the brilliant green シングル回顧~1997-2010~

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the brilliant green シングル回顧~1997-2010~

ボーカル川瀬智子、ベース奥田俊作、ギター松井亮の3人組ロックバンドとして1997年にメジャーデビュー。最初の2枚は4曲入り全英語詞マキシシングルとしてリリースしており、この2作はオリジナルアルバム未収録であった。

初の日本語詞にして当時のメイン形態であった8センチCDでの3rd「There will be love there -愛のある場所-」が大ヒットしてブレイク。1stアルバムはミリオンヒットを記録した。そこから00年まで継続して活動を行っていた

01年には川瀬智子がTommy february6としてソロ活動を開始。バンドとは全く異なる80’sサウンドと詳細なキャラクター設定をしてそれを演じるスタイルでの活動は当初シングル1枚限りのはずが予想以上の反響を得たことでアルバムリリースまでの継続した活動へと発展。当時のthe brilliant greenは3枚のアルバムが出すたび売上が低下していたが、Tommy february6は1stこそ越えられなかったものの2nd、3rdを上回るという当時のバンド以上の大ヒットを記録した。

それでもソロ活動は1年で区切りをつけてthe brilliant greenは02年に活動を再開したが、今度はthe brilliant greenが1年で活動停止になってしまい、好評だったTommy february6を再開させ、今度こそ本格始動となりプロジェクトが発展。Tommy heavenly6というオルタナティブなロックを基本としたダークサイドの人格設定まで作り出してfebruary6とheavenly6の並行してのソロ活動が延々と続いた。

放置状態となっていたthe brilliant greenは07年に10周年を機に活動を再開。08年始めにかけて3枚の新作シングルをリリースしたがアルバム制作には至らずに代わりにシングルコレクションを発売すると、またTommyソロへと戻った。

なおこの07年頃にそれまで匿名の外人作家のような作編曲のクレジットだったTommyソロのその匿名作家が全て奥田俊作だったことが明かされている。松井はさほど参加していなかったようだがそれでも一部楽曲でギターを担当していたことが判明した。

09年には事務所研音が事業整理でもしたのか、所属ミュージシャンであったthe brilliant green、Sowelu、星村麻衣を3組まとめて契約終了。3組とも事務所だけではなくソニーレーベルとの契約も打ち切りとなり、3組とも新たな事務所とレコード会社を探すことになった。Soweluはエイベックスへ(数年でフリーになった)、星村麻衣はインディーズに移動する中で、the brilliant greenは別事務所、レコード会社はワーナーへ移籍した。

移籍が完了してthe brilliant greenとして再度活動を開始したが、直後にギター松井が脱退。2人組となる。今度はオリジナルアルバム制作に行きついたが、このアルバムのブックレットでは2人ではなく、匿名性の強いダミーメンバーの外国人を常に2人と一緒に配置するという形式を取り、演奏クレジットも抜けたギターを誰が弾いているのか明記しなかった。そして結局またしてもTommyソロへ…。

13年には既に16周年であるにも関わらず“the brilliant green Tomoko Kawase デビュー15周年企画”として各名義での新作制作を発表。15周年が既に1年遅れていたようにソロでもペースが鈍化しつつあったが、このプロジェクトも当初の予定から遅延しまくりとなり、2013年中にfebruary6、heavenly6のアルバムは何とかリリースされたものの、the brilliant greenとしてのリリースは2014年になってからとなった。新作が間に合わず、セルフカバー作品となったが、この際にthe brilliant greenとしても奥田俊作はソロ同様の裏方になる事を宣言。これに伴いthe brilliant greenも最早バンドではなくなってしまい、ジャケット写真等もソロと同じで川瀬1人となった。素顔かコスプレかの違いしか無くなっ

15周年プロジェクトではそもそも当初the brilliant greenの新作を出すはずで、まずはセルフカバーをやってから新作を制作するという方針だったはずだったが2015年以降はバンドもソロも新作が一向に発表されなくなった

沈黙の中で2017年、デビュー20周年を迎えたが活動は「2017 神宮外苑花火大会」に出てきて数曲のライブを行ったのみ。これを皮切りに活動を再開してまずはベストアルバムをリリースすると当時報道されたが結局続報は何一つなく、以降も沈黙が続いている。

