レミオロメン シングル回顧+(前編)~2003-2006~

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レミオロメン シングル回顧+(前編)~2003-2006~

山梨出身の藤巻亮太(Vocal,Guitar)、前田啓介(Bass)、神宮司治(Drums)の3人は小学校時代からの同級生で学生時代にもバンドを組んでいたようだが進学で1度解散。藤巻が迫る就職(大学卒業)を前にして一足先にスタジオミュージシャンをしていた前田に相談して看護学校へ進学していた神宮司を誘って音楽の道へ進むことを決意。これが2000年。2010年に10周年が掲げられていたのはこの2000年が結成起点とされているからだったようだ。

その後、地元の空き家の神社の母屋を借りての練習の日々(通称「神社時代」)を経て03年にデビュー。当初インディーズだったがすぐに小林武史の烏龍舎、ビクターへの所属が発表されてメジャーデビューを果たした。当初ストイックなロックサウンドを主軸としていて小林武史はプロデューサーだったが演奏には参加していなかった。方向性としてもお茶の間では知らないがロック好きの間では期待の新人として注目されるようなロック誌方面、いわゆるロキノン系に属するような立ち位置だったようだが、より飛躍していくことを決めたのか途中から小林武史のプロデュースが強まり、やがて全面参加、J-POP方面へと振り切った。この路線変更は賛否を呼んだが、結果的にはアルバム3枚は出すたびに売上を伸ばし、シングル「粉雪」も大ヒットするなど一躍若手ロックバンドとして、躍進することに成功した。

個人的には「3月9日」がリリースされたときに知り、その時は1曲限りだったが1年後のアルバム『ether[エーテル]』から聞き始めた。なのでブレイク前は知らないが、ブレイクしていって人気が頂点を極めるまでは何となくリアルタイムで感じていた。当時は好きな曲がいくつかあるけど程度でそこまで熱心に聞いていたわけでもなかった。本格的に響くようになったのはむしろこの栄光の後だった。

2019.3執筆
2011年対談も参照。2011年対談を踏まえて(休止発表前だったがその翌年休止になったきりなので結果的に全シングル対談になった)、そこから8年後の2019年視点でC/W、アルバム曲を追加。

1st 雨上がり

雨上がり
03年5月21日
ミニアルバム『フェスタ』から2ヶ月でリリースされた1stシングル。インディーズでのリリースだが、00年前後のロックバンドは事務所やメジャーデビューが決定していてもインディーズで少し作品を出してからメジャーデビューするという戦略が主流になっていた。レミオロメンもインディーズからメジャーデビューの流れがスムーズだったので、インディーズで出してからメジャーデビューが決定したというよりかはこの時点でメジャーデビューが決まっていた可能性もある。ただし一応今作の後にメジャーデビューと事務所烏龍舎への所属決定が発表されている。

公式サイト非掲載かつ『朝顔』収録時に1局除いて再録音された『フェスタ』と違って公式ディスコグラフィーにも普通に1枚目のシングルとして掲載されている上、1stアルバム『朝顔』にも2曲ともそのまま収録されるなど、扱いはメジャーに準じている。

雨上がり

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
ストレートなギターロックナンバー。後追いだとストイックなロックサウンドが新鮮に聞こえるが当時はTVに出るお茶の間系のJ-POPよりもいわゆるロキノン系方面に属するような扱いだったようなので、むしろこれが標準だと思われていたし、初期のファンは基本このままで突き進むと思っていた…はず。後になってみるとシングルでストレートなギターロックでノーストリングスでアップテンポなのってこれと「モラトリアム」しか無かったな…と思うともっとこういうタイプのシングル曲を聞いてみたかった気はする。

タイトル通りに雨上がりの街の情景描写を主軸とした歌詞。“響くがまま僕らはどこまでも”というフレーズやそもそもなんで1作目から雨のち晴れなのかというところも、就職せずにバンドで生きるという道を選んで神社時代と呼ばれる1年間(空き家になっていた母屋を借りてひたすらここで3人で練習した)は正直不安もあっただろうし、そこからデビューへ至っての決意表明も含まれているんじゃないかと思う。

以前の対談時は全く感じなかった事だが、個人的にはアラサー近くになってようやくコーヒーが好きになったので、最近改めて聞いたら“いつからか好きになってたコーヒー”というフレーズがしっくり来るようになっていた。

1stシングルという事もあってか、その後路線が大きく変わってもライブ盤、ベスト盤全てに収録され、10th Anniversary BOXでも選曲されている。このリアレンジでは更にロック度を増したガツンとしたサウンドに生まれ変わっていて聴き応えがある。同時に2010年時点で既にストリングス多用のJ-POPバンドのイメージが一般的だった中でレミオロメンのロック魂が失われていなかった事を感じられる。『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』はストリングスライブではあったが、何でもかんでもストリングスを入れたわけではなく、この曲に関しては10th Anniversary Ver.で披露している。
★★★★☆
1stアルバム『朝顔
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

昭和

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
淡々としたどこかレトロな感じのロックナンバー。昭和生まれとはいえ、メンバーは昭和54年度(1979年度)生まれ(2人早生まれで昭和55年1980年生まれ)なので、昭和という時代の体感は少年期の記憶とイコールでほとんど持っていないはず。歌詞も旅先での情景や心情が綴られたもので、特に昭和を思わせるような内容ではない。そこはかとなく漂うメロディーやアレンジでの少し古い感じが「昭和」という事なのだろうか。
★★★☆☆
1stアルバム『朝顔

2nd 電話

電話
03年8月20日
前作から3ヶ月でのメジャーデビュー作。6月にメジャーデビューと事務所所属を発表、発売直前の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に初出演するなどロキノン系・フェス系のリスナーの間ではそれなりの知名度で期待される中でのメジャーデビューだったようだ。O社では29位を記録。

