倉木麻衣 20周年シングル回顧2~2002-2008~

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倉木麻衣 20周年シングル回顧2~2002-2008~

この時期になるとシングル売上は10万枚を下回るようになっていったので、もう知らない人は知らないという状態になってきていたんじゃないかと思う。一方で紅白歌合戦には03~05年に3年連続で出演した。この時期はTVに出ておらず、この3年間も”紅白でだけTVに出てくる人”だった。この3年間では「Stay by my side」「明日へ架ける橋」「Love, Day After Tomorrow」という選曲で、NHKタイアップだった「明日へ架ける橋」以外はその年の曲を歌う事は出来なかった。最初の2年は中継出演させてもらうなど大物扱いではあったが、正直人気が伴わなくなってきている感もあって、3年目はかなり厳しい感じがしていたが案の定3年連続で途切れた…。

05年にはセルフプロデュースへ移行。まもなく長戸大幸の長戸大幸名義でのプロデューサー復帰により、以降は連名となった。2007年にはGIZAから新たに設立したNORTHERN MUSICへ移籍するなど環境の変化もあった。NORTHERN MUSICへ移籍以降は外部作家の起用が増加した。

2019.10~11執筆、10周年時2009年に行った過去曲回顧の完全破棄リメイク

14th Make my day

Make my day
02年12月4日
作編曲:徳永暁人
編曲:Cybersound(album version)

フジ系スポーツニュース番組『感動ファクトリーすぽると!』テーマ曲。02~05年までの感動ファクトリー時代はテーマ曲をビーイングGIZAが占拠していて最終的にテーマ曲集が出るほど(10曲溜まった)であった。同タイアップの起用は2ndアルバム収録曲「Come on! Come on!」に続いて2度目だが、シングルとして出されたのは初となった。この時点でまだ1度しか1位を取った事の無かったTOKIO『ding-dong』に1.5万枚差で1位を献上、安定の初登場2位を継続した。

こんなシングルあったっけ?と思われがちな超不遇シングルの1つで3度のベスト盤オールスルー。しかもよりによって4thアルバム収録時もすぽると主題歌コンピ盤収録時もCybersoundでリアレンジしたalbum versionになっていたもんだから、シングルバージョンが20周年ベストまでアルバム未収録のままであった。

エレキギターと打ち込みリズムが曲を引っ張っていくのが印象的な攻めの姿勢の楽曲。アタックの強さがそれなりにインパクトを残すのでそれなりに記憶に残りやすい曲で意外とクセになる曲だがビミョーといえばビミョーなノリの曲なので扱いが悪いのも分からなくも無い…。

Cybersoundによるalbum versionではギターが引っ込み、リズムの音色や響きも変わっているほか、エフェクトが盛り込まれるなど全面的に手が入れられている。ただ完全に別アレンジというほど変わった印象でもない。連名ではなく編曲からは名前が消えたものの、Additional Programmingとして徳永暁人の名前が残されている事からも一からアレンジし直したわけではなく、徳永暁人のシングルバージョンをリミックスに近い形でアレンジし直したが、編曲に名前を残さないギリギリくらいまでは変えたという判断になるようなそんな作業だったのかも?
★★★☆☆
C/W(M-oZ mix)
4thアルバム『If I Believe』(album version)
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

15th Time after time~花舞う街で~

Time after time~花舞う街で~
03年3月5日
作曲:大野愛果、編曲:Cybersound
編曲:Cybersound、池田大介(theater version)

映画『名探偵コナン 迷宮の十字路』主題歌。服部平次の映画初出演作で京都を舞台にした内容で、倉木麻衣自身も京都の立命館大学に在籍しているのは公表されていたため、ある程度縁のあるタイアップだった。これに伴いCybersoundの海外風味のサウンドに加えてアコースティックギターの音色やコーラス、歌詞やメロディーにはの雰囲気が漂う、ここに来て新たな魅力を発揮した1曲になった。当時そこそこのヒット、そこそこの人気作程度だったものの、類似作が作られたりするほどではなかった。コナンが主に腐女子キャラ萌えの女性方面にファン層を拡大させていった中で、今作の評価も長く続いていたようで、特に2017年には再度平次が活躍する『から紅の恋歌』との縁で再放送されたり、「渡月橋~君 想ふ~」のC/Wに「Time after time~花舞う街で~(TIME TRAVEL PARADOX REMIX)」が収録されたりして再注目を浴び、和風テイストの曲が少し増えたので現在は代表曲の1つにまで上り詰めた感もある。

