STOP MOTION
92年発売の1stアルバム。シングル「STOP MOTION(album
version)収録の全7曲。T-BOLAN、ZARD、WANDS、MANISHら当時のビーイング1stアルバムはミニアルバムが多かった。 最初から全曲自作(今だったらきっと、あのクレジットにされるだろうが…)。アレンジは葉山たけしが4曲、池田大介と明石昌夫が2曲ずつ手がけている。ジャケットが何故ボクシングスタイルなのかは謎だが、方向性定まらない中でのとりあえずデビューにより、後の方向性と全然違うものになりがちだったビーイングにしては1stにしてブラック寄りの雰囲気をポップスに昇華するようなサウンドスタイルや既に本音ぶっちゃけ系の強い女性的なイメージは出来上がっている。そんな強気で行くよというのを表すのがボクシングスタイルのジャケ写なのかもしれない。出来上がっているとはいえまだ1stなので、後に比べてそんなにいいとも思えないものの、ここから始まった最初の重要な1枚ではあると思う。このアルバムの売上記録は最高58位0.9万枚で、次から一気に売れる。ゆえに今作を知らない人は多いはずだ。ところが、現在の売上レベルもこれと同等にまで下がっている事を考えると…う〜ん。何がそんなにいけなかったのか。
★★☆☆☆
DA・DA・DA
93年発売の2ndアルバム。シングル「DA・KA・RA」「チョット」収録。「DA・KA・RA」がいきなりミリオンヒットとなり、続く「チョット」も大ヒットを記録した中で発売されたものの、最高2位止まりで売上は75万枚とシングル2作を下回っている。当時はシングルが爆発ヒットを飛ばし始めたものの、アルバムが追いつかない時代だったので時代の流れともいえる。この時点で、編曲は全て葉山たけしになっており、世界観は既に1stの段階で出来上がっていたので、さらに地盤がしっかり固まったという以外に特に印象はない。よく出来ているが、後追いで聞いてもシングルとそこから聞いて損のないレベルのアルバム曲が並んでいるものの、特に人気の曲があるわけでもないようだ。それにしてもやけに失恋の歌詞が多い。それで女々しく悲しんでいるのではなく、強がっているのが特徴だが、そういう強気な性格が原因でフラれまくってるんじゃないかという気もする。ていうか「DA・KA・RA」がミリオンヒットしたせいなのか「DA・DA・DA」なんて似た名前のややこしい曲を表題曲にしたのは何故だろうか…。
★★★☆☆
U.Be
Love
93年秋発売の3rdアルバム。7曲入りミニアルバムで、この年はWANDSも春にフルアルバム、秋までにシングル2枚出してそれを収録したミニアルバム、さらに年内にもう1枚シングル…と全く同じリリース方針を取っていた。シングル「別れましょう私から消えましょうあなたから」「Harlem
Night」収録。前者は67万、後者は40万(共に3位)、そして今作は2位で54万と数字的にも地味な存在となっている。内容の方も既に王道は出来上がっているのでそこに乗っかっているが、個人的にこの2シングルはそんなにいいと思わなかったし、アルバム曲もまあ普通。ラストの「BLUE
CHRISTMAS」だけは少し雰囲気が違ってて耳に残ったものの、次回作以降の飛躍を考えると、ここまではやっぱ当時も今になってみても、やや地味な感じなのかな。
★★☆☆☆
永遠の夢に向かって
94年発売の4thアルバム。シングル「あなただけ見つめてる」「白いGradation」「夏が来る」「永遠の夢に向かって」収録。シングルも2度目のミリオンをたたき出し、アルバムでも初の1位158万枚を売上げた大ヒット作。本格的な大ブレイク作ということで、気合が入っており、これまでの作品よりも全体的に勢いがある。
全盛期突入という感じで、この辺からサウンド面でもブラック系のダンスミュージックっぽい要素だけでなく、ロック色も強くなり始めている。栗林誠一郎による曲も2曲収録されているが、いいアクセントになっている。
★★★☆☆
LA.LA.LA
95年発売の5thアルバム。シングル「ら・ら・ら」「いちばん近くにいてね」、C/Wの「恋はメリーゴーラウンド(オリジナル・バージョン)収録。登場週数は前3作を半分以上(前々作のみ10週ほど)大きく下回ったが、累計では前作をわずかに超える162万枚となった。「ら・ら・ら」がシングルでは最大のセールスとなり、この年に出たベスト盤「BACK
BEATs#1」の280万枚セールスでその人気はピークを迎えた。
1曲目から語りっぽかったりウィスパーボイスだったりとまるで将来のGIZAサウンドを予見していたかのようなサウンドで驚くが、2曲目以降は王道のサウンドが展開している。夏発売ということもあり、暑苦しくないサマーアルバムって感じかな。同年ZARDもアルバム1曲目のみ異色楽曲、T-BOLANはアルバムを出さなくなり、WANDSはロックに激変…等いろいろあったので、
そういう(?)流れか
。今作はいい感じの曲は多かったが、全体的には少し面白みに欠ける感じはした。人気ピークの割には…そこまで勢いが凄いわけでもないというか。
★★★☆☆
POWER OF
DREAMS
97年発売の6thアルバム。280万ヒットになったベスト盤『BACK
BEATs#1』を経て、96年はアルバムは無く、2年ぶりのオリジナルとなった。 シングル「あぁ」、「熱くなれ」(album
version)、「アンバランス」、「ゲンキダシテ」、「空」を収録。インストを含む全14曲とボリュームがある。96年アトランタオリンピックNHKテーマ曲となった「熱くなれ」は下がりかけた人気を押し上げる86万ヒットとなり、存在感を示したが結果的にはこれが最後の1位になってしまい、以降は30万台、20万台まで低迷。今作はそれでも
オリジナルアルバムでは最大の176万枚
を記録したが、
最後のミリオン作品
となっている。
「ら・ら・ら」を出した事で少し方向性が変わってきたのか、ブラック寄りのダンスミュージック路線よりも、
爽やかなバンドポップ的な路線の方が増えている。歌詞も恋愛中心だったものが、
前向きな応援歌が増えている。特に個人的には「空」のポップ感と前向きさが好きで、当時は借りはしなかったが印象に残っていた(最後のヒットとしても)。「熱くなれ」が
リミックス風にされてしまったのは残念だが、全体的には
明るくポップな作品でこれまでのものよりも個人的には好きだった。
元気をもらえる1枚
。
★★★★☆
MOTHER
EARTH
98年発売の8thアルバム。シングル「ネッ!〜女、情熱〜」収録。シングル1曲のみ、インスト2曲含む全13曲。
5作連続にして最後の1位獲得作品。シングルの時点でデビュー作除いて初の20万割れまで落としてしまい、今作も71万枚と
前作から100万人が去る失速。
ビーイング時代はこれが最後のオリジナルアルバムとなり、翌年シングル2作リリース後のベスト盤「BEST
OF
BEST」を持って離脱。その後、ビーイング側からは定期的に無許可リリースが相次ぐこととなる。
明るくポップで応援歌が多かった前作から一転して、原点の
ラブソング主流に戻った。というか、
ほぼ全曲ラブソングで前作あれほどあった応援歌がほとんどない。楽曲の方は激しめの打ち込みポップを中心に、はじけた曲などあり、葉山たけしによるサウンドメイクが映えている。一方で
楽曲そのものはけっこう普通であり、全盛期のような煌めきはあまり感じられない。元々アルバム曲でシングルを越えてくるほどの名曲が連発されているタイプではないように感じていたので、シングルが1曲しかないとそれだけでけっこう辛かったのかもしれない。ラストの表題曲はコーラスが「あ〜あ〜あ〜♪」いってるだけのインスト曲だが、
母なる地球を表現した壮大な1曲で感動的。その前の「Go with the
wind」は唯一前作寄りの楽曲だったし、ラストにかけての楽曲は比較的気に入った。ていうかシングル曲の時点で勢いのダウンは明白だったので、ここまで走り続けたことでの
疲労
だったのかもしれない。事実この年からペースが落ちているし、翌年はアルバムを出さずに充電にあてている。その充電期間の間に半ば勝手に移籍しちゃったのがビーイング側を怒らせたっぽい。
★★★☆☆
LIVE
BEST
01年6月発売のライブベスト盤。99年のベスト盤「BEST OF
BEST」を最後に休養に入ったかと思いきや、
ビーイングを離脱しており、01年8月に東芝EMIから復帰。その前の00年に初のライブDVDがリリースされていたが、今作と同時発売でもう1枚。さらに1ヵ月後にもう1枚、復帰シングルを挟んで、さらにもう1枚…と
新作のリリースと並行
してビーイングの嫌がらせというか腹いせのようなリリースが相次いだ混沌とした時期だった。18位2.7万枚と失速。
内容的には
シングル中心のベスト選曲。打ち込みのスタジオ音源が、
大盛り上がりの生演奏ライブ音源になって迫力は増している。ボーカルもパワフルではあるのだが、既にやや厳しくなってきている。恐らく97年〜99年のライブ音源だと思われるが、この時点で、
たまに声がかすれるなど危険な状態にも関わらず、
無理に声を張り上げて高音を連発しているような感じ。キーを下げたり、全く出ていない事はないのだが、どことなく痛々しい感じも漂う。これが本当にベストなライブ音源なのかが疑問だが(状況からして)、有名曲網羅で迫力があるわりには、
ボーカルが痛々しいせいで、あまりいいとは思えなかった。その後、テレビに出ると
通常会話の時点で声がかすれて出ていなかったりしていたし、実際このライブ音源でもサビよりも
キーの低いAメロなので出しにくそうにしている箇所もあった。高音が出なくなるよりももっと
深刻な喉の壊し方
のような…。
★★★☆☆
BACK BEATs #2 Maki Ohguro&Staff
Works
01年10月発売のベスト盤。01年のライブ作品勝手にリリースラッシュ(CDとDVDで合計4連打)の最後に同時にリリースされた。また既に東芝EMI移籍後の第2弾シングル
「雪が降る前に」のリリースと同日にぶつける念の入れようである。形式上は
95年のベスト盤の続編。しかし、どういうわけか前作以降最大のヒット作であった
「熱くなれ」をスルーしたり(」「ゲンキダシテ」「空」「ネッ!〜女、情熱〜」もスルー)、
12曲中7曲目までが前作とまるっきり被っていたりと
選曲が意味不明。「夏が来る」「永遠の夢に向かって」「ら・ら・ら」の3曲は
ライブバージョンで収録してはいるものの、ライブベストは6月に出したばかりでこの3曲も収録されていた。
カバーの「WHITE
CRISTMAS」だけが貴重である
。
レコード会社にとっては
商業目的が強いのが「勝手に出されたベスト盤」である。しかし、今作は商業目的もあくまで手段の1つでしかなく、最もやりたかったのは
嫌がらせという世にも珍しく、かつ露骨な
世紀の珍盤である。何と言っても
「作詞:ビーイングスタッフ・大黒摩季」。ビーイングはこれをやりたかった。
それだけの作品である。サブタイトルに
Staff
Worksと入れたのに始まり、この作詞表記は
裏ジャケ、ブックレット目次で1曲ごとに、歌詞カード本編でも1曲ごとに…と徹底的に何度も何度も記載している。それでいて作曲とアレンジは目次の下に英語で小さくまとめて表記しているだけで、
超サイヤ的に不自然。
どこのおばさん?という感じのジャケ写含めて、
これほど悪意しか感じない作品でこれ以上のものをまだ俺は知らない。その後も、ビーイング側は大黒摩季というのはスタッフ含めて作り上げた作品である点を強調することとなる。この件に関して、
大黒摩季は一切のコメントをしていないため、ビーイング側が一方的に攻撃を加えている印象だ。結果的に今作は23位に終わり、
ベスト盤なのに終わった印象を世間に与え(それでも12月のオリジナル新作は移籍後唯一のトップ10ヒットにはなった)、ビーイング側の
売るよりイメージダウンという目的は達成された。しかし、WANDSの時以上の露骨なやり方にビーイング側のやり方の酷さも改めて認識されるという
双方にとってマイナスにしかならない結末を迎えたのだった。これから7年経過しても「BEST
OF
BEST
1000」で同じ事を繰り返すあの表記+サイダーノーツを見ていると逆に両方がかわいそうに思えてくる。
★☆☆☆☆
HAPPINESS
05年発売の12thアルバム。
シングル「ASAHI〜SHINE&GROOVE〜」、「OVER
TOP」収録の全14曲。70分近い長さになっている。人気はすっかり激減してしまい、28位、2万程度だった。ビーイング離脱1発目にして唯一のトップ10ヒットだったアルバム『O』の後は全く曲さえ知らない状態だったが、何故かこれだけ図書館にあったので、借りてみた。『O』の時点でかなりイマイチだったのだが、元々オリジナルアルバム単位ではそこまで好きな歌手ではなかったこともあって、今作もひたすら長いし、曲にインパクトは感じられないしで、
良さを感じられなかった。葉山たけしもとっくにいなくなり、アレンジャー陣は全く違う人たちなのだが、
作風自体は大きく変わってはいない。テレビでかすれた声で喋っているので喉ももうダメかと思いきや、意外にも
パワフルな歌声にも変化は無い。応援歌的な曲が多い辺りなど、
雰囲気自体はけっこういいのだがとにかく印象が薄い。なまじ全盛期から大きく作風が変わっていないだけに、
全盛期のようなインパクトのある楽曲が全く無く、すっかりピークを過ぎて枯れてしまったような感じを強く感じてしまった。雰囲気自体は激変していないので、
大黒摩季が物凄く好きだったなら、今作も確かな変化と成長を感じられるいい作品なんだと思うけど…売上が激減した大きな理由はビーイングによるイメージダウンではなく、
完全にキレが無くなったからだと個人的には言いきれてしまうと感じた。
★★☆☆☆
weep〜maki ohguro The Best Ballads
Collection〜
06年発売のバラードベスト。デビュー15周年を記念してのものだが、ビーイング時代の大ヒット曲「チョット」「ら・ら・ら」など4曲を
大幅にリメイクして収録している。元々バラードの印象がほとんどない人だったが、正直バラードだとあまり印象には残らなかった。特にメロディーがずば抜けていたビーイング時代の楽曲は例外なくボサノヴァ調のシンプルアコースティックにされており、歌声も全く張らない別人のような声で歌っていたので驚いた。全14曲、正直長かった…。バラードという側面で新たな魅力を発見できる人もいるかもしれないけど、個人的にはあまり良さを感じられなかった。
★★☆☆☆