電話

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
前作よりも重心の低い感じのロックナンバー。メジャーデビュー作という気負いはあまり感じないし、お茶の間に打って出ようとか広く売れようというよりかはロックファン受けするようなところを堅実に狙っていったような硬派なロックバンドらしい1曲だと思う。メジャーデビュー作のサビ頭に“闇深く心細く”を持ってくるのは凄いが別にそんなにダークな心情を歌った曲ではない。しかしとても力強いサビのインパクトは早くも強烈な持ち味になっていると思う。

10th Anniversary Ver.では徐々に盛り上がっていくアレンジに変更。楽器をかき鳴らしていた原曲からだいぶ抑えながらもロックな印象はそのままでロックバンドとしての進化を感じられる仕上がり。
★★★★☆
1stアルバム『朝顔
9thシングル『太陽の下』初回盤のみC/W(‘06.1.28 live ver. at 三郷市文化会館)
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)

タクシードライバー

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
ロックバンドしているなぁという感じのロックナンバーでそんなに強いインパクトのある曲ではないが、ギター、ベース、ドラムそれぞれの躍動、適度なメロディーといい聞き込める要素の多い1曲。
★★★☆☆
1stアルバム『朝顔

From 1stアルバム『朝顔』

朝顔
03年11月19日
『フェスタ』6曲から5曲を再録、シングル2作から4曲全てを収録したため新曲が2曲しか無い。そんな収録内容以上に、発売までコピーコントロールCD(CCCD)である事が伏せられ、CCCD表記も他作品に比べて極めて小さく表記したためCCCDである事に批判が殺到、公式掲示板が閉鎖に追い込まれる事態となった。

最終的に初回盤紙ジャケ(CCCD)、通常盤(CCCD)、07年通常盤再発(CD)、09年OORONG再発(CD)と全部で4種類も存在する。07年にCCCDを解除して再発したのに2年後にOORONG移籍時に権利ごと移動させたので07年盤すぐに廃盤、OORONGで再発したものも休止後間もなくしてOORONG自体が消失したため、結局全部廃盤となっている。中古で探すときはCCCDよりは07年盤か09年盤を発見できればベター。

『フェスタ』からの再録音は…たぶん再録音されていると思うんだけど…程度で音は整った感じはするけどあまり大きな違いはない。『フェスタ』にはスタッフ表記が無いが、『朝顔』の録音やミックスは事務所所属の今井邦彦とかが手掛けているので『フェスタ』時にまだ事務所と契約してないならインディーズの作品に今井邦彦がレコーディングに参加してないだろう、という事にはなる。

まめ電球

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
『フェスタ』では2曲目だったが、『朝顔』ではリード曲的な1曲目として収録された。初期レミオロメンのギター、ベース、ドラムが絡み合う余計な装飾の無いバンドサウンドを堪能できる良曲の1つといった印象。小さな幸せを”まめ電球”に置き換える日常的な感じもまた初期の魅力の1つか。”あなたまであなたまで~”のサビメロは相変わらず強い。

そういえば子供のころは寝るときまめ電球だったけど、いつしか寝るときは全消し(真っ暗)にするようになったのでまめ電球を使う機会はあまりない。この当時一般的だったまめ電球も徐々にLEDのものに転換が進んでいるんだろうなと思うと、時代の変化も感じる。
★★★★☆
ミニアルバム『フェスタ
1stアルバム『朝顔
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

ビールとプリン

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
『フェスタ』では最終曲(6曲目)だったが、『朝顔』では4曲目、さらに『レミオベスト』にも選曲され、ライブ盤にも収録された事のあるシングル以外での初期の代表曲。カップルの普通の日常が描かれた生活感のある日常系ロックナンバー。

昨今はビールとプリンと単語を並べると“プリン体”というワードが連想される健康志向(?)な世の中だが、今作でのビールとプリンはそのまま主人公が買ってきたものそのものであり、プリン体ゼロだとか、ビールのプリン体が痛風の原因だ云々といった話とは一切関係が無い。ただしビールとプリンをガバガバ摂取していれば体型や健康に影響が出るかもしれない…などとアラサー付近になってくると考えるようになる。当時のメンバーはまだ若いのでそういう感覚は無かったと思うけど…。…なんの話をしているんだ…?
★★★☆☆
ミニアルバム『フェスタ
1stアルバム『朝顔
ベストアルバム『レミオベスト

フェスタ

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
インディーズミニアルバム『フェスタ』のタイトル曲にして1曲目を飾っていた楽曲。自主制作盤を経て初めて全国流通したCDの1番最初なのでこの曲がレミオロメンの始まりという印象が強いが、『朝顔』での配置は8曲目であまり目立つ位置ではない。粗削りなサウンドながら山梨から全国で羽ばたいていこうとするかのようにあふれ出す勢いが今作最大の魅力。そういう意味でも『朝顔』での8曲目よりも『フェスタ』の1曲目として聞いた時の方がここから全てが始まる感じがする。音も『朝顔』の方が綺麗なんだけど、この曲は『フェスタ』での荒々しい感じの方がその時にしか出せなかった良さがあるように感じられる。
★★★☆☆
ミニアルバム『フェスタ
1stアルバム『朝顔

3rd 3月9日

3月9日
04年3月9日
通常の水曜発売だと04年は3月10日になるところだったが、タイトル通りに3月9日に合わせて火曜日に発売された。1stアルバムを経て人気は上昇中で一気に初登場11位を記録。惜しくもトップ10入りはしなかったものの6週連続でトップ3011週連続トップ100にランクインして7月まで200位以内にランクインして200位圏外となった。1年後にドラマ『1リットルの涙』劇中歌として使用されると再ランクイン、05年11月~06年4月にかけてトップ100にランクインし続け(この時は24位まで浮上)、7月頃に200位圏外、07年3~4月にトップ200に再浮上、08年も3月に2週、09年は1週ランクインして合計62週200位以内にランクインした。2010年以降ランクインしなくなったのは需要が無くなったからとか配信に移行したからとかではなく、OORONG移籍時にシングルが全て廃盤となり供給が途絶えたため。現在も季節が来ると中古・配信で売れ続けているようで春頃に中古価格は高騰、配信チャートでは上位にランクインする。