というわけで2015年頃からはソロでもバンドでもCDリリースが無い状態となってしまっているが、果たして次なる本格始動はあるのだろうか。Tommy名義でのブログは更新が続いていて配信でソロ名義でのかなり久々の新曲は2018年10月に両名義でされていたようだが、完全に自主レーベルになっているようだ(moraでは何故か新たなfebruary6、heavenly6欄にそれぞれ単独でぶち込まれている扱いで、過去の作品が並ぶfebruary6、heavenly6の欄に入れてもらえていないので曲名で検索しないと出てこない)。

秋冬にヒットが集中しているので過去曲回顧で取り上げるなら11月か12月頃、20周年で再開するという報道があったので2017年11~12月頃に取り上げようと思っていたが音沙汰が無いまま1年経ってしまい、このままだと2018年も終わってしまい、また1年後…とやっているとキリが無いので思い立ったこのタイミングでやる事にした。

一応公式が97年でデビューをごまかして98年起点扱いで13年を15周年にしたという前科があるので、18年は”20周年”という事で…。

2018.12執筆

1st Bye Bye Mr.Mug

Bye Bye Mr.Mug
97年9月21日
全英語詞4曲入りマキシシングル(スリムケース)の表題曲。UKロック、当時日本でも流行っていたOASISがまず浮かぶようなギターロックナンバー。歌詞が英語でJ-POPのようなキャッチーなサビメロが来るわけでもないので、普通に洋楽のロックナンバーのように聞こえる。ボーカル川瀬智子のどこかけだるいボーカルスタイルも既に確立されているので、デビュー作にしては初々しさが全く無い。後年ソロがメインになって以降は特にブリグリはUKロック基調という意識が強くなったようで、最終的に戻ってくるのはこの曲のような方向性、そしてこれがブリグリ。そんな始まりの1曲。

次回作と共にオリジナルアルバムに収録されなかったため、『complete single collection ’97-’08』まで長年アルバム未収録であった。しばらくはディスコグラフィーではスペースの都合上シングルを省略する場合でもアルバムと一緒に1st Maxi Single,2nd Maxi SIngleとして2作を表記していた。シングル盤は全体の音が荒い感じだが、『complete single collection ’97-’08』はだいぶ音が整えられている印象。
★★★☆☆
ベスト『complete single collection ’97-’08
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

2nd goodbye and good luck

goodbye and good luck
97年12月1日
前作に続く全英語詞4曲入りマキシシングル(スリムケース)の表題曲。前作同様にオリジナルアルバムには未収録。前作はドラム以外のサポートが無かったが今作には笹路正徳がキーボードで参加している。スピッツやコブクロで顕著だったように笹路正徳はバンドサウンドをコンパクトにポップにまとめるのに長けたアレンジャーだが(スピッツは離れた後に著しくロック化、コブクロも離れた直後はロック化し、以降は長尺化とストリングス中毒になった)、ブリグリに関してはそこまで強い関与をしなかったのか、ロック色は強い。全体にどっしりとしたロックナンバーで前作以上にサビとそれ以外の部分にも差が無いので印象には残りにくい。『complete single collection ’97-’08』ではリマスター効果以上のミックス変更を施したのではないか?というくらいにどっしりとしたバンドサウンドが強めに主張するようになっている。これを聞いた後だとシングルは少し抑えすぎだったかなとも思う。
★★★☆☆
17thシングル『Ash Like Snow』C/W(piano arrange version)
ベスト『complete single collection ’97-’08

3rd There will be love there-愛のある場所-

There Will be love there-愛のある場所-/YOU&I
98年5月13日
前2作は70位前後、1.5万程度の売上に終わったが今作では初の日本語詞作品となり、当時の主流であった8センチシングルでの発売。前2作はMaxi Singleとしてディスコグラフィーに載せていたがアルバムには収録しなかったので、世間的には今作が1作目という印象が強かったと思われる。

ドラマ『ラブ・アゲイン』主題歌。当時の人気俳優だった渡部篤郎、石田ひかりが出演していた。大ヒットなら視聴率30%も夢ではない、中ヒットでも20%越えは当たり前、15%下回ってきたら不作と言われるくらいの時代に初回から視聴率一桁に陥り、そのまま一桁を連発。あまりの低視聴率に全11話予定を2回も削って9話で終了するという英断を下したため、その事が話題となり、当時は打ち切りドラマの代表格となった。00年代半ば以降は「レガる」なるネット用語が生まれ、5%割れすら珍しくもなくなったので現在はあまり伝説化していない。

