T-BOLAN 30周年シングル回顧+ 1991-1999,2017-2020
90年代前半を駆け抜けたロックバンドT-BOLAN。メンバーは森友嵐士(Vocal)、五味孝氏(Guitar)、上野博文(Bass)、青木和義(Drums)の4人。定まらないデビューの多かったビーイングの中では最初から最後まで固定メンバーだった。最初は森友と青木で1987年にプリズナーとして結成されBOLANに改名後にインディーズでシングルレコードをリリース、年間100本以上のライブを行うなどメジャーデビューに向けて順調かに思われたが空中分解して解散。T-BOLANのヒストリー映像で当時の資料が映し出される際にはバンド名が「BOLAN」のものと「Tear BOLAN」と書かれたものが混在しているのを確認できる。『BEST OF BEST 1000』のライナーではTear BOLANとしてレコードを出した事になっているが、近年の公式サイトではBOLANでデビューして30周年としている。
その後、五味、上野と出会った森友は青木を呼び出して再度バンド結成を持ち掛けて4人が揃いT-BOLANとして91年にメジャーデビュー。当初は学研が関与していたROCKIT RECORDSに所属していた。学研は同時期にCBSソニーから織田哲郎が移動した新鋭レコード会社PLATZを手掛けていてビーイングと縁が深かったようだ。自社でのレーベル運営を本格的に開始して92年末にZAIN RECORDSが稼働すると同時にシングル「Bye For Now」より移籍。「Bye For Now」はb.jinの品番で、93年になってから正式にZAINになったため、93年に「Bye For Now」以前のCDは全てZAINの品番(ZADL、ZACL)で再発されており、各作品品番が違う2種ずつが存在する。
デビュー以降、半年に1枚のペースでオリジナルアルバムをリリースする怒涛の勢いで活動を展開。91~93年の3年間でシングル10枚、アルバム5枚、ミニアルバム1枚、ツアー5本(94年にまたがる)を行うが、94年になるとリリースペースが鈍化。アルバムはミニアルバム1枚のみに留まり、オリジナルアルバムを出さないままに(制作中だったとは言っている)6本目のツアーを94~95年にかけて決行。このツアー中に森友の疲弊がピークに達して最終日は1度中止が決定するも無理やり決行。これを機にシングルのみの発売が間隔を開けてポツポツリリースされるに留まり、96年に活動が止まってしまう。
98年~99年にかけての突如のリミックス展開を経て99年末に解散を発表。当時は正確な理由が明かされなかった。後に森友の声の不調は心因性発声障害だったと明かされており、当初休めば治ると思っていたが一向に良くならずに様々な医者を渡り歩いてようやく下された診断が心因性発声障害、原因は不明、治療方法も無いとのことで解散を決定したとしている。
森友は01年にはラジオ番組で復帰。05年には新曲を作ってOAするなどしていた。06年にボクシングの亀田三兄弟ブームの中で一家揃ってT-BOLANファンだった事と亀田大毅が当時行っていた勝利後のカラオケパフォーマンスで「Heart Of Gold」を熱唱した際に森友が招待されていた事から亀田家との交流が深まり、後にオリジナル曲も提供。この縁で同年8月には兄の亀田興毅の試合前の国歌斉唱を森友が担当。95年の例のライブ以来のステージ歌唱となった。TV中継もされていたが、あまりに独特でクセの強い「君が代」だったため視聴者がざわつく事態となった。
復活が近いのではないかという期待が高まるもさらに数年を要したが09年11月に日テレの『ベストヒット歌謡祭』に出演して五味がギターとしても参加、「離したくはない」とソロ曲「キズナ」を披露した。この頃から”声を失っていた”ドキュメントエピソードがTVでも紹介されるようになり、2010年2月にトイズファクトリーからソロデビュー。96年以来の新作発売で本格復活となった。
2010~2011年にかけてシングル2枚、アルバム1枚をリリース後、2012年にBEING LEGENDツアーでT-BOLANを再結成すると発表。このツアー内にて「来年単独ツアーをします」と宣言するが、2013年は何も行われずに終わってしまい。2014年に『T-BOLAN THE MOVIE~あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた~』を公開。置き去りにしてしまったT-BOLANへの思いをメンバーが回想しながら、復活ライブを行う決意を追った内容だったが…。
実際には当時できなかったラストライブをちゃんとやりたいという意味合いが強かったようで大阪、東京で2014年3月に行われたライブのうち大阪(95年の最後になってしまった会場と同じ場所)で活動休止を発表。改めて4月に追加公演を行いこれで活動休止してしまった。
2015年に上野がくも膜下出血で倒れ、長く意識不明の状態が続き、奇跡的に回復するも高次機能障害が残った。当時は公表されていなかったが上野の音楽への強い思いとリハビリのために2016年末に一夜限りのライブを行うとして公表された。このライブ中に2017年の本格復活を宣言し、2017年以降は正式に活動を再開した。
再開後はベスト盤に新曲、DVDシングル、ライブDVD特典CD(単独では配信シングル)などいずれも変則的な形で3曲+リメイク1曲しか発表されていない。また上野のライブ参加は部分的なもので、多くの曲ではサポートベースを入れて演奏している。さらに2020年には青木が持病のため新コロ重症化の可能性があると医者に言われたとの理由でツアー不参加、ドラムは完全サポートとなり、2021年には実家の家業専念のため休止するとして完全に抜けてしまったので、現在のライブでは基本的に森友と五味とサポートベース、サポートドラマーの演奏、曲によって上野が参加する状態となっている模様。
また2021年にはタイアップによる新曲やライブでの新曲披露、さらに公式にアルバム制作中として新曲のコーラス募集を行うなどしており、30周年を経て復活後初のアルバム発売が示唆され、2022年に『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』が発売された。コーラス募集の仕方が倉木麻衣と全く同じなんだけどB社のスタッフがこのやり方気に入ったのだろうか。
T-BOLANに関しては96年後半にJ-POPをようやく聞き始めたため、T-BOLANの存在は全く知らなかった。T-BOLANも一応CM、ドラマタイアップは多かったが、テレ朝系のドラマタイアップばかりでヒットドラマは無く、ポカリのCMのようなビッグタイアップも無く、「スラムダンク」「ドラゴンボールGT」「地獄先生ぬ~べ~」などビーイングが主題歌を担当していたアニメタイアップは1つもやっていなかった。基本的に96,7年頃までのビーイング系はそうと知らずにこれらタイアップの曲として聞いていてこの記憶をきっかけに90年代末期~00年にかけて、ビーイングという存在を知り、ZARD、DEEN、FIELD OF VIEW、大黒摩季、ZYYG、BAADなどの曲を集めていった中でリアルタイムで接点が無かったT-BOLANはビーイングという括りを知る過程でようやく存在を知って当時最新だった『FINAL BEST』をざっと聞いたのみ。当時の思い入れが全く無い分、まっさらな00年当時の感覚で聞いたため、全体的に音が古いという印象が強く、当時から聞いていればかかったであろう思い出補正がかからず、最初は他に比べると正直馴染めなかった。そこからシングル曲全てを把握するにはかなり長い年月がかかったが、『at the BEING studio』『BEST OF BEST 1000』シリーズの発売などもあり、わりと鮮度を失わずに聞き続け、徐々に楽曲を把握。やがてアルバムコンプリート、C/W回収のために8センチシングルコンプリート(ただしアルバム未収録の無いシングル盤はスルー)していった。ついに全曲揃った2014年、まさかの『T-BOLAN THE COMPLETE』発売…。
2022.7 全曲ST配信を受けて微修正
2023.9 新ベスト発売を受けて微修正
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1st 悲しみが痛いよ
91年7月10日
前身バンドの解散から紆余曲折を経て再度合流した森友と青木に五味、上野が加わってT-BOLANとなってのメジャーデビューシングル。
初登場46位から50~100位の間をウロチョロとランクインし続けて1度100位圏外に落ちたものの結局12月1週目まで17週ランクインした後に年明け2月にもう1回ランクインして100位以内18週ランクイン。累計も8万枚を越えまずまずのヒットを記録した。また46位は11月になって再度上昇した際にも2週連続で記録したため、最高46位を3回も記録している。
ジャケットがホラー。
悲しみが痛いよ
作詞作曲:川島だりあ、編曲:西田昌史
テレビ朝日系ドラマ『代表取締役刑事』エンディング。
西田魔阿思惟と表記される事もあるがEARTHSHAKERの西田昌史であり、後のアルバム収録時は普通に西田昌史かMARCY NISHIDA、もしくは編曲無表記になっている事も多い。当初から自作曲で活動していたがデビュー作は提供曲になってしまいメンバー関与は無し。ただ既にイメージは出来上がっていて、自作曲とも大きな違いは感じない。長戸大幸がイメージした不良が憧れるロックバンドというコンセプトに忠実だが、歌詞の内容はブレッド&バターの「あの頃のまま」のような世界観を思いっきりやさぐれさせたような感じで、久々に会った友人がすっかり社会人になって落ち着いてしまった事を憂う内容。“あの日の少年はもう見つけられず 大人という死体を見ていた”とあらゆる角度で容赦ない表現が強烈。あの日の少年の面影も感じないほど変貌している上に、大人という死体である。2番では”夢見る事もない死体達は狂気なニュース生産してる”とさらに容赦ない。1番で大人=死体と表現したので2番ではもうナチュラルに死体呼びである。悲しみが痛いよ、本当に…。怖いジャケ写ももしかしたら大人という死体を視覚的に表現したらゾンビ風になってホラーになったのかもしれない。