発売当時にこれなんかいいなぁと手に取った(レンタル)最初のシングルが今作。ただ当時は曲先行で突発的に聞いたのでそこまででもなく次回作以降はまたしばらく聞かなくなって、「南風」のリリースでまた改めて存在を認識、2ndアルバム『ether[エーテル]』を一気に購入して以降はリアルタイムで聞くようになった。

3月9日

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
いきなり歌とギターから静かに入り、サビでは分厚いロックサウンドが炸裂するあまり明るくはない…というか暗くて重ためのロックナンバー。”新たな世界の入口に立ち”など卒業を思わせるような部分もあるが、基本卒業の内容ではない。そもそも当初の目的である3人の共通の知り合いの結婚を祝うため、という意図もあまり感じない。結婚式で演奏するには暗くないかこの曲。随所で未来を約束するような言葉は登場するものの、あまり祝福する感じもないし…。チャート番組で最もかかる1番サビ部分も瞳を閉じたら瞼の裏にいるようだとかそこだけ切り取ると故人を思うような言葉に聞こえてしまう。

3月9日という寒さは残るも暖かさと春の到来を感じるようなそんな日々を捉えた季節の変わり目を描いた曲として、今作は名曲だと思う。日付指定の曲なので毎年3月9日になれば必ずTV・ラジオなどのメディアからSNSから必ず取り上げられて思い出されるし、「粉雪」以上に色褪せずに毎年親しまれ、歌われる曲として今後も扱われていくんだと思う。

発売当初は結婚式を祝うためというエピソードが幅を利かせていたが、ドラマ『1リットルの涙』の作中で生徒たちが合唱課題曲としてこの曲を歌唱。これも実は卒業ではなかったんだけど制服姿の生徒たちの合唱がなんかいつの間にか卒業のイメージに変わってしまったのか何なのか、そもそも3月9日自体が卒業式のシーズンであるのが決定的だったのか、気が付いたら卒業ソングの定番扱いされるようになっていた。

MVには当時まだ無名だった新人時代の堀北真希が主演。高校の卒業式を経て姉の結婚式へ直行、姉の幸せをカメラに収めながら見届けて、自身は大学ではなく就職して新社会人となり幕を閉じる内容。やはりどこか情緒的というか、黄昏てる感じの映像だが、当初の曲の目的である結婚、そして後に解釈される卒業両方が一応描写されているのや、後の堀北真希のブレイクなど何かと先見の明があったMVだった。また藤巻亮太がソロでセルフカバーを配信リリースした2017年3月1日に堀北真希は偶然にも引退を発表した。

レミオロメンとしてはシングル『粉雪』C/Wでは「3/9 with Quartet」、そして前田啓介&四家卯大がストリングスアレンジを担当した10th Anniversary Ver.も存在するがどちらもストバラ化。壮大になっていてスケールアップしているはずだがどういうわけか3人のストイックなバンド演奏のオリジナルに勝るものはない
★★★★★
2ndアルバム『ether[エーテル]
8thシングル『粉雪』C/W(「3/9 with Quartet」)
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)
本+シングルCD『10th Anniversary Special CD BOX「Your Song」』(10th Anniversary Ver.)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)(ライブ、10th Anniversary Ver.)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)(ライブ、アンコールで原曲アレンジでもう1回演奏)

日曜日

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
初期でも珍しいパンク的な勢い全開の激しいロックナンバー。3人の音を重ね合わせて比較的丁寧にサウンドを構築していっていて勢いそのままにという感じはあまりしないのがレミオロメンだったがこの曲に関してはかなり勢いに任せているような感じ。最初に聞いたのがこのシングルなので、こんな感じのロックがもっとあるのかと思ったらこの曲みたいなのは他になかったのも驚きだった。
★★★★☆
アルバム未収録

4th アカシア

アカシア
04年5月19日
初回盤ではなく最初からデジパック仕様。C/Wが2曲に増加した。アルバム『朝顔』に続いてシングルでは初めてproduced by レミオロメン&小林武史と表記された。しかし小林武史はアレンジと演奏には表記されておらず不参加。また今作のみサポートギターとして清水弘貴が3曲全てに参加している。ライブ盤以外でサポートギターが表記されたのはこの3曲のみで、アルバム『ether[エーテル]』でも「アカシア」と「五月雨」の2曲にだけサポートギターとして清水弘貴の名前がクレジットされている。

アカシア

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
落ち込んでいる気分を救い上げてくれるようなミドルナンバー。攻めるよりもあえて抑えたようなアレンジが心地いい。これまでよりもおとなしく聞こえるがよく聞くとギターは左右で違う演奏をしている(藤巻とサポートギターの清水弘貴で分けているものと思われる)。

シングルとしては少し地味だったのかもしれないし、正直しばらくはそんなに印象的な曲でもなかったが、年数を重ねるごとに染み渡る1曲になった。以前の対談で5月病対策のような曲とも形容してその時にもだいぶ好きな曲になっていたが、今はそれ以上に好きな1曲になっている。後の路線迷走や迷いが深すぎて新作が書けなくなるなど迷っては吹っ切れ、迷っては吹っ切れを繰り返しそれがダイレクトに作風にも反映されるなど、どう考えても藤巻亮太はノー天気な性格とは対極な人、しかし前向きな曲を書く事も少なくないので率直に明るくありたいけどすぐに落ち込んで迷ってしまう人だと思われるが、そんな迷う人があえて“どんな事だって起こるさ”とか意味なんてない、と物事を重く捉えすぎずにライトに捉えようとしているような今作はだからこそ同じように迷う者に響くところがあると思う。“勇気が足りないかい?それなら僕も同じさ”には救われるし、逆に迷いの中にいる人には自分自身も同じ言葉を送りたいと本当に思う。

