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SONGS  /Sugar Babe

75年発売。山下達郎、大貫妙子らが在籍していたバンドの1stアルバム。売れなかったためシングル1枚、アルバム1枚で解散してしまった。しかし、その後の山下達郎や大貫妙子がソロシンガーとして地位を確立すると再評価の動きが高まり、伝説のバンドとして認知度を高めた。CDとして何度か再発され、当初は11曲収録だったが、94年に再発された際にブックレット解説や未発表のデモ音源、ライブ音源が追加された全18曲になった。99年も同じ内容で再発され、05年には発売30周年記念でボーナストラックの差し替えが行われ、全20曲となった。今回聞いたのは99年再発盤。

山下達郎の才能が、この頃から光っていたのがはっきり分かる。歌い方も若いが既にそれと分かる。大貫妙子は単独では聞いた事がないのだが、ガラッと雰囲気が変わって別のバンドのように感じた。他のメンバーも自作でメインボーカルを取ったりしているので、そういう意味では可能性の大きなバンドだったのかもしれない。ボーナストラックでは20年後に「ポンキッキーズ」で有名になる「パレード」のデモバージョンも収録。元々バンド用に書いたが、解散してしまったのでここではデモにとどまったとのこと。そこまで名作とは感じなかったが、これが75年の作品だと考えるとこの色褪せてなさと完成度は驚異的だと思う。

なお94年、99年盤でもリマスタリングはされているようなのだが、30周年盤での音質の向上はamazonレビューでも絶賛されているようにかなりいいらしい。いずれそっちも聞いてみたい。

★★★☆☆   30周年記念盤

Niagara Triangle vol.1

76年発売。大瀧詠一、山下達郎、伊藤銀次によるコラボアルバム。当時、大瀧詠一が構想していたナイアガラレーベルは山下が在籍したSugar Babe、伊藤が所属したココナツ・バンクが解散してしまい、レーベルには大瀧1人が残り暗中模索に陥っていたという。何とか新たな展開へ向かい、それまでの総決算として2人を迎えて制作されたという。伊藤にとっては初のボーカル(バンド時代はギター)、山下にとってもバンド解散とソロデビューの狭間の時期に当たる。各自が持ち寄った曲を3,4曲ずつ収録した全11曲。95年の再発時にはボーナストラックを追加し14曲になり、06年の30周年記念盤では16曲にまで増加した。今回聞いたのは30周年記念盤 。

Sugar Babe時代にデモで終わっていた「パレード」は今作で初めて完成盤が収録されている。3人がそれぞれ楽曲を持ち寄ったということだが、極端に方向性が違ったりはしていないので、違和感はない。「ナイアガラ音頭」なんかは完全に音頭といったノリでワイワイやっている。デモここまでではないが、けっこう自由な曲が多い印象。ボーナストラックラストの「ココナツ・ホリデイ3日目」なんて好き放題にアミーゴォ〜!とか叫んでるだけだし。自由だ…。危機に陥っていた割にははじけちゃってるというか、余裕がある。基本的には例によって30年以上の年月は全く感じさせない楽曲群。気合の入ったリマスタリングで音もかなりいい。

★★★☆☆

CIRCUS TOWN

76年発売の1stアルバム。バンド解散となってしまい、ソロで活動せざるを得なくなり、力量を試すために海外での一流ミュージシャンとのアルバム制作を望んだものの、そんな金をかけてくれるレコード会社はなかなか見つからなかったという。ようやく見つかったものの、当初の希望である全部ニューヨークで制作は実現できず、4曲をニューヨークで、残りの4曲はロスでという方向で落ち着いた。アナログ版ではA面がNew York Side、B面がLos Angeles Sideという構成になっている。その後CDで何度か再発されたが、02年の本人監修による一斉リマスタリング再発売の際には、「CIRCUS TOWN」「WINDAY LADY」の未発表カラオケトラックが追加収録 された。ブックレットには解説も記載された。今回聞いたのは02年再発盤。

New York SideのミュージシャンにはベースのWill Leeをはじめ、知っている名前もあった(知ったきっかけは豪華外人タレント生演奏を起用した時代のSMAP)。あの素晴らしい生演奏サウンドが好きだったので、今作でも後半のLos Angeles Sideより、NYの方が良かった。1stからこんなに豪華でいいのだろうかという気もしてくる。楽曲自体に強烈なインパクトは無いが、どれもゆったり落ち着いていて普遍的なポップス だ。全く色あせていないのが凄い。最近の山下達郎作品を聞いた流れでそのまま聞いても違和感はあまりないと思う。この良さは少し前までだったら退屈にしか思えなかったかもしれないけど、ようやくこういう良さがわかるようになってきた。