アルバムに収録されたtheater versionは文字通りに映画で使用されたアレンジで編曲に池田大介も参加冒頭がピアノで始まるといった変更がされているが、曲が始まるとアレンジ自体は同じ。クレジット上もキーボードに池田大介が参加しているだけでプログラミングは元のままのようなので、せいぜいミックスを少し変えた程度と思われる。個人的にはシングルバージョンの方が好きだが、前述のように映画人気に引っ張られてか、1stベストにはシングルバージョンで収録されたものの、以降のベストでは全部theater versionでわざわざ収録されていて最早そっちがメインアレンジくらいな勢いに変わっていった。しかし何故か肝心のコナン主題歌集では3回ともシングルバージョンで収録されている。むしろそっちはtheater versionで徹底すべきなんじゃ…。
★★★★☆
4thアルバム『If I Believe』(theater version)
1stベスト『Wish You The Best
2ndベスト『ALL MY BEST』(theater version)
シンフォニックアルバム(DVD+CD)『Symphonic Collection in Moscow』(シンフォニックアレンジ)
3rdベスト『MAI KURAKI BEST 151A-LOVE & HOPE-』(theater version)
4thベスト『倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21-真実はいつも歌にある!-』(theater version)
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

16th Kiss

KISS
03年4月30日
作曲:YOKO B.Stone、編曲:Cybersound
SEA BREEZEのCMソング。「Feel fine!」に続いて2年連続でのタイアップ。初動売上は前2作を上回るもあまり伸びずに累計売上は前作を下回った。しかし10万越えのヒット作は結果的に今作が最後となった。「Feel fine!」ほどではないとはいえタイアップ効果もあってこれより後のシングルに比べればそれなりに記憶されるような曲だったと思うし、年末に発売されたその年のGIZA studioの代表曲を集めたコンピ盤『GIZA studio Masterpiece BLEND 2003』に選曲され1曲目を飾るなど、当時は確かに03年の倉木麻衣、GIZAのトップ級のヒット曲として扱われていた。しかしどういうわけかその後のベスト盤に「Make my day」と並んで3連続でスルーされてしまうという憂い目に…。正直「Make my day」は分からなくもないが、割と大型タイアップ曲だったのにどうしてこうなった…。後追いだと4thアルバム聞くまで聞く事のない1曲になっているので現在はやや隠れ名曲化しつつあるかもしれない。

YOKO B.StoneによるシングルはMai.K名義の「Baby I Like」以来で倉木麻衣名義では唯一。YOKO B.Stoneはクールな曲が多いのでなかなかシングルA面にするには難しいところがあったのか、C/Wやアルバムでの起用が多かったが、今作はさすがにシングルになっただけあってクールなんだけどメロディーも良い。アコースティックサウンドを生かした削ぎ落された涼しげなトラックと心地よく展開するメロディーラインが初夏の陽気にも合っていた。ギラギラの夏とは真逆の湿度の低い風が爽やかに感じられる涼しげな夏といった感じ。

正直当時はスルーしてしまったんだけど、4thアルバムで聞いて実はかなり名曲だったんじゃないかと思い直したという個人的には後から来た名曲
★★★★★
4thアルバム『If I Believe
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

17th 風のららら

風のららら
03年5月28日
作曲:春畑道哉、編曲:Cybersound
編曲:小林哲(TV on air version)

アニメ「名探偵コナン」OP。TUBEの春畑道哉による提供。実際にアニメで使用されていたのは小林哲の編曲による完全な別アレンジ。そちらはバンドっぽいサウンドに仕上げられていてC/WにTV on air versionとして収録されている。TVサイズの1コーラスしか制作されていないため、後のベスト盤でもコナン主題歌集でもシングルバージョンしか収録されず、C/Wでしか聞く事ができない(『名探偵コナンテーマ曲集2』初回盤DVD収録のOP映像でTV on air versionの実際のOA映像を見ることは可能)。シングル化された際にはおなじみのCybersound編曲となった。シングルでのCybersoundの参加は今作を最後にしばらく途絶える。

