REBECCA 35周年シングル回顧2~1999,2000,2002,2017~
90年の休止以降はメンバーは各自音楽活動を継続していた。毎年のようにベスト盤・編集盤・再発盤が発売され続けていた。解散したバンドなのに当初CBSソニーだった所属はレーベル移動を繰り返していてキューンに移動になったと思ったらソニーに戻ってSMEに変わり、近年のリマスター再発はSony Music Directというたらい回しっぷり。その上、再結成しての新曲は全て別のレコード会社に移籍して出しているという…。
1度目の再結成はライブのみ。1995年5月に阪神・淡路大震災の復興支援で2日間限定で再結成し、横浜アリーナで2days公演を行った。当初1日限定だったのが追加公演でもう1日追加されたので2日間となった。この当時は前年の94年にNOKKOがソロで「人魚」「ライブがはねたら」などREBECCAの最高売上を突破するようなシングルヒットを出してソロでも人気絶頂を迎えていた時期だった。
1999年には野島伸司脚本のフジテレビ月9ドラマ『リップスティック』に「フレンズ」が主題歌として採用され、ほかにもいくつかの楽曲が劇中で使用された。この際にはremixed editionとして既に古くなっていた80年代のサウンドを90年代のサウンドにミックスし直すリミックスが施され、シングル「フレンズ~remixed edition~」、アルバム『Complete Edition』共に大ヒットを記録した。また同じタイミングでNOKKOがソロ名義で「フレンズ」のセルフカバーシングルを発売したが、REBECCAでの一連のリリースは再録音ではないので土橋がプロデュース監修として関与したのみだった。
2000年にはREBECCA再結成を発表。移籍してシングル「神様と仲なおり/HELLO TEENAGE」をリリースした。しかしライブも無く、この1枚ポッキリでそのままフェードアウトしてしまった。この直後にはソニーから前年の続編『Complete EditionⅡ』がリリースされた。こちらにはより深く土橋が関与していてブックレットでは1曲ごとのライナーを書き下ろしている。
さらに02年にはシングル「Raspberry Dream/Tatoo Girl」をリリース。これは99年に発表されていたremixed editionでの「Raspberry Dream」のシングルカット及び木暮・小沼在籍時の初期の未発表曲「Tatoo Girl」の両A面であった。続けてremixed editionの総集編ともいえる『LEGEND OF REBECCA』もリリースされた。
以降は04年に『REBECCA COMPLETE BOX~20th anniversary~』で大半の楽曲をBOXリマスター化、2007年にオリジナルアルバムの紙ジャケ単独リマスター、2010年にはシングルA面B面を網羅したベスト盤『GOLDEN☆BEST』』、2013年に更なる最新リマスター&Blu-spec CD2でオリジナルアルバムとリミックスアルバムを再発、2015年にはGOH HOTODAによる最新ハイレゾリマスターにより、ハイレゾ配信もされている。再結成のタイミングに関係なく、00年代以降のリマスター回数が何故かやたらと多い。
しかし再発されまくる中、気がつけばNOKKOはGOH HOTODAとの結婚後、00年以降はほぼ表舞台から遠ざかる状態となっていた。2010年に本格的なソロ活動を再開させた。手始めにカバーアルバム『KISS』を発表。REBECCAのセルフカバーもいくつかそこで発表された。
そして2015年に突如再結成を発表。再結成時点ではベース高橋教之が兄と母の介護のために運送会社に就職し、既に音楽業界を半分引退状態にあった。高橋はメンバーの事を忘れたことは無いと復活への喜びを語り、足を引っ張ってはいけないと仕事の合間に練習に励んで再結成ライブに備える様子が当時の特集番組でもクローズアップされた。この再結成以降、継続的な活動は無いものの、NOKKOのソロライブのサポートを高橋教之が担当するなどしている。
2016年は活動が無かったが2017年にはツアーと新曲を発表。2018年以降は再び宣言無く沈黙している。再結成したもののその後どうするのか明言せずに放置するのはどうやら芸風らし
解散後の各自の活動としてはNOKKOは90年代にはヒット曲も出しているし、土橋安騎夫も曲提供やプロデュース業を手広くやっていたが、プロデューサーの時代においてもてはやされるほどの存在にはならず、共に00年が近づくにつれてヒットから遠ざかり、活動も縮小気味となり、正直あまり知名度は高くない。
メンバーで最も有名になったのはドラムの小田原豊だと思われる。現在に至るまで様々な有名ミュージシャンのサポートドラムとして引っ張りだこになっており、J-POPのヒットアルバムをある程度所有していれば必ず、ドラムに小田原豊の名前が入っていてもおかしくないくらいの日本を代表するドラマーの1人だ。レベッカは「フレンズ」しか知らないが、小田原豊がドラムを叩いている曲は(そうと知らなくても)いくつも知っているという人も多いかもしれない。同じくサポートギターの是永巧一もかなりあちこちにサポート参加しており、アレンジやプロデュース作も多数ある(たぶん土橋より多い)。
