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HEART OF SUMMER

85年夏発売の1stアルバム。この当時はThe TUBEだった。1ヶ月前の1stシングル『ベストセラー・サマー』、C/W『涙のハーバーライト』収録の全10曲。容姿が若いのもあるが、この当時は全員が痩せているので(特に後年すっかり丸くなってしまうドラムの松本さん)別人のようである。まだ自作曲は3曲程度(うち前田2曲、春畑1曲)でほとんどが外部作家やビーイング総帥にしてプロデューサー長戸大幸が自ら手がけていたりする。最初から夏全開のスタイルではあるが『ベストセラー・サマー』はさわやかさとは程遠い歌謡曲風のアダルトな雰囲気さえ漂う。正直今になってみるとかなり「え〜…」って感じの曲だったが、こういう曲もありつつわりかしさわやかな曲もある。織田哲郎の曲が2曲入っているが、まだヒットらしいヒットを出せていないこの時期においても長戸大幸がその才能を強烈に推していた作家というだけあってやはり1つ抜けた存在だった 事は十分に伺える2曲である。

★★☆☆☆

OFF SHORE DREAMIN'

85年冬発売の2ndアルバム。88年までは毎年夏と冬にアルバムをリリースしていた。シングル「センチメンタルに首ったけ」とそのC/W「オ・ネ・ガ・イRADIO」を含む全10曲。「夏に片想い」と夏の曲から始まってラストは「冬の海岸通り」とあくまで海辺にはこだわりながらも冬がタイトルに入っているなど夏一辺倒ではなかった事が伺える。シングル「センチメンタルに首ったけ」が、1stシングル同様にかなり80年代的な時代を感じる微妙なノリの曲だったので、今作もそうなのかと想っていたが、1stアルバム同様にけっこうさわやかな曲もあれば、バラードもある。トータルでははじけた曲や80年代ノリの曲よりも、バンドポップというかシティポップ的なサウンドの曲の方が多かった。声の若さといい、ボーカルスタイルの違いといい、基本的に前作の続編のような雰囲気。

★★☆☆☆

Summer Dream

87年発売の5thアルバム。「シーズン・イン・ザ・サン」が大ヒットした事でその方向性でシングルも固まってきており今作収録の「SUMMER DREAM」も織田哲郎によるさわやかポップになっている。アルバム曲でも織田哲郎の曲はやはり光っている。さらに栗林誠一郎の曲があったりする辺りは早くもビーイングらしい展開。それ以外ではバンド名義での編曲があったかと思えば、笹路正徳が数曲で編曲をしていたり、ボーカル前田が作詞作曲編曲全部手がけていたり、ベースの角野が作曲していたりと、今にしてみれば驚くようなクレジットが多かったりする。内容的には、80年代TUBEなりのシティポップ路線 といった感じか。

★★☆☆☆

Twilight Swim

87年冬発売の6thアルバム。シングル「ダンス・ウィズ・ユー」収録。このシングルの印象が薄くて、このアルバム自体も何だかおとなしくてあまり印象に残らなかったりしたのだが、夏のアルバムに比べると冬のアルバムは少し落ち着いた方向になっていたのかもしれない。まあ「ダンス・ウィズ・ユー」に関しては夏発売だし、栗林誠一郎作曲なので織田哲郎の1発で耳に残るようなキャッチーさが無かったってだけかも。今作では相変わらず、織田、栗林を筆頭にメンバーや作家が作詞作曲だけでなく、編曲にまで入り乱れている状態。前田の作詞作曲編曲だけでなくギターの春畑まで1人で作詞作曲編曲をしていたりする。

★★☆☆☆

Beach Time

88年発売の7thアルバム。シングル「Beach Time」収録。売上記録を見ると織田哲郎のシングルだとヒットするという構図が完全に出来上がっている。よく見ると栗林が1曲も提供せずに、織田哲郎の楽曲が増えている。ここでビーイング定番アレンジャーの葉山たけし(表記が葉山剛)も登場。ギター春畑が織田哲郎の作詞作曲に編曲をしていたり、ベース角野と春畑の共同編曲があったりするが、TUBE編曲の2曲は前田が作詞作曲しており、独立の兆しが見えないこともない。今作の印象としてはだいぶ方向性も固まってきて、夏、爽快さを貫きつつ楽曲自体はそこそこバラエティに富んでいるというまあ王道的なスタイルを展開。心なしかギターサウンドが前に出てきてバンド感が増したような気がした 。