打ち込みビートが炸裂しまくり全くバンド感のないギラギラサウンドが炸裂する1stアルバムにおいては比較的ギラギラ感は抑えめではあるがそれでも一昔前のロック感はある。これは99年に『FINAL BEST』で初めて聞いた時点でもう古臭いロックだなと感じたのでかなり早い段階で廃れた80年代末期~90年代初頭にかけてのトレンド的な作風だったと思われる。
『夏の終わりにⅡ』のAcoustic Versionは古さが払しょくされた普遍的なアコースティックバンドサウンドになっていて聞きやすい。ただ尖っていた雰囲気もだいぶ優しくなった感もあり、これを歌詞の強烈さを中和してバランスが良くなったと見るか、徹底して冷たい感じの原曲がいいと見るかは難しいところ。『1999 REMIXES』での「悲しみが痛いよ’99」もそんなに大きくイメージを変えていないのでけっこう違和感なく聞ける。
★★★★☆
1stアルバム『T-BOLAN』
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』(Acoustic Version)
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
コンピ盤『vocal compilation 90’s hits Vol.1~male~ at the BEING studio』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W Hold On My Beat
作詞作曲:森友嵐士
C/Wでは自作曲。ガッツリ歌い上げる系でド派手にギターが鳴り響くブルージーでかなり重たい印象の曲。明らかに初期の楽曲の中ではサウンドの方向性が違っているが、こっちの方がロックバンドっぽくて自然。1stアルバムのギラギラした打ち込みロック路線とは一線を画しているんだけどなんで既にこういう作風でやっていたのに1stアルバムがあんな事に…。1stアルバムは1度完成させたものをこれは違うとメンバーの意志で破棄してもう1回作り直したと後に語られているが作り直してどうしてあんな打ち込みビート全開になってしまったのか謎過ぎる。
『SINGLES』に何故かシークレットトラックとしてアルバム初収録(配信版ではカット)。「愛のために 愛の中で」と繋がって収録されている上に5分近くの無音を経ないと聞けないのでこの曲だけかいつまんで聞くにはかなり不便だった。その後、節目のベスト盤『FINAL BEST』『LEGENDS』と2度もベスト盤に選曲されて普通に聞けるようになった。C/Wの中では扱いがいい。
★★★★☆
1stベスト『SINGLES』(CDのみシークレットトラック)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
6thベスト『LEGENDS』
2nd 離したくはない
91年12月18日
1stアルバム『T-BOLAN』からの1ヶ月でのシングルカット。C/Wは新曲だがオリジナルアルバムにも収録され、次のアルバム『BABY BLUE』に収録された。シングルカットだったのもあって初登場74位だったがそのままじわじわとチャートを上昇していき、69位→46位→30位来て2月になると25~23位に連続ランクイン、3月になって最高15位を記録した。その後も11月まで延々ランクインし続け、年明けにも3週浮上、最終的に100位以内に52週と丸1年ランクインしていたことになり、47万枚の大ヒットを記録。
またタイアップ先のドラマのサントラ『HOTEL WOMAN Original Soundtrack』は1stアルバムと同時発売で同時収録されていた。まだシングルが出ていないので歌詞はオリジナルバージョンだがギターソロが違うというここでしか聞けないバージョン。
現在では今作より売れたシングルが多数あるもののロングヒットでは圧倒的に今作であり、最大の代表曲として扱われている。
離したくはない
作詞作曲:森友嵐士、編曲:西田昌史
テレビ朝日系’92 パリ・ルカップエンディングテーマ、関西・フジ系ドラマ『ホテルウーマン』挿入歌。
シングルカットに際して1番Bメロの歌詞のみ丸々変更。オリジナルでは苛立ちの感情を歌っていたが、シングルバージョンでは信じることに賭けてみるという前向きな気持ちに変更されているのでだいぶ歌詞の印象が変わっている。現役時代のライブではオリジナルで歌われていたようだが、以後のリメイク、ベスト盤収録は全て変更後のシングルバージョンの歌詞での収録となっている。『オレのバラッド』で森友がソロでセルフカバーした際は初めてオリジナルの方の歌詞で再録音されていたが、T-BOLAN復活後のライブではシングルバージョンの歌詞で歌っていた。ゴールデンボンバー鬼龍院翔とのmorioniでセルフカバーした際もシングルバージョンの歌詞。という事で『HOTEL WOMAN Original Soundtrack』(ギターソロ違う)、『T-BOLAN』(オリジナル)、『オレのバラッド』(ソロセルフカバー)ではオリジナルの歌詞で収録されている。
T-BOLAN=バラードのイメージを決定づけた初期の名バラード。ピアノのイントロから印象的だが、多少音の響きが古臭くともスタンダード性が高いメロディーで色褪せない名曲だと思う。当時から代表曲ではあったが、すっかりT-BOLANが過去のバンドになっていた03年にGacktが年末の特番で思い出の曲として寒空の下でカバー。07年にミリオン目前の大ヒットとなったコンピ盤『R35』に収録され、09年に森友が本格復帰して日テレの音楽番組に出演した際に披露されるなど、解散後もピックアップされる機会が多く、特に『R35』収録での再評価と森友復活後の扱いによって、最大知名度を誇る代表曲としての地位が確定した感がある。
シングルが大ヒットしたのでもう1回収録したかったのか2ndアルバム『BABY BLUE』では早くもアコースティックバージョンとしてリメイク。エレキギターを使用せずギターはアコースティックギターに変更。イントロから歌いだしは原曲と同じピアノ+ボーカルなので違いが分からないが、すぐにアコースティックギターが入る、しかし1番の間はドラムが入らない、2番から徐々にドラムが入り始めて2番サビで本格的にバンドサウンドになり、1番Bメロでジャジャーンと一気にエレキギター、ベース、ドラムが入ってくる原曲よりバンドサウンドになるのが遅い、ドラムの音色は原曲よりもナチュラル…等色々と違いがある。『夏の終わりに』シリーズでもっとじっくり制作していたらもう少し大きく変えていたのかもしれないが、『夏の終わりに』シリーズへのヒントにはなっていそうな方向性ではある。このバージョンは『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』にもしれっと選曲され、Acoustic Version表記で収録された。
『BALLADS』収録のOut Take 1992.3.2は最後までピアノ+ボーカルだけのシンプルなバージョン。アウトテイクだけあってやや本調子ではない感じもする。配信では未発表Versionという名称になった挙句に普通にバンドサウンドのシングルバージョンに差し替えられているため、『BALLADS』CDでしか聞けない音源となっている。
『オレのバラッド』ではソロでセルフカバー。キーを下げてややクセが強くなっている。morioniでのゴールデンボンバー鬼龍院翔とのデュエットやDAIGOによるカバーでゲストボーカルとして参加するといったデュエットでの参加バージョンも2つある。いずれもだいぶ声が変わっているが、morioniの時は余裕があって比較的歌い方はストレート、DAIGOの時は今の声ではやや無理があったのか高音部の声が張れてない感じになっていたりする。
CD化されていないがシネマバージョンという五味のエレキギターと森友のボーカルのみの別アレンジも存在し、『あの頃、みんなT-BOLANを聴いていた T-BOLAN THE MOVIE』で使用された後に、活動休止を発表したライブでもオリジナルと別にこのバージョンでも演奏してDVD『LIVE HEAVEN 2014 Back to the last live!!』で映像化はされている。原曲だとメインのピアノがメンバーにいないので、特に再結成以降のライブではピアノのサポートも入れずに同期で流していてこの曲の序盤なんかピアノしかないのでメンバー棒立ちでどこからともなく聞こえるピアノをバックに森友が歌うという味気なさだった。このバージョンでは五味のエレキギターを伴奏にしているので生演奏とロックっぽさもあってカッコよかった。
★★★★★
1stアルバム『T-BOLAN』
サントラ盤『HOTEL WOMAN Original Soundtrack』(ギターソロだけ違う)
2ndアルバム『BABY BLUE』(アコースティックバージョン)
1stベスト『SINGLES』(シングルバージョン)
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』(Out Take 1992.3.2)/未配信
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』(シングルバージョン)
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』(シングルバージョン)
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』(シングルバージョン)
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』(シングルバージョン)
6thベスト『LEGENDS』(シングルバージョン)
森友嵐士ソロ1stアルバム『オレのバラッド』(セルフカバー)
morioniシングル『サヨナラは歩き出す』C/W(森友とゴールデンボンバー鬼龍院翔のデュエットカバー)
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)(『BABY BLUE』Ver.)