ベスト盤に外され、ライブ盤2作にも収録されていないなどやや不遇気味だが、ファン投票により選曲された『レミオロメン 10th Anniversary BOX』では5位で入ったのでファン人気は高いらしい。その10th Anniversary Ver.ではアコースティックスタイルにアレンジ変更されている。ややゆったりした雰囲気になり、キーもたぶん下げていると思うんだけどより地に足の着いた雰囲気になり深みが増した。あと原キー辛いけどこのバージョンのキーの方がカラオケで歌いやす
★★★★★
2ndアルバム『ether[エーテル]
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)

五月雨

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
打ち込みサウンドを導入して新鮮な響きを見せる序盤部分からBメロで広がっていき、サビでは一気にアッパーに突き抜ける当時としては音楽性を拡大させた実験的な曲。インディーズ時代にあった曲をリメイクしたらしいので元はもっとストレートなバンドアレンジだったんだと思う。歌詞も何だか良く分からないので不思議な感じの曲だが、基本雨の景色を歌った曲でそれに合わせてダークめの曲調なのにサビの2回目であーぅおーぞら あーぅおーぞら(青空 青空)と明るいイメージの単語が2連呼で出てくるのはインパクトがある。

比較的大きいライブで最後まで披露され続けていたライブの盛り上げナンバーらしいが確かに大会場でのライブで映えそう。ライブ盤でもC/W、アルバム曲ながら2作連続で収録された。表題の「アカシア」は2作とも入ってないのにな
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

夏前コーヒー

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン
かなりじめじめした感じのじっとり系ミディアムナンバー。タイトルは何となく爽やかだが、”夏前の粘る空気”だとか”べっとりと じっとりと”だとか”蒸し暑さ”だとか主に前半に夏の暑さの嫌な部分が描写されていて不快指数が上がっていく。実際に同じような気候の中で聞いたらますます不快指数が増しそうだし、正直そのような湿度と気温が高い環境下で”暖かいコーヒーを入れて”みるような気分にはならない。せめてアイスコーヒーにしてくれそういう曲じゃな
★★★☆☆
アルバム未収録

5th モラトリアム

モラトリアム(初回) モラトリアム
05年1月12日
見た目は同じだが品番が異なる初回盤・通常盤が存在する初のシングル。初回盤はCD-EXTRAでPVを収録。また今作ではlyrics:藤巻亮太、music:レミオロメン表記に統一され、編曲表記が消失した。前作に続いてレミオロメン&小林武史のプロデュース表記はある。今作から2ndアルバムまでは編曲表記が消失したままなので、小林武史が編曲に参加するようになったのがいつからなのかは正確には不明であるが、今作に関しては小林武史の演奏参加は「僕らは」のみ

前々作が11位でロングヒット、前作が17位で少し落ち着く中で今作は8位に食い込んで初のトップ10ヒットを記録した。以降「恋の予感から」まで12作連続トップ10入りした。

モラトリアム

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン
いわゆるロキノン系で括られるようなストレートなギターロックバンドとしてのレミオロメンとしてはたぶん金字塔にして最終作のような1曲。アップテンポのロックナンバーではこれが代表作という感じがするし、次回作以降ポップ化著しい中で『朝顔』の頃が良かったとか、「モラトリアム」みたいなガツンとしたロックナンバーをもう1度聞きたいとかそういう声が多かったように思う。特に『レミオベスト』の選曲に関して、初のトップ10ヒットでもあった今作を外した事に対する不満の声が多かったように記憶している。

歌詞は相手との距離感に対して思い悩んでいるラブソングのような形になっているが、一方でバンドを前に進めていく上での葛藤や関係性を歌っているようにも思える部分もある。まあそういった事を考えずともストレートに飛躍していくバンドの勢いが溢れていて単純に聞いていて気持ちがいいロックナンバーだ。やはり今作の延長戦にあるようなロックナンバーはもう少し聞きたかったと思う。ただ心理学的な意味合いでの猶予期間を意味してモラトリアムをタイトルにしたのであれば、次回作以降でのキーボード・ストリングスサウンドを大胆導入をという更なる変化を前にした葛藤ともっと広く世間に打って出る決意表明をしてバンドのモラトリアムの時期を終える意味合いでこのタイトルにしたのかな…と最近改めて思った。

『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』ではストリングスではなくブラスアレンジを加える形で少し新しく生まれ変わった感じ。なんでもかんでもストリグスで盛るのではなかったのでこれは良かった。
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

春景色

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン
もう少し暖かい感じの曲を連想するが、忙しない感じのロックナンバーでサビにかけて疾走していく。メロディーもいいけど、演奏のカッコよさがやはり聞きどころか。3人でできることを突き詰めて今作で到達点に達したようなところもあったのかなぁ…。
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]

僕らは

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン
1stアルバム『朝顔』の最終曲「追いかけっこ」に続いて2曲目となる小林武史がキーボードで参加した楽曲。サビも無くほぼ同じような歌詞とメロディーを淡々と繰り返すシンプルな楽曲。後半になるにつれてノイジーにバンドが盛り上がっていく。キーボードは主役というほどではないし、雰囲気を出すのに効果的に入れている感じ。
★★★☆☆
アルバム未収録