★★★☆☆

Remember Me

88年冬発売の8thアルバム。初の本格バラードシングルにして現在も代表バラードの1つに数えられるシングル「Remember Me」収録。この曲は栗林誠一郎だけど、ZARD全盛期を思わせる「らしい」バラードだ。それ以外の曲は相変わらずの作詞作曲編曲に作家、メンバー入り乱れ状態のまま。冬発売の最後のアルバム(07年に冬発売復活)となっているが、ジャケット、ブックレット全てイラストになっており、このイラストは後にバラードベストにおいても使用されるTUBE冬のシンボル?のような雰囲気になる。楽曲自体は冬ということでおとなしい曲が多いが、バラードばかりというわけでもなく、それなりに盛り上がるところは盛り上がる。歌詞は基本的に現在は夏では無い別の季節であり、主に秋や冬なのだが、多くの曲で夏を振り返っているため、結局「夏」という単語が連発 されている。結局、冬の活動は翌89年に初となる現制作スタイルによるシングル「Stories」を最後に前田ソロへと移行(90年〜93年)、バンド自体も次回作を持って80年代シティポップ路線を卒業し、完全自作体制「作詞:前田、作曲:春畑、編曲:TUBE」へと独立していくこととなる。

★★☆☆☆

湘南

91年発売の11thアルバム。シングル「湘南My Love」収録。「さよならイエスタデイ」は今作の後に出たのでベスト盤までアルバム未収録。たぶん前作からだと思うが、作詞が前田、作曲が春畑、編曲がTUBEで固定されており、作風も安定。基本はさわやか夏ポップソングながら、おふざけノリの曲やバラード、爽快ロック辺りはだいたいどのアルバムにも入っているという状態になってくる。ロック路線という意味ではまだ後期ほどのロックさが無いかなという感じ。やはり今作最大のハイライトはファン人気も高い名バラード「十年先のラブストーリー」だろうか。

★★★☆☆

納涼

92年発売の12thアルバム。シングル「夏だね」収録。「ガラスのメモリーズ」はこの後に出たのでベスト盤までアルバム未収録。1曲目「ノッてけ’92」からハジけている…というほどハジけまくっているわけではないがさわやか、爽快、おふざけ、バラードと安定感あり。正直後追いで聞くともう違いがないくらいの勢いである。この頃からけっこう自分探し系の曲も増えてきているが、これがけっこう爽快な気分になれていい。前作に続き、人気バラード「君となら」がラストに収録されている。

★★★☆☆

Say Hello

93年発売の2ndミニアルバム。元々、80年代は年に2枚のアルバムを出していたので自作に切り替わっても余裕があったのか、2年連続で5曲入りミニアルバムを出していた。前作の「Smile」同様に1曲目のタイトル曲がタイアップ付の実質メイン曲になっているが、内容は普段のオリジナルアルバムの縮小版といった感じで大きな違いも冒険もない。今作に関してはリード曲の「Say Hello」もいい曲なのだが、何気にけっこう有名な曲となっている前作「Smile」(08年のフジテレビ27時間テレビでもCM前に必ずこの曲のサビが使われていた)に比べるとやはり弱い。基本的にさわやか、爽快ポップが並んでいるのでひたすら気持ちいいアルバムではある。ところで4曲目のアコースティックバラード「あずけてごらん」で明らかに前田じゃない人が歌っている箇所があるんだけど誰?

★★★☆☆

浪漫の夏

93年発売の13thアルバム。シングル「夏を待ちきれなくて」収録。「だって夏じゃない」は今作の後に出たのでベスト盤まで未収録。「夏を待ちきれなくて」ではこれまでよりも一歩前に出た良メロ炸裂の名曲が出てきた印象だが、アルバム全体でも爽快さが以前よりももう少しだけ前面に出てきた感じがする。基本的にさわやかポップ、爽快ロック、バラード、おふざけノリ…といったバラエティ感は変わらない。だけどここら辺から少し良くなってきたなぁという印象は後追いで聞いてたら感じた。

★★★☆☆

終わらない夏に

94年発売の14thアルバム。最大のヒットシングル「夏を抱きしめて」収録。「恋してムーチョ」はこの後に出たのでベストまで未収録。 前作、次回作とミリオン目前まで行ってミリオン達成していないTUBEだが、オリジナルアルバムでは今作のみがミリオンセラーを記録した(当時初回と通常が別集計だったので合計した場合)。さわやかさが前面に出たアルバムで、「夏を抱きしめて」のようにさわやかさと爽快さの割合ではさわやかさの方が上かなといった感じ。中盤ではけっこう落ち着いた曲調も見せている。ラストを飾るバラード「夏よありがとう」の壮大さは感動的だが、他にも友情と青春と大人になっていく切なさを歌った「一人になっちゃった」の歌詞は何だか凄くしみた。全盛期全開な1枚。