かつて春畑道哉がZARDに提供した2曲は歌謡路線だったが今作は爽やか路線。Cybersoundによるいつものアレンジにより最早倉木麻衣にしか聞こえないくらい倉木麻衣の曲だがメロディーラインは前田亘輝の声でも想像できるようなTUBEらしさも感じられる。文字通りに風がらららと吹き抜けていくようなさわやかさ。というかイントロにさりげなく風が吹き抜けていくような音色が実際に入っている。サビでは1人追っかけコーラス状態で歌が前後に被りまくるのでレコーディング前提の楽曲でもあると思う(ライブで歌うには無理やり切るか半分はコーラスに任せないと歌えない)。

TV on air versionがもっと厚みのあるサウンドであればまたそれもいつもと違って良かったかもしれないが、小林哲のアレンジはZARD(「かけがえのないもの」とか)でもそうだったようにバンド風でも全体におとなしくまとめていて90年代ビーイングのような派手さはない。なんだかんだ倉木麻衣っぽいのはシングルバージョンだし、シングルが正解だったのかも。
★★★★☆
C/W(TV on air version)
4thアルバム『If I Believe
1stベスト『Wish You The Best
2ndベスト『ALL MY BEST
4thベスト『倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21-真実はいつも歌にある!-
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

If I Believe

IF I Believe
03年7月9日
作曲:大野愛果、編曲:Cybersound
4作連続表題曲にしてリード曲。過去3作は大文字小文字の使い方が異なっていたり、サブタイトルがあったりしたが、今作は初めてアルバム名と楽曲名の表記が一致。また「Kiss」に続いてSEA BREEZEのCMソングとなった。とっととチェンジされてしまったので「Kiss」の使用期間短くね?

「Kiss」「風のららら」と先行シングルのシンプルながら涼しげな作風を踏襲した楽曲。夏発売という事を意識して爽やかなサマーアルバムを印象付ける1曲。安定のシングルクオリティのアルバムリード曲といった印象の1曲ではあるが、かなりあっさりもしている。いきなり歌から入って30秒程度でもうサビに到達するような展開のシンプルさや、余計な盛り上げは何一つしないようなCybersoundの極みみたいなアレンジもあって、良くも悪くも作曲:大野愛果、編曲:Cybersoundという王道の組み合わせが到達するところに到達したようなそんな印象も。これ以降は大野愛果の参加も減るが、Cybersoundに至ってはしばらく完全に距離を置くような状態になったので初期の倉木麻衣の集大成のような1曲にもなった。
★★★★☆
4thアルバム『If I Believe

イミテイション・ゴールド
/TAK MATSUMOTO featuring 倉木麻衣

イミティション・ゴールド
03年10月8日
作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:徳永暁人
B’z松本孝弘のソロ名義の邦楽カバーアルバム『THE HIT PARADE』へ向けての先行シングル2作(先に出ていた1作はZARD傘下の『異邦人』)のうちの1作。C/Wは中村由利(GARNET CROW)ボーカルの「私は風」だった。売上は『異邦人』(2位)の半分程度だったが今作はラッキー週で1位を獲得。松本ソロ名義のシングルで初の1位、倉木麻衣としてもシングル1位は「Stay by my side」「Winter Bells」の2作しか無かったので3度目にして現時点で最後の1位。あくまでゲスト参加しただけの作品のため、倉木麻衣サイドでは1度も取り扱われた事が無い。

1977年山口百恵のカバー。気持ちよく鳴り響くギターと山口百恵を意識したような普段より色気の漂う声で歌う倉木麻衣のボーカルという2つをそのまま主役にしたような編成で、それ以外はチキチキタカタカとした軽いリズムなど当時の徳永サウンドど真ん中の作風。もう少し他の音も派手にいってほしいところでこの当時のサウンドは物足りなさが残るところなんだけど、しかしこれ以上派手にするとボーカルが埋もれるので結果オーライだったようにも思う。いずれにせよここまでやったことのないような楽曲だったので新鮮味が感じられる1曲。ただ1位こそ獲得したものの「異邦人」の方が話題になっていたので、第2弾が倉木麻衣というのは話題としては押され気味で正直たぶんあまり世間に記憶されていない感じが…。
★★★☆☆
TAK MATSUMOTOアルバム『THE HIT PARADE

