サザンオールスターズ 40周年シングル+回顧6~1991-1993~

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サザンオールスターズ 40周年シングル+回顧6~1991-1993~

90年代CDバブルの時代の必勝パターンであるドラマタイアップにより、シングルでの初のミリオンヒットをたたき出し、最高売上を連続で更新したセールス上の躍進期。売上上位を並べていくと軒並みこれまでよりもここからの作品の方が上位を締めてくる。

人気も売上も拡大する一方でこの3年間は丸々ベース関口の休養期でもあった。かつて原由子が休んだ時に1度「Mind」と表記したことがあったが、この3年間クレジットは据え置き(Bass表記そのまま)で演奏には全面不参加、しかしジャケット写真などには時々顔を出す…というなんだか良く分からない不透明な参加状況となっていた。また関口のべースはサポートよりも打ち込みで済ませる事が多かったが、ギター、キーボード、ついにはドラムにまでサポートメンバーの表記が入るようになり、サザンオールスターズ&オールスターズ化は進行。

そんな状態のまま、関口が復帰することなく、93年末には第2期桑田ソロ活動が始まり、並行してシングル「クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)」をリリース後、94年は再びサザンの活動は休止状態となった。

2018.6執筆
2008年30周年時に聞いてないシングルがありながら禁断の空欄突破で公開した過去曲回顧「30周年シングルレビュー」を、2013年35周年復活時にA面全曲聞いた上での完成版「35周年シングルレビュー~1978-2008~」として公開。
今回は40周年を記念して全C/W追加各アルバムからも数曲ずつピックアップして全面リメイク。以前書いたA面部分もほとんど破棄して書き直している。
シングルは05年リマスター盤、アルバムは08年リマスター盤を全て聞いての執筆。
2023.6 文字サイズ、リンクの調整

29th ネオ・ブラボー!!

ネオ・ブラボー!!
91年7月10日
「さよならベイビー」に続く2度目の1位獲得シングル。今作よりベース関口が病気療養を理由に活動休止に突入した。しかし今作に関しては何故か関口がジャケット撮影にだけ参加しており、よりによってジャケット中央付近になんか普通にいる

結果的にはこれが6人が表情までハッキリ写っている最後のジャケット写真となった(以降はメンバー不在のジャケットばかりで、唯一「BLUE HEAVEN」では6人が出ているが一部メンバーの顔が隠れてしまっている)

ベースとコーラスでクレジットもされているが、レコーディングには参加していないというのが通説になっており、実際根岸孝旨がベースでゲスト参加している表記がある。ただ原由子がいるのに片山敦夫がキーボードでゲスト参加もしていたりもする。正直この辺りからは松田弘のドラム以外はメンバーがいてもメンバーの担当楽器でサポートメンバーが入ってくるのは割と当たり前になってはいく(キーボードがさりげに最も多い)。Computer Operationとしてゲスト参加している角谷仁宣片山敦夫も現在に至るまでサザン・桑田ソロの側近的サポートメンバーになるし、現体制へ繋がっていく始まりの時期だったともいえる。

ネオ・ブラボー!!

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
小林武史は不参加でストレートにバンドサウンドで勝負したポップロックチューン。1位獲得も納得の一連のヒット曲と並んでも遜色ないいわゆるサザンらしい夏のヒット曲の1つといえるような楽曲。しかし何故か異様に扱いが悪く、オリジナルアルバム未収録なのはまだ他にもあるとはいえ、『HAPPY!』に外され、夏の曲なのに『海のYeah!!』にまで外されてしまったため、そのままアルバム収録の機会を逃し、完全アルバム未収録シングルの1つとなってしまった。

ライブでも発売当時はよく披露されていたようだが、『HAPPY!』未収録辺りから一気にレア曲化して、以降は00年に1回ポッキリだとか…。つまり関口復帰後に関口が演奏したのはこの00年が最初となったが、この00年のライブでは今度は大森が休養していた(後に脱退)ため、結局ライブで6人揃って演奏されなかったという事に…。ジャケットでは綺麗に6人揃っているのにどうしてこうなった。