個人的にREBECCAを知ったのは『リップスティック』であった。当時80年代のキーボードやシンセサウンドは相当に古びた時代錯誤のものに聞こえており、今と異なり10年ちょいで時代錯誤なくらい古く聞こえてしまうほど時代はめまるぐるしく、音の変化が激しかった。そんな99年だけにリミックスが施されてのリバイバルは必然だったのかもしれない。
以降緩やかにremixed editionを聞きつつ、2015年の再結成を前にしてベスト盤以外も一気に全作制覇して、再結成ライブのさいたまスーパーアリーナに参加。さらに2017年の日本武道館にも参加した。完全なremixed edition世代である。
特に記載無ければ作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫
14th フレンズ(remixed edition)
99年5月21日
最後の新曲「LITTLE ROCK」が発売されてから10年、当時過去のアーティストを邦楽洋楽問わずに主題歌に起用してリバイバルブームを巻き起こしていたヒットメイカー野島伸司によるドラマ『リップスティック』主題歌起用を受け、現代的にミックスし直したremixed editionを施しての再発売。新たに録音したわけではなく、当時の録音をミックスの段階からやり直したもののため、メンバーは直接関与していないが土橋が監修・プロデュースの立場で関わっていたようだ。
85年当時とほぼ同等の売上を記録し、当時を知らない世代にも浸透した。今作でのremixed editionを同様に数々の代表曲に施した『Complete Edition』も続けてリリースされてヒット、REBECCAリバイバルブームとなった。
NOKKOがソロ名義(「のっこ」名義)でセルフカバーした「フレンズ」も同時発売されて少しヒットした。
フレンズ(remixed edition)
ドラマ『リップスティック』主題歌。今作のremixed editionに関してはイントロ部分でギターだけ先行して鳴り始めるという分かりやすい変更が追加されている。80年代サウンドを90年代サウンド風に基本的には音の響き等を自然に、薄かったリズム隊などは厚めにミックスし直しているが、今作に関しては間奏のキーボードサウンドなど80’sの象徴みたいなフレーズの印象も強く、リミックスしても99年当時でもどこか一昔前な感じはあった。ただそれが逆に新しかったし、何よりとてもインパクトのあるメロディーは全く色褪せてはおらず、99年のヒット曲として普通に親しめたのを記憶している。ドラマ『リップスティック』は少年院(女子)が舞台で、閉鎖された空間の中での荒んだ世界観で終盤では1人死亡してしまったりと、けっこうハードだったので”どこでこわれたの”と歌われるサビがより哀しく響いた。
ドラマは正直あまり名作という印象も無かったがこの曲の印象はとても強かったので今作及び『Complete Edition』をレンタルしてきてこれがREBECCAとの最初の出会いとなったので思い出深い1曲。昔のヒット曲だとはその時知ったので、現役時代のヒットはおろかバンド名すらこの時初めて知った。NOKKO「人魚」は数年前に知っていたがまさか同一人物だとは気づきもしなかった。インターネットもまだ自宅に無かったしな…。
★★★★★
1st remixed editionベスト『Complete Edition』
3rd remixed editionベスト『LEGEND OF REBECCA』
6thベスト『GOLDEN☆BEST REBECCA』
C/W Maybe Tomorrow
remixed edition表記が無く、オリジナルのままのリマスターで4thアルバム『REBECCA IV Maybe Tomorrow』からシングルカット。バラードでの代表作。後半までほぼバンドが入らず、シンプルにNOKKOが歌い上げるが、後半は熱く盛り上がる。そしてアウトロまで続く小田原豊のドラムもまた圧巻。CDで聞くと他の曲に比べてめっちゃまったりスローなのでタイミング次第では飛ばしてしまう事も少なくないが、ライブではほぼほぼラストで披露される事もあり、ライブで聞いた時の方が数倍良く聞こえるし、曲の世界には入り込める。
『Complete Edition』ではこの曲だけremixed editionが施されず、Nippon Budokan Last Live versionと題されたライブバージョンで収録された。日本武道館でのラストライブというのは1990年1月19日の事なので『LIVE SELECTION 2』収録のライブ音源と同一と思われる。
remixed editionは施されていないが、現役時代に『REMIX REBECCA』に選曲されているのでスタジオ音源のミックス違い音源も存在する。
★★★★☆
4thアルバム『REBECCA IV Maybe Tomorrow』
リミックスベスト『REMIX REBECCA』(リミックス)
