だとも一切書かれておらず、単に毎年ソロ名義で行っていた記念ライブにビーイングが関わっているのでFIELD OF VIEW名義が使えるというだけでライブへの参加は小橋琢人のみだった(FOV名義になった以外は2019年までと同じ)。しかし緊急事態宣言乱発によりライブが満足に行えずに延期や代価配信を繰り返す事態となり、2021年10月にようやく開催(DVD化された『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Special Live 2020.10.15 at Shinjuku ReNY』はあくまで代わりの配信&観客限定ライブであって延期になっていた25周年ライブ本編ではない扱い)。25周年ライブ自体が延長された結果、毎年恒例となっていた5月15日付近以外の時期でもFIELD OF VIEW名義でのライブが行われる事になり、そのまま浅岡・小橋の2人体制で活動を継続すると発表。若干なし崩し的であったがいつの間にかFIELD OF VIEWとして活動継続という形になっていた。
なお2020年に使用していた視聴リンクツール(Apple Musicのサブスクには無いがiTunesダウンロードにある曲で使えた)が新規リンク制作不可能になってしまったので、未発表新曲の視聴リンクは無い。
DISC-1
1.君がいたから[T-131]

2.DAN DAN 心魅かれてく[T-31]

3.ドキッ[T-51]

4.奇跡の花

5.キボウメロディー
作詞:浅岡雄也、作曲:多々納好夫、編曲:池田大介
1stベスト『SINGLES COLLECTION+4』発表前にレコーディングされていた未発表曲。歌詞は2020年2月書き下ろし。ギターはDIMENSION増崎孝司、コーラスは岩切玲子。DVD『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Special Live 2020.10.15 at Shinjuku ReNY』のメニュー画面では「キボウノメロディー」に誤植された。
この時期の曲とはまた少し違う質感に聞こえるのは新たに制作された部分や新たなエンジニア(the★tambourinesだった岡田達也)なのもあって当時と同じにはならない、90年代を意識してやっているものの何か微妙にズレているところではあるのかな。FIELD OF VIEWらしい曲なんだけどこの音像はどこか当時とは違う誇張されたザ・90年代っぽさがあるような微妙な違和感がある。なんかキーボードやシンセの音色が以前より浮いて目立ってしまうというか…。この曲はそれでも他の曲に比べればギターやドラムの存在感がある程度あって未発表新曲群の中では最も現役当時に近い質感ではあるか。
歌詞は言わずとも…という感じでカタカナ表記を好む”ソロ以降の浅岡雄也”だなというのがタイトルだけで分かる。10年ぶりの同窓会を舞台にしていて年数もズレているが、当時を思い出すような…過去になっていたFIELD OF VIEWにもう1度触れていくような…そんな歌詞に解散以降の年月を感じる1曲。
★★★☆☆
6.この街で君と暮らしたい

7.everywhere

8.Melody

9.Dear old days

10.Holiday

11.セピア

12.真夜中の虹を
作詞:浅岡雄也、作曲:小橋琢人、編曲:池田大介
未発表新曲の中でこの曲のみ一切の説明がされていない。ただし小橋作曲は3rdアルバム以降である事と池田大介の単独編曲である事、サウンドの傾向などからして3rdアルバムの時期ではなく、再度池田単独編曲が増えていた2000年以降(最後のオリジナルアルバム『CAPSULE MONSTER』より後)の制作のように思う。12ストリングギターが森本隆寛。この人は専門学校在学中の20歳の頃にdoaのツアーサポートになってプロデビューした人で明らかにFOVの現役時代はまだ高校生以下のプロデビュー前であり当時の音源ではなく、新規でレコーディング参加した事を本人が明かしていた。
オリエンタルというか民族的で大人っぽい雰囲気だがバンド感は薄め。FIELD OF VIEW末期~the FIELD OF VIEW期の試行錯誤の1つといった印象。2番以降はドラムも入ってくるので”the”以降よりは1番近いのは『Truth of Love』制作時の未発表曲だった「君を見ていた僕と 僕を見ていた君と」か?
★★★☆☆
13.渇いた叫び

14.あの頃の僕に

15.Beautiful day

DISC-2
1.突然[T-61]