18th 明日へ架ける橋

明日へ架ける橋
04年5月19日
作曲:徳永暁人、編曲:池田大介、徳永暁人
NHK夜の連続ドラマ『ドリーム~90日で1億円~』・『もっと恋セヨ乙女』・『火消し屋小町』3作連続主題歌。月~木の夜23時に15分放送されていき大体1作品1ヵ月強で完結するスタイルで、3作合わせて概ね連ドラ1クール強(3月末~8月半ば)であった。元旦のベスト明け1発目のシングルで2004年の新作リリースは今作のみ。初動は5万台まで下がったが、若干ロングヒットして累計は10万目前までは伸ばした。今作まで18作連続トップ3入りを達成していた。

いつもよりは若干、またこれ以降に比べればそこそこヒットしたとはいえ、正直そこまで世間にヒット曲として認知されたとは言い難かったがNHKタイアップだった事もあって、前年に続く2度目の紅白ではこの曲を歌唱。この際はリアレンジしてピアノ1本でよりスローバラードになっていた。この紅白でのアレンジは年明けの次のシングル『Love,needing』C/Wでballad ver.(徳永の単独編曲)として音源化された。

この曲に関してはNHKタイアップというのとゆず「栄光の架橋」との架け橋という共通するキーワードからNHKアテネオリンピックのテーマ曲として架け橋をキーワードとした楽曲というオーダーでプレゼンが行われてゆずが選ばれ、敗れたこの曲は代わりにドラマタイアップに割り振った…というような妄想を当時してしまったが、同じような事をレビューしているのをいくつか見た記憶もあり、96年は大黒摩季、00年はZARDとビーイングが2大会連続起用だったのもあって一部でそのように考えたリスナーも少なくなかったようだ。

いつもより若干壮大な感じでピアノとストリングスで美しくも静かに始まった後、2番からリズムも入ってくるという段々盛り上がり型のストレートなバラード曲。ただ後半にかけての盛り上がりも大ストリングスバラード時代に突入しかけていた当時としてはかなり抑え気味でもう少し盛り上がりそうなのに何だか思ったほど来ないままに曲が終わってしまう。壮大そうな割にはそこまで盛り上がらずに、しかも4分で終わってしまうコンパクトにまとめた構成も含めて時代には逆行していたようにも思うが、個人的にはこれ以降訪れた大ストバラ時代はホントウンザリって感じだったのでこういうシンプルさは貴重だったと思う。
★★★★☆
19thシングル『Love,needing』C/W(ballad ver.)
5thアルバム『FUSE OF LOVE
2ndベスト『ALL MY BEST
3rdベスト『MAI KURAKI BEST 151A-LOVE & HOPE-
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

19th Love,needing

Love,needing
05年1月26日
作曲:大野愛果、編曲:麻井寛史
これまでKANONJIのプロデュース扱いだったが、今作よりProduced by Mai Kuraki表記になってセルフプロデュースとなった(この後06年頃から倉木麻衣、長戸大幸の連名に変わり、90年代半ば以降消えていた長戸大幸の名義が復活)。そんなわけで色々と方向性が変わった転機の1曲。Cybersoundから離れて編曲にthe★tambourinesのベーシスト麻井寛史を招いてみたり、ジャケットで今までよりセクシーな雰囲気を漂わせてみたり(似合ってなかっ)と明らかに曲を聞く以前の段階から少し変わった感じはあった。今作でついに初登場5位となり、定位置の2位3位から陥落、さらに低迷していった。

曲の方もかなりクールで大人びた雰囲気。歌詞カードではサビ部分にChorus、Cメロ部分に大サビと謎の表記が…。クールなトラックや大人っぽい歌唱に色気があって…とかそれっぽい評価はされるんだろうけど、それよりも単にトラックが地味でメリハリが無い。イメージから逸脱していないいつもの感じではあるんだけど、違う人がCybersoundみたいなアレンジしてもなんだかんだけっこう違いが出るんだなぁと思った。
★★★☆☆
5thアルバム『FUSE OF LOVE
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