こんな不遇なだけに現在の知名度は一連のヒット曲からは大きくかけ離れてしまったが…個人的にはアルバム未収録なのでどうしても後追いで聞かざるを得なかったシングル群の中ではこの曲だけは1発でいい曲だ、これは90年代のヒット曲だと思えた。しかし前作に続いてキーが高いな…。
★★★★☆
アルバム未収録

C/W 冷たい夏

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ
アコースティックなミディアムバラード。一応夏の曲ではあるが、ふいに気温が下がった夏としては涼しさを感じる雨の日とかが実に似合う感じの曲。C/Wだけに「ネオ・ブラボー!!」以上に埋もれた存在になっていたが、『バラッド3』収録により知名度大逆転を引き起こすことに成功。「ネオ・ブラボー!!」まだ聞いたことない(もしくは持ってない)けど「冷たい夏」は好きだというリスナーも今はけっこういるかも。しかしこの時期って高音ギリギリやファルセットまで行くような歌うのきつそうな曲が多いような…。
★★★☆☆
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

30th シュラバ★ラ★バンバ

シュラバ★ラ★バンバ
92年7月18日
初の2枚同時発売。「涙のキッス」と同発。1,2位を独占し(今作は2位)、2作揃って一気に過去29枚のシングル売上を突破して過去最高、2番目の大ヒットを記録。「涙のキッス」が大ヒットしすぎた影響で、やや影が薄くなってしまっているものの、こちらもミリオンに迫る売上を記録している。

関口は引き続き休養中だったが、今作は真っ白なジャケットでメンバー写真が無く、「涙のキッス」の方も写真が無く、またクレジットには普通にベースとして関口の名前が掲載されている上に今作ではベースを打ち込み処理したためベースのサポート参加がない。よって作品単独で情報だけを見ると関口がまるで参加しているかのようになっている。ベースが打ち込みといってもベースに限らず全体にバンドっぽさが薄いのでベースだけが不参加とか音だけ聞いても正直分から

アルバム『世に万葉の花が咲くなり』への先行シングルでもあり、C/W含めて4曲とも収録された。

シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:Tommy Snyder、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
小林武史が再び参加。今度はガッツリ参加しているのかこの『世に万葉の花が咲くなり』期では編曲表記で小林武史の方が前に出ている。これまで同様どころかこれまで以上に小林武史のアイデアが炸裂しているものと思われる。

ラテンのようなファンクのようなディスコのような…最早何が何だか分からないハチャメチャなアレンジに当て字を全開にした意味不明な歌詞。これは一体何なのか容易には説明できないような不思議な楽曲。しかし単なる謎曲に終わらずによく分からないけどなんか凄い、良く分からないけど物凄く耳に残る。果てしなく攻めながらもヒット曲然としてまとめ上げてしまった辺り、この時期の小林武史の才能とサザンオールスターズの勢いは相当脂が乗っていたんだろうなと思う。今作に関しては意図的なのか打ち込みのベース音がやたら強めにミョンミョンと機械的な音を出していて効果的。逆にこれで関口が普通に参加していたらこのベースどうしていたんだろうか。
★★★☆☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!

C/W 君だけに夢をもう一度

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
爽やかなポップナンバー。当初表題曲として春に発売予定だったがインパクトが弱いという理由で取りやめになったとも言われている。確かに「シュラバ★ラ★バンバ」に比べればインパクトは弱くなってしまうが、かといってC/Wとしてはこれまでの中でもかなり高水準なポップナンバーだと思う。ポップスとしての完成度の高さゆえにロックバンドっぽさが希薄になってしまう小林武史らしさもこの頃から健在。
★★★☆☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり

31st 涙のキッス

涙のキッス
92年7月18日
初の2枚同時発売で「シュラバ★ラ★バンバ」と同発。「シュラバ★ラ★バンバ」は2週連続2位だったが、今作は7週連続1位を獲得。初のミリオンセラーを達成した。売上は150万枚を突破しており、現在も3番ヒット作。1992年の年間チャートでは5位。記録面でも筆頭格の大ヒット曲となっている。