1stベスト『The Best of Dreams』
2ndライブアルバム『LIVE SELECTION 2』(日本武道館 1990年1月19日)
5thベスト『STAR BOX REBECCA』
1st remixed editionベスト『Complete Edition』(Nippon Budokan Last Live version)
6thベスト『GOLDEN☆BEST REBECCA』
15th 神様と仲なおり/HELLO TEENAGE
00年6月21日
「フレンズ(remixed edition)」ヒット時はREBECCAとしての稼働は無かったが、1年経って再結成を発表。唐突に今作がリリースされた。続けて昨年のremixed edition展開の第2弾としてソニーから『Complete EditionⅡ』もリリースされたが、そちらは土橋がミックスで参加、ライナーノーツにコメントも寄せた程度でメンバー稼働ではなかった。
今作は何故かソニーではなく、イーストウエスト・ジャパンに移籍してリリースした上に、ライブも無く、再終了のお知らせもないままにフェードアウト…というこれ1作ポッキリの再結成であった。
アルバム未収録で中古でもあまり出回ってない(そんなに売れなかったので)ので、現状1番入手困難な作品となっている。
神様と仲なおり
落ち着いた幻想的なミディアムナンバー。バンドっぽさも薄く、唐突に復活して全く往年のREBECCAの面影の無い落ち着いた曲を出してくるとはこれまたいかに…。あの頃が完全に過去になった、今は全く別の場所にいる、それを知らせるための後日談のような1曲。サビのメロディーはなんだかんだ印象的で当時初登場20位、そこから100位以内に3週しかランクインしなかった割には『CDTV』でランクインしたのを聞いただけでずっと覚えていた。
★★★☆☆
アルバム未収録
HELLO TEENAGE
こちらの方が疾走感があってバンドっぽさもあり、現役当時のREBECCAの延長にありそうな1曲。既にNOKKOのボーカルにあの頃のパワフルさが失われている事もあるが、現役時代よりも明らかに落ち着いている。シンセを抑えて現代的なサウンドに古さは感じない。これまた過去が過去になっている事を確かに感じさせるが、今作の方が直接的にあの頃に触れていくような歌詞になっている。自分たちで過去の自分たちに捧げる楽曲を作り、休止のまま解散(その後95年に震災復興で2回ライブで限定復活)というやや中途半端だった現役時代に改めてピリオドをという事だったのかな。単純にサビの強さは「神様と仲なおり」の方が圧倒的だが、曲全体の雰囲気は今作の方が好き。
★★★★☆
アルバム未収録
C/W 神様と仲なおり(アンビエントバージョン)
編曲:土橋安騎夫
何故かこの別アレンジバージョンのみ、後に『LEGEND OF REBECCA』に収録され、その際にはカタカナだったのがambient versionという英字表記になった。アンビエントの定義はイマイチ難しいところがあるが、よりドリーミーでバンド感の薄い仕上がり。別アレンジというよりかは土橋によるリミックスといったところか。
★★★☆☆
3rd remixed editionベスト『LEGEND OF REBECCA』(ambient version)
16th Raspberry Dream/Tatoo Girl
02年1月23日
ソニーから唐突にリリースされた、remixed editionでの「Raspberry Dream」のシングルカットと、小暮在籍時の初期REBECCAの未発表曲「Tatoo Girl」の両A面シングル。『LEGEND OF REBECCA』への先行シングルとなり、一応99年の『Complete Edition』のremixed editionを改めて02年リマスターしたものと思われる。
『LEGEND OF REBECCA』は『Complete Editon』から6曲、『Complete Edition Ⅱ』から4曲といった既出10曲に加えて、新規remixed editionとなる3曲、前作『神様と仲なおり』C/Wのアンビエントバージョン、そして今作で初公開となった未発表曲「Tatoo Girl」のアルバムエディットで構成されていた。
Raspberry Dream(remixed edition)
現役時代にもリミックスが2音源存在していたが、よりロックバンド感が強まっていてイントロのドラムの力強さがより増している。名曲には違いないが、何故に3年弱も経って今更シングルカットしたのかは謎。出すなら便乗して99年に立て続けに出すくらいじゃないとヒットにはならないのは分かり切ってたわけで…。でもけっこうこの頃、8センチからマキシシングル移行というタイミングもあって改めてマキシで再発するとか少なくなかったからな。
★★★★★
1st remixed editionベスト『Complete Edition』
3rd remixed editionベスト『LEGEND OF REBECCA』
6thベスト『GOLDEN☆BEST REBECCA』
Tatoo Girl