6th 南風

南風(初回) 南風
05年2月9日
前作に続いて見た目は同じだが品番が異なる初回盤・通常盤で発売。初回盤はCD-EXTRAでPVを収録。今作でも引き続きlyrics:藤巻亮太、music:レミオロメン表記に統一されている。

小林武史がキーボード参加した楽曲はここまでは『朝顔』の「追いかけっこ」、前作C/Wの「僕らは」の2曲のみだったが、今作では3曲全てに小林武史が参加。以降ほぼ全面参加するようになった。レミオロメンにとって転機の1作。

南風

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン(後に”作曲:藤巻亮太、前田啓介”に表記変更)、strings arrangement:小林武史&四家卯大
当時は作曲がレミオロメン名義だったが実は藤巻・前田の共作だった事が後の作品に表記された事で判明した唯一の1曲(他で判明した曲は全部藤巻単独だった)。

流麗なストリングスが鳴り響くポップでダンサブルな楽曲。アルバム先行シングルで一気に売れ線を仕掛けてくるという大胆不敵さでリスナー層を拡大させたと同時にいわゆるロキノン系のリスナーは一斉に戸惑ったであろう問題作。非常にポップで春らしい爽やかさがあったので、当時自然と耳に入り、アルバム購入に踏み切ったので個人的にはこの戦略に見事にハマった1人だった。実際『ether』は一気に売れたので商業的な賭けは成功だったといえる。

藤巻のボーカルはそもそもに明るくない…というか率直に暗いので普通にロックバンドしていると普通にしていても暗めになってしまうが、今作くらい明るいアレンジに振り切るとまた見えてくる世界観が変わるんだなぁと改めて思う。特にこれまでの作品を聞いてきてから今作を聞くとよりそう思う。2番以降のサビの語尾にひねり(?)を加えているところが地味に好き。

MVには古畑勝隆、貫地谷しほりが出演。貫地谷しほりは2007年に、「3月9日」の堀北真希は2012年に朝ドラ主演を果たしている。結果的にMV出演女優が2連続で朝ドラ主演になったというMV制作チームの先見の明がさりげに凄い。あとこのPVではピョンピョンしながら演奏している前田啓介がなんかマスコット的なかわいさがあって印象的だった。

10th Anniversary Ver.ではとんでもない変貌を遂げており、アレンジのポップ性を完全排除し、さらにテンポを上げた激しい3ピースロックナンバーへ生まれ変わった。3分ちょいで曲が終わるほどの勢いで駆け抜けていくが、まさかこのポップな曲がこんなにかっこよくなるなんて…。
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

虹色

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン、horn arrangement:小林武史&山本拓夫
ウキウキビート(モータウン調)なサウンドにオシャレなホーンアレンジやピアノを加えてジャジーなテイストも加えたかなりの新機軸というか結果的にはかなり異色な1曲。サウンドが凝っている割にメロディーはかなり淡々としていてやや地味。今作に関しては異色のアレンジが聞きどころだが…いやしかし後追いでこの曲聞いたんだけど、本当にこの時期の小林武史か?

同時期のミスチルでも陥っていたが00年代半ば以降の小林武史はストリングス病状態でとにかくストリングスとピアノを足して盛るばかりとなってしまっていた。しかし元々桑田佳祐やサザンでの小林武史はもっとトータル的なサウンドで職人っぷりを発揮していたし、ミスチルやマイラバで大活躍した90年代はストリングスよりもホーンアレンジを多用して曲に応じて管弦・ピアノその他バランス良くアレンジする天才職人だった。今作ではそんな小林武史のかつての才能がレミオロメンで発揮された珍しい1曲かもしれない。ピアノにしてもこの時期以降の小林武史のピアノってとにかくこってりというイメージがあり、終始真面目な感じしかしないが、今作のピアノは跳ねまわっていて何だか楽しげ。恐らく当初メンバーが望んだであろう売れる音楽を作る事と3人だけでは出来ないサウンドの方向性拡大、このシングルに関してはそれが実現できそうな幅広さが出ているように思う。
★★★★☆
アルバム未収録

ループ

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン
こちらはストリングスなしで小林武史のキーボード参加のみ。アコースティックサウンドを軸にしてタイトル通りに自問自答しながら同じところをぐるぐる回っているような心情が歌われていて、そんなハッキリしない心情のままに曲も地味に淡々としている。ただシングル3曲のバランスとしては異なるサウンドアプローチでの3曲に仕上がっていてなかなか面白いシングルになっている。振り切るなら振り切るで何故この多彩な感じで進めなかったのかなぁ…と思う。
★★★☆☆
アルバム未収録

From 2ndアルバム『ether[エーテル]』

ether[エーテル]
05年3月9日
05年は3月9日が水曜日となっていた事もあって、火曜発売にしたシングル「3月9日」からピタリ1年後の3月9日発売。エザーと読まれてしまうのを避けるためか、エーテルというカタカナ表記がタイトルに含まれている。

また割とロングヒットになって後から入手したリスナーも多いので知られていないが初回盤はピクチャーレーベル仕様。CDのレーベル面がジャケ写と同じようなデザインになっていて通常盤とはデザインが異なる。新品の場合は確か初回盤シールが袋に貼ってあったと思うんだけど、中古流通のみとなった現在は開けてCDレーベル面を見ないと初回盤か通常盤かの判別ができない

シングル「モラトリアム」「南風」に続いて今作でもlyrics:藤巻亮太、music:レミオロメン、produced by レミオロメン&小林武史表記になっているが、この一括表記は今作を最後に廃止になり、次からは元の個人表記へ戻された。今作収録曲で後にライブ盤やベスト盤などに収録された曲は作曲が個人表記(基本的に藤巻個人)に変わっている。