DAIGOカバーアルバム『Deing』(Guest Vocal 森友嵐士(T-BOLAN))
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W Heart Of Gold
作詞:森友嵐士、作曲:川島だりあ、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
前向きな夢追い系の代表的バラード。『FINAL BEST』の最後にライブ音源で収録されたこともあり、T-BOLANを締めくくるラストバラード的な印象もあるんだけど発表自体は初期である。『complete of T-BOLAN at the BEING studio』にもライブ音源で収録されていたのですっかりライブバージョンでの熱い演奏が個人的にスタンダードになってしまったが、原曲はかなり機械的な固い感じのサウンドになっていて、ライブ音源を先に聞いてしまうとちょっと聞けたものではないし、たぶん先に聞いていてもライブ音源の方がいいと思っていたかもしれない。ド頭のアーリー90’s明石サウンドなフィフィフィフィン!フィン!フィン!からしてちょっと苦笑いだし、やたらスパーンスパーンと大げさに響くドラムやキラキラキーボードなどアーリー90’sの宝箱のようである。
Acoustic Versionは生音主体で普遍性が高い。ピアノとアコースティックギターを軸にしていてしっとり落ち着いているが、2番サビでようやくドラムが入ってからはそれなりに盛り上がる。
「Heart of Gold 1996」については15thシングルで触れるが、スタジオ音源ではこれがダントツで良い。
『1999 REMIXES』での「Heart Of Gold’99」は原曲よりもAcoustic Versionをさらにそぎ落としたようなピアノと乾いたリズム主体さっぱりした仕上がり。
ボクシングの亀田三兄弟ブームが最高潮だった時期に亀田大毅は勝利後そのままリングでカラオケするというパフォーマンスをしていたが、この一家自体が父親の影響と思われるがT-BOLANのファンで、”夢と勇気があればそれでいい”と前向きに明日を信じる歌詞も世界チャンピオンを目指していた亀田家との親和性が高かったため、この曲をカラオケで熱唱する姿もお茶の間でTV放送された。けっこうな視聴率だったりもしたので、亀田大毅カラオケバージョンで初めて聞いた人も多かったのでは。森友も積極的に交流を深めてこの後にはなんとオリジナル曲まで提供していたが、その後の例の内藤大助戦を経て崩壊寸前だった亀田家への世間の評価はバッシング一辺倒へと完全に転落した。
Live at LOOZとLive version 5th Tour“LOOZ” 94.3.18中野サンプラザが同一のライブ音源なのか、同じツアーの別音源なのかは良く分からない。Live at LOOZでは冒頭に森友が「また会おうな!」と言うMCも収録されているが、Live version 5th Tour“LOOZ” 94.3.18中野サンプラザにはそれはない。ただそれ以外は同じに聞こえる。
Live at LOOZのカラオケバージョンは『FINAL BEST』初回盤のカラオケCDで聞く事ができるが、ライブ音源のカラオケを無理やり作ったため、メインボーカルが小さくなっただけで思いっきり聞こえたままの謎なカラオケ音源となっている。律儀にカラオケ作らなくても良かったのに…。
『complete of T-BOLAN at the BEING studio』のライナーではシングルとアルバムでヴァージョンが違っていてライブでは『BABY BLUE』ヴァージョンで披露されていたなどと頓珍漢な事が書いてあるが、C/Wと『BABY BLUE』はどう聞いても同じアレンジである。『夏の終わりに』のAcoustic Versionと間違えた可能性もあるが、シングルとアルバムでヴァージョンが違うというのは合っているとすれば15thシングル両A面曲「Heart of Gold 1996」と間違えた可能性が高い。当時素直に信じてシングル盤を探して来たもののあれ?となり、気づかないミックス違いでもあるのかと思ったが、正直あのライナーの取材内容には間違いが散見されるしそんな細かい違いを把握しているわけもなかった。
★★★★☆
2ndアルバム『BABY BLUE』
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』(Acoustic Version)
15thシングル両A面曲(Heart of Gold 1996)
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』(Live at LOOZ)
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』(Live version 5th Tour“LOOZ” 94.3.18中野サンプラザ)
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』(Heart of Gold 1996)
3rd JUST ILLUSION
92年2月26日
「離したくはない」が最も上位に浮上していたタイミングでリリースされた。このため初登場22位のすぐ下23位に「離したくはない」がランクインしていて、今作も23位→23位と粘ったものの2週目にはもう「離したくはない」の方が上位にランクインしていて、差は開く一方で完全に埋もれたシングルになってしまった。それでも100位以内12週ランクイン、10万枚に迫るヒットを記録。
「JUST ILLUSION」は何故かベスト盤に収録されないという状態がずっと続き、2023年に全シングル収録を掲げた8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』でようやくベスト初収録を果たした。『BEST OF BEST 1000』辺りまでは単に選曲されないだけかと思われたが『LEGENDS』ではリミックスシングルと両A面2曲目除くと今作だけ飛ばされるという露骨な事態となったことから、収録しない理由が存在したと思われる。作詞が高樹沙耶というくらいしか今作だけの特徴はないが…。
JUST ILLUSION
作詞:高樹沙耶、作曲:織田哲郎、編曲:明石昌夫
テレビ朝日系木曜ドラマ『真夜中は別の顔』挿入歌。1stアルバムを引きずったようなギラギラ感漂うロックナンバー。アーリー90’s明石なフィンフィンシンセがこれでもかと炸裂しまくり、昭和感漂うエレキギターが鳴り響き…と初めて聞いた時にあまりの古臭さになんだこの平成なのに圧倒的な昭和感…とかなり驚いた。冬発売なのにサビが夏には~夏の~♪とか歌ってて季節も真逆だし…。
高樹沙耶が作詞しているのがベスト絶対未収録の原因なのかは不明だが、クリップ集では別に飛ばされていない。DVD『T-BOLAN BEST LIVE&CLIPS』で聞いた方が当時のシングル、アルバムよりは音がいい。また『T-BOLAN THE COMPLETE』では『BABY BLUE』がリマスター収録された事で初めてリマスターされ(現在入手不可)、2023年に『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』が出るまではそれしかリマスター音源が無かった。音圧ショボショボの音源しかなかったので音圧マシマシになると…それでもやはり古いが独特の味わいになった。
★★★☆☆
2ndアルバム『BABY BLUE』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W Teenage Blue
作詞作曲:森友嵐士、編曲:明石昌夫
ひたすらに熱い熱唱バラード。早くも王道を完成させたようなど真ん中なバラードだが、この手の曲を歌わせた時の森友ボーカルの熱さは一級品で、早くから熱いバラードが多かったのも納得。
Acoustic Versionはピアノとアコースティックギターに素朴なハーモニカを交えたシンプルなサウンドでリズムは入っていないが、さらっとしていて聞きやすい。現役時代は『夏の終わりに』でのAcoustic Versionしかアルバム収録されていなかったが、原曲はBOX以外では『LEGENDS』に収録された。久々に原曲を聞いたらちょっとくどい気もした。
★★★☆☆
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』(Acoustic Version)
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
あふれでる感情
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
『BABY BLUE』の1曲目。文字通りにあふれ出るように抑えた序盤から盛り上がっていく曲構成。1曲目だけあってシングルと遜色ない勢いのあふれ出た1曲だと思うんだけど、序盤のタム回しの音色が時代性を帯びていて後追いで聞くと間抜けな音が乱打されているようにも聞こえてしまい若干脱臼気味。葉山たけしによるこの序盤テッテッテットットットッなアレンジは後にWANDS「MILLION MILES AWAY」やFIELD OF VIEW「君がいたから」でよりブラッシュアップされて導入されているが今作は試作型にも思える。
『夏の終わりに』のAcoustic Versionはよりじっくりメロディーを聞かせる仕上がり。また『T-BOLAN BEST LIVE&CLIPS』でのライブ映像では生演奏による原曲の完成形を聞く事ができる。基本的にライブ音源の方が全部いいんだけど、今作は特にそう思う曲の1つ。
★★★☆☆
2ndアルバム『BABY BLUE』
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』(Acoustic Version)
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
4th サヨナラから始めよう
92年5月27日
2ndアルバム『BABY BLUE』から1ヶ月程度で早くも発売された。『BABY BLUE』は初登場4位を記録してヒットしていたがシングルではまだトップ10に届かず初登場13位。そこから6週もトップ20入りして100位以内20週ランクインのロングヒットで20万枚を突破した。
表題が織田哲郎、C/Wは五味孝が作曲しているため森友嵐士が作曲に関与していない唯一のシングル(再結成後除く)となった。
サヨナラから始めよう
作詞:森友嵐士、作曲:織田哲郎、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
テレビ朝日系「トゥナイト」エンディングテーマ。2作連続の織田曲。T-BOLANにおいては他のビーイング系の織田哲郎提供曲のような爽やかさがあまり感じられない曲ばかりだったが今作はかなり爽やかなメロディー。逆にT-BOLANっぽくないところもあり、織田哲郎の曲が代表ヒットになりがちなビーイング系の中でもT-BOLANは特に織田哲郎だから突出してヒットしたり代表作になることは無かった。それだけ個性が強かったのもあるのかも。織田哲郎がT-BOLANに提供した曲で後にセルフカバーしたのも今作だけで、最も“ビーイングの織田哲郎”っぽい曲でもあり、さすがの良曲といった印象。
原曲が『SO BAD』に収録されるより前に『夏の終わりに』でAcoustic Versionが制作されて先にアルバム収録された。
★★★☆☆
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』(Acoustic Version)
3rdアルバム『SO BAD』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』(Acoustic Version)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
コンピ盤『vocal compilation 90’s hits Vol.1~male~ at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
サヨナラから始めよう
T-BOLAN
C/W 心のかたち
作詞:森友嵐士、作曲:五味孝氏、編曲:葉山たけし
1st、2ndアルバムで1曲ずつ作曲していたギター五味による作曲。シンセとブルージーなーエレキギターによる寂しげなイントロが昭和歌謡みたいにも聞こえるかなり渋めのバラードナンバー。サビになるとわりかし王道っぽいバラードになるが全体的に漂うブルージーさには五味のカラーが強めに出ている印象も。
★★★☆☆
アルバム未収録
遠い恋のリフレイン
92年9月22日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN&葉山たけし