★★★☆☆

Melodies&Memories

94年秋発売の1stバラードベスト。01年には第2弾も出ているが、大きな違いはこの第1弾では全曲新録音していたことである。シングル曲はそもそもあまりバラードを出していなかったので数曲程度。爽快な夏イメージが強いが、けっこう歌い上げる曲でも印象を残せる前田の歌声の良さもあって、名バラードが多い。とはいえ一気にオリジナルアルバムを聞いてきて、どの作品も印象が大差ない程度の認識しか持てなかったため、既に記憶に無い曲が多く、どこがリメイクされたのかよく分からない曲も多かった。

★★★☆☆

ゆずれない夏

95年発売の15thアルバム。シングル「ゆずれない夏」収録。「あの夏を探して」はこの後出たのでベストまで未収録。ミリオンを飛ばした前作に続いて今作もミリオン近い売上を記録した。全盛期だけあって爽快さも抜群。サウンド的にもロックさが増してきていい感じである。曲のバラエティ感とかに関してはもう思いっきりマンネリなので、違いはさほどない。

今作の後に「TUBESTU」がミリオンを記録。以降はピークを過ぎて緩やかな下降線をたどっていくこととなる。

★★★☆☆

Only Good Summer

96年発売の16thアルバム。4月に出た『TUBESTU』のミリオンヒットの後にリリースされ、オリジナルでは最後の1位を獲得したが60万程度にまで売上は下がってしまった。シングル『Only You 君と夏の日を』収録。ベスト盤直後ではあるが、『TUBESTU』の時期でのさわやかな夏全開の90年代前半〜中盤までの路線を引きずっている最後の作品。前作辺りで爽快さが増してきていたが今作ではシングルの時点で過去最高に爽快だった事もあり、そのノリのままバンドサウンドが全開で、さわやかさよりも爽快さが前面に出た アルバムになっている。ふざけたノリがこれまで以上に全開の『The Last of IKE-IKE(最期のウルトラ)』も色んな意味ですさまじいが、ラストを飾るバラード2曲『夏の終わりに…』『Someday』も感動的なロックバラード。特にわりといつも通りのよさにとどまっている『夏の終わりに…』でいつも通りに締めくくるのではなく、それを越えて大いに盛り上がる『Someday』で締めているというのが良い。ここまでのアルバムの中では個人的に最高傑作かな。

★★★★☆

Bravo!

97年発売の17thアルバム。シングル「情熱」「Purity-ピュアティ-」(シングルカット)収録。これまでの「さわやか」「海」のイメージから一転して「情熱的な熱さ」を感じさせるラテンの要素が含まれて方向転換している。1曲目からパーカッションが鳴りまくるラテン曲。2曲目「Purity-ピュアティ-」はこれまでにないアコースティックなバンドサウンドによる切なさ全開の名曲。後にシングルカットされた。3曲目「Born in Japan〜extended surf mix〜」(情熱」C/Wのアルバムバージョン)では一転してハードロック調でボーカル前田もいつになくシャウト気味に歌唱。4曲目「もどり道」でようやくTUBE王道のさわやか路線が来たと思ったら、5曲目はラテン路線1発目の「情熱」…といった具合に前半ではこれまでにない新たな楽曲で勝負しており、これまでとは違う新生TUBEを存分にアピール。後半はわりといつも通りの王道路線の曲が並んでおり、当然安定感のある王道バラードもちゃんとある。これまでのファンも安心といった感じ。ただ「青春白書」ではサビ以外語り口調 だったりとぶっ飛んでいる。新たなTUBEとこれまでのTUBE両方が楽しめる面白い1枚だった。

★★★☆☆

HEAT WAVER

98年発売の18thアルバム。シングル「-純情-」「-花火-」収録。シングル1枚→アルバム→シングル(アルバム未収録)、という発売サイクルも前作辺りから変化。その年に出た先行シングルが2枚収録されたのは確か初。またしばらくC/W収録も無かったのが前作辺りから収録されるようになっている。先行シングル2枚が冒頭2曲を飾り、この2曲が前作に続きラテン要素のあるパーカッショナブル(?)な曲だったので今回もそういう路線と思いきや3曲目の爽快アップテンポロック「MENTHOL HEAVEN」(「-花火-」のC/W)のようなギターが前面に出た楽曲が今作の中心だった。 自分探し的な曲も今までより多い印象で、かつてとはやはりどこか違うTUBEを感じる。インスト1曲も含んで14曲と曲数も多いが、ラストの「人類のために乾杯!」ではドラムの松本さんが久々に作曲。それだけでなく自らメインボーカルまで披露するという異色楽曲。全体的にロック色が強く、個人的にはなかなか気に入ったアルバム。ていうかこういう路線ならシングル2曲いらなかったんじゃ…。

