Tourbillon シングル回顧~2005-2016~

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Tourbillon シングル回顧~2005-2016~

04年の河村隆一ソロで葉山拓亮をアレンジャー兼作家として招いて以降、河村隆一ソロにおいて葉山拓亮は欠かせない人物となった。その翌年05年に結成が発表されたTourbillonは河村隆一葉山拓亮、そして河村隆一とLUNA SEA時代の同僚であるINORANの3人で結成された。Toubillonにおいては河村隆一ではなくLUNA SEAで使用していたRYUICHI名義を復活させ、葉山拓亮はH.Hayama、INORANはそのままINORANとなっている。

LUNA SEAとソロの差別化を図るためにソロではロック調に思えるような曲もほとんどやってこなかった河村隆一は04年のソロではロック調の楽曲もやるようになっていたが、このTourbillonにおいてはさらにロックを開放して、LUNA SEAとはまた異なる大人のロックとして大々的に活動を開始した。

当時の河村隆一はコロムビア、INORANはキングレコードでソロ作品を出していたが、葉山拓亮がD-LOOPで活動していた頃に在籍していたエイベックスからのデビューとなった。後に河村隆一もエイベックスへ移動し、復活したLUNA SEAもエイベックスから新作をリリースしたがこちらはすぐに元のユニバーサルへ戻っている。LUNA SEA終幕以来、初めてメンバー同士が新たなバンド(ユニット)を結成するという事で、当時の3人それぞれの活動よりも大きな話題となり、プロマーシャルなる造語まで使って大々的にデビューした…もののシングルもアルバムもトップ10手前の位置に留まり、大きなヒットには恵まれなかった。

05年と06年の2年間活動してシングル4枚、アルバム2枚をリリース後は08年にライダータイアップでの楽曲に参加したのみとなり、自然消滅状態となった。ただし河村隆一ソロにおいて葉山拓亮はほぼ全面参加し続けていたし、以降はINORANが河村隆一ソロへ参加することもあった。またその後LUNA SEAも復活した事でRYUICHIとINORANはバンドメンバーとして継続的に活動するようにもなり、関わり自体はずっと続いていた。

そしてすっかり忘れかけたデビュー10周年を機に復活。新曲含むベスト盤、そして翌2016年にはオリジナルアルバムを発売した。2017年以降はまた目立った活動はしていない。

河村隆一とLUNA SEAのシングル回顧を既にやったが、そういえばTourbillonも一応全部リアルタイムで聞いていたんだったという事で今回初めてラインナップに加え、これにて河村隆一、RYUCHIのボーカルシリーズが過去曲回顧の新スタイルにて取り揃えることができた。

2018.10執筆

1st HEAVEN

HEAVEN
05年9月7日
デビュー作。「プロマーシャル」という造語はプロモーションビデオとコマーシャルを合体させたもので、前半に曲のMV、後半に企業CMを入れ、このCM部分が1つの商品だけでなく複数の企業が参加していて複数のバージョンを短期間に集中OAするというものだった。このプロマーシャルという手法はテレビ朝日とエイベックスによって新たに立ち上げられて一応現在も続いているが、Tourbillonがこのプロマーシャルの1発目であった。当時新しい手法として話題になった…はずだったが、正直世間はあまり関心が無かったようで、けっこうプロモーションした割にはいきなりトップ10入りを果たせず…。

HEAVEN

作詞作曲:H.Hayama、編曲:Tourbillon
抑えたA,Bメロを繰り返して溜めてから、バンドが入り一気に駆け上がってくCメロ(1サビ)、そしてクライマックスのDメロ(2サビ)と隙の無い展開と作りこまれたどこか退廃的な世界観にとても強く惹かれる1曲。さすがに新プロジェクトの第1弾作品だけあって物凄い気合が入っていて、いきなり最高傑作だと思う。ソロやLUNA SEAとは違うロック、という表現も聞くと確かに納得できる、まさに3人の化学反応による新しいユニットだと当時も強く感じた。世界観は濃いがやはり1番ヒット曲としても狙っていたのはこの曲が1番強かったんじゃないかと思う。当時けっこう個人的には盛り上がっていたんだけど河村隆一ソロのブームもとうに過去のものとなっていて周囲ではさっぱりだったな…。

