Back To The
Street
80年発売の1stアルバム。シングル「アンジェリーナ」とB面「さよならベイブ」 収録の全10曲。日本語ロックの歴史を変えた重要人物ともされている。この人の名前を知ったのは
98年に猿岩石に曲提供していたのと、04年の映画「世界の中心で、愛をさけぶ」に代表曲の「サムデイ」が少しだけ使用されたことがきっかけである。どんなもんなのかとまずはベスト盤を聞いてから、ひとまず古いのから順に聞いていくことにした。80年という時代を考えると、この音楽性が斬新だったのかは体感していないのでよく分からない。ただ現在においてはこういう音は完全に
過去のものになってしまったのは確かだろう。
疾走感のある曲が多いが、個人的には最近こういう古い音にも関心を示し始めたので、けっこう
感触は悪くなかった。
ちなみに92年にリマスタリング再発されており、今回聞いたのは92年盤。以降は05年に紙ジャケ仕様で限定発売されたものもあるようだ。
★★★☆☆
Heart
Beat
81年発売の2ndアルバム。シングル「ガラスのジェネレーション」とB面「イッツ・オールライト」収録。同時発売のシングル「ナイトライフ」とB面「グッド・バイブレーション」も収録された全10曲。前作がわりかし疾走感があったのに対して今作は比較的
落ち着いたポップな楽曲が多く、幅が広くなった感じ。1stに比べると
最後まで飽きない。既に俺が10代でないせいもあるかもしれないけど
「10代の共感」というのが佐野元春の代名詞のように言われている割にはそこまでそういう雰囲気を感じない。並んでいるのは
ラブソングが多く、フレーズでは確かに「ガラスのジェネレーション」の一節
「つまらない大人にはなりたくない」というものもあるんだけど、こういったフレーズが連発されているわけではないのでもっと普遍的なものであるっぽい。今だといわゆる大人への反抗や悩みや葛藤が前面に出たのが「10代の共感」として認識されているが当時はまだそこまでではなかったからかもしれない。
1st同様に92年にリマスタリング再発、05年に紙ジャケ再発されているようだ。今回聞いたのは図書館の登録だと92年になっているのだが、1stと違ってリマスタリングクレジットが無かった。また1ページ丸々使って新商品であるコンパクトディスクの解説が記載されているなど、92年にしてはもう少し古臭い盤だった。
★★★☆☆
Someday
82年発売の3rdアルバム。シングル「サムデイ」、「ダウンタウン・ボーイ」、「シュガータイム」収録。「ハッピーマン」も後にシングルカットされた。代表曲として最も有名な「サムデイ」だが、実は
シングルでのチャートイン記録は無い。このアルバムのほうが、いきなりトップ10に入ってブレイクした。02年にはコレクターズエディションとして発売されるなど、人気も高い作品だが、確かに内容は良い。前2作と比べてるとやはり一気に飛躍した感じ。ロックとは言っているが、印象はけっこうポップでもあるし、時代も感じるんだけど、当時としては新しかったのだろう。
02年に発売された今作をリマスタリング、未発表音源を加えて再編集したコレクターズエディションは是非聞いてみたかったのだが、限定生産で既に中古価格が跳ね上がってしまっているのが残念だ。
★★★★☆
No Damage
14のありふれたチャイム達
83年発売の1st企画ベスト。ライナーにはトップ10ヒットがまだ出ていないので
グレイテスト・ヒッツではないという本人のインタビューも載っているが、ここまでの3枚のアルバムと「ナイアガラトライアングル
Vol.2」からの選抜とシングル曲による全14曲。一部の楽曲には編集が加えられている。前作で初めてヒットを飛ばしたものの、本人はNYへ渡り新たな方向性を模索していた最中、
初の1位を獲得した。LP、CT合わせて
37万枚ほど売れた記録が残っているが、大ヒットの無い佐野元春にとってはこれが
最高売上
である。
初期3枚のアルバムはどれを聞いてもいい作品ではあるが、
1枚でまとめていきたいならこれ!
といった感じ。ベスト盤は色々出ているので今更これを選ぶ必要も無い気もするが、魅力は十分に伝わる1枚だった。
92年にCD再発、05年に紙ジャケ再発されているが現在はどちらも廃盤のようだ。
★★★★☆
VISITORS
84年発売の4thアルバム。全8曲入りと曲数はやや少ない。先行シングルの後に3作シングルカットされたため、最終的にこのアルバムから
8曲全部がシングルA面、B面で発売されている。
前作に続いて1位を獲得し、前作に続く2番目のヒットとなり、オリジナルとしては最高売上を記録している。
NYに渡り、NYの音楽を吸収してNYで制作されたということでいきなり
ラップを取り入れたりと全体的な作風はこれまでと違ってかなり斬新な感じである。当時としてはまさに
衝撃的なまでに最先端だったと思われるが、今となってみると古いというかなんでもなくなってしまった部分も当然ある。だがそれも含めて1周したというか、個人的には
新鮮な衝撃を感じた 。
今作も「Someday」同様に04年になって20th Anniversary
Editionとしてパワーアップして再発されている。いずれそっちの方も聞いてみたい。
★★★★☆
Cafe
Bohemia
86年発売の5thアルバム。シングル「ヤングブラッズ」「ストレンジ・デイズ」「シーズン・イン・ザ・サン-夏草の誘い」「ワイルド・ハーツ」収録。バックバンドを「ザ・ハートランド」として固定し、写真付でクレジットされるようになった最初のアルバム。今回はロンドンでミックスが行われている。
少しずつ雰囲気が変わってきているのかなという印象は受けたが前作ほどの衝撃もなく、パッと聞いた感じではあまり大きな印象には残らなかった。もっとじっくり聞けば何か見えたかもしれないが…。
今作も前2作同様に20周年記念で06年に追加収録やDVD付の豪華仕様で復刻されておりとして
「The
Essential Cafe
Bohemia」として発売されている。が、例によって限定発売だったため現在は入手困難である。
★★★☆☆
HEARTLAND
88年発売のライブアルバム。佐野元春 with THE
HEATLANDという名義になっており、バックバンド含めて一体となった固定バンドとしてしばらく活動していた。87年9月の横浜スタジアムでのライブの模様を中心に収録している。選曲はベスト的なものとなっており、どの曲もスタジオバージョンよりもパワフルに歌われている。
演奏も歌声もパワフルではあるのだがガなり気味に音程を外して歌っていたり、ライブ感のある演奏ながらも観客の歓声が小さめでそういった面も含めたライブならではの臨場感がやや薄かったり(残響が少ないのかな?)と個人的にはそこまでいいとは思えなかった。期待していた「サムデイ」が特に歌い方が雑になっていたりテンポが少し速くされていたりでちょっと違う気がしてしまった。ただ「ガラスのジェネレーション」や「アンジェリーナ」は曲調からしてもそういったライブの雰囲気にあっていて改めていいなと感じた。
★★★☆☆
ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
89年発売の6thアルバム。90年代に入ってドラマ主題歌に起用されてリバイバルヒットした「約束の橋」のオリジナルバージョンを収録した全13曲。
公式ページでは中期の傑作と称されているが確かに、ここ何作かに比べるといい感じに聞けたアルバムだった。「約束の橋」は当時はあまりヒットしなかったようだが、90年代に入ってトップ10ヒットになっているなど「サムデイ」に続く代表曲だけあってポップで聞きやすい。
今作もまた08年に特別限定版として、未発表デモ音源集やライブDVDのついたスペシャルエディションで再発されている。
★★★★☆