作曲:木暮武彦
突如発表された未発表曲。しかも木暮在籍時代というレアっぷり。こういう感じを続けていたらブレイクは無かったようにも思うが、オリエンタルな雰囲気とアコースティックギターを生かした少し不思議な雰囲気の楽曲。なんかもっといかにも1st、2nd期にあったような曲というよりかはまだ見せていなかった側面のようでもあり、なかなか面白い。
album editionは30秒ほど長くなっているがイントロと最後のサビに突入する前の間奏がオリジナルより長くなり、共にリフ無しのアコースティックギターのストロークで場を繋いでいる。
★★★☆☆
3rd remixed editionベスト『LEGEND OF REBECCA』(album edition)
6thベスト『GOLDEN☆BEST REBECCA』
配信限定 REBECCA-revive-
15年1月28日
再結成した2015年だがその再結成発表の3ヵ月前に発表された配信限定シングル。「フレンズ」「RASPBERRY DREAM」の2曲を収録。現役当時にも何度かエンジニアとして参加し、現在はNOKKOの夫となっているGoh Hotodaによるハイレゾ用のリミックスが施されている。ハイレゾ用ではあるが、圧縮音源でも配信されており、iTunesなどハイレゾをやっていないところでは圧縮音源のみで配信されている。
続けてアルバムがハイレゾ配信され、そちらのリマスターもGoh Hotodaが担当したが、ハイレゾ用にリミックスまで施したのはこの作品のみ。複数回リミックス、リマスターされてきた2曲だが、これが現時点で最新リミックス・リマスターとなる。
既に再結成準備は進んでいたはずで、妻なのでGOH HOTODAはこれら一連の作業の段階で再結成することはたぶん把握していたんじゃないかと思う。むしろ再結成発表前の事前盛り上げの役割がこのハイレゾリマスター展開だったのかも。
フレンズ-revive-
RASPBERRY DREAM-revive-
オリジナル録音当時の機材をモデリングした機材でミックスし直したとされており、新たな解釈でミックスしたのではなく、現代の機材を使って当時のミックスを再現するという目的での再ミックスが施されている。このためかつてのremixed editionほど分かりやすい変化はないものの、オリジナルよりは格段にグレードが上がっていて、「フレンズ-revive-」は全体に立体感が増し、「RASPBERRY DREAM-revive-」はベースの力強さが増した感じがする。いずれにせよそこはかとなく綺麗に仕上がり、まさに現代に蘇ったという印象。単純に音の綺麗さではこのバージョンが最上級じゃないかと思う。
★★★★★(2曲とも)
17th 恋に堕ちたら
17年11月1日
2015年の再結成ライブ、紅白出演を経て、2016年は何の音沙汰も無かったため、00年再結成に続いてフェードアウトが芸風なのかと思っていたら2017年に全国ツアーを発表。そのツアーで披露する新曲として制作された。ツアーで演奏され、その後シングルとして発売されたのが今作。今回もやはりソニーではなく、今度はユニバーサルへ移籍しての発売。
新曲は1曲ポッキリだが、DISC-2,3にその全国ツアーの日本武道館公演のライブ音源を全曲収録(BD/DVD化はその後でされた)したライブCD付。初回盤は加えてMVを収録したDVD付。
恋に堕ちたら
作曲:REBECCA
メンバーが総力を結集して17年ぶりの新曲を制作した事をアピールする意味合いがあったのか作曲がバンド名義になっているが、当時放送された今作の制作やレコーディング含めたドキュメント映像では曲自体は既に出来上がっていて作詞に悩むNOKKOやギターレコーディングに挑むサポートの是永巧一の姿などが映し出されていた。その中でNOKKOは自嘲気味に再結成しての久々の新曲なんて「最悪ですよ」と語っていたが、往年らしさはないが、全く違うものでもない、REBECCAはもう遠い過去になったという空気全開である意味で突き放すような00年の時とも違う、フラットな50代のREBECCAがここにあると思う。率直に今作はあの頃とは当然違うけどでも確かにREBECCAらしい。あとサポートだけどREBECCAのギターってやっぱり是永巧一だよなと思わせてくれるようなギターサウンドもいい。正式メンバーとしては4人だけど、現役時代半ば以降に固まったギター是永巧一、パーカッション中島オバヲ含めた6人がもうREBECCAだと思う。
またしてもこれっきりでREBECCAの活動は止まってしまったが、NOKKOのソロアルバム『TRUE WOMAN』が制作されていたため、18年3月にリリースされた『TRUE WOMAN』に今作がそのまま収録された。さらに新たに真藤敬利の編曲によるacoustic versionも収録されたそちらは完全にソロ名義。ただしベースの高橋教之のみacoustic versionでもベースを担当した。
★★★★☆
NOKKOソロ9thアルバム『TRUE WOMAN』
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