今作でも関口は普通にベースとしてクレジットされているが、ゲストとして美久月千晴がベースで参加している。

涙のキッス

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
ドラマ『ずっとあなたが好きだった』主題歌。初回13%と当時としては低視聴率だったが、佐野史郎演じる冬彦の強烈なキャラクターが「冬彦さん現象」として大ブームとなり、最終回の視聴率が34.1%を記録。徐々に話題作となったドラマだった。佐野史郎が以後個性派俳優として現在も活躍している事もあってドラマを知らないのに「冬彦さん現象」という単語だけは90年代後半頃にはもうなんかそういうブームが過去にあったと認識していた。「僕は死にましぇ~~~~ん」とかと同じような現象だと思う。

ド王道のサザンバラード…ではあるが、ここまでのシングルを聞いてみると当時は割とありそうでこの手のシングルはそんなには無く、それこそ越えられないと思われた大ヒット曲「いとしのエリー」が鉄壁でサザンの代表バラードとしてあったわけで。そんな中で時代が変わったとはいえそこを越えていく大ヒットバラードになったので、ここで増えたファンも多かったと思うし、多くの人の思い出の1曲になっていそうな大ヒット曲だ。

個人的にはリアルタイムではないが知らない間に知っている曲になっていた曲の1つ。ただいい曲だとは思うけど正直なところけっこうまったりしているので『海のYeah!!』や『バラッド3』を聞いていても飛ばしてしまう事が多くてそんなに好きな曲だという認識はない。なのでカラオケで歌った事も無いが、たぶんこの曲は自然と全部歌えてしまうくらいはサビ以外のメロディーに至るまで覚えている。こういう曲は自分の中ではかなり珍しい。

また今作では小倉博和がギターで参加している。桑田さんは小倉博和のギターにかなり惚れ込んだらしく、次のソロでは全面起用するが、当初はガットギターなどサザンにおいては部分的な登板に留めていた。サザンには大森という正規のギターメンバーがいる手前、いくら小倉博和のギターが良くてもホイホイ全面起用するわけにもいかなかったと思われるが、今作ではアコースティックギターを桑田が弾いているので、大森の立場がかなり窮屈に思えてしまうところがある。
★★★☆☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

C/W ホリデイ~スリラー「魔の休日」より

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
曲調はかなり軽快な打ち込みっぽいポップナンバーだが、歌詞がサスペンス調という謎曲。アルバムから先行で切るにしてもなんかもっと他に曲あっただろうに何故この曲だったのか。冬彦さんがある意味でサスペンスだったみたいなのでタイアップシングルのC/Wとしてあながち間違ってはいなかったのかもしれないが…。
★★★☆☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり

From 11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり』

世に万葉の花が咲くなり(リマスタリング盤) Original recording
92年9月26日
前2作では部分参加だった小林武史が全面参加した唯一のオリジナルアルバム。またベース関口が休養中だったため全面的に不参加と思われるが、写真やクレジットがあったりと曖昧になっている。小林武史やサポートメンバーがキーボード、ギター、ベース、ドラムなどメンバー担当楽器で多数参加しているほか、多数のギタリストが参加するなどサザンオールスターズ&オールスターズ状態は今作でも進行。ベースはサポートを入れるより打ち込みで済ませたものが多いのが特徴でこれに引っ張られるかのようにドラムまで打ち込みになるなどメンバーの生演奏の比重は少なく、サウンド面でかなり凝った印象のアルバムとなっている。

せつない胸に風が吹いてた

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
夢をあきらめて現実を生きていく友人たちへの寂しさと戻らない日々の切なさを歌った楽曲。学生が終わっていくという日々の中でこのような思いをしたり、または去っていく側になっていく経験は誰しもやがて経験しなくてはならない。まだその現実が立ちふさがる前に聞いた時はバラッドシリーズなのにいくつか入ってるどう考えてもバラードじゃないアップテンポナンバー、ちょっと切ないけどいい曲…程度の認識しか無かったが…。その時を経過すると沁みるなこの曲は…。サザンメンバーとしてはバンド活動を継続してプロになったのでまあ相応に犠牲にしたものはあったとはいえ夢を叶えた側ではあるんだけどこの曲はどちらの側に立っても響く。“ためらいがちに歩いた遠い過去が終わりの無い道に変わる”。終わりのない道を進む全ての大人に捧げられた1曲。
★★★★☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