『夏の終わりに』収録の2曲の新曲のうちの1曲。表題曲「夏の終わりに」によりも今作の方が代表曲的な存在へと成長しており、『BALLADS』では1曲目に収録され、『LEGENDS』に収録された5ヵ月後にはコブクロが『ALL COVERS BEST』でカバーした事でも注目を集めた。シングル曲ではなかったのでコブクロのカバーで初めて知ってこの曲を入口にしてT-BOLANを聞いてみたなんて新規リスナーもそこそこいるんじゃないだろうか。
王道的なバラードだがアコースティックサウンドで生音重視でアレンジされているためこの時期の他の曲に比べてもサウンドの普遍性が高く、さほど古さを感じない。コブクロがカバーするとなるとそれこそ夢追い系のバラードなんか選びそうだけど絶妙な選曲をしたなと思う。
★★★★☆
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
夏の終わりに
92年9月22日
作詞:森友嵐士、作曲:五味孝氏、編曲:T-BOLAN&葉山たけし
『夏の終わりに』表題曲。忘れらない恋を歌う静かな夏の終わりといった感じでリフレインされる“アイツに今でも会いたい 誰にこの思いをつげよう”が派手さは無いものの切なくて印象的。いわゆる王道的な熱い歌い上げるバラードではなく、抑えめでしっとりしているので地味と言えば地味。シリーズの表題曲なのに1度もベスト盤に選出されずに埋もれてしまったが、シリーズ全曲が機械的に収録されて再度タイトル作となった『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』でもやはりそんなに目立ってなかった。隠れ名作的な立ち位置の1曲。
★★★★☆
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
5th じれったい愛
92年9月22日
1stアコースティックアルバム『夏の終わりに~Acoustic Version~』と同時発売。シングルアルバム共に初登場2位を記録し、共に最高位を更新した。シングルとしては初のトップ10入りとなり、今作以降はヒット連発となっていく。2週目も3位でトップ10には5週ランクイン、70万枚に迫る大ヒットを記録した。
じれったい愛
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
ロッテ「エクストリアチョコレート」CMソング。バラードかギラギラロックが続いて織田哲郎作曲の前作の爽やかさはちょっと合わない…とややブレのあったシングル表題曲において何かを掴んだかのような1曲。キャッチーなロックナンバーで、ポップとロックのさじ加減が絶妙。”じれったい”に引っかけての“うざったい”という言い回しが不良っぽいというかロックな感じもある。この当時はウザいという言葉が一般的ではなく、今作のヒットで全国的に浸透したという逸話もあり、Mステ出演時にタモリがうざったいという表現は珍しいねとコメントしたという話もある。体感が無いので分からないが実際どうだったんだろうか。
★★★★☆
3rdアルバム『SO BAD』
1stベスト『SINGLES』
16thシングル(’98)
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’98)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W Words and Mind
作詞:森友嵐士、作曲:五味孝氏、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
フィンフィフィン…フィンフィフィン…フィンフィフィン…と鳴り響くシンセにアーリー90’s感漂う疾走系ロック。数年後にはもう廃れたような音だけど当時は最先端にカッコいいサウンドだったんだと思われる。このフィンフィフィンが一定のスリリングさを打ち出す効果は生んでいるのでこれはこれで悪くない。
★★★☆☆
アルバム未収録
My Life is My way
92年11月11日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
『SO BAD』収録曲。自分が自分でいられることの大事さを歌ったライブでも盛り上がりそうなアッパーなロックナンバー。『complete of T-BOLAN at the BEING studio』に収録されたライブ音源はライブバンドとしてのT-BOLAN全盛期の様子を記録した貴重な音源の1つだが、これを最初に聞いていたせいで後でスタジオ音源を聞いたら時代性の強い機械的なサウンドになっていてズッコケた。何故ライブの勢いをそのままCDにしようとしなかったのか…。
2020年にはバラード改変された「My Life is My way 2020」としてもリメイクされた。
★★★☆☆(スタジオ音源)
★★★★☆(Live version)
3rdアルバム『SO BAD』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』(Live version 5th Tour“LOOZ”
94.3.19中野サンプラザ)
6thベスト『LEGENDS』
配信シングル(2020)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』(2020)
BOY
92年11月11日
作詞:森友嵐士・青木和義、作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
『SO BAD』収録曲。かなりドストレートに子供が生まれた感動をそのまま歌詞に落とし込んだような子供生まれたバラード。アマチュア時代はメインライターだったらしいがボーカルがやるべきだと森友に進言してデビュー以降は作詞作曲をしていなかった青木が突如作詞に参加している事からしてもこれは明らかにこのタイミングで青木が結婚して子供が生まれたんだろうなという事は当時のファンでも容易に察していたと思われる。2017年のライブMCで初めて公に明かした事になっていて、メンバーの結婚は極秘事項だったため公式には明かされていなかった。ていうかさすがにこの歌詞でわざわざ普段出てこない青木の名前をクレジットするとか当時も本気で隠す気無かったのでは。
いずれにせよテーマ的にも珍しく、抑えた雰囲気の曲調も含めて独自の立ち位置にいる1曲だと思う。ベスト選出率も高めだが『1999 REMIXES』でリミックスまで作られている。
★★★☆☆
3rdアルバム『SO BAD』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
6th Bye For Now
92年11月8日
3rdアルバム『SO BAD』の1週間後にリリース。アルバムを出して一段落ではなく同時発売とか1週間後、遅くとも1ヶ月後にはもう次のシングルという息つく暇もない連続リリースだった。稲垣潤一の大ヒット曲「クリスマスキャロルの頃には」の4週目(2週目の1位に続き2度目の返り咲き1位)に阻まれ初登場2位。そのまま3週連続「クリスマスキャロルの頃には」に阻まれ続けて2位だった。その後も4位→3位→4位×3→8位と9週トップ10入りして最終的に118万枚のミリオンヒットを記録(登場週数は18週)。自身唯一のミリオンにして最大のヒット曲となった。
今作よりZAIN RECORDSへと移籍したがビージンという会社のレーベルとしてZAINを設立した扱いだったため今作のみ過渡期で品番がBJDLで発売された。後にZADLで再発されている。
Bye For Now
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
ドラマ『ウーマンドリーム』主題歌。ダントツの最大ヒット曲だが、数ある90年代ミリオンヒットの中では90年代後半の時点で既にあまり有名な曲ではなくなっていて、『FINAL BEST』で最初に聞いた時も聞き覚えすらない全く知らない曲だった。復活した頃にはすっかり「離したくはない」の方がミリオン級の大ヒットみたいな扱いになってて、この曲は全盛期の連続ヒットの1つみたいな扱いに…。ミリオンヒットなのに何故あまり大ヒット認識されていないのか謎だが連続リリースしすぎて流されていたというのが1番大きいかも。
NYへ旅立つ信頼するスタッフのために書き下ろされたという“素敵な別れ”の曲。イントロのアレンジだけかなり謎でシンセ中心に高速乱打されて変なインパクトがある。すぐにピアノが入ってじっくり聞かせるロックバラードになるが、曲構成が変わっているのもあって普通にピアノ始まりだと地味なので何かド頭でインパクトをつけるために派手にかましてやろうという事だったのだろうか。1コーラス目では”素敵な別れさ~”がAメロ、”Oh Bye For Now~”がサビのような役割を果たしているが、続いて新たなパート”君の旅立ちを~”が来るとこれがAメロ(平メロ)の役割を果たし、さっきAメロだった部分がサビの役割に切り替わる。間奏後はさらに”Oh Bye For Now~”がAメロ、さっきAメロだと思った部分がBメロになり、”素敵な別れさ~”のメロディーをサビとして繰り返しながら終了する。メロディーは3つなんだけど、3つのメロディーの役割が曲が進むにつれて変わっていくという構成はかなり珍しくて面白い。
ラブソングではないためか『BALLADS』に選曲されず、『夏の終わりに』シリーズからさらに拡大選曲した『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』でも選曲されず…と通常選曲のベスト盤には皆勤だがコンセプトのあるベストには選曲されない。
★★★★★
4thアルバム『HEART OF STONE』
1stベスト『SINGLES』
16thシングルC/W(’98)
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’98)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W 鏡の中の嘘が微笑むよ
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
これまでよりもライトでポップロック的な印象。サビ終わりで低音の後にオクターブ上げた高音で締めるところが爽快。T-BOLANが本来持っている硬派さと売れ線的なかなりポップなメロディーがうまい具合に中和しあっているような1曲。
★★★☆☆
6thベスト『LEGENDS』
7th おさえきれない この気持ち
93年2月10日
前作のミリオンヒットを受けて初動は28万枚の自己最高を記録して初の1位を獲得。しかしそこからはあまり伸びず3位→6位→11位と3週でトップ10から落ちると100位以内12週でチャートアウト。80万枚を越える2番ヒットにはなったものの、これまでのような存在感を示すロングヒットにならなくなってきて、ミリオン連発というわけにはいかなかった。
同時期にZARD「負けないで」の大ヒットでZARDも本格ブレイク、前年後半にはWANDSが大ブレイクしていて大黒摩季も…とビーイング系が立て続けにブレイクしてきていた。
ZAINからの2作目となったが、社名そのものをZAIN RECORDSに改称した事に伴いビージンの名称が消失、品番がZADLになり、ZADL-1001のZADL品番第1号作品となった。
おさえきれない この気持ち
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
ドラマ『いちご白書』主題歌。とにかく勢いのあるうちにリリースという方針で、主題歌用に次回作「すれ違いの純情」、さらにその次の「傷だらけを抱きしめて」を含む6曲も提出していたというから驚き。森友の著書によれば当時はそんな勢いの中でも余裕だったというが、いつか書けなくなるからやり方を変えろとも言われていたらしい。
前作のヒットを受けてという感じでイメージ通りの熱いバラード。最も勢いのあった時期だけに耳にも残りやすいが、後追いで聞くとなかなか区別がつかない曲も増えてくる。森友の歌声で”おさえきぃれぬぁぁぁい”とひたすら熱く歌われるからこそ、おさえれきれないのが確かに伝わる。他のボーカリストがいかに高らかに歌ってもなんかおさえきれてる感じになっちゃうと思う。
前作よりもなんか連続して聞いている気がするのは『SINGLES』→『BALLADS』にそのまま連続収録されたせいか。ただそれもあってか『FINAL BEST』からは外されていたりもする。
★★★★☆
4thアルバム『HEART OF STONE』
1stベスト『SINGLES』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W シャイなJealousy
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