★★★★☆

SPACY

77年発売の2ndアルバム。前作でのNY録音などの経験を生かして、今回は国内の一流ミュージシャン(村上ポンタ秀一、坂本龍一、細野晴臣など)を起用して制作している。しかし、全く売れる気配が無く、予算や時間の制約との戦いになったようで、特に後半の曲(当時はB面)には山下のピアノ弾き語り+多重コーラスというシンプルな編成の曲も多い。80年代以降、何度も再発されているが、02年のリマスタ一斉再発の際には3曲ボーナストラックが追加された。今回聞いたのは97年再発盤。

相変わらずバンドサウンドは丁寧で心地よい。今聞いても全く古さは感じないが、逆に当時では新しすぎるというか歌謡曲がまだまだ全盛だった時代だし、全く時代に合っていなかったのではないだろうか。今になって評価は高いようだし。正直なところ近年の作品よりもいいような気さえしてくる。「SOLID SLIDER」は特にかっこいい。これは97年盤ではなく02年のリマスター盤で聞きたかったなぁ。図書館、何でこれだけ置いてなかったんだ…。

★★★★☆

IT'S A POPPIN' TIME

78年5月発売の2枚組ライブ盤。当時アルバム2枚がヒットせず、予算も減る状況であった。ライブ本数も激減していたものの、ライブハウスでなら一流ミュージシャンを起用しても赤字が出ずに成立できるということで、ライブレコーディングでの作品制作が決定したという。村上“ポンタ”秀一(ドラム)、岡沢章(ベース)、松木恒秀(ギター)、坂本龍一(キーボード)のライヴメンバーに加え、土岐英史(サックス)、伊集加代子、尾形道子、吉田美奈子(コーラス)という最強メンバーを迎えて六本木ピットインでレコーディングが行われたが、結果的に曲数の割には演奏が長かかったせいで2枚組になってしまい、レコード会社からの評価は良くなかったという。02年のリマスター再発では未発表のライブ音源が2曲追加収録されている。

ライブ盤ということだが、聞いた感じあまりライブ盤っぽくない。新曲やカバーが多く、これまでの2作の中からのライブ音源が少ないという辺りもオリジナル作っぽいのだが、何よりライブっぽい残響音などがほとんどない 。DISC-1の1曲目「SPACE CRASH」だけはスタジオ音源なのだが、2曲目からのライブ音源が始まっても全く違和感が無い。演奏終了時などは確かに拍手が聴こえるのだが、全体的にライブにしては音がくっきりしすぎている。それだけ綺麗に音が録音されているわけなので、演奏も長めな各ミュージシャンの名演を堪能できる。イメージしていた「ライブ盤」とは全く違ったが、これはこれで良かった。

★★★☆☆

GO AHEAD!

78年12月発売の3rdアルバム。年明けに初となるシングル「LET'S DANCE BABY」、B面として「BOMBER」がシングルカットされた。当時全く売れずに、いよいよこれが最後のアルバムになりそうだと覚悟していたという。CM音楽作家としては成功していたため、裏方の作曲家になろうと思っていたらしいが、結果的に大阪のディスコから「BOMBER」がヒット(急遽A面B面を入れ替えた盤も発売)したことで、状況が変わっていったとされている。その他、「潮騒」も次のシングルのB面にシングルカットされ、「2000トンの雨」は03年にリメイクされてシングル化されている。02年のリマスター再発では未発表の「潮騒」の英語バージョン、及び「2000トンの雨」と「潮騒」のカラオケの合計3曲が追加収録 された。

作りこんだ作風に変化は無いが、最後になることを覚悟して、やりたいことをやろうと作家性の強い作品になっていると本人も語っている。確かにアルバムとしてはあまり統一感が無く、シンガーソングライターという比較的作風に一貫性が出てくるタイプのミュージシャンのアルバムにしては、かなりバラエティに富んでいる。ただ「潮騒」「2000トンの雨」など隠れ人気の高い曲が収録されていたり、ブレイクのきっかけの「BOMBER」が入っていたりと、けっこう重要な作品でもあるように感じた。いずれにせよこれで終わっていたら今作も日の目を見ることも無かったかもしれないので、終わらないでよかった 。

