Storyteling
97年12月発売の2ndアルバム。前作には及ばないが137万枚を売上げた最後の大ヒット作。シングル「save
your dream(album mix)」、「Hate tell a lie(album mix)」、「LOVE IS ALL MUSIC(new
mix)」、「たのしく たのしく やさしくね(album version)」収録。さらに「I wanna go」、「You don't give
up」は翌年2月、4月にシングルカット。全12曲中既にシングルだけで6曲になってしまったが、表題曲「storytelling」は歌詞カードには
グラビアに載ってるようなポエム(冒頭部抜粋「さみいしい顔みつけた、
あなたはきっと天才」とか終始こんな感じ)が記載されているが、完全なインストナンバー。ラスト2曲はTKによる
既に出てきた曲のリミックスになっているので実質
歌が入ったアルバム曲は3曲しか残っていない。
気合入りまくっていた前作とは一転して
実験か手抜きか乱雑な出来になっている。アルバム曲では最初に出てくる「Every
morning」はまだ期待感を煽る良曲なのだが、それ以外は実験的。シングルカットされた2曲も、カットした理由が不明だ。「I wanna
go」とかサビで突然
Perfumeもビックリの超エフェクトボイスに変貌!誰?さらにシングル曲でも、前作直後に出たsaveとHate辺りまではまだヒットチューンとしての煌めきを保っているのだが、それ以降のシングルは明らかに何だか妙な雰囲気が。「たのしく〜」とか
メロディーがおかしいせいなのか、
終始音程がズレているような奇怪なボーカルが乗っていて戦慄!俺がJ-POP聞き始めたのはsaveの頃からなのだが、華原朋美がおかしくなったと感じたのは今作より後のことだった。だが、じっくり作品を聞くとこの時点で既に何かが狂い始めている。表面的にはまだまだラブラブ感をかもし出していた華原と小室であったが、今聞くとこの作品で
既に崩壊への序曲は聴こえていた。
★★★☆☆
nine cubes
98年発売の3rdアルバム。ワーナーへ移籍した。シングル「tumblin'
dice」「here we are」「daily
news」収録。前作の後に、シングルカットを2連発するという意味の無い行為もあったが、移籍後のシングルは表面的にも明らかに楽曲の質が危なくなっており、当然のように
人気は激減。1位を取れなくなるばかりか、「daily
news」ではシングルカット以外でトップ10入りを逃す(13位)事態となった(でも紅白では何故か、15万以上売ったほかの2曲ではなく、6万程度しか売れなかったこの曲が歌われた)。アルバムも26万枚と
一気に110万人が去る結果となった。この直後に事務所を離脱し、事故騒動などを経て
小室との破局が明らかとなった。小室プロデュースも今作が最後だった。
そんなわけで破局間近というか、
もう完全に終わっている状態で作られたと思われる今作(一応華原の笑顔は満載なのだが、前2作と違って小室が写ってないし。)は、
明らかにやる気の無い小室サウンドが展開。そもそも全10曲しかない上に、1曲リプライズなので、実質9曲。トドメにアルバム曲のうちの1曲は「storytelling」。前作にはインストで収録され、歌詞カードには同タイトルの
グラビア風ポエムとして載っていたアレである。今回の収録ではこの
グラポエにムリヤリメロディーをつけてしまった!1曲目冒頭の歌詞が「この頃
地球の上にいるって感じて」という
謎の視点で始まるのも壮絶だが、全体的に
歌詞が適当。一部には小室から華原へのメッセージ?とも解釈できるような怖い箇所もチラホラ…。さらに恐ろしいのは
華原の不安定なボーカルで、とにかく歌いきれていない。
仮歌とか練習段階のテイクをそのまま採用してないか、これ?やる気の無い楽曲、まともに歌えてない歌声、その後の顛末…、このような状況から現在では
「伝説の怪盤」、「駄作」、「ホラー」、、「ある意味でJ-POP史に残る」とも言われている今作。その壮絶さは確かに今でも別の意味で聞く価値がある。それほどの怪盤ぶりだった。
正直怖かった。
★☆☆☆☆