バラードへの自信を深めていたのかC/Wも王道の熱いバラード。T-BOLANを聞き進めていくと曲自体には聞き覚えがあるが実はそれは全部リメイクされたAcoustic Versionで原曲はアルバム未収録だったりする。Acoustic Versionでは後半はバンドサウンドになるが、アコースティック主体なのでさらっとした仕上がり。原曲はロックに盛り上がるが少々派手でくどい部分もある。『BALLADS』はAcoustic Versionでの収録が多いので原曲で収録してほしかったなとは思ったけど、Acoustic Versionの方が長く聞けるところはあるかも。
★★★☆☆
シングルバージョンアルバム未収録
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』(Acoustic Version)
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』(Acoustic Version)
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8th すれ違いの純情
93年3月10日
CHAGE&ASKA「YAH YAH YAH」の2週目に及ばず初登場2位。初動27万は前作に続く自身2番目に高い初動売上で2週目も6位ながら17万枚と高い数字を維持した(2週目の売上としては自身最高のはず)。3,4週目も7位7位と4週トップ10に残っていたがトップ10落ちしてからはスピーディーにチャートアウトしてしまい登場週数は10週。70万枚を突破する大ヒット作ではあったものの、ビーイングのブームが本格化してDEEN、ZYYG、REV、MANISH…などなんだか似たような名前で似たようなヒット曲が量産されまくってきて入れ替わり立ち替わりで上位を独占するようになったので、どんどんスピード感が増して1曲1曲がじっくりヒットするような感じではなくなってきてしまっていた。
すれ違いの純情
作詞:森友嵐士、作曲:織田哲郎、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
AXIAのCMソング。織田哲郎の作曲だが格段に突出しているわけでもなく、安定感のあるミディアムナンバー。T-BOLANでは本当に織田哲郎だから目立ってヒットするという事は無かったなぁ…。原曲はビーイング王道サウンドだが、Acoustic Versionは最初からドラムも入っているアコースティックなバンドスタイルで普遍性が高い。
“夏のかけらを追いかけても”というフレーズも登場するが活動がスピーディーすぎて季節を感じる暇もなかったが思いっきり3月発売。『夏の終わりにⅡ』でピックアップされたAcoustic Versionの方が季節もぴったりだった。
★★★☆☆
4thアルバム『HEART OF STONE』
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』(Acoustic Version)
1stベスト『SINGLES』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W Happiness
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
FC投票で上位入りしていたとされる人気C/Wでそれを理由に02年に『complete of T-BOLAN at the BEING studio』に収録された事もある隠れ人気曲。王道のロックやバラードとは大きく外し、レゲエっぽいノリでサビでは合唱風にもなるという陽気なノリの異色曲。王道を確立して連発していたのでこの曲の陽気さはかなり際立っている。当時も存在感があったのかも。
現役時代のライブ映像は残されていないが、2014年のライブでは披露され、ほとんど普段コーラスもしていないメンバーがかなり全力で声を張り上げながらコーラスを担当。特にサビ終わりのオーオーオーの部分を寡黙なベース上野が声を張り上げて歌うというレア具合もあってかなり熱い盛り上がりだった。
★★★★☆
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
びしょ濡れの優しさの中
93年5月26日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
4thアルバム『HEART OF STONE』1曲目。全盛期を象徴するようなシングル的な勢いのあるロックナンバーだが、量産体制の象徴でもありこの後のシングル「傷だらけを抱きしめて」「わがままに抱き合えたなら」とは三兄弟のように雰囲気が似ていて最初はどれがどれだか区別がつかなかった。『FINAL BEST』を最初に聞いたのでてっきりこれがシングル曲で収録されていない「傷だらけを抱きしめて」「わがままに抱き合えたなら」の方がアルバム曲だと思っていた。
★★★★☆
4thアルバム『HEART OF STONE』
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
Only Lonely Crazy Heart
93年5月26日
作詞:森友嵐士、作曲:青木和義、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
唯一の青木作曲だが唯一の作曲がこれでいいのかというくらいネタ的な要素も強い。ノリのいいポップなロックナンバーだがあかさらまにBOφWYの影響を練り込みまくったようなタイトル(「ホンキー・トンキー・クレイジー」)に、イントロは「B.BLUE」でパロディとして狙ってやっているとしか思えない。BOφWYはあまり詳しくないので他にも導入している曲があるかもしれないが、全体にBOφWY感のある1曲。
★★★☆☆
4thアルバム『HEART OF STONE』
6thベスト『LEGENDS』
泥だらけのエピローグ
93年5月26日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
解散時に発売した森友のエッセイのタイトルにも採用された夢追い系のT-BOLANを代表する1曲。原曲は熱いアップテンポなロックナンバーでこれもこれで見果てぬ夢を追いかけて走り続けている感じなんだけど、Acoustic Versionはガラッと変わったバラード調で確かな闘志をたぎらせながら地に足をつけて前進しているイメージ。
『FINAL BEST』でAcoustic Versionが収録されたと思ったら『LEGENDS』では原曲が収録されるなど、両バージョン扱いがいい。
★★★★☆
4thアルバム『HEART OF STONE』
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』(Acoustic Version)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』(Acoustic Version)
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
9th 刹那さを消せやしない/傷だらけを抱きしめて
93年6月16日
初の両A面。強敵に阻まれての2位もここまで何度かあったが、今作では敵はおらず、2週連続で1位を獲得した。敵がいないというか2週連続で5位まで(1週目は6位まで)全部直近1ヶ月程度でリリースされていた同僚(ビーイング系)であった。トップ10は5週、100位以内には15週ランクインと前作を上回ったが、初動売上の差が埋まらずに累計では前作をわずかに下回った。
シングルでの1位は2度目だが結果的に1位は今作が最後となった。
刹那さを消せやしない
作詞:森友嵐士、作曲:森友嵐士,五味孝氏、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
T-BOLANというよりも1993年のビーイングサウンドのど真ん中といった感じのポップロック。『FINAL BEST』で1曲目を飾っていたこの曲は1番最初に覚えた曲でもあり、入口の1曲という印象が強いが、意外と同系統のシングルが無かったりもするし、改めて思うとT-BOLANの王道からは少し外れた1曲だったかもしれない。90年代ビーイングになじみがあるなら1番ビーイングっぽくて入りやすい曲なんじゃないかと思う。
★★★★☆
5thアルバム『LOOZ』
1stベスト『SINGLES』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
傷だらけを抱きしめて
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
両A面曲として対等に扱われていてベスト盤でもA面扱いで収録される。「びしょ濡れの優しさの中」のようなハイテンポなアップテンポロックナンバー。シングルがバラード続きになってきていたのでガツンとここらで1発見せてやる的な勢い。ライブでさらに映えまくる1曲でライブ映像の熱さはけた違い。アップテンポなロックナンバーの中では個人的にはこの曲が筆頭かなと思う。
★★★★☆
5thアルバム『LOOZ
1stベスト『SINGLES』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
10th わがままに抱き合えたなら
93年11月10日
加熱しすぎたビーイングブームは連投しすぎて飽和してしまったのか早くも共倒れ&最初の大ヒット以降定着しない傾向が見え始めた。今作は藤井フミヤ「TRUE LOVE」、X JAPAN「Tears」に及ばず初登場3位。初動売上も16万枚と低下し、2週目8位からトップ10落ちして100位以内11週でチャートアウト。累計売上は40万枚と一気に下がってしまった。
わがままに抱き合えたなら
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
ドラマ『愛してるよ!』OP。「傷だらけを抱きしめて」に続くアップテンポなロックナンバー。より激しくワイルドさを追求したような勢いだが、そろそろどれも似たような印象にはなってきてしまうところもある。今作で一気に売上が落ちているのはバラードのイメージが強くなりすぎてアップテンポが不評だったのか、似たような印象被りか、一気にデビューさせ過ぎてビーイングが飽和したのかは分からないが…。
なお解散前にオリジナルアルバムに収録された最後のシングル曲が今作となる。
★★★☆☆
5thアルバム『LOOZ』
1stベスト『SINGLES』
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W いじけた視線を君に語るより 光をみたい
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
森友の歌詞には“いじけた”という表現が多用されており、主に“いじけた○○より××したい”というような表現が割と出てくる。要するに落ち込んでないで元気出しなよとか、後ろ向きな事ばかり考えてないで前を向きなよとかそういう意味合いの中でよく使っているんだけど、今作ではそれがそのままタイトルに採用されたといういじけ集大成(?)的な1曲。日常の中に小さな幸せを見つけ出そうとする歌詞の落ち着いたバラードナンバー。ハイペースな活動の中で徐々に疲労を感じていた森友がふと感じた安らぎみたいな感じがしたりもする。いじけ表現はテンプレ的ではあるが一足先にC/Wでは王道連発から離れて変化の兆しが見え始めた感もある。
当時はアルバム未収録のままだったが、T-BOLAN復活へのきっかけになった2011年の山中湖でのメンバー4人集合の際に何故か森友が最初に歌い出したのがこの曲。いきなり歌われてもオリジナルのアレンジだとキーボード始まりでメンバーの演奏が無いんですけど…というのはあるにしてもメンバーにとってはT-BOLANリスタートの1曲となったためか、その後の2014年のライブでも披露されるなど再結成周辺において重要な1曲になった。…解散後、復活までの道のりの中で恐らくこの歌詞のような日常を送る事が多かったと思われ、2014年のT-BOLANが演奏したこの曲には当時よりも円熟味を増していた。
その後満を持して『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』でアルバム初収録を果たした。
★★★☆☆
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
真夜中のLove Song
93年12月8日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN
様々なアレンジを試したという5thアルバム『LOOZ』の中でも特に時間をかけて練り上げ、テイク8まで作ってようやく完成したという入魂のバラード。アレンジャーを入れずに編曲が初めてバンド単独になっているものの、最終的にシンプルな方向に戻って完成させたためメンバー3人の演奏は一切入っておらずピアノと生のストリングスのみで構成。文字通り真夜中な感じの静かなバラード。熱く盛り上がるだけではない新たなバラードの可能性を見せているのと、シンセ使いまくっていたのが生のストリングスを使うなど生音重視へ向かう傾向は見え始めていて今後の進化の可能性を示唆されるものとなっている。