そんなわけでドラマが大コケしていたにも関わらず、主題歌であった今作はぐいぐいとチャートを上昇してついには1位まで獲得。一躍大ブレイク作となるという逆行現象となった。たぶん当時『CDTV』を毎週見ていたなら英語詞のサビ頭と同時に真っ赤な服を着た川瀬智子がグイッと映し出されるPVがかなり記憶に焼き付いているんじゃないかと思う。

最初の印象はまたドリカム編成の3人組(女性ボーカルと男2人の3人組がけっこう定期的に新しく出てきてヒットしていた)が出てきたのかという事と、見た目がやさぐれたEvery Little Thingみたいだなというものだった。今作は笹路正徳の影響がやや強かったのか、ヒットチャートの中においてはキラキラ感は皆無だし、重い事は重いんだけど彼らの中ではサウンドは軽めで聞きやすさが一定以上あった。なので、改めてCDで聞いてみたらTVで聞いていたよりはけっこうロックバンドだなと思った記憶がある。

トップを争うほど好きな曲ではないが、やはり大ヒットしていた印象としてはこの曲や赤い服の川瀬智子の印象がとても98年とリンクしている、そんな1曲。
★★★★☆
1stアルバム『the brilliant green
9thシングル『BYE! MY BOY!』C/W(Demo)
ベスト『complete single collection ’97-’08
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

4th 冷たい花

冷たい花
98年8月26日
「CDTV」OPというタイアップながら前作に続いて1位(初登場での1位は初)を獲得して連続ヒットとなった。前作よりも音が重く、川瀬智子のけだるいボーカル含めてより深みを見せたようなところはあるが、大雑把にはサビ頭2行が英語詞→日本語挟んでまた2行英語詞→日本語でサビ締め、というサビの構成が前作と同じ。なので同じ方向性でもう1発といった印象。それでも二番煎じ感はしなかったので、なかなか難しいところをたやすく撃ち抜いていったなぁ…と改めて思う。これでthe brilliant greenという只者ではなさげな新人バンドへの期待感もMAXに高まり、続く1stアルバムが140万枚を越える大ヒットを記録したわけだから、結果的には瞬間風速的ではあったけど、この流れは鮮やかだった。
★★★★☆
1stアルバム『the brilliant green
ベスト『complete single collection ’97-’08
20thシングル『I Just Can’t Breathe…』C/W(-Acoustic version-)
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

5th そのスピードで

そのスピードで
99年1月27日
月9ドラマ『Over Time』主題歌。前年の大ヒットドラマ『GTO』『ショムニ』にそれぞれ主演した反町隆史江角マキコによる北川悦吏子脚本での月9という大ヒット狙いまくりのドラマだったが視聴率は20%前後を推移。最終話が全12話中、下から2番目の数字になってしまう…などヒットしなかったわけではないが別にそこまで大ヒットでもないビミョーな感じのドラマだった。カメラマンの反町隆史が仕事でミスをしたため、姉の西田尚美を頼って家に転がり込んでくるが、西田尚美は江角マキコ、石田ゆり子と3人で同居していた…という設定でドラマが始まったが、当時は反町が20代半ば、女性陣がアラサーという女性の方が年上のラブストーリーだった。共にヒーロー的な役柄で前年活躍した2人が普通の男女を演じた時点で物足りなさがあったし、後にも先にもあの反町が弟キャラというのは今作くらいしかなかったんじゃないだろうか。作中では3番手のヒロインとして木村佳乃も出演。当時の木村佳乃は前年の月9『ブラザーズ』で中居正広の相手役をやっていたが、当時はまだ若く女子大生くらいの年齢で、今作の中では弟キャラの反町にとって年下のかわいい彼女という役回りだったが、最終的に別れてしまうという流れ。反町と木村のカップルや、途中で数話にドラマ初出演した田中麗奈と反町の交流など反町と若手女優陣との絡みの方がなんか微笑ましく、最終的にくっつく相手がどうにもエラそうなオバさ江角マキコというのがしっくりこなかったので、微妙なドラマだったという印象が根強い。

そんな月9タイアップだった今作も1位を獲得。それも前年バラードで初のミリオンヒットを放ち、バラードでもう1度大ヒットを!とばかりに出してきたELT、SMAPを堂々抑えての1位獲得で、完全に新鋭のトップバンドの地位を確立したかに思われた。…が、結果的には3作連続1位にして最後の1位という極めて短期間の天下となってしまった。既に1stアルバムの時点でJ-POPリスナーにとっつきにくいと思われてしまったのか(ほぼ英語詞だったし)、今作が月9に合わせてロックながらも今までにない明るい雰囲気が内包されていて、それで洋楽的なものを求めていたコアなリスナーも離れてしまったのだろうか…。