20th ダンシング

ダンシング
05年3月23日
作編曲:徳永暁人
ドワンゴ「いろメロ呼び出し中の音」CMソング、徳島ヴォルティステーマソングとWタイアップ。低音がやたらと効いたアップテンポナンバー。ありそうで割と使わない「ダンシング」という微妙なダサタイトルに加えて変にはじけた曲。編曲自体はシンプルでクールだが、変なインパクトは今作の方が圧倒的に強い。サビ頭から”一緒に君も心のシェルター崩してみようよワンツスリッフォッファイシッセブエンッ♪(1234567and)”、サビのラストでは”ダンシンダンシンダンシンダンシン♪”と力強く連呼。何だかよく分からないダンシングな世界にリスナーを誘い込もうとするが、最初聞いた時はちょっと唖然としてしまった。また一見突き抜けていってしまいそうでいて2番サビで一部声が加工されたり、2番サビ終わりでテンポが落ちたまま大サビへ突入したりと実験的な部分も含めて意外と聞きどころは多い

しかもPVでは散々ダンシンダンシン言っておきながらダンシンしてるのバックダンサーズじゃね?状態。やや怪曲じみた印象が残ったが、逆になんだかクセになってしまい、決して一緒に心のシェルター外してダンシングはしなかったが、しばらくして一時的にけっこう繰り返し聞いていた。全体に薄味で地味な『FUSE OF LOVE』期の楽曲ではこれが1番印象に残っている。当時スルーした人も是非心のシェルター崩して聞いてみれば何かクセになってくる…かも。
★★★☆☆
5thアルバム『FUSE OF LOVE
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

21st P.S♡MY SUNSHINE

P.S MY SUNSHINE
05年6月1日
作編曲:岡本仁志
フジ「めざましどようび」テーマ曲(4~6月)。GARNET CROWのギタリスト岡本仁志を起用。完全分業制のGARNET CROWにおいて作詞作曲編曲に彼の名前が登場することは無かったが、ソロミュージシャン、楽曲提供は数は多くないが行っていて倉木麻衣にもようやく登場となった。作家としての岡本仁志は上木彩矢との相性が良かった印象があるが、今作ではギタリストというよりも宅録打ち込みミュージシャンとしての側面が前面に出ていてかなり薄味トラック。朝のテーマ曲ということでさわやかな雰囲気になっているが、あまりにメロもアレンジも全体にすっきりしすぎていてそのまま綺麗に突き抜けていってしまう。

一方でPVでは倉木麻衣がコンビニ店員に扮してニコニコ笑顔を振りまいていてこれが今作最大の見所。初期のPVはあまり笑顔が無いか、黒人のバックバンドとワイワイやっているようなリスナーにとっては非日常空間にいる人なイメージしかなかったので、今作のナチュラルな感じの姿と朝偶然立ち寄ったコンビニでこんな笑顔に会えたら1日何だか頑張れる気がするだろうな的な笑顔、コンビニという身近な空間にいる姿に改めて倉木麻衣って物凄い美人だなと思った記憶がある。
★★★☆☆
C/W(DAY TRACK version)
5thアルバム『FUSE OF LOVE
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

Honey,feeling for me

FUSE OF LOVE
05年8月24日
作曲:大野愛果、編曲:鎌田真吾
5作目にして初めてタイトル曲が存在しないアルバムとなり、一応1曲目の今作がリード曲扱いとなった。先行シングル群のイメージに沿った薄味なバックトラックに、薄味なメロディー、薄味な歌唱が乗っかる、まさに象徴的リードトラック。甘く優しいラブソングになっていてこの雰囲気の良さが薄味ながらも甘みがあっていいなとは思う。正直当時はうす~い印象しかなかったんだけど、久々に改めて聞いてみたら思っていたよりもスーッと馴染んできた。いわゆるスルメ的な楽曲だったのかもしれない。