★★★☆☆
5thアルバム『LOOZ』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
11th LOVE
94年5月11日
93年12月のアルバム『LOOZ』からこれまでに比べるとやや間を開けてのリリースとなった。今作以降オリジナルアルバムが制作されなかったため、今作以降の楽曲はA面曲でも全てベスト盤収録のみとなる。TUBE、中島みゆきに及ばずに初登場3位、2週目は中島みゆき、TUBEに入れ替わるもメンツは変わらずにそのまま3位。4週トップ10入りし、100位以内16週ランクインと初動こそ前作を3万程度下回ったものの前作より好調な推移を見せて累計売上は58万枚を記録。前々作までの全盛期の勢いには及ばなかったが、初動3万減から累計では前作から18万増と2週目以降で猛烈に巻き返す会心のヒットとなった。
あまりにもハイペースで出し続けるよりこのくらい待望の新曲感をある程度保っていた方が伸びる、というのもあったのかもしれない。
ジャケットにはCoupling Withと「No.1 Girl」がC/Wと明記され、背文字も「LOVE」単独表記だったが、裏ジャケでは同格扱いで記載されていた。「No.1 Girl」にCMタイアップがあったからなのかこれで何故か当時のO社では両A面扱いで扱われていたが、公式にも今作は単独A面シングルである。
LOVE
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
ドラマ『彼と彼女の事情』主題歌。「離したくはない」直系のシンプルなバラードでタイトルも直球。まさにそのようなストレートなバラードをもう1度やろうというコンセプトだったようだが、派手に盛り上げすぎるのを徹底的に控えるようにしていて、Aメロ→サビ→Aメロ→間奏→サビ→Aメロ→Aメロ後半リフレインとシンプルな形で終了する。当初大サビもあったが、シンプルに行くために削ってしまったらしい。
変化の兆しを感じさせつつも結果的にはT-BOLAN王道バラードの到達点のような1曲になった。けっこう歌詞に疲れた感じというか、弱さを見せている点がこれまでになかった部分で、やはり当時蓄積されてきた疲弊が反映されているのかなとも思う。
★★★★☆
1stベスト『SINGLES』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W No.1 Girl
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
ホンダ・シビックフェリオCMソング。ホーンアレンジが効いたノリノリゴキゲンの明るいロックナンバー。歌詞はイケイケなんだけど言い回しは嵐士節なままなのがなんだかおもしろい。「Happiness」とはまた異なる明るい突き抜けっぷりでかなり異色さを感じるが、アルバム『LOOZ』での変化の兆しからさらに新しい方向性を探していこうという意欲を感じさせる1曲。
公式サイトでもC/W扱いのままだったが『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』では突如当時のO社準拠でA面扱いされて収録された。
★★★☆☆
リミックスアルバム『1999 REMIXES』(’99)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
Lookin’for the eighth color of the rainbow~8番目の虹の色をさがしに~
94年8月6日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
『夏の終わりにⅡ』の新曲でサブタイトル作。よりアコースティックサウンドを磨き上げた同作の中でも最も静かにしっとり歌い上げられる落ち着いたバラードナンバー。サビで静かに繰り返されるLookin’for the eighth color of the rainbowのフレーズは前作「夏の終わりに」の”アイツに今でも会いたい 誰にこの思いをつげよう”にも通じるところがあり、タイトル作としてどこか意識した構成になっているのかもしれない。
★★★☆☆
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
12th マリア
94年9月5日
1ヶ月前の『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』に「マリア~Acoutic Version~」として収録され、レコーディングノーツでアップテンポなバージョンも制作されていると明かされていた「マリア」のアップテンポバージョンのシングル化。
バージョン違いとは言えシングルカットながらも好評で初動は15万で初登場3位だったが、2週目の7万台からかなり細かく刻むような推移を見せて4週目にもう1度3位、6週連続トップ10から13位に落ちた後にもう1回8位に浮上するなどロングヒットし、登場週数は20週、累計78万枚で自身3番ヒットを記録。ここに来てT-BOLAN健在っぷりを存分に示す代表ヒット作となった。
今作リリース後は新作オリジナルアルバムの制作を開始するもまとまらないままに『夏の終わりにⅡ』を引っ提げるわけでもない通常の6thTOUR『LIVE HEAVEN ’94-’95』に突入したとされる。喉に異変を感じながらのツアーはやがて限界を越えてしまい、最終日1995年3月26日大阪厚生年金会館大ホール公演は観客を入れながらもドクターストップにより中止が決定。スタッフが中止説明を案内している中で観客の声援に心動かされた森友は制止を振り切ってステージに上がってメンバーも追従してライブを決行。伝説のライブとなったが結果的にこれが最後のライブとなった。
こういった経緯もあり、解散前のライブで演奏されたのは今作までとなる。
マリア
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
フジテレビ oioi TOKYO TASTE 「Rooms」主題歌。
先に発表されていたAcoustic Versionは葉山たけしとの共同アレンジでゆったりしたバラード調だったが、こちらは明石昌夫との共同アレンジによる爽やかなアップテンポバージョン。先に出たのはAcousticだが表記上は今作がオリジナル扱いとなる。明石昌夫のアレンジもここに来て急速に進化してきていて、これまで漂っていたアーリー90’s感が抜けてきて、シンセやキーボードの音色の時代性が薄れてきた。ちょっと低迷しかけてきたときに誕生する起死回生のヒット曲にもなった今作だがそれだけの勢いがあり、新たなT-BOLANの進化を予感させるが、結果的にギリギリで順調だった時期の最後の作品になってしまったのは惜しい。
ストレートに「マリア」への愛を歌った曲だが、これまでよりも人物像が優しくなったというか俺とかオマエじゃなくて僕と君のラブソングになっていてオラついた感じが無くなったのでだいぶ歌詞の人格が変わった感がある。その分だけとても誠実に思いを伝えようとしていて本当に好きな人と巡り合った感が凄い。
★★★★☆
2ndアコースティックアルバム『夏の終わりにⅡ~Lookin’for the eighth color of the rainbow~』(Acoustic Version)
1stベスト『SINGLES』
2nd(バラード)ベスト『BALLADS』(Acoustic Version)
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
5thベスト『BEST OF BEST 1000 T-BOLAN』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』(Acoustic Version)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W 心とかして
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
4人の演奏を中心に曲を引っ張るキーボードの優しい音色も普通の音色で、時代性の強い音が鳴らなくなったところにこれまた時代の急速な進化を感じられる。やや抑えた演奏をしながらもしっかりとバンドも存在感を発揮。「マリア」から一転して終わった昔の愛を振り返っている内容だが、『LOVE』以降はどこか疲弊を感じさせる。
★★★☆☆
アルバム未収録
13th SHAKE IT
95年8月28日
3月26日のツアーファイナルから音沙汰が無くなり5ヶ月経過しての久々のシングル。アルバムも出ていなかったのでなんと過去最長1年近いブランクでの新曲となった。当時の森友はツアーによる疲弊が原因で少し休めば喉も回復するだろうと考えていたようだが、一向に良くならず、治療方針を探りつつ、調子を見ながらのレコーディング作業は続けているという状態だったようだ。
これまでジャケットは森友の単独ドアップというのが定番になっていたが今作ではイラストという異色のジャケットになったほか、スタジオでの演奏風景やイメージ映像、ライブ映像などを駆使してPVらしいPVを作っていなかった中で今作では初めてミュージックビデオっぽいミュージックビデオが制作された。
1年のブランクと異色すぎる楽曲から初動は13.5万枚とそこまで大きく落とさなかったものの初登場4位、2週目にはトップ10落ちして8週で100位圏外となり、売上は激減した。それでも初動の2倍の累計売上になっていたりはする。
SHAKE IT
作詞:森下桂人、作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
作詞の森下桂人が何者なのかは不明。歌詞中に”刹那さを消せやしない”とか過去の曲名をぶち込んだり、全体に良く分からないはじけたノリになっているが、一体誰なんだ…。ただこれは歌詞がどうというより曲自体がちょっと異色でぶっ飛んでいる感じも。メロディーやアレンジの方向性はPrimal Screamが94年に発表していた「Rocks」を参考にしたと思われるが、T-BOLANとしてはホーンセクションを生かした陽気な方向性は「No.1 Girl」でやっていたくらいで、しかも今回は変にはじけた感じなのでかなり謎な1曲になってしまった。ただ中毒性はある。現在割と好きな方の1曲。当時は新たなT-BOLANサウンドを模索して煮詰まっていたと捉えたリスナーも多かったんじゃないだろうか。
ライブを開催していないので、今作以降の楽曲は再結成以降に初めてライブで演奏されたことになる。今作以降の3シングルA面+「Smile」は2014年のライブで全て披露しているが、今作だけは2012年のBEING LEGENDで披露した9曲のうちの1曲にもなっていていち早く披露されていた。ライブ映えする盛り上がりではあったが正直驚いた。ただこの曲に関してはキー下げにより曲の雰囲気がかなり変わって聞こえる上に、Bメロの高い部分を全部オクターブ下で歌っていたので低すぎになっていてちょっとイメージと違った。
最後のサビ前は歌詞カードでは1番と同じく“キレイにはなれないぜ”と書かれているが、実際には森友がアドリブ的な台詞っぽい言い回しで“そんなんじゃキレイにはなれないぜぃ Yeah!”と言っている。この部分でバンド演奏はオフになるんだけど、シングル盤と『SINGLES』では背後で多数の話し声を混ぜ合わせたようなガヤガヤザワザワが入っていた。『LEGENDS』収録時には何故かこのガヤガヤザワザワが綺麗さっぱり消されている。『T-BOLAN THE COMPLETE』でも『LEGENDS』バージョンが採用され、MVも同様(MVは差し変えた可能性もある)。他のベスト盤には選曲されていなかったので『SINGLES』から『LEGENDS』まで14年近く開いているが久々に収録されたと思ったらこんな微妙な差し替えをしていたっていうのは意図的なのかも不明。
2022年全曲配信(DL/ST)では今作はシングル盤も『SINGLES』もガヤガヤザワザワが消されてしまっており、『LEGENDS』バージョンに差し替えられているのを確認。よってシングルミックスは未配信となる。
『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』でも『LEGENDS』バージョンで収録された。こちらでは歌詞カードも書き換えられ、”キレイにはなれないぜ”が“「そんなんじゃキレイにはなれないぜ」”と実際の歌唱に合わせた語尾と「」をつけた台詞扱いに表記も変更された。
★★★★☆
シングルミックス未配信(配信版はシングルも『SINGLES』も全て『LEGENDS』バージョンに差し替え)
1stベスト『SINGLES』
6thベスト『LEGENDS』(ラストサビのざわめき音声削除)
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』(『LEGENDS』収録Ver.)