シングルはフェードアウトで終了するが、アルバムでは冒頭のアレンジに戻るような形で演奏が最後まで終了する完奏バージョンにしれっと変更されている。
★★★★★
シングルバージョンアルバム未収録
1stアルバム『HEAVEN』(完奏する)
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best』(完奏する)

C/W Crisis of my life

作詞:RYUICHI、作曲:RYUICHI/H.Hayama、編曲:Tourbillon
英語の歌詞が4行しかないほぼインストナンバー。静かな演奏に加えて歌もほぼつぶやき+最後はタイトル連呼のみなので、世界観重視というか雰囲気モノといった感じの1曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

2nd your place

your place
05年10月5日
1stアルバムまで3ヶ月連続、3人それぞれの作曲した曲をリリースして11月末の1stアルバムへ繋げる、というのは恐らくデビュー前の時点で全部仕掛け終わっていたものと思われる。ゆえに1発目が思ったより売れなかった中でも軌道修正不可

your place

作詞作曲:INORAN、編曲:Tourbillon
イントロからAメロの間ずっとジャージャージャッ・ジャージャージャッジャッ♪と繰り返し続けるギターサウンドが爽快。サビになるとさらに視界が開けていくようなポジティブな勢いに満ちた君への応援歌。視点が男性から女性へ向けた感じになっているので、女性ファン向けのような歌詞だなという気もするが、曲調も明るいし、歌詞の内容的にもアレンジがもっとアコースティックなら01年の河村隆一がソロで歌ってそうなポップな曲でこれがINORANの曲だというのは驚いた。LUNA SEAの終幕前のシングルでINORANが原曲だとされていたのは「MOTHER」とか「gravity」だったし、C/Wを担当することの方が多かったので、こういうシングルA面っぽいポップな曲を書いたのはかなり意外だった。たぶんTourbillonの中では最もポジティブな勢いに満ちた1曲。いきなり予想外ではあったけど、これもまたいい。1番間口が広いというか濃さが無いのはこの曲かなと思う。
★★★★☆
1stアルバム『HEAVEN
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best

C/W 舞

作曲:H.Hayama、編曲:Tourbillon
ピアノとバイオリンをメインとしたインストナンバー。どことなく優雅な感じはするが…これはほぼH.Hayamaのような…。
★★★☆☆
アルバム未収録

3rd もう一度君に

もう一度君に
05年11月2日
3ヶ月連続第3弾。このまま月末に1stアルバム『HEAVEN』をリリースした。既にアルバムがあってそこからシングルを先行で3人それぞれの作曲作品を切っていたものと思われるが、アルバムの売上もほとんど伸びず、シングルアルバム全てトップ10入りを逃した。

もう一度君に

作詞作曲:RYUICHI、編曲:Tourbillon
アニメ映画『ブラック・ジャック ふたりの黒い医者』主題歌。TV版がそうだったようにエイベックスは作品内容を踏まえた曲作りを全く指示しなかったか、後からタイアップだけくっつけていたんじゃないかと思われ、当然今作もブラックジャックの世界観とはほとんど関係が無いように見受けられる。

河村隆一=バラードという世間一般のイメージに沿ったようなバラード。ただ01年のソロで普遍性を狙いすぎて消失していた独特の濃い空気が復活しているようにも感じる。ソロでリリースした『VANILLA』収録曲の「バニラのコート」は本人評価も非常に高い楽曲だったようだが、今作ではそこで得た後半ほとんど同じフレーズを繰り返し続けるという手法を導入。しかも今回はシンプルなところから演奏が盛り上がってより壮大に発展していく流れで終盤繰り返しとなるため、正直ちょっと長いしくどくも思えてしまうところがある。繰り返しの英語詞部分をほぼファルセットで歌い上げるといった新境地も見せているし、入りこめれば途端に名曲に思える瞬間もある。アルバムのラストとしてこれ以上他にないような楽曲ではあるけど(実際1stではラスト、ベストでも新曲3曲の前の本編ラストの位置に配置)、先行シングルではなかったんじゃないかとは思う。
★★★☆☆
1stアルバム『HEAVEN
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best