春夏秋冬

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン(後の作品では藤巻亮太)、strings arrangement:小林武史&四家卯大
四季の情景と君への恋心を綴った色鮮やかな楽曲。ストリングスが曲を彩り全体に優しく穏やかな雰囲気の楽曲だが、四季の鮮やかさは3ピースでは出せなかったと思うので小林武史のストリングスプロデュース力(?)がうまくハマった1曲だと思う。

当時シングル「3月9日」と先行シングルとしてヒットしていた「南風」のMVをCS番組で見た程度で今作を聞いたのでそこまで違和感が無かったが、『朝顔』から聞いていたら改めて物凄い変貌だなと思う。ただこの曲の後にロックナンバー「モラトリアム」に続いていくなどこのアルバムは全体に新旧のリスナーが満足できる構成になっているのが特に優れていた。

10th Anniversary Ver.は「南風」同様にアップテンポ化して激しいロックナンバーとなっている。季節の移ろいを感じながら進んでいくような原曲に対してこちらは季節を感じる暇も無いほどめまぐるしく駆け抜けていくような激動の1年みたいな感じになっていて四季の情景は浮かばなくなってしまった。ただロックバンドとしてのカッコよさは存分に発揮されていてアナザーバージョンとして大いに楽しめる仕上がり。あと大人になるにつれて正直1年って原曲からこのバージョンのような感じになるよねって思うようになった。
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]
公式通販予約限定BOX『レミオロメン 10th Anniversary BOX』(リアレンジ、10th Anniversary Ver.)
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

永遠と一瞬

作詞:藤巻亮太、作曲:レミオロメン、strings arrangement:小林武史&四家卯大
やや重く暗めのイントロや歌いだしから徐々に希望が見えていく楽曲。1番と2番のサビの冒頭は”希望の色は空色”で共通しているが、その後で言っている事がほぼ真逆で1番では見上げても飛べず、ありのままでいる事も難しいと歌うが、2番では飛べるまで見上げるし、ありのままでいる事は容易いと歌う。この間に何かきっかけになるような事が描写されているわけではないが、気が付けば重たかったサウンドもコバオロメン化ストリングスを中心に優しく包み込むように鳴っていて暖かく感じるようになっている。きっかけなど無くとも少しでも心が変われば見える景色も変わるんだよな…。それに改めて気づかせてくれる1曲だ。
★★★★☆
2ndアルバム『ether[エーテル]
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

7th 蒼の世界

蒼の世界 (初回限定盤) 蒼の世界 (通常盤)
05年10月12日
初回盤はデジパック仕様、CD-EXTRAでPVを収録。前2作が8位、9位だったが今作では一気に2位。『ether[エーテル]』を経て人気は上昇傾向だったが、初動2万台での2位は05年当時ではまだかなりの低レベル、ラッキー週だった。

今作より再び作詞作曲が個人名義に戻った。今作ではまだ編曲表記はカットされたまま。3曲とも小林武史のキーボード表記があり、「蒼の世界」はアルバム『HORIZON』にて編曲もレミオロメン&小林武史と表記されている。

蒼の世界

作詞作曲:藤巻亮太
ポップ化でインパクトを残した「南風」、大ヒット曲「粉雪」に挟まれていてたたでさえ忘れられがちだったのに『レミオベスト』未収録、ライブ盤にも入らず(1stライブ盤の方は3曲目に演奏されてたけどカット)、リメイクもされず…で、結果的に『HORIZON』にしか収録されていない。どんどん存在感が失われてしまった1曲だが、発売当時の今作はそれなりに飛躍していっている感じがあった。尖った感じやギターが重厚に響いている感じは無くなったが、基本的にはポップ路線に向かってさらに躍進したような方向性。全体に”蒼”のイメージを打ち出しているが季節的には発売時期に合わせたを歌った内容になっている。どうしても切なくなりがちな秋という季節において秋の季語をふんだんに取り入れながらも前向きな方向にまとめ上げているというのは他にあまり思いつかない。他の季節に比べると秋イメージの曲はそもそもあまり多くないがそんな数少ない秋の良曲の1つだと思う。
★★★★☆
3rdアルバム『HORIZON

息継ぎ

作詞作曲:藤巻亮太
標準的なポップロックナンバー。キーボードに支配されているほどではなく、初期寄りではあるが初期ほどロックではない、そしてとびきりキャッチーではないがそんなに地味なわけでもない、まさに普通にいい曲。徐々に加速していくサビは印象的。
★★★☆☆
アルバム未収録

午後の低気圧

作詞:藤巻亮太、作曲:藤巻亮太,前田啓介
変わりやすい秋の天候が悪化していくような不穏な風(?)が吹き始めているような雰囲気のロックナンバー。これまたキーボードに支配されているほどではなく、初期寄りではあるが初期ほどロックではない、そしてとびきりキャッチーではないがそんなに地味なわけでもない、まさに普通にいい曲(禁じ手コピペ)。このシングルに関してはキーボードを入れた上での4人での標準的なバンドサウンドを目指したのかなという感じ。『3月9日』以来、ここからリアルタイムで聞き始めたシングルなのに何故か後追いのこれまでのC/Wより正直印象が薄
★★★☆☆
アルバム未収録

8th 粉雪

粉雪
05年11月16日
初回盤はブックケース(スリーブケース)付、CD-EXTRAでPVを収録。今作では編曲表記が復活し、編曲はレミオロメン&小林武史となった。これはこれまでのプロデュース表記と同じ表記順だったが、プロデュース表記は小林武史&レミオロメンへ変更となり、小林武史の名前が前に出るようになった。

初登場4位、4位、3位、2位、2位、4位、2位、3位、2位(合算)と推移し、5週(合算含む)2位になりながら1位は獲得できなかった。このうち3週目の3位の際は同じ8万台でトップ3が並ぶ僅差、4週目の2位は1位の倖田來未とわずか1264枚差、合算週の2位は1位の修二と彰(返り咲き1位)と2895枚差、その翌週の3位も3万台でトップ3が並ぶ僅差…とあとわずかで1位になれたタイミングが何度も訪れながらも2位止まりであった。