個人的にはドラマ自体は微妙だったがドラマ主題歌としての印象も強く、そのまま当時手に取った初めてのシングル。前2作も耳には入っていたがちゃんと聞いたのは今作が初だったので思い出深い。明るい雰囲気が、99年の始まりの印象とも被っている。
★★★★☆
2ndアルバム『TERRA 2001
ベスト『complete single collection ’97-’08
18thシングル『LIKE YESTERDAY』C/W(「at light speed(“そのスピードで” english ver.)」)
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

6th 長いため息のように

長いため息のように
99年3月10日
月9ドラマ『Over Time』挿入歌。ドラマ途中で未発表曲が挿入歌として使用されていたので問い合わせ殺到につき緊急リリースみたいな扱いで、本当に事前告知もそこそこに急にリリースされていた記憶がある。そしてなんだかパッとしない売上に終わってしまい、これをきっかけに一挙失速になってしまった。前作からたった2ヶ月弱で…。実際後に川瀬智子は今作が10万程度に沈んだ事で終わった恐れていたことが起きた…とかなりショックを受けたと語っている。

なんとも微妙なトーンの楽曲でそれなりにいい曲ではあるんだけど、やはりここまでのシングルに比べるとインパクトは数段落ちる。そしてそもそもこんな曲ドラマでかかっていたっけ?というくらい全く当時ドラマで使用されていた記憶が無い。

というのも『Over Time』というドラマ、ほかにも使用曲が何故か多かった。また正式な挿入歌としては他に山口由子の「believe」というバラード曲があった。山口由子は97年のドラマ『ビーチボーイズ』挿入歌も歌っていて反町主演、音楽担当の武部聡志と縁が深いシンガーだったが、ここに来て想定外の大ヒットを記録。挿入歌としてのインパクトは全て山口由子のロングヒットが持って行ってしまった

また反町が演じていた役名が「楓」だったというだけで、2回にわたって反町が物思いにふけりながら街を歩くシーンのバックでスピッツの「楓」を延々とかけるなんていう場面もあった。「楓」は挿入歌扱いですらなかったが、2回のうち1回は確か木村佳乃と別れることになって哀しみの中でバックでさよ~なら~君の声を~♪とかかかるもんだからハマりすぎ。

主題歌としての「そのスピードで」は確かに印象的にちゃんと使ってもらえていたが、「believe」「楓」など印象的な場面で使われた曲が他にあったため、この曲は完全に挿入歌としてもBGM以下で埋もれてしまった。前作のC/Wに入れておけば隠れた名曲にはなっていたと思う。

イントロ部分に演奏を始めるカウントの声も収録されているが、『complete single collection ’97-’08』ではさりげなくこのカウントをする前にゴソゴソしている部分から少し前倒し気味に収録されているという細かい変更が。
★★★☆☆
2ndアルバム『TERRA 2001
9thシングル『BYE! MY BOY!』C/W(Demo)
ベスト『complete single collection ’97-’08
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

7th 愛の♥愛の星

愛の・愛の星
99年8月18日
2ndアルバムへの先行シングル。「CDTV」OPやダイドーミスティオCMタイアップがついていた。前作の失速がそのまま更なる失速となりいきなり9位と失速したのが衝撃だった。

タイトルにハートが入っているのが後にソロで全面展開するTommyの片鱗っぽい。急に売れなくなってしまったが、楽曲自体は今回もJ-POP寄りのキャッチーな1曲。割と当時チャートでサビだけ聞いた程度でも好印象だったんだけど何故かこのままスルーしてしまい、しばらく聞かなくなってしまった。改めて聞いてみたらやはり好印象なシングルだ。初期のクールな感じよりもとっつきやすいと思うんだけど、あまりポップなのは求められていなかったのだろうか。川瀬智子は後に前作が沈んだため方向転換を図り明るめの今作に繋がったと語っているが、狙いはさらに外れてしまったといえる。しかしいいと思うんだけどなぁ…今作。連続ヒットしても1度失速したらそのまま連続急落って規模は違うがHysteric Blueもそうだったし、けっこうシビアだった。
★★★★☆
2ndアルバム『TERRA 2001
ベスト『complete single collection ’97-’08