C/W IORENTINA

作詞作曲:RYUICHI、編曲:Tourbillon
前2作と違って普通に歌詞がある楽曲。疾走感のある曲でこれをアコースティックギターメインのバンドサウンドでシンプルに歌い上げたらけっこう97年や01年のC/Wでやっていたような雰囲気にも近づいていたんじゃないかと思うけど、やたら忙しないドラム、降り注ぐように鳴り続けるシンセ、曲を引っ張るギターサウンドにより、新しい雰囲気になっている。ここまでのC/Wではなんだかんだようやく普通に歌モノ楽曲という事と、A面バラードとの対比も鮮やかでC/Wの中では1番印象に残る1曲。
★★★☆☆
アルバム未収録

4th アゲハ/selfish

アゲハ(初回限定盤)(DVD付) アゲハ
06年8月2日
2ndアルバムに向けての先行シングルで06年唯一のシングル。初めてDVD付との2形態で発売され、DVD付の方にはInstrumental、CDのみの方には代わりに新曲2曲が収録された。DVDの内容は「アゲハ」MVのみ。

アゲハ

作詞:RYUICHI、作曲:H.Hayama、編曲:Tourbillon
アコースティックな抑えた序盤から盛り上がっていく構成は「HEAVEN」と同様だが、「HEAVEN」ほどサビで劇的に盛り上がらず、激しさはあるもののメロディーは「HEAVEN」ほど強くない。このためパッと聞くと印象に残りにくく、ややシングルとしては地味な曲ではあるが、何度か聞いていると聞き応えもあってこの佇まいも良いと思えてくる。新たなリスナーへ向けて広くアピールというよりかは2年目は05年の活動を聞いて気に入ってくれたファンに向けてより深化を見せるのに徹したような印象も。ベスト盤では「HEAVEN」が1曲目、そして2曲目が今作という配置になっているので、より深くアルバムに入り込んでいく役割を果たしていると思う。発売当時に聞いた時よりも改めて聞いてからの方が良く思えた。
★★★★☆
2ndアルバム『A Tide of New Era
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best

selfish

作詞作曲:INORAN、編曲:Tourbillon
比較的シンプルなロックナンバーだがこれまた「your place」からポップさとか明るさを少し抜き去ったような印象の楽曲。希望へ向かおうとしているんだけど今回はちょっと哀しみの色が漂うというか。A面というよりはC/Wのような気もするが、C/Wにしてはいい曲。
★★★☆☆
2ndアルバム『A Tide of New Era
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best

以下CD盤のみ(CD+DVD盤未収録)
C/W I know nothing

作詞作曲:RYUICHI、編曲:Tourbillon
タイトルが3行表記されているがそれを除くと歌詞が6行しかなく、演奏部分が長い。歌の部分はサビの無いAメロ部分だけの曲みたいな感じで比較的ストレートだが、演奏部分がけっこうひねくれまくってて複雑。歌部分より演奏を楽しむ1曲。
★★★☆☆

C/W season

作詞作曲:INORAN、編曲:Tourbillon
「selfish」よりもさらに哀しみの中にいる2人がそれでも未来へ進もうとしているかのような楽曲。印象には残りにくいが、「selfish」とどっちがA面になってもそこまで大きな違いは無かったようにも思う。
★★★☆☆

5th Break the Chain

Break the Chain
08年3月26日
『仮面ライダーキバ』主題歌。ライダーサイドにどうしてもTourbillonさんで、とお願いされたと語っており、楽曲はライダーサイドで用意されたもの。アレンジにはかろうじて共同名義で参加しているが、ライダーにゲスト参加したに近い状態。さらにこの時点でTourbillonの活動は実質的に終了状態となって1年以上経過しており、これをきっかけに始動することもなく、今作に関しては完全にCDリリースしただけでありプロモーションも特に行わなれなかった。

とはいえライダータイアップにより唯一のトップ10入り、最大のヒットを記録した。しかし2016年のベスト盤には収録されないままで、以降のライブでも1回も披露せず…とほぼ歴史から抹消状態となっており、わざわざこの1曲のためにライダー関係のイベントへの出演で披露したとかそういう事もどうやらしていないようだ。

一方ライダー方面では普通に主題歌集等に収録されているようで、恐らくTourbillonの他の曲を知らないか、そもそもTourbillon自体を知らない人の方が多いと思われ、元LUNA SEAで昔一世を風靡した河村隆一がなんか変名で歌っていた曲みたいな感じで知っている人が多いのかも…。