ロングヒットによりアルバム含めても自身最大のヒットを記録した。O社では翌06年分の1週目から集計されたため、06年の年間チャート2位を記録…と週間でも年間でも2位であった。

発売当時も翌年以降も紅白には出演できなかったが、09年に『レミオベスト』がヒットした効果なのか、何故か09年になって紅白に出場。何で今?なタイミングで「粉雪」が歌唱された。

粉雪

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、stirings arrangement:小林武史&四家卯大
ドラマ『1リットルの涙』挿入歌。主題歌ではない主題歌はKの「Only Human」で7週連続トップ10入りのロングヒットで自身最大のヒット曲となったが、それ以上に「粉雪」が大ヒット、世間に浸透してしまうという不思議な現象を巻き起こした。実際ドラマでは専用映像が用意されて毎回エンディングでしっかりかかっていたのは当然正規主題歌である「Only Human」の方で、今作に関しては文字通りの挿入歌。劇中でBGMとして使用されていた。扱いはそこそこ良くて実際に雪が舞うシーンで”こなぁぁぁゆきぃぃぃ♪”とかかるそのまんまなシーンもあったが、正直平メロは良くてもサビ部分がかかると挿入歌にしては強すぎる印象もあった。

そんな強すぎる”こなぁぁぁゆきぃぃぃ♪”が今作最大の特徴で今作が大ヒットに至った理由の1つでもあったと思う。”粉雪”にこんな力強いメロディーを乗せてくるのはある意味で反則技のようにも思えるけど、でも力強いけどとてつもなく切ないし、確かに降りしきる雪が見える。粉雪っていうかそこだけ吹雪のような気もするけど。終始ギターがゴンゴン鳴って曲をリードしているので小林武史のストリングスを交えたアレンジもそこまで派手ではなくバッチリハマっていた。売れ線を目指して確かな大ヒットを生み出し、ここまでは本当に順調だった。

大ヒット曲だけにカラオケでも流行った曲となったが、なまじサビ以外がとても低くて誰でも歌えそうなところがである。同じく人気曲の「3月9日」に比べるとサビが高音すぎるため一気に撃沈する者が続出したものと思われる。けっこう安定して高い声を出せて上手い人じゃないとこの曲歌えているところに遭遇した事が無い。“こなぁぁぁ”が出ないとけっこうどうしようもないので…いつしか誰も入れなくなったな…。
★★★★☆
3rdアルバム『HORIZON
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
本+シングルCD『10th Anniversary Special CD BOX「Your Song」』
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

No Border

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、brass arrangement:小林武史
キラキラのウィンターポップナンバー。真冬を歌った曲ながらクリスマスという言葉は出てこないが、キーボードやシャンシャンした音色などにクリスマスソングっぽさが醸し出されている。ストリングスではなくブラスアレンジで味付けされているが、数えるほどしか出てこないレミオロメンにおける小林武史のブラスアレンジは貴重だ。ストリングスと違って重さじゃなくて陽気さが出るので、藤巻の明るくない歌声とブラスを合わせるのってけっこう調和がとれていいと思うんだけどなぁ…。ストリングスだと重ねがけで重くなっちゃうんだよな。
★★★★☆
アルバム未収録

3/9 with Quartet

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、stirings arrangement:小林武史&四家卯大
「3月9日」のリメイク。with Quartetという英字に合わせてか日付の表記が変更された。バイオリン2名、ヴィオラ、チェロによるタイトル通りのカルテット(4人)編成のストリングスが参加。チェロは四家卯大が自ら演奏。小林武史によるピアノ(表記上はキーボード)とカルテット演奏とボーカルで全編進行するためほとんど藤巻のソロ曲である。優雅な雰囲気の中で2番になると高速のシパシパした打ち込み(?)が鳴り始めるのがかなり謎。ドラマ内で合唱曲として使用されたのとも特に関係が無いし、わざわざこのタイミングでこのバージョン作ったのも良く分からない。曲の良さは変わらないとはいえ、わざわざこのバージョン聞く事ってあまりないな…。
★★★☆☆
アルバ未収録

9th 太陽の下

太陽の下 (初回限定盤) 太陽の下 (通常盤)
06年3月1日
初回盤はデジパック仕様、CD-EXTRAでPVを収録、さらに今回はC/Wにもう1曲「電話(‘06.1.28 live ver. at 三郷市文化会館)」を追加収録。当時レンタルしたTSUTAYAでは通常盤で入荷されていたので後追いで初回盤を探してきた記憶がある。また配信は通常盤準拠の3曲となっていて「電話(‘06.1.28 live ver. at 三郷市文化会館)」は配信されていない

太陽の下

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、stirings arrangement:小林武史&四家卯大
映画『子ぎつねヘレン』主題歌。穏やかなミディアムナンバー。リリース当時発売時期が近かったスキマスイッチの「ボクノート」と何かブレイク後期待の新曲で似たようなの出してきたなぁ…と思った記憶がある。

今作に関してはついにピアノ始まりになっちゃったよ…という小林武史の浸食っぷりがどうにも気になる1曲。確かなメロディーには普遍性はあるものの、ちょっと丸くなりすぎてしまっているという印象だ。曲自体は本当にいい曲なんだけど、バックバンドのように存在感抑えてまでそんなにピアノ伴奏とストリングスをガンガン前に出さなくてもさぁ…。当時のインタビューでは当初作ったプリプロではテンポが速く4つ打ちのギターサウンドだったそうだが(藤巻はそれを「子供ポップ」と形容)、こう変えたのはやはり小林武史だったようだ。まあ確認しなくてもそうだよな…。最初のバージョンも聞いてみたい。