8th CALL MY NAME(JAPANESE VERSION)

CALL MY NAME(JAPANESE VERSION)
99年9月12日
アルバムから2週間での変則的シングルカット。アルバムにはENGLISH VERSIONとして収録されていた曲だがそちらはC/Wに収録し、新たに日本語バージョンを表題曲とした。いわゆる”外向け”に出したもの…だったが言語を変えただけのシングルカットはシングルカットでしかなくついにトップ10落ちになった(12位)。

UKロック基調よりももう少し幅を広げてタフなロックバンド然としてきた感じと、もう少しキャッチーなJ-POPに寄せてきた部分がいい感じに混ざり合って全アルバムの中では最も聞きやすいアルバムに仕上がったのが2ndアルバム『TERRA 200』だと思うんだけど、そんな充実が出ている1曲だと思う。シングルカットするほどだったかは…微妙なところではあるけど…。
★★★☆☆
2ndアルバム『TERRA 2001』(ENGLISH VERSION)
C/W(ENGLISH VERSION)
ベスト『complete single collection ’97-’08』(JAPANESE VERSION)

9th BYE! MY BOY!

BYE! MY BOY!
99年12月1日
まさかの2連続シングルカット。しかも今度はそのままのシングルカットで、C/Wは過去シングルのデモ音源というこのシングルのために新たに制作した音源が何一つ無いという何でリリースに至ったのかも良く分からないシングル。29位と一挙大低迷に陥ったが、正直低迷スパイラルに陥るような事を何故行ったのだろうか…。

楽曲自体はアルバムの1曲目、リード曲的な立ち位置でインパクト抜群。これはいいアルバムになりそうだという期待を高めてくれる最高のリードナンバー。曲が良かっただけにこんな何もない謎なタイミングでシングルカットになったのが改めて残念。
★★★★☆
2ndアルバム『TERRA 2001
ベスト『complete single collection ’97-’08

10th Hello Another Way-それぞれの場所-

Hello Another Way-それぞれの場所-
00年5月31日
JALの北海道キャンペーンCMソング。あからさまに大ヒット曲「There will be love there-愛のある場所-」を意識したようなタイトルだが、楽曲自体はまたバンドが新たなフェーズへ向かおうとしているかのような壮大さがあってそこまで露骨に似ているところはない。

メロディーの良さは存分に発揮しつつも、バンドサウンドをどう聞かせるかはかなり試行錯誤だったのか、シングル、アルバム、ベストで全部ミックスが異なり、セルフカバーもあるので、アレンジとしては2つなんだけど4音源全部聞こえ方が違う。

最初のシングルバージョンはなんだか全体に元気が無い感じ(以降の2バージョンを聞いた後だと)だが、Album Mixはエコー強めで壮大な感じに、ベスト盤では全体のバンドサウンドをより強く押し出してロックバラードっぽい雰囲気に変わった。バンドとストリングス双方のバランスを考えると完成版はベストバージョンかなと思うけど、ベストバージョン聞いた後にシングルバージョン聞くと煮え切らなさが凄い。
★★★☆☆
3rdアルバム『Los Angeles』(Album Mix)
ベスト『complete single collection ’97-’08
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

11th angel song -イヴの鐘-

angel song-イヴの鐘-
00年11月15日
ドラマ『真夏のメリークリスマス』主題歌。竹野内豊、中谷美紀主演のラブストーリーで2人が沖縄出身の幼馴染で遅れて東京に出てきた純朴娘の中谷美紀が東京ですっかり腐ってしまった竹野内豊と再会、当初は変わらなすぎる中谷と変わりすぎてしまった竹野内は全くかみ合わなかったが中谷に影響されて竹野内は徐々にかつて上京した時の情熱を取り戻していく…みたいな話だった。

メリークリスマスが真夏なのはドラマ撮影開始&放送開始直後が当然まだ夏だったのと、2人が沖縄出身設定だった事に合わせて主題歌と一緒にかけるタイトルバックを真夏のビーチにした事、しかし最終回では季節がクリスマス付近になって見事にメリークリスマスエンドを飾れるという事で終わってみればハマっていた。そしてドラマ主題歌としてブリグリがハマったのも月9以来となり、「そのスピードで」以降人気が急落している中でも今作は起死回生のトップ3ヒットを放った。一般的にヒット曲として知られているブリグリの曲は今作が最後だと思う。