最初期に爆発的にインパクトを残して、さらにベスト盤を経ての次の作品展開でこうなってくるとまあ更なる地味化は不可避…ではあるよなぁ…。最初の頃は知っててもこの時期になるともう全然知らないって人も多いだろうし、この頃はコナンからも遠ざかっていたしな…。あと当時GIZA界隈のコミュニティは全盛期みたいになってて、『FUSE OF LOVE』がいかにダメであるかが力説されているのもどこかで見た記憶があるが、界隈に関わっていなくても知らずに印象引っ張られていたところはあったのかもしれない。
★★★☆☆
5thアルバム『FUSE OF LOVE

22nd Growing of my heart

Growing of my heart
05年11月9日
作曲:大野愛果、編曲:葉山たけし
アニメ「名探偵コナン」OP。「風のららら」以来の起用となったがこれの使用が03年8月までだったので2年ぶりにコナンに倉木麻衣が戻ってきた。04年は1年丸々倉木麻衣が一切起用されなかった事になるが、これは唯一である(主題歌起用が無かった年は02年、04年、07年、15年と4年あるが、04年以外の年は前の年から年を跨いで使用されていた曲がある)。

葉山たけしは00年頃を最後に大黒摩季と共にビーイングから離れて、しばらくビーイングに関わっていなかったが04年後半になってZARDの編曲に復帰。厚みのあるサウンド復活で往年のファンを喜ばせていたが、深刻なアレンジャー不足だったのかあっという間にZARD以外へも一気に関わっていくようになった。ここのところの特に薄いアレンジから一転して厚みが感じられて勢いのあるアップナンバー。前向きなのは変わっていないが、力強さが感じられるところに久々にキラーチューンが来たという印象を抱いた。ZARDとの兼ね合いもあってか倉木麻衣に葉山たけしという組み合わせはあまり多用されなかったが、たまに起用されると新鮮なので良かったと思う。

特に表記されていないが、次の「ベスト オブ ヒーロー」と共にシングルとアルバムで微妙に異なっていて、アレンジが全く違うというわけではないがなんとなく音の響きが異なる(ミックス変更?)。今作に関してはシングルにのみ冒頭にチッチッチッとクリック音が入ってから曲が始まるが、アルバム収録以降ではクリック音は抹消されているのでド頭で違いを判別しやすい。
★★★★☆
6thアルバム『DIAMOND WAVE』(表記は無いがアルバムバージョン)
2ndベスト『ALL MY BEST』(表記は無いがアルバムバージョン)
4thベスト『倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21-真実はいつも歌にある!-』(表記は無いがアルバムバージョン)
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

23rd ベスト オブ ヒーロー

ベスト オブ ヒーロー
06年2月8日
作編曲:徳永暁人
TBS系ドラマ『ガチバカ!』主題歌。民放ゴールデンタイムでの日本のドラマ主題歌は初。しかし主題歌決定発表の後にエイベックスが当時ごり押ししていたAAAがオープニングテーマを担当する事が発表され、主題歌の印象が薄れるのが懸念され、熱血教師の学園ドラマという前年に大ヒットした「ごくせん」便乗みたいな内容から二番煎じにもなれずにドラマは初回から一桁視聴率でコケてしまった。当然主題歌もヒットせず…。

ストレートにポジティブな学園応援歌でこれまた「ごくせん」主題歌としてヒットしたD-51「NO MORE CRY」を明らかに意識したような曲調で、今回に関してはD-51みたいなので!というオーダーだったのか、自ら流行に合わせたのかは分からないが、多少無理してでも寄せていった感じがある。しかしこれだともう少しハッキリした歌声のシンガーの方が似合っている感じで、この当時ならそれこそ愛内里菜の方が適任っぽくて倉木麻衣にはちょっと合ってなかった気がする。あと前作ほどではないがシングルとアルバム以降ではなんとな~く音の感じが違うような…。タイアップ先から何から何まで二番煎じすぎてコケるとかまあ巻き込まれ事故っていうか…率直にハズレタイアップ引かされたよね…。
★★★☆☆
6thアルバム『DIAMOND WAVE』(表記は無いがアルバムバージョン)
2ndベスト『ALL MY BEST』(表記は無いがアルバムバージョン)
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