歌詞には”太陽”と”花火”と夏っぽい単語が出てくるがそれ以外に季節を限定するような表現は出てこない。発売時期と曲調の柔らかさもあって春のイメージが強く、太陽の下というのも暖かい陽の光のイメージ。ていうか夏で太陽の下だとこんな歌詞のような気分に浸っている余裕ない、死ぬ、地球で踊るというより地球大丈夫かっていう
★★★☆☆
3rdアルバム『HORIZON
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

チャイム

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、stirings arrangement:小林武史
比較的バンドサウンドが前に出されたナンバー。というかこっちに関してはサビ以外のストリングスはまあまあ雰囲気出てるんだけどサビでのストリングスが勝手に暴れまわっている感じがしてサビだけ邪魔に聞こえてしまう。90年代の小林武史だったらこんなアレンジにはせずにせめてブラスに置き換えるとかしてたと思う。当時のシングル感想なんかでもこの頃から小林武史最近おかしくない?という感想を毎回書くようになっていたんじゃないかと思うけど、マイラバとかも聞いていくとマイラバから藤井謙二が脱退して小林武史にとって唯一のバンドメンバーとしてのギタリストが抜けた事がピアノストリングスに傾きすぎたきっかけの1つになっていたような気もする。
★★★☆☆
アルバム未収録

蜃気楼(‘06.1.28 live ver. at 三郷市文化会館)

作詞作曲:藤巻亮太
ライブ音源だけど原曲が出ていない初出の新曲。その後もスタジオ音源が発表されていないが、ライブではこの数年前から披露していたらしい。何かしっくりこなくて正式なスタジオ録音に至らなかったのだろうか。ライブだけあってかつてのロックバンドとしてのレミオロメンが失われていなかったことを感じられるロックな1曲。キーボードも参加しているが小林武史ではなく皆川真人。音源においては存在感を発揮しまくった小林武史はこの頃にはミスチルのライブには自ら参加するようになっていたがレミオロメンのライブにおいては参加することは無かった。
★★★☆☆
スタジオ音源無し

初回盤のみ
電話(‘06.1.28 live ver. at 三郷市文化会館)

メジャーデビューシングルのライブ音源。初回盤シングルCDでしか聞けない未配信音源の1つ。こちらにも皆川真人のキーボード表記はあるが、特に新しいアレンジをしているようには聞こえない。C/Wにわざわざガツンとしたギターロックナンバーのライブ音源を入れたのはこれを忘れたわけじゃないよというアピールだったのだろうか。
★★★★☆

From 3rdアルバム『HORIZON』

HORIZON
06年5月17日
シングルでは3作連続で2位止まりだったが、今作ではシングル含めて初の1位を獲得。オリジナルアルバムでの1位獲得は5作中今作が唯一。ベスト含めてもアルバムでは最大売上となり、人気絶頂期を迎えた。結果的には今作が人気の完全なピークとなった。初回盤はスリーブケース&デジパック仕様。大ヒットしたので通常盤もそれなりに出回った。

ついに全曲に小林武史が参加するようになったが、先行シングルに比べると適度な距離感、意外とロックバンド感のある曲が多いのが特徴で、ストリングスも12曲中4曲に留まっている。

スタンドバイミー

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史、Stirings Arranged by 小林武史&四家卯大
人気のピークに達したレミオロメンを象徴するような爽快な1曲。代表曲の1つにもなっていてベスト盤、ライブ盤にも全て収録された。ピアノストリングスによるポップ化と適度なバンドサウンドによるポップロックナンバーで、売れ線J-POPとしてこの上なく突き抜けた1曲。前向きな歌詞やサウンドも売れ線を目指してストレートに飛躍していこうという迷いの無さを感じる。このテンションの高さをもう少しでも保つことが出来ていれば確実にピークは長く続いていたとは思うんだけど、やはりどうにも無理しすぎたところもあったのか…。というか初期のファンからは作風が小林武史すぎて、やらされているんじゃないかとかオーバープロデュースだとかけっこう言われてたしなぁ…。この曲単独には光と希望しか見えないけど、この後陥った影との対比でまた深みが増す
★★★★☆
3rdアルバム『HORIZON
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

明日に架かる橋

作詞作曲:藤巻亮太、編曲:レミオロメン&小林武史
電子音を大胆に導入したデジロックナンバー。アルバム内でも異色の存在感を放っているが、何故か『レミオベスト』にも収録されたため、ベスト盤内でもかなりのアクセントになっている。冒頭の”夢見てOK それでOK”の異様な陽気さがインパクト。軽すぎるくらいのノリとこの後の反動を思うとまた複雑な気分にもなってくるが…それよりも忘れかけた頃にこの曲の方向性を発展させたのがもしかしてあの迷作「立つんだジョー」だったのではないか…。
★★★☆☆
3rdアルバム『HORIZON
ベストアルバム『レミオベスト
2ndライブアルバム『“Your Songs” with strings at Yokohama Arena』(ライブ)

紙ふぶき

作詞:藤巻亮太、作曲:前田啓介、編曲:レミオロメン&小林武史、Stirings Arranged by 小林武史
同じく『レミオベスト』にも収録された楽曲だがこちらは先行シングル群から想像できるようなミディアムナンバー。言うなればコバオロメン的な楽曲。穏やかで安定感のあるいい曲ではあるが…わざわざ他のシングル外してまでベスト盤の枠を使う曲だったのかは謎。ただ少なくともこういう曲がヒットチャートで1番ウケがいいっていう風潮はレミオロメンに限らず当時のJ-POPには確実にあったと思う。
★★★☆☆
3rdアルバム『HORIZON
1stライブアルバム『Flash and Gleam “Flash”side「SUMMER LIVE“STAND BY ME”」』(ライブ)
ベストアルバム『レミオベスト

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