クリスマスソングというとキラキラシャンシャンとしたものを思い浮かべるし、たとえ失恋の曲でも山下達郎のようにどこか華やかな感じがしてしまう。そんなクリスマスソングとして歌詞やタイトルはクリスマスらしく、聖なる雰囲気、タイトル通りのエンジェル感(?)も出ているんだけど、そこにぶつけてきたサウンドが物凄くノイジー&不穏。音数を抑えた平メロからしてどこか退廃的だが、爆音が炸裂するサビとの落差がとてつもなく、3連リズムでこれでもかとばかりに激しく鳴り響くギターロックサウンドは世紀末を過ぎたというのに世紀末のようでもあり、なんだかとんでもなかった。しかしこのとんでもなさがなんだか妙にクセになる。そしてこの爆音の中で響き渡る川瀬智子の歌声に確かに天使のようにも聞こえる。なるほどこれはangel songだ…。

クリスマス限定ではあるけど、毎年これを聞かないと年末へ向かえない。なんだかんだ今でもラジオを聞いていると11月12月には必ず誰かがリクエストしてこの曲がかかっている、そんな名曲

ただしこれとかこれとかクリスマスコンピレーションアルバムに今作が収録されると明らかに今作だけ浮いてしまうのは否めない。
★★★★★
3rdアルバム『Los Angeles
16thシングル『Enemy』C/W(★acoustic version★)
ベスト『complete single collection ’97-’08

12th Forever to me~終わりなき悲しみ~

Forever to me~終わりなき悲しみ~
02年4月24日
まさかの大成功どころか完全にブリグリの人気を上回ってしまったTommy february6の活動を1年で終えてバンド形態へ戻っての再始動作。当時は明らかになっておらずTommy february6の作編曲や演奏は匿名性の高い外人ネームで埋め尽くされていたが、後に作編曲の全てが奥田俊作、一部のギターが松井亮だったと明かされており、実際には別プロジェクトみたいなものだったことが判明している。ただこの1年に関してはソロを経てブリグリとしては今後何を表現するのか、今までとは違う新しい方向性を目指していこうとしていたんじゃないかと思う。ここからの3作及び『THE WINTER ALBUM』でのブリグリはこれ以前とも以後とも違う明らかな攻めの姿勢が前面に出ていた。

キラキラな80’sポップスをやっていた反動なのか、いきなり悲しくて激重な楽曲。Tommyで開拓した新たな層をいきなり全員追い返すようでもあり、ソロを全く引きずっていない重たさにはソロについていけなかったリスナーにはある種の安心感があったんじゃないかというそんな曲。02年当時といえばLUNA SEAと河村隆一の関係性がリスナーの間でも印象深く、それは97年のソロを経てからの河村隆一はLUNA SEAに戻っても河村隆一のままで終幕の遠因になったというような説だったが、今作での引きずらなさはかなり意識してやっていたんじゃないかと思う。むしろこれはこれでやりすぎたようにも思う。一気に売れなくなったし…。
★★★☆☆
4thアルバム『THE WINTER ALBUM』(album mix)
ベスト『complete single collection ’97-’08

13th Rainy days never stays

Rainy days never stays
02年7月31日
梅雨時に似合いそうなタイトルだったがむしろ雨で少しでも涼しくなるのを渇望するような真夏にリリースされた。大胆に打ち込みを導入した実験的な楽曲。ドラムが打ち込みなのでシングルの中でも重心がしっかりしていたリズム部分が妙にスカスカして聞こえるし、ギターよりもシンセサイザーが随分目立つ。新鮮といえば新鮮だし、サビメロはなんだかんださすがのキャッチーさはあるんだけど、全体にどこかパッとしない。結果的に攻めているというよりかは迷走しているような1曲になってしまった。
★★★☆☆
4thアルバム『THE WINTER ALBUM』(album mix)
ベスト『complete single collection ’97-’08

14th I’M SO SORRY BABY

I’M SO SORRY BABY
02年10月9日
アルバムへの先行シングル。ドラムは戻ったがこれまた何だか違うバンドみたいなロックサウンドで、この違うバンドみたいな方向性はそのままアルバムでも全面展開。なんだか色々手を出しすぎて分かりにくいアルバムになってしまったが、世間の声としてもTommyソロやってくれみたいな感じになってしまっていて、実際わずか1年でブリグリは再度休止。Tommyソロが今度は拡張性を持って全面展開し始めてしまい、バンドはほぼ現役時代を終了する勢いで長期休眠状態になってしまった。個人的にはここで解散でも良かったんじゃないかというくらい行きついた感じはあるし、やり切った感じもあったと思う。もしくはこの時期を抜けて新たなサウンドを確立できていればその先もあったとは思うけど…シングル3作と『THE WINTER ALBUM』までだととっちらかるだけで終わってしまう感じなんだよな…。
★★★☆☆
4thアルバム『THE WINTER ALBUM』(album mix)
ベスト『complete single collection ’97-’08