24th Diamond Wave

Diamond Wave
06年6月21日
作編曲:徳永暁人
日本テレビ系『スポーツうるぐす』テーマ曲。フジのすぽるとに続いて今度は日テレのスポーツニュース番組タイアップをゲット。初めてアルバムタイトルリード曲がそのまま先行シングルになった。このためアルバム『DIAMOND WAVE』には今までのようなシングルと同格扱いのリード曲が無くなってしまった。アルバムリード曲は毎回けっこう楽しみだっただけにシングルになってしまったのは率直に残念だった。なお曲タイトルは「Diamond Wave」、曲中では”ダイアモンドウェーブ”とカタカナ表記され、アルバムは『DIAMOND WAVE』なので、一応全部表記が違うのはこだわりか。5thアルバムでセルフプロデュースになったが、6thアルバムでは90年代半ばの第一線引退以降消えていた長戸大幸の名義が復活、倉木麻衣と長戸大幸の共同プロデュース名義となった。

曲自体は夏という事もあってか非常に明るくストレートにポップ。古くからのファンにとっては前作に続いてポップ方面に振り切った事でついに倉木麻衣がアイドルになってしまったと迷走っぷりを嘆く者もいたとかいないとか…。非常に馴染みやすく耳に残りやすい曲なので地味で突き抜けていってしまうよりはこの方がいいし、前作よりは合っているしこれはこれでいいと思う。それこそ「Feel fine!」頃までに出ていたら馴染みやすくて代表ヒットの1つになっていたかもしれない。このポップ路線はこの時点ではあまりに不評だったのかこの後はR&B路線へ原点回帰というよりは単に地味な方向に向かってしまうので、なんだかんだこの時期では一際目立つ曲にもなった。
★★★☆☆
C/W(grand bleu mix)
6thアルバム『DIAMOND WAVE
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

25th 白い雪

白い雪
06年12月20日
作曲:大野愛果、編曲:池田大介
アニメ『名探偵コナン』ED。アップテンポな曲が続いていたがここで一気にシンプルなバラード。イントロがオルゴール風だし、オルゴールのインストが非常に似合いそうな1曲だ…と思っていたら次回作C/Wで本当にオルゴールバージョンが収録された。そもそも”白い”とつけなくとも雪は白いと思うんだけど、あえての「白い雪」、とことんシンプルながら意外と耳には残る。地味な曲が多いこの時期においてはなかなか存在感がある1曲だ。雪のしんしんと降る夜に静かに聞きたい。次作C/Wのオルゴールバージョンはインスト。
★★★☆☆
26thシングルC/W(オルゴールバージョン)
7thアルバム『ONE LIFE
2ndベスト『ALL MY BEST
3rdベスト『MAI KURAKI BEST 151A-LOVE & HOPE-
4thベスト『倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21-真実はいつも歌にある!-
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

26th Season of love

Season of love
07年2月14日
作曲:大野愛果、編曲:Cybersound
テレビ朝日系ドラマ『新・京都迷宮案内』(第9シリーズ)主題歌。シングルでは03年(風のららら)以来となるCybersoundが久々に復活ほぼ倉木麻衣専属なので、この4年弱何をしていたのだろうか…。作曲も大野愛果なので、初期の制作陣で送る初期を思わせるようなクールなR&B風のトラックメイキングが帰ってきた…のだが何だかとっても地味。派手じゃなくともスーッと残ってくるあの時とは違って、単に地味なだけでなかなか残ってこない…。曲の方も意図的に抑えたかのように盛り上がりに欠しく、シリアスに淡々と続いていく。けっこうサビのメロディーとか力強いんだからもう少しアレンジで盛り立てても良かったんじゃないか。長い夜もいつかは明ける(超訳)という曲なのだが、これではあまり明ける気がしない…。
★★★☆☆
C/W(Latin lover remix)
7thアルバム『ONE LIFE
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