CHRISTMAS TIME FOREVER

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:Tommy Snyder、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
サザンでは「シャ・ラ・ラ」以来のクリスマスソング。といっても「シャ・ラ・ラ」は終盤の歌詞にクリスマスが出てくる以外にそれっぽい装飾もされていなかったので、媒体によっては今作をサザン初のクリスマスソングと紹介している事もある。クリスマスっぽいあたたかなサウンドに世界平和を祈るような大きなテーマになっており、チャイルドコーラスまで入ってくるのでサザン流の『Happy Xmas(War Is Over)』ともいえる。マニアックな要素の強いアルバムを分かりやすくポップに締める良曲。
★★★★☆
11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり

32nd エロティカ・セブン EROTICA SEVEN

93年7月21日
2年連続での2枚同時発売。「素敵なバーディー(NO NO BIRDY)」との同発。またこれにて90年より4年連続7月シングル発売となり、夏を全面アピールしていたTUBEの存在もあって、サザンに対しての夏バンドの印象も相乗効果でより高まったものと思われる。

2週連続1位、猛烈な勢いで「涙のキッス」を超えて170万枚を突破。自身最大のヒット作として00年まで君臨、「TSUNAMI」に抜かれた現在でも2番ヒット作となっている。

前年に引き続いて関口は休養中で今作のジャケットでは関口休養後、初めて関口抜きの5人のみでジャケットに登場している。

エロティカ・セブン EROTICA SEVEN

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、編曲補:片山敦夫
ドラマ『悪魔のKISS』主題歌。ホーンを生かした歌謡路線の楽曲はこれまでもあり、得意技の1つと思われるが、今作は全体に打ち込み色が強い。というかこれもうあんまりバンドの曲じゃなくね…?という勢い。ド派手なサウンドとエロティックながら意味不明な歌詞、畳みかけるメロディーには強いインパクトがあり、好き嫌いに関わらず聞き手の耳に強烈な爪跡を残す曲だと思う。

『海のYeah!!』では今作は特に音質が悪いと指摘する声が多い。『海のYeah!!』で初めて聞いて以降、そこでしか聞いたことが無かったので05年リマスター盤を聞くまで意識もしていなかったが、リマスター盤を聞くと音質向上というよりも『海のYeah!!』の今作だけ確かに妙に音が悪かったんだなと思った。妙に音がこもってしまっていて…。古い音源を一気に並べるため98年当時の音圧に負けないようにとりあえず低音域を強めにして高音域を疎かにしてしまった結果…?いずれにせよ失態レベルの音の悪さだよなぁこれ…。
★★★☆☆
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!

C/W 9月の風

作曲:大森隆志、編曲:サザンオールスターズ、編曲補:片山敦夫
大森によるINSTRUMENTAL。母を亡くした思いを曲にしたとされており、どこか切ない感じも漂う癒しの1曲。サザンのリードギタリストでありながら、様々なギターサポートメンバーの演奏が入るようになってやや窮屈そうだった大森だが今作にはサポート表記が無く、またさすがに本人が書いてきた曲に対して桑田さんが率先してギターをリードすることも無かったと思うので、今作では聴こえるギターは基本的に大森が奏でるギター100%と思われる。
★★★☆☆
アルバム未収録

33rd 素敵なバーディー(NO NO BIRDY)

素敵なバーディー
93年7月21日
2年連続での2枚同時発売。「エロティカ・セブン」と同時発売だったが、今作の売上は50万程度。前年以上のすさまじい売上格差が生じ、売上差だけでミリオン以上(120万枚)に及んだ。新曲シングルの2枚同時発売でここまでの大差がついた例はたぶん史上唯一ではないか…。当時のサザンの固定ファン数とドラマタイアップ効果を図る上では重要な記録かもしれない。

「エロティカ・セブン」同様に今作のジャケットも関口抜きの5人のみで写っている。サザンのシングルで桑田単独で桑田の顔がハッキリ写っているものは以降もいくつかあるが、桑田以外のメンバーの顔がハッキリ写っているものは現時点で今作が最後である(「BLUE HEAVEN」は6人で写っているが一部メンバーの顔がハッキリ写っていない)。