15th Stand by me

Stand by me(初回生産限定盤)(DVD付) Stand by me
07年8月22日
10周年を機に久々にバンドに戻っての復活作。といっても休養期間が5年以上に及び10年のうち半分も活動してないのに10周年って、ユニコーン風に書くなら10周年(実働5年)であった。

ドラマ『探偵学園Q』ED。『金田一少年の事件簿』終了後に同じ作者で始まった探偵漫画が原作だが、金田一人気が根強く、金田一が続編を示唆して終わっていたため、今作の連載途中で一旦中断して金田一を限定復活させるなどどうにもこうにも金田一人気を越えられまいまま05年に連載を終了。TBSでアニメ化されたのは03年からの1年間のみ(原作が終わる前に終わってしまったのでオリジナルで終了)。05年に原作が完結していたのに引っ張り出されて何故か06年になってSPドラマ化され、07年になって連ドラ化された。これに伴い同時期に原作の続編が短期連載されて復活している。

探偵を学べる学園で、探偵候補の少年少女たちが協力しながら事件を解決していくという文字通りの探偵学園モノで、物語を貫く犯罪をプロデュースする組織との対決・因縁など、金田一の高遠を組織レベルに拡大して物語の軸としたようなストーリーが展開したが主人公が金田一より若い中学生設定。それをドラマ版では高校生に上げ、SP版は土9枠だったのに連ドラは何故か火22というあんまり内容とあってないような枠で放映され、原作よりも暗めのテイストになっていた。Hey! Say! JUMPの山田涼介が出演していたものの準主役ポジで主人公ではなかったためか主題歌は担当せず、OPは主演の神木隆之介のアミューズ所属のFLOW、EDはヒロインの志田未来の研音所属のブリグリ…という事務所ズブズブ&強引に2事務所を立てようとしたような起用だったので、正直ドラマに合っていたという感じもあまりなかった。

ただ5年物長きに渡って活動せずに、その間にTommy feburuary6は別人格のTommy heavenly6としても活動を開始して方向性を拡大。heavenly6がオルタナやグランジなどよりヘビーな方向性を軸としていたこともあって、ブリグリがやるべきなのはUKロック調というところが逆に02年時よりもすんなり見えたのか、今作ではこれぞブリグリなサウンドが帰ってきた。97~00年頃のヒットしていた頃のブリグリが本当に久々に帰ってきた感のある復帰作らしい復帰作。
★★★★☆
ベスト『complete single collection ’97-’08
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

16th Enemy

Enemy(初回生産限定盤)(DVD付) Enemy
07年12月12日
復帰第2弾シングル。これまたブリグリらしいところに着地した楽曲だが…前後の2曲に比べるとあまりにブリグリすぎてやや影が薄い。どっしりとした貫禄のあるロックサウンドは確かにブリグリっぽいのだが…。
★★★☆☆
ベスト『complete single collection ’97-’08

17th Ash Like Snow

Ash Like Snow(初回生産限定盤)(DVD付) Ash Like Snow
08年2月6日
アニメ『機動戦士ガンダム00』OP。02年時と違いガンダムタイアップ効果もあって復活後では最高位、最高売上を記録。トドメに初のベスト盤をリリースしてアルバムで初の1位を獲得するなど一定の存在感を示した。

今作に関してはブリグリにはあまり無いダークさ、というかもっとストレートにTommy heavenly6っぽいダークさが感じられるが、実際当時のインタビューでタイアップ先の要望がそもそもTommy heavenly6への依頼であり、ブリグリとして活動してベストを出す直前だったのでブリグリで出すことになった、この曲調はブリグリではないと川瀬智子が主張して制作の段階でかなり揉めたと語っていてTommy heavenly6っぽいというのは重々承知だったようだ。ソロっぽい曲調の方がなんだか明らかに勢いがあるというのも既にブリグリが活動のメインではなくなってしまっていることを改めて感じさせる。でもいかにもブリグリな前作よりも明らかに今作の方がいいんだもんなぁ…。
★★★★☆
ベスト『complete single collection ’97-’08