27th Silent love~open my heart~/BE WITH U

Silent love~open my heart~/BE WITH U(初回限定盤)(DVD付) Silent love~open my heart~/BE WITH U
07年11月28日
GIZA studioをメインに関西拠点で稼働していたビーイングだが、再び東京を拠点とした新レーベルNORTHERN MUSICを設立。GIZAのトップだった倉木麻衣がいきなりNORTHERN MUSICへ移籍した。当時はまだ愛内里菜、GARNET CROW、三枝夕夏 IN dbなどGIZAにはトップ10級の面々が残っていたがここからの数年間でかつての90年代末期のビーイングのように次々と引退・解散・移籍となってほぼみんないなくなってしまい、この頃からいて今もGIZAにいるのは徳永暁人が所属するdoaだけになってしまったのでNORTHERN設立と倉木麻衣の移籍はGIZAの時代が終わっていくターニングポイントだったのかも。なおGIZAからは一緒にスパークリング☆ポイントが移籍、2006年にGIZAからZAINへ移動していた滴草由実もこのタイミングでNORTHERNにやってきて合計3組で始まったが、スパークリング☆ポイントがその年のうちに停止してしまったのでいきなり2組となり、近年は滴草由実も会場限定CDに移行してしまい、設立以降一切の補充をしなかったため、結局ほとんど倉木麻衣専属レーベルになった。

NORTHERN移籍以降はビーイング以外の外部作家の起用が増え、ビーイング外で活躍している作家から1回ポッキリの参加や正体不明の横文字作家など多種多様となった。

今作ではついに初登場9位となり、いよいよトップ10入りがギリギリの状態へと陥った。初めてシングルに初回盤DVDが付属した。

Silent love~open my heart~

作編曲:Daisuke “DAIS” Miyachi & Yuichi Ohno、Strings Arranged by CHICA
初の外部委託曲。大体見た事のある作家で固まっていたので知らない名前が並ぶクレジットが新鮮だった。クレジットを見るとベース以外は生(ギター、ドラム、ピアノにそれぞれ奏者がいる)、ストリングスも生と打ち込み主体からガラッと生音志向になっていて、『ONE LIFE』でも今作の演奏クレジットだけ異様に長い。ただドラムは生にする必要なかったんじゃないかというくらい出てこないし、出てきても軽い音がチッチッと鳴っているだけで意識しないとほとんど耳に入ってこないし、全体にいつもより音が盛られているような印象もほとんど受けない。ストリングスこそ鳴っているものの、J-POP大ストバラ時代に突入していた中では控えめも控えめだし…。「白い雪」から2年連続ウィンターバラードで、「白い雪」が思いのほかシンプルな割に存在感が強かったのですっかり印象負けして埋もれてしまい、あまり覚えていないシングルの1つになってしまったところがある。
★★★☆☆
7thアルバム『ONE LIFE
2ndベスト『ALL MY BEST
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

BE WITH U

作曲:徳永暁人、編曲:Cybersound
アコギと打ち込みが引っ張っていくリズミカルな楽曲。トラックの切れ味も良く、クールながらもサビではそこそこキャッチーにはじけるし、どっちかというと徳永サウンド寄りな感じもするけど、既存作家の意地を見せた1曲。
★★★☆☆
7thアルバム『ONE LIFE
2ndベスト『ALL MY BEST
5thベスト『Mai Kuraki Single Collection~Chance for you~

One Life

ONE LIFE
08年1月1日
作編曲:Martin Ankelius&Henrik Anderson-Tervald
外部作家で初期R&Bイメージの楽曲をやってみた感のあるリード曲。色の無いキャッチーさの薄いクールなR&Bの倉木麻衣というイメージで統一され、幸の薄そうな雰囲気漂うジャケット写真もそれを表現したような原点回帰のようなアルバムで、まさにそのリード曲といった感じ。聞き込みがいのあるクールなトラックは今までとはちょっと違うんだけど、R&Bの倉木麻衣が久々に帰ってきた感じがあった。久々に復帰していたCybersoundにどこかキレが無くなっていただけに、今作の方が初期っぽいキレが感じられる。ただ今回はリード曲でこれか…という感じもあって、これまでのようなシングル級のリード曲といったインパクトまではなくて、アルバムの1曲といった印象ではある。実際アルバム全体がクールすぎてとっつきにくさを感じてしまった。

また元旦発売が失策となり、まさかのトップ10落ちとなってしまうなど低迷。次回作以降は10周年に向けて盛り上がっていき、TV出演の解禁も含めて外に開いていくので、振り返ってみると1番閉じてて低迷してたのはこの時期だったかなと思う。
★★★☆☆
7thアルバム『ONE LIFE

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