★★★★☆

Blue Reef 

99年発売の19thアルバム。シングル「きっとどこかで(sinfonia versione)」「ひまわり」収録。なおこの後に出たシングル「Yheei!」「IN MY DREAM」は「TUBESTV」のみに収録されている。
久々に2位40万ヒットを記録した前年の「きっとどこかで」をオーケストラアレンジで収録。前年のシングルを収録するという事を今までしていなかったのだが、久々の「当たり」だっただけに外せなかったのか。ロック色の強かった前作から一転して、今度は一気にさわやか路線へ回帰。90年代中盤頃のさわやかさを、さらに徹底したような雰囲気で先行シングル「ひまわり」もそうだったが、夏のさわやか曲定番のフ〜ウ〜ウ〜フ〜ウゥ〜♪コーラス が随所に聞かれる。単純にこのさわやかさは良かったんだけど、前作のような攻撃的な面ももう少し見せてほしかった。

★★★☆☆

LANI KAI 

00年発売の20thアルバム。シングル「虹になりたい」(EXTRA DRY MIX)、「Truth of Time」収録。これまでと一転して夜の海がイメージされたジャケット、ブックレット内の写真も、全てがブルーがかっており、海中のようなイメージで統一されている。これまでひたすら真昼の真夏の太陽と海!!だったし、この後も元に戻るので今作だけちょっと毛色が違う印象を受ける。中身の方も、アコースティックを生かした良メロバンドポップが多く、極端に爽快ロックな曲は中盤の「まっ黒K3」くらいである。「真夏へCount Down」もタイトルや勢いの割にはアルバム全体の作風に合わせてアコースティック色を強くしているし。さわやかさの中にもバンド全体の雰囲気は落ち着いており 、少し変化したTUBEが聞ける作品。

★★★★☆

Soul Surfin' Crew 

01年発売の21stアルバム(ブックレットには23rdアルバムとあるがミニアルバム2枚をカウントしているらしい)。シングル「月と太陽」「初恋」「燃える煙るモナムール」収録。「燃える煙るモナムール」は大島こうすけがアレンジに参加したシングルバージョンがボーナストラック扱いでラストに収録されているが、本編には池田大介が参加したwith BLOODEST SAXPHONEという別バージョンが収録されているため2回出てくる。謎の外人ポエムインストからスタートする今作は、2曲目に爽快ロックの表題曲が来るので、爽快ロック系なのかと思いきや、続く「月と太陽」は大島こうすけの色が強い後のイケイケ路線に通じる作風、ミディアム調の「7th」は一転して前作以上に大人っぽい、レゲエ風のナンバーも出てきたりと作風が定まらないバラエティ豊かな内容。「きっとどこかで」で池田大介と共同アレンジしてからは池田との共同アレンジが増えていたが、この頃には大島こうすけとの共同アレンジも出てくるなど、ビーイングアレンジャーとの交流が盛ん になってきている。特に大島との交流は、けっこう大きな転機だったかも。これ以降、大人っぽい作風にシフトしていくと思わせた前作から一転して、イケイケ路線の曲が定期的に出てくるようになるし。個人的には「初恋」や「真夏の雪」辺りの作風がけっこう好き。

また「Dreams of Asia J.V」ではDEEN池森秀一を招いてデュエット。ちょうどDEENの活動が鈍っており、この01年はバラードベストとSHUとしてのソロ活動のみだった。池森のキーと歌い方が翌年以降激変するという過渡期の貴重な歌声 が聞ける。う〜ん、過渡期な声だ。全盛期とは違うし、現在ともちょっと違う。