Break the Chain

作詞:藤林聖子、作曲:鳴瀬シュウヘイ、編曲:Tourbillon・鳴瀬シュウヘイ
河村隆一、Tourbillon、もちろんLUNA SEAも含めて全くイメージに無いような珍品感漂う1曲。平成ライダー以降かなり大きなお友達中心というかこれ子供の頃だったら複雑すぎて良く分からねーしテーマも深すぎるよ!なストーリー展開が多々見られるようになったとはいえ、一応は子供向けの番組なのを考慮してか、英語(コーラス除く)と漢字全てにふりがなが振られている歌詞カードが異色。

ハードな打ち込みロックに乗せてバクバクBeatin’heartとかバキバキBurnin’heartとかライダータイアップでもない限りは通常楽曲としては絶対にやらなそうなセンスのパワーフレーズがぶち込まれ、強いインパクトポイントになっている。これがあのRYUICHIボイスで歌われているというだけでもかなりレア感が漂う。断る理由もないという事で引き受けたというが、ライダーサイドは一体何を求めて既に1年以上活動していなかったTourbillonにお願いしたのだろうか。さすがにソロでやってもらうよりは、Tourbillon寄りだと考えたのだとは思うけど…。
★★★☆☆
アルバム未収録

Break the Chain
Tourbillon
2011/04/27 ¥200

C/W Break the Chain TV size edit

実際にOAされていたTVサイズの音源。当時の子供たちはこれを毎週聞いてばくばくびてぃんはぁ!ばきばきばにんはぁ!とかTVの前で歌っていたのだろうか。なんかそう思うとカワイイ。
★★★☆☆
アルバム未収録

Break the Chain I.MIX

INORANをメインとしたインストという事だが…別にギターがメインというわけでもなく打ち込みとピアノがメインで進行しているし、そもそも「Break the Chain」のメロディーをなぞる主メロがあるわけでもないので何の曲だかも正直良く分からないという謎のインストナンバー。
★★☆☆☆
アルバム未収録

Break the Chain H.MIX

H.Hayamaをメインとしたインストという事だが…I.MIXよりも音数が控えめで落ち着いたピアノの音色がメインだが後半にかけてはI.MIXの2倍近い長さで盛り上がるといった違いがある。しかしやはり「Break the Chain」のメロディーをなぞる主メロがあるわけでもないので何の曲だかも正直良く分からないという謎のインストナンバー。
★★☆☆☆
アルバム未収録

6th Colorless Images

Colorless Images
16年2月24日
前年に10周年でまさかの復活を遂げ、リリースしたベスト盤に収録した新曲に再びのライダータイアップがついたため、年明けにシングルカット。このためジャケットは前作に続いてのライダー仕様であった。またCDタイトルは「Colorless Images」だが、オリジナルバージョンは収録されず、今作用の別ミックスバージョンのみが収録されている。

Colorless Images-BATTRIDE WAR MIX-

作詞作曲:H.Hayama、編曲:Tourbillon
ゲームソフト『仮面ライダー バトライド・ウォー 創生』テーマ曲。前作と違い完全にメンバー作。ベスト盤の新曲3曲がどれも妙に壮大なゲーソン、アニソン的な世界観にハマりそうな楽曲だったので、このタイアップがついたというのも非常に自然に納得できる。BATTRIDE WAR MIXと題されたがゲーム始まるよ風な壮大なストリングスっぽいシンセがイントロに追加されている。

重心はどっしりとしていて貫禄を感じさせつつ疾走感のあるロックナンバー。過去の楽曲から続けて聞くとさすがに10年近い歳月を感じるというか、なんかこねくり回すのやめてひたすらストレートに徹してるなぁとも思う。その分だけちょっと突き抜けてしまうところもある。
★★★☆☆
BATTRIDE WAR MIXアルバム未収録
ベスト『The Decade-10th Anniversary Best』(オリジナルバージョン)

Colorless Images-NO WAR MIX-

3分程度のインストナンバー。特に主メロをなぞるわけでもないので、前作ほどではないがこれだけ聞いても何の曲なのか良く分からないという謎系インスト。
★★☆☆☆
アルバム未収録

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