2.夢見続けて今も

3.青い傘で

4.桜咲くこの場所で

5.We’ll be Together
作詞:浅岡雄也、作曲:多々納好夫、編曲:明石昌夫
1stベスト『SINGLES COLLECTION+4』時代制作だと思う…とおぼろげな書き方になっているが、明石昌夫がFOVで編曲したのは「もう一度」だけだったのでこの時期に実は他の曲も手掛けていたという事だろう。歌詞が当時書けなかったので新規の書き下ろし。ギターはDIMENSION増崎孝司というのも「キボウメロディー」と同じ。DVD『FIELD OF VIEW 25th Anniversary Special Live 2020.10.15 at Shinjuku ReNY』のメニュー画面では「Will be together」という酷い誤植をされた。編集スタッフ曲名覚えてねぇのかよ…(泣)
ジャジャジャジャ~~ン・ジャジャジャジャ~ン・ジャジャジャジャ~ンジャジャ~ンジャジャ~ンジャ…という特徴的なイントロは2018年3月に浅岡雄也ソロシングル「Revolution~No15~」(2018年ベスト『U-ya Asaoka FlyBlue Best 2018』、2023年アルバム『世界の果てで逢いましょう』に収録)のイントロと同じだが、当時未発表のままだった今作のイントロを流用したものでオリジナルは今作だとしている。「Revolution~No15~」を知っていたリスナーは驚いたのではないか(何故かライナーで「Revolution~No15~」という曲名を伏せているので知らないとどの曲なのか探すのが至難)。
「もう一度」は今聞いても古さを感じないアレンジだが、今作のジャジャジャジャ~~ンはなんだかちょっとダッセェような…。ちょっとキーボード・シンセのキラキラ感が前面に出過ぎているような印象。現役当時はキラキラした曲でももっとギターベースドラムと一体化していて必要な存在感を放っていたと思うんだけど、今作はキラキラ感が目立ちすぎてギターが後退しているし、ドラムの音もやや軽め。各楽器のバランスや音色が当時のサウンドとは確実に違っているのが顕著だと思う。現代風で洗練されてるというよりは、誇張された90年代サウンド感。「キボウメロディー」で少し感じたその感覚が強調されているような…。メロディーもいいにはいいんだけど、まあ当時音源化された曲と並べるとお蔵入りになってしまうかなぁ…という気はする。
★★★☆☆
6.Last Good-bye[T-101]

7.Time is Gone

8.冬のバラード

9.出せない手紙

10.Dreams

11.When I call your name

12.Still(Abbey Road Mix)

13.FIELD OF VIEW
作詞:浅岡雄也、作曲:小田孝、編曲:FIELD OF VIEW・池田大介
2001年以降に作っていた曲とされる。よってthe FIELD OF VIEWとしてのアルバム用に制作していた曲と思われ、「Real prayer」と同時期という事になる。ドラムは打ち込みだが小橋が新たに打ち込みし直し、浅岡が音色を調整したとされていて未発表新曲の中で小橋が新規で参加したことが唯一明確になっている。ギターは森本隆寛、ベースはスティング宮本が新規にレコーディング。歌詞にも”令和”が出てくるので新規と思われ、ほとんど全部新規でやり直しているっぽい。
ギターベース打ち込みドラムが前面に出た未発表新曲群の中ではダントツでロックなナンバー。the FIELD OF VIEWで既発の曲とは全く異なる方向性なんだけど、「夏の記憶」「蜃気楼」の後にさすがにアルバムに向けては少し戻したロックっぽい曲も作っていたという事なのか。ドッシンバッシン響くドラム音は確かに機械音っぽい。しかしこれ普通に生のバンドサウンドで良かったんじゃないのか…。the FIELD OF VIEWの頃はもうドラムを生で収録せずにサンプリングしたり最初から打ち込むという方針で一貫していたのかもしれない。ボーカルをちょっと歪ませて叫び気味に歌唱するスタイルはソロで近年見せていた方向性の1つでもある。FIELD OF VIEWの曲というよりもソロでの経験を経てソロ名義で「FIELD OF VIEW」を歌ってみた、という感覚。なんとなくだけど。
★★★☆☆
14.大空へ

15.Last Love Song
作詞:浅岡雄也、作曲:小田孝、編曲:FIELD OF VIEW
令和のFIELD OF VIEWはコレなんだぜ!と書いてあるので新規作詞と思われるが元々の制作時期は不明。12ストリングギターが森本隆寛。サウンド的には打ち込み主体で完全にthe FIELD OF VIEW以降の方向性。
「gift」が最終曲としては物悲しすぎたというのは改めてメンバーでもちょっと思っているところはあるんじゃないかと思うんだけど(今作では”こうして再び出逢えたのは予想さえしてないギフトでしょう”と歌っている)、奇跡の再会、そしてこれでFIELD OF VIEWとして最後の新曲になるかもしれない事を踏まえての歌詞となっていて、シン・最終曲といった装い。何もなく2020年5月の公演が延期されずに開催されて25周年が完結していたらこの曲で綺麗に終わっていたのかもしれない。再び会えた喜び、そして同じようなバンド感の無さだった「gift」の物悲しさからすると、未来に期待が持てて救いがあるように思う。
★★★☆☆
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