C/W HOW DO YOU FEEL?
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
イントロ無しで冗談で生きてんじゃねぇぇぇといきなり渋く歌い出すものの、かなりあっさりしていて2分ちょいで終わる小バラード。短いけど森友のボーカルを生かした熱量の高い1曲でけっこう濃い目の印象。表題がぶっ飛んでいただけに多少の安心感もある。
★★★☆☆
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
14th 愛のために 愛の中で
95年11月20日
3ヶ月ぶりのシングル。オリジナルアルバムが出なくなってからは最短のリリース間隔で、加えて本人稼働のプロモーション活動も積極的に行われ、1ヶ月後には「ミュージックステーション」にも出演。これにより本格的な活動再開が期待されるなど一定の盛り上がりを見せた。
初登場2位を記録したが、1位はセリーヌ・ディオンで洋楽だったため洋楽を扱っていなかった『CDTV』では繰り上がって1位を記録した。ただ前作の不調が響いたのか初動は前作より下げて10万割れ、2週目に21位まで吹き飛ぶなど当時としては割と記録的なランクダウンとなってしまった。登場週数は11週で初動の低さと2週目の急落が響いて累計も前作を下回ったものの、4週20位台で粘り、3週30位台で粘ってもいた。
愛のために 愛の中で
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
今までに無い壮大な愛と平和を描いた派手なバラードナンバー。サビではほぼ合唱状態でコーラスがけっこう厚くかかっているが、何気にかなりキーが高く、声が出なくなったという割にはサビ後半のかなりの高音もちゃんと張り上げているのがコーラスに埋もれ気味ではあるがちゃんと聞こえる。もちろん調子のいいタイミングで録音はしているんだろうけど、不調を抱える中で限界に挑むような高いキーに設定しなくても…。後に配信番組で振り返ったところによると既に調子が悪かったが病名も出ておらず少し休めばよくなると思われていた時期だったので1年間ほぼ毎日レコーディングに通って歌うも一向にうまく行かず、結局納得のいくテイクは録音できず、最初に録音した仮歌が1番良かったという。ちゃんとセッティングして録音したボーカルでは無かったが、最終的にうまく調整してもらって最初の仮歌を採用して完成したという。やたらサビのコーラスが厚かったりするのは調整の一環でもあったのだろうか。
落ち着くところは落ち着いて、盛り上げるところは盛り上げるとメリハリがついているアレンジはかなり試行錯誤の末に生み出したような凝りっぷり。Love&Peaceな世界観になっているのもあってT-BOLANの中でも最も大きな1曲という印象もある。苦しみながらもたどり着いたT-BOLANの到達点でもあるような末期屈指の名曲。
★★★★★
1stベスト『SINGLES』
4thベスト『complete of T-BOLAN at the BEING studio』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
C/W 10 Years Love Story
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・葉山たけし
アコースティックテイストのシンプルなバラードナンバー。シンプルに始まり、後半にドラムインして盛り上がる構成といい、『夏の終わりに』シリーズに入っていても違和感の無い曲でもしかしたらアウトテイクか、その線で作っていた1曲っぽい。『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』にも選曲されたが馴染んでいた。
★★★☆☆
7thベスト『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』
15th Be Myself/Heart of Gold 1996
96年3月25日
4ヶ月ぶりのシングル。新曲と「Heart of Gold」のリメイクの両A面シングル。背文字も2曲表記、表が「Be Myself」、裏が「Heart of Gold 1996」ときちんとした両A面仕様になっていたが、「Heart of Gold 1996」はBOX収録すら忘れ去られる不遇な扱いとなった。O社登録では単独A面扱い。
初動はいきなり5万割れとなり、ギリギリの初登場10位。5週でチャートアウトして累計も10万割れとなり、前作初動すら下回る大不振となった。プロモーションが無さすぎた、一気に時代が変化して流行の波に押し流されたという側面が大きかったと思われるが(いわゆる1995年の壁)今作を最後にかろうじて続いていたシングル発売も完全に途絶え、結果的に本人稼働の最終シングルとなった。
8月に『SINGLES』、12月に『BALLADS』をリリース。『SINGLES』はアルバムでの初ミリオン、最大ヒット作となったため、今作は不振だったもののまだまだT-BOLANの潜在需要は高かったものと思われる。
Be Myself
作詞:森友嵐士、作曲:森友嵐士・五味孝氏、編曲:T-BOLAN・池田大介
テレビ朝日系『オリンピッククイズ 燃えろ!アトランタ王』OP。初めて池田大介を共同編曲に迎えた。サビから始まる勢い全開なアップテンポナンバー。サウンドはかなりロックで勢いがあるが、キーボードやブラスなども鳴りまくりかなり陽気にはじけている印象。森友の声の調子が戻らず先が見えなくて暗くなりがちな状況が1年以上続いていたであろう中だっただけに、その反動でこんな明るいノリになっているんじゃないかとも思う。これまでにない全く新しいサウンドだった前2作とは違い、王道と新機軸のバランスもいいし、キーボードやホーンを入れつつもちゃんと4人で生音ロックバンドするのが前提になっているところは進化だと思う。会心の1曲。
森友の声が思うように出なかったため発売直前までレコーディングが続いていた事が後に明かされているが、楽曲自体からはそういった苦労は感じられない。この先が聞きたかった。
★★★★★
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
販路限定ベスト『T-BOLAN BEST HITS』
6thベスト『LEGENDS』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
Heart of Gold 1996
作詞:森友嵐士、作曲:川島だりあ、編曲:T-BOLAN
テレビ朝日系『オリンピッククイズ 燃えろ!アトランタ王』ED。「Heart Of Gold」のリメイク。Acoutic Versionもあるので2度目のリメイクであり、3バージョン目となる。編曲がT-BOLAN単独名義なのは「真夜中のLove Song」以来2曲目だがバンド演奏になっている曲としては唯一。
“1996”が付属しただけでなく、Ofがofに小文字化しているという細かい違いも…。アコースティックは既にやっているのでアコースティックギターとエレキギターを抑えめながら併用したギター中心の生音重視のサウンドになっていて派手さは無いがじっくり聞ける。イメージ的には10周年とか20周年とか年齢を重ねてやりそうな落ち着いた雰囲気で、このバージョンもバンドの進化と成長が感じられてかなり素晴らしい仕上がり。BOXにすら収録されないという忘れられっぷりとなり、長年8センチCDでしか聞けなかったが2022年に配信(DL/ST)では聞けるようになった。そして2023年『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』ではついにアルバム初収録を果たした。
★★★★★
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
16th じれったい愛’98
98年11月26日
前作とその後の『SINGLES』『BALLADS』リリースを最後に1997年は一切の動きが無く、1998年も引き続き一切の動きが無い中で唐突に発売されたリミックス作品。アレンジャーによる既存ボーカルを利用したリミックス/リアレンジ作品であり、リミックスとはされているがクレジット上は各担当者はArranged by扱いであり、Remixed byではない。このタイミングでのメンバー稼働は無く、メンバーが関わっている様子すら無かった。
続けて年明けには『1999 REMIXES』が発売された。年が変わったので他の曲は全て’99表記だが、今作の2曲は’98表記のまま。ただしiTunesの配信では今作の2曲も’99表記に誤記されていた。2022年の全曲配信の際に改めて全作を納品し直したのか’98に修正された。今作が初登場26位から3週でチャートアウトしたのに対して『1999 REMIXES』はトップ10入りこそギリギリで逃すも初登場11位で9万枚で本人非関与っぽいリミックス作品にしてはまずまずの売上を記録している。
基本的に今作と『1999 REMIXES』は独立した作品であり、以後のベストアルバムにこれらリミックスバージョンが選曲されることはなかった。
公式サイトには現在もシングルとして掲載されているので完全に無かった事にはされていないが、何故か2022年の全曲配信(DL/ST)ではシングルCDの中で今作のみシングルとしては配信されずにスルーされ、2023年の全シングル収録と宣伝した『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』でも今作だけはスルーされた。
じれったい愛’98
作詞作曲:森友嵐士、編曲:徳永暁人
5thシングルのリミックス。徳永暁人がアレンジを担当。詳細な表記は無いがアレンジャーの1人オケ制作を基本にしつつ覆面スタジオミュージシャンの参加も曲によってはありそうな気がする。メンバーは恐らく関与しておらず、ボーカルも昔のものを使用していると思われる。ただ曲の最後に原曲にない森友のハッ!という声が加えられていてこれは当時の素材に残されていた未使用の声を引っ張ってきたのだろうか。
今作に関してはシングル表題曲にしただけはあって、デジタルギターロックという感じで、そのまま生演奏に置き換えても演奏できそう。これはこれで意外と悪くは無い。リミックスというとどうしてもダンサブルなトラックメイカー的なやつを想像してしまうが、そういうダンス・クラブ系とは一線を画している。