素敵なバーディー(NO NO BIRDY)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:サザンオールスターズ、編曲補:片山敦夫
優しい雰囲気の3連ミディアムナンバー。サビメロが似ているという事で「ラチエン通りのシスター」「栞のテーマ」と並べられやすい系統の楽曲だと思うんだけど、やや影が薄い。十分にいい曲ではあると思うんだけど、『海のYeah!!』で聞いた時も割と印象に残ってきたのは後になってからだったし、そもそもシングルだとは思っていなかった(同時発売だったのも随分後になってから知った)。ただ派手な曲に疲れた時にふっと癒しになるような曲でもあると思う。こういう曲が意外と欠かせない
★★★☆☆
限定ベスト『HAPPY!
ベスト『海のYeah!!
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

C/W 遥かなる瞬間(とき)

作詞作曲:松田弘、編曲:サザンオールスターズ、編曲補:片山敦夫
松田弘ボーカル曲。なんと気がつけば11年ぶりソロボーカル曲。過去2曲とも桑田作だったが今作は初めて自身で書き下ろしている。83年の自身のソロアルバムでも曲を書いていなかったので正真正銘最初に世に出た松田曲。失恋ミディアムナンバーでバンドっぽさは薄めで、サザンというよりソロプロジェクトみたいだが独特の雰囲気はよく出ていると思う。ただなんか初期の頃よりボーカルが素人っぽくなってるような…。
★★★☆☆
限定ベスト『HAPPY!

江ノ島 Southern All Stars Golden Hits Medle
/Z団

江ノ島
93年9月8日、93年8月21日(LP盤先行発売)
「エロティカ・セブン」「素敵なバーディー(NO NO BIRDY)」がヒットする中で、Z団を名乗る謎の集団がサザンのマスター音源を盗んだと表明し、リミックス音源を発売するという謎の告知を行った。現在のサザンの公式サイトには“「江ノ島レコード」という架空のレコード会社から発売するという暴挙でマスコミを混乱させ、発売日にはユーザーが店頭に列をなす騒ぎとなった。”と書かれている。

現在もZ団が何者なのかは不明のままだが、ネットが発達していない時代だからこそ出来たマスメディアを使ってのプロモーションであったと思われる。CD発売の情報にしてもCD屋と雑誌、TV、ラジオくらいしかなく、ファン同士が情報を共有する事が出来ない時代だっただけにSNSが発達した現代の感覚で想像するよりも遥かに謎が謎呼んで盛り上がっていたようだ。

レコードで先に発売され、そしてCDで発売された。ジャケットはアルバム『NUDE MAN』のジャケットを加工したもの。クレジットは一切なく、ペラ1枚のブックレットにはイラストやいくつかの英文(Standoooh!! Areeena C’moooonなど)が書かれているのみ。以降も詳細が明かされていないため、今作の制作を実際に誰が行ったかも不明のまま

帯には“「勝手にシンドバッド」から「エロティカ・セブン」まで”と書かれている。「素敵なバーディー(NO NO BIRDY)」は選出されなかったためスルーされてしまったようだ。

CDの方は通常のアルバムサイズで収録時間は17分以上に及んだが1トラックしかないため、O社ではシングルとしてランクイン。ドリカムが1位だったため、2位止まりだったが90万枚を突破する大ヒットを記録した。

江ノ島 Southern All Stars Golden Hits Medley

デビューから最新作までのシングル、アルバムからおおよそ歌入りの部分で30曲ほどがリミックスされてメドレー展開する。演奏の断片部分のみ引用された曲もいくつかある。基本的にはオリジナル音源を加工して繋いでいる感じで、メドレーとして新たに録音したわけではない。ただ随所で桑田による「スタンドアリーナ!カモーーーン!!」という叫びが入ってきており(これ以外に他の叫びもある)、この声は過去のCDには無かった今作で初収録となる音声である。過去のライブ映像から音声を抜き取ったのか、このためだけに桑田が「スタンドアリーナ!カモーーーン!!」などいくつかの叫びを録音したのかは不明。

78~93年までの楽曲という、初めて今作の感想を書いた2013年時点で20年、改めてこれを書いている2018年時点で実に25年以上前の曲のメドレーということになるがそれでも十分にヒットパレードとして楽しめる。サザンが非常に長く愛され、楽曲が色あせていない、忘れ去られていないという事を改めて実感できる。17分に濃縮してのメドレーという事もあって、かなりお手軽にささっと聞けるのも意外と楽しい。
★★★★☆
アルバム未収録