日本での評価は最悪で、海外では評判が良かったというジャケットデザインだけど、あまりに不敵すぎな笑顔 は正直不気味…。

★★★☆☆

MOONGLOW

79年発売の4thアルバム。シングル「愛を描いて-LET'S KISS THE SUN-」、同時発売の「永遠のFULL MOON」とB面「FUNKY FLUSSIN'」収録。さらに「RAINY WALK」も次のシングルのB面にカットされている。どん底だった前作から一転して、状況が好転し始めた今作は新たに作ったAIRレーベルからの第1弾にもなり、より自由に曲作りが行えるようになったという。02年の再発盤ではカラオケやライブ、別バージョンが3曲追加収録 されている。そのうちの1曲である「FUNKY FLUSHIN'」の別バージョンは、ベスト盤『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』収録時に再録音されたものと同じ音源。

序盤にはまったりした曲が続いたりと少しくじけそうになったが、開放的なアップテンポの曲もちゃんと出てくる。この辺は少し売れ線も意識し始めたような感じがする。ライブを意識しており、アルバム全曲をライブで披露したことがあるのは今作だけらしいけど、そこまでライブ感全開という気はあまりしなかった。ボーナス曲の「永遠のFULL MOON」のライブバージョンも相変わらずあまりライブらしい残響はほとんど入っておらず、軽く聞いてると最後の観客の拍手でようやくライブ音源だったのか と分かるような感じだし。この辺は感覚の違いかもしれない。

★★★☆☆

RIDE ON TIME

80年発売の5thアルバム。シングル「RIDE ON TIME」収録。後に「MY SUGAR BABE」がシングルカットされ、C/Wに「DAYDREAM」もカットされた。CMに起用され自身も出演した「RIDE ON TIME」 がシングル初のチャートイン、最高3位のヒットとなり、アルバムも初の1位を獲得 した。この頃、ついにライブでも自身の多彩な楽曲に対応できるスタジオミュージシャン(Drumsの青山純とベースの伊藤広規)と出会うことができたり、制作予算も一気に増えたりと状況は上り調子だった。02年の再発盤では、「GREATEST HITS」でしか聞けなかった「RIDE ON TIME」のシングルバージョン、曲間のつなぎ用に作ったけど使わなかったインスト2曲(未発表曲)、「MY SUGAR BABE」のTV用インストが追加収録された。

「RIDE ON TIME」は03年にキムタク主演ドラマ「GOOD LUCK!」主題歌に起用されてリバイバルヒットを果たしているので、知名度は高く代表曲の1つとなっている。この曲のイメージはかなり明るく開放的なものなので、それがタイトルになっている今作も明るく開放的な売れ線サウンドにはじけたのかと思いきや、そんなことは全くない。これまでのファンも売れて変わってしまったと思うようなことは恐らく無かったと思われるが、比較的地味で大人っぽい内容になっている。これはシングルヒットの際に見たという芸能メディアの醜悪さに驚き、その反動でアルバムは玄人受けを狙おうとした本人の意向が強かったと思われる。そんなわけで、分かりやすさよりも相変わらず丁寧に作りこんだという、じわじわしみてくる良さに変わりはない。あと…このジャケットの立ち方は少しなよっ としてて気持ち悪い。どうなってんの、これ?

★★★☆☆

FOR YOU

82年発売の6thアルバム。BMG時代最後のオリジナルアルバム。インスト4曲を含む12曲でインストが短いため、作品自体はボーナストラックが入って16曲になった再発盤でもようやく50分を越える程度の長さ。先行シングルはなしだったが、この後に出たシングル「あまく危険な香り」のC/Wに「MUSIC BOOK」がカットされた。また02年の再発とほぼ同時期にドラマ主題歌に起用された「LOVELAND,ISLAND」が20年越しでシングルカットされ、C/Wには「YOUR EYES」もカットされた。そのため、02年の再発時には最も売れた。その再発盤では、ベストのみの収録だった「あまく危険な香り」やそのTV用インスト、未発表曲などが収録されている。再発やカセット含めて80万程度 売上げており、これは次回作に続いてオリジナルでは2番目の売上。

人気も高い今作だが、確かに明るく開放的な曲が多く、単純に聞いていて気持ちいいポップスの名盤。前作は先行シングルの割にはそこまで明るくなかったので、今作はよけいそんな風に感じる。前作でようやく見つかった理想のバンドメンバーによる演奏も安定感がある。派手さは無いが、これは確かに傑作だ。そんな安定感の中で、しゃがれた声でロック調に歌う「HEY REPORTER!」はかなり異色の1曲。驚いた。

★★★★☆

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