18th LIKE YESTERDAY

LIKE YESTERDAY(初回盤) LIKE YESTERDAY
10年2月24日
ベスト盤リリース後に再びソロに戻ってしまったが、09年にはソロ活動の方をベスト盤でまとめ、Tommy heavenly6での活動に比重を傾けつつあった事務所研音がブリグリ、Sowelu、星村麻衣もまとめてアーティスト契約を終了したため、レコード会社含めて丸ごと移籍する事になり、契約終了は09年5月だったが、新たにワーナーへ移籍しての再始動が発表されたのは2010年になってからだった。移籍1発目はソロではなくバンドでとなったが…結果的に今作が3人での最後の作品となり、3ヶ月後の5月にギターの松井亮が一身上の都合として脱退してしまった。

アルバム収録の際は今作だけ3人だったはずだが、松井亮のギターを示すクレジットは一切ないどころか、誰がギターを弾いているのかも明記されていない。今作の段階で松井亮がどこまで関わっていたのかも良く分からない。奥田俊作は本来の担当楽器はベースだったが、ギターもキーボードもドラム以外は全部1人で演奏できてしまうようだし…。

今回も再始動作ということでやはりブリグリらしい王道のロックナンバー。当時2年ぶりの新曲として聞いた時はもう少し印象良かったんだけど続けて聞くと過去の焼き直しみたいな感じもしてしまい、ますますインパクトは弱くなってしまった感じもある。
★★★☆☆
5thアルバム『BLACKOUT

19th Blue Daisy

Blue Daisy (初回限定盤) Blue Daisy
10年6月30日
松井が脱退してしまい、2人になっての1作目。この時点で奥田俊作の担当楽器がベースというのも有耶無耶になっていて、担当楽器は明記されず、また2人ではなく謎の外人ダミーメンバーみたいなのを一緒に映して5人組のバンド編成みたいに見せる手法がとられた。

これまた「Hello Another Way-それぞれの場所-」頃のブリグリらしいミディアムナンバー。2人になっても雰囲気は変わっていない…ように表面的には聞こえるし、聞いている間はいい曲なんだけど何だかどこか違っているような…もうUKロックなブリグリを忠実になぞるセルフパロディみたいになってしまっているような印象もある。
★★★☆☆
5thアルバム『BLACKOUT
セルフカバー『THE SWINGIN’ SIXTIES

20th I Just Can’t Breathe…

I Just Can't Breath...(初回限定盤) I Just Can't Breath...(通常盤)
10年8月18日
現時点での最新シングル。久々のオリジナルアルバム『BLACKOUT』への先行シングル。徹底してド王道のUKロックブリグリを提示したアルバムとなったが…。ちょっとあまりになぞりすぎた感じもあって復帰後のここまでの3作、好印象ではあるが同時に思い出そうとしても意外と浮かんでこない。どれも確かに改めて聞くといい曲ではあるんだけど、どうも表面的というか。そもそもこの手のロックバンドとしてはギタリストがいなくなってしまったのもそうだけど、何よりライブから遠ざかってしまったのも地味にけっこう大きかったと思う。ロックバンド形態なのに作編曲者である奥田俊作がギターもベースも打ち込みもドラム以外は全部自分でひたすらスタジオにこもって作り込むばかりとなれば(詳細なクレジットが無いため誰が何を演奏しているのかインタビューでの発言以外では不明だが)バンドの躍動感みたいなものが失われてしまっても仕方ないところもあった。物凄くブリグリっぽいけど何か足りないというこの2010年の3シングルや『BLACKOUT』の感触の理由はイマイチ分からないんだけどその辺なのかなと改めて思った。

いずれにせよこれを書いている時点でこの曲から8年が経過しており、ここまで来るとたとえ変わり映えのしないような曲だったとしてもまたそろそろ久々に聞きたい感じにはなっている。完全に現役感は無くなってしまったが、果たして次聞けるのはいつになるのか…。
★★★☆☆
5thアルバム『BLACKOUT

コメント

  1. ばちこ より:

    めちゃくちゃ詳細で当時の時代背景を思い出しつつ楽しんで読みました!
    個人的にソロに興味がなく、ワーナー移籍後‥松井さん脱退後の音楽性にハマれる所がなく、過去作を聴いては色々と考えています。ぜひ、swingin sixtiesの考察も期待しています。

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