34th クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)

クリスマス・ラブ
93年11月20日
10月に桑田佳祐はソロで「真夜中のダンディー」をリリース。2期ソロ活動を開始していたが、1ヶ月後にはサザンとして今作が発売された。結果的には今作が小林武史が参加した最終シングルとなった。同時期にMr.Children「CROSS ROAD」が発売されており、これにてMr.Childrenは大ブレイク。プロデューサーとしての小林武史も多忙を極めていくようになる。後に桑田が冗談めかして小林武史を危ない奴だと語ったとも言われており、その意味はこのままでは小林武史に頼りきりになってしまうことを危惧したという事だが、00年半ば以降の小林武史のプロデュースワークを思うと確かに…。

今作を最後に94年は桑田佳祐2期ソロ活動が本格化。ソロでの初のツアーも行われるなど完全にソロへ移行したため、サザンは再び休止状態となった。

オフコース、チューリップ、安全地帯とこの少し前に解散、もしくは長期休止になったバンドはいずれもボーカルのソロ活動がバンドと並行して行われるようになり、やがて解散・休止してソロ活動に全振り…というパターンであったため、続ける事が美徳な現代と異なり今より遥かに解散が容易だった当時既にかなりのキャリアになっていたサザンオールスターズもこの流れではかなり解散を心配されたのではないかと思う。結局ここまでの間に関口も休養したままだったし…。

クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)

作詞作曲:桑田佳祐、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
ストレートなクリスマスソング。ラストのコーラスが長いため6分近い長尺になっているが、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドに挑んだという渾身のサウンドとクリスマスっぽさがマッチしていて、サザンのクリスマスソングの中では個人的には最も好き。『バラッド3』まで聞く機会が無かったが、全体に地味な曲続きで思ったほどパッとしなかった…(既に聞いていた『海のYeah!!』『Young Love』『さくら』収録曲除く初聞きの曲に対して)という印象だった『バラッド3』においてこの曲だけ1発で気に入ってやたらリピートしまくった。一方あまりにクリスマス全開なので、クリスマスシーズンにならないとほとんど聞く気にならない曲でもある。

前年に「CHRISTMAS TIME FOREVER」を発表していたため、わずか1年数ヵ月でまたクリスマスソングというのはやや早かった気がするし、そもそもソロ活動に突入するタイミングだったのに今作をサザンとして制作したのは若干謎も残る。副題つけてるけど「クリスマス・ラブ」ってタイトルからしても山下達郎の「クリスマス・イブ」の時空を超えたスタンダード化ヒットに触発されて、長く愛されるクリスマススタンダードなヒットシングルを出したいという考えもあったりしたのだろうか。

実際この曲、94年末、95年末にもトップ100ギリギリに再ランクインしており、山下達郎のように毎年パッケージを変えて再発したりと後押しすればもう少しスタンダード化に近づけたのではないかと思う。
★★★★★
限定ベスト『HAPPY!
3rdバラッドベスト『バラッド3~the album of LOVE~

C/W ゆけ!! 力道山

作詞作曲:桑田佳祐、英語補作詞:Tommy Snyder、編曲:小林武史&サザンオールスターズ
力道山とは昭和の超人気プロレスラーで、作中では力道山だけではないプロレス愛が炸裂する。完全に桑田個人の趣味による曲。昭和30年代とか40年代とかその辺りに少年期を過ごした世代にとってはプロレスはもっと身近なものであり、ヒーローであったらしい。90年代に少年時代を過ごした者としてはプロレスは同級生の間でも全く興味ない人大半、たま~に熱狂的な奴がいるという感じだったのであまり実感はない。ただ昭和モノのドラマや映画だとさりげなくプロレス熱狂の描写って入ってくるのでなんか上の世代にとってはもっと共通の関心事だったようなそういうイメージがある。

そんなプロレス愛が炸裂する曲だが、曲調は本格的なファンク。プロレスのイメージとは全く異なるかなり渋い仕上がりで、音だけ聞くととてもプロレスの事を歌っている曲には思えないし、逆に歌詞だけ見るとこんなファンクだとは思わない。かなりミスマッチ感が漂うがそれこそが狙いか。
★★★☆☆
限定ベスト『HAPPY!

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