★★★☆☆
リミックスアルバム『1999 REMIXES』
C/W Bye For Now’98
作詞作曲:森友嵐士、編曲:徳永暁人
こっちはちょっとメインにはならないかな…という感じで、リアレンジというよりはリミックスっぽさが漂うリアレンジとリミックスの中間のようなアレンジ。打ち込み音がポンポンしていてマヌケな雰囲気が漂うし、素敵な別れの雰囲気じゃないよねっていう…。
★★★☆☆
リミックスアルバム『1999 REMIXES』
Smile
99年12月1日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・明石昌夫
99年1月に『1999 REMIXES』がリリースされるもそれっきり音沙汰が無くなり、99年末に解散を発表。その際の『FINAL BEST』に収録された未発表曲。『FINAL BEST』『LEGENDS』共に編曲表記が無いため、長らく編曲者不明だったがBOX『T-BOLAN THE COMPLETE』で初めて編曲表記され、明石昌夫だった事が判明している。時期的に末期は葉山たけし、池田大介で明石昌夫は関わっていなそうだったし、アレンジ的にもT-BOLANで生音重視のアレンジをするのは『夏の終わりに』シリーズを担当していた葉山たけし、末期には初関与した池田大介、もしくはT-BOLAN単独だと思ったので意外だったが…これ本当に明石昌夫なのか…?(けっこう誤植とかやらかすのでちょっと信じていない)。
生のバンドサウンド全開の熱いバラード曲。こういう生のロックサウンドを聞かせるT-BOLANをもっと聞きたかった。当然ライブで披露する機会は無かったが、2014年の休止前のライブにおいてはアンコール最後の楽曲に選曲された。2014年のライブは結果的に99年当時できなかった解散ライブをちゃんとやってケジメをつけるという意味合いが強かった(解散と言わず休止としてはいたが上野の病気が無ければ休止のままになっていた可能性が高い)。その最終曲として選んだことからも活動途中でお蔵入りした未発表曲ではなく、解散前の比較的最後の時期に制作されていた曲なんじゃないかと思う。何よりこんな生音重視のサウンドは確実にバンド末期の制作だろう。2014年のライブでさらに好きなり、現在もT-BOLANで1番好きな曲。
★★★★★
3rdベスト『T-BOLAN FINAL BEST GREATEST SONGS&MORE』
6thベスト『LEGENDS』
満月の夜
10年3月24日
作詞作曲:森友嵐士、編曲:T-BOLAN・池田大介
森友がトイズファクトリーからソロで復活してリリースしたシングル『抱きしめていたい/キズナ』と同時発売で両者協力キャンペーンも行って発売したベスト盤『LEGENDS』に収録された未発表曲。未発表曲としては「Smile」に続く2曲目。02年の『at thr BEING studio』では未発表曲が無かったので出せるようなものはもう残ってないのかと思われていたがまだあった。この時点で解散から11年、10年以上隠してたのが凄い…。
『夏の終わりに』シリーズに近い抑えたシンプルなバラードナンバーとなっているが、森友のボーカルが他の曲とは異なっていてちょっと変な感じ。抑えた歌い方をしているせいもあるが、仮歌段階だったのか、声の調子が良くなかった解散前の晩期のレコーディング曲だったのかは不明。
『LEGENDS』にはアレンジ表記が無かったが、BOX『T-BOLAN THE COMPLETE』で初めて編曲表記され、池田大介だった事が判明している。池田大介の関与は「Be Myself」のみだったが実はもう1曲あったことになる。
★★★☆☆
6thベスト『LEGENDS』
DVDシングル Re:I
18年10月17日
『サイボーグ009』とのコラボによる再結成後初のシングルはDVDシングル。2012年~2014年の復活時は結局1曲も新曲を作らずに終わったので、2017年の再結成後『T-BOLAN~夏の終わりに BEST~LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』に収録された「ずっと 君を」に続く2作目の新曲となる。CD化されておらず、配信でもリリースされていないので映像としてしか流通していない。DVDにはMVの形で1曲収録されているのみ。2020年4月にYouTubeでMVが公開された事で楽曲のフル視聴が可能になった。よってYouTubeで見るか、DVDで見るかの二択となっていたが、2022年の6thアルバム『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』でようやくCD化された。その後7月10日の全曲ST配信の際もシングルとしては配信されずアルバム収録曲としての配信のみ。
Re:I
作詞:森友嵐士、作曲:五味孝氏、編曲:T-BOLAN
『サイボーグ009』にも興味がなく、当時スルーしてしまったが2020年4月にYouTubeでMVが公開されたのでそこで初めて聞いた。
森友のソロ作も最初は全部バラード、2015年の『PEACE ROCK』でようやくロックナンバーが復活したが何故かあからさまな打ち込みロックでアーリー90’sを再現したかのような正直古臭い音作りだったのでしっくり来なかったが、今作ではついに今のメンバーが奏でる新しいロックが聞ける(上野氏がどこまで参加できているかは不透明だが)。今の声に合わせて高く声を張り上げる事は無く、低めに地を這うようなメロディー展開になっているが、どういうわけか声が加工されたロボトミーボイスになっているのが残念。『サイボーグ009』とのコラボなので、ボーカルをサイボーグ風にしてサイボーグ感を醸し出してみた…のだろうか…。
★★★☆☆
6thアルバム『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
配信シングル 俺たちのストーリー/My life is My way 2020
20年2月5日(ライブDVD特典CD)
20年11月26日(配信限定)
Amazon Primeビデオで配信されたドラマ『湘南純愛組!』OPと主題歌で、ドラマと同時期に発売になったライブDVD『T-BOLAN 30th Anniversary LIVE Tour「the Best」~励~』に付属したCDで最初に発表され、関西テレビで地上波放送が開始された11月26日に合わせて配信限定シングルとして発売された。単独CDでの発売は無く、ストリーミングはしていなかった。MVを作っていないのでYouTubeにも無い。2022年のアルバム『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』には2曲とも収録された。2022年7月10日の全曲ST配信の際は今作はシングルとしてのST配信はされずにアルバム収録曲としてのみ配信された。前述のように元々DL配信では出ていたのでDLではシングルとしての配信も継続している。
再結成後3曲目となる新曲と過去曲リメイクの両A面扱い。公式サイトディスコグラフィーに映像作品掲載が無く、今作は配信シングル基準でシングル欄に掲載されている。
『湘南純愛組!』は『GTO』主人公鬼塚英吉の高校時代を描いた作品だが後から書かれた前日譚ではなくそもそも『湘南純愛組!』が先に連載されていて完結後にその数年後を描いた続編として始まったのが『GTO』である。『湘南純愛組!』は当時も何度かOVA、オリジナルビデオの形でアニメ化、実写化はされているが、98年の反町隆史主演で大ヒットしたドラマ、続けてのゴールデン枠で放送されていたアニメ版、EXILEのAKIRAでリメイクしたドラマがいずれもヒットしていて後発作品の『GTO』の方が圧倒的に有名なので知名度には大きな差がある。
ドラマ自体がT-BOLANとのコラボという形で他にも既存のT-BOLAN楽曲が挿入歌として使用されたがT-BOLANに交じってドラマ版主題歌の反町隆史「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」もちゃっかり使用されたという…。
俺たちのストーリー
作詞:森友嵐士、作曲:五味孝氏
「Re:I」よりもゴキゲンなノリのポップロックナンバー。80年代後半~アーリー90’s全開なノリをあえて今やっているかのようなサウンドだが、やはりあまり高く声を張らないようなメロディー展開になっているのでもう1つ盛り上がり切らない感じもする。ただ前回のようなサイボーグボイスではないので聞きやすい。初期にはBOØWYパロディみたいなノリも散見されたが今回は久々に開き直ってBOØWYパロディをやっているようでもある。『湘南純愛組!』の作品世界や不良像が昭和から平成初期の過去のものになっているのもあるが、そういったノスタルジーが久々のBOØWYパロディを呼んだのか…。
原作『湘南純愛組!』はT-BOLANの現役活動期間と一致した連載期間でコミックス基準だと91年~96年まで31巻で完結していて実はほぼT-BOLANと共にあった。不良が憧れるロックというコンセプトを長戸大幸が掲げたT-BOLANにとってはまさにその対象である不良と時代がピタリ一致しており、あの頃のターゲット層へ…みたいな意味合いもあり、どこか懐かしい感じもある。良くも悪くも90年代前半のロックバンドが今あの頃を思いながら鳴らす新曲といった装い。遠くなった90年代と年齢を重ねた渋みが合わさった独特の味わいだ。
★★★☆☆
6thアルバム『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
My life is My way 2020
ライブでも盛り上がるアップテンポなロックナンバーだった原曲を2020年バージョンでリメイクしたら…なんとまさかのスローバラード化。勢いがあるから映えるようなサビの歌詞がウォウウォウ言っている曲をまさかバラードに改変してしまうとは大胆な…。サビ以外は特に勢いで聞いていたので最早別の曲過ぎて歌詞とメロディーが同じでも同じ曲だと認識できないような変貌っぷり。
★★★☆☆
6thアルバム『愛の爆弾=CHERISH~アインシュタインからの伝言~』
8thベスト『T-BOLAN COMPLETE SINGLES~SATISFY~』
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