★★★☆☆

good day sunshine 

02年発売の22ndアルバム。シングル「I'm in love you,good day sunshine」「風に揺れるTomorrow」収録。さらにリメイク曲「湘南 My Love 2002」やボーナストラックでNOB SUMMER名義で「Can't take my eyes off you」が収録されている。「I'm in love you,good day sunshine」の編曲はTUBEではなく徳永暁人。この曲はドラムの音が何だか打ち込みのようなベタベタした響き(同時期の倉木麻衣の「Feel Fine!」と同じような響き)なのだが、アルバム全体でもバンド感が薄く軽めの音で仕上げられたバックトラックの曲ばかり並んでいる。どこまで打ち込みでどこまでドラム使ってるのかが何だかよく分からないほどに、ドラムの音が軽いのだが、ギターベースもガンガン鳴っている場面は少なく、バンドらしさという意味では最もバンド感の薄いアルバム だ。当時のビーイングGIZAがそういう軽い音の全盛期だったのでその影響を受けたのだろうか。KANONJIがクレジットされ、ZAIN PRODUCTSという名義が設立されてGIZA体制になるのも今作からだし。メロディー的にはそこそこの曲は多いけど、個人的にはこれぞというアルバム曲がなかった。

★★★☆☆

OASIS 

03年発売の23rdアルバム。シングル「青いメロディー」「Let's go to the sea〜OASIS〜」及びC/Wの「Summer Breeze」収録(シングルはLGCDだったがアルバムではまだ導入されていない)。雰囲気を変えたかったのか、印税の関係なのかは知らないが、角野と松本が作詞を手がけた曲も1曲ずつある。しかし以前のようにリードボーカルを取ったりするような遊びはない。この年はフジテレビの「めざましテレビ」のテーマソングを1年通して手がけることになり、まず春と夏の曲が発表された。以前から前兆はあったが、この頃から主に大島こうすけの影響だと思われるパーカッション等バンド以外の音がトータル的に盛り上がるイケイケ路線の曲が増え始める。冒頭を飾る「恋のマグマ」もそっちに近いノリだが、極めつけはやはり「Let's go to the sea〜OASIS〜」。そのままBON-BON BLANCOに提供した方が良かったのではないかというノリで、ロック色や年相応の落ち着きとは真逆に向かっている。全体的にはポップバンド色が強くて、ギターを前面に出したロック調はなく、さわやかな曲が多い。ここまで来るともう大いなるマンネリ+中年の悪ノリ って雰囲気になってきているが…。サザンであれば桑田さんまたやってるよ!で済むのにTUBEだと「いい年して変にはじけちゃって大丈夫?」っていうちょっとヒキ気味の気分になってしまう。

★★★☆☆

夏景色 

04年発売の24thアルバム。シングル「月光」「プロポーズ」「夏祭り/涙を虹に」収録。当初はソニーの方針でLGCD化を余儀なくされたが、現在は通常CDで売られておりCD-EXTRAで1曲目「海の家」の振り付けPVが収録されている。この数作で徐々に増えてきたイケイケ路線だが、今作もそんな曲で幕を開ける。振り付けもノリノリ。ていうかこんなノリノリイケイケなフリをライブで観客もやれって言われたらさすがに嫌なんですけど…。昔はアルバムで遊びでやっていたような路線がかなり中心になってきてしまっている印象だが、そうなってくるとバンド以外の音が中心になってくるのでバンド感が自然と後退。シングルの路線とジャケットの浴衣姿からはアコースティックを生かしたしっとり路線を想像するのだが、色々な曲が入っているとはいえロック調はほとんどない。この後も、毎年アルバムのリード曲での悪ノリのようなイケイケ路線は続くし、それが今の王道なのかもしれない。個人的には苦手。

★★★☆☆

Paradiso 

08年発売の30thアルバム。シングル「蛍」「Paradiso」とそのC/W「Te quiero」収録の12曲。シングル「Paradiso」のラテン系のノリをそのまま全面展開したような作風で落ち着いた大人のTUBEを見せた4曲目「蛍」がいきなりポツンと出てくると激しく浮いている。アレンジャー陣は大島こうすけや徳永暁人などビーイング内部だけでなく外部アレンジャーも招いているが、プロダクションマネージャーを元FIELD OF VIEWの新津健二 が手がけていたりも。ベーシストだったはずなんだけどFOV後半にはレコーディング進行も手がけていたらしいのでその縁か?少し前までのイケイケ路線ほどはじけちゃってはいないのでそこそこ聞きやすかったが、「蛍」路線を期待していたので残念といえば残念。全体的にバンドでガツンとした曲よりもパーカッション等を入れたトータル的なサウンド志向になっているのも少し物足りなかった。ラテン系以外の数曲でもバンドサウンドで聞かせるよりももっとゆったり聞かせる感じ になっており、この辺は次回作への伏線か。

DVD付 ★★★☆☆

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