2021年3月17日
2020年2月10日先行配信(さくら(二〇二〇合唱))
初登場10位 売上0.4万枚
シングルは配信へ移行していたため、2015年9月「生きる(って言い切る)」以来となるCDシングル。アルバムも2018年8月が最新作のため、CD発売も2年7ヶ月ぶりとなった。
初回盤は2020年7月22日at Blue Note Tokyoで行われた「すぐそこにNEW DAYS in Blue Note Tokyo」配信ライブ全11曲を収録したDVD付。
UNIVERSAL MUSIC STORE限定マスク盤には初回盤にジャケットにも出ているオリジナルマスクが付属する。
2曲とも既出曲の別アレンジで「さくら」は02年オリジナル、03年シングル(独唱)、03年シングルC/W(合唱)、19年配信シングル(二〇一九)に続く新バージョンとなった。
「最悪な春」は20年5月に弾き語りで発表されていた楽曲だが、今作のバンドバージョンがオリジナル扱いとなったため、弾き語りバージョンは正式に「最悪な春(弾き語り)」というタイトルに改められ、今作発売告知でも”※「最悪な春」は、2020年5月に配信された弾き語りバージョンではございません。”という注釈がつけられた。
公式には2月10日に「さくら(二〇二〇合唱)」を先行単独配信、今作と同時発売で「最悪な春」も単独配信したという扱いでディスコグラフィーを掲載しているが、実際には先行配信の「さくら(二〇二〇合唱)」、シングル(EP)「さくら(二〇二〇合唱)/最悪な春」として配信されているのみで「最悪な春」単独扱いでの配信はされていない。
1.さくら(二〇二〇合唱)
カロリーメイトCMタイアップ。編曲はアベタカヒロ。ピアノ伴奏とオーケストラ、そしてYouth Choir Aldebaranによる合唱を加えた構成。03年の「さくら(独唱)」C/Wだった「さくら(合唱)」と同様の合唱アレンジでメインボーカルは直太朗、コーラス隊はサビ辺りから入ってくるがあくまでコーラスを合唱しているだけで直太朗のメインボーカルは終始埋もれるどころか堂々ソロ歌唱でメインを張り続けるので、一般的にイメージされる合唱というよりも大コーラス隊が参加しているというようなイメージに近い。オーケストラが入ったのと進化した直太朗ボーカルが聞きどころではあるが…やはり久々にシングルCDにするほどではなかったかと…。
★★★☆☆
2.最悪な春(朗読)
安藤サクラによる朗読。本当に朗読のみでBGMも無いが環境音(雑踏の音)は入っている。今作に関しては作詞は御徒町の単独名義なので直太朗が一切関与していないトラックという事に。サビ部分での“最悪な な な なのになぜ”も律儀にそのまま静かに朗読しているので大真面目なんだけどちょっと滑稽で笑ってしまうというか。メロディーに乗せて”な”を連呼しているなら普通に聞けるんだけどマジトーンの朗読で”な”を微妙な間を置いて連呼するのはシュールすぎないか。
3.最悪な春
昨年の緊急事態宣言下で弾き語りで制作された楽曲のバンドバージョン。今作が無印の「最悪な春」となったのでこれに伴い去年のやつはしれっと「最悪な春(弾き語り)」という正式タイトルに書き換えられている。
編曲はMichael Kaneko。初参加のアレンジャーだが(前アルバム『822』以降の配信曲で関わっていたかどうかはまだ不明)、作風は昔ながらのフォークバンドスタイルといった装い。Michael Kanekoはアメリカ育ちながら純日本人なのにマイケル名乗るくらいなのでなんかもっと海外感ある感じなのかと思ったらめっちゃ日本の古き良きフォーク風味で逆に驚いた。この古き良き懐かしさを感じさせるアレンジで歌詞をあまり気にせずに聞ける曲になったかも。
2020年の春を映しだしただけの曲だったはずが1年経って結果的には思った以上に世界は常識ごと変異しきってしまった。さすがにあの時のような街の静まり返りっぷりはもう2度と無いだろうけど(多くの人が気づき始めたので)、ものの見事に陽性者数もインフォデミックも加速、混沌としたままもう元には戻れないところまでこじらせてしまい2度目の「最悪な春」を迎えてしまった。むしろ最悪な「春」とか言ってたのが懐かしいくらいの勢いだし、最悪なのは最早「春」ではなくこの世界そのものである。最悪とただ言うよりも、この永遠の最悪の中でどう生き延びるか焦点はもうそこにあるのだろう。そういう意味ではもうこの曲の内容は”今”とは既に違うのかもしれない。
今作のMVはかなり遅れて4月14日に公開されたが、冒頭部分では安藤サクラによる朗読バージョンも加えられ、”最悪な春”を生きるマスク姿の人々、時々外したマスクの下の素顔の新鮮さと美しさ、ノーマスクで高らかに演奏する直太朗らバンドメンバー…とメッセージを含むのか、ただ歪みきった今を描写しているだけなのか、意味深といえば意味深、現実といえば現実が映し出されたものとなっていた。
★★★☆☆
4.さくら(二〇二〇伴奏)
「さくら(独唱)」リリース時、C/Wに(合唱)、そしてカラオケバージョンはカラオケと表記せずに(伴奏)と全て()表記を統一していたのを踏襲して今回もカラオケバージョンやインスト表記ではなく“伴奏”表記で記載している。
※「さくら(独唱)」「さくら(二〇一九)」は共にMV用の1発撮り生演奏なので当時のCD/配信音源とは異なる。特にCD音源「さくら(独唱)」はピアノ演奏者も最後の曲展開もCDとは異なるものとなっている。
コメント