川本真琴
97年発売の1stアルバム。シングル「愛の才能」、「DNA」とそのC/W「LOVE&LUNA」、そして最大のヒット作「1/2」を収録した全10曲。100万枚を売上げた。「愛の才能」は
岡村靖幸の作曲プロデュースだが、それ以外は全曲本人による作詞作曲、石川鉄男によるアレンジになっている。そのキュートなルックスと歌声、そして
不思議ちゃんキャラで一躍人気を得たのが記憶にあるが、キャラそのままに
楽曲もかなり不思議ちゃん。石川鉄男によるアレンジはアコギを生かしたものが多いが、フォーキーな雰囲気はなく、あくまで
リズム感を強調するために生かされている感じ。そんなサウンドで統一されている(ちなみに当時もアコギをジャカジャカ弾いてる姿が印象的だったが、本人はピアノが得意でギターはこのために猛練習することになったらしい)。個性的なシンガーである岡村の曲がまぎれていても全く浮いていないので、
川本真琴の個性も相当なものがあるのが分かる。何より歌詞が強烈に個性的で、パッと聞くと
超絶な早口歌唱もあってよく分からない。実際に歌詞を読んでみても、かなり
独特の感覚を持っているようだ。それでいてマニアックさをさほど感じさせずにけっこう気持ちいい仕上がりになっている。そうそう簡単には見つけられない
唯一無二の才能であるのは聞けば1発で感じるほどで、ソニーとしてもそこに目をつけたのだろうけど、本人は
メジャーでの活発な音楽活動は全く肌に合わなかったようで、この直後からリリースが極端に鈍ってしまうこととなる。
★★★★☆
gobbledygook
02年発売の2ndアルバム。
3年9ヶ月ぶりという大御所クラスのブランク。1st以降、98年「桜」、99年「ピカピカ」とシングル1枚ずつしか出さず、00年もシングル2枚「微熱」「FRAGILE」、そのどれもが春頃にリリースされるのみ。01年になってまたしても春になってシングル「ギミーシェルター」と今作が同時発売された。「桜」〜「ギミーシェルター」までのシングル5曲とC/W1曲、インスト4曲含む全15曲収録。1stの頃の石川鉄男は「微熱」を最後に去り、今作では安原兵衛を起用した曲が多いが、全体的にはセルフプロデュースだという。なお01年になって突然容姿が大変貌。
金髪ボンバーヘアになっている。
楽曲の方もやりたい放題。かなり実験的な曲が多く、1stの頃のアコギをジャカジャカ弾いて早口で歌っているような印象の曲はほとんどない。インストに続く実質的な1曲目の「ギミーシェルター」ではいきなりエレキギターが派手に鳴り響くロック調だし、ポップなのもあれば、シンプルな打ち込みもあり、かなり実験的なエレクトロニカ系の曲も出てきて、
何でもありのごった煮状態。前作はまだその独特の世界観をあくまでJ-POPヒットナンバーとして昇華させている感があったのだが、今作ではJ-POPヒットナンバーなのは「桜」くらいなもので(「微熱」辺りもまだヒット路線かな?)、もう
売れ線よりも好き放題
である。実際ブランクのせいもあってトップ10にも入れなかった。それも何となく納得である。個人的にはちょっとゴチャゴチャしすぎてて、今作の良さはイマイチ分からなかったけど、好きな人は好きだと思う。
この後10月にシングル「ブロッサム」を1枚出したっきり、
事務所も辞めてしまい、音沙汰がなくなる。06年頃には音楽活動は再開するも
「川本真琴」の芸名を辞める(本名は和代)
と発表。しかし作品リリースはほとんどなく、ライブ活動をちょこちょことやっているくらいのようだ。また、今作も前作もアンティノスレコードからの発売だったが、このレコード会社が無くなってしまったので廃盤となり、現在はエピックから再